説明

調合エチレン/α−オレフィンエラストマーコンパンド

良好な未硬化(「生」)および硬化後物性を示す配合組成物を開示する。これらの組成物は、少なくとも1種の、実質的に線状であるエチレン/C3−C20α−オレフィンコポリマーか、或はまた、少なくとも1種の線状エチレン/C5−C20α−オレフィンコポリマーを含んでいる。これらの組成物の成形は容易であり、そしてこれらはワイヤーおよびケーブル用被覆材を製造するに特に有用性を示す。

【発明の詳細な説明】
調合エチレン/α−オレフィンエラストマーコンパンド 本出願は、1991年10月15日付けで出願した出願中の出願連続番号07/776,130、Shih−Yaw LaiN George W. Knight、John R.WilsonおよびJames C.Stevensの名前で1992年9月2日付けで出願した発明の名称が「弾性を示す実質的に線状であるオレフィンポリマー類(Elastic Substantially Linear Olefin Polymers)」の共出願、およびH.Craig Silvis、Daniel Murray、Thomas FiskeおよびStephen R.Betsoの名前で1992年9月15日付けで出願した発明の名称が「熱可塑材の衝撃改良(Impact Modification of Thermoplastics)」の共出願に関係しており、これらの各々の開示は引用することによって本明細書に組み入れられる。
本発明は、特定のエチレン/α−オレフィンポリマー類を含んでいる組成物に関する。これらの組成物は、改良された生強度を示し、より高い、充填材/可塑剤/オイル充填容量を有し、そして改良されたパーオキサイド硬化効率を示す。
これらのポリマー類は、 (A)特定の加工特性を示す、少なくとも1種の、実質的に線状であるエチレン/C3−C20α−オレフィンポリマー、または (B)α−オレフィンがC5−C20α−オレフィンである、少なくとも1種の線状エチレン/α−オレフィンポリマー、のどちらかを含んでいる。
上記組成物は、自動車分野、産業品、建築および建設、電気(例えばワイヤーおよびケーブル用被覆/絶縁)およびタイヤ製品で有用性を示す。
典型的には、ポリマー類と数多くの添加剤をコンパンド化して配合物を生じさせた後、最終製品の強度特性を増強する目的でこれらを架橋させる。この配合物の中に添加可能な添加剤には、その用途に応じて、オイル、充填材(例えばカーボンブラック、タルク、水酸化マグネシウムまたは炭酸カルシウムなど)、協力剤(co−agents) (例えばシアヌール酸トリアリルなど)および架橋剤(通常パーオキサイド)などが含まれる。これらの組成物には通常比較的高いパーセントで充填材が含まれていることから、最初にこれらの配合物をコンパンド化した後、その種々の材料が相溶し得るように、これらを完全混合する。ワイヤーおよびケーブルを被覆する操作の場合、これらの組成物でそのワイヤーを被覆した後、その組成物を安定にする目的でこれらを架橋させる。
この配合した組成物には、このポリマーの選択に応じて、しばしば互いに相容れない物性を持たせる必要がある。例えば、この組成物は、被覆後、ワイヤー上にとどまっているために「生強度(green strength)」を有する必要があり、そして、この組成物を硬化させるまでは、そのワイヤー上においてたわんだまたは変形を生じてはならない、さもなければ、このワイヤーに薄い場所が生じることでこの組成物の絶縁値が失われることになる。また、この組成物は硬化段階を受ける必要があり、そして、良好な物性、例えば引張り強度、伸びおよび100%モジュラス(100%歪みにおける応力)を維持する必要がある。
種々の成分を全部相溶させる目的で選択されるポリマーは、通常、エチレン/プロピレンゴム(EPM)またはエチレン/プロピレン/ジエンモノマーのターポリマー(EPDM)などの如きエラストマーである。密度が非常に低い上記種類のポリマー類は、比較的高価(伝統的な線状低密度ポリエチレンポリマー類に比較して)であり、そして非常に高い重量%でコモノマー(類)を含んでいる。
このポリマーの密度を低くすると、このポリマーの充填材およびオイルをより多い量で保持する能力が増大する。しかしながら、このポリマーの密度を下げると、このポリマーのモジュラスが低下し、この組成物全体が示す硬化前のモジュラス(100%モジュラス)または「生強度」が失われることで、満足されない性能を示すことになる。
EPMおよびEPDMの有効な代替物であると言われている新規なポリマー類に関して最近いくつかの発表があった。Union Carbide Chemicals and Plastics Inc.は、高価なEPMまたはEPDMゴムに置き換わり得る、コスト効率の高い新規な種類のポリオレフィンである登録商標Flexomer(商標)ポリオレフィンを開発したと、1990年に発表した。これらの新規なポリオレフィン類はゴムとポリエチレンとの間の溝を橋渡しするものであり、これらはその2つの値域の間のモジュラスを示すと述べられている。
テキサス州のダラスで催された1991年IEEE Power Engineerging Society Transmission and Distribution Conferenceにおいて、1991年9月22−27日に提示された論文(会報の185−190頁に印刷されている「電カケーブル用の新規な特製線状ポリマー類(SLP)」
)の中で、Exxon Chemical CompanyのMonica HendewerkおよびLawrence Spenadelは、ワイヤーおよびケーブル用被覆用途でExxoのExact(商標)ポリオレフィンポリマー類(これはシングルサイト触媒技術を用いて製造したと述べられている)が有効性を示すと報告している。この新規なポリマー類は線状で狭い分子量分布を示すと述べられており、また、このように狭い分子量分布を示すことから「メルトフラクチャー(melt fracture)が生ずる可能性」があると述べられている。この出版物の中では、Exact(商標)ポリマー類が入っている充填して架橋させた配合物の物性は、EPポリマー類が入っている配合物と優るとも劣らない。同様な傾向で、DirkG.F.Vander SandenおよびRichard W.Halle著「増強されたシーリング性能を与える新規な族の線状エチレンポリマー類」(1992年2月のTappi Journal)の中で、また、Exxon Chemical Companyは、ポリマーの分子量分布はそのポリマーのメルトインデックス比(即ちI10/I2)で説明されそしてシングルサイト触媒を用いて製造したその狭い分子量分布を示す新規なポリマー類は「官能性分枝もしくは長鎖分枝を全く含んでいない線状バックボーン樹脂」であると教示している。
