説明

講演システム及び講演方法並びに講演プログラム

【課題】講演の進行を妨げることなく、受講者との間で質疑応答を行うことができる講演システムを提供する。
【解決手段】講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューター2と、受信した講演データを受講者10に提示するクライアントコンピューター3とを電気通信回線網4で接続した講演システム1及び講演方法並びに講演プログラムにおいて、サーバーコンピューター2からクライアントコンピューター3に講演データを送信するとともに、サーバーコンピューター2から予め登録した受講者10の携帯電話機11に講演データとは別個に受講者10への質問内容を記録した質問データを送信し、受講者10の携帯電話機11からサーバーコンピュータ2に受講者10の回答を記録した回答データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューターと、受信した講演データを受講者に提示するクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続した講演システム及び講演方法並びに講演プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表される電気通信回線網の普及や高速化に伴い、遠隔地や複数会場などで講演を受講することができる講演システムが開発されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この講演システムでは、講演者側(主催者側)のサーバーコンピューターと受講者側のクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続し、講演者の講演内容を記録した講演データをサーバーコンピューターからクライアントコンピューターに配信して、受講者がクライアントコンピューターを用いて講演を受講することができるようになっている。
【0004】
そして、従来の講演システムにおいては、講演者の生の講演を視聴する場合に比べて臨場感や緊張感に欠けるおそれがあるために、それを補うように講演の途中で講演内容に即した質疑応答を行えるようにしている。
【0005】
たとえば、各受講者が自身のクライアントコンピューターを用いて受講する場合には、サーバーコンピューターから各クライアントコンピューターに講演データとともに質問内容を記録した質問データを送信し、それに対する受講者の回答を記録した回答データを各クライアントコンピューターからサーバーコンピューターに送信するようにしている。また、複数の受講者が1台のクライアントコンピューターを用いて同時に受講する場合には、クライアントコンピューターに接続される専用端末装置を各受講者に配布し、サーバーコンピューターからクライアントコンピューターに講演データとともに質問データを送信し、それに対する受講者の回答を専用端末装置からクライアントコンピューターが受信して回答データを作成し、その回答データをクライアントコンピューターからサーバーコンピューターに送信するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−250016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の講演システムでは、サーバーコンピューターからクライアントコンピューターに講演データと質問データとを送信するとともに、サーバーコンピューターが回答データをクライアントコンピューターから受信するように構成しているために、講演データと質問データと回答データとがサーバーコンピューターとクライアントコンピューターとの間で同一の回線を用いて送受信されることになり、回線への負荷が増大して講演の円滑な進行が妨げられるおそれがあった。
【0008】
特に、各受講者が専用の端末装置を用いる場合には、受講者数分の専用端末装置の準備や配布や回収などの作業が必要となり、講演者(主催者)の負担となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、請求項1に係る本発明では、講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューターと、受信した講演データを受講者に提示するクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続した講演システムにおいて、サーバーコンピューターは、講演データをクライアントコンピューターに送信するとともに、講演データとは別個に受講者への質問内容を記録した質問データを予め登録した受講者の携帯電話機に送信し、受講者の回答を記録した回答データを受講者の携帯電話機から受信することにした。
【0010】
