識別マーク
【課題】残膜があったとしても認識マークを精度良く識別する事を目的とする。
【解決手段】ドット1の周囲にもしくは重なり部分を持たせて微小ドット2を配置することで、認識したい識別マークを構成するドットの端面長さを長くし、あるいは光の反射面である表面積を増加することができるため、照射された光の反射部が多くなり、認識率を上げてトレーサビリティーを確保することができる。
【解決手段】ドット1の周囲にもしくは重なり部分を持たせて微小ドット2を配置することで、認識したい識別マークを構成するドットの端面長さを長くし、あるいは光の反射面である表面積を増加することができるため、照射された光の反射部が多くなり、認識率を上げてトレーサビリティーを確保することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品等の個体認識などに用いるID(Identificationの略)等の認識マークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の製造において、ID等の識別マークを読み取ることによるトレーサビリティー確保が重要となっている。例えば、半導体ウェーハの製造管理手法においても、ウェーハの表面にIDを2次元コード(以下、2Dコードという)等で刻印し、必要なタイミングでID確認を行うことで、ウェーハの処理履歴を間違いなく記録・管理することが行われている。これらは、ウェーハの歩留まり向上などに必要なデータ取得に必須な技術である。
【0003】
2Dコードや英数文字は、例えば、SEMI−T7(SEMIスタンダードの規格番号)やSEMI−M12といった規格からも分かるように、直径100μmのドットを配列したもので刻印される。これらのコードや英数文字は、このドット1つ1つを認識することで、IDを確認している。
【0004】
従来のドット認識は、特許文献1に示すように、凹形状のドットを形成し、斜光照明や垂直照明を当てることでドットの周辺部を撮像してドットの認識を行っている。この際、斜光照明にするか垂直照明にするかは、例えばウェーハ表面上の堆積膜種類によって条件切り替えなどを行っている。更に、凹形状のドットだけではなく、凸形状のドットを採用することで更にドットの認識率向上を図る取り組みもなされていた。
【0005】
簡単に図16を用いてドット認識の原理を説明する。
図16は従来のドット認識方法を説明する断面図である。
図16において、5は光源であり、6はID読み取り用のカメラである。51は従来ドットであり凹形状の断面が記載されており、例えば、直径100μmの穴である。光源5にて、ドット51の上部から光を照射すると、例えばシリコンで形成されたウェーハでは、ドット51およびその周辺で光の反射が起こるはずである。ドットの認識方法には2種類の照明の当て方があり、暗視野方式と明視野方式がある。例えば暗視野方式では、カメラの光軸とは同軸でない傾いた位置にある光源5からの光を対象物に照射し、例えば対象物にある凹凸などで反射した光の一部がカメラ6に入射して、対象物上にできたコントラストを認識する方式である。例えば、本事例でのドット51の穴内に当たった光および対象物の平面部に当たった光は反射してカメラ6に戻ることは無い。また、ドット51の端部に当たった光の一部は対象物面から凹形状面の連続する反射面のどこか、例えば凹形状の穴の端面にて光源5の光をカメラ6に反射させる反射面が、存在する為カメラ6に強く入射し、その周辺に当たった光もカメラ6にほんの一部しか入射しない。そのため、ドットだけが明るい丸状にドット認識される。このように光ったドット配列をカメラ6で認識して、2Dコードや英数文字認識を行っていた。
【0006】
一方明視野方式では、カメラの光軸と同軸の位置にある光源5からの光を対象物に照射し、例えば対象物にある凹凸などで反射しなかった部分を、光が反射してカメラに入射した光の中の暗くなった対象物上にできたコントラストから認識する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−209918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、半導体ウェーハの微細化や使用材料の多様化に伴う加工技術の難しさの高度化により、ウェーハ表面のID形成部にプロセス処理結果による残膜が発生する場合がある。そのため、従来のドットでは、IDを読み取ろうとしても、残膜の下にあるドットを簡単には読取れなくなっている。よって、トレーサビリティーの確保ができない状況が発生するという問題点があった。
【0009】
簡単に図17を用いてドット読み取り不良について説明する。
図17は従来のドット読み取り不良を説明する図である。
図17において、ドット51が数字の1を形成しており、4は残膜を示している。例えば数字の1の一部のドット51上に残膜4が存在する場合、光を照射してドット51を認識しようとしても、カメラ認識画面イメージでは、数字の1が完全に認識できなくなる。この場合、ドットで形成した数字を読み取ることができず、つまりNG判定となる。
【0010】
そのため、残膜を取り除く技術開発と併せて、残膜があってもドット等の認識マークが読取れる技術の開発が待たれていた。
本発明は、上記の様な課題を解決するためになされたものであり、残膜があったとしても認識マークを精度良く識別する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の半導体装置は、照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、第1のマークと、前記第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークとを有し、前記第1のマークと前記1または複数の第2のマークとを一要素とし、1または複数の前記要素により形成されることを特徴とする。
【0012】
また、照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、行列配置される複数の第1のマークと、前記各第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークとを有し、前記行列配置された第1のマークと前記第2のマークとを一つの要素とし、複数の前記要素により形成されることを特徴とする。
【0013】
また、対応する前記第1のマークと前記第2のマークとが、部分的に重なることが好ましい。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークがドットであることが好ましい。
【0014】
また、前記第2のマークが前記第1のマークより平面視面積が小さいことが好ましい。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形または方形であることが好ましい。
【0015】
また、前記第2のマークの直径または対辺長さが前記第1のマークの直径または対辺長さの1/8以上で1/2以下であることが好ましい。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形であり、前記第1のマークの円周上に前記第2のマークの中心が存在することが好ましい。
【0016】
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが方形であり、前記第1のマークの辺上に前記第2のマークの対角線が存在することが好ましい。
また、前記第1のマークの列間隔が前記第1のマークの行方向に平行な幅の3倍以下であることが好ましい。
【0017】
また、前記第1のマークに対応して設けられる前記第2のマークを複数個設けることもできる。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが凹形状に形成されることが好ましい。
【0018】
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが凸形状に形成されることが好ましい。
以上により、残膜があったとしても認識マークを精度良く識別することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、識別マークの周囲にもしくは重なり部分を持たせて補助的な識別マークを配置することで、認識したい識別マークの端面長さを長くし、あるいは光の反射面である表面積を増加することができるため、照射された光の反射部が多くなり、認識率を上げてトレーサビリティーを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態における識別マークの形状を説明する図
【図2】第1の実施形態におけるドットの反射率の制御方法を説明する図
【図3】第1の実施形態における微小ドットの形成位置を説明する図
【図4】第1の実施形態における微小ドットと光反射面との交差角度を説明する図
【図5】第1の実施形態における微小ドットの反射を示す平面図
【図6】第1の実施形態における認識マークと残膜との関係を示す平面図