より低いモジュラスを示す新規なポリマー類、例えばUnion Carbide製のFlexomer(商標)ポリオレフィン類またはExxon製のExact(商標)ポリマー類などの開発は、エラストマ一配合物市場に貢献するものであるが、「生強度」の如き物性を改良または維持しそしてまた架橋後特性、例えば引張り強度などを改良すると共に、かなりの充填量で種々の充填材と一緒にコンパンド化するのに高いコスト効率を示す、進歩した他のポリマー類に対する要求が継続して存在している。
ここに、通常の線状エチレン/プロペンまたはエチレン/1−ブテンコポリマー類のいずれかを用いて配合された組成物に比べて改良された生強度を示す、配合エラストマー組成物を見い出した。
これらの組成物は、 a)α−オレフィンがC3−C20α−オレフィンである、少なくとも1種の、実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマー、少なくとも1種の硬化剤、および少なくとも1種の充填材、または b)α−オレフィンがC5−C20α−オレフィンである、少なくとも1種の線状エチレン/α−オレフィンコポリマー、少なくとも1種の硬化剤、および少なくとも1種の充填材、を含んでいる。
この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類は、線状の低密度ポリエチレンを記述する目的で用いられているような伝統的な用語の意味では「線状(linear)」ポリマー類でなく、またこれらは、低密度ポリエチレンを記述する目的で用いられているような高度に分枝しているポリマー類ではない。しかしながら、驚くべきことに、この実質的に線状であるオレフィンポリマー類は、高度に分枝している低密度ポリエチレンと同様な加工能力を示すが、線状低密度ポリエチレンのじん性強度を示す。
この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマー類は、 a)メルトフロー比I10/I2が≧5.63であり、 b)方程式:Mw/Mn≦(I10/I2)−4.63で定義される子量分布Mw/Mnを有し、かつ c)表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度が、ほぼ同じI2とMw/Mnを有する線状オレフィンコポリマーの表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度より、少なくとも50%大きい、として特徴づけられる。
この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマー類はまた、 a)メルトフロー比I10/I2が≧5.63であり、 b)方程式:Mw/Mn≦(I10/I2)−4.63で定義される分子量分布Mw/Mnを有し、かつ c)プロセシング・インデックス(PI)が、ほぼ同じI2とMw/Mnを有する線状オレフィンコポリマーが示すPIの約70%に等しいか或はそれ以下である、として特徴づけられ得る。
また、本明細書で記述する組成物は、線状エチレン/α−オレフィンコポリマー類を含んでおり、ここで、このα−オレフィンはC4(即ち1−ブテン)より高級なα−オレフィンである。より高級なα−オレフィン類(例えばC5−C20)は、そのポリマー類が本明細書に記述する特性を示すようにこれらをエチレンと共重合させると、低級α−オレフィン類(C4およびC3)が与えるよりも良好な物性をその調合した組成物に与えることを見い出した。
別の面において、本発明は、配合して硬化させたエラストマー組成物の物性を改良する方法であり、これは、 (A)少なくとも1種の実質的に線状であるエチレン/C3−C20α−オレフィンコポリマーか、或はまた、少なくとも1種の線状エチレン/C5−C20α−オレフィンコポリマーと、少なくとも1種の硬化剤と、少なくとも1種の充填材とをブレンドして、未硬化組成物を生じさせ、 (B)(A)の未硬化組成物で構造物(structure)を生じさせ、そして (C)(B)の配合物を硬化させる、段階を含んでいる。
本明細書に記述する配合組成物は、ほぼ同じレベルで通常の線状エチレン/プロピレンコポリマー類または線状エチレン/1−ブテンコポリマー類を組み込んだ時に比較して、良好な生強度を示すと共に適切なモジュラスを維持する。
この言葉「実質的に線状である」エチレン/α−オレフィンポリマー類は、このポリマーのバックボーンが炭素1000個当たり0.01個の長鎖分枝から炭素1000個当たり3個の長鎖分枝、より好適には炭素1000個当たり0.01個の長鎖分枝から炭素1000個当たり1個の長鎖分枝、特別には炭素1000個当たり0.05個の長鎖分枝から炭素1000個当たり1個の長鎖分枝で置換されていることを意味している。
本明細書では、共に出願中の出願連続番号07/776,130およびShih−Yaw Lai、George W. Knight、John R.WilsonおよびJames C.Stevensの名前で1992年9月2日付けで出願した発明の名称が「弾性を示す実質的に線状であるオレフィンポリマー類(Elastic Substantially Linear Olefin Polymers)」の共出願と同様に、本発明の実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類およびインターポリマー類を定義する。本明細書で記述する組成物を生じさせるに有効な、実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類およびインターポリマー類は、一定のインターポリマー分子内にそのコモノマーがランダムに分布しておりそしてこのインターポリマー分子が本質的に全部そのインターポリマー内で同じエチレン/コモノマー比を示すものである。
