警送ルート立案システム
【課題】 金融自動取引装置が停止した場合に、警備会社の出動に伴う作業にかかる費用を最小にして警送ルートを立案する警送ルート立案システムを提供する。
【解決手段】 管理用サーバは、複数の金融自動取引装置から送信される状態情報を受信する通信部と、通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理するDBと、DBに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された第2の金融自動取引装置の状態情報を、DBから取得して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断し、その判断の結果、対象となる第2の金融自動取引装置と第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有する。
【解決手段】 管理用サーバは、複数の金融自動取引装置から送信される状態情報を受信する通信部と、通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理するDBと、DBに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された第2の金融自動取引装置の状態情報を、DBから取得して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断し、その判断の結果、対象となる第2の金融自動取引装置と第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警送ルート立案システムに係り、特に銀行等の金融機関の店舗においてATM(Automated Teller Machine/現金自動入出金機)等の金融自動取引装置に対して、警備会社による警送業務を最適に遂行する警送ルート立案システムである。
【背景技術】
【0002】
一般に、銀行の現金自動機コーナや無人の現金自動機コーナ等に設置されたATMに対する現金補充や現金回収の業務は、銀行の店舗担当者等の指示に従って警備会社の社員が行なっている。
【0003】
具体的には、例えば特許文献1(特開2004−206261号公報)に開示された手法等を用いてATMにおける現金需要枚数を予測し、その予測した需要枚数に基づいて、何れのATMにおいて、いつ、どの位の資金の補充又は回収が必要か(配分/時期)を検討し、出動作業計画を作成する。そして、作成した出動作業計画書をFAX等を利用して警備会社にも送信して、ATMへの現金の配送(補充)やATMからの余剰金の回収を依頼する。
【0004】
現金調達部門は、現金補充指示書に従って、指示された金額の資金を、指示された時期に資金装填用口座に入金する。又、警備会社は、現金補充指示書に従って、指示された時期に、指示された金額の現金を装填用口座から引き出してATMに配送(充填)したり、指示された金額の余剰金をATMから回収したりする。
【0005】
なお、警備会社においては、ATMへ(ATMから)の資金配送を行なうなめに、誰がどいつどこのATMに行なって作業を行なうか等の人的手配(スケジューリング)は、特許文献1によるシステムで行なわれている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−206261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
警備会社に対して必要以上に資金配送のための出動を依頼することにより、その出動経費が高くなるおそれがある。例えば、警備会社と金融機関との間においては、定期出動契約が一般的に交わされている。この定期出動契約は、定額料金(例えば2万円)で、所定期間(例えば1ヶ月)の間に所定回数(例えば5回)の出動を行なうものであり、この所定回数以外に出動を依頼する場合には、割高な臨時出動料金(例えば1回あたり6千円)を支払うようになっている。従って、警備会社に所定回数以上の出動(配送)要請を行なうことは、警備会社に対して支払う料金が高くなり、運用コストが高くなるという課題がある。
【0008】
また、ATMにおいては、消耗品(例えば、レシート用紙、ジャーナル用紙、振込券、出入り票、発行通帳等)の補充が必要であるが、このような消耗品の補充も警備会社に対して出動の依頼を行なうようになっている。
また、ATMにおいては、そして、上述のような消耗品の補充のための出動や保守作業のための出動も、上述した定期出動契約の出動回数に含まれるのである。
【0009】
従来においては、現金、消耗品の補充作業や保守作業のための作業員の出動については予測・計画等の管理を行なって警備会社の出動を所定回数内で行なうように管理している。
【0010】
しかし、現金や消耗品の不足(至急、補充が必要)のためのアラームが通知されたりトラブルが発生したりした時点や、メーカから連絡があった場合等、何らかの事象が生じた時点で個別に対応していたので、これらの現金や消耗品の補充・交換作業や保守作業のために警備会社に対して所定回数に含まれない出動依頼を行なうことにより、割高な臨時出動料金を支払わなければならないことがある。すなわち、警備会社に対して適切な出動費用以上の支払いを行なっているという課題があるのである。
【0011】
