説明

調節された重合応力のための機能性樹脂組成物

光重合性及び光開裂性の材料として記載されている新規組成物は、以下の式で記載され、モノマー内に1個または複数の重合性基を含有する。新規組成物は、光、熱または任意の他の好適なエネルギー源によって重合可能である。加えて、ハイブリッド反応または重合が同時にまたは順に促進されて、そのような新規モノマーの開裂性の性質により重力応力または他の力学的特性をより効果的に調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「新規組成物」に関する。詳細には、例えば、接着剤、セメント、複合体などとして使用するための光重合性組成物。特に、新規組成物の使用は、医療および/または歯科材料、ならびに重合応力の低下がその耐久性に重要である他の分野での用途に好適である。このことは、新規アリールケトンオキシム誘導体をベースとする光重合性及び光開裂性の樹脂を組み込むことによって達成される。新規組成物の使用により、ラジカル重合の動力学/速度およびこうして得られる重合応力が効果的に調節される。加えて、前記組成物は、なおさらなる性能向上のための新しい種類の反応または重合を順に引き起こす/開始する新規反応種を生成することもできる。
【背景技術】
【0002】
高架橋ポリマーは、複合体、発泡構造体、構造接着剤、電子パッケージ用の絶縁体などのマトリックスとして広く研究されている。高密架橋構造は、高弾性率、高破壊強度および耐溶剤性などの優れた力学的特性の基礎である。しかし、これらの材料は、網目構造形成プロセスの直接的な結果である高い圧縮応力によって不可逆的に損傷を受ける可能性もある。このような圧縮または重合応力は、制限されるポリマー鎖移動性と組み合わせて重合収縮によって生じる。結果として、内部応力集中が高まり、閉じ込められた応力が最後に解放されて、硬化材料のバルク内、界面領域、および周囲の構造を含めたあらゆる弱いゾーンに微視的な損傷をもたらす。この影響は、巨視的に、剥離、クラッキングなどとしてしばしば観察されている。このメカニズムは、現在の接着性による歯科用修復物において観察され、制限された収縮による重合応力が硬化の間に高まる。材料内の応力の量は修復物の構成にかなり依存する。さらに、機能的負荷の間に引き起こされる応力に起因する不均一な変形は、歯/複合体界面を損傷する可能性があり、歯構造への材料の接着の損失をもたらす。
【0003】
修復材料の改良により全重合応力の発生を低下させようと、また修復された界面での直接の応力集中を最小にしようと、種々のアプローチが研究されている。これらのアプローチとして、例えば、新規樹脂、新規樹脂重合化学、新規開始剤、新規充填剤、新規カップリング剤、新規硬化源およびプロセス、新規結合剤、ならびにさらに新規の修復法が挙げられる。低重合収縮および低収縮応力のための新規樹脂マトリックスの開発に大きな関心が向けられている。例えば、メタ(アクリレート)ベースの樹脂系、非メタ(アクリレート)樹脂系、および非ラジカルベースの樹脂系など種々の構造および幾何学的誘導体が試みられてきた。また、光硬化性について、低収縮歯科複合体、新規充填剤および充填剤の表面改質も広く研究されてきた。これらは、ナノメートルからマイクロメートルの範囲の種々の粒径サイズおよびサイズ分布の充填剤や、不規則または球状の異なる形状の充填剤などのアプローチを含む。また、それは、種々の組成物、例えば無機、有機(プレ重合されたもの)、または両方の組合せ(ハイブリッド)からなっていてよい。漸進的な改善はそれぞれのアプローチを用いて達成されているが、重合応力は依然として硬化網目構造系における最大の課題である。
【0004】
低収縮および低応力を対象とした殆ど全ての従来技術は、プレゲル期の間の収縮および応力形成を最小にすることに基づいている。しかし、硬化された網目構造系における収縮および応力の発生は、異なる2段階:プレゲル期およびポストゲル期で起こる。したがって、重合収縮を低下させるいくつかのアプローチは、ポストゲル段階における全応力の発生を制御するのに非効果的であることが見出された。硬化系内で増大する架橋密度によって引き起こされる不動性は、マトリックス内に応力集中の増大をもたらす。さらに悪いことに、閉じ込められた応力がゆっくりとした緩和によって最終的に取り除かれ、硬化された系においてさらなる損傷をもたらす可能性がある。したがって、新規アプローチは、ポストゲル段階において架橋系のこの「閉ざされた網目構造」の一部が選択的に破壊されて応力緩和を促進することができるとき、材料内の全応力集中が低減されるということに基づいている。このことは、本明細書に記載の一般的な分子組成物の光重合性及び光開裂性樹脂を用いて達成される。本願で記載のそのようなモノマー系は、発生した架橋網目構造がさらなる光エネルギーなどのさらなるエネルギー源の適用の際に「誘発」されて破壊し得る場合を除いて、任意の他の系のように重合され得る。架橋網目構造内への光開裂性モノマーの組み込みは、記載の新規組成物の固有の特徴であると考えられる。
【0005】
光開裂は、ペプチドの合成に利用される。新規ペプチドは、露光によるテンプレートの開裂によって既存のテンプレートからもたらされる。そのようなプロセスでは、化学汚染はない。別の例として、光分解で生成した酸および塩基を、光開裂反応の拡大用途として考えることもできる。これらの系において、酸性または塩基性成分は、系内の他の成分との望ましくない相互作用を回避するために一時的に潜在性であり、それらは、要求に応じて、例えば露光によって、放出されて、酸または塩基の生成を誘発し、次いで、二次反応のための通常の酸性または塩基性触媒として作用する。最近、例えば、MEMS、熱不安定性接着剤、熱スプレーコーティング、および除去可能な封入などにおける充填ポリマーの容易な除去などの用途に対して、ポリマー網目構造を解重合性または分解性にするために、熱的または光化学的に可逆性の材料が開発されている。さらに最近では、薬物送達効率を改善するために光開裂性デンドリマーが研究されている。
【0006】
以前の研究では、ポストゲル段階において部分的な選択的網目構造光開裂を経る新規樹脂組成物が関与して結果として重合応力の低下をもたらす新規アプローチを開示した。しかし、光開裂プロセスは、比較的短いUV波長(300nm以下)を必要とし、周囲組織に有害な影響を及ぼす可能性があるため、経口用途に実用的ではなかった。にもかかわらず、そのような光活性樹脂に由来する硬化性組成物から、著しく低い重合応力が示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0182148号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
効果的な光開裂方法によって、硬化された複合体内で重合応力をさらに低下させることが依然としてかなり望ましい。したがって、オキシム誘導体をベースとする光重合性及び光開裂性の部位からなり、従前の特許出願に記載されている以前の系と比較してより容易に開裂することができる新規樹脂組成物が研究された。
【化1】