本明細書では、少なくとも約6個の炭素から成る鎖長として長鎖分枝を定義し、6個よりも長い鎖長は、13C核磁気共鳴分光法を用いたのでは区別不可能である。この長鎖分枝は、そのポリマーバックボーンの長さとほぼ同じ長さを有している可能性がある。
13C核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて長鎖分枝を測定し、そしてRandallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29(2&3)、285−297頁)(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)を用いてそれの定量を行う。
本発明で用いられる実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類もしくはコポリマー類は、少なくとも1種のC3−C20α−オレフィンおよび/またはC4−C18ジオレフィン類とエチレンとのインターポリマーである。エチレンと1−オクテンとのインターポリマーが特に好適である。本明細書では、コポリマーまたはターポリマーなどを示す目的でこの言葉「インターポリマー」を用いる。即ち、エチレンと一緒に少なくとも1種の他のコモノマーを重合させてインターポリマーを製造する。
エチレンと一緒に有効に共重合する他の不飽和モノマー類には、例えばエチレン系不飽和モノマー類、共役もしくは非共役ジエン類、ポリエン類などが含まれる。好適なコモノマー類には、C3−C20α−オレフィン類、特にプロペン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンなどが含まれる。他の好適なモノマー類にはスチレン、ハロ置換もしくはアルキル置換されているスチレン類、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエンおよびナフテン系(例えばシクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテンなど)などが含まれる。
「線状エチレン/α−オレフィンコポリマー類」という用語は、このオレフィンコポリマーが長鎖分枝を含んでいないことを意味している。即ち、この線状エチレン/α−オレフィンコポリマーには、例えば均一分枝分布重合方法(例えば米国特許第3,645,992号(Elston))(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)で製造された線状の低密度ポリエチレンポリマー類または線状の高密度ポリエチレンポリマー類などと同様に長鎖分枝が存在しておらず、そしてこれらは、一定のインターポリマー分子内にそのコモノマーがランダムに分布しておりそして本質的に全部のインターポリマー分子がインターポリマー内で同じエチレン/コモノマー比を示すものである。
「線状エチレン/α−オレフィンポリマー類」という用語は、長鎖分枝を多数有していることが本分野の技術者に知られている高圧分枝(フリーラジカル重合)
ポリエチレンを表していない。この線状エチレン/αーオレフィンポリマー類は、短鎖分枝分布指数(short chain branching distribution index)(SCBDI)が約30%以上であるエチレン/α−オレフィンインターポリマーである。このα−オレフィンは、少なくとも1種のC5−C20α−オレフィン(例えば1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなど)であり、好適には、このα−オレフィン類の少なくとも1つが1−オクテンであるα−オレフィンである。この線状エチレン/α−オレフィンポリマー類は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した時、2つ以上の融点を示す伝統的なチーグラー(Ziegler)重合ポリマー類とは対照的に、単一融点を示す。
本発明で用いるに適した線状もしくは実質的に線状であるオレフィンポリマー類もしくはコポリマー類が示す密度(ASTM D−792に従って測定)は、一般に0.94g/cm3未満、好適には0.85g/cm3から0.9g/cm3、特に0.86g/cm3から0.89g/cm3である。本発明で用いる線状もしくは実質的に線状であるオレフィンポリマー類もしくはコポリマー類が示す密度は、一般に、コンパンド化して配合物を生じさせるオイルの種類および量に依存している。一般に、このオイル含有量を高くすればするほど、この配合物内で用いるコポリマーの密度が低くなる。
更に、この線状もしくは実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマーが示す密度は、その最終組成物の硬化特性に影響を与えるか或は制御することを見い出した。ポリマーの分子量を保持しそしてその用いるパーオキサイドのレベルをおおよそ一定にした場合、この線状もしくは実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマーの密度を高くすればするほど、その配合組成物の硬化速度(即ち、振動ディスクレオメトリー(Oscillating Disk Rheometry)(ODR)を用い、トルクを高くすることによって測定したデルタトルクをデルタ時で割った値)が高くなると共に、その硬化度合もしくは硬化度(架橋させたマトリックス/組成物の最終トルクまたは分子量を試験することによって測定)が高くなる。
一般に、この組成物の中に組み込む線状もしくは実質的に線状であるオレフィンポリマーの量は、この組成物の10から95重量%、好適にはこの組成物の20から80重量%、特にこの組成物の25から65重量%である。