【図7】第1の実施形態における光源位置を示す側面図
【図8】従来の4×4画素領域でのドット読み取りのドット認識した画素配列を説明する図
【図9】従来の3×3画素領域でのドット読み取りのドット認識した画素配列を説明する図
【図10】従来の画素領域での画素数とドット認識した画素配列を説明する図
【図11】第1の実施形態における微小ドットによるドット認識した画素配列を説明する図
【図12】第1の実施形態における微小ドットの大きさとドット認識した画素配列を説明する図
【図13】第2の実施形態における認識マークの構成を示す図
【図14】第2の実施形態の認識マークに対して光を照射する様子を示す図
【図15】第2の実施形態の認識マークにおける反射光の様子を示す図
【図16】従来のドット認識方法を説明する断面図
【図17】従来のドット読み取り不良を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態における識別マークについて、ドットを形成した半導体装置を例に、図1〜図12を参照しながら説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付する。
【0022】
図1は第1の実施形態における識別マークの形状を説明する図であり、半導体装置のドットが形成された部分を拡大した図で、図1(a)は円形の、図1(b)は角部が丸い方形のドットを示す。図2〜図4は第1の実施形態におけるドットの反射率の制御方法を説明する断面図、図5は第1の実施形態における微小ドットの反射を示す平面図、図6は第1の実施形態における認識マークと残膜との関係を示す平面図、図7は第1の実施形態における光源位置を示す側面図である。
【0023】
図1において、ウェーハ表面に設けられた凹形状のドット1、ウェーハ表面に設けられた補助的なドットである凹形状の微小ドット2が形成され、微小ドット2は一部がドット1と重なるように加工されている。7は、前記微小ドット2の直径(図1(a)の場合)を表し、8は対辺長さ(図1(b)の場合)を表す。また、ドットの形状は、上記のような凹形状に限らず、凸形状であってもかまわない。また、微小ドット2はドット1と必ずしも重ねる必要はなく、ドット1の近傍に形成することもできる。
【0024】
なお、図1(a)において、破線はドット1の外周の一部が微小ドット2に切り取られた部分を表す。一点鎖線はドット1の外周を通る円の直径を含む線であって、2本の線が互いに直交する。これら2本の一点鎖線の交点がドット1の中心を示す。また、図1(b)において、破線はドット1の外周の一部が微小ドット2に切り取られた部分を表す。一点鎖線はドット1の外周を通る方形の対角線を含む線であって、2本の線が互いに直交する。これら2本の一点鎖線の交点がドット1の重心を示す。また、2重線2点鎖線は、ドットの占有する領域を示したものである。
【0025】
なお、ここで半導体装置は、例えばシリコンウェーハ(シリコン基板)上に形成された大規模集積回路(LSI)であり、ドットが形成された部分は、半導体装置の1つの端部に形成されている。
【0026】
ドット1および微小ドット2のシリコンウェーハでの加工方法は、例えばレーザ照射によるシリコンの溶融もしくは一部蒸発による加工等により行われる。図1(a)の場合、穴の深さは穴の半径とほぼ同じになるように形成する。つまり、ドット1と微小ドット2では加工される穴の半径がr1(ドット1)>r2(微小ドット2)となるため、深さが違うことになり、微小ドット2のほうがドット1よりも浅いものとなる。図1(b)の場合についても、微小ドット2のほうがドット1よりも浅いドットとなるように形成する。このように、微小ドット2をドット1よりも浅く形成することにより、2重線2点鎖線で示すドット占有領域内で、ドット1の単純円形状もしくは方形状のドット端部長さもしくは周辺長を、複数の微小ドット2の端部を連続的に加えることができ、端部長さを長くすることができる。ちなみにドット占有領域を規定する目的は、カメラ認識におけるドットの設定領域は単純円形状や単純方形状で設定されることによる。
【0027】
本実施形態にて検討した、ドットの具体的な大きさを以下に例示する。図1(a)に示すドットでは、ドット1の半径は60μmであり、微小ドット2の半径は10μmである。また、図1(a)に示すドットでは、ドット1の深さは60μmであり、微小ドット2の深さは10μmである。
【0028】
図1(b)に示すドットでは、ドット1の一辺の長さは120μmであり、微小ドット2の一辺の長さは40μmである。角の丸み部分は、半径が20μmの円弧である。また、図1(b)に示すドットでは、ドット1の深さは60μmであり、微小ドット2の深さは 20μmである。
【0029】
上記図1(a)、図1(b)に示すドットを有する半導体装置は、微小ドット2が存在することにより、ドット1の面積を大きくすることなくドット全体の開口面積あるいは開口部の周辺長を長くすることができるため、識別マークであるドット全体の反射率を向上させることができ、ドット1の認識性を向上させることができる。
【0030】
次に、図2〜図4に示す断面図を用いて、ドット1と、微小ドット2との重なり具合により、ドットの反射率が制御できることを説明する。
ドット1と微小ドット2a、2b、2cの重なり具合と断面形状の違いを図3,図4に示す。ここでは、図1(a)に示すような平面形状が円形のドットを球形の部分形状の凹形状に形成した場合を例に説明する。
【0031】
図2において、微小ドット2aの外周部から引き出された垂線とドット1の1点鎖線とが交差する部分は、微小ドット2を形成する際のレーザ光照射の中心位置である。また、その時できた微小ドット2によってドット1にできた端部の段差の深さを交差深さ10とする。また、微小ドット2を形成した際に、光反射対象物表面における微小ドット2の接線(2点鎖線)と光反射対象物表面との交差する角度を交差角度11とする。
【0032】
図3の各図において、ドット1の中心を通る線(1点鎖線で示されている)と微小ドット2a、2b、2cとの接線(破線で示されている)の交差する位置に関して説明をする。図3(a)は、微小ドット2aの中心がドット1の円周とほぼ重なる場合、図3(b)は、微小ドット2bの中心がドット1の円周より内側(すなわちドット1の円周より中心に近い側)に来る場合、図3(c)は微小ドット2cの中心がドット1の円周より外側(すなわちドット1の円周からみて外側)に来る場合をそれぞれ示す。
【0033】
これら図3(a)〜(c)に対応して、図4では、図4(a)は、交差角度11aがほぼ90度となる場合を示す。図4(b)は、交差角度11bが45度〜90度となる場合を示す。図4(c)は、交差角度11cが0度〜45度になる場合を示す。
【0034】
これらの角度は、ドット1の上部から光を照射した際に、半導体装置を写す位置に設けたカメラ(図示せず)への反射率や反射量を微小ドット2で調節できることを表している特に交差角度11が小さくなれば光の反射光量が多くなる。よって、微小ドット2の刻印位置によって半導体装置を写す位置に設けたカメラ(図示せず)への反射率や反射量を微小ドット2で調節できることを表している。
【0035】
更に、微小ドット2のドット1に対する配置の仕方や数を変えることで、ドット1の反射率や反射量を調節でき、反射量を増大させることによりドット1の認識を容易にすることができる。
【0036】
ドット1の認識を容易にできることを示すために、図1に示すドットについて、ドットの上部から光を照射した場合について、図5を用いて説明する。
図5は、ドット1の上部からの光を大きく反射させることができた状態を表しており、3はその反射部である。このように、大きく反射するドットを形成することにより、反射量が大きくなって反射光が残膜を透過することができるため、ドット1の認識が容易になるのである。なお、図2〜図4で示すようにドット1とドット2との重なり具合を調節すれば、ドットの反射率をより高めることができるので、さらにドット1の認識性が向上する。
【0037】
図1に示すドット1および微小ドット2を用いて、すなわち1つのドット1と1つの微小ドット2との対で認識マークの一要素として半導体装置上に複数の要素からなる認識マークを形成した場合の、認識マークの認識の様子を図6に示す。この図6においては、図16で示した残膜4がドット1上にあっても微小ドット2の大きな反射率の作用により反射部3が確認できたことを示している。図6は、数字の1が認識できることを示す。
【0038】
ここで、残膜4について説明する。例えば、半導体のプロセスで形成される積層膜において、光を全く透過させない材質や膜厚の状態のものもあれば、膜厚が薄く光を一部透過させるものも存在する。ここでは、光を透過させるTEOS膜(ガラスSiとOの化合物)といった膜での顕著な効果を示している。当然、TEOS膜に限るものでもない。
【0039】