スキームI:P&P樹脂およびそれから硬化された網目構造の図。
【0009】
理論的には、例えば熱開裂性または光不安定性の結合などのいくぶん環境の影響を受けやすい部位が重合性樹脂モノマー中に組み込まれた場合、得られるポリマー材料は熱開裂性または光開裂性になる。いくつかの常套的な光開始剤の化学は、このような開始剤が重合性光開始剤またはマクロ開始剤として研究されてきたことから、そのような光重合性及び光開裂性の樹脂モノマーを設計する基礎として採用することができた。しかし、これらの光開始剤のいずれもが、ポリマー鎖または網目構造を破壊可能にするようにポリマー鎖またはポリマー網目構造内に組み込まれていなかった。したがって、本発明の一目的は、開裂性ポリマー網目構造が構築され得るアプローチを開示することである。
【0010】
本研究の別の目的は、光開裂性または熱不安定性の部位を光重合性樹脂モノマーの一部として組み込むことによって、低収縮および低応力の次世代修復材料用の新規な樹脂系を開発することである。このような独特のアプローチによって、従来の重合網目構造を選択的に開裂することを可能にし、これにより、重合後に応力を分散させ、さらに「自己」応力緩和系がもたらされ、最後にはポリマー網目構造内での全応力集中を最小限にすることが予想されている。
【0011】
重合網目構造を光によるコマンドに応じた開裂性(光開裂性)にするために、光応答性部位は、特定のエネルギーを有するさらなる露光まで、通常の周囲の可視光暴露プロセスに対して安定であるはずであるポリマー骨格に組み入れられなければならない。特に、そのようなエネルギー源は、標準可視青色光以外の他の波長の光から構成され得る(400nm〜500nm)。多くの可能な選択肢の中で近UV光(300nm〜400nm)がある。さらに、オルト−ニトロベンジル基またはD−ヒドロキシアルキルフェノンに由来する化合物が、可視光によって光重合され、次いでさらなるUV光によって破壊可能になるように誘起され得る、この新規なクラスの樹脂モノマーの理想的な候補であるはずであると予想されている。
【0012】
本発明者らの米国特許出願(2004年5月/2006年6月)に開示した従来技術には、光重合性及び光開裂性の樹脂組成物を開示した。このアプローチは、ポストゲル段階において、後の選択的網目構造開裂によって重合応力を部分的に緩和する新規樹脂組成物を設計することを含む。このアプローチによれば、常套的なUV光開始剤、Irgacure2959、または4−(2−ヒドロキシル−エトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HP)を光重合性&光開裂性の樹脂の開発における中心要素として用いた。この樹脂を用いて、著しく低い重合応力を特徴とする種々の歯科組成物を考案した。しかし、光開裂を促進するのに必要とされるエネルギーが300nm(UV)の範囲にある。さらなる増感剤の組み込みが波長をより望ましい範囲にシフトさせるのに効果的であったが、別途のさらなる増感剤を必要とせずに光開裂をする改良された光開裂性樹脂をもたらすことが依然として必要とされている。
【0013】
従来技術である米国特許出願第2005/0182148号(2005年8月18日)は、光開裂のためにオルト−ニトロベンジル部位が組み込まれた光感受性組成物を開示した。しかし、この出願は、重合応力低下に関係するあらゆる特性および開裂プロセスから生成される他のいずれの反応種についても取り組んでいなかった。
【化2】