便利には、ASTM D−1238、条件190℃/2.16kg(以前は「条件(E)」としてそしてまたI2として知られていた)に従うメルトインデックス測定値を用いて、本発明で用いるに適した線状もしくは実質的に線状であるオレフィンポリマー類の分子量を示す。メルトインデックスはポリマーの分子量に反比例する。従って、分子量が高くなればなるほどメルトインデックスが低くなるが、この関係は直線的でない。本明細書で有効な実質的に線状であるオレフィンポリマー類に関するメルトインデックスは一般に0.01グラム/10分(g/10分)から30g/10分、好適には0.05g/10分から10g/10分、特に0.1g/10分から5g/10分である。
便利には、ASTM D−1238、条件190℃/10kg(以前は「条件(N)」としてそしてまたI10として知られていた)に従うメルトインデックス測定値を用いて、この実質的に線状であるオレフィンポリマー類の分子量を特徴づけるに有効な別の測定値を示す。上記2つのメルトインデックス項の比率がメルトフロー比であり、これをI10/I2として表示する。一般に、線状に関するI10/I2は少なくとも5.63、好適には少なくとも7、特に少なくとも8以上である。本発明の組成物内で用いる実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類に関するI10/I2比は、長鎖分枝の度合を示している、即ちこのI10/I2比が高ければ高いほど、そのポリマー内の長鎖分枝量が多くなる。一般に、この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類が示すI10/I2比は、少なくとも約5.63、好適には少なくとも約7、特に少なくとも約8以上である。
これらの配合物にはまた、本出願者らが見い出したその増強された配合特性を妨害しない度合で、他の添加剤、例えば抗酸化剤[例えばヒンダードフェノール系(例えばCiba Geigy Corp.製Irganox(商標)1010など)、ホスファイト類(例えばIrgafos(商標)168など]、粘着(cling)添加剤(例えばPIBなど)、抗ブロック添加剤、顔料、充填材、カップリング剤[例えばビニル−トリス(2メトキシエトキシ)−シラン(Union Carbide製A−172など)]もまた含めることができる。
「レオロジカル・プロセシング・インデックス」(PI)は、ガスエクストルージヨンレオメーター(gas extrusion rheometer)(GER)で測定されたポリマーの見掛け粘度(kポイズで表す)である。このガスエクストルージヨンレオメーターは、「Polymer Engineering Science」、17巻、No.11、770頁(1977年)の中でM.Shida、R.N.ShroffおよびL.V. Cancioが記述していると共に、Van Nostrand Reinhold Co.が出版しているJohn Dealy著「Rheometers for MoltenPlastics」
、(1982年)の97−99頁に記述されており、これらの出版物両方はその全体が引用することによって本明細書に組み入れられる。入り口角度が180゜であり直径が0.0296インチの20:1 L/Dダイスを用い、5250から500psigの窒素圧力下、190℃の温度で全てのGER実験を実施する。本明細書で記述するポリマー類に関するPIは、GERにより2.15x106ダイン/cm2の見掛けせん断応力で測定した材料の見掛け粘度(kポイズで表す)である。本明細書で記述する新規なポリマー類のPIは、好ましくは、0.
01kポイズから50kポイズの範囲、好適には約15kポイズ以下である。本組成物内で用いる目的で本明細書で記述する新規な実質的に線状であるオレフィンポリマー類が示すPIは、ほぼ同じI2とMw/Mnにおいて、比較線状オレフィンポリマーが示すPIの約70%に等しいか或はそれ以下である。
メルトフラクチャー現象を識別する目的で、見掛けせん断速度に対する見掛けせん断応力のプロットを用いる。Ramamurthy「Journal of Rheology」、30(2)、337−357、1986に従い、特定の臨界流量以上で観察される押し出し物の不規則さは、幅広い意味で2つの主要な型に分類分けされ得る、即ち表面メルトフラクチャーとグロスメルトフラクチャーとに分類分けされ得る。
表面メルトフラクチャーは、明らかに安定した流れ条件下で起こり、そしてその詳細な範囲は、鏡面光沢の損失から、よりひどい「鮫肌」形態に至る。本開示では、押し出し物の表面粗さが40x倍率でのみ検出可能になる、押し出し物の光沢が失われ始める時であるとして、表面メルトフラクチャーが起こり始める時(OSMF)を特徴づける。この実質的に線状であるオレフィンポリマー類で表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度は、ほぼ同じI2とMw/Mnを有する線状オレフィンポリマーの表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度より、少なくとも50%大きい。グロスメルトフラクチャーは、不安定な流れ条件下で起こり、そしてその詳細な範囲は規則正しい歪み(粗い部分と滑らかな部分が交互に現れる、螺旋状など)から不規則な歪みに至る。本明細書では、GERで押し出した押し出し物が示す表面粗さおよび構造の変化を基準にして、表面メルトフラクチャーが起こり始める時(OSMF)およびグロスメルトフラクチャーが起こり始める時(OGMF)の臨界せん断速度を用いる。
