説明

警報器取付構造

【課題】警報器を所望の位置に正しく且つ容易に取り付けられる警報器取付構造を提供する。
【解決手段】壁面3に取り付けた固定具2に警報器1を係合させて取り付ける警報器取付構造であって、固定具2は、固定部材21によって姿勢変更を阻止する状態で壁面3に取り付け可能であり、当該固定部材21に係合させた警報器1の当該固定部材21に対する回転移動を抑制する回転抑制手段を固定部材21と警報器1とに亘って備えてある警報器取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に取り付けた固定具に警報器を係合させて取り付ける警報器取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の警報器取付構造は、警報器本体と略同じか小さい面積を有する固定具を壁に取り付け、この固定具に警報器本体を係止して構成されていた。前記固定具は、例えば、少なくとも1箇所以上の孔部を有し、この孔部に木ネジやクギ等の固定部材を挿通することで壁面に取付け可能に構成されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、家庭用のガス警報器等の取付け位置は天井付近又は床付近の壁面であるので、前記固定具や前記警報器の取り付け作業がし難かった。例えば、木ネジやクギ等の固定部材を挿通する際に固定具の姿勢が変化したり、固定具に対する警報器の取付姿勢が傾いたりすることがあり、垂直及び水平軸を正しく合わせた状態で所望の位置に警報器を取り付けることは容易ではなかった。
【0004】
従って、本発明は、上記問題点に鑑み、警報器を所望の位置に正しく且つ容易に取り付けられる警報器取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するための本発明に係る警報器取付構造の第1特徴構成は、壁面に取り付けた固定具に警報器を係合させて取り付ける警報器取付構造であって、前記固定具は、固定部材によって姿勢変更を阻止する状態で前記壁面に取り付け可能であり、当該固定具に係合させた前記警報器の当該固定具に対する回転移動を抑制する回転抑制手段を前記固定具と前記警報器とに亘って備えてある点にある。
【0006】
上記構成の壁面に取り付けた固定具に警報器を係合させて取り付ける警報器取付構造においては、前記固定具が固定部材によって姿勢変更を阻止する状態で前記壁面に取り付け可能に構成してあるので、前記固定具を前記壁面に取り付けた後に壁面に対する前記警報器の取付姿勢を変化させるには、前記警報器を移動させなければならない。ここで、当該固定具に係合させた前記警報器の当該固定具に対する回転移動を抑制する回転抑制手段を固定具と前記警報器とに亘って備えてあると、警報器を取り付けた後に固定具に対する警報器の取付角度の微調整を許容するので、固定具の壁面に対する取付姿勢が変化したり、固定具に対する警報器の取付姿勢が傾いたりする場合にも、垂直及び水平軸を正しく合わせる操作によって所望の姿勢で警報器を取り付けることができる。
【0007】
本発明に係る警報器取付構造の第2特徴構成は、前記固定具に設けた基部を前記警報器のうち前記壁面に対向する面に形成した凹部の内部周縁に内包されるようにし、前記基部に設けた当り部と前記凹部の内部周縁とを当接可能として前記回転抑制手段を構成してある点にある。
【0008】
かかる構成を採用すると、前記固定具の基部を前記警報器の凹部に内包させて、前記当り部が前記凹部の内部周縁に当接する状態にすることで、前記警報器の過度の回転移動を規制することができる。これにより、検知対象によっては警報器の取付姿勢が制限されるような場合にも、警報器が最低限満たすべき姿勢を保持することができる。
【0009】
本発明に係る警報器取付構造の第3特徴構成は、前記固定具に設けた基部から前記壁面に対して垂直方向に伸びる首部と、前記警報器の前記壁面に対向する面に設けられ且つ前記首部を前記壁面と平行方向から挟持する係合部とで、前記回転抑制手段を構成してある点にある。
【0010】
かかる構成を採用すると、前記警報器の前記壁面に対向する面に設けた係合部が、前記固定具に設けた基部から前記壁面に対して垂直方向に伸びる首部を、前記壁面と平行方向から挟持するので、前記固定具に対する警報器の姿勢変更が容易でありながら、取付姿勢を決定した後は前記警報器の取付姿勢を維持しやすい。
【0011】