スキームIIa:D−ヒドロキシアルキルフェノンオキシムに対する一般的な反応経路
R、R’:H、直鎖状または分岐状のC1〜C18アルキルまたは−O−C1〜C18アルキル残基であり、1個もしくは複数のO原子、PG−Y−R’’−X−、または置換もしくは非置換のC6〜C18芳香族基によって中断されていてもよい;PG:重合性基; R’’:存在しないか、または直鎖状もしくは分岐状のC1〜C18アルキレン基であり、1個または複数のO原子によって中断されていてもよい;
R1、R2、R3、R4:H、直鎖状または分岐状のC1〜C18アルキルまたは−O−C1〜C18アルキル残基であり、1個もしくは複数のO原子、PG−Y−R’−X−、または置換もしくは非置換のC6〜C18芳香族基によって中断されていてもよい;
Xは、存在しないか、またはOもしくはSであり;Yは、存在しないか、またはO、S、エステル、エーテル、カーボネート、アミド、またはウレタン基である;
R5またはR6は、H、直鎖状または分岐状のC1〜C18アルキルまたは−O−C1〜C18アルキル残基であり、1個もしくは複数のO原子、PG−Y−R’−X−、または置換もしくは非置換のC6〜C18芳香族基によって中断されていてもよい;
【化3】

スキームIIb:HPベースのオキシム誘導体の一般的反応
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、光開裂性を改善し、全体的な機械的性能と全重合応力の低下とのバランスをよりよくするために、樹脂組成物をさらに改良することが望まれている。本発明において、新規光反応性の中心要素である、アリールケトンオキシムを開発した。典型的なオキシム誘導体、4−(2−ヒドロキシルエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンオキシム(HPO)を、スキームIIbに示すように、穏和な条件下で、ヒドロキシルアミンとの容易な反応によって、その親ケトン化合物、4−(2−ヒドロキシルエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HP)から調製した。
【0016】
そのようなオキシム誘導体をベースとする一般的な樹脂組成物を、スキームIIIにさらに示す。当業者が認識するように、このアプローチの実現可能性が、新規クラスの樹脂モノマーの迅速な研究を可能にする。したがって、種々の重合性及び光開裂性の樹脂モノマーが、スキームIV、VおよびVIに示すように、広範囲の組成物を用いて成功裏に調製されてきた。
【0017】
ジイソシアネートをHPOと反応させたとき、HPO内の3つの異なるヒドロキシル基の種々の反応性により、HPOをベースとする異なるP&P樹脂が得られた。さらに、以下(スキームIV、スキームVおよびスキームVI)に示すように、超分岐状P&P樹脂および非超分岐状P&P樹脂が適当な反応シーケンスによって効果的に調製され得ることが見出された。
【0018】
さらに、僅かに異なる反応シーケンスを用いて調製されたP&P樹脂によって、異なる光反応性が示された。スキームVおよびVIに示す非超分岐状P&P樹脂が、スキームIVに示す超分岐状バージョンに比べて光の全領域に対してより活性であったことが明らかであり、得られた比較的低い重合速度および全体としてより低い重合応力によって証明された。このことは、非超分岐状P&P樹脂における「裸の」Dヒドロキシル基の増加した光開裂性に起因し得る。
【化4】