コモノマー含有量が全コモノマーモル含有量中央値の50%内に入るポリマー分子の重量%として、短鎖分枝分布指数(SCBDI)(Short Chain Branch Distribution Index)または組成分布分枝指数(CDBI)(Composition Distribution Branch Index)を定義する。本技術分野で知られている技術で得られるデータ、例えばWild他著「Journal of Polymer Science,Poly.Phys.Ed」、20巻、441頁(1982年)または米国特許第4,798,081号(これらの両方の開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に記述されている如き、例えば昇温溶出分離法(temperature rising elution fractionation)(本明細書では「TREF」と省略する)から、ポリマーのCDBIが容易に計算される。本発明の線状および実質的に線状であるオレフィンポリマー類に関するSCBDIまたはCDBIは、好適には約30パーセント以上、特に約50パーセント以上である。
線状もしくは実質的に線状であるオレフィンポリマー類が示す分子量分布の測定 140℃のシステム温度で運転されている混合多孔度カラム(Polymer Laboratories 103、104、105および106)が3本備わっているWaters 150C高温クロマトグラフィー装置を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、この線状もしくは実質的に線状であるオレフィンインターポリマー生成物サンプルを分析する。その溶媒は1,2,4−トリクロロベンゼンであり、これを用い、サンプルが0.3重量%入っている溶液を注入用として調製する。その流量は1.0ミリリットル/分であり、そしてその注入量は200ミクロリットルである。
溶離体積と関連させて、狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer Laboratories製)を用いることで、分子量測定値を引き出す。下記の方程式: Mポリエチレン=a*(Mポリスチレン)bを引き出すに適切な、ポリエチレンとポリスチレンに関するMark−Houwink係数[William sおよびWordが「Journal of Polymer Science」、Polymer Letters、6巻(621)1968(引用することによって本明細書に組み入れられる)の中で記述している如き]を用いて、相当するポリエチレンの分子量を測定する。上記方程式においてa=0.4316およびb=1.0である。下記の式Mw=Rwi*Mi[式中、wiおよびMiは、GPCカラムから溶離して来るi番目の画分が示す、それぞれの重量および分子量である]に従う通常様式で、重量平均分子量Mwを計算する。
線状および実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類の両方に関するMw/Mnは、好適には1.5から2.5、特に約2である。
実質的に線状であるオレフィンポリマー類 適切な拘束幾何触媒(constrained geometrycatalysts)、好適には1990年7月3日付けで出願した米国特許出願連続番号
545,403、1991年9月12日付けで出願した米国特許出願連続番号758,654、1991年9月12日付けで出願した米国特許出願連続番号758,660および1991年6月24日付けで出願した米国特許出願連続番号720,041(これらの全ての教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に開示されている如き拘束幾何触媒を用いて、この実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類を製造する。米国特許第5,026,798号(これの教示は引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に教示されているモノシクロペンタジエニル遷移金属のオレフィン重合触媒もまた、反応条件が以下に明記する如くであることを条件として、本発明のポリマー類の製造で用いるに適切である。
本明細書で用いるに適切な共触媒には、これらに限定するものでないが、例えばポリマー状もしくはオリゴー一状のアルミノキサン類、特にメチルアルミノキサン、並びに不活性であり、適合性を示し、配位しない、イオンを生じる化合物などが含まれる。好適な共触媒は、配位しない不活性なホウ素化合物である。
実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマーの重合 本発明の実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンポリマー類を製造するに適した重合条件は、一般に、溶液重合方法で有効な条件であるが、本発明の出願はそれに限定するものでない。スラリーおよび気相重合方法もまた、適当な触媒および重合条件を用いることを条件として、有効であると考える。
本発明の実質的に線状であるオレフィンポリマー類およびコポリマー類の製造では、多重反応槽重合方法、例えば米国特許第3,914,342号(引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に開示されている重合方法なども使用可能である。この多重反応槽の1つの中で少なくとも1種の拘束幾何触媒を用い、これらの反応槽を直列もしくは並列運転することができる。
配合組成物 本明細書で開示する組成物には一般に下記が入っている:(全配合物重量の)