本発明に係る警報器取付構造の第4特徴構成は、前記固定具に設けた基部から前記壁面に対して垂直方向に伸びる首部と、前記首部の先端に一体形成したフランジ部とを設け、前記警報器の前記壁面に対向する面を前記基部と前記フランジ部とが挟持するものとして前記回転抑制手段を構成してある点にある。
【0012】
かかる構成を採用すると、前記固定具に設けた基部から前記壁面に対して垂直方向に伸びる首部と、前記首部の先端に一体形成したフランジ部とによって前記警報器の前記壁面に対向する面を挟持するので、前記固定具に対する警報器の姿勢変更が容易でありながら、取付姿勢を決定した後は前記警報器の取付姿勢を維持しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る警報器取付構造は、固定部材21によって姿勢変更を阻止する状態で壁3に取り付け可能な固定具2に係合させた警報器3の当該固定具2に対する回転移動を抑制する回転抑制手段を備えている。前記警報器1としては、例えば、図2及び図3に示すような外観の警報器本体(筐体)を有し、用途に応じた各種のセンサ機構(例えば、都市ガス検知センサや一酸化炭素センサ、あるいは、温度センサ・煙センサ等)をその筐体内に収容しているガス警報器や火災警報器、あるいは、空気汚れ警報器等、一般に用いられる壁掛け式の各種の警報器が適用可能である。
【0014】
前記固定具2としては、図1(a)及び(b)に示すようなものを用いることができる。当該固定具2は、図2に示すように、木ネジ21aや釘部材21b等の固定部材21によって、その姿勢変更を阻止するように前記壁面3に取付けられるものであって、壁面3に接する断面略台形で矩形形状の基部22aと、基部22aから前記壁面3に対して垂直方向に伸びる円柱形状の首部22bと、前記首部の先に連続形成された前記首部22bより大径の円板状のフランジ部22cとを備えている。該基部22a、首部22b及びフランジ部22cの中心部には、前記木ネジ21aを挿通する第1孔部24が貫設されている。前記基部22aの一端と、前記基部22aの前記一端と前記首部22bに対して対称の位置にある他端とには、前記釘部材21bを挿通する第2孔部25が貫設されている。壁面3に固定具2を取付ける場合、前記第1孔部24に木ネジ21aを挿入して壁面3に螺合する。次に、前記第2孔部25に前記釘部材21bを挿通する。これによって、前記木ネジ21aを中心として前記基部22aが回転し難くなり、前記固定具2の姿勢変更が阻止される。尚、図1、2及び5に示すように、前記釘部材21bの挿通方向は、前記第1孔部24と前記第2孔部25とを結ぶ方向に対して直角にならないように設定するのが好ましい。これにより、固定具2を回転させようとする力が作用したとき、釘部材21bの挿通方向と第2孔部25を中心とした回転方向とが異なるため釘部材21bが抜け難くなり、壁面3に対する固定具2の取付けを強化することができる。また、図示するように、前記基部22aの側面に形成される断面略台形の両斜面に対して、前記釘部材21bを垂直に打ち込む等して、上記何れの釘部材21bも壁面3に対して垂直ではなく所定の傾斜角度を持たせて打ち込むことが好ましい。本構成であれば、仮に固定具2を壁面3から離間させる方向に外力が作用した場合でも、固定具2が離間しようとする方向と、釘部材21bの打ち込み方向とが異なる。このため、釘部材21bが抜け難く、固定具2を壁面3に強固に固定することができる。
【0015】
前記回転抑制手段は、前記警報器1と固定具2とに亘って構成されるもので、例えば、以下のような構成を採用することができる。図2及び図4〜6に示すように、前記固定具2が前記警報器1のうち壁面3に対向する面に形成された凹部11に内包されるように構成されている。具体的には、外部形状が矩形の前記基部22aが、前記警報器1の前記壁面3に対向する面に形成した内部周縁11aを有する矩形の凹部11に嵌り込んで、前記警報器1の本体を係止する。ここで、本発明に係る取付構造においては、図6に示すように、前記凹部11の内部周縁11aの形状と前記基部22aの外部周縁の形状とが完全には一致せず、且つ、前記基部22aの外部周縁に設けた当り部23が、前記凹部11の内部周縁11aに当接して前記警報器1の回転移動を規制するように、両者を形成している。このように構成すると、例えば、図6に二点鎖線で示すように、前記釘部材21bを壁面3に打ち付ける際に前記固定具2が木ネジ21aを中心に少し回転して、固定具2の姿勢が水平・垂直方向に少し傾いてしまった場合にも、前記警報器1の姿勢を水平・垂直方向の正しい方向にして前記当り部23(ここでは、基部22aの上端側或いは下端)を前記凹部11の内部周縁11aに当接させると、警報器1の姿勢を正しく維持することができる。また、図1及び図6に示すように、前記凹部11の内部周縁11aの外部形状と前記基部22aの外部周縁の形状とを矩形やV字型等に構成すると、警報器1の上下または左右方向の設置姿勢が間違っているときには前記凹部11に前記基部22aを嵌め込めないので、設置作業をする者に対して注意を喚起することができる。