スキームIII:D−ヒドロキシアルキルフェノンオキシム(HPO)をベースとする典型的な重合性及び光開裂性の樹脂モノマー
【化5】

スキームIV:D−ヒドロキシアルキルフェノンオキシム(HPO)をベースとする典型的な超分岐状樹脂モノマー
【化6】

スキームV:D−ヒドロキシアルキルフェノンオキシム(HPO)をベースとする典型的な非超分岐状樹脂モノマー
【化7】

スキームVI:D−ヒドロキシアルキルフェノンオキシム(HPO)をベースとする典型的な非超分岐状樹脂モノマー
【化8】

スキームVII:他の一般の□−ヒドロキシルアルキルフェノンオキシム誘導体
【化9】

スキームVIII:ベンゾインオキシム(BOX)をベースとする樹脂モノマー
【化10】

スキームIX:ベンゾインオキシム(BOX)をベースとする別の樹脂モノマー
【化11】

スキームX:ベンゾインオキシム(BOX)をベースとする別の樹脂モノマー
【0019】
本発明における別の重要な態様は、従来の光重合の後に光開裂性網目構造を形成するのに必要である活性成分(P&P樹脂)に加えて、他の光重合性樹脂を恒久的な網目構造の確立を助けるために組成物中にブレンドするべきであることである。典型的な活性化樹脂ブレンドは、w/wで約10〜90%のP&P樹脂と、w/wで90〜10%の、インサイチュで生成したUDMAおよび/またはTEGDMAなどの追加の希釈剤樹脂を含めた従来の樹脂とを含有する。加えて、一部の非ラジカル重合性樹脂、例えばエポキシ樹脂を、光開裂またはインサイチュのアミン生成の結果として典型的なアミン/エポキシ付加反応を経ることができる潜在反応性希釈剤としての新規P&P樹脂とブレンドすることもできる。したがって、追加のモノマーの添加またはブレンドは、得られる生成物の適当な粘度、より低い重合収縮、およびより低い重合応力を含めた全体的にバランスのとれた性能を良好な機械的強度を維持しながら確立するのを助ける。
【0020】
典型的な複合体は、得られる複合体のペーストの取り扱い性、稠度、および力学的特性のバランスをとるために、10〜40%(w/w)のそのような活性化樹脂ブレンドと共に、異なるサイズおよび/またはサイズ分布を有する広範な充填剤を含む、60%〜90%(w/w)の充填剤材料と併せて、配合されてよい。種々の充填剤を用いて、ヒュームドシリカ、ナノ充填剤、ポリマー粉末、無機充填剤、プレ重合充填剤、ハイブリッド充填剤などを含めた充填剤ブレンドを作製することができる。例えば、充填剤ブレンドは、以下のように構成されていてよい:シラン化BAFG(6〜9ミクロン)5〜20%(w/w);シラン化BAFG(0.6〜0.8ミクロン)30〜60%(w/w)およびAerosil OX−50ヒュームドシリカ(0.01〜0.04ミクロン)5〜15%(w/w)。好ましくは最大で80〜85%(w/w)の全充填剤ブレンドを樹脂マトリックスに投入することができる。
【0021】
新規な光開裂性及び光重合性の樹脂は、比較的低い重合速度を示し、光開裂しなくてもより低い重合応力の構築を可能にする。加えて、このHPO−ベースのP&P樹脂は、HP−ベースのP&P樹脂に比べてより容易な光開裂性を示した。予想外にも、本明細書に記載の系のさらなる利点は、インサイチュでのアミン生成であり、例えば、エポキシ樹脂、レッドクス開始剤の促進剤などによる付加などのアミン補助反応を続いて誘発する。
【0022】
さらに、従来の樹脂希釈剤および適当な充填剤組成物を含む樹脂およびペースト配合物もまた、低収縮および低応力の複合体を製造し、以下の特徴を有する:
−低い重合収縮(1.0〜2.0%、従来の複合体、2.8〜3.2%に比べて50%を超えて低い);
−極めて低い収縮応力(1.0〜1.5MPa、従来の複合体、2.5〜3.0MPaに比べて60〜70%を超えて低い);
−機械的強度および取り扱い/供給特性の優れたバランス;
−大部分の現在の結合系と親和性にするメタクリレート化学。
【0023】
加えて、これらの新規P&P樹脂によって示される他の物理的特性により、標準のP&P系によっては調節され得ない広範な物理的および力学的特性をもたらした。これらとして、必ずしも限定されないが、以下が挙げられる:
−熱、光または酸性開裂
−インサイチュでのアミン生成、これによりラジカル重合に加えてハイブリッド重合を促進し、過酸化物とのレドックス反応のための還元剤、アミンを生成するこの特有の可能性によって一成分の、二重硬化組成物を配合することができる。
−より良好な取り扱いおよびキャビティ外形へのより良好な適合のために複合体粘度の調整を可能にする前処理。
【0024】
一般に、重合応力および機械的強度からの相殺効果が存在することにより機械的強度を高めることは、架橋密度の増大による重合応力の増大を通常は伴う。本発明の一目的は、重合応力と力学的特性とのバランスをよりよくする方法を提供することである。光重合の間の光開裂は、経路が共有結合を再配列するのを可能にする。このことは、より大きいスケールの分子の移動性が厳密に制限されるゲル化網目構造に特に重要である。
【0025】
従来技術において、D−ヒドロキシアルキルフェノンは4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−プロパノン、HPであり、これを1または2工程反応によってメタクリレート、アクリレート、ビニルエーテルなどに組み合わせる。種々の光重合性HP誘導体を、エステル−エステル、エステル−カーボネート、カーボネート−カーボネートおよびウレタン−ウレタン結合を介して調製した。これらの中でも、ウレタン−ウレタン結合が、最もしっかりとしたプロセス、非溶剤プロセスにおいて容易な反応制御、を提供する。加えて、新規樹脂モノマーを、得られる複合体の全体的な性能を最大にするために、BisGMA、TEGDMA、UDMAなど他の従来の樹脂モノマー、または大環状樹脂の実験樹脂モノマーと共に様々な比率で配合した。以下の実施例に示すように、顕著な低収縮、低応力および優れた力学的特性、ならびに良好な取り扱い特性は、この新規クラスのP&P樹脂モノマーをベースとするそれらの複合体によって示された。
【0026】
HPは、上記の効果的な光開裂のための光反応性をさらに改善するために、改良されなければならない。ここで、HPからHPOへのそのような改良のための、実施例Iおよびスキーム1に記載の容易な方法を開発した。加えて、実施例に示すように、HPOモノマーをベースとする一連のP&PO樹脂を、HP−ベースのP&P樹脂と本質的に同じプロセスを用いて容易に調製する。イソシアネートの性質によっては、1または2工程反応を利用して新規P&P樹脂を調製した。IEMは最も単純な重合性イソシアネートである。残念なことに、その毒性が、生物医学的材料としてのその適用を制限している。こうして、本発明者らは、光重合性及び光開裂性の樹脂を作製する単純な2工程プロセスを成功裏に開発した:工程Iでは、HPOをジイソシアネートでキャップして、十分に制御されたシーケンスで新規ジイソシアネートを形成し、次いで、これを、工程IIの反応として示すように、ヒドロキシル基を含有する任意の(メタ)アクリレートとさらに反応させた。この手法は、1つの反応器内における反応の実施を可能にするだけでなく、IEMを回避する。