図7に、図5で示したドット1の上部からの光を大きく反射させる為の光源5の調節領域を示す。なお、ここで煩雑さを避けるため、微小ドット2は図示していない。また、光源5は、その放射光の光軸が対象のドット1にあたるように位置づけられている。光源5の位置は、ウェーハ表面から10度〜70度情報の範囲に配置することで、端部を強く光らせることができる。これは、レーザ照射や仮に切削加工で凹形状に穴を加工しても、その端部は決して90度で加工できるわけではなく、レーザ加工の場合は端部の溶融や、切削加工の場合は欠けやバリの面取りでできた面取り面で交差角度が必ず発生することによる。
【0040】
図5〜図7で示された結果について以下に考察する。
ウェーハ表面のID形成部にプロセス処理結果による残膜が発生した場合、図17に示すような従来の認識マークは、ドット1が凹形状の場合、ドット1の端部だけの反射光で読み取ろうとされるため、残膜4の下にある1つもしくは複数個のドット1を読み取れなくなっていた。これに対し、本発明のように微細ドット2をドット1に重なるように1または複数個配列することで認識したい凹形状のドット1の端面長さ(すなわち縁部の長さ)を長くすることができるため(凸形状のドット1の場合は、表面積を大きくできるため)、照射された光の反射部が多くなって認識率を上げる事ができ、トレーサビリティーを確保できるようになる。さらに、光源5のドットに対する入射角度を適切に制御することで、認識率を向上することができる。
【0041】
次に、この実施の形態におけるドットの関係寸法を述べる。微小ドット2の直径7もしくは対辺長さ8を認識用のドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上1/2以下とすることで最も光の反射を大きくすることができ、好ましい。図1に示す例では、1/6の直径で微小ドット2を設けている。
【0042】
ここで、微小ドット2の直径7もしくは対辺長さ8を認識用のドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上1/2以下とすることで最も光の反射を大きくとれるのは、以下の理由による。
【0043】
図8から図12を使い詳しく説明をする。
図8は、暗視野によるドット認識での反射光もしくは明視野によるドット認識での反射光の無い領域を示す。一点鎖線で囲まれた四角形はカメラの画素の1つを現す。この1つ1つが例えば反射光の輝度を感知してドットの有無を認識する。まず、ドットを4×4の16画素領域内で認識する場合であるが(図8(a))、ドットのカメラに写る位置によって、ドットの有無を12画素(図8(b))、11画素(図8(c))、9画素(図8(d))と様々な画素配置で認識するのが分かる。ここで、各12画素、11画素、9画素認識であっても必ず2×3の6画素領域が必ず含まれていることも分かる。
【0044】
参考として、図9を用いて3×3の9画素領域(図9(a))でドット認識をする場合について述べる。ドットのカメラに写る位置によって、ドットの有無を5画素(図9(b))、4画素(図9(c),(d))と様々な画素配置で認識するのが分かる。ここで、各5画素、4画素認識であっても必ず3画素領域が必ず含まれていることも分かるが、その配列はくの字に曲がった配列であることもわかる。特に図図9(c)の場合、ドットの輝度の感知のバラツキによっては2画素認識になる可能性もあり、安定してドット認識を行なうには認識画素数が不充分となる可能性が大きい。ちなみに、ドットを認識するための画素の数は、カメラのレンズの拡大率とCCD(charge coupled device image sensor)のイメージセンサー数との関係で決められる。
【0045】
図10にドットを、4×4の16画素領域認識(図10(a))、8×8の64画素領域認識(図10(b))、16×16の256画素領域認識(図10(c))する場合を示したが、認識画素数が多くなればなるほど正確にドットを認識できることは容易にわかる。今回は、4×4の16画素領域認識といった低倍率で少ない画素数のシステムでの更なる認識率向上の要求があり、認識率を向上させる微小ドットの大きさについて述べる。
【0046】
図11は従来(図11(a))と本発明(図11(b))の画素領域認識を比較する図であり、4×4の16画素領域認識での従来のドットに微小ドットを配列することで、例えば明視野での光無反射のドット形状が、4×4の16画素領域の12画素認識であったのが、ドット全体の16画素領域で認識されているのが分かる。この時の微小ドットはドットの1/4の半径で微小ドットを形成した場合を示した。このように、ドット認識数が増加することで安定してドット認識できることが分かる。しかし、隣接する複数のドットが、文字や数字や記号の形状に配列されて始めて、文字や数字や記号として認識されなければならないため、ドットとして認識される大きさ1つ1つには最大の大きさが存在する。
【0047】
図12で、現状の文字の規格(例えばSEMIフォント)で文字認識する場合の微小ドットサイズを更に具体的に説明する。図12(a)では、ドットと組み合わせる微小ドットの半径を1/2にした場合であり、ドットの外周に4つ配置した例である。従来は左側の図に示す11画素で認識していたのが、19画素にまで斜線で示した画素部分で増加させることができた。ドットが占有する領域を四角形で定義した際に、最大でドットの半径の1/2で画素認識数を向上させることが有効であることが分かった。このとき、ドットと微小ドットの大きさの関係から重なり量や配置は図12に図示した4つを外周に配置する場合に限るものではない。また、図12(b)では、ドットと組み合わせる微小ドットの半径を1/8にした場合である。微小ドットの半径を最小で1/8にすることで、従来は左側の図に示す12画素で認識していたのが、16画素にまで斜線部の画素部で増加させることができた。特に、ドットと画素の位置関係によっては1/8以上で充分に効果を上げることができることがドット配置検証や実験でも実証された。このときの重なり量や配置も図12に限るものではない。
【0048】
ちなみに、明視野の例で説明を行ったが、暗視野のドットの光る場合でも同じく微小ドットによる認識画素数の増加があることが分かっている。
また、この説明では円形状を使って作用を示したが、円形状に限るものではなく方形状でも構わない。またドットと微小ドットを接するように配置しているが、接し方や重なり方はこの配置に限るものではない。
【0049】
すなわち、微小ドット2について、ドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上とすれば、反射率の大きい微小ドット2の面積を大きく取ることができ、ドット1および微小ドット2からの光量を大きくとることができる。また、微小ドット2についてドット1の直径もしくは対辺長さの1/2以下とすれば、ドット1と微小ドット2とを合わせた端面長さを大きくできる。これらのことから、微小ドット2の直径もしくは対辺長さを認識用のドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上1/2以下とすることで最も光の反射を大きくとれるのである。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における識別マークについて、ドットを形成した半導体装置を例に、図13〜図15を参照しながら説明する。
【0050】
図13は第2の実施形態における認識マークの構成を示す図、図14は第2の実施形態の認識マークに対して光を照射する様子を示す図、図15は第2の実施形態の認識マークにおける反射光の様子を示す図である。
【0051】
第1の実施形態では、ドット1と微小ドット2(図1等参照)とを一要素として、複数の要素により認識マークを形成したが、本実施形態では、第1の実施形態で示したようなドット1および微小ドット(図示せず)を互いの列間距離が一定となるように複数組行列配置したものを単体ドットとして一要素とし、複数の要素により認識マークを形成することを特徴とする。図13では、ドット1の互いの中心間距離がドット1の幅の1倍(図13(a))と1.5倍(図13(b))の場合を示した。
【0052】
例えば、ドット1は円形でその半径は20μm、深さは20μmである。ドット1の大きさは、第1の実施形態で示すドット1の大きさの約1/3である。また、微小ドットの大きさは、この第2の実施形態で示すドット1の大きさの約1/2とすることができる。また、ドット1の形態は、第1の実施形態と同様に円形でも方形でも良く、さらに、凹形状でも凸形状でも良い。
【0053】
単体ドットとして、図13の紙面において上から下へはドット1が3つ接するように配列され、それが一定の間隔で2列に配列されている。すなわち、2列3行(以下、2×3列という)のドット配列で1つの単体ドットを構成する。図13において、実線がドット間の間隔、破線がドットが形成された領域、一点鎖線が2×3列に配列されたドットの集合の中心および実施形態1で示したドット1の円周の大きさを示す。
【0054】
