説明

調理用把持具

【課題】
高温の調理具、食器や食物を把持する調理用把持具で、電子レンジや蒸し器内などの狭い空間にある把持する対象物を安全に、把持する手指の感覚が高温の食物及び調理具や食器に伝わり細かい作業に対応できる調理用把持具を提供すること。
【解決手段】
耐熱性があり、2本の指の把持力で容易に曲げる事ができる柔軟性と弾性を有する素材からなり、指カバーを形成可能な幅で、片手を広げたときの把持する親指の先端から把持する他方の指の先端までの長さを有する均等幅の帯状体であり、把持面である下面に熱伝導率を低減する凹凸を形成した基部と、該基部両端の上面に連設され上記把持する指を挿入保護するに適する深さを有する指カバーとから成る調理用把持具であって、該指カバーの指挿入口の周囲に上記把持する指を熱気や蒸気から護る熱遮断板を備えた事を特徴とする調理用把持具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の食物及び調理具や食器を安全に把持するために用いる調理用把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高温の食物を把持する場合には菜箸やトングを用い、また、高温の調理具や食器を持つ場合に耐熱樹脂製や綿を入れた布地製の手袋や鍋つかみなどを用いることが知られている。
【0003】
上記食物を把持する菜箸やトングは、広げた間隔より大きなものや重いものは持てず、柔らかいものやぬめりのあるものも持ち難い。過熱して更に加工する為に高熱の食物を抑えて固定するなどの作業にも対応できない。
【0004】
前記手袋や鍋つかみなどは高温の調理具や食器を握るまたは掴むと言う大まかな作業には役立っているが、断熱芯を入れて嵩高く形成されており、また、耐熱性樹脂を素材とした鍋つかみ類も習慣的に不要に嵩高く形成されているので把持する調理具や食器の周囲にゆとりがないと使えない。また、上記手袋や鍋つかみは嵩高いので、電子レンジや蒸し器内などの狭い空間で用いる場合に、該調理具や食器に盛られている食物に触れてしまい不衛生となるなどの問題があった。
また、嵩高い鍋つかみを介すると持つ手指の感覚が該調理具や食器に伝わらないので細かい作業に対応できないで該調理具や食器を持ち損ない滑り落とす恐れがあった。
【0005】
現在は、高温の食物を把持する用と高温の調理具や食器を把持する用の両方に役立つものはない。
【0006】
そこで、特許文献1に示されるように、柔軟性と断熱性がある略変形長円形状のシート状を呈した基材の中央部に空間部を設け該基材の両端に大小一対となる指挿入部を設けた鍋つかみが開示されている。
しかし、指挿入部の一方は複数の指を入れる形状であるので蒸し器に入れた高温の調理具や食器の周囲にゆとりがないと使えない。すなわち、嵩高い鍋つかみを介すると持つ手指の感覚が該調理具や食器に伝わらないので細かい作業に対応できず、高温の食物を直に把持することもできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−41442号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題を適切に解決する調理用把持具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するため耐熱性があり、片手の把持する2本の指の把持力で容易に曲げる事ができる柔軟性と該把持力を取り去る事により元の状態に回復する弾性を有する素材からなり、片手の、把持する親指及び把持する他方の指1本のみを挿入できる指カバーを形成可能な幅で、片手を広げた時の把持する親指の先端から把持する他方の指の先端までの長さを有する均等幅の帯状体であり、把持面である下面に熱伝導率を低減する凹凸を形成した基部と、該基部両端の上面に連設され上記把持する指を挿入保護するに適する深さを有する指カバーとから成る調理用把持具であって、該指カバーの指挿入口の周囲に上記把持する指を熱気や蒸気から護る熱遮断板を備えたことを特徴とする調理用把持具を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の調理用把持具は、第1に素材によりに弾性及び耐熱性に優れている。
【0011】
第2に基部及び指カバーは、指1本を挿入できる細さを有してなる均等幅のものであるので細かい作業に対応できる。第3に指カバーに挿入した片手の親指と他の指1本で把持するときに、帯状の基部は該把持する2本の指とその間の手掌に弧状を呈して添うことができるので作業が軽く楽に対象物以外の周囲の物に触れないで該対象物を把持することができる。
【0012】
第4に前記基部の把持面である下面に凹凸を形成して熱伝導率を低減し把持する指を熱から保護している。
【0013】
第5に指カバーの指挿入口の周囲には、熱遮断板が備えられているため、高温の食物及び調理具や食器を把持する指を熱源から発する熱気や蒸気から護り、電子レンジや蒸し器内などの狭い空間にある食器も安全に把持することができる。また、前記熱遮断板はつまみ代にもなり、該指カバーを把持する2本の指に容易に着脱することができる。
【0014】
上記調理用把持具は、上記指カバーに挿入した2本の指で高温の食物を直に把持できるので、例えば、高温の焼き茄子の皮をむいたり熱く蒸し上がった柔らかい食物やぬめりのある食物など菜箸やトングで扱い難い食物でも確実に把持して食器に盛り付けたり、食卓上で高温の鶏の丸焼きを切り分ける際にしっかり押さえることができる。
