説明

課金システム、課金情報生成装置、課金情報生成方法、課金情報生成プログラム及び記録媒体

【課題】受信データ量に応じた課金を行う課金システム、課金情報生成装置、方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】情報配信装置は、一斉配信するデータを作成し、さらに一斉同報サービスによる配信である旨を示す識別子と、データ量に応じた課金クラス情報とをデータに付与し、送信し、移動体端末は、情報配信装置から送信されたデータを受信し、受信したデータに付与されている識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に受信確認メッセージを作成し、さらにデータに付与されている識別子及び課金クラス情報を付与し、受信確認メッセージを課金情報生成装置と情報配信装置へ送信し、課金情報生成装置は、移動体端末から送信された受信確認メッセージに付与された識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金システム、課金情報生成装置、課金情報生成方法、課金情報生成プログラム及び記録媒体に関し、特に受信データ量に応じた課金を行う課金システム、課金情報生成装置、課金情報生成方法、課金情報生成プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のインターネットの急速な普及に伴い、ネットワークを流れるデータ量が急増している。これに対処するため、特定多数のユーザへの同一データ、所謂マルチキャストデータを一度に配信することのできるIP(Internet Protocol)マルチキャストが普及しつつある(特許文献1参照)。
【0003】
上述のような、特定多数に同一データを配信するマルチキャストを利用して、近年では携帯電話端末への同一データ一斉配信サービスが提供されている。一斉配信サービスにおいて、通信事業者は、加入者(ユーザ)への月定額の課金や、マルチキャストサービスを行っているコンテンツ提供者への課金(ネットワーク使用料)を行っていた。
【特許文献1】特開2002−368757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような課金方法では課金対象が制限される点に問題があった。すなわち、月定額の配信を申し込んでいても、データ配信時に加入者の携帯電話端末に電源が入っていなかったり、配信エリアにいなかったり等の理由で、実際にはデータを受け取っていない可能性がある。
【0005】
また、配信するデータのボリュームは様々であるため、通常のデータ課金のレートに換算すると、月定額の料金を満たすだけ加入者がデータを受け取っていない可能性や、逆にデータを受け取りすぎている可能性もある。
【0006】
さらに、通信事業者からみると、加入者への月定額のサービス課金とコンテンツ提供者への課金しか実現できないことで課金対象を狭めてしまっていた。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、一斉同報サービスを行なうときに、受信されたデータ量に応じて課金することを特徴としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る課金システムは、情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムであって、前記課金システムは、情報配信装置と、課金情報生成装置と、移動体端末とが、ネットワークを介して接続され、前記情報配信装置は、一斉配信するデータを作成し、さらに一斉同報サービスによる配信である旨を示す識別子と、データ量に応じた課金クラス情報とを前記データに付与するデータ作成手段と、少なくとも前記作成したデータを送信する送受信手段と、を備え、前記移動体端末は、前記情報配信装置から送信されたデータを受信し、受信確認メッセージを前記課金情報生成装置と前記情報配信装置へ送信する送受信手段と、前記受信したデータに付与されている前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージを作成し、さらに前記データに付与されている識別子及び課金クラス情報を付与する受信確認メッセージ作成手段と、を備え、前記課金情報生成装置は、前記移動体端末から送信された受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成する課金情報生成手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る課金情報生成装置は、情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムを構成する課金情報生成装置であって、前記移動体端末から、前記移動体端末が前記情報配信装置から送信されたデータを受信した旨と、前記情報配信装置により前記受信したデータに付与された前記識別子及び課金クラス情報を付与して作成した受信確認メッセージを受信し、前記受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成する課金情報生成手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る課金情報生成方法は、情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムを構成する課金情報生成装置による課金情報生成方法であって、前記移動体端末から、前記移動体端末が前記情報配信装置から送信されたデータを受信した旨と、前記情報配信装置により前記受信したデータに付与された前記識別子及び課金クラス情報を付与して作成した受信確認メッセージを受信し、前記受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成するステップを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る課金情報生成プログラムは、情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムを構成する課金情報生成装置による課金情報生成プログラムであって、前記移動体端末から、前記移動体端末が前記情報配信装置から送信されたデータを受信した旨と、前記情報配信装置により前記受信したデータに付与された前記識別子及び課金クラス情報を付与して作成した受信確認メッセージを受信し、前記受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る記録媒体は、上記課金情報生成プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一斉同報サービスを行なうときに、受信されたデータ量に応じて課金することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下に述べる実施形態では、移動体端末の一例として携帯電話端末を用いて説明する。
