説明

課金システム

【課題】ユーザが保有している一般的な車載器や携帯端末を用いて、サービスの利用料金の割引を行うことができる課金システムを提供すること。
【解決手段】決済システム1は、認証及び決済業務を行う管理事業者の業務エリアに配置された中央制御装置としてのセンターサーバ2及びウェブサーバ3と、駐車場事業者の運営する駐車場に配置された路側装置としての路側サーバ4と、駐車場に配置されて路側サーバ4に接続された精算装置5とを備える。ユーザが、駐車場が設置された店舗で商品を購入するに伴って提示されたQRコードを携帯電話機8の撮像部86で読み込み、QRコード解析部87で解析されたURLにアクセスしてウェブサーバ3からウェブページの情報を受信する。携帯電話機8がURLにアクセスする際にウェブサーバ3へ送信する情報に基づいて、割引制御部20が、駐車場料金から割り引くべき割引額を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路通行料金の決済を行うための車載器を用いて車両又はそのユーザに提供されるサービスに関し、サービス利用代金を特定するための課金システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有料道路の通行料金の決済を行うために、ETC(Electronic Toll
Collection system:料金自動収受システム、登録商標)の導入が進みつつある。ETCは、料金所に設置された路側装置と、車両に搭載された車載器との間で、DSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)方式による双方向無線通信を行い、通行料金の支払いに必要な情報を送受信するシステムである。ETCによれば、車両は従来のように料金収受のために停止することなく、ノンストップで料金所を通過できる。これにより、料金所の渋滞解消や、ユーザの利便性向上や、料金所の施設の簡素化等といった種々の利点が得られる。このため、有料道路のETC対応が進みつつあると共に、車載器を搭載した車両もまた増加しつつある。
【0003】
最近、ETCの車載器の機能を、有料道路以外のサービスに関する料金の決済に活用することが実現され始めており、その一例として、駐車場の利用料金の決済を車載器により行うことが提案されている。
【0004】
ところで、店舗等に併設された駐車場では、来場者が店舗で商品を購入すると、来場者の駐車場の利用料金を割り引くことが一般に行われている。このような駐車場では、駐車場の入口や駐車領域に配置された発券機で駐車券を発行すると共に、店舗で商品を購入した来場者に割引券を渡している。来場者が駐車場から車両を出庫させる際、精算機に駐車券と割引券を挿入して、利用料金の精算を行うようにしている。
【0005】
このような駐車場に、車載器による利用料金の決済を導入する場合、駐車券を発行しないので割引券による割引は困難となる。そこで、従来、車載器のユーザが有する携帯端末を利用して、車載器による駐車場の利用料金の精算を行うようにした精算システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
この精算システムでは、車載器から携帯端末に車両情報及び入庫時間等を送信して記憶させ、ユーザが店舗で商品の購入代金を支払う際に、携帯端末に記憶させた車両情報及び入庫時間等を店舗端末に転送する。店舗端末は、携帯端末から転送された入庫時間と、ユーザの支払額とに応じて駐車場の利用料金の割引額を計算し、この割引額を、携帯端末から転送された車両情報に含まれて車両を特定する固有情報と関連づけて精算機へ送信する。精算機は、受信した固有情報と割引額を記憶し、記憶した固有情報と、車両の出庫時に車載器から受信した固有情報とが一致する場合、記憶した割引額を差し引いて駐車場料金の決済処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−113894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の精算システムは、車載器と携帯端末との間と、携帯端末と店舗端末との間で情報通信を行う必要があるので、車載器と携帯端末と店舗端末が、例えばブルートゥース(登録商標)のような統一規格の通信機能を有する必要がある。したがって、ユーザの車載器や携帯端末が、統一規格の通信機能を有していないと、精算システムを利用できないという問題がある。
【0009】
また、車両を特定する固有情報は、ユーザの個人情報に準じる秘密保持情報であり、固有情報を車載器から携帯端末や店舗端末に送信すると、個人情報に準じる情報が漏洩する恐れがある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、ユーザが保有している一般的な車載器や携帯端末を用いて、サービスの利用料金の割引を行うことができる課金システムを提供することにある。また、ユーザに関する情報の漏洩を防止できる課金システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の課金システムは、車載器を搭載した車両又はそのユーザに提供されるサービスに関し、サービス利用代金を特定するための課金システムであって、
中央制御センターに設置された中央制御装置と、サービスの提供領域に設置された路側装置及び精算装置とを備え、
上記中央制御装置は、
路側装置から受信した車載器の固有情報に基づいて車載器の認証を行う認証部と、
認証部による車載器の認証が成功すると、車載器の固有情報に予め関連付けられたユーザの携帯端末のメールアドレスに宛てて、サービス利用料金の割引を行う旨を示す割引対象情報又は割引対象情報をユーザの携帯端末に表示するためのリンク情報を含んだ電子メールを送信するメール送信部と、
割引のための割引基本情報を取得する割引基本情報取得部と、
割引基本情報取得部が取得した割引基本情報に基づいて、サービス利用料金から割り引くべき金額を特定する割引額特定部と、
路側装置に、割引額特定部が特定した金額を含む割引情報を送信する割引情報送信部とを有し、
上記路側装置は、
車載器と無線通信を行い、車載器との間で情報を授受する無線通信部と、
無線通信部が車載器から受信した情報に基づいて、車載器の固有情報を出力する固有情報出力部と、
固有情報出力部が出力した固有情報を中央制御装置に送信する固有情報送信部と、
中央制御装置から割引情報を受信する割引情報受信部と、
割引情報受信部が受信した割引情報を、精算装置に送信する割引情報送信部とを有し、
上記精算装置は、