図14は、図13に示す2×3列のドット1で認識用の単体ドットを形成し、光源5によりドット1端部を光らせた様子を示す図である。図14(a)が本実施形態を示す図、図14(b)が第1の実施形態に係るドット1の場合を示す図である。図15は、図13に示す2×3列のドット1と実施形態1に示すドット1との光反射の様子を示す図である。図15(a)が本実施形態を示す図、図15(b)が第1の実施形態に係るドット1の場合を示す図である。なお、図14、図15において煩雑さを避けるため、微小ドットの記載は省略した。
【0055】
図14に示すように、ドットを複数列配列して単体ドットを形成することにより、従来は反射部3が1つでドットの有無を判別していたが、複数個の、例えば2×3の6の反射部3でドットの有無を判別できることになり、従来の1つの反射部3より6つの反射部3の方が反射光の光量が向上し認識率が向上する。
【0056】
また、図15ではドット配列の間隔を、反射光のカメラに映る状態を検討し、隣接するようにドット配列間隔を×1〜×1.5に調節し、1つの塊のように認識できる状態を示した。
【0057】
図15に示すように小さな反射部が複数個集まることで反射する光の総量を増やすことができ、読取り率を向上させることが可能となる。
図13に示す2×3列のドットを1つの単体ドット(すなわち一要素)とみなし、図6に示すような文字を記すことにより、端部の長さあるいは表面積が増大し、反射光量が増大するため、文字の読み取り率が第1の実施形態の場合よりもさらに向上する。
【0058】
例えば、本実施形態のドットが形成された半導体装置によれば、ウェーハ表面のID形成部にドット1を認識し難くする残膜4が発生するといった現象に対し、複数個のドットを配列することで認識したい単体ドットの反射光量を大きくでき、第1の実施形態の場合よりもさらに認識率を上げる事ができ、ID読み取り率が上がり、トレーサビリティーを確保できるようになるのである。
【0059】
なお、この第2の実施形態において、列(図13においては横方向)の間隔は、ドット1が円形の場合は直径、ドット1が方形の場合は1辺の長さの3倍以下であることが好ましい。列の間隔が3倍以下であれば、ドットの集合を1つの要素(一要素)として認識できるからである。
【0060】
また、第2の実施形態において、ドットの配列は2×3列に限らず、m×n列(m、nは自然数)であればよい。例えば1×2列であってもよく、3×4列であってもよい。また、ドットの配列としては、m×n列に限らない。例えば中心より放射状にドットを配列させてもよい。
【0061】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドット1および微小ドット2の平面形状は、円形や方形に限らず、楕円形や五角形、六角形といった多角形でもよい。またドット1と微小ドット2との形状は、互いに異なっていてもよく、複数のドット1の間、または複数の微小ドット2の間でその形状が異なっていてもよい。
【0062】
なお、上記第1および第2の実施形態において、半導体装置としてはシリコン基板上に形成されたLSIに限らない。例えば、GaAs基板上に形成された半導体レーザ素子や電界効果型トランジスタ(FET)素子、サファイア基板やGaN基板上に形成された発光ダイオード(LED)素子や半導体レーザ素子、ガラス基板上に形成された電子デバイスのようなものであってもよい。また、太陽電池や有機エレクトロルミネッセンス素子のようなものでも本発明は適用可能である。また、半導体素子を搭載したパッケージに対しても本発明は適用可能である。さらに、半導体装置以外の製品等の識別マークにも用いることもできる。
【0063】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドットおよび微小ドットの加工については、レーザ照射によるシリコンの溶融もしくは一部蒸発以外にも、例えばリソグラフィ等を適用して加工することも可能である。また、レーザ照射として用いるレーザ光源としては、例えばYAGレーザ、窒素レーザやエキシマレーザといったものが挙げられる。また、用いる基板や材料によりドットおよび微小ドットの加工手段は適宜選択可能である。
【0064】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドットおよび微小ドットは、凹形状に限らず、凸形状でもよく、また凹形状と凸形状との組み合わせでもよい。また、凸形状を設ける場合、凸形状を形成する材料は、ウェーハ等の基板を構成する材料と異なっていてもよい。
【0065】
また、上記第1および第2の実施形態の識別マークにおいては文字を例に説明したが、ドットおよび微小ドットで刻印される、または描かれる識別マークは文字に限らず模様であってもよい。
【0066】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドットおよび微小ドットの大きさ(半径または一辺の長さ)を1〜10μm程度で説明しているが、その値に限らず本発明においてドットが識別可能である大きさであればよい。
【0067】
さらに、第1および第2の実施形態において、ドットの凹形状あるいは凸形状は、球形の一部や円錐,角錐、あるいは円柱,角柱等任意の形状が可能である。
また、以上の各実施形態では、識別マークがドットで形成される場合について説明したが、1または複数のドットで識別マークを形成する場合に限らず、直接、文字や記号を識別マークとして形成し、その端部の長さや表面積が増大するように隣接あるいは重複させて補助的なマークを形成することによっても、光の反射量が増大し、認識マークを精度良く識別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、残膜があったとしても認識マークを精度良く識別することができ、個体認識などに用いる認識マーク等に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 ドット
2 微小ドット
2a 微小ドット
2b 微小ドット
2c 微小ドット
3 反射部
4 残膜
5 光源
6 カメラ
7 直径
8 対辺長さ
10 交差深さ
11 交差角度
11a 交差角度
11b 交差角度
11c 交差角度
51 従来ドット
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品等の個体認識などに用いるID(Identificationの略)等の認識マークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の製造において、ID等の識別マークを読み取ることによるトレーサビリティー確保が重要となっている。例えば、半導体ウェーハの製造管理手法においても、ウェーハの表面にIDを2次元コード(以下、2Dコードという)等で刻印し、必要なタイミングでID確認を行うことで、ウェーハの処理履歴を間違いなく記録・管理することが行われている。これらは、ウェーハの歩留まり向上などに必要なデータ取得に必須な技術である。
【0003】
2Dコードや英数文字は、例えば、SEMI−T7(SEMIスタンダードの規格番号)やSEMI−M12といった規格からも分かるように、直径100μmのドットを配列したもので刻印される。これらのコードや英数文字は、このドット1つ1つを認識することで、IDを確認している。
【0004】
従来のドット認識は、特許文献1に示すように、凹形状のドットを形成し、斜光照明や垂直照明を当てることでドットの周辺部を撮像してドットの認識を行っている。この際、斜光照明にするか垂直照明にするかは、例えばウェーハ表面上の堆積膜種類によって条件切り替えなどを行っている。更に、凹形状のドットだけではなく、凸形状のドットを採用することで更にドットの認識率向上を図る取り組みもなされていた。
【0005】
簡単に図16を用いてドット認識の原理を説明する。
図16は従来のドット認識方法を説明する断面図である。
図16において、5は光源であり、6はID読み取り用のカメラである。51は従来ドットであり凹形状の断面が記載されており、例えば、直径100μmの穴である。光源5にて、ドット51の上部から光を照射すると、例えばシリコンで形成されたウェーハでは、ドット51およびその周辺で光の反射が起こるはずである。ドットの認識方法には2種類の照明の当て方があり、暗視野方式と明視野方式がある。例えば暗視野方式では、カメラの光軸とは同軸でない傾いた位置にある光源5からの光を対象物に照射し、例えば対象物にある凹凸などで反射した光の一部がカメラ6に入射して、対象物上にできたコントラストを認識する方式である。例えば、本事例でのドット51の穴内に当たった光および対象物の平面部に当たった光は反射してカメラ6に戻ることは無い。また、ドット51の端部に当たった光の一部は対象物面から凹形状面の連続する反射面のどこか、例えば凹形状の穴の端面にて光源5の光をカメラ6に反射させる反射面が、存在する為カメラ6に強く入射し、その周辺に当たった光もカメラ6にほんの一部しか入射しない。そのため、ドットだけが明るい丸状にドット認識される。このように光ったドット配列をカメラ6で認識して、2Dコードや英数文字認識を行っていた。
【0006】