【0027】
好適なジイソシアネートとして、アルキレン基が2〜約18個の炭素原子に及ぶアルキレンジイソシアネート、およびアリーレンおよび置換アリーレンジイソシアネートおよびポリイソシアネートが挙げられる。したがって、例示的なジイソシアネートおよびポリイソシアネートは、限定されないが:
【0028】
アルキレンジイソシアネート類:エチレンジイソシアネート;プロピレンジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;ペンタメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット;ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(イソシアヌレート);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;ウンデカメチレンジイソシアネート;ドデカメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI);水素化ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)
【0029】
アリーレンジイソシアネート類:キシリレン−1,4−ジイソシアネート(p−XDI);キシリレン−1,3−ジイソシアネート(m−XDI);m−フェニレンジイソシアネート;p−フェニレンジイソシアネート;トルエン−2,6−ジイソシアネート(2,6−TDI);トルエン−2,4−ジイソシアネート(2,4−TDI);メシチレンジイソシアネート;ジュリレンジイソシアネート;ベンジデンジイソシアネート;1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート;ナフチレン−1,4−ジイソシアネート;1,2,4−ベンゼントリイソシアネート;4,4’−ジイソシアナートジフェニルメタン(MDI);3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナートジフェニルメタン;4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート;ジアニシジンジイソシアネート;m−テトラメチレンキシレンジイソシアネート(TMXDI)、が挙げられる。
【0030】
また、ヒドロキシル基を含有する好適な(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;3−(アクリルオキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノヒドロキシル(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールモノヒドロキシル(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノヒドロキシル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノヒドロキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0031】
図1は、ADA/NIST張力計によって測定し、標準のQHT青色光または白色光(広範囲のスペクトルおよび強度についてUVフィルタを除去した)によって硬化したときの重合応力を示す。HPOをベースとする新規P&P樹脂は、その構造に関わらず、超分岐または非超分岐型IまたはIIの全てが、TPH樹脂などの従来の樹脂と比較したとき、低下した重合応力をもたらすよりゆっくりとした硬化速度を示す。硬化重合が、2つのパート、光照射の間に生じた応力(I)および光照射後に生じた応力(PI)、に分かれるとき、TPH樹脂などの従来の樹脂系と比較して、僅かに低い割合の全応力が、新規P&P樹脂系内で、該新規樹脂が青色光によって硬化されるパートIの間に生じる(例えば70%対80%)。しかし、該新規樹脂が白色光(UV光が含まれている、表I)によって硬化されるとき、新規P&P樹脂対従来の樹脂について、光照射の間および後で大幅に異なる割合の全応力が生じる。これにより、P&P樹脂を用いると40〜60%の全応力しか生じないが、TPH樹脂系については70%超の全応力が生じた。P&P樹脂およびTPH樹脂について青色光および白色光に対するこのように劇的に異なる応答により、P&P樹脂が特別な光感受性を持つことが確認され、このことが、同じ光応答性であるが異なる大きさで示されることから、相乗効果としての青色光硬化での低い重合応力を説明する。
【0032】
驚くべきことに、HPOをベースとするタイプIの非超分岐P&P樹脂が、その組成にもよるが(例えばHPMA−HDI−HPO−HDI−HPMA)、NMR分析によって確認された劇的な粘度低下によって証明されるように、室温でより容易に分解可能である(熱開裂の1種)ことが見出された。また、そのような分子開裂が、複合体の稠度またはレオロジー特性において大幅な変化をもたらすだけでなく、重合速度ならびに全体の物理的および力学的特性にも影響を及ぼすことも見出した。これらは、熱開裂プロセスの間にインサイチュで生成した遊離アミンの相当な存在に起因する。
【0033】
一方で、一部の非ラジカル重合性樹脂、例えばエポキシ樹脂が、このP&P樹脂の存在下で重合され得ることも見出された。このことは、表IIIに示すように、経時後の複合体系の力学的特性の大幅な向上によって証明された。エポキシ樹脂の重合は、上記のように、開裂の間に生成したアミンに起因する。さらに、同様の力学的特性の向上は、任意の他の従来の樹脂/エポキシ配合物をベースとする複合体系からは見出せない。なぜなら、この場合にはアミンが生成されないからである。
【0034】
開裂性樹脂系からの他の所見は、経時後のP&P樹脂をいずれのタイプの光照射によっても重合することができなくても、経時後のP&P樹脂をBPOの添加のみによって重合することができるということである。このことは、一成分の、二重硬化系が本発明から生じ得ることを示唆している。
【0035】
ここで、本発明の範囲を限定しない以下の実施例を参照して本発明を詳細に説明する。
【表1】