ユーザのサービスの利用状況に基づいて算出した割引前のサービス利用料金と、路側装置の割引情報送信部から受信した割引情報とに基づいて、ユーザに課金すべき割引後のサービス利用料金を算出する料金算出部を有することを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、サービスの提供領域に、車載器が搭載された車両が進入すると、路側装置の無線通信部が車載器と無線通信を行い、車載器との間で情報を授受する。路側装置の固有情報出力部は、無線通信部が車載器から受信した情報に基づいて、車載器の固有情報を出力する。固有情報出力部が出力した車載器の固有情報を、路側装置の固有情報送信部が中央制御装置に送信する。中央制御装置の認証部は、路側装置から受信した車載器の固有情報に基づいて車載器の認証を行う。認証部による車載器の認証が成功すると、中央制御装置のメール送信部が、車載器の固有情報に予め関連付けられたユーザの携帯端末のメールアドレスに宛てて、サービス利用料金の割引を行う旨を示す割引対象情報又は割引対象情報をユーザの携帯端末に表示するためのリンク情報を含んだ電子メールを送信する。ユーザは、携帯端末に送信された割引対象情報を携帯端末に表示し、又は、携帯端末に送信されたリンク情報に基づいて携帯端末に割引対象情報を表示し、この割引対象情報の表示に対応して得た割引基本情報を携帯端末に入力する。一方、中央制御装置は、割引基本情報を割引基本情報取得部が取得し、この割引基本情報取得部が取得した割引基本情報に基づいて、割引額特定部が、サービス利用料金から割り引くべき金額を特定する。割引額特定部が特定した金額を含む割引情報を、割引情報送信部が路側装置に送信する。路側装置の割引情報受信部が、中央制御装置から割引情報を受信し、割引情報送信部が、割引情報受信部が受信した割引情報を精算装置に送信する。精算装置の料金算出部が、ユーザのサービスの利用状況に基づいて算出した割引前のサービス利用料金と、路側装置の割引情報送信部から受信した割引情報とに基づいて、ユーザに課金すべき割引後のサービス利用料金を算出する。算出された割引後のサービス利用料金は、例えば精算機へのユーザによる入金や、中央制御装置等を経由した電子決済等によって決済される。こうして、ユーザは、例えば従来の駐車場におけるような駐車券や割引券の受け渡しを行うことなく、チケットレスにより、サービスの利用料金に対して割引を受けることができる。
【0013】
本発明の課金システムは、上記中央制御装置と路側装置と精算装置を用いることにより、ユーザの携帯端末として、割引対象情報又はリンク情報が付加された電子メールを受信する機能と、割引対象情報を表示する機能と、割引基本情報の送信機能とを有するものを用いることができる。すなわち、ユーザの携帯端末として、一般的に普及している電子メールの送信機能と、文字又は画像の表示機能と、例えばインターネットを通じた情報通信機能を有するものを用いることができる。したがって、従来の精算システムのように、互いに情報通信が可能な車載器及び携帯端末や、店舗端末と情報通信が可能な携帯端末を用いる必要が無いので、一般的な機能を有する既存の車載器と携帯端末を有するユーザに、サービスの利用料金の割引を行うことができる。その結果、ユーザに車載器と携帯端末の新たな購入を強いることなく、車載器を用いたサービスの利用料金の決済に対して割引を行うことができる。なお、割引基本情報は、ユーザの携帯端末以外に、サービスの提供領域に配置された端末装置から、中央制御装置に送信されてもよい。
【0014】
また、本発明の課金システムは、車載器の固有情報や車両に関する情報を、ユーザの携帯端末には送信しないので、ユーザの個人情報に準じる情報の漏洩を、従来の精算システムよりも効果的に防止できる。
【0015】
一実施形態の課金システムは、上記中央制御装置の割引基本情報取得部は、割引基本情報の入力を受けるウェブページを配信するウェブページ配信部を有し、上記ユーザの携帯端末は、上記ウェブページ配信部にアクセスし、割引基本情報をウェブページに入力する。
【0016】
上記実施形態によれば、ユーザは、携帯端末を操作して、中央制御装置の割引基本情報取得部に含まれるウェブページ配信部が配信するウェブページにアクセスし、割引基本情報をウェブページに入力する。これにより、携帯端末から割引基本情報取得部へ割引基本情報を送信して、容易にサービスの利用料金の割引を受けることができる。
【0017】
一実施形態の課金システムは、上記中央制御装置の割引基本情報取得部は、割引基本情報が入力された電子メールを、ユーザの携帯端末から受信する。
【0018】
上記実施形態によれば、ユーザは、例えば携帯端末の2次元コード読み取り機能や入力部への入力等により割引基本情報を入力した電子メールを生成し、この電子メールを携帯端末から中央制御装置に送信することにより、容易にサービスの利用料金の割引を受けることができる。
【0019】
一実施形態の課金システムは、上記中央制御装置のメール送信部がユーザの携帯端末に送信する電子メールは、路側装置の設置されたサービス提供領域で提供されるサービスに対応した返信用メールアドレスを含み、
上記中央制御装置の割引基本情報取得部は、上記返信用メールアドレスに宛てて送信されて割引基本情報を含む電子メールを、ユーザの携帯端末から受信する。
【0020】
上記実施形態によれば、ユーザの携帯端末が、返信用メールアドレスを含む電子メールを受信し、この返信用メールアドレスに宛てて割引基本情報を含む電子メールを送信することにより、容易に上記サービスの利用料金の割引を受けることができる。
【0021】
一実施形態の課金システムは、上記中央制御装置の割引基本情報取得部が受信する電子メールは、数字及び記号の少なくとも一方で表されてユーザに操作により入力された割引基本情報を含む。
【0022】
上記実施形態によれば、ユーザが携帯端末を操作して電子メールに上記数字及び記号の少なくとも一方を入力することにより、容易に割引基本情報を含んだ電子メールを中央制御装置の割引基本情報取得部に送信できる。
【0023】
一実施形態の課金システムは、上記割引基本情報は、路側装置の設置されたサービス提供領域に関連する所定のサービスに対してユーザが支払った金額を示す情報を含む。
【0024】
上記実施形態によれば、中央制御装置の割引額特定部により、割引基本情報取得部が取得した割引基本情報に基づいて、所定のサービスに対してユーザが支払った金額に応じてサービス利用料金から割り引くべき金額を特定することができる。
【0025】
一実施形態の課金システムは、上記精算装置は、料金算出部で算出された割引後のサービス利用料金を含む料金情報を中央制御装置に送信する料金情報送信部を有し、
上記中央制御装置は、精算装置から受信した料金情報に基づいて、ユーザに対応して予め定められた決済方法により決済を行う決済部を有する。
【0026】
上記実施形態によれば、精算装置の料金算出部で算出された割引後のサービス利用料金を含む料金情報が、料金情報送信部によって中央制御装置に送信され、中央制御装置の決済部により、精算装置から受信した料金情報に基づいて、ユーザに対応して予め定められた決済方法により決済が行われる。これにより、ユーザが割引券等の媒体の受け渡しを行うことなく、チケットレスにより、割引後のサービス利用料金の決済を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、車載器が搭載された車両又はユーザに対するサービスの利用料金の決済において、既存の車載器及び携帯端末を使用するユーザに対して、例えば従来の駐車場におけるような駐車券や割引券の受け渡しを行うことなく、チケットレスにより利用料金の割引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の課金システムの実施形態としての駐車場の決済システムを示す模式図である。
【図2】センターサーバ、ウェブサーバ、路側サーバ、精算装置、車載器、携帯電話機及び決済サーバの構成を示す模式図である。