【0015】
上記調理用把持具は小型化されているので不要時の保管及び収納にスペースをとらない。構造が非常に簡単でコストが低廉である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】調理用把持具の正面図である。
【図2】調理用把持具の平面図である。
【図3】調理用把持具の断面図である。
【図4】熱遮断板により熱源よりの熱気を避けて食器を把持している状態を示す斜視図である。
【図5】電子レンジから取り出す際の調理用把持具の使用状態を示す斜視図である。
【図6】調理用把持具の指カバーの部分を示す斜視図である。
【図7】親指を挿入した指カバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
以下図示の調理用把持具について説明する。図中符号1は、調理用把持具である。調理用把持具1は素材に耐熱性に優れたシリコン樹脂を用いる。高温や低温の食物及び調理具や食器を把持する器具に適している。基部2は、図4及び図5に示すように片手の対象物を把持する2本の指6の把持力で容易に曲げる事ができる柔軟性と該把持力を取り去る事により元の状態に回復する弾性を有する。この弾性により図4に示すように帯状の基部2は該把持する2本の指6とその間の手掌に弧状を呈して添うことができるので作業が軽く楽に対象物以外の周囲の物に触れないで該対象物を把持することができる。該対象物を把持して、その把持を止めて開放するときに弾性により広がり適切な位置に戻ることができる。
【0018】
実例では、図4、基部2両端の上面2aに連設されている指カバー3は、図3に示されている該基部2と同素材でより薄手に形成されている。従って柔軟性が高まる。2本の指6で把持する感覚が高温の食物及び調理具や食器に伝わり細かい作業、例えば菜箸やトングで持ち難い柔らかいぬめりのある食物でも調理用把持具1は適切な手加減で対象物を損なわずに把持することができる。
また、該指カバー3は高い柔軟性があり指1本のみを挿入するのに適したサイズなので作業中に指から脱落することなく、十分コンパクトで蒸し器10いっぱいに食器9や食物を入れて加熱調理した場合でも該対象物以外の物に触れないで該対象物を把持することが出来る。
上記基部2両端の上面2aに形成された該指カバー3は左右対称である。該指カバー3左右それぞれに挿入する指は把持する2本の指の内どちらでもよい。
該基部2は、図1〜図3に示すような帯状体であって、片手を広げた時の把持する親指の先端から把持する他方の指の先端までの長さ200mm〜250mm及び均等幅25mm〜35mmである。図6及び図7に示すように、該基部2両端の上面2aには、把持する親指及び把持する他方の指1本のみを挿入する指カバー3が形成されている。該指カバー3の該基部2の先端から該指カバー3の挿入口4中央の深さイは20mm〜40mmで該挿入口4の端部の深さロは40mm〜50mmとする。該基部2両端の上面2aから該指カバー3の該挿入口4中央における開口高ハは指の太さより狭い5mm〜10mmとする。
【0019】
さらに、図4、図5及び図7に示すように、該指カバー3の該指挿入口4の周囲に対象物を把持する指6を熱気11や蒸気11から護る熱遮断板5を備える。図6及び図7に示すように、該熱遮断板5は両端を上記基部上面2aに発して該指カバー3の該指挿入口4の周囲に連設して該指カバー3の外面に対して鋭角に4mm〜6mmの幅をもって広がっている。従って、高温の食物及び調理具や食器を把持する指を熱源から発する熱気11や蒸気11から護り、電子レンジ13や蒸し器10内などの狭い空間にある把持対象物も安全に把持することができる。
該熱遮断板5は、該指6に該指カバー3を着脱するときのつまみ代ともなる。
【0020】
該基部2の下面は把持部7として熱伝導率を低減する凹凸8を設ける。
【符号の説明】
【0021】
1 調理用把持具
2 基部
2a 基部上面
3 指カバー
4 指挿入口
5 熱遮断板
6 指
7 把持部
8 凹凸
9 加熱した食器
10 蒸し器
11 熱源から発する熱気
12 食物
13 電子レンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性があり、片手の把持する2本の指の把持力で容易に曲げる事ができる柔軟性と該把持力を取り去る事により元の状態に回復する弾性を有する素材からなり、片手の、把持する親指及び把持する他方の指1本のみを挿入できる指カバーを形成可能な幅で、片手を広げた時の把持する親指の先端から把持する他方の指の先端までの長さを有する均等幅の帯状体であり、把持面である下面に熱伝導率を低減する凹凸を形成した基部と、該基部両端の上面に連設され上記把持する指を挿入保護するに適する深さを有する指カバーとから成る調理用把持具であって、該指カバーの指挿入口の周囲に上記把持する指を熱気や蒸気から護る熱遮断板を備えた事を特徴とする調理用把持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−245286(P2011−245286A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101259(P2011−101259)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(593050585)