一方明視野方式では、カメラの光軸と同軸の位置にある光源5からの光を対象物に照射し、例えば対象物にある凹凸などで反射しなかった部分を、光が反射してカメラに入射した光の中の暗くなった対象物上にできたコントラストから認識する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−209918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、半導体ウェーハの微細化や使用材料の多様化に伴う加工技術の難しさの高度化により、ウェーハ表面のID形成部にプロセス処理結果による残膜が発生する場合がある。そのため、従来のドットでは、IDを読み取ろうとしても、残膜の下にあるドットを簡単には読取れなくなっている。よって、トレーサビリティーの確保ができない状況が発生するという問題点があった。
【0009】
簡単に図17を用いてドット読み取り不良について説明する。
図17は従来のドット読み取り不良を説明する図である。
図17において、ドット51が数字の1を形成しており、4は残膜を示している。例えば数字の1の一部のドット51上に残膜4が存在する場合、光を照射してドット51を認識しようとしても、カメラ認識画面イメージでは、数字の1が完全に認識できなくなる。この場合、ドットで形成した数字を読み取ることができず、つまりNG判定となる。
【0010】
そのため、残膜を取り除く技術開発と併せて、残膜があってもドット等の認識マークが読取れる技術の開発が待たれていた。
本発明は、上記の様な課題を解決するためになされたものであり、残膜があったとしても認識マークを精度良く識別する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の半導体装置は、照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、第1のマークと、前記第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークとを有し、前記第1のマークと前記1または複数の第2のマークとを一要素とし、1または複数の前記要素により形成されることを特徴とする。
【0012】
また、照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、行列配置される複数の第1のマークと、前記各第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークとを有し、前記行列配置された第1のマークと前記第2のマークとを一つの要素とし、複数の前記要素により形成されることを特徴とする。
【0013】
また、対応する前記第1のマークと前記第2のマークとが、部分的に重なることが好ましい。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークがドットであることが好ましい。
【0014】
また、前記第2のマークが前記第1のマークより平面視面積が小さいことが好ましい。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形または方形であることが好ましい。
【0015】
また、前記第2のマークの直径または対辺長さが前記第1のマークの直径または対辺長さの1/8以上で1/2以下であることが好ましい。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形であり、前記第1のマークの円周上に前記第2のマークの中心が存在することが好ましい。
【0016】
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが方形であり、前記第1のマークの辺上に前記第2のマークの対角線が存在することが好ましい。
また、前記第1のマークの列間隔が前記第1のマークの行方向に平行な幅の3倍以下であることが好ましい。
【0017】
また、前記第1のマークに対応して設けられる前記第2のマークを複数個設けることもできる。
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが凹形状に形成されることが好ましい。
【0018】
また、前記第1のマークおよび前記第2のマークが凸形状に形成されることが好ましい。
以上により、残膜があったとしても認識マークを精度良く識別することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、識別マークの周囲にもしくは重なり部分を持たせて補助的な識別マークを配置することで、認識したい識別マークの端面長さを長くし、あるいは光の反射面である表面積を増加することができるため、照射された光の反射部が多くなり、認識率を上げてトレーサビリティーを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態における識別マークの形状を説明する図
【図2】第1の実施形態におけるドットの反射率の制御方法を説明する図
【図3】第1の実施形態における微小ドットの形成位置を説明する図
【図4】第1の実施形態における微小ドットと光反射面との交差角度を説明する図
【図5】第1の実施形態における微小ドットの反射を示す平面図
【図6】第1の実施形態における認識マークと残膜との関係を示す平面図
【図7】第1の実施形態における光源位置を示す側面図
【図8】従来の4×4画素領域でのドット読み取りのドット認識した画素配列を説明する図
【図9】従来の3×3画素領域でのドット読み取りのドット認識した画素配列を説明する図
【図10】従来の画素領域での画素数とドット認識した画素配列を説明する図
【図11】第1の実施形態における微小ドットによるドット認識した画素配列を説明する図
【図12】第1の実施形態における微小ドットの大きさとドット認識した画素配列を説明する図
【図13】第2の実施形態における認識マークの構成を示す図
【図14】第2の実施形態の認識マークに対して光を照射する様子を示す図
【図15】第2の実施形態の認識マークにおける反射光の様子を示す図
【図16】従来のドット認識方法を説明する断面図
【図17】従来のドット読み取り不良を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態における識別マークについて、ドットを形成した半導体装置を例に、図1〜図12を参照しながら説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付する。
【0022】
図1は第1の実施形態における識別マークの形状を説明する図であり、半導体装置のドットが形成された部分を拡大した図で、図1(a)は円形の、図1(b)は角部が丸い方形のドットを示す。図2〜図4は第1の実施形態におけるドットの反射率の制御方法を説明する断面図、図5は第1の実施形態における微小ドットの反射を示す平面図、図6は第1の実施形態における認識マークと残膜との関係を示す平面図、図7は第1の実施形態における光源位置を示す側面図である。
【0023】
図1において、ウェーハ表面に設けられた凹形状のドット1、ウェーハ表面に設けられた補助的なドットである凹形状の微小ドット2が形成され、微小ドット2は一部がドット1と重なるように加工されている。7は、前記微小ドット2の直径(図1(a)の場合)を表し、8は対辺長さ(図1(b)の場合)を表す。また、ドットの形状は、上記のような凹形状に限らず、凸形状であってもかまわない。また、微小ドット2はドット1と必ずしも重ねる必要はなく、ドット1の近傍に形成することもできる。
【0024】
なお、図1(a)において、破線はドット1の外周の一部が微小ドット2に切り取られた部分を表す。一点鎖線はドット1の外周を通る円の直径を含む線であって、2本の線が互いに直交する。これら2本の一点鎖線の交点がドット1の中心を示す。また、図1(b)において、破線はドット1の外周の一部が微小ドット2に切り取られた部分を表す。一点鎖線はドット1の外周を通る方形の対角線を含む線であって、2本の線が互いに直交する。これら2本の一点鎖線の交点がドット1の重心を示す。また、2重線2点鎖線は、ドットの占有する領域を示したものである。
【0025】
なお、ここで半導体装置は、例えばシリコンウェーハ(シリコン基板)上に形成された大規模集積回路(LSI)であり、ドットが形成された部分は、半導体装置の1つの端部に形成されている。
【0026】
ドット1および微小ドット2のシリコンウェーハでの加工方法は、例えばレーザ照射によるシリコンの溶融もしくは一部蒸発による加工等により行われる。図1(a)の場合、穴の深さは穴の半径とほぼ同じになるように形成する。つまり、ドット1と微小ドット2では加工される穴の半径がr1(ドット1)>r2(微小ドット2)となるため、深さが違うことになり、微小ドット2のほうがドット1よりも浅いものとなる。図1(b)の場合についても、微小ドット2のほうがドット1よりも浅いドットとなるように形成する。このように、微小ドット2をドット1よりも浅く形成することにより、2重線2点鎖線で示すドット占有領域内で、ドット1の単純円形状もしくは方形状のドット端部長さもしくは周辺長を、複数の微小ドット2の端部を連続的に加えることができ、端部長さを長くすることができる。ちなみにドット占有領域を規定する目的は、カメラ認識におけるドットの設定領域は単純円形状や単純方形状で設定されることによる。