【図3A】精算装置、路側サーバ及びセンターサーバの動作を示すフローチャートである。
【図3B】携帯電話機及びウェブサーバの動作を示すフローチャートである。
【図3C】精算装置、路側サーバ及びセンターサーバの動作を示すフローチャートである。
【図3D】精算装置、路側サーバ、センターサーバ及び携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
実施形態では、本発明の課金システムを駐車場の決済システムに適用した例を説明する。本実施形態の駐車場の決済システムは、車載器を用いて、有料道路以外のサービスとして駐車場の利用料金の決済を行うものである。この駐車場は店舗に併設されたものであり、本実施形態の決済システムは、店舗でユーザが商品を購入する際に支払った金額に応じて、サービスの利用料金である駐車場の利用料金の割引を行うものである。なお、本発明において、車載器とは、車両に搭載され、DSRC方式の双方向無線通信(以下「DSRC通信」という。)を行う機能を有する機器を広く示す。
【0031】
まず、本実施形態の決済システムで採用される認証方法の概要を説明する。
【0032】
ETCの車載器の記憶装置には、全ての車載器の間で一意的に付与された機器番号が格納されている。車載器を有料道路以外のサービス(例えば洗車サービス、給油サービス、物品販売もしくは駐車場提供サービス等)に用いる場合、機器番号を変換してなる利用車番号が、識別情報として用いられる。利用車番号は、車載器の機器番号を管理する機器番号管理者(現在、わが国では、財団法人道路システム高度化推進機構)により、サービスを行う事業者毎に異なる系列に変換されて付与される。利用車番号に、クレジット会社やクレジット番号等の決済情報を予め対応付けることにより、利用車番号を用いて車載器の認証を行うと共に、サービス利用料金の決済を行うことが可能となる。これにより、ユーザは、車載器により、有料道路の利用以外のサービスを受け、サービス利用料金の決済をキャッシュレスかつ自動的に行うことが可能となる。また、利用車番号に、ユーザ又は車両に関する情報を予め対応付けることにより、利用車番号を用いて車載器の認証を行うと共に、ユーザの消費動向調査や、車両の交通計画に関する調査や、ユーザへの情報配信を行うことが可能となる。
【0033】
本実施形態の決済システムは、車載器の認証や決済をサービス提供業務から分離して遂行し、駐車場事業者に対して、ユーザの車載器の認証結果の提供や、駐車場の利用料金の決済の代行を行うものである。本実施形態では、決済システムにより、サービス事業者としての駐車場事業者のために、決済システムを提供する管理事業者が車載器の認証及び決済といった基盤業務を行う場合について説明するが、他のサービス事業者として、例えば小売事業者、レストラン事業者、洗車事業者及び給油事業者、有料道路の料金収受事業者等に対して基盤業務を行うことも可能である。なお、サービス事業者が、本実施形態の決済システムによる全ての業務を行ってもよい。
【0034】
図1は、本実施形態の駐車場の決済システムを示す模式図である。この決済システム1は、認証及び決済業務を行う管理事業者の業務エリアに配置された中央制御装置としてのセンターサーバ2及びウェブサーバ3と、駐車場事業者の運営する駐車場に配置された路側装置としての路側サーバ4と、駐車場に配置されて路側サーバ4に接続された精算装置5とで構成されている。
【0035】
センターサーバ2と路側サーバ4は、インターネット回線Nや専用回線に接続され、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に準拠した通信方式により、SSL/TLS(Secure Socket Layer/ Transport Layer Security)の暗号化やスクランブル等で機密性を高めた通信を互いに行うように形成されている。路側サーバ4と精算装置5は、LAN(Local Area Network)等により接続されている。
【0036】
センターサーバ2は、路側サーバ4から受信した車載器の固有情報としての利用車番号に基づいて認証を行うと共に、ユーザの携帯端末としての携帯電話機8からウェブサーバ3が受信した割引基本情報に基づいて割引額を特定し、精算装置5から受信した駐車場料金の決済を行うように構成されている。
【0037】
ウェブサーバ3は、携帯電話機8からの要求に応じて、HTML(Hyper Text
Markup Language)形式のデータを送信すると共に、携帯電話機8から割引基本情報と、必要に応じてパスワードを受信するように構成されている。すなわち、ウェブサーバ3は、ウェブページ配信部及び割引基本情報取得部として機能する。
【0038】
路側サーバ4は、駐車場の入口と出口に配置されたアンテナ41を介して、車両6に搭載された車載器7と、DSRC通信を行い、車載器に関する情報の授受を行うように構成されている。
【0039】
精算装置5は、車両6の駐車場の利用時間と割引額から、ユーザに課金する駐車場料金を算出すると共に、認証及び決済の結果に応じて、駐車場の出口と入口に配置された遮断機51の開閉を制御するように構成されている。
【0040】
図2は、センターサーバ2と、ウェブサーバ3と、路側サーバ4と、精算装置5と、車載器7と、携帯電話機8と、決済サーバ9の構成を示したブロック図である。
【0041】
センターサーバ2は、ユーザの携帯電話機8を通じて取得した割引基本情報に基づいて、駐車場の利用料金から割り引くべき割引額を特定する割引額特定部としての割引制御部20と、ウェブサーバ3が携帯電話機8から受信したパスワードを照合してユーザの認証を行う割引認証部21と、車載器7の認証を行う車載器認証部22と、割引後の駐車場料金の決済を行う決済部23と、路側サーバ4との通信を行う通信部24と、ユーザの携帯電話機8に割引対象情報を含んだ電子メールを送信するメール送信部25と、ユーザ及び車両に関する情報が格納されたデータベース26を有する。
【0042】
割引制御部20は、ユーザが店舗で商品の購入に支払った金額の価格帯を表す割引基本情報から、この価格帯に応じて駐車場料金から割り引く割引額を特定する。例えば、商品購入代金の価格帯が1001円から2000円の間である場合は割引額を100円に特定し、商品購入代金の価格帯が2001円から3000円の間である場合は割引額を200円に特定する。
【0043】
割引認証部21は、ウェブサーバ3が携帯電話機8から受信したパスワードを、データベース26のユーザ情報格納部263に格納されたパスワードと照合して認証を行う。
【0044】
車載器認証部22は、路側装置4から受信した利用車番号を、データベース26の利用車番号格納部261に格納された利用車番号と照合して、車載器7の認証を行う。
【0045】
決済部23は、精算装置5で特定された割引後の駐車場料金を、データベース26の決済情報格納部265に格納された決済情報に基づいて決済を行う。詳しくは、決済情報に対応するクレジット会社の決済サーバ9に、決済金額とクレジット番号等を含む売上情報を送信して、決済サーバ9に決済金額の精算を依頼する。
【0046】
通信部24は、TCP/IPに準拠した通信方式により、SSL/TLSの暗号化やスクランブル等で機密性を高めた通信を行い、路側装置4から利用車番号を受信すると共に、路側装置4に、車載器の認証結果や利用車番号に対応する情報や、割引制御部20が特定した割引額を含む割引情報等を送信する。