約10−95%の量で該コポリマー;少なくとも1種の(活性を示す(即ち特別な特性、例えば耐着火性などを与える)または不活性な(即ち主にコスト低下剤として用いられる))充填材(例えばカーボンブラックまたは鉱物充填材(例えば三水和アルミニウム(ATH)、炭酸カルシウムまたはケイ素処理粘土(例えばFreeport Kaolin製のWhitex粘土など)));任意の加工オイル(類)(例えばパラフィンオイル(例えばSun Oil Company製Sunpar(商標)2280など));任意の加工助剤(類)(例えばパラフィンワックス、ステアリン酸など);少なくとも1種の硬化剤(例えばパーオキサイド(例えばVULCUP(商標)40KE(Hercules,Inc.製のa,a’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−ジィソプロピルベンゼン)、Di−cup(商標)(Hercules,Inc.製の、ジクミルパーオキサイドが入っているシリーズの加硫剤および重合剤)、Lupersol(商標)(Atochem、North America製の(1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンまたはTrigonox(商標)(Noury Chemical Corporation製の有機パーオキサイド)など);他の硬化剤、例えば放射線硬化(β)を用いることでも、本明細書で開示する組成物を硬化させることができる);並びに任意の協力剤(例えばAmerican Cyanamide製のシアヌール酸トリアリル(TAC);SR−350N即ちSartomer Resins,Inc.製のトリメタアクリル酸トリメチルプロパンなど)など。
本明細書で開示する組成物ではまた、物性を失わせることなくパーオキサイドを低レベルで用いることができ、このことは特に、本配合物の中でパーオキサイドが通常コストが最も高い成分であることから有益である。
これらの配合物のコンパンド化は、通常の如何なる方法でも実施可能であり、これには、個々の成分を乾燥ブレンドした後、溶融混合するか、或は個別の押出し機(例えばバンバリーミキサー、ハーク(Haake)ミキサー、ブラベンダー内部ミキサーまたは2軸押出し機など)の中で前溶融混合することによる方法が含まれる。
本明細書に開示する調合物から有効な製造品または部品を生じさせる目的で使用可能な成形操作には数多くの種類があり、これらには、種々の射出成形方法(例えば1988年の10月中旬に発行された「Modern Plastics Encyclopedia/89」、65巻、No.11、264−268頁の中の「射出成形の序論」および270−271頁の「熱可塑材の射出成形」(これらの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に記述されている射出成形方法など)およびブロー成形方法(例えば1988年の10月中旬に発行された「Modern Plastics Encyclopedia/89」、65巻、No.11、217−218頁の中の「押し出しブロー成形」(この開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)の中に開示されているブロー成形方法など)、異形成形(profile extrusion)、カレンダー加工、引き抜き成形などが含まれる。製造品のいくつかには、自動車用ホース、単層屋根葺き材、並びにワイヤーおよびケーブルの電圧絶縁およびジャケットなどが含まれる。
実験 これらの実施例(特に明記しない限り)および比較実施例の各々で、ハークミキサー、バンバリーミキサーまたはブラベンダー内部ミキサーを用い、選択したポリマーが100部(全組成物の重量の)、充填材(カーボンブラックN550)が100部、加エオイル(Sunpar(商標)2280)が50部、パラフィンワックス加工助剤が5部、ステアリン酸加工助剤が1部、パーオキサイド(Hercules,Inc.が市販しているVULCUP 40KEN即ちBurgess KE粘土上40%のパーオキサイド)が8部、および協力剤(シアヌール酸トリアリル、TAC)が1.5部入っているブレンド物をコンパンド化する。予期されるサンプルサイズに従って上記ミキサーを選択した。各サンプルに関して、混合用ボールを予め約80℃に加熱した。充填材と加工オイルと助剤が入っている前混合物を製造した。この前混合物を最初に上記内部ミキサーに加え(前後を逆にした混合)、そして次に、その選択したポリマーを加えて、素練りした。次に、硬化用パッケージを加えた(注:上記前混合物と一緒にこの硬化用パッケージを加えることも可能である)。110℃のボール温度に到達するまでこの混合物全体を混合した後、このコンパンドをそのミキサーから落下させて取り出した。任意に、この調合物の外観が一貫性を示すようになるまで、この調合物をロールミルに通した。
未硬化状態および硬化させた状態の両方でこれらの配合物を試験する。260度Fで5分間圧縮成形することにより、未硬化調合物の成形を行ってプラークを生じさせた。この圧縮成形した加工品を鋳型の中に入れた後、350度Fで24分間、圧縮成形硬化させることによって、これらの配合物の硬化を行う。
種々の配合物に関して実施した試験には下記が含まれる:ODR(引用することによって本明細書に組み入れられるASTM D−2084−75に従い、エラストマーコンパンドに関する硬化尺度を与える);硬化させたコンパンドおよび未硬化コンパンドの応力−歪み;並びに硬化させたコンパンドに関する他の物性。最小ムーニートルク粘度を与えそしてスコーチおよびコンパンドの硬化特性を得る目的で使用できるせん断レオメーターを用いたムーニー粘度測定(引用することによって本明細書に組み入れられるASTM D 1646−89に従う)を、未硬化サンプルに関して行い、そしてまた、サンプルサイズが許す限り他の試験も実施した。
実施例1−3 実施例1−3では、上に記述した拘束幾何触媒技術を用いて連続方法で製造した、I2が約0.63g/10分であり密度が約0.8697g/cm3である、エチレン/1−オクテンコポリマーを用いる。この混ぜものなし(即ちコンパンド化も硬化も行っていない)ポリマー、並びにコンパンド化した配合物および硬化させた(パーオキサイドを100%(即ち8部)用い)配合物の物性を表1に示す。


* 100%歪みにおける応力 実施例1で記述したポリマーを用いると共に、そのパーオキサイドを90%そしてその配合したパーオキサイドを80%用いて、また、実施例2および3を実験した。このコンパンド化後の配合物および硬化後の配合物が示す物性を表2に示す。


* 100%歪みにおける応力 実施例1のコンパンド化後の「生」配合物および100%パーオキサイド硬化後組成物の両方に関する物性を、実施例2および3の90%および80%パーオキサイド硬化後組成物の物性と比較した結果、本発明の新規な配合物は、より低い量でパーオキサイドを用いても、未硬化(「生」)配合物および硬化後配合物両方の組成物で適切な物性を維持することができる。