【表2】



【表3】



【実施例】
【0036】
実施例1:HPOの調製
35℃の加熱された水を反応の間に循環させた、滴下漏斗、機械攪拌機、乾燥空気入口および水冷コンデンサを備えた1000mlのジャケット付の円筒形樹脂製ケトルに、650mlの95%エタノール、110.0グラムのIrgacure3959(HP)および60.0グラムのNHOH.HClを投入した。溶液が透明になった後で、120.0グラムのNaOAcを系内に分割してゆっくりと添加した。すぐに濁り、反応プロセスを通して濁った状態であり、これを35℃で2〜3時間継続した。次いで、これを、溶液を保温しながら濾過した。希HCl水溶液を冷却された濾液内に添加した。大部分のエタノールをRotavaporによって除去した。すぐに残渣から白色結晶が生じた。結晶粉末を濾過して取取し、次いで空気乾燥させ、50℃で一晩真空乾燥させた。95%を超える収率を得た。DMSO−dにおけるH NMR:δ10.45ppm(s、1H)、δ7.16−7.22ppmおよびδ6.90−6.96(d、4H)、δ3.72−3.78およびδ3.98−4.04ppm(t、4H)およびδ1.24(s、6H)。DMSO−dにおける13C NMR:それぞれ、δ161.715、158.566、130.667、126.399、113.986、72.267、70.036、60.256、29.212ppm。T:131.6℃(DSC)
【0037】
実施例2:(IEM)−HPO−IEM(AO1−16)の付加物の調製
機械攪拌機、乾燥空気入口および水冷コンデンサを備えた250mlの三口フラスコを油浴中に浸漬させ、これに、55.8グラムのIEM、0.15グラムのDBTDLおよび0.188グラムのBHTを投入した。次いで、24.0グラムのHPOを、分割して4時間にわたって投入した。反応物を油浴温度で35℃に保った。反応を2時間行った後、11.5gグラムのHPMAを添加した。この温度でさらに20時間反応を実施した。全収率は95%であった。
【0038】
実施例3:(HPMA−HMD)−HPO−HMDI−HPMA(AO1−30)の付加物の調製
粉末添加漏斗、機械攪拌機、乾燥空気入口および水冷コンデンサを備えた500mlの三口フラスコを油浴に浸漬させ、これに、95.2グラムのHMDIおよび0.21グラムのDBTDLを投入した。次いで、篩にかけた30.1グラムのHPOを分割してフラスコに3時間かけてゆっくりと添加した。このゆっくりとした添加は、HMDI−HPO−HMDIの所望のシーケンスを台無しにする場合がある反応熱の急激な上昇を回避した。反応を35℃で一晩実施した。次いで0.12グラムのBHTを系内に投入した。反応系内に乾燥空気を連続してパージしながら、112.5グラムのHPMAを2時間かけて滴下漏斗を介してフラスコに添加した。HEMAの添加後、反応を35℃でさらに3〜4時間進行させた。次いで、25.0グラムのTEGDMAを希釈剤として系内に添加し、約2時間混合した後に排出した。全収率は約97%であった。樹脂は、20℃で160Pa.sの粘度を有した。
【0039】
実施例4:HEMA−TMDI−HPO−TMDI−HEMA(AO1−76)の付加物の調製
35℃の加熱された水を反応の間に循環させた、粉末添加漏斗、機械攪拌機、乾燥空気入口および水冷コンデンサを備えた500mlのジャケット付の円筒形樹脂製ケトルに、96.8グラムのTMDI、0.10グラムのBHT、および0.22グラムのDBTDLを投入した。66.0グラムのHPMAを、滴下漏斗を介して系内に2時間以内に添加した。この温度でさらに2時間反応させた後、篩にかけた52.3グラムのHPOを分割して系内に1.5時間かけてゆっくりと供給した。最後に40.0グラムのTEGDMAを2時間後に系内に添加し、次いで混合して97%の収率で排出した。この樹脂は、20℃で1600Pa.sの粘度を示した。
【0040】
実施例5:HEMA−TMDI−HPO−TMDI−HEMA(AO1−97)の付加物の調製