【0015】
(構成)
本発明の実施形態に係る課金システムの全体概略図を図1に示す。図1に示すように、携帯電話端末1(a〜e)、基地局2、携帯電話網のコアネットワーク3、コンテンツ配信サーバ4から構成されている。
【0016】
コンテンツ配信サーバ4は、データ作成部41と送受信部42から構成される。データ作成部41は、一斉同報するデータを作成する。送受信部42は、作成したデータを送信する。
【0017】
コアネットワーク3は、少なくとも課金情報生成装置5を含むネットワークであり、有線無線は限定しない。課金情報生成装置5は、課金情報生成部51を備える。課金情報生成装置5により、携帯電話端末1が実際に受信したデータ量に応じて課金を行うことが出来る。
【0018】
携帯電話端末1aは、少なくとも送受信部11aと、受信確認メッセージ作成部12aから構成される。なお、他の携帯電話端末1b〜1eも同様だが、図1では省略した。
【0019】
携帯電話端末1a〜1eが、コンテンツ配信サーバ4から一斉配信されたデータを受信するか否かは、該コンテンツ配信サーバ4が提供する一斉同報サービスにユーザの意思によって加入している場合か、又は携帯電話端末が該一斉同報サービスに対応した機種か否かによって決定される。本実施形態で用いる携帯電話端末においては、携帯電話端末1a、1b、1cが、一斉同報サービスの受信を許容している端末とする。
【0020】
(動作処理)
次に、本実施形態に係る課金システムの動作処理について図2を用いて説明する。
【0021】
コンテンツ配信サーバ4は、一斉配信するデータを作成する(A1)。該データには、送信するデータが一斉配信により送信されたデータである旨を示す識別子と、データ量に応じた課金クラス情報を付与する。
【0022】
コンテンツ配信サーバ4は、データの一斉配信を行なう(A2)。データは、コアネットワーク3、基地局2を介して、携帯電話端末1に到着する。
【0023】
携帯電話端末1は、データを受信した際に(A3)、データに付与された識別子により、一斉配信されたデータと加入者がネットワークに要求してダウンロードしたデータとを区別することができる。
【0024】
一斉配信により送信されたデータであることを判別できた場合は(A4)、受信確認メッセージを、データの送り主であるコンテンツ配信サーバ4に送信する(A5)。受信確認メッセージには、上記コンテンツサーバから受信したデータに付与されていた、一斉配信データであることを示す識別子と、データ量に応じた課金クラス情報とを、付与して送信する。
【0025】
受信確認メッセージは、基地局2、コアネットワーク3を介して、配信元のコンテンツ配信サーバ4に到着する(A7)。なお、一斉同報サービスにより、同一データが大量に送信されると、これに対する受信確認メッセージも大量に送信されることとなり、コアネットワーク3に含まれるSGSN(service GPRS(General Packet Radio Service) support node)等の交換局がパンク状態となる恐れがある。従って、例えば(1)携帯電話端末毎に時間差で受信確認メッセージを分散させる、(2)SGSNが有する複数のRNC(Radio Network Controller、BSC(Base Station Controller)とも称す、基地局制御装置)毎に受信確認メッセージを受信する、(3)一斉同報データがSGSNを通過する時点で、SGSNの負荷状態情報を付与し、各携帯電話端末は該負荷状態情報を考慮して、一時待機してから受信確認メッセージの送信を行う等することが考え得る。
【0026】
ここで、コアネットワーク3を介する際に、課金情報生成装置5は、携帯電話端末1から送信された受信確認メッセージをキャプチャする(A6)。
【0027】
課金情報生成装置5は、受信確認メッセージに付与された識別子を確認することで一斉配信データに対する課金情報を生成することを判別する。課金情報は、受信確認メッセージに付与された課金クラス情報を参照して作成する(A8)。なお、作成した課金情報は、例えば課金装置6に転送される(A9)。ここで課金装置6とは、通信事業者が課金情報を収集、算出する装置の一例である。いずれにしても、携帯電話端末1が一斉同報データを受信したこと、及び受信したデータ量に応じた課金情報について、通信事業者が把握出来れば良い。
【0028】
なお、コンテンツ配信サーバ4に送信された受信確認メッセージは、一定時間が経過した場合や、受信確認メッセージの容量が一定値に達した場合等に破棄するようにしても良い。
【0029】
本実施形態では、携帯電話端末1a〜1eのうち、1a、1b、1cが一斉同報サービスを受けることを許容しているため、例えば1cが何等かの事情で一斉同報によるデータを受信出来ず、携帯電話端末1a及び1bのみ受信出来た場合、携帯電話端末1a及び1bから受信確認メッセージが送信される。これにより、データ受信出来た携帯電話端末1a及び1bにだけデータ量に応じた課金をすることが出来る。
【0030】
上記実施形態により、通信事業者は、一斉同報サービスに加入している携帯電話端末が実際に受信したデータのデータ量に応じた課金を行うことが出来る。通信事業者は、従来の月定額の課金と併せて行うことも可能となる。このことは通信事業者の利益を拡大することにつながる。
【0031】
また、コンテンツ配信サーバ4には、受信確認メッセージが送信されるため、一斉に送ったデータが実際に何人に読まれたか把握することができる。このことによって、広告費の価格設定の幅も広がる。また、一斉配信データ受信対象者全員を母体として視聴率を算出することも出来る。
【0032】
また、データ量に応じた課金が実現されることにより、携帯電話端末が実際にはデータを受信出来なかった場合に無駄に課金されることがなくなり、加入者側にとってもより最適な課金方法となる。