実施例4および比較実施例5 実施例4には、上に記述した拘束幾何触媒技術を用いて連続重合方法で製造した、I2が約0.5g/10分であり密度が約0.8695g/cm3である、実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポリマーを組み込む。
比較実施例5には、Exxon Chemicalが市販しているVistalon(商標)707、即ちI2が約0.4g/10分であり密度が約0.87g/cm3である、エチレン/プロペンエラストマーを組み込む。
その結果として得られる未硬化および硬化後組成物の物性を表3に示す。


このデータに示されているように、本発明の組成物は、ほぼ同じメルトインデックスと密度を示す市販のエチレン/プロペンエラストマーを用いて製造した組成物よりも良好な未硬化および硬化後特性、特に引張り強度およびモジュラスを示す。
実施例6および比較実施例7 実施例6には、上に記述した拘束幾何触媒技術を用いて連続重合方法で製造した、I2が約0.63g/10分であり、Mw/Mnが約2であり、I10/I2が約7.8でありそして密度が約0.8697g/cm3である、実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポリマーを組み込む。
比較実施例7には、三井石油化学(Mitsui Petro Chemical)Exxon Chemical)が市販しているTafmer(商標)P−0680、即ちI2が約0.4g/10分であり、Mw/Mnが約2であり、I10/I2が約6.23でありそして密度が約0.867g/cm3である、線状エチレン/プロペンエラストマーを組み込む。
その結果として得られる未硬化および硬化後組成物の物性を表4に示す。


このデータに示されているように、本発明の組成物は、ほぼ同じメルトインデックス、密度およびMw/Mnを有するが異なるメルトフロー比(I10/I2)を示す線状エチレン/プロペンコポリマーを用いて製造した組成物よりも良好な未硬化および硬化後特性、特に引張り強度およびモジュラスを示す。
実施例8および比較実施例9 実施例8には、上に記述した拘束幾何触媒技術を用いて連続重合方法で製造した、I2が約1g/10分であり密度が約0.87g/cm3である、エチレン/プロペンコポリマーを組み込む。
比較実施例9には、Exxon Chemicalが市販しているVistalon(商標)7000、即ちI2が約0.06g/10分であり密度が約0.
875g/cm3である、エチレン/プロペン/ジエンエラストマーを組み込む。このVistalon(商標)7000の分子量は実施例8で用いたエチレン/プロペンコポリマーのそれよりもかなり高い(I2が低いことによって示される)が、実施例8の配合組成物が示す物性は比較実施例9の配合組成物のそれよりも良好であるか、或は少なくとも同等の良好さであることを注目されたい。
その結果として得られる未硬化および硬化後組成物の物性を表5に示す。


実施例10−12 実施例10には、上に記述した拘束幾何触媒技術を用いて連続重合方法で製造した、I2が約0.99g/10分であり、Mw/Mnが約1.917であり、I10/I2が約7.5でありそして密度が約0.871g/cm3である、実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポリマーを組み込む。
実施例11には、上に記述した拘束幾何触媒技術を用いて連続重合方法で製造した、I2が約0.88g/10分であり、Mw/Mnが約2.016であり、I10/I2が約8.0でありそして密度が約0.88g/cm3である、実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポリマーを組み込む。
実施例12には、上に記述した拘束幾何触媒技術を用いて連続重合方法で製造した、I2が約0.83g/10分であり、Mw/Mnが約2.201であり、I10/I2が約8.5でありそして密度が約0.902g/cm3である、実質的に線状であるエチレン/1−オクテンコポリマーを組み込む。
実施例10−12に関する組成物には、選択したポリマーを100部、ATH(三水和アルミニウム、即ちこの配合物のコストを下げると共に難燃剤として用いる鉱物充填材)を130部、VULCUP 40KE(硬化剤として用いる、Burgess KE粘土上40%のパーオキサイド)を7.5部、そしてTAC(シアヌール酸トリアリル、即ち硬化速度/状態を向上させる目的で用いる有機協力剤)を1.2部入れた。表6には、これらの組成物を硬化させた時の組成物が示す、ASTMD 2084−75に記述されている如き最小(ML)および最大(即ち高原部)トルク(MH)値およびこれらのトルク値間の差(最終硬化状態の尺度として使用)を、実施例10−12に関して示す。これらの実施例では、下記の方程式: Mc90=0.9(MH−ML) + ML)
を用いて、最終硬化状態の90%に到達する時間(T90)を定義した。T90はMc90に到達する時間である。実施例10−12に関するT90は約5.9分であった。


このデータに示されているように、この組成物内で用いる目的で選択したポリマーの密度を上昇させるにつれて、上記トルク差が増大する。このトルクが増大することは、その組成物の硬化特性が改良されることに相当している。従って、この選択したポリマーの密度を変化させることによって、この組成物の硬化過程を調節することができる。ポリマーの密度を上昇させるとまたトルク率も増大する。

【特許請求の範囲】