本発明の目的は、ある金融自動取引装置が原因で警備会社が出動する場合、その出動に伴う作業にかかる費用を最小にして警送ルートを立案する警送ルート立案システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る警送ルート立案システムは、複数の金融自動取引装置とネットワークを介して接続された管理用のサーバを含むシステムであって、複数の金融自動取引装置は、自ら保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を発信する通信部を有し、サーバは、複数の金融自動取引装置から送信される状態情報を受信する通信部と、通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理するデータベースと、データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された第2の金融自動取引装置の状態情報を、データベースから取得して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断し、その判断の結果、対象となる第2の金融自動取引装置と第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有するように構成された警送ルート立案システムである。
好ましい例では、サーバは、第1の金融自動取引装置の現金又は消耗品が不足した旨、又は障害発生により装置の稼動が停止したことを通信部が受信して、抽出部及びルート作成部における処理を実行して警送ルートを作成する。
【0013】
本発明に係る警送ルート立案システムは、好ましくは、ネットワークを介して複数の金融自動取引装置に関する状態情報を受信し、状態情報に基づいて金融自動取引装置に対する警送ルートを作成する警送ルート立案システムであって、複数の金融自動取引装置を監視する保守会社が有する第1のサーバは、複数の金融自動取引装置から送信される、金融自動取引装置自らが保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を、ネットワークを介して受信する通信部と、通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第1のデータベースと、選択された金融自動取引装置に関して、第1のデータベースを参照して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断する制御部と、を有し、
第1のサーバとネットワークを介して接続された警備会社の第2のサーバは、第1のサーバから取得した、少なくとも金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第2のデータベースと、第2データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、第1のサーバから連絡された警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、第1のサーバの制御部からの情報に従い、紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えていると判断された第2の金融自動取引装置と第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有する警送ルート立案システムである。
一例では、第1のサーバは第1の表示手段と有し、第1の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号、稼働状況、設置場所、紙幣又は消耗品の状況が表示され、第2のサーバは第2の表示手段と有し、第2の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号に対応して、設置場所及び位置情報が表示される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トラブル対象の金融自動取引装置の周辺にある他の金融自動取引装置も含めて警送ルートを立案するシステムを構築することにより、警備会社による警送業務にかかる費用を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一実施形態としての警送ルート立案システムの概略図である。
図1において、ATMを運用している銀行やクレジット会社等の金融機関40と複数のATM51は専用回線や公衆回線等のネットワーク41を介して接続して、金融システムを形成している。警送ルート立案システムとしては、ネットワーク41を介して複数のATM51と保守会社10が接続され、またネットワーク20を介して保守会社1と警備会社3とが接続され、保守会社1と警備会社3とは互いに通信可能となっている。保守会社1はサーバ10及びデータベース(DB)11を有し、同様にして警備会社3はサーバ30及びDB31を有する。
【0016】
各ATMは発信機能を有しており、ATMの状態に関する情報、例えばATM51の紙幣容量や消耗品残量等の情報及びATM51の運用事故等の稼動状態を示す情報等を自ら発信する。金融機関40および保守会社10は、ネットワーク41を介して各ATM51から送信されるATMの稼働状況に関する情報を受信する。
【0017】
保守会社1は、ATMから送信された情報を受信して、それらの情報をATM51毎にDB11に蓄積する。また、保守会社1は、受信したATMの状態に関する情報(状態情報)を、ネットワーク20を介して警備会社3へ送信する。
保守会社1は警備会社3と連携してATM51の保守業務を遂行し、そのために、保守会社1のサーバ10は、現金を各ATM51に補充する必要があるか、及び補充する現金の額を決定する機能を実行する。
【0018】
警備会社3は、受信したATMの状態情報をDB31に蓄積する。また、警備会社3のサーバ30は、DB31に蓄積したATMの状態情報を参照し、併せてDB31に蓄積しているATMの位置情報に基づいて、指定された特定の地域に属する複数のATM51への現金や消耗品を補充するルートを決定する機能を実行する。また警備会社は、業務としてATM51への現金や消耗品の補充(警送業務)、障害発生時の出動、及び現金や消耗品の補充時には適時ATMのブース内の清掃等も行なう。
【0019】
ここで、ATM51で扱われる現金や明細票等について説明しておきたい。