また、請求項2に係る本発明では、講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューターと、受信した講演データを受講者に提示するクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続して講演を行う講演方法において、サーバーコンピューターからクライアントコンピューターに講演データを送信するとともに、サーバーコンピューターから予め登録した受講者の携帯電話機に講演データとは別個に受講者への質問内容を記録した質問データを送信し、受講者の携帯電話機からサーバーコンピューターに受講者の回答を記録した回答データを送信することにした。
【0011】
また、請求項3に係る本発明では、講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューターと、受信した講演データを受講者に提示するクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続した講演システムを用いて講演を行わせる講演プログラムにおいて、サーバーコンピューターからクライアントコンピューターに講演データを送信するとともに、サーバーコンピューターから予め登録した受講者の携帯電話機に講演データとは別個に受講者への質問内容を記録した質問データを送信し、受講者の携帯電話機からサーバーコンピューターに受講者の回答を記録した回答データを送信することにした。
【発明の効果】
【0012】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明では、サーバーコンピューターが質問データを講演データとは別個に受講者の携帯電話機に送信するとともに、回答データを携帯電話機から受信するようにしているために、受講者数分の専用端末装置の準備や配布や回収などといった作業負担がなく、しかも、講演データと質問データ及び回答データとで異なる回線を使用することができるので、講演データの送信に使用する回線への負荷の増大を防止して、講演を円滑に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】講演システムを模式的に示す説明図。
【図2】講演データと質問データの流れを模式的に示す説明図。
【図3】講演データと回答データの流れを模式的に示す説明図。
【図4】講演方法を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る講演システム及び講演方法並びに講演プログラムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1〜図3に示すように、講演システム1は、サーバーコンピューター2とクライアントコンピューター3とをインターネット等の電気通信回線網4で接続して、相互にデータの送受信が行えるように構成している。
【0017】
サーバーコンピューター2は、講演者5の講演内容を記録した講演データ6を電気通信回線網4を介してクライアントコンピューター3へと送信する。このサーバーコンピューター2には、講演者5が作成した講演資料を保存したコンピューター7や講演者5の音声を録音するマイク8や講演者5の映像を撮影するカメラ9が接続されており、講演資料や音声や映像などに基づいてサーバーコンピューター2で講演データ6を作成し、記憶媒体に記憶する。なお、サーバーコンピューター2は、講演データ6を電気通信回線網4を介してクライアントコンピューター3に送信できればよく、講演データ6の作成や記憶は別個の装置を用いてもよい。また、講演データ6は、講演資料と音声と映像などから構成された講演者5の講演内容を記録したデータで、クライアントコンピューター3で表示できるデータであればよく、また、講演者5の講演と同時にリアルタイムで送信するデータであっても、或いは、講演者5の講演を一旦保存して後から送信するデータであってもよい。
【0018】
クライアントコンピューター3は、サーバーコンピューター2が送信した講演データ6を受信し、その講演データ6を表示装置等を用いて受講者10に提示する。なお、クライアントコンピューター3は、受信した講演データ6を受講者10に提示できればよく、いわゆるコンピューターと表示装置との組み合わせであっても、或いは、表示装置にコンピューター機能(通信機能)を内蔵させたものであってもよい。また、クライアントコンピューター3は、1台(1会場)であっても複数台(複数会場)であってもよい。
【0019】
さらに、講演システム1では、サーバーコンピューター2が各受講者10の携帯電話機11とも電気通信回線網4を介して接続されている。
【0020】