【0047】
メール送信部25は、データベース26のユーザ情報格納部263に格納されたユーザの携帯電話機8のメールアドレスに宛てて、駐車場の割引を行う旨を示す割引対象情報を含んだ電子メールを送信する。割引対象情報は、文字及び画像の少なくとも一方で形成され、ユーザが携帯電話機8の表示部81に表示して店舗の販売員に視認させて、ユーザの駐車場料金が割引の対象である旨を示すものである。割引対象情報を視認した販売員は、商品又はサービスの金額の価格帯に対応する2次元コードとしてのQRコード(Quick Response Code、登録商標)をユーザに提示するようになっている。なお、割引対象情報は、電子メールに添付又は包含させてメール送信部25が携帯電話機8に送信する以外に、割引対象情報をダウンロード又は表示させるウェブページのURLを含んだ電子メールをメール送信部25が携帯電話機8に送信してもよい。携帯電話機8が上記URLを含んだ電子メールを受信すると、ユーザが携帯電話機8のウェブアクセス機能を起動し、上記URLで示されるウェブページにアクセスして割引対象情報を携帯電話機8にダウンロード又は表示させることができる。上記URLで示されるウェブページは、ウェブサーバ3に格納することができる。また、上記URLは、同一のユーザ又は同一の駐車場の利用であっても、利用の都度、ランダムに異なるURLを生成し、携帯電話機8で受信した電子メールを不正に繰り返して使用されることを防止するのが好ましい。
【0048】
また、メール送信部25は、ユーザが駐車場へ入庫する際に、車載器7の認証結果や、入庫した駐車場名や、入庫日時や、駐車場の利用に対して割引の可否を示す割引対象情報を含んだ電子メールを、ユーザの携帯電話機8のメールアドレスに宛てて送信する。一方、ユーザが駐車場から出庫する際に、決済金額を含んだ電子メールを、ユーザの携帯電話機8のメールアドレスに宛てて送信する。なお、メール送信部25が送信する電子メールには、入庫した駐車場に併設された店舗等に関する広告情報等が添付されてもよい。
【0049】
データベース26には、管理事業者にサービス利用の申し込みをした全てのユーザに関する情報が格納されている。ユーザに関する情報は、車載器の利用車番号と、この利用車番号に紐付けられたID、ユーザ情報、車両情報及び決済情報である。各情報は、データベース26の利用車番号格納部261と、ID格納部262と、ユーザ情報格納部263と、車両情報格納部264と、決済情報格納部265とに夫々格納されている。また、データベース26には、駐車場の利用料金から割り引くべき割引額が格納される割引額格納部266を有する。
【0050】
利用車番号格納部261に格納された利用車番号は、車載器7の機器番号が変換されて管理事業者に割り振られたものであり、ユーザのサービス利用の申し込みの際に、ユーザを示す識別番号として機器番号管理者から基盤事業者に交付されたものである。利用車番号は、管理事業者が申し込みを受けた範囲内で車載器7に一意的に付与されている。
【0051】
ユーザ情報格納部263に格納されたユーザ情報は、ユーザの氏名、性別、メールアドレス及びパスワード等である。
【0052】
車両情報格納部264に格納された車両情報は、ユーザの車両のナンバープレート番号や、車種等である。
【0053】
決済情報格納部265に格納された決済情報は、ユーザがクレジット会社と契約して設定され、申し込み時に登録されたクレジット番号等の情報である。このクレジット番号等の情報と決済金額とを含む売上情報を、対応するクレジット会社の決済サーバ9に送信する。決済サーバ9は、売上情報が与信の範囲内であれば、有効に受け付けて精算する。クレジット会社は、ユーザから予め指定された銀行口座から代金引き落としを行う等の方法により、ユーザから代金を回収する。
【0054】
割引額格納部266には、ユーザの携帯電話機8からウェブサーバ3を通してセンターサーバ2に入力された情報に基づいて、割引制御部20で特定された割引額が格納される。割引額格納部266に格納された割引額は、車両の出庫時に精算装置5に送信され、精算装置5が割引額を差し引いて駐車場の利用料金を特定する。
【0055】
センターサーバ2は、CPU、記憶装置、入出力装置及び通信モジュール等で構成されたコンピュータであり、記憶装置の所定領域にデータベース26が構築されていると共に、記憶装置の他の領域に格納されたプログラムがCPUで実行されて、上述の割引制御部20、割引認証部21、車載器認証部22、決済部23、通信部24及びメール送信部25の各機能を奏するように構成されている。
【0056】
ウェブサーバ3は、携帯電話機8からの要求に応じて、HTML形式で表されたウェブページの情報を配信するものである。ウェブサーバ3は、ユーザの購入によって駐車場料金の割引対象となる店舗で提供される商品やサービスに関して、パスワード入力部を含んだウェブページの情報として、商品やサービスの価格帯に関連付けられたURLを付与して格納している。ユーザが携帯電話機8の表示部81に割引対象情報を表示すると、店舗の販売員が、ユーザの購入した商品又はサービスの属する価格帯に対応するQRコードをユーザに提示する。QRコードの提示は、QRコードが印刷された紙や樹脂シート等で行ってもよく、また、QRコードを表示するディスプレイ等で行ってもよい。ユーザは、提示されたQRコードを携帯電話機8の撮像部86で読み込み、QRコード解析部87で解析された上記URLにアクセスしてウェブページの情報を受信する。このURLは、商品又はサービスの属する価格帯に対応しており、ウェブサーバ3は、当該URLのウェブページの情報の要求を携帯電話機8から受けることにより、ユーザが購入した商品又はサービスの価格帯を認識する。このように、携帯電話機8から受信するURLを含む情報が、割引基本情報に相当する。また、ウェブサーバ3は、携帯電話機8がアクセスする際に受信した個体識別情報により、ユーザを識別する。ウェブサーバ3からURLに対応するウェブページの情報を受信した携帯電話機8の表示部81には、パスワードの入力を要求するパスワード入力部が表示される。ユーザが携帯電話機8の入力部82の操作によってパスワード入力部にパスワードを入力すると、このパスワードがウェブサーバ3を通してセンターサーバ2に送られ、割引認証部21でユーザの認証を行うようになっている。
【0057】
ウェブサーバ3は、CPU、記憶装置、入出力装置及び通信モジュール等で構成されたコンピュータであり、記憶装置に格納されたプログラムがCPUで実行されて、上述のウェブページの配信機能と、携帯電話機8の識別機能とを奏するように構成されている。
【0058】
路側サーバ4は、車載器7から受信した機器番号を利用車番号に変換する変換部42と、センターサーバ2と通信を行う通信部43と、アンテナ41を介して車載器7とDSRC通信を行うDSRC通信部44を有する。
【0059】
変換部42は、駐車場に訪れた車両6の車載器7から受信した機器番号を、利用車番号に変換する変換プログラムによって構成されており、固有情報出力部として機能する。この変換プログラムは、ユーザがサービス利用の申し込みを行った際に、機器番号管理者が管理事業者へ利用車番号を交付するために機器番号を変換するためのプログラムと実質的に同じ変換アルゴリズムを有するものである。