ATM51は、金融機関によって、銀行や店舗、無人店舗、コンビニ等に設置されている現金自動取引装置であり、その内部に現金を格納可能に構成され、利用者(顧客)の操作(取引)に応じて出金や入金等の種々の処理を行なうことができるようになっている。なお、このATM51に装填される現金、例えば紙幣や硬貨はATM51において取引が行なわれていることにより消費される消耗品であり、必要に応じて金融機関等によって補充される補充品である。以下、本実施形態においては、便宜上、現金として紙幣を用いて説明する。
【0020】
また、ATM51には、明細票、ジャーナル用紙、振込券、発行通帳等(所謂、消耗品と言う)が収納されており、顧客によって行なわれた種々の取引の内容等を印刷して、出力もしくは保存するようになっている。これらの明細票、ジャーナル用紙、振込券、発行通帳等もATM51において取引が行なわれることにより消費される補充品である。
【0021】
図2は一実施形態による警送ルート立案システムの具体的な構成を示す。
警送ルート立案システムにおいて、保守会社1のシステムとして、サーバ10は、DB11、通信部200、制御部201、入力部202、表示および出力部203、現金容量情報取得部204を有する。また、警備会社3のシステムとして、サーバ30は、DB31、通信部210、制御部213、ルート作成部214、警送可能範囲抽出部215、ATM位置情報取得部216を有して構成されている。
【0022】
保守会社1のサーバ10において、通信部200は、ネットワーク20、41を介して送られてくる情報を受信、又はネットワーク20、41を介して情報を送信する。また入力部202は、DB11に必要なデータを入力する等の機能を有している。また表示部および出力部203は、DB11に蓄積された情報を適時表示および出力する機能を有しており、具体的には図8〜図11を参照して後で説明する。
【0023】
制御部201は、サーバ10において、通信部200に送られてきた情報をDB11に定期的又は随時吸い上げを行なう。さらに入力部202から入力された情報を表示および出力部203へ表示するための制御を行なう。なお、図中、警備会社のサーバ30における、通信部210、制御部211、入力部212、表示および出力部213は、保守会社のサーバ10と同様の機能であるので、説明を省略する。
【0024】
現金容量情報取得部204は、各ATM51における現金容量情報の取得を行なうもので、各ATM51から現金容量情報が収集されるとその現金容量情報を、入力部202を介してDB11に書き込む機能を有している。ここで現金容量情報とは、図8における、現金容量を3段階に分類した情報である。現金容量710において1次補充ライン720以上は補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満は残量少、2次補充ライン721未満は要補充と設定している。
【0025】
警備会社のサーバ30におけるルート作成部214は、警送ルートを作成する機能を有している。ここで、警送ルート作成方法は、例えば、特許文献1に開示されているようなルート作成の技法を用いて、警送費用を最小にする最適なルート作成方法である。
【0026】
警送可能範囲抽出部215は、ある地域例えば、半径30Km以内の地域等を警送可能な(警送費用を最小にする最適ルートを作成可能な)地域のATMを抽出する機能を有している。
ATM位置情報取得部216は、各ATM51が位置する地域および住所、隣接する各ATM51までの道路状況などを取得する機能を有している。
警送可能範囲抽出部215とATM位置情報取得部216に基づく処理により、図9(後述で説明する)で示す警送ルート立案システムの現金容量情報及び位置情報の表示例を出力可能とする。
【0027】
ATM51において、通信部220は、ATMの状態情報、例えば、現金容量情報、消耗品の容量情報、ATMの稼動状況の情報を、ネットワーク41を介して保守会社1のサーバ10へと通信する機能を有する。また制御部221はATMの状態情報を検知し、また通信部220への通信命令を行なう機能を有する。
【0028】
次に、図3以降を参照して、警送ルート立案システムの動作について説明する。
図3は一実施形態による警送ルート立案システムの動作を示すフローチャートである。また、図4は一実施形態による警送ルート立案システムを説明するための概要図である。
【0029】
図3において、まず、ATM510(図4)において現金や消耗品(例えば、明細票、ジャーナル、振込券、発行通帳等)の不足、障害等が発生し、ATM510の稼動が停止するとする(S300)。ここで、現金不足とは、要補充となった場合である。次にATM510の周辺地域(警送可能範囲の地域)に位置する他のATM51を抽出する(S301)。ここで警送可能範囲とは単純に当該ATM510を中心に例えば半径30km圏内の地域や道路状況などを考慮しての移動距離時間での警送可能範囲や警備会社30と金融機関40で決めた地域等の範囲である。そして、S301で抽出したATM51の現金容量情報を取得する(S302)。また現金容量情報から現金容量が残量少に該当する各ATM51を抽出する(S303)。
【0030】
ここで、現金や消耗品の不足、障害が発生したATM510を中心に警送可能範囲に位置する、かつ現金容量が残量少に該当する各ATM51に対して、最適な警送ルートを作成する(S304)。これを元に警備会社は出動し(S305)、まずATM510に現金を補充、または消耗品補充またはATMを復旧し(S306)、作成したルートに従って警送業務を遂行する(S307)。
【0031】
図4は本発明の一実施形態による警送ルート立案システムを説明する概要図である。