35℃の加熱された水を反応の間に循環させた、粉末添加漏斗、機械攪拌機、乾燥空気入口および水冷コンデンサを備えた500mlのジャケット付の円筒形樹脂製ケトルに、96.8グラムのTMDI、0.10グラムのBHT、および0.22グラムのDBTDLを投入した。66.3グラムのHPMAを、滴下漏斗を介して系内に3時間かけて添加した。この温度でさらに1時間反応させた後、篩にかけた35.1グラムのHPOを分割して系内に1時間かけてゆっくりと供給した。最後に、40.0グラムのTEGDMAを1時間後に系内に添加し、次いで24.0グラムのHEMAを1時間かけて系内に滴加した。これを35℃で一晩混合し、97%の収率で排出した。この樹脂は、20℃で95Pa.sの粘度を有した。
【0041】
実施例6:HPAMA−TMDI−HPO−TMDI−HPAMA(XJ6−53)の付加物の調製
35℃の加熱された水を反応の間に循環させた、粉末添加漏斗、機械攪拌機、乾燥空気入口および水冷コンデンサを備えた500mlのジャケット付の円筒形樹脂製ケトルに、96.8グラムのTMDI、0.10グラムのBHT、および0.22グラムのDBTDLを投入した。99.0グラムのHPAMAを、滴下漏斗を介して系内に6時間以内に添加した。この温度でさらに一晩反応させた後、40.0グラムのTEGDMAを、この系内に投入した。次いで、篩にかけた35.2グラムのHPOを分割して系内に2時間かけてゆっくりと供給した。最後に、24.0グラムのHEMAを2時間かけて系内に滴加した。これを35℃で一晩混合し、97%の収率で排出した。粘度は、20℃で195Pa.sであった。
【0042】
比較例1:HEMA−TMDI−BOX−TMDI−HEMA(XJ6−64)の付加物の調製
35℃の加熱された水を反応の間に循環させた、粉末添加漏斗、機械攪拌機、乾燥空気入口および水冷コンデンサを備えた1000mlのジャケット付の円筒形樹脂製ケトルに、193.5グラムのTMDI、0.15グラムのBHT、および0.39グラムのDBTDLを投入した。132.6グラムのHPMAを、滴下漏斗を介して系内に8時間以内に添加した。この温度でさらに一晩反応させた後、篩にかけた68.2グラムのベンゾインオキシム(BOX)を分割して系内に1.5時間かけてゆっくりと添加した。この温度でさらに3時間反応を進行させた後、80グラムのTEGDMAを系内に添加し、次いで、49.2グラムのHEMAをさらに2時間かけて添加した後に、反応を停止させた。515グラムの透明な樹脂が98%の収率で得られた。室温で1週間後、樹脂が部分的にゲル化していることが分かり、さらに配合させて任意のペーストを作製することができなかった。
【0043】
樹脂配合例1〜11
典型的な活性化された樹脂組成物の例を表Iに記載のように配合した。追加の樹脂組成物もまた表IIに列挙のように配合し、異なるタイプのP&P樹脂を、種々の他の重合性であるが非開裂性の樹脂、例えばTEGDMA、または他の非ラジカル重合性樹脂、例えばEHECHエポキシ樹脂と、その光カチオン性開始剤、UVL6979(それぞれ、AO1−79、80、81、82、AOl−101、102、103、およびAO2−56、57、58、59を参照)の存在/非存在下で配合した。
【0044】
樹脂配合物の比較例1〜4
また、従来の樹脂をベースとする比較の樹脂組成物、ウレタン改変BisGMA(TPH樹脂)をP&P樹脂について上記した組成物と同様の方法で配合し、同様に表Iに列挙した(AO1−201、202、203および204)。
【0045】
複合体配合例1〜11
したがって、典型的な複合体組成物例を表IIIに記載のように配合した(それぞれ、AO1−84、85、86、87、AO1−105、106、107、AO2−60、61、62、および63)。さらに、これらのペーストの一部を、これらの新規P&P樹脂について経時誘発特性を実証するために、室温で数週間の経時後に評価した。
【0046】
複合体配合物の比較例1〜4
また、複合体の比較例を、したがって、表IIIにも記載のようにさらに配合した(それぞれ、AO2−2、3、4および5)。同様に、これらの非開裂性の系に対する経時効果と新規P&P樹脂ベースの系に対する経時効果との直接比較を行うために、これらのペーストの一部を室温で数週間の経時後に評価した。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式に記載の光重合性のモノマーおよび/またはオリゴマーを形成するための、種々の結合を介し、反応性の光感受性部位に由来する光重合性及び光開裂性の樹脂モノマーであって、それぞれに少なくとも1種の重合性基を含有する樹脂モノマー;
【化1】