【0016】
更に、図1(b)及び図5に示すように、前記凹部11には、前記首部22b及び前記フランジ部22cより径が大きい大孔12aと、前記首部22bより径が大きく前記フランジ部22cより径が小さい小孔12bとを連続形成した、所謂ダルマ穴形状の孔部12を貫設してある。前記大孔12aに前記固定具2の首部22b及びフランジ部22cを挿入して、前記小孔12bに嵌入させると、前記小孔12bの外部周縁(係合部)が前記首部22bを前記壁面3と平行方向から挟持する。このように構成すると、警報器1の姿勢変更が起こり難くなるので、位置決めしたときの姿勢に警報器1の姿勢を保持しやすくなる。
【0017】
また、図5に示すように、前記フランジ部22cと前記基部22aとで前記凹部11を挟持するので、警報器1の姿勢変更が起こり難くなり、位置決めしたときの姿勢に警報器1の姿勢を保持しやすくなる。
【0018】
尚、首部22bを用いて挟持力を発揮させる構成において、上述したような2方向から挟持力を発揮させる構成のほかにも、何れか一方の挟持力のみを発揮させる構成を採用してもよいが、より確実に警報器を固定するには両者を同時に発揮させることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る警報器取付構造は、ガス警報器や火災警報器、あるいは、空気汚れ警報器等、一般に用いられる壁掛け式の各種の警報器を、固定具を用いて壁面に固定するのに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る警報器取付構造に用いられる固定具の正面図及び側面図
【図2】本発明に係る警報器取付構造を構成する固定具及び警報器の斜視図
【図3】本発明に係る警報器取付構造に用いられる警報器の正面図及び側面図
【図4】本発明に係る警報器取付構造に用いられる警報器の部分断面図
【図5】固定具によって固定された警報器の部分断面図
【図6】固定具によって固定された警報器の部分断面図
【符号の説明】
【0021】
1 警報器
2 固定具
3 壁面
11 凹部
11a 内部周縁
21 固定部材
22a 基部
22b 首部
22c フランジ部
23 当り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けた固定具に警報器を係合させて取り付ける警報器取付構造であって、
前記固定具は、固定部材によって姿勢変更を阻止する状態で前記壁面に取り付け可能であり、当該固定具に係合させた前記警報器の当該固定具に対する回転移動を抑制する回転抑制手段を前記固定具と前記警報器とに亘って備えてある警報器取付構造。
【請求項2】
前記固定具に設けた基部を前記警報器のうち前記壁面に対向する面に形成した凹部の内部周縁に内包されるようにし、前記基部に設けた当り部と前記凹部の内部周縁とを当接可能として前記回転抑制手段を構成してある請求項1に記載の警報器取付構造。
【請求項3】
前記固定具に設けた基部から前記壁面に対して垂直方向に伸びる首部と、前記警報器の前記壁面に対向する面に設けられ且つ前記首部を前記壁面と平行方向から挟持する係合部とで、前記回転抑制手段を構成してある請求項1または2に記載の警報器取付構造。
【請求項4】
前記固定具に設けた基部から前記壁面に対して垂直方向に伸びる首部と、前記首部の先端に一体形成したフランジ部とを設け、
前記警報器の前記壁面に対向する面を前記基部と前記フランジ部とが挟持するものとして前記回転抑制手段を構成してある請求項1〜3の何れか1項に記載の警報器取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−193551(P2007−193551A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10661(P2006−10661)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】