1. 少なくとも1種の、実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマー、少なくとも1種の硬化剤、および少なくとも1種の充填材、が入っている配合エラストマー組成物であって、該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーが、 a)メルトフロー比I10/I2が≧5.63であり、 b)方程式:Mw/Mn≦(I10/I2)−4.63で定義される分子量分布Mw/Mnを有し、かつ c)表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度が、ほぼ同じI2とMw/Mnを有する線状オレフィンコポリマーの表面メルトフラクチャーが起こり始める時の臨界せん断速度より、少なくとも50%大きい、ことを特徴とする、配合エラストマー組成物。
2. 少なくとも1種の、実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマー、少なくとも1種の硬化剤、および少なくとも1種の充填材、が入っている配合エラストマー組成物において、該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーが、 a)メルトフロ一比I10/I2が≧5.63であり、 b)方程式:Mw/Mn≦(I10/I2)−4.63で定義される分子量分布Mw/Mnを有し、かつ c)プロセシング・インデックス(PI)が、ほぼ同じ12とMw/Mnを有する線状オレフィンコポリマーが示すPIの約70%に等しいか或はそれ以下である、ことを特徴とする、配合エラストマー組成物。
3. 少なくとも1種の、実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマー、少なくとも1種の硬化剤、および少なくとも1種の充填材、が入っている配合エラストマー組成物であって、該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーが、 a)メルトフロー比I10/I2が≧5.63であり、かつ b)1.5から2.5の分子量分布Mw/Mnを示す、ことを特徴とする、配合エラストマー組成物。
4. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーのI10/I2が少なくとも約7である請求の範囲1、2または3の組成物。
5. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーのI10/I2が少なくとも約8である請求の範囲1、2または3の組成物。
6. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーがエチレンと少なくとも1種のC3−C20α−オレフィンとのコポリマーである請求の範囲1、2または3の組成物。
7. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーがエチレンと少なくとも1種のC4−C20α−オレフィンとのコポリマーである請求の範囲1、2または3の組成物。
8. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーがエチレンと少なくとも1種のC8−C20α−オレフィンとのコポリマーである請求の範囲1、2または3の組成物。
9. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーがエチレンと1−オクテンとのコポリマーである請求の範囲1、2または3の組成物。
10. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーがこのポリマーのバックボーンに沿って長鎖分枝を炭素1000個当たり0.01から3個有する請求の範囲1、2または3の組成物。
11. 請求の範囲1、2または3の組成物から製造された製造品。
12. 硬化させた調合エラストマー組成物の物性を改良する方法において、 (A)少なくとも1種の実質的に線状であるエチレン/C3−C20 α−オレフィンコポリマーと、少なくとも1種の硬化剤と、少なくとも1種の充填材とをブレンドして、未硬化組成物を生じさせ、 (B)(A)の未硬化組成物で造物を生じさせ、そして (C)(B)の構造物を硬化させる、段階を含む方法。
13. (A)の硬化剤がパーオキサイド硬化剤を含んでいる請求の範囲12の方法。
14. 該実質的に線状であるエチレン/α−オレフィンコポリマーが0.85g/cm3から0.92g/cm3の密度を示すように選択することによって該調合組成物の硬化速度を高くする段階を更に含む請求の範囲12の方法。
15. 硬化させた調合エラストマー組成物の物性を改良する方法において、 (A)少なくとも1種の線状エチレン/C5−C20α−オレフィンコポリマーと、少なくとも1種の硬化剤と、少なくとも1種の充填材とをブレンドして、未硬化組成物を生じさせ、 (B)(A)の未硬化組成物で構造物を生じさせ、そして (C)(B)の構造物を硬化させる、段階を含む方法。
16. (A)の硬化剤がパーオキサイド硬化剤を含んでいる請求の範囲15の方法。
17. 該線状エチレン/α−オレフィンコポリマーが0.85g/cm3から0.92g/cm3の密度を示すように選択することによって該配合組成物の硬化速度を高くする段階を更に含む請求の範囲16の方法。
18. 少なくとも1種の線状エチレン/α−オレフィンコポリマー、少なくとも1種の硬化剤、および少なくとも1種の充填材、が含まれている配合エラストマー組成物において、該α−オレフィンがC5−C20α−オレフィンである組成物。
19. 該α−オレフィン類の少なくとも1つが1−オクテンである請求の範囲18の組成物。
20. 請求の範囲18の組成物から製造された製造品。

【公表番号】特表平8−501342
【公表日】平成8年(1996)2月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−508211
【出願日】平成5年(1993)9月13日
【国際出願番号】PCT/US93/08587
【国際公開番号】WO94/06858
【国際公開日】平成6年(1994)3月31日
【出願人】
【氏名又は名称】ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー