説明

調節可能なグローブ

【課題】着け具合を調節することができるグローブを提供する。
【解決手段】サッカーゴーリーが使用するためのグローブは、ストラップなどのいくつかの調節機構を含んでいる。このストラップにより、手の平にわたるグローブの幅または手首開口部の寸法を操作することなどにより、着け具合のためにグローブを調節することができる。くわえて、指袋の基部で指の網がグローブの内部と接触したままになるように、着用者がグローブ内で手の指の位置をすばやく調節できるようにするプルタブを、このグローブは含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は全体として、運動選手用のグローブに関する。より詳しくは、本出願は、競技中に容易に位置直しすることのできる寸法調節可能なグローブに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、発明の名称が「Adjustable Glove」であり2007年4月30日に出願された出願番号第60/914,955号の優先権を主張する。同出願全体は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。
ときおり「ゴーリー」とも呼ばれる、サッカーチームのゴールキーパーは、サッカーボールをつかんだり、そらしたり、またはパンチングしたりするときに、サッカーボールの衝撃から手を保護するために、しばしばグローブを使用する。そのため、ゴーリーグローブは、保護およびボールをつかむ能力を提供する、ラテックスフォーム(発泡体)などのクッション材料からなっている。これらの材料は通常、ゴーリーの手の、手の平側および手の甲側を覆っている、または実質的に覆っている。しかし、ゴーリーグローブの材料は、衝撃から保護するために柔軟性を犠牲にしているため、扱いにくい場合がある。
【0003】
ゴーリーグローブのクッション材料の硬さは、ゴーリーの手を保護する一方で、いくつかの望ましくない結果をもたらす場合がある。特に、グローブが競技中にゴーリーの手に対して動き、手の甲および指にわたる着け具合が悪くなる場合がある。このずれは、手に対するグローブの着け具合が十分にきつくなかったために、グローブ内でのおよびグローブに対する、手(特に手の平)の動きによって生じる場合がある。くわえて、グローブは、雨または汗を吸収することなどにより、競技中に湿る場合がある。ゴーリーグローブのラテックスフォームは湿ると重くなり、グローブが手首から抜けやすくなる。
【0004】
ゴーリーグローブは硬いため、競技中にグローブを手の甲および指にわたって、すばやく調節することが困難な場合がある。通常、両方の手にグローブをはめている場合が特にそうである。さらに、グローブが湿っている場合、グローブはいっそう扱いにくくなり、手の甲および指にわたって着け具合をよくするために調節するのが困難となる。
手に対するグローブの着け具合に取り組むことにより、ゴーリーグローブのずれに取り組む試みがなされてきた。例えば、下記特許文献1は、手首に調節可能な固定ストラップを有するゴーリーグローブを開示している。くわえて、このグローブは、グローブの手の平側の硬さを和らげるためのスロットを含んでいる。しかし、下記特許文献1のグローブは、グローブの着け具合をすばやく再調節するためのいかなる特徴も含んでおらず、かつ、下記特許文献1のグローブは、手の平にわたるグローブの着け具合に取り組むことを試みていない。
【0005】
英国特許出願第9413647.0号明細書は、グローブの手首周りから中央に向かって延びた織布を含むゴーリーグローブを開示している。手の周りにグローブを締め付けることができるように、ここでも固定ストラップが設けられている。織り材料は、ゴーリーグローブの残りの部分よりも柔軟であり、しっかりとした着け具合になるように、キーパーの手の構造にグローブを適合させるためのストラップシステムを可能にする。しかし、英国特許出願第9413647.0号明細書のグローブは、グローブがずれた場合にグローブの着け具合をすばやく再調節するためのいかなる特徴も含んでいない。
【0006】
ゆえに、当該技術分野において、手に対するグローブの着け具合に取り組む保護グローブの必要、および、グローブが手からずれた場合にすばやくグローブを調節する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,867,830号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
着用者がグローブの着け具合を手の甲および指にわたって、調節することができるように構成されたグローブを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一局面において、本発明は、手を受け入れるように構成され、手の平側、背面側、指部および手首部を有するグローブであって、前記手の前記手の平側を実質的に覆う寸法および形状にされた手の平層と、前記第1の層に取り付けられ、前記手の前記背面側の少なくとも指部を実質的に覆う寸法および形状にされ、前記指部において外縁に沿って前記手の平層に取り付けられ、自由端を有する背面層と、操作されたときに前記手の網を前記グローブの内面に対して位置合わせするように構成された調節システムとを備えた、グローブを提供する。
【0010】
別の局面において、本発明は、手を受け入れるように構成され、手の平側、背面側、指部および手首部を有する調節可能なグローブであって、前記手の前記手の平側を実質的に覆う寸法および形状にされた第1の層と、前記第1の層に接続され、前記手の前記背面側の少なくとも指部を実質的に覆う寸法および形状にされ、前記指部において縁部に沿って前記第1の層に取り付けられ、自由端を有する第2の層と、前記第2の層の前記自由端に接続されたプルタブであって、当該プルタブを前記手首位置に向かって引っ張ることにより、前記手の網を前記グローブの内面に対して位置合わせするプルタブと、前記第1の層および前記第2の層に接続され、前記第1の層と前記第2の層との間に配置された第3の層と、前記第3の層の第1の側に接続され、前記第3の層に取り外し可能に取り付けられ、前記グローブを前記手に対して締め付ける幅調節ストラップとを備えている、調節可能なグローブを提供する。
【0011】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することで、当業者に明らかとなるであろう。このような追加のシステム、方法、特徴および利点はすべて、本願明細書および本願要約書に含まれ、本発明の範囲内とされ、下記特許請求の範囲により保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】調節ストラップが閉じた位置にある状態の、本発明に係る調節可能なゴーリーグローブの好ましい実施形態の斜視図である。
【図2】図1のグローブの分解図である。
【図3】調節ストラップが開いた位置にある状態の、図1のグローブの斜視図である。
【図4】別の構成の調節ストラップを示す、図1のグローブの平面図である。
【図5】図1のグローブの手の平の図である。
【図6】本発明に係るグローブに手が挿入されており、グローブ内に指がゆったりと入れられた状態を示す平面図である。
【図7】指がグローブ内にぴったりと入れられるように、グローブをはずした手でグローブを位置直ししている平面図である。
【図8】調節可能なグローブの別の実施形態を示す等角図である。
【図9】図8のグローブの調節システムおよびグローブ内にゆったりと入れられた手を示す部分等角図である。
【図10】調節システムの操作により図8のグローブ内にぴったりと入れられた手を示す部分等角図である。
【図11】調節可能なグローブを示す別の実施形態の平面図である。
【図12】図11のグローブおよびグローブ内にゆったりと入れられた手の部分平面図である。
【図13】図11のグローブと、調節システムの操作によりグローブ内にぴったりと入れられた手との部分平面図である。
【図14】調節システムを有するグローブおよびグローブ内にゆったりと入れられた手の平面図である。
【図15】図14のグローブと、調節システムの操作によりグローブ内にぴったりと入れられた手との平面図である。
【図16】調節システムを有する別の実施形態のグローブ、グローブ内にゆったりと入れられた手、およびグローブ内での手の位置を調節するための調節システムの操作方向の斜視図である。
【図17】図16のグローブおよびグローブ内にぴったりと入れられた手の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の図面および説明を参照することにより、本発明をよりよく理解することができる。図中の構成要素は必ずしも等尺(縮尺率が同じ)ではなく、むしろ本発明の原理を示すために強調されている。さらに、図において、類似の参照番号は、異なる図を通じて、対応する部分を示す。
図1は、本発明の一実施形態に係るグローブ100の斜視図である。グローブ100は、サッカーゴーリー用のゴーリーグローブとして使用されるのが好ましい。しかし、グローブ100は、他の運動種目で使用してもよい。さらに、グローブ100の調節特徴を、冬物手袋などの一般的な用途向けのグローブでの使用に適用してもよい。右手グローブのみを示して説明するが、左手グローブをグローブ100の鏡像として形成し、グローブ100を1対のグローブとして提供してもよいことが理解されるべきである。
【0014】
グローブ100は全体として、本体102、本体102の第1の側から延びている指部104、本体102の反対側から延びている手首部106という、3つの部分を含んでいる。グローブ100にはまた、以下のいくつかの調節ストラップが設けられているのが好ましい。グローブ100の本体102を着用者の手に合わせるための幅調節ストラップ112、手首部106の手首開口の寸法を変更するための手首調節ストラップ114、および指部104を着用者の手の指とそろえるためのプルタブ108である。これらの調節ストラップのそれぞれを、以下に、より詳細に説明する。
【0015】
グローブ100は、着用者の手を受け入れる寸法および形状にされている。指部104は、着用者の各指が対応する指袋140に挿入されるように、個々の指袋137を含んでいるのが好ましい。しかし、他の実施形態では、指部104は、複数の指が同じ指袋に挿入されるように構成されていてもよく、またはグローブ100は、親指を除くすべての指を同じ指袋に挿入するミトンタイプの手袋(ハンドカバー)であってもよい。
【0016】
図2は、グローブ100のさまざまな構成要素を示す分解図である。グローブ100は、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して互いに取り付けられた複数の層で形成されているのが好ましい。好ましい実施形態では、グローブ100は、少なくとも指部104(図1に示す)において互いに接続された3つの層で形成されている。すなわち、背面層118、柔軟層120および手の平層122である。背面層118は、指部104と本体102(図1に示す)の少なくとも一部とを覆う寸法および形状にされているのが好ましい。背面層118は、着用者の手の背面側において、グローブ100の最も外側の層であるのが好ましいが、背面層118は、手の背面側を完全には覆わないのが好ましい。しかし、他の実施形態では、背面層118は、手首部106(図1に示す)に向かって延びて、手の背面側を実質的に覆っていてもよい。
【0017】
背面層118は、指袋137の縁部の周りで、手の平層122および柔軟層120に固定的に取り付けられているのが好ましい。背面層118の指関節側縁139は、固定されておらずに柔軟層120または手の平層122のいずれにも取り付けられていないのが好ましい。背面層118を柔軟層に取り付けないままにしておくことで、背面層118を柔軟層120および手の平層122から独立して操作することができる。
【0018】
背面層118は、ラテックスフォーム(発泡体)などのクッション材料で形成されているのが好ましい。背面層118の材料は、ボールの衝撃から着用者の指を保護する厚みであるのが好ましい。この厚みは、背面層118の硬さを増加させる。背面層118は、不均一な厚みを有するように構成されて、最高の保護のための厚手部119が、着用者にとって背面層118をより曲げやすくする柔軟溝121によって分離されているのが好ましい。柔軟溝121は、背面層118の薄手部であるのが好ましい。しかし、他の実施形態では、背面層118は、複数の層から形成されて、厚手部119が、柔軟溝121を形成するために使用された材料の、より薄手の層に取り付けられていてもよい。しかし、背面層118は、厚手部119および柔軟溝121という異なる厚みの部分を提供するために製造された材料の単一の層で形成されているのが好ましい。例えば、背面層118は、異なる厚みを与える鋳型内で形成されてもよく、または背面層118は、柔軟溝121が切り込まれた、厚みの均一なシートで形成されてもよい。
【0019】
背面層118は、プルタブ108が指部104から手首部106に向かって延びた状態で、背面層118の主要部がグローブ100の指部104を覆うように構成されているのが好ましい。プルタブ108は、背面層118の残部と一体的に形成されているのが好ましいが、プルタブ108は、別体で形成されて、背面層118の残部に貼り付けられていてもよい。プルタブ108は、背面層118の残部と同じ材料で形成されているのが好ましい。しかし、プルタブ108は代わりに、非弾性的な織り材料、不織材料などの、異なる材料で形成されていてもよい。
【0020】
プルタブ108は、柔軟層120に対して取り外し可能に取り付けできるように、固定機構を含んでいるのが好ましい。固定機構は、留め金、ボタンなどの当該技術で公知のいかなる種類の固定機構であってもよいが、Velcro(登録商標)などのフックおよびループ機構であるのが好ましい。図2および図3に示すように、好ましいフックおよびループ機構の固定部109が、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、柔軟層120に貼り付けられている。固定機構の第2の部分(図示せず)が、プルタブ108に貼り付けられている。プルタブ108を柔軟層120に固定するためには、プルタブ108は、固定機構の2つの部分が係合するまで、固定部109に対して押される。プルタブ108を柔軟層120から取り外すためには、プルタブ108を固定部109からはがして、固定機構の2つの部分の係合を解除する。
【0021】
背面部118はまた、任意で、プルタブつまみ110およびパンチパネル116という2つの弾性部を含んでいるのが好ましい。プルタブつまみ110およびパンチパネル116の両方は、背面部118の材料よりも高い摩擦係数を有する耐久性材料で形成されているのが好ましい。例えば、プルタブつまみ110およびパンチパネル116は、天然ゴムまたは合成ゴムで形成されていてもよい。プルタブつまみ110およびパンチパネル116の両方は、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、背面層118の外面に貼り付けられているのが好ましい。プルタブつまみ110は、プルタブ108の操作性を向上するための摩擦面を提供する。パンチパネル116は、着用者がボールをコントロールしながらパンチすることができ、一方で、着用者の指関節をボールの衝撃からさらに保護する弾性面を提供する。くわえて、パンチパネル116はまた、プルタブ108が背面パネル118から延びている連結部において、背面パネル118を強化するのを助ける。プルタブつまみ110およびパンチパネル116の両方は、図示するように表面生地を含んでいてもよく、あるいは滑らかな表面を有していてもよい。
【0022】
手の平層122は、着用者の手の、手の平側全体および着用者の手首の一部を覆う寸法および形状にされているのが好ましい。手の平層122は、着用者がボールをより容易に受け止めたりまたはそらしたりできるように、大きくて実質的に平坦な表面を提供する。くわえて、着用者の親指をさらに保護するために、手の平層122の部分123が、親指袋141の先端を覆うように延びている。手の平層122のより硬い材料の部分123のみが親指袋141を覆っていることにより、衝撃から保護しつつ、親指が、より十分な可動範囲を維持できるようにされている。
【0023】
手の平層122は、背面層118用に使用されている材料と類似のクッション材料の単層で形成されているのが好ましい。手の平層122は、背面層118に直接取り付けられていてもよいが、柔軟層120により背面層118に接続されているのが好ましい。図5に示すように、手の平層122はまた、最大のクッションおよび保護を与える厚手部132と、手および指を曲げるのを容易にするために手の平層122の硬さを低減する柔軟溝134とを含んでいるのが好ましい。例えば、手の平層122は、異なる厚みを与える鋳型内で形成されてもよく、または手の平層122は、柔軟溝134が切り込まれた、厚みの均一なシートで形成されてもよい。
【0024】
柔軟層120は、着用者の手を覆うまたは実質的に覆う寸法および形状にされているのが好ましい。柔軟層120は、グローブ100が着用者の手を収容する深さとなるようにグローブ100の側部を形成しているのが好ましい。柔軟層120は、背面層118と手の平層122との間の接続部を形成しているのが好ましく、縫製または接着剤などにより、両方の層118および122に固定的に取り付けられている。柔軟層120は、織り材料、好ましくは弾性の繊維を含むもの、の薄層で形成されているのが好ましい。例えば、柔軟層120は、スパンデックス、ラテックス、ネオプレンおよびゴムなどの天然または合成の弾性材料、綿、ポリエステルおよびナイロンなどの天然または合成の非弾性材料、これらの材料の混合物などで形成されていてもよい。快適さのために、柔軟層120は、吸収性かつ通気性のある材料であるのが好ましい。
【0025】
柔軟層120は、グローブ100の全体的な硬さを低減して、着用者が自分の手をグローブ100内でより容易に折ったり曲げたりできるようにする。柔軟層120はまた、グローブ100の重量を減らし、それによってまた、着用者の手がグローブ100を操作する能力を向上させる。ゆえに、柔軟層120は、競技が経過する中での疲労を低減することができる。これは、背面層118および手の平層122のクッション材料で全体が形成されたグローブに比べて、グローブ100を操作するために着用者が手を激しく動かさないからである。
【0026】
図6および図7を参照して、グローブ100を手136に対して位置直しするための、プルタブ110の使用について説明する。図6に示すように、競技の経過中に、手136およびグローブ100は相互に動いて、そのためにグローブ100が手136に対して緩くなってしまう場合がある。このずれは、特にグローブ100が手136に対して十分ぴったりとはまっていない場合に、手136をグローブ100内で曲げたり折ったりしたときに、手136がグローブ100内でずれる結果であることが多い。
【0027】
手136の指137の基部にある網179が、指袋140の基部で内面181からはがれると、特別な問題が生じる。1本の指137のみについて説明するが、この状況は手136のいずれの指またはすべての指にも同様にあてはまることを理解されたい。また、網179が内面181からはがれると、指先138が、指袋140の先端において内面142から離れることがあり、または、手136の指が短くて内面142に届かない場合、内面142からさらに離れることがある。網179が内面181からはがれることにより、グローブ100の指を操作することが難しくなる。これは、指袋140内に指137全体が位置しているのではないときに、指137で指袋140の材料全体を動かすことが必要なためである。さらに、グローブ100は、例えば悪天候または発汗のために、競技の経過中に湿気を吸う場合がある。その結果、グローブ100は重くなり、競技中におよびグローブ100背面を手136に対してぴったりした位置に調節しようとしているときに効率的に操作するのが困難になる。
【0028】
図7に示すように、網179が指袋140の内面181と再び接触した状態となるようにグローブ100を手136に対して位置直しするために、プルタブ108を第2の手144でつまむ。図1に示すようにグローブ100を着用している場合、プルタブ108を解放するために、幅調節ストラップ112の係合の解除が必要になることがある。図4に示すようにグローブ100を着用している場合、この解除は不要であろう。第2の手144は、図のように手袋をはずしていてもよいし、または、第2の手144は、グローブ100に類似のグローブを着用していてもよい。プルタブ108は、その長さ方向に沿ういかなる位置でつまんでもよいが、最適に保持するために、第2の手144は、プルタブつまみ110をつまむことが好ましい。これは、プルタブつまみ110の材料が、摩擦面を有しているためである。プルタブ108は、第2の手144により持ち上げられて、柔軟層120との係合を解除される。次いで、図7の矢印により示すように、プルタブ108は、手首調節ストラップ114に向かって引っ張られる。このようにしてプルタブ108を動かすことで、背面層118全体が手首調節ストラップ114に向かって引っ張られる。背面層118は、動くときに、指部104背面全体を適正な位置へと引っ張る。プルタブ108は、網179が指袋140の内面181に再び接触した状態となるまで、このようにして手首調節ストラップ114に向かって引っ張られる。
【0029】
指部104を押すことまたはグローブ100を手首部106から引っ張ろうとすることでグローブ100を調節しなければならない場合よりも、プルタブ108を使用してグローブ100を調節することは、より容易に達成される。プルタブ108およびプルタブつまみ110は、しっかりしたつまみ面を提供する。それにより、重いまたは湿ったグローブ100が位置直しされてもよい。第2の手144がグローブを着用している場合、これは特に有利である。くわえて、背面部の一部がグローブ100に取り付けられていないために、第2の手144は、背面部118のみを引っ張り、グローブ100全体を引っ張るわけではないので、グローブ100が湿って重さが増加しても、グローブ100の操作は妨げられない。
【0030】
別の調節システムにより、網179を内面181と接触させることができる。一実施形態では、図8〜図10に示すように、ほとんどの点で上述したグローブ100と類似したグローブ200は、背面層218、柔軟層220および手の平層222を含んでいる。グローブ200には、プルタブ208を含む調節システム207が設けられている。プルタブ208は、背面層218の表面209に取り外し可能に取り付けられるように構成された、丈夫であるが柔軟な材料からなる部分である。一実施形態では、プルタブ208は、ナイロンまたはポリエステルなどの合成の織り材料で形成されていてもよいが、他の実施形態では、プルタブ208は、天然の織り材料または天然もしくは合成の不織材料で形成されていてもよい。
【0031】
プルタブ208は、背面層218または背面層218の一部を覆っている手首ストラップ214に、取り外し可能に取り付けられるように構成されている。プルタブ取り付け面209が、プルタブ208を固定するために設けられている。図8〜図10に示す実施形態では、取り付け面209は、Velcro(登録商標)などの、手首ストラップ214に固定的に取り付けられたフックおよびループ取り付けシステムの半分を備えている。図10に最もよく示されているように、他の半分のフックおよびループ取り付けシステムは、プルタブ208の下面に設けられている。他の実施形態では、プルタブ208を取り付け面209に固定するための取り付けシステムは、留め金およびボタンなどのいずれかの種類の機械的な固定具を含んでいてもよい。
【0032】
調節システム207はまた、プルタブ208に固定的に取り付けられて指袋の基部に向かって延びている複数のコード211、213、215および217を含んでいる。これらのコードは、プルタブ208に加えられた引っ張り運動を、グローブ200の他の部分に伝達する。コード211、213、215および217は、フィラメント形状を有していて、天然もしくは合成の織り材料、金属、プラスチック、またはこれらの材料の組み合わせなどの高い引っ張り強度を有する材料で形成されているのが好ましい。例えば、一実施形態では、コード211、213、215および217はKevlar(登録商標)で形成されていてもよく、別の実施形態では、コード211、213、215および217はナイロンで形成されていてもよい。
【0033】
一実施形態では、図9および図10に示すように、メインコード211は、プルタブ208に固定的に取り付けられ、手首ストラップ214をちょうど越えるところまで延びている。第1のコード213は、メインコード211から分岐し、第4および第5の指袋の基部に位置する第1の取り付け領域201へと延びている。第1のコード213は、接着剤または縫製などの当該技術において公知のいずれかの方法を使用して、第1の取り付け領域201に固定的に取り付けられている。第2のコード215は、メインコード211から分岐し、第3および第4の指袋の基部に位置する第2の取り付け領域203へと延びている。第2のコード215は、接着剤または縫製などの当該技術において公知のいずれかの方法を使用して、第2の取り付け領域203に固定的に取り付けられている。第3のコード217は、メインコード211から分岐し、第2および第3の指袋の基部に位置する第3の取り付け領域205へと延びている。第3のコード217は、接着剤または縫製などの当該技術において公知のいずれかの方法を使用して、第3の取り付け領域205に固定的に取り付けられている。コード213、215および217は、個別に形成され、次いで、接着剤または縫製などによりメインコード211に取り付けられていてもよい。しかし、コード213、215および217は、メインコード211と一緒に形成され、メインコード211を組み継ぐ、裂く、ほぐす、または他のやり方で分割することで、コード213、215および217とするのが好ましい。
【0034】
いくつかの実施形態では、取り付け領域201、203および205は、柔軟層220の一部であってもよい。しかし、取り付け領域201、203および205は、柔軟層220に固定的に取り付けられた補強片を含んでいるのが好ましい。以下に説明するように、これらの補強片は、コード213、215および217が柔軟層220を引っ張ったときに、柔軟層220の損傷を防ぐことのできる、丈夫であるが柔軟な材料で形成されていてもよい。
【0035】
使用者は、図9に示すように、着け具合がよくないのを正すために、調節システム207を使用してもよい。図9では、指網179が、グローブ200の内面241に接触していない。反対の手の指を使ってフックおよびループシステムをはがすことなどにより、プルタブ208を取り付け面209から分離することができる。次いで、引っ張ることなどにより、プルタブ208を取り付け領域201、203および205から引き離すことができる。コード211、213、215および217により、この引っ張り運動が取り付け領域201、203および205に伝達される。コード211、213、215および217は、取り付け領域201、203および205に固定的に取り付けられているため、取り付け領域201、203および205もまた、プルタブ208と同じ方向に引っ張られる。取り付け領域201、203および205は、グローブ200の柔軟層220の一部であるか、または柔軟層220に固定的に取り付けられているかのいずれかであるため、柔軟層220もまたプルタブ208と同じ方向に移動される。その結果、所望の着け具合が得られるまでプルタブ208を操作することにより、内面241が、指網179と接触した状態に戻される。
【0036】
指網139をグローブ300の内面341と接触した状態に戻すように構成された、別の実施形態の調節システム307を、図11〜図13に示す。グローブ300は、上述したグローブ100および200に類似している。図11に、調節システム307が閉じた位置にある状態のグローブ300の背面を示す。調節システム307は、背面層318の一部分の下方でグローブ300にわたってジグザグ状に配置された3つのストラップ308、311および313を含んでいる。背面層318は、クッション性のための隆起部319、および柔軟性のための窪み部321を有しているのが好ましい。明瞭にするために、図12および図13では背面層318を除去しているが、背面層318はグローブ300に含まれているのが好ましいことを理解されたい。
【0037】
ストラップ308、311および313は、ナイロン、綿または材料補強フォーム(発泡体)などの丈夫でかつ柔軟な材料により単一の部分として形成されているのが好ましい。一実施形態では、図11〜図13に示すように、ストラップ308、311および313は、第1および第2のループ330および331を通り抜けて、単一の材料の部分を分割することにより、ストラップ308、311および313とされている。このように、別個の部分として説明するものの、ストラップ308、311および313は、グローブ300の着け具合を調節するために、単一のユニットとして操作することができる。第1および第2のループ330および331は、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、グローブ300に固定的に取り付けられた、金属、プラスチックまたは生地のループであるのが好ましい。あるいは、第1および第2のループ330および331は、グローブ300の背面層318と一緒に形成されていてもよい。
【0038】
プルタブストラップ308は、グローブ300の手首領域に取り外し可能に取り付けられているのが好ましい。プルタブストラップ308は、グローブ300の親指327側の自由端から、手首の反対側の第1のループ330まで、第1のループ330を通って延びている。図13に示すように、プルタブストラップ308の自由端は、プルタブストラップ308の一方側に固定的に取り付けられた第1の取り付け機構328を含んでいる。プルタブストラップ308の自由端がグローブ300に固定されるように、対応する取り付け機構329がグローブ300に固定的に取り付けられている。取り付け機構328および329は、留め金、ボタンまたは圧入部などの当該技術で公知のいずれの種類の機構であってもよい。しかし、好ましい実施形態では、機構328および329は、フックおよびループ取り付けシステムとされている。
【0039】
第2のストラップ311は、第1のループ330から第2のループ331へと延びている。第2のループ331は、親指部327の基部に、または親指部327の基部の近傍に配置されている。第3のストラップ313は、第2のループ331から取り付け領域317へと延びている。取り付け領域317において、第3のストラップ313は、第5の指(または「小指」)の基部で、または第5の指の基部の近傍で、グローブ300に固定的に取り付けられている。第3のストラップ313は、(図11〜図13に示すように)縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、グローブ300に固定的に取り付けられていてもよい。
【0040】
ストラップ308、311および313は本質的に、一連のループ330および331を通された単一の非弾性ユニットであるため、プルタブストラップ308の自由端を操作するなどして、いずれかのストラップを操作すれば、すべてのストラップ308、311および313を操作することになる。図12に示す場合のように、グローブ300内の手136がゆったりと(ゆるく)入れられているために指網179がグローブ300の内面341と接触していないときに、このような動作は望ましいことがある。
【0041】
図13に示すように、グローブ300を手136に対してぴったりした位置へと操作するには、第1および第2の取り付け機構328および329の係合を解除するなどして、プルタブストラップ308をグローブ300から分離する。次いで、反対の手を使ってプルタブストラップ308を引っ張るなどして、プルタブストラップ308を矢印で示す方向に引っ張る。この方向にプルタブストラップ308を操作することで、プルタブストラップ308の長さが増加する。これは、プルタブストラップ308が引っ張られると、第2のストラップ311の一部が第1のループ330を通って第2の矢印の方向へ移動するためである。第2のストラップ311は、非弾性であるため、第3のストラップ313を引っ張ることで、その長さを維持し、第3のストラップ313の一部が第2のループ331を通って移動する。第3のストラップ313はグローブ300に固定的に取り付けられているため、第2のストラップ311を介してプルタブストラップ308により第3のストラップ313に働く引っ張り力は、グローブ300に伝達される。グローブ300の指部は手首に向かって移動し、指網179が再び内面341と接触する。
【0042】
グローブ400とともに使用するための、別の実施形態の調節システム407を図14および図15に示す。グローブ400は、グローブ400上にジグザグ状に配置された第1のストラップ408、第2のストラップ411および第3のストラップ413というストラップのシステムを使用している点で、グローブ300に類似している。グローブ400は、背面層318などの背面層なしに示されているが、ストラップ408、411および413の少なくとも一部にわたってこのような層を含んでいてもよい。グローブ300と異なり、第3のストラップ413は、グローブ400の側部に接続されていない。代わりに、第3のストラップ413は、グローブ400のグローブ指部の近傍、すなわち指袋の近傍に配置された取り付け領域417で終わっている。図14および図15に示す実施形態では、取り付け領域417は、2本の指の下方に配置されている。別の実施形態では、取り付け領域417は、グローブ400のいずれかのもしくはすべての指またはいずれかの組み合わせの指の下方に配置されていてもよい。
【0043】
取り付け領域417は、グローブ400の表面のいずれの部分であってもよい。しかし、図14および図15に示すように、取り付け領域417はグローブ400の補強された部分であってもよい。取り付け領域417の補強は、追加の材料をグローブ400に設けるなどの、当該技術で公知のいずれの種類の補強であってもよい。追加の材料は、縫製、接着、溶接、一括形成などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、または、背面層を形成するときに材料の量を選択的に増加させることなどにより異なる厚みを有するグローブ400の表面を形成することにより、グローブ400に設けてもよい。追加の材料は、当該技術で公知のいずれの種類の材料であってもよいが、いくつかの実施形態では、取り付け領域417をパンチ面としても使用できるようにするために、摩擦性材料のパネルであってもよい。他の実施形態では、取り付け領域417の補強は、発泡体、織り材料などの他の材料のパネルであってもよい。他の実施形態では、取り付け領域417の補強は、追加の縫製または接着剤などの取り付け材料の追加の層を含んでいてもよい。
【0044】
グローブ300のストラップ308と同様に、第1のストラップ408は、グローブ400の手首領域に取り外し可能に取り付けられている。第1のストラップ408の取り付けは、フックおよびループシステム、留め金、ボタン、フック、バックルまたは類似の機械式固定具などの、当該技術で公知のいずれかの方法を使用して実現されていてもよい。第2のストラップ411は、第1のストラップ408と連続していてもよく、グローブ400の一方側に配置された第1のループ430を通過していてもよい。第1のループ430は、当該技術で公知のいずれかの材料で形成されてグローブ400に取り付けられていてもよく、または、グローブ400に設けられた切れ込み(スリット)であってもよい。第1のループ430は、第2のストラップ411がグローブ400を横切って第1のストラップ408の方向とは異なる方向に延びるように、ストラップの方向を再決定することができる。次いで、第2のストラップ411は、グローブ400の反対側で第2のループ431を通過して第1のループ430へと向かい、方向を再決定されて第3のストラップ413となり、第3のストラップ413は、戻る方向にグローブ400を横切って取り付け領域417へと延びている。第3のストラップ413は、縫製、接着剤の使用、溶接などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、取り付け領域417に固定的に取り付けられているのが好ましい。
【0045】
調節システムの使用の一例では、着用者の手136は、指網がグローブ網に当たっては配置されないように、グローブ400内にゆったりと入れられていてもよい。指網およびグローブ網のいずれかまたはすべてが関わっていてもよいが、明瞭さおよび簡潔さのために、代表して指網139およびグローブ網441を1つだけ示して説明する。くわえて、指先137は、グローブ指先440から不快なほど離れて位置している場合がある。指網139がグローブ網441に接触するまたはグローブ網441の近傍に位置するようにグローブを調節するために、着用者は、第1のストラップ408をつまんで、グローブ400から取り外す。次いで、着用者は、第1のストラップ408を矢印で示す方向にたぐる、または引っ張る。ストラップ408をたぐる動きにより、続いて第2のストラップ411が引っ張られて、矢印で示す方向に移動する。第2のストラップ411は移動しながら、続けて第3のストラップ413を引っ張り、第3のストラップ413は、矢印で示す方向に移動する。第3のストラップ413は取り付け領域417に取り付けられているため、取り付け領域417は矢印で示す方向に引っ張られる。取り付け領域417は、グローブ400の指の近傍で、グローブ400に固定的に取り付けられているため、グローブ400の指は、指先137に向かって引っ張られる。着用者は、グローブ網441および指網139が接触するまたは互いに近傍に位置するなどして、グローブ400の着け具合が所望の状態となるまで、第1のストラップ408を引っ張ることができる。所望の着け具合が実現されると、ストラップ408上に位置するフックおよびループシステム428の第1の部分を、グローブ400上に位置するフックおよびループシステム429の第2の部分に向かって、二つの部分428および429が係合するまで押し付けることなどにより、第1のストラップ408がグローブ400に再度取り付けられる。
【0046】
図16および図17は、さらに別の実施形態であるグローブ500を示している。グローブ500は、着用者の手に対するグローブ500の着け具合を調節するための調節システムを有する。グローブ500は、上述したグローブ100、200、300および400のいずれとも全体的に類似しているが、グローブ500の調節システムの構成は、先に説明した実施形態と異なっている。図16および図17に示すように、調節システムは全体として、第1のストラップ508、第2のストラップ511および第3のストラップ513を含んでいる。第1のストラップ508はグローブ500の表面に取り外し可能に取り付けられているが、第2のストラップ511および第3のストラップ513はグローブ500に固定的に取り付けられている。この実施形態では、第1のストラップ508が第2のストラップ511および第3のストラップ513と連続しているが、別の実施形態では、第1のストラップ508は、連結具などの1つ以上の追加の要素により、第2のストラップ511および第3のストラップ513のいずれかまたは両方と分離されていてもよい。
【0047】
第2のストラップ511および第3のストラップ513は、全体として、グローブ500の背部においてV字形状となるように、互いに対して配置されている。図の実施形態では、ストラップ511および513は、互いに連続している、すなわち、材料の単一の部分で形成されている。しかし、別の実施形態では、材料の複数の部分を、使用して、互いに取り付けてもよい。ストラップ511および513は、グローブ500の最も外側の層に固定的に取り付けられているのが好ましい。一実施形態では、図16および図17に示すように、ストラップ511および513は、指先から指関節の近傍の点へと延びる背面層518と分離しているグローブ500の外層に取り付けられている。ストラップ511および513は、縫製、接着剤、溶接などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、グローブ500に取り付けられていてもよい。図に示す実施形態では、第1の補強取り付け部材514および第2の補強取り付け部材515という、追加の補強取り付け部材(アタッチメント)が設けられている。補強取り付け部材514および515は当該技術で公知のいずれの種類の補強であってもよいが、図に示す実施形態では、ストラップ511および513の末端の、または末端近傍の追加の縫製とされている。いくつかの実施形態では、ストラップ511および513は、補強取り付け部材514および515においてのみグローブに取り付けられ、ストラップ511および513の残部がグローブ500に取り付けられないままであってもよい。
【0048】
ストラップ511および513によって形成されたV字形状の頂点または頂点の近傍において、第1のストラップ508は、ストラップ511および513につながれている。この点で、またはこの点の近傍で、第1のストラップ508の一部が、ループ531を通過される、またはループ531に固定的にもしくは取り外し可能に取り付けられるなどして、ループ531につながれている。ループ531は、金属、プラスチックなどの当該技術で公知のいずれの材料によって形成されていてもよい。ループ531は、例えば縫製、接着または他のやり方でグローブ500に取り付けることなどによって、背面層518に固定的に取り付けることなどにより、グローブ500の背面層518につながれている。あるいは、グローブの背面層518に開口部を設けることにより、ループ531を設けてもよい。第1のストラップ508にループ531を通過させると、第1のストラップ508は、グローブ500上の取り付け面529に取り外し可能に取り付けられるように、折り返されてもよい。取り付け面529は、フックおよびループ機構、留め金接続部、ボタンまたはボタン孔、クリップ、フック、バックルなどの一部など、当該技術で公知のいずれの種類の取り付け機構であってもよい。
【0049】
図16において、着用者の手はグローブ500内にゆったりと入れられているため、指網139はグローブ網541に接触していない、またはグローブ網541の近くに位置していない。本明細書では指網139およびグローブ網541のみについて説明するが、いずれかのまたはすべての指網およびグローブ網が同様に配置されていてもよい。同様に、指先137が、グローブ指先540から不快なほど離れている場合がある。手の背部および指にわたる、よりぴったりとした着け具合のために、グローブ500を調節するため、着用者などは、第1のストラップ508をつまんで、矢印で示す方向に引っ張る、またはたぐる。このたぐる動きが、グローブ500の表面に取り付けられた第2および第3のストラップ511および513に伝達される。矢印で示す方向への力は、ストラップ511および513を介してグローブ500に伝達され、それにより、グローブ500の幅を手に対して締め付けるものとすることができる。同時に、第1のストラップ508がループ531を引っ張り、またはたぐり、ループ531を第1のストラップ508と同じ方向に移動させる。図17に示すように、ループ531は背面層518に固定的に取り付けられているため、この力によりグローブ500の指部は指先137に向かって引っ張られる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1のストラップ508は、留め具、または第1のストラップ508の長手方向に沿って形成された材料のポケット内で第1のストラップをループ531に取り付けることなどにより、ループ531を通って摺動する第1のストラップ508の量を制限するように構成されていてもよい。摺動運動の限界に達すると、第1のストラップ508は、ループ531を、そしてその結果グローブ500の指部を、より大きな力で引っ張ることができて、それにより、グローブ500の指部の調節を容易にしてもよい。いくつかの実施形態では、第1のストラップ508とループ531との相対運動をわずかにまたはゼロにすることができるように、第1のストラップ508がループ531に固定的に取り付けられていてもよい。
【0051】
図17において、グローブ500は締め付けられた位置にある。指網139は、グローブ網541に接触しているか、または近い位置にある。同様に、指先137は、グローブ指先540に接触しているか、または近い位置にある。所望の着け具合が得られたなら、ストラップ508を取り付け面529に向かって折り返してストラップ508を取り付け面529に取り付けることにより、ストラップ508を取り付け面529に取り付ける。
【0052】
幅調節ストラップ112により、着用者は、グローブ100の着け具合を変更して、本体102を着用者の手に合わせることができる。幅調節ストラップ112は、柔軟層120に縫い付けられた、または他のやり方で取り付けられた非弾性の織り材料の長尺の部分で形成されているのが好ましい。図3に示すように、幅調節ストラップ112は、グローブ100の中間側152において本体102から延びて、幅調節ループ126および146を通過し、図1、図4および図6に示すように、グローブ100を横切って中間側152に向かって戻るように折り曲げられて、柔軟層120の外面に固定されている。
【0053】
幅調節ループ126および第2の幅調節ループ146は、それぞれ手の平層122および柔軟層120に形成されて、幅調節ストラップ112を収容し幅調節ストラップ112と協働し、グローブ100の着け具合の調節を可能にしている。幅調節ループ126および第2の幅調節ループ146は、グローブ100の側部150に位置しているのが好ましい。幅調節ループ126は、幅調節ストラップ112が幅調節ループ126を通過できるよう、中央に位置する開口部を有するように構成されている。
【0054】
幅調節ループ126は、手の平層122と一体的に形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、幅調節ループ126は、手の平層122の残部と別体として形成され、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、手の平層122に取り付けられていてもよい。幅調節ループ126は、手の平層122の残部と同じ材料で形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、幅調節ループ126の経時的な変形を防ぐために、幅調節ループ126は、別の、より硬い材料で形成または縁取りされていてもよい。例えば、幅調節ループ126は、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されていてもよく、または、幅調節ループ126に形成された開口部を包囲する、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されたリングを含んでいてもよい。
【0055】
第2の幅調節ループ146もまた、幅調節ストラップ112が第2の幅調節ループ146を通過できるように、中央に位置する開口部を有するように構成されている。第2の幅調節ループ146は、幅調節ループ126の寸法および形状の鏡像となるまたは実質的に鏡像となるように構成されている。図3に示すように、第2の幅調節ループ146は、幅調節ループ126と整列されており、好ましくは幅調節ループ126に取り付けられている。第2の幅調節ループ146は、柔軟層120と一体的に形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、第2の幅調節ループ146は、柔軟層120の残部と別体として形成され、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、柔軟層120に取り付けられていてもよい。第2の幅調節ループ146は、柔軟層120の残部と同じ材料で形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、第2の幅調節ループ146の経時的な変形を防ぐために、第2の幅調節ループ146は、別の、より硬い材料で形成または縁取りされていてもよい。例えば、第2の幅調節ループ146は、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されていてもよく、または、第2の幅調節ループ146に形成された開口部を包囲する、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されたリングを含んでいてもよい。
【0056】
幅調節ストラップ112は、中間側152に向かって引っ張られて、着用者の手に対するグローブ100の着け具合を調節する。ゆったりとした着け具合のためには、幅調節ストラップ112が、中間側152に向けて単に部分的に引っ張られる。着け具合をきつくするには、幅調節ストラップ112が、中間側152の近くまで引っ張られる。幅調節ストラップ112がループ126およびループ146を通過すると、幅調節ストラップ112を引っ張ることで、ループ126および146が引っ張られ、手の平層122および柔軟層120に張力が働く。
【0057】
幅調節ストラップ112は、所望の着け具合が得られたときに柔軟層120に固定されるように、取り付け機構を含んでいるのが好ましい。取り付け機構は、フックおよびループ機構であるのが好ましい。図2、図3および図7に示すように、フックおよびループ機構の第1の部分124は、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、幅調節ストラップ112に取り付けられている。フックおよびループ機構の第2の部分125は、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、柔軟層120の中間側152に取り付けられている。あるいは、フックおよびループ機構の第2の部分125は、柔軟層120それ自体であってもよい。第1の部分124および第2の部分125は、2つの部分を互いに押し付けることにより係合されてもよい。同様に、第1の部分124および第2の部分125は、2つの部分を引きはがすことにより係合を解除してもよい。
【0058】
幅調節ストラップ112は、プルタブ108を所定の位置に固定するのを支援するために使用してもよい。図1に示すように、幅調節ストラップ112をプルタブ108の上方を通過させることにより、幅調節ストラップ112を柔軟層120に固定してもよい。この構成により、プルタブ108が意図せずに除かれる、または、プルタブ108の固定機構が効力を失ってプルタブ108が経時的にはがれるのを防ぐことができる。あるいは、図4に示すように、幅調節ストラップ112をプルタブ108の下方を通過させることにより、幅調節ストラップ112を柔軟層120に固定してもよい。これにより、着用者は、より速やかにプルタブ108を使用して、競技中に指部104を位置直しすることができる。
【0059】
手首調節ストラップ114により、着用者は、着用者の手首の周囲でグローブ100の着け具合を変更することができる。幅調節ストラップ112と同様に、手首調節ストラップ114は、柔軟層120に縫い付けられた、または他のやり方で取り付けられた非弾性の織り材料の長尺の部分で形成されているのが好ましい。しかし、手首をさらに保護するために、手首調節ストラップ114はまた、ラテックスフォームなど、背面層118および手の平層122用に使用されている材料に類似したクッション材料を含んでいるのが好ましい。
【0060】
図3に示すように、手首調節ストラップ114は、グローブ100の中間側152で手首部106から延びて手首調節ループ130および148を通過し、図1、図4および図6に示すように、グローブ100を横切って中間側152に向かって折り曲げられて柔軟層120の外面に固定される。
手首調節ループ130および第2の手首調節ループ148は、それぞれ手の平層122および柔軟層120に形成されて、手首調節ストラップ114を収容し手首調節ストラップ114と協働し、グローブ100の着け具合の調節を可能にしている。ループ130および148は、グローブ100の側部150から延びているのが好ましい。幅調節ループ126と同様に、手首調節ループ130は、手首調節ストラップ114が手首調節ループ130を通過できるように、中央に位置する開口部を有するように構成されている。手首調節ループ130は、手の平層122と一体的に形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、手首調節ループ130は、手の平層122の残部と別体として形成され、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、手の平層122に取り付けられていてもよい。手首調節ループ130は、手の平層122の残部と同じ材料で形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、手首調節ループ130の経時的な変形を防ぐために、手首調節ループ130は、別の、より硬い材料で形成または縁取りされていてもよい。例えば、手首調節ループ130は、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されていてもよく、または、手首調節ループ130に形成された開口部を包囲する、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されたリングを含んでいてもよい。
【0061】
同様に、第2の手首調節ループ148は、手首調節ストラップ114が第2の手首調節ループ148を通過できるように、中央に位置する開口部を有するように構成されている。第2の手首調節ループ148は、手首調節ループ130の寸法および形状の鏡像となるまたは実質的に鏡像となるように構成されている。図3に示すように、第2の手首調節ループ148は、手首調節ループ130と整列されており、好ましくは手首調節ループ130に取り付けられている。第2の手首調節ループ148は、柔軟層120と一体的に形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、第2の手首調節ループ148は、柔軟層120の残部と別体として形成され、縫製または接着剤などの当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、柔軟層120に取りさ付けされていてもよい。第2の手首調節ループ148は、柔軟層120の残部と同じ材料で形成されているのが好ましい。しかし、他の実施形態では、第2の手首調節ループ148の経時的な変形を防ぐために、第2の手首調節ループ148は、別の、より硬い材料で形成または縁取りされていてもよい。例えば、第2の手首調節ループ148は、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されていてもよく、または、第2の手首調節ループ148に形成された開口部を包囲する、金属もしくは熱可塑性の材料で形成されたリングを含んでいてもよい。