【0027】
本実施形態にて検討した、ドットの具体的な大きさを以下に例示する。図1(a)に示すドットでは、ドット1の半径は60μmであり、微小ドット2の半径は10μmである。また、図1(a)に示すドットでは、ドット1の深さは60μmであり、微小ドット2の深さは10μmである。
【0028】
図1(b)に示すドットでは、ドット1の一辺の長さは120μmであり、微小ドット2の一辺の長さは40μmである。角の丸み部分は、半径が20μmの円弧である。また、図1(b)に示すドットでは、ドット1の深さは60μmであり、微小ドット2の深さは 20μmである。
【0029】
上記図1(a)、図1(b)に示すドットを有する半導体装置は、微小ドット2が存在することにより、ドット1の面積を大きくすることなくドット全体の開口面積あるいは開口部の周辺長を長くすることができるため、識別マークであるドット全体の反射率を向上させることができ、ドット1の認識性を向上させることができる。
【0030】
次に、図2〜図4に示す断面図を用いて、ドット1と、微小ドット2との重なり具合により、ドットの反射率が制御できることを説明する。
ドット1と微小ドット2a、2b、2cの重なり具合と断面形状の違いを図3,図4に示す。ここでは、図1(a)に示すような平面形状が円形のドットを球形の部分形状の凹形状に形成した場合を例に説明する。
【0031】
図2において、微小ドット2aの外周部から引き出された垂線とドット1の1点鎖線とが交差する部分は、微小ドット2を形成する際のレーザ光照射の中心位置である。また、その時できた微小ドット2によってドット1にできた端部の段差の深さを交差深さ10とする。また、微小ドット2を形成した際に、光反射対象物表面における微小ドット2の接線(2点鎖線)と光反射対象物表面との交差する角度を交差角度11とする。
【0032】
図3の各図において、ドット1の中心を通る線(1点鎖線で示されている)と微小ドット2a、2b、2cとの接線(破線で示されている)の交差する位置に関して説明をする。図3(a)は、微小ドット2aの中心がドット1の円周とほぼ重なる場合、図3(b)は、微小ドット2bの中心がドット1の円周より内側(すなわちドット1の円周より中心に近い側)に来る場合、図3(c)は微小ドット2cの中心がドット1の円周より外側(すなわちドット1の円周からみて外側)に来る場合をそれぞれ示す。
【0033】
これら図3(a)〜(c)に対応して、図4では、図4(a)は、交差角度11aがほぼ90度となる場合を示す。図4(b)は、交差角度11bが45度〜90度となる場合を示す。図4(c)は、交差角度11cが0度〜45度になる場合を示す。
【0034】
これらの角度は、ドット1の上部から光を照射した際に、半導体装置を写す位置に設けたカメラ(図示せず)への反射率や反射量を微小ドット2で調節できることを表している特に交差角度11が小さくなれば光の反射光量が多くなる。よって、微小ドット2の刻印位置によって半導体装置を写す位置に設けたカメラ(図示せず)への反射率や反射量を微小ドット2で調節できることを表している。
【0035】
更に、微小ドット2のドット1に対する配置の仕方や数を変えることで、ドット1の反射率や反射量を調節でき、反射量を増大させることによりドット1の認識を容易にすることができる。
【0036】
ドット1の認識を容易にできることを示すために、図1に示すドットについて、ドットの上部から光を照射した場合について、図5を用いて説明する。
図5は、ドット1の上部からの光を大きく反射させることができた状態を表しており、3はその反射部である。このように、大きく反射するドットを形成することにより、反射量が大きくなって反射光が残膜を透過することができるため、ドット1の認識が容易になるのである。なお、図2〜図4で示すようにドット1とドット2との重なり具合を調節すれば、ドットの反射率をより高めることができるので、さらにドット1の認識性が向上する。
【0037】
図1に示すドット1および微小ドット2を用いて、すなわち1つのドット1と1つの微小ドット2との対で認識マークの一要素として半導体装置上に複数の要素からなる認識マークを形成した場合の、認識マークの認識の様子を図6に示す。この図6においては、図16で示した残膜4がドット1上にあっても微小ドット2の大きな反射率の作用により反射部3が確認できたことを示している。図6は、数字の1が認識できることを示す。
【0038】
ここで、残膜4について説明する。例えば、半導体のプロセスで形成される積層膜において、光を全く透過させない材質や膜厚の状態のものもあれば、膜厚が薄く光を一部透過させるものも存在する。ここでは、光を透過させるTEOS膜(ガラスSiとOの化合物)といった膜での顕著な効果を示している。当然、TEOS膜に限るものでもない。
【0039】
図7に、図5で示したドット1の上部からの光を大きく反射させる為の光源5の調節領域を示す。なお、ここで煩雑さを避けるため、微小ドット2は図示していない。また、光源5は、その放射光の光軸が対象のドット1にあたるように位置づけられている。光源5の位置は、ウェーハ表面から10度〜70度情報の範囲に配置することで、端部を強く光らせることができる。これは、レーザ照射や仮に切削加工で凹形状に穴を加工しても、その端部は決して90度で加工できるわけではなく、レーザ加工の場合は端部の溶融や、切削加工の場合は欠けやバリの面取りでできた面取り面で交差角度が必ず発生することによる。
【0040】
図5〜図7で示された結果について以下に考察する。
ウェーハ表面のID形成部にプロセス処理結果による残膜が発生した場合、図17に示すような従来の認識マークは、ドット1が凹形状の場合、ドット1の端部だけの反射光で読み取ろうとされるため、残膜4の下にある1つもしくは複数個のドット1を読み取れなくなっていた。これに対し、本発明のように微細ドット2をドット1に重なるように1または複数個配列することで認識したい凹形状のドット1の端面長さ(すなわち縁部の長さ)を長くすることができるため(凸形状のドット1の場合は、表面積を大きくできるため)、照射された光の反射部が多くなって認識率を上げる事ができ、トレーサビリティーを確保できるようになる。さらに、光源5のドットに対する入射角度を適切に制御することで、認識率を向上することができる。
【0041】
次に、この実施の形態におけるドットの関係寸法を述べる。微小ドット2の直径7もしくは対辺長さ8を認識用のドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上1/2以下とすることで最も光の反射を大きくすることができ、好ましい。図1に示す例では、1/6の直径で微小ドット2を設けている。
【0042】
ここで、微小ドット2の直径7もしくは対辺長さ8を認識用のドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上1/2以下とすることで最も光の反射を大きくとれるのは、以下の理由による。
【0043】
図8から図12を使い詳しく説明をする。
図8は、暗視野によるドット認識での反射光もしくは明視野によるドット認識での反射光の無い領域を示す。一点鎖線で囲まれた四角形はカメラの画素の1つを現す。この1つ1つが例えば反射光の輝度を感知してドットの有無を認識する。まず、ドットを4×4の16画素領域内で認識する場合であるが(図8(a))、ドットのカメラに写る位置によって、ドットの有無を12画素(図8(b))、11画素(図8(c))、9画素(図8(d))と様々な画素配置で認識するのが分かる。ここで、各12画素、11画素、9画素認識であっても必ず2×3の6画素領域が必ず含まれていることも分かる。
【0044】
参考として、図9を用いて3×3の9画素領域(図9(a))でドット認識をする場合について述べる。ドットのカメラに写る位置によって、ドットの有無を5画素(図9(b))、4画素(図9(c),(d))と様々な画素配置で認識するのが分かる。ここで、各5画素、4画素認識であっても必ず3画素領域が必ず含まれていることも分かるが、その配列はくの字に曲がった配列であることもわかる。特に図図9(c)の場合、ドットの輝度の感知のバラツキによっては2画素認識になる可能性もあり、安定してドット認識を行なうには認識画素数が不充分となる可能性が大きい。ちなみに、ドットを認識するための画素の数は、カメラのレンズの拡大率とCCD(charge coupled device image sensor)のイメージセンサー数との関係で決められる。
【0045】
図10にドットを、4×4の16画素領域認識(図10(a))、8×8の64画素領域認識(図10(b))、16×16の256画素領域認識(図10(c))する場合を示したが、認識画素数が多くなればなるほど正確にドットを認識できることは容易にわかる。今回は、4×4の16画素領域認識といった低倍率で少ない画素数のシステムでの更なる認識率向上の要求があり、認識率を向上させる微小ドットの大きさについて述べる。