【0060】
通信部43は、センターサーバ2との間で、SSL/TLSの暗号化やスクランブル等で機密性を高めたTCP/IP通信を行う。また、通信部43は、精算装置5との間でイーサネット(登録商標)規格等による通信を行う。
【0061】
DSRC通信部44は、アンテナ41を介して、5.8GHz帯の電波を車載器7との間で送受信するDSRC通信を行い、車載器7から機器番号を受信するように形成されている。
【0062】
路側サーバ4は、CPU、記憶装置、及び通信モジュール等で構成されたコンピュータであり、記憶装置に格納されたプログラムがCPUで実行されて、上述の変換部42、通信部43及びDSRC通信部44の各機能を奏するように構成されている。
【0063】
路側サーバ4は、駐車場に配置された精算装置5に接続されており、この精算装置5は、車両の駐車期間に基づいて駐車場料金を算出して決済料金を特定する精算部52と、路側サーバ4と通信を行う通信部53と、遮断機51の開閉を制御する遮断機制御部54を有する。
【0064】
車載器7は、機器番号が格納された記憶部71と、路側サーバ4とDSRC通信を行うDSRC通信部72とを有する。この車載器7は、記憶部71に格納された機器番号を用いて、DSRC通信部72の機能により、路側サーバ4との通信に必要な処理を行うように構成されている。
【0065】
携帯電話機8は、液晶表示装置等で形成され、操作に関する情報や、送受信する電子メールの内容や、ウェブサーバ3から配信されたウェブページの内容を画像及び文字で表示する表示部81と、ユーザに操作されて入力を受ける入力部82と、携帯電話機8の個体識別情報や、電子メールの送受信及びウェブページのアクセスにより生成及び取得した情報を格納する記憶部83と、音声通話を行うための通話部84と、携帯電話会社等に設置された図示しないゲートウェイサーバを介してインターネットNに接続し、電子メールの送受信及びウェブページへのアクセスを行う情報通信部85と、撮像素子及びレンズを含んで形成された撮像部86と、撮像部86で撮影されたQRコードを解析して情報を抽出するQRコード解析部87を有する。なお、撮像部86は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補性金属酸化膜半導体)撮像素子やCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)イメージセンサ等を用いて形成され、QRコードを認識及び解析する機能を有してればよい。この携帯電話機8は、記憶部83に格納された制御プログラムをCPUで実行し、通話や電子メールの送受信やウェブページのアクセスやQRコードの解析に必要な処理を行うように構成されている。
【0066】
以下、上記構成の決済システム1の動作を、図3A乃至3Dのフローチャートを参照しながら説明する。
【0067】
まず、車両6が駐車場の入口に接近すると、入口に設けられたセンサが車両6の進入を検知して車両検知信号を出力し、この車両検知信号は精算装置5に入力される。精算装置5は、車両検知信号の入力を受けると(ステップS1)、路側サーバ4に認証を要求する旨の認証要求情報を通信部53が送信する(ステップS2)。路側サーバ4の通信部43が認証要求情報を受信すると(ステップS3)、DSRC通信部44がアンテナ41を介して車載器7とDSRC通信を行い、車載器7の機器番号を受信する(ステップS4)。DSRC通信部44が車載器7の機器番号を受信すると、変換部42が機器番号を変換して利用車番号を生成する(ステップS5)。変換部42が生成した利用車番号を含む認証要求情報を、通信部43がセンターサーバ2に送信する(ステップS6)。利用車番号を含む認証要求情報を受信したセンターサーバ2は(ステップS7)、車載器認証部22により、データベース26に利用車番号が存在するか否かを確認して認証を行うと共に、IDの特定を行う(ステップS8)。車載器認証部22は、利用車番号がデータベース26に存在することを確認すると、認証成功の旨と、ユーザのIDと、車両情報を含む認証結果情報を生成し(ステップS9)、この認証結果情報を通信部24が路側サーバ4に送信する(ステップS10)。路側サーバ4の通信部43は、認証結果情報を受信すると、この認証結果情報を精算装置5に転送する(ステップS11)。精算装置5の通信部53が、認証成功の旨の認証結果情報を受信すると(ステップS12)、遮断機制御部54が遮断機51を制御してバーを開き動作させる(ステップS13)。遮断機51のバーが開くと、車両6が駐車場内に進入し、所定の駐車位置に駐車する。
【0068】
センターサーバ2は、ステップS9において、車載器認証部22による車載器7の認証が成功すると、メール送信部25が、ユーザの携帯電話機8のメールアドレスに宛てて、割引対象情報を含んだ電子メールを送信する(ステップS14)。携帯電話機8は、情報通信部85により、文字及び画像の少なくとも一方で形成された割引対象情報を含んだ電子メールを受信する(ステップS15)。
【0069】
ユーザが車両6を駐車した駐車場が併設された店舗でユーザが商品を購入する際、ユーザの操作により、携帯電話機8が表示部81に割引対象情報を表示し(ステップS16)、この割引対象情報を店舗の販売員に視認させる。この割引対象情報を視認した販売員は、ユーザが購入した商品の属する価格帯に対応するQRコードをユーザに提示する。ユーザは、提示されたQRコードを、携帯電話機8の撮像部86で撮像する(ステップS17)。撮像部86がQRコードを撮像すると、QRコード解析部87がQRコードからURLを抽出する(ステップS18)。ユーザから、入力部82の操作により、上記URLへのアクセス指示が入力されると(ステップS19)、情報通信部85が、URLと個体識別情報を含んだ配信要求情報をウェブサーバ3に送信する(ステップS20)。ウェブサーバ3は、携帯電話機8から配信要求情報を受信すると(ステップS21)、配信要求情報に含まれるURLに対応するHTML情報を携帯電話機8に送信する(ステップS22)。携帯電話機8は、情報通信部85がHTML情報を受信し(ステップS23)、このHTML情報で表されるウェブページを表示部81に表示する(ステップS24)。ウェブページには、パスワード入力部が含まれている。ユーザから、入力部82の操作により、パスワード入力部へパスワードが入力されると(ステップS25)、情報通信部85が、パスワードを含むパスワード情報をウェブサーバ3に送信する(ステップS26)。ウェブサーバ3は、パスワード情報を携帯電話機8から受信すると(ステップS27)、この情報から抽出したパスワードをセンターサーバ2に出力する(ステップS28)。更に、ウェブサーバ3は、携帯電話機8から受信した配信要求情報から個体識別情報を抽出し(ステップS29)、抽出した個体識別情報をセンターサーバ2に出力する(ステップS30)。センターサーバ2では、割引認証部21が、ウェブサーバ3から入力されたパスワードを、データベース26のユーザ情報格納部263に格納されたパスワードと照合し、ユーザの認証を行う(ステップS31)。また、割引認証部21が、ウェブサーバ3から入力された個体識別情報を、データベース26のユーザ情報格納部263に格納された個体識別情報と照合し、ユーザの認証を行う(ステップS32)。パスワードと個体識別情報の認証が成功すると(ステップS33)、割引制御部20が、携帯電話機8からウェブサーバ3へ送信された配信要求情報に含まれるURLから、ユーザの購入商品の価格帯を判別し(ステップS34)、この価格帯に対応して、駐車場の使用料金から割り引くべき割引額を特定する(ステップS35)。割引額が特定されると、データベース26の割引額格納部266に割引額を格納する(ステップS36)。