R、R’:H、直鎖状または分岐状のC1〜C18アルキルまたは−O−C1〜C18アルキル残基であり、1個もしくは複数のO原子、PG−Y−R’’−X−、または置換もしくは非置換のC6〜C18芳香族基によって中断されていてもよい;PG:重合性基;
R’’:存在しないか、または直鎖状もしくは分岐状のC1〜C18アルキレン基であり、1個または複数のO原子によって中断されていてもよい;
R1、R2、R3、R4:H、直鎖状または分岐状のC1〜C18アルキルまたは−O−C1〜C18アルキル残基であり、1個もしくは複数のO原子、PG−Y−R’−X−、または置換もしくは非置換のC6〜C18芳香族基によって中断されていてもよい;
Xは、存在しないか、またはOもしくはSであり;Yは、存在しないか、またはO、S、エステル、エーテル、カーボネート、アミド、またはウレタン基である;
R5またはR6は、H、直鎖または分岐状のC1〜C18アルキルまたは−O−C1〜C18アルキル残基であり、1個もしくは複数のO原子、PG−Y−R’−X−、または置換もしくは非置換のC6〜C18芳香族基によって中断されていてもよい。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記反応性及び光反応性の部位が、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−2−プロパノンオキシム(HPO)のような反応性D−ヒドロキシアルキルフェノンオキシム、またはオキシム部位を含む任意の他の官能性光反応性化合物である。
【請求項3】
請求項1および2の記載において、前記P&P樹脂モノマーが、エステル、カーボネート、尿素、ウレタン、エーテル、または反応性末端基、特にここではヒドロキシル基の存在によるこれらの組合せのような任意の結合を介して構成される。
【請求項4】
請求項1および2の記載において、前記P&P樹脂モノマーが、少なくとも2つの光重合性基を有さなければならない。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記光重合性基が、ビニル、ビニルエーテル、アクリレート、メタクリレート、またはこれらの組合せである。
【請求項6】
請求項3の記載において、前記光重合性及び光開裂性(P&P)の樹脂が、より好ましくは、限定されないが、1工程または2工程プロセスによるウレタンベースモノマーの誘導体である。
【請求項7】
請求項6の記載において、アルキレン基の炭素原子が2個から約18個の範囲であるアルキレンジイソシアネートを含めた種々のジイソシアネート、ならびにアリーレンおよび置換アリーレンジイソシアネートおよびポリイソシアネートを用いて前記ウレタンベースのP&P樹脂を作製する。
【請求項8】
光重合性及び光開裂性(P&P)の樹脂モノマーは、BisGMA、TEGDMA、UDMA、HEMA、HPMAなどを含めた任意の他の従来の樹脂と共に用いられる。
【請求項9】
請求項8の記載において、他の樹脂混合体中の前記光重合性及び光開裂性(P&P)の樹脂モノマーの含量が、それぞれw/wで0.01%から99.99%、好ましくは0.5%から99.5%、より好ましくは1.0%から60.0%の範囲である。
【請求項10】
光重合性及び光反応性の系はまた、第1反応を光重合するために用いられる第1源とは別個の第2エネルギー源によって活性である。前記樹脂のほんの僅かの量、10%未満、を機能性成分として用いて、必要に応じて指令により二次反応または事象を促進することができる。
【請求項11】
請求項10の記載において、前記指令が、熱、所与の波長を有する光、マイクロ波、超音波または機械的振動などの任意の外部エネルギーである。
【請求項12】
請求項10および11の記載において、前記二次的な事象または反応が、限定されないが、粘度変化、アミン再生、酸再生などを含む。
【請求項13】
請求項10および11の記載において、前記組成物は、粘度調整可能材料の作製に利用することができる。
【請求項14】
請求項10および11の記載において、前記組成物は、一成分の、二重硬化材料に利用することができる。
【請求項15】
請求項10および11の記載において、前記組成物は、安定な自己エッチング系に利用することができる。
【請求項16】
光重合性及び光反応性の全ての系は、実質的により低い重合応力を付与する種々の充填剤を含むペーストを製造するために用いられる。
【請求項17】
請求項16の記載において、請求項1および2の記載の樹脂組成物を含むペースト組成物が、w/wで1%から99%の範囲である;(これは2組の独立請求項の従属請求項である)。
【請求項18】
請求項17の記載において、充填剤組成物が、種々のサイズ及びサイズ分布を有し、限定されないが、サイズおよび組成物特性の点から、ナノ充填剤、ミクロ充填剤およびマクロ充填剤、または所謂ハイブリッドの充填剤が挙げられ、無機性もしくは有機性、またはプレ重合などされる(これは2組の独立請求項の従属請求項である)。
【請求項19】
請求項16および17の記載において、種々のカップリング剤、重合性もしくは非重合性シランまたはこれらの組合せを用いて、充填剤表面を処理して物理的または力学的特性をさらに改善することができる。

【公表番号】特表2011−510002(P2011−510002A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543131(P2010−543131)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/000229
【国際公開番号】WO2009/091551
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(590004464)デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド (85)
【Fターム(参考)】