【0033】
また、移動体端末向けの一斉配信としては、テキストを配信するCBS(Cell Broadcast Service)やマルチメディアコンテンツを配信するMBMS(Multimedia Broadcast/Multicast Service:3GPPで規定)や、BCMCS(BroadCast/MultiCast Service:3GPP-2で規定)などが存在するが、本発明は、主に大容量のコンテンツ配信を行なうMBMSやBCMCSでの実施が有効となる。
【0034】
本発明の他の実施形態としては、配信先がパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であってもパケットを用いたデータの一斉同時配信を行なうときに活用できる。また、メディア情報への活用も考えられる。
【0035】
なお、図1では、携帯電話端末1a〜1eを用いたが、不特定多数の端末への配信時にも適用可能である。
【0036】
なお、上記実施形態の動作処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録する記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0037】
以上、本発明を好適な実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態に係る課金システムの全体概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る課金システムの動作処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0039】
1a〜1e 携帯電話端末
11a 送受信部
12a 受信確認メッセージ作成部
2 基地局
3 コアネットワーク
4 コンテンツ配信サーバ
41 データ作成部
42 送受信部
5 課金情報生成装置
51 課金情報生成部
6 課金装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムであって、
前記課金システムは、情報配信装置と、課金情報生成装置と、移動体端末とが、ネットワークを介して接続され、
前記情報配信装置は、
一斉配信するデータを作成し、さらに一斉同報サービスによる配信である旨を示す識別子と、データ量に応じた課金クラス情報とを前記データに付与するデータ作成手段と、
少なくとも前記作成したデータを送信する送受信手段と、を備え、
前記移動体端末は、
前記情報配信装置から送信されたデータを受信し、受信確認メッセージを前記課金情報生成装置と前記情報配信装置へ送信する送受信手段と、
前記受信したデータに付与されている前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージを作成し、さらに前記データに付与されている識別子及び課金クラス情報を付与する受信確認メッセージ作成手段と、を備え、
前記課金情報生成装置は、
前記移動体端末から送信された受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成する課金情報生成手段を備えることを特徴とする課金システム。
【請求項2】
前記移動体端末が備える送受信手段は、前記受信確認メッセージを、一時待機後に送信することを特徴とする請求項1記載の課金システム。
【請求項3】
前記受信確認メッセージは、前記情報配信装置から前記移動体端末へ送信される途中に通過する基地局の負荷状況情報が付与され、
前記移動体端末が備える送受信手段は、前記受信確認メッセージを、前記負荷状況情報に応じて送信することを特徴とする請求項1記載の課金システム。
【請求項4】
情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムを構成する課金情報生成装置であって、
前記移動体端末から、前記移動体端末が前記情報配信装置から送信されたデータを受信した旨と、前記情報配信装置により前記受信したデータに付与された前記識別子及び課金クラス情報を付与して作成した受信確認メッセージを受信し、前記受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成する課金情報生成手段を備えることを特徴とする課金情報生成装置。
【請求項5】
情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムを構成する課金情報生成装置による課金情報生成方法であって、
前記移動体端末から、前記移動体端末が前記情報配信装置から送信されたデータを受信した旨と、前記情報配信装置により前記受信したデータに付与された前記識別子及び課金クラス情報を付与して作成した受信確認メッセージを受信し、前記受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成するステップを備えることを特徴とする課金情報生成方法。
【請求項6】
情報配信装置からネットワークを介して同一データを多数の移動体端末に送信する一斉同報サービスによる情報配信時の課金システムを構成する課金情報生成装置による課金情報生成プログラムであって、
前記移動体端末から、前記移動体端末が前記情報配信装置から送信されたデータを受信した旨と、前記情報配信装置により前記受信したデータに付与された前記識別子及び課金クラス情報を付与して作成した受信確認メッセージを受信し、前記受信確認メッセージに付与された前記識別子から、一斉同報サービスによる配信である旨が判明した場合に、前記受信確認メッセージに付与された課金クラス情報に基づき課金情報を生成する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする課金情報生成プログラム。
【請求項7】
請求項6記載の課金情報生成プログラムの処理を記録するコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−93340(P2010−93340A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258521(P2008−258521)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】