これにより、講演システム1では、サーバーコンピューター2から各受講者10の携帯電話機11に向けて受講者10への質問内容を記録した質問データ12を送信することができ、また、携帯電話機11からサーバーコンピューター2に向けて受講者10の回答を記録した回答データ13を送信することができるようになっている。なお、携帯電話機11は、電気通信回線網4を介してサーバーコンピューター2との間でデータの送受信ができ、質問データ12を提示するとともに回答データ13を作成し送信できればよく、電気通信回線網4との通信は電話回線を用いても、或いは、無線LAN回線等を用いてもよい。また、質問データ12は、携帯電話機11で表示できるデータであればよく、質問内容だけからなるデータでもよく、また、質問内容とそれに対する回答の選択肢などを含むデータでもよい。また、回答データ13は、質問データ12の質問内容に対する回答を記録したデータであり、文章からなるデータでもよく、いずれかの選択肢だけからなるデータでもよい。
【0021】
講演システム1は、以上に説明したように構成しており、サーバーコンピューター2で読み取り可能な記憶媒体に記憶した講演プログラム(講演方法)にしたがって講演を行う。
【0022】
講演プログラムでは、図4に示すように、まず、受講者10の携帯電話機11をサーバーコンピューター2に予め登録しておく。具体的には、受講者10の携帯電話機11を用いてサーバーコンピューター2にアクセスし、携帯電話機11からサーバーコンピューター2に登録の要求を行い、それを受付けたサーバーコンピューター2で携帯電話機11の登録を行う。なお、この登録は、講演を開始する前に限られず、講演を開始した後でも行えるようにしてもよい。また、会場で配布した2次元バーコード等を受講者10が携帯電話機11で読み込むことにより自動的に登録されるようにしてもよい。
【0023】
次に、講演プログラムでは、講演を開始する。具体的には、サーバーコンピューター2がクライアントコンピューター3に講演データ6を継続して送信し、クライアントコンピューター3が受信した講演データ6を受講者10に継続して提示する。なお、講演データ6の送受信は以下の受講者10との間での質疑応答時においても継続して行う。
【0024】
そして、講演の途中で受講者10に質問する場合には、サーバーコンピューター2が受講者10の携帯電話機11からのアクセスを許可して質問の受付けを開始し、質問内容を含むデータを講演データ6としてクライアントコンピューター3に送信し、クライアントコンピューター3が受講者10に質問内容を提示する。また、サーバーコンピューター2が携帯電話機11からのアクセスを受けて携帯電話機11に質問内容を記録した質問データ12を送信し、携帯電話機11が受講者10に質問内容を提示する。
【0025】
このように、講演システム1では、受講者10への質問時に、講演データ6をサーバーコンピューター2からクライアントコンピューター3に送信するとともに、質問データ12を講演データ6とは別個にサーバーコンピューター2から受講者10の携帯電話機11に送信する(図2参照。)。すなわち、講演データ6は、サーバーコンピューター2とクライアントコンピューター3とを繋ぐ回線を用いて送信され、一方、質問データ12は、サーバーコンピューター2と携帯電話機11とを繋ぐ回線を用いて送信される。
【0026】
また、受講者10が回答する場合には、受講者10が携帯電話機11を用いて質問内容に対する回答を記録した回答データ13を作成し、携帯電話機11がサーバーコンピューター2に回答データ13を送信する。
【0027】
このように、講演システム1では、受講者10からの回答時に、講演データ6をサーバーコンピューター2からクライアントコンピューター3に送信するとともに、回答データ13を携帯電話機11からサーバーコンピューター2に送信する(図3参照。)。すなわち、講演データ6は、サーバーコンピューター2とクライアントコンピューター3とを繋ぐ回線を用いて送信され、一方、回答データ13は、サーバーコンピューター2と携帯電話機11とを繋ぐ回線を用いて送信される。
【0028】
次に、講演プログラムでは、サーバーコンピューター2が質問の受付を終了して携帯電話機11からのアクセスを拒否し、それまでに受信した回答データ13に基づいて集計を行い、集計結果を含むデータを講演データ6としてクライアントコンピューター3に送信し、クライアントコンピューター3が受講者10に集計結果を提示する。なお、集計結果をサーバーコンピューター2から携帯電話機11に送信するようにしてもよい。
【0029】
ここで、講演プログラムでは、質問の受付を終了すると同時に携帯電話機11からのアクセスを拒否しているが、質問受付終了後であっても携帯電話機11からのアクセスを認めて携帯電話機11からサーバーコンピューター2に回答データ13を送信できるようにしてもよい。この場合、携帯電話機11からサーバーコンピューター2に送信された全ての(質問受付終了前後の)回答データ13を受信時刻とともに記憶しておき、質問受付終了前に送信された回答データ13だけを用いて受講者10に提示する集計結果を作成する。このように、質問受付終了前後に送信された回答データ13を受信時刻とともに記憶しておくことで、質問受付終了前に送信された回答データ13だけの集計結果や、質問受付終了前後に送信された全ての回答データ13による集計結果や、質問受付終了後に送信された回答データ13だけの集計結果などを適宜作成することができる。そして、受講者10に提示する集計結果として質問受付終了前に送信された回答データ13だけの集計結果を用いることで、質問受付終了後に受講者10に提示する集計結果が変動してしまうのを防止できる。また、質問受付終了前後に送信された全ての回答データ13を用いることで、より多くの回答数の回答データ13に基づく集計結果を得ることができる。さらに、質問受付終了前後に送信された回答データ13を受信時刻とともに記憶しておくことで、質問受付終了前と後での回答傾向の分析や回答時間(質問受付けから回答までの経過時間)による回答傾向の分析などを行うこともできる。