【0046】
図11は従来(図11(a))と本発明(図11(b))の画素領域認識を比較する図であり、4×4の16画素領域認識での従来のドットに微小ドットを配列することで、例えば明視野での光無反射のドット形状が、4×4の16画素領域の12画素認識であったのが、ドット全体の16画素領域で認識されているのが分かる。この時の微小ドットはドットの1/4の半径で微小ドットを形成した場合を示した。このように、ドット認識数が増加することで安定してドット認識できることが分かる。しかし、隣接する複数のドットが、文字や数字や記号の形状に配列されて始めて、文字や数字や記号として認識されなければならないため、ドットとして認識される大きさ1つ1つには最大の大きさが存在する。
【0047】
図12で、現状の文字の規格(例えばSEMIフォント)で文字認識する場合の微小ドットサイズを更に具体的に説明する。図12(a)では、ドットと組み合わせる微小ドットの半径を1/2にした場合であり、ドットの外周に4つ配置した例である。従来は左側の図に示す11画素で認識していたのが、19画素にまで斜線で示した画素部分で増加させることができた。ドットが占有する領域を四角形で定義した際に、最大でドットの半径の1/2で画素認識数を向上させることが有効であることが分かった。このとき、ドットと微小ドットの大きさの関係から重なり量や配置は図12に図示した4つを外周に配置する場合に限るものではない。また、図12(b)では、ドットと組み合わせる微小ドットの半径を1/8にした場合である。微小ドットの半径を最小で1/8にすることで、従来は左側の図に示す12画素で認識していたのが、16画素にまで斜線部の画素部で増加させることができた。特に、ドットと画素の位置関係によっては1/8以上で充分に効果を上げることができることがドット配置検証や実験でも実証された。このときの重なり量や配置も図12に限るものではない。
【0048】
ちなみに、明視野の例で説明を行ったが、暗視野のドットの光る場合でも同じく微小ドットによる認識画素数の増加があることが分かっている。
また、この説明では円形状を使って作用を示したが、円形状に限るものではなく方形状でも構わない。またドットと微小ドットを接するように配置しているが、接し方や重なり方はこの配置に限るものではない。
【0049】
すなわち、微小ドット2について、ドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上とすれば、反射率の大きい微小ドット2の面積を大きく取ることができ、ドット1および微小ドット2からの光量を大きくとることができる。また、微小ドット2についてドット1の直径もしくは対辺長さの1/2以下とすれば、ドット1と微小ドット2とを合わせた端面長さを大きくできる。これらのことから、微小ドット2の直径もしくは対辺長さを認識用のドット1の直径もしくは対辺長さの1/8以上1/2以下とすることで最も光の反射を大きくとれるのである。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態における識別マークについて、ドットを形成した半導体装置を例に、図13〜図15を参照しながら説明する。
【0050】
図13は第2の実施形態における認識マークの構成を示す図、図14は第2の実施形態の認識マークに対して光を照射する様子を示す図、図15は第2の実施形態の認識マークにおける反射光の様子を示す図である。
【0051】
第1の実施形態では、ドット1と微小ドット2(図1等参照)とを一要素として、複数の要素により認識マークを形成したが、本実施形態では、第1の実施形態で示したようなドット1および微小ドット(図示せず)を互いの列間距離が一定となるように複数組行列配置したものを単体ドットとして一要素とし、複数の要素により認識マークを形成することを特徴とする。図13では、ドット1の互いの中心間距離がドット1の幅の1倍(図13(a))と1.5倍(図13(b))の場合を示した。
【0052】
例えば、ドット1は円形でその半径は20μm、深さは20μmである。ドット1の大きさは、第1の実施形態で示すドット1の大きさの約1/3である。また、微小ドットの大きさは、この第2の実施形態で示すドット1の大きさの約1/2とすることができる。また、ドット1の形態は、第1の実施形態と同様に円形でも方形でも良く、さらに、凹形状でも凸形状でも良い。
【0053】
単体ドットとして、図13の紙面において上から下へはドット1が3つ接するように配列され、それが一定の間隔で2列に配列されている。すなわち、2列3行(以下、2×3列という)のドット配列で1つの単体ドットを構成する。図13において、実線がドット間の間隔、破線がドットが形成された領域、一点鎖線が2×3列に配列されたドットの集合の中心および実施形態1で示したドット1の円周の大きさを示す。
【0054】
図14は、図13に示す2×3列のドット1で認識用の単体ドットを形成し、光源5によりドット1端部を光らせた様子を示す図である。図14(a)が本実施形態を示す図、図14(b)が第1の実施形態に係るドット1の場合を示す図である。図15は、図13に示す2×3列のドット1と実施形態1に示すドット1との光反射の様子を示す図である。図15(a)が本実施形態を示す図、図15(b)が第1の実施形態に係るドット1の場合を示す図である。なお、図14、図15において煩雑さを避けるため、微小ドットの記載は省略した。
【0055】
図14に示すように、ドットを複数列配列して単体ドットを形成することにより、従来は反射部3が1つでドットの有無を判別していたが、複数個の、例えば2×3の6の反射部3でドットの有無を判別できることになり、従来の1つの反射部3より6つの反射部3の方が反射光の光量が向上し認識率が向上する。
【0056】
また、図15ではドット配列の間隔を、反射光のカメラに映る状態を検討し、隣接するようにドット配列間隔を×1〜×1.5に調節し、1つの塊のように認識できる状態を示した。
【0057】
図15に示すように小さな反射部が複数個集まることで反射する光の総量を増やすことができ、読取り率を向上させることが可能となる。
図13に示す2×3列のドットを1つの単体ドット(すなわち一要素)とみなし、図6に示すような文字を記すことにより、端部の長さあるいは表面積が増大し、反射光量が増大するため、文字の読み取り率が第1の実施形態の場合よりもさらに向上する。
【0058】
例えば、本実施形態のドットが形成された半導体装置によれば、ウェーハ表面のID形成部にドット1を認識し難くする残膜4が発生するといった現象に対し、複数個のドットを配列することで認識したい単体ドットの反射光量を大きくでき、第1の実施形態の場合よりもさらに認識率を上げる事ができ、ID読み取り率が上がり、トレーサビリティーを確保できるようになるのである。
【0059】
なお、この第2の実施形態において、列(図13においては横方向)の間隔は、ドット1が円形の場合は直径、ドット1が方形の場合は1辺の長さの3倍以下であることが好ましい。列の間隔が3倍以下であれば、ドットの集合を1つの要素(一要素)として認識できるからである。
【0060】
また、第2の実施形態において、ドットの配列は2×3列に限らず、m×n列(m、nは自然数)であればよい。例えば1×2列であってもよく、3×4列であってもよい。また、ドットの配列としては、m×n列に限らない。例えば中心より放射状にドットを配列させてもよい。
【0061】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドット1および微小ドット2の平面形状は、円形や方形に限らず、楕円形や五角形、六角形といった多角形でもよい。またドット1と微小ドット2との形状は、互いに異なっていてもよく、複数のドット1の間、または複数の微小ドット2の間でその形状が異なっていてもよい。
【0062】
なお、上記第1および第2の実施形態において、半導体装置としてはシリコン基板上に形成されたLSIに限らない。例えば、GaAs基板上に形成された半導体レーザ素子や電界効果型トランジスタ(FET)素子、サファイア基板やGaN基板上に形成された発光ダイオード(LED)素子や半導体レーザ素子、ガラス基板上に形成された電子デバイスのようなものであってもよい。また、太陽電池や有機エレクトロルミネッセンス素子のようなものでも本発明は適用可能である。また、半導体素子を搭載したパッケージに対しても本発明は適用可能である。さらに、半導体装置以外の製品等の識別マークにも用いることもできる。
【0063】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドットおよび微小ドットの加工については、レーザ照射によるシリコンの溶融もしくは一部蒸発以外にも、例えばリソグラフィ等を適用して加工することも可能である。また、レーザ照射として用いるレーザ光源としては、例えばYAGレーザ、窒素レーザやエキシマレーザといったものが挙げられる。また、用いる基板や材料によりドットおよび微小ドットの加工手段は適宜選択可能である。