【0070】
ユーザが店舗で商品を購入し、携帯電話機8によるQRコードを用いたウェブサーバ3へのアクセスとパスワードの入力が完了した後、ユーザが駐車場から車両6を出庫させる。ユーザが車両6に乗車し、駐車場の出口に接近すると、出口に設けられたセンサが車両6を検知して車両検知信号を出力し、この車両検知信号が精算装置5に入力され(ステップS37)、精算装置5の通信部53が、路側サーバ4に認証を要求する旨の認証要求情報を送信する(ステップS38)。路側サーバ4の通信部43が認証要求情報を受信すると(ステップS39)、DSRC通信部44が車載器7とDSRC通信を行って機器番号を受信し(ステップS40)、変換部42が機器番号を変換して利用車番号を生成する(ステップS41)。変換部42が生成した利用車番号を含む認証要求情報を、通信部43がセンターサーバ2に送信し(ステップS42)、センターサーバ2が認証要求情報を受信すると(ステップS43)、車載器認証部22により、データベース26を参照して利用車番号の認証を行うと共に、IDの特定を行う(ステップS44)。利用車番号の認証が成功すると、車載器認証部22は、認証成功の旨と、ユーザのIDと、データベース26の割引額格納部266に格納された割引額とを含む出庫時認証結果情報を生成し(ステップS45)、この出庫時認証結果情報を通信部24が路側サーバ4に送信する(ステップS46)。路側サーバ4の通信部43は、出庫時認証結果情報を受信すると、この出庫時認証結果情報を精算装置5に転送する(ステップS47)。精算装置5の通信部53が出庫時認証結果情報を受信すると(ステップS48)、精算部52が、IDに紐付いて記憶された入庫時間から車両6の駐車時間を算出し、駐車時間に応じた駐車場料金を算出する(ステップS49)。精算部52は、上記駐車場料金から、出庫時認証結果情報に含まれる割引額を割り引いて、割引後の駐車場料金を特定する(ステップS50)。
【0071】
割引後の駐車場料金を特定すると、精算装置5の精算部52は、ID、決済金額、割引金額等を含む決済要求情報を生成し(ステップS51)、この決済要求情報を通信部53が路側サーバ4へ送信する(ステップS52)。
【0072】
路側サーバ4は、通信部24が決済要求情報を受信すると、この決済要求情報をセンターサーバ2に転送し(ステップS53)、センターサーバ2が決済要求情報を受信すると(ステップS54)、センターサーバ2の決済部23が、データベース26の決済情報格納部265に格納された決済情報に基づいて決済処理を行う。まず、決済部23は、決済情報に対応するクレジット会社の決済サーバ9に、決済金額とクレジット番号等を含む売上情報を送信する(ステップS55)。決済サーバ9は、売上情報が与信の範囲内である場合、ユーザのクレジット番号に対応して決済金額を含む売上情報を受け付けて精算し、ユーザの引き落とし口座から代金を引き落とすための処理を行う。決済サーバ9の処理が完了すると、決済が完了した旨の決済完了情報が決済サーバ9からセンターサーバ2に送信され、センターサーバ2が決済完了情報を受信すると(ステップS56)、路側サーバ4に決済完了情報を送信する(ステップS57)。路側サーバ4は、決済完了情報を受信すると(ステップS58)、この決済完了情報を精算装置5に転送し(ステップS59)、精算装置5が決済完了情報を受信すると(ステップS60)、遮断機制御部54により、出口の遮断機51のバーを開制御し(ステップS61)、遮断機51のバーが開いた出口から車両6が出庫する。車両6が出庫して遮断機51のバーが閉じると、車両が出庫した旨を示す出庫完了情報が精算装置5から路側サーバ4に送信され(ステップS62)、路側サーバはセンターサーバ2に出庫完了情報を転送する(ステップS63)。センターサーバ2は、出庫完了情報を受信すると(ステップS64)、メール送信部25により、駐車場料金の決済が完了した旨と、割引前の駐車場料金と、割引後の決済額等を含む決済報告情報を含んだ電子メールを、ユーザの携帯電話機8のメールアドレスに宛てて送信する(ステップS65)。携帯電話機8は、上記決済報告情報を含んだメールを受信し(ステップS66)、決済システム1の一連の決済処理が完了する。
【0073】
上述のように、本実施形態の決済システム1によれば、ユーザの携帯電話機8に割引対象情報を表示して駐車場の利用料金の割引を行う旨を示すと共に、割引額の根拠となる割引基本情報を、ユーザの携帯電話機8よりウェブサーバ3を通してセンターサーバ2に送信する。したがって、駐車場の利用と割引に関し、ユーザに駐車券や割引券の受け渡しを削除できるので、ユーザは、駐車場の利用と利用料金の割引及び決済を、チケットレスで行うことができる。また、ユーザの車両6は、入庫時と出庫時の夫々において、車載器7をアンテナ41を介して路側サーバ4とDSRC通信を行うことにより、キャッシュレス及び実質的にノンストップで、割引後の駐車場料金の決済を行うことができる。
【0074】
また、この決済システム1によれば、センターサーバ2と路側サーバ4と精算装置5との機能により、ユーザの携帯電話機8としては、一般的な電子メールの送受信機能と、インターネットNを通したウェブページへのアクセス機能を有するものを用いることができる。したがって、従来の精算システムのように、互いに情報通信が可能な車載器及び携帯端末や、店舗端末と情報通信が可能な携帯端末を用いる必要が無いので、既存の一般的な携帯電話機と車載器を有する多くのユーザに、店舗での商品の購入代金に応じた割引を考慮した駐車場料金の決済を行うことができる。
【0075】
また、この決済システム1によれば、車載器の利用車番号は、センターサーバ2と路側サーバ4との間のみで送受信すると共に、IDや車両情報はセンターサーバ2と路側サーバ4と精算装置5との間のみで送受信して、ユーザの携帯電話機8には利用車番号、ID及び車両情報のいずれも送信しない。したがって、個人情報に準じる利用車番号やIDや車両情報の漏洩を、従来の精算システムよりも有効に防止できる。
【0076】
また、従来、駐車場料金の割引を行うには、駐車場に設置された精算機に適合する割引チケットを準備する必要があったが、本実施形態の駐車場の決済システム1によれば、精算機の機種に依存することなく、駐車場料金の割引を行うことができる。
【0077】
なお、本実施形態の決済システム1では、車載器7から無線通信により受信した機器番号を、固有情報出力部としての変換部42で変換して、固有情報としての利用車番号を生成したが、固有情報としてIDを用いてもよく、また、固有情報として車載器7の機器番号を用いてもよく、或いは、固有情報としてDSRC通信時に車載器7から受信したWCN(Wireless Call Number)を用いてもよい。
【0078】