【0030】
その後、質疑応答を複数回行う場合には、上記処理を繰返し実行する。これにより、講演システム1では、講演データ6による講演内容と連携した質疑応答を行うことができ、受講者10の臨場感や緊張感を増大させることができる。なお、講演システム1は、全ての受講者10が携帯電話機11を用いて回答する場合に限られず、一部の受講者10が各自のクライアントコンピューター3や各自に配布された専用端末装置などを用いて回答する場合にも適用できる。
【0031】
以上に説明したように、上記講演システム1は、サーバーコンピューター2が、講演データ6をクライアントコンピューター3に送信するとともに、講演データ6とは別個に受講者10への質問内容を記録した質問データ12を予め登録した受講者10の携帯電話機11に送信し、受講者10の回答を記録した回答データ13を受講者10の携帯電話機11から受信する構成となっている。
【0032】
このように、上記構成の講演システム1では、サーバーコンピューター2が質問データ12を講演データ6とは別個に受講者10の携帯電話機11に送信するとともに、回答データ13を携帯電話機11から受信するようにしているために、受講者数分の専用端末装置の準備や配布や回収などといった作業負担が必要なくなり、しかも、講演データ6と質問データ12及び回答データ13とで異なる回線を使用することができるので、講演データ6の送信に使用する回線への負荷の増大を防止して、講演を円滑に進行させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 講演システム 2 サーバーコンピューター
3 クライアントコンピューター 4 電気通信回線網
5 講演者 6 講演データ
7 コンピューター 8 マイク
9 カメラ 10 受講者
11 携帯電話機 12 質問データ
13 回答データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューターと、受信した講演データを受講者に提示するクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続した講演システムにおいて、
サーバーコンピューターは、講演データをクライアントコンピューターに送信するとともに、講演データとは別個に受講者への質問内容を記録した質問データを予め登録した受講者の携帯電話機に送信し、受講者の回答を記録した回答データを受講者の携帯電話機から受信することを特徴とする講演システム。
【請求項2】
講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューターと、受信した講演データを受講者に提示するクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続して講演を行う講演方法において、
サーバーコンピューターからクライアントコンピューターに講演データを送信するとともに、サーバーコンピューターから予め登録した受講者の携帯電話機に講演データとは別個に受講者への質問内容を記録した質問データを送信し、受講者の携帯電話機からサーバーコンピューターに受講者の回答を記録した回答データを送信することを特徴とする講演方法。
【請求項3】
講演者の講演内容を記録した講演データを送信するサーバーコンピューターと、受信した講演データを受講者に提示するクライアントコンピューターとを電気通信回線網で接続した講演システムを用いて講演を行わせる講演プログラムにおいて、
サーバーコンピューターからクライアントコンピューターに講演データを送信するとともに、サーバーコンピューターから予め登録した受講者の携帯電話機に講演データとは別個に受講者への質問内容を記録した質問データを送信し、受講者の携帯電話機からサーバーコンピューターに受講者の回答を記録した回答データを送信することを特徴とする講演プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−41480(P2013−41480A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178696(P2011−178696)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(306012444)木村情報技術株式会社 (3)
【Fターム(参考)】