【0064】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドットおよび微小ドットは、凹形状に限らず、凸形状でもよく、また凹形状と凸形状との組み合わせでもよい。また、凸形状を設ける場合、凸形状を形成する材料は、ウェーハ等の基板を構成する材料と異なっていてもよい。
【0065】
また、上記第1および第2の実施形態の識別マークにおいては文字を例に説明したが、ドットおよび微小ドットで刻印される、または描かれる識別マークは文字に限らず模様であってもよい。
【0066】
また、上記第1および第2の実施形態において、ドットおよび微小ドットの大きさ(半径または一辺の長さ)を1〜10μm程度で説明しているが、その値に限らず本発明においてドットが識別可能である大きさであればよい。
【0067】
さらに、第1および第2の実施形態において、ドットの凹形状あるいは凸形状は、球形の一部や円錐,角錐、あるいは円柱,角柱等任意の形状が可能である。
また、以上の各実施形態では、識別マークがドットで形成される場合について説明したが、1または複数のドットで識別マークを形成する場合に限らず、直接、文字や記号を識別マークとして形成し、その端部の長さや表面積が増大するように隣接あるいは重複させて補助的なマークを形成することによっても、光の反射量が増大し、認識マークを精度良く識別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、残膜があったとしても認識マークを精度良く識別することができ、個体認識などに用いる認識マーク等に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 ドット
2 微小ドット
2a 微小ドット
2b 微小ドット
2c 微小ドット
3 反射部
4 残膜
5 光源
6 カメラ
7 直径
8 対辺長さ
10 交差深さ
11 交差角度
11a 交差角度
11b 交差角度
11c 交差角度
51 従来ドット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、
第1のマークと、
前記第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークと
を有し、前記第1のマークと前記1または複数の第2のマークとを一要素とし、1または複数の前記要素により形成されることを特徴とする識別マーク。
【請求項2】
照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、
行列配置される複数の第1のマークと、
前記各第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークと
を有し、前記行列配置された第1のマークと前記第2のマークとを一つの要素とし、複数の前記要素により形成されることを特徴とする識別マーク。
【請求項3】
対応する前記第1のマークと前記第2のマークとが、部分的に重なることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項4】
前記第1のマークおよび前記第2のマークがドットであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項5】
前記第2のマークが前記第1のマークより平面視面積が小さいことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項6】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形または方形であることを特徴とする請求項4記載の識別マーク。
【請求項7】
前記第2のマークの直径または対辺長さが前記第1のマークの直径または対辺長さの1/8以上で1/2以下であることを特徴とする請求項6記載の識別マーク。
【請求項8】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形であり、前記第1のマークの円周上に前記第2のマークの中心が存在することを特徴とする請求項4記載の識別マーク。
【請求項9】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが方形であり、前記第1のマークの辺上に前記第2のマークの対角線が存在することを特徴とする請求項4記載の識別マーク。
【請求項10】
前記第1のマークの列間隔が前記第1のマークの行方向に平行な幅の3倍以下であることを特徴とする請求項2記載の識別マーク。
【請求項11】
前記第1のマークに対応して設けられる前記第2のマークを複数個設けることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項12】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが凹形状に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項13】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが凸形状に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項1】
照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、
第1のマークと、
前記第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークと
を有し、前記第1のマークと前記1または複数の第2のマークとを一要素とし、1または複数の前記要素により形成されることを特徴とする識別マーク。
【請求項2】
照射された光の反射光が読み取られることにより認識される識別マークであって、
行列配置される複数の第1のマークと、
前記各第1のマークの近傍に形成される1または複数の第2のマークと
を有し、前記行列配置された第1のマークと前記第2のマークとを一つの要素とし、複数の前記要素により形成されることを特徴とする識別マーク。
【請求項3】
対応する前記第1のマークと前記第2のマークとが、部分的に重なることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項4】
前記第1のマークおよび前記第2のマークがドットであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項5】
前記第2のマークが前記第1のマークより平面視面積が小さいことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項6】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形または方形であることを特徴とする請求項4記載の識別マーク。
【請求項7】
前記第2のマークの直径または対辺長さが前記第1のマークの直径または対辺長さの1/8以上で1/2以下であることを特徴とする請求項6記載の識別マーク。
【請求項8】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが円形であり、前記第1のマークの円周上に前記第2のマークの中心が存在することを特徴とする請求項4記載の識別マーク。
【請求項9】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが方形であり、前記第1のマークの辺上に前記第2のマークの対角線が存在することを特徴とする請求項4記載の識別マーク。
【請求項10】
前記第1のマークの列間隔が前記第1のマークの行方向に平行な幅の3倍以下であることを特徴とする請求項2記載の識別マーク。
【請求項11】
前記第1のマークに対応して設けられる前記第2のマークを複数個設けることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項12】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが凹形状に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の識別マーク。
【請求項13】
前記第1のマークおよび前記第2のマークが凸形状に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の識別マーク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−23615(P2011−23615A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168327(P2009−168327)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
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