また、上記実施形態の決済システム1は、センターサーバ2を介してクレジット会社による信用販売で行ったが、ユーザのサービス利用料金の決済は、プリペイド口座や銀行口座からの引き落としによるデビット決済や、電子マネー会社との契約に基づくプリペイド又はポストペイ決済でもよい。或いは、管理事業者が直接プリペイド決済を行ってもよく、この場合、センターサーバに決済サーバの機能を持たせてもよく、或いは、管理事業者が決済サーバを別途設置してもよい。
【0079】
また、上記実施形態の決済システム1は、割引基本情報を携帯電話機8からウェブサーバ3に送信するため、QRコードを用いてウェブサーバ3のURLの入力を行ったが、他の2次元コードでURLを入力してもよい。
【0080】
また、割引基本情報を携帯電話機8からウェブサーバ3に送信する際、ユーザの認証のため、ウェブサーバ3から配信されたウェブページのパスワード入力部に、予め定められたパスワードを入力したが、ワンタイムパスワードでユーザ認証を行ってもよい。すなわち、所定時間毎に所定のアルゴリズムでパスワードを生成するパスワード生成機をユーザに渡しておくと共に、センターサーバ2の割引認証部21が上記パスワード生成機と同一のアルゴリズムで照合用のパスワードを生成し、ユーザが入力したパスワードを、照合用のパスワードと照合してユーザ認証を行ってもよい。
【0081】
また、割引基本情報を携帯電話機8からウェブサーバ3に送信する際、個体識別情報による携帯電話機8の認証と、パスワードによるユーザの認証を行ったが、個体識別情報による認証とパスワードによる認証とのいずれか一方のみを行ってもよい。
【0082】
また、割引基本情報を携帯電話機8からウェブサーバ3に送信する際、QRコードによりウェブサーバ3のURLを携帯電話機8に入力してウェブページにアクセスしたが、QRコードによりセンターサーバ2のメールサーバのメールアドレスを入力し、電子メールにより割引基本情報をセンターサーバ2に送信してもよい。この場合、商品又はサービスの価格に対応するメールアドレスを携帯電話機8に入力し、このメールアドレスに宛てて送信する電子メールを、割引基本情報とすることができる。ここで、上記メールアドレスは、同一のユーザ又は同一の駐車場の利用であっても、利用の都度、ランダムに異なるメールアドレスを生成し、割引基本情報としての電子メールが不正に繰り返して使用されることを防止するのが好ましい。
【0083】
また、割引基本情報は、携帯電話機8がQRコードを解析して得たURLを含む情報や、携帯電話機8がQRコードを解析して得たメールアドレスに宛てて送信する電子メールのほか、ユーザによって携帯電話機8に入力されるシリアル番号等であってもよい。割引基本情報がシリアル番号等である場合、次のような構成により、携帯端末としての携帯電話機8に割引基本情報を入力してセンターサーバ2へ送信する。
【0084】
まず、センターサーバ2の電子メール送信部25は、ユーザの携帯電話機8へ送信する電子メールに、割引対象情報のほか、シリアル番号を入力するためのウェブページのURLを包含させる。この電子メールを携帯電話機8で受信したユーザは、駐車場料金の割引対象となる店舗で商品やサービスを購入する際、携帯電話機8の表示部81に割引対象情報を表示する。これを視認した店舗の販売員は、ユーザの購入した商品又はサービスの属する価格帯に対応するシリアル番号をユーザに提示する。シリアル番号の提示は、シリアル番号が印刷された紙や樹脂シート等で行うほか、シリアル番号を表示するディスプレイ等で行う。シリアル番号は、数字及び英文字の少なくとも一方で形成したものを用いることができる。ユーザは、携帯電話機8で上記URLにアクセスし、このURLに対応して表示部81に表示されたシリアル番号の入力用のウェブページの入力領域に、上記提示されたシリアル番号を、携帯電話機8の入力部82を操作して入力する。ウェブサーバ3は、携帯電話機8から、上記ウェブページの入力領域に入力されたシリアル番号を受信し、センターサーバ2の割引制御部20は、ウェブサーバ3が受信したシリアル番号に基づいて、ユーザが購入した商品又はサービスの価格帯を認識する。こうして、携帯電話機8から受信するシリアル番号が、割引基本情報として機能する。上記ウェブサーバ3は、携帯電話機8からシリアル番号と共に受信した個体識別情報により、ユーザを識別する。ここで、携帯電話機8が上記URLに対応するシリアル番号の入力用のウェブページにアクセスする際、又は、携帯電話機8がシリアル番号を送信する際に、ユーザ認証を行うために、ユーザにパスワードの入力を要求するパスワード入力部を表示部81に表示させてもよい。この場合、ユーザが携帯電話機8の入力部82の操作によって入力したパスワードを、ウェブサーバ3を通してセンターサーバ2が受信し、割引認証部21でユーザの認証を行う。
【0085】
このように、割引基本情報としてシリアル番号を用いることにより、比較的簡易な構成により、ユーザの駐車場料金から割り引くべき割引額を検知することができる。ここで、上記ユーザの携帯電話機8へ送信する電子メールには、同一のユーザ又は同一の駐車場の利用であっても、利用の都度、ランダムに異なるURLを包含させ、不正に繰り返してアクセスを受けることを防止するのが好ましい。なお、センターサーバ2は、ユーザからURLのウェブページを通じてシリアル番号の入力を受けると、そのユーザが上記シリアル番号を使用済みである旨を記憶するので、シリアル番号の再入力によって割引処理が不正に実行させられることが無い。また、シリアル番号は、ワンタイムのシリアル番号を用いるのが好適である。ワンタイムのシリアル番号は、次のようにして生成及び照合することができる。まず、駐車場料金の割引対象となる商品又はサービスを提供する店舗に、シリアル番号生成機を設置する。このシリアル番号生成機は、所定のアルゴリズムに従って、商品又はサービスの購入代金に対応すると共に時系列において変動するシリアル番号を生成し、生成したシリアル番号を表示部に表示する。一方、センターサーバ2に、上記シリアル番号生成機と同じアルゴリズムで照合番号を生成する照合番号生成部を内蔵する。ユーザが上記店舗で商品又はサービスを購入したとき、その購入代金に応じて上記シリアル番号生成機が生成するシリアル番号がユーザに提示される。ユーザは、提示されたシリアル番号を携帯電話機8に入力し、ウェブサーバ3を通じてセンターサーバ2に送信される。センターサーバ2は、内蔵された照合番号生成部が生成する照合番号と、携帯電話機8から受信したシリアル番号とを照合することにより、シリアル番号に対応する割引額を検知することができる。このようなワンタイムのシリアル番号を用いる場合、シリアル番号を印刷した紙や樹脂シートを店舗に予め配布する必要が無いので、シリアル番号の不正使用を高度に防止することができる。
【0086】