【0062】
手首調節ストラップ114は、中間側152に向かって引っ張られて、着用者の手に対するグローブ100の着け具合を調節する。ゆったりとした着け具合のためには、手首調節ストラップ114が、中間側152に向けて単に部分的に(不完全に)引っ張られる。着け具合をきつくするには、手首調節ストラップ114が、中間側152の近くまで引っ張られる。手首調節ストラップ114がループ130およびループ148を通過すると、手首調節ストラップ114を引っ張ることでループ126および146が引っ張られ、手の平層122および柔軟層120に張力が働く。
【0063】
手首調節ストラップ114は、所望の着け具合が得られたときに柔軟層120に固定されるように、取り付け機構を含んでいるのが好ましい。取り付け機構は、フックおよびループ機構であるのが好ましい。図2、図3および図7に示すように、フックおよびループ機構の第1の部分128は、縫製または接着剤などの、当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、手首調節ストラップ114に取り付けられている。フックおよびループ機構の第2の部分129は、縫製または接着剤などの、当該技術で公知のいずれかの方法を使用して、柔軟層120の中間側152に取り付けられている。あるいは、フックおよびループ機構の第2の部分129は、柔軟層120それ自体であってもよい。第1の部分128および第2の部分129は、2つの部分を互いに押し付けることにより係合してもよい。同様に、第1の部分128および第2の部分129は、2つの部分を引きはがすことにより係合を解除されてもよい。
【0064】
本発明のさまざまな実施形態を説明したが、この説明は限定することではなく例示することを意図しており、本発明の範囲内で、もっと多くの実施形態および実施態様が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に照らした場合を除いて、限定されない。また、さまざまな修正および変更を、添付の特許請求の範囲内で行うこともできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手を受け入れるように構成され、手の平側、背面側、指部および手首部を有するグローブであって、
前記手の前記手の平側を実質的に覆う寸法および形状にされた手の平層と、
グローブ指部において前記手の平層の外縁に沿って、前記手の平層に取り付けられ、前記グローブ指部の少なくとも一部を形成する寸法および形状にされた背面層と、
前記背面層に取り付けられ、前記手に対して前記グローブ指部を位置直しするように構成された調節システムとを備えた、グローブ。
【請求項2】
前記調節システムがプルタブを備えている、請求項1に記載のグローブ。
【請求項3】
前記プルタブが前記背面層の延長部分である、請求項2に記載のグローブ。
【請求項4】
前記プルタブが、前記グローブ指部の基部において、取り付け領域に接続されている、請求項2に記載のグローブ。
【請求項5】
コードが、前記プルタブを前記取り付け領域に接続している、請求項4に記載のグローブ。
【請求項6】
複数のコードが、前記プルタブを複数の取り付け領域に接続している、請求項4に記載のグローブ。
【請求項7】
前記調節システムがプルストラップを備え、前記プルストラップの第1の端部は、前記グローブ指部においてまたは前記グローブ指部の近傍で、前記グローブにつながれており、前記プルストラップの第2の端部を、前記グローブに取り外し可能に取り付けることができる、請求項1に記載のグローブ。
【請求項8】
前記プルストラップがループを通されて、前記グローブ上でジグザグ形状をなしている、請求項7に記載のグローブ。
【請求項9】
前記グローブ指部においてまたは前記グローブ指部の近傍で前記グローブにつながれたループをさらに備え、前記プルストラップの前記第1の端部が前記ループにつながれている、請求項7に記載のグローブ。
【請求項10】
第2のストラップおよび第3のストラップをさらに備え、前記第2のストラップおよび前記第3のストラップは、前記グローブ上でV字形状に配置され、前記プルストラップの前記第1の端部が、前記V字形状の頂点または前記頂点の近傍で、前記第2のストラップおよび前記第3のストラップにつながれている、請求項9に記載のグローブ。
【請求項11】
前記プルストラップ、前記第2のストラップおよび前記第3のストラップが一体である、請求項10に記載のグローブ。
【請求項12】
前記プルストラップが引っ張られたときに、前記グローブ指部および前記グローブの幅の両方が調節されるように、前記ストラップが構成されている、請求項10に記載のグローブ。
【請求項13】
前記第1の層および前記第2の層に接続され、前記第1の層と前記第2の層との間に位置する第3の層をさらに備えている、請求項1に記載のグローブ。
【請求項14】
前記プルタブは、前記第3の層に、取り外し可能に取り付けることができるものである、請求項13に記載のグローブ。
【請求項15】
引っ張られたときに、前記グローブを締め付けるように構成された幅調節ストラップをさらに備えている、請求項1に記載のグローブ。
【請求項16】
前記幅調節ストラップが、前記グローブ指部とグローブ手首部との間で前記グローブの第1の側に固定的に取り付けられた第1の端部と、前記グローブに取り外し可能に取り付けることのできる第2の端部とを備えている、請求項15に記載のグローブ。
【請求項17】
前記グローブの手首部において、前記グローブの第1の側に固定的に取り付けられた第1の端部と、前記グローブの前記手首部に取り外し可能に取り付けることのできる第2の端部とを備えた手首調節ストラップをさらに備え、
前記手首調節ストラップは、引っ張られたときに、前記グローブを前記手首に対して締め付ける、請求項1に記載のグローブ。
【請求項18】
手を受け入れるように構成され、手の平側、背面側、指部および手首部を有する調節可能なグローブであって、
前記手の前記手の平側を実質的に覆う寸法および形状にされた第1の層と、
前記第1の層に接続され、前記手の前記背面側の少なくとも指部を実質的に覆う寸法および形状にされ、前記指部の縁部に沿って前記第1の層に取り付けられ、自由端を有する第2の層と、
前記第2の層の前記自由端につながれたプルタブであって、当該プルタブを前記手首位置に向かって引っ張ることにより、前記手の網を前記グローブの内面に対して位置合わせするプルタブとを備えている、調節可能なグローブ。
【請求項19】
前記第1の層および前記第2の層に接続され、前記第1の層と前記第2の層との間に配置された第3の層と、
前記第3の層の第1の側に接続され、前記第3の層に取り外し可能に取り付けることのできる幅調節ストラップとをさらに備え、
前記幅調節ストラップは、前記グローブを前記手に対して締め付ける、請求項18に記載の調節可能なグローブ。
【請求項20】
前記グローブの手首部において、前記グローブの第1の側に固定的に取り付けられた第1の端部と、前記グローブの前記手首部に取り外し可能に取り付けることのできる第2の端部とを備えた手首調節ストラップをさらに備え、
前記手首調節ストラップは、引っ張られたときに、前記グローブを前記手首に対して締め付ける、請求項18に記載の調節可能なグローブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2010−525889(P2010−525889A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506595(P2010−506595)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/061975
【国際公開番号】WO2008/134705
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】