また、割引基本情報としてシリアル番号を用いる場合、電子メールの送受信機能のみにより、次のようにして、携帯電話機8からセンターサーバ2にシリアル番号を送信することができる。すなわち、車両6の入庫時に車載器を認証する際、車載器の認証が成功した場合に、センターサーバ2が、駐車場に応じた返信用メールアドレスを含む電子メールを携帯電話機8に送信する。ここで、電子メールに包含させる返信用メールアドレスをランダムに異ならせることにより、その都度のみ電子メールを受け付けるのが好ましく、これにより、後に返信用メールアドレスへ不正な電子メールが配信される不都合を防止できる。ユーザは、携帯電話機8の入力部82を操作し、商品又はサービスの価格に応じて提示されたシリアル番号を電子メールに入力し、この電子メールを、上記返信用メールアドレスに宛てて送信する。送信された電子メールは、上記返信用メールアドレスが設定されたメールサーバに受信され、この電子メール中のシリアル番号が、メールサーバからセンターサーバ2に伝達されて、センターサーバ2の割引制御部20がシリアル番号に対応する割引額を検知する。この場合、メールサーバが割引基本情報取得部として機能する。このように、携帯電話機8がウェブページへのアクセス機能を有しなくても、電子メールの送受信機能を有していれば、割引基本情報をセンターサーバ2に送信することができる。
【0087】
また、本発明の課金システムは、割引後の駐車場料金を特定する機能を有していればよく、決済の方法は、センターサーバ2を介したクレジット決済には限定されず、課金システムで特定された割引後の駐車場料金を係員に現金で支払って決済を行ってもよい。また、課金システムで特定された割引後の駐車場料金を、精算装置5の現金投入口に投入して決済を行ってもよい。
【0088】
また、本発明の課金システムは、有料道路の料金収受に適用してもよい。すなわち、車載器を用いて有料道路の利用料金の収受を行う際、有料道路外の店舗の利用代金や、駐車場の利用代金に応じて有料道路の利用料金の割引を行う所謂路外パーキングエリアに適用することも可能である。さらに、有料道路の利用料金の額に応じて、他の利用機会における有料道路の利用料金の割引を行ったり、駐車場利用料金の割引を行ってもよい。
【0089】
また、本発明の課金システムの上記実施形態において、センターサーバ2は、割引基本情報を受信して割引額を検知したときに、駐車場の入庫履歴を照合して現実の駐車場の利用を確認し、割引の不正利用を防止してもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、ユーザの携帯電話機8を通じて割引基本情報を送信したが、駐車場の窓口に、インターネット接続が可能な端末装置を配置し、この端末装置を係員が操作することにより、ユーザの割引基本情報をセンターサーバ2に送信してもよい。この場合、端末装置を操作する係員が、表示部に表示された入力用のウェブページに、ユーザを特定する情報としてユーザの会員証に記載された会員番号等を入力すると供に、割引基本情報として、店舗でユーザが受け取ったレシート等に記載された金額や、上記実施形態と同様のシリアル番号を入力する。これらのユーザを特定する情報及び割引基本情報を、ウェブサーバ3を通してセンターサーバ2に送信することにより、チケットレス及びノンストップで駐車場料金の割引決済を行うことができる。
【0091】
また、上記実施形態において、携帯端末として、携帯電話機8以外に、メール送受信機能とインターネットアクセス機能を有するPDA(Personal Digital Assistant)及びパーソナルコンピュータ等の他のものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 決済システム
2 センターサーバ
3 ウェブサーバ
4 路側サーバ
5 精算装置
6 車両
7 車載器
8 携帯電話機
N インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器を搭載した車両又はそのユーザに提供されるサービスに関し、サービス利用代金を特定するための課金システムであって、
中央制御センターに設置された中央制御装置と、サービスの提供領域に設置された路側装置及び精算装置とを備え、
上記中央制御装置は、
路側装置から受信した車載器の固有情報に基づいて車載器の認証を行う認証部と、
認証部による車載器の認証が成功すると、車載器の固有情報に予め関連付けられたユーザの携帯端末のメールアドレスに宛てて、サービス利用料金の割引を行う旨を示す割引対象情報又は割引対象情報をユーザの携帯端末に表示するためのリンク情報を含んだ電子メールを送信するメール送信部と、
割引のための割引基本情報を取得する割引基本情報取得部と、
割引基本情報取得部が取得した割引基本情報に基づいて、サービス利用料金から割り引くべき金額を特定する割引額特定部と、
路側装置に、割引額特定部が特定した金額を含む割引情報を送信する割引情報送信部とを有し、
上記路側装置は、
車載器と無線通信を行い、車載器との間で情報を授受する無線通信部と、
無線通信部が車載器から受信した情報に基づいて、車載器の固有情報を出力する固有情報出力部と、
固有情報出力部が出力した固有情報を中央制御装置に送信する固有情報送信部と、
中央制御装置から割引情報を受信する割引情報受信部と、
割引情報受信部が受信した割引情報を、精算装置に送信する割引情報送信部とを有し、
上記精算装置は、
ユーザのサービスの利用状況に基づいて算出した割引前のサービス利用料金と、路側装置の割引情報送信部から受信した割引情報とに基づいて、ユーザに課金すべき割引後のサービス利用料金を算出する料金算出部を有することを特徴とする課金システム。
【請求項2】
請求項1に記載の課金システムにおいて、
上記中央制御装置の割引基本情報取得部は、割引基本情報の入力を受けるウェブページを配信するウェブページ配信部を含み、
上記ユーザの携帯端末は、上記ウェブページ配信部にアクセスし、割引基本情報をウェブページに入力することを特徴とする課金システム。
【請求項3】
請求項1に記載の課金システムにおいて、
上記中央制御装置の割引基本情報取得部は、割引基本情報が入力された電子メールを、ユーザの携帯端末から受信することを特徴とする課金システム。
【請求項4】
請求項1に記載の課金システムにおいて、
上記中央制御装置のメール送信部がユーザの携帯端末に送信する電子メールは、路側装置の設置されたサービス提供領域で提供されるサービスに対応した返信用メールアドレスを含み、
上記中央制御装置の割引基本情報取得部は、上記返信用メールアドレスに宛てて送信されて割引基本情報を含む電子メールを、ユーザの携帯端末から受信することを特徴とする課金システム。
【請求項5】
請求項4に記載の課金システムにおいて、
上記中央制御装置の割引基本情報取得部が受信する電子メールは、数字及び記号の少なくとも一方で表されてユーザに操作により入力された割引基本情報を含むことを特徴とする課金システム。
【請求項6】
請求項1に記載の課金システムにおいて、
上記割引基本情報は、路側装置の設置されたサービス提供領域に関連する所定のサービスに対してユーザが支払った金額を示す情報を含むことを特徴とする課金システム。
【請求項7】
請求項1に記載の課金システムにおいて、
上記精算装置は、料金算出部で算出された割引後のサービス利用料金を含む料金情報を中央制御装置に送信する料金情報送信部を有し、
上記中央制御装置は、精算装置から受信した料金情報に基づいて、ユーザに対応して予め定められた決済方法により決済を行う決済部を有することを特徴とする課金システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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