まず、(1)ATM510において現金や消耗品の不足、障害等が発生し、ATM510の稼動が停止するとする(S300)。ここで、現金不足とは、要補充となった場合である。(2)次にATM510の周辺地域(警送可能範囲の地域)に位置する他のATM51を抽出する(S301)。ここで警送可能範囲とは単純にATM510を中心に例えば半径30km圏内の地域や道路状況などを考慮しての移動距離時間での警送可能範囲や警備会社30と金融機関40で決めた地域等の範囲である。そして、(3)S301で抽出したATM51の現金容量情報を取得し(S302)、(4)現金容量情報から現金容量が残量少に該当する各ATM51を抽出する(S303)。
【0032】
(5)ここで、現金や消耗品の不足、障害が発生した当該ATM510を中心に警送可能範囲に位置する、かつ現金容量が残量少に該当する各ATM51に対して、最適な警送ルートを作成する(S304)。これを元に警備会社は出動し(S305)、ATM510に現金を補充または消耗品補充またはATM510を復旧し(S306)、作成したルートに従って警送業務を遂行する(S307)。
【0033】
図5は一実施形態による警送ルート立案システムの保守会社のDB11の構成例を示す。
保守会社のDB11には、ATM51の情報である、金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51が正常に稼動しているかどうかの情報である稼動状況501、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の現金容量505、ATM51の消耗品残量506等の情報を管理する。これらの情報はATM51からの情報吸い上げによって随時更新される。
【0034】
図6は同じく警備会社のDB31の構成例を示す。
DB31は、金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の警送業者の管轄地域やATM51の設置場所の地図または道路状況等の位置情報507等の情報を管理する。
なお、DB31は、DB11の全ての情報を管理してもよいし、図6の示す情報に、更にDB11から抽出された情報を加えて管理するようにしてもよい。
【0035】
図7は、本発明の一実施形態による警送ルート立案システムのルート作成を説明するためのフローチャートを示す。
ATM51の制御部221が現金要補充、消耗品要補充、障害を検知する(S600)。ここで現金要補充とは、図8において現金容量を3段階に分類し、現金容量710において1次補充ライン720以上を補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満を残量少、2次補充ライン未満を要補充とし、要補充にあたるものである。消耗品要補充についても同様に扱うものとしている。また、この要補充の現金枚数は、例えば、特許文献1に示される需要予測の手法を用いて設定し、ATM51ごとにそれぞれ別枚数の設定をしてもよい。
【0036】
次に、ATM51の制御部が検知した情報を通信部220がネットワーク41を介して、保守会社のサーバ10の通信部200へ発信する(S601)。サーバ10の通信部200は、ネットワーク20を介して、ATM510から送信された障害情報を警備会社のサーバ30の通信部210へ発信する(S602)。ここで、障害情報とは現金要補充、消耗品要補充、障害等の情報である。
【0037】
保守会社のサーバ10の通信部200から送られてきたATM510の状態情報を元にして、警備会社のサーバ30のATM位置情報取得部216は、ATM510の位置情報を取得する(S603)。次に警備会社のサーバ30の警送可能範囲抽出部215は、ATM510の位置を基準に警送可能範囲(例えば、半径30km圏内等)に位置する各ATM51を抽出する(S604)。通信部210は、この抽出したATMの状態情報をネットワーク20を介して保守会社のサーバ10の通信部200へ発信する(S605)。
【0038】
次に、保守会社のサーバ10の現金容量情報取得部204は、警備会社のサーバ30から送られてきた各ATM51の現金容量情報を取得し(S606)、制御部201はこの現金容量情報から現金残量少であるATM51を抽出する(S607)。ここで現金残量少とは、図8において現金容量を3段階に分類し、現金容量710において1次補充ライン720以上を補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満を残量少、2次補充ライン未満を要補充とし、残量少にあたるものである。また、この残量少の現金枚数は、例えば特許文献1に示される需要予測の手法を用いて設定し、ATM51ごとにそれぞれ別枚数の設定をしてもよい。
【0039】
通信部200は、S07で抽出した各ATM51の情報(ATM識別番号等を含む)をネットワーク20を介して、警備会社のサーバ30の通信部210へ発信する(S608)。
【0040】
次に、警備会社のサーバ30のルート作成部214は、保守会社のサーバ10から送られてきた各ATM51から現金要補充または消耗品要補充または障害の発生したATM510を中心として警送ルートを作成する(S609)。
【0041】
図8は一実施形態による警送ルート立案システムの現金容量情報の表示例を示す。
203は保守会社のサーバ10における表示および出力部203の表示例であり、現金容量を3段階に分類した情報である。現金容量710において1次補充ライン720以上は、補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満は残量少、2次補充ライン未満は要補充とする。また、消耗品(例えば明細票等)の容量情報についても上記と同様に表示してもよい。また、この残量少、要補充の現金枚数は、例えば特許文献1に示される需要予測の手法を用いて、ATM51ごとにそれぞれ別枚数の設定をしてもよい。また、上述した現金や消耗品の不足は、ここでいう要補充のことである。
【0042】
図9は一実施形態による警送ルート立案システムの現金容量情報及びATM51の警送業者の管轄地域やATM51の設置場所の地図または道路状況等の位置情報の表示例を示す図である。
警備会社のサーバ11の表示および出力部213には、現金要補充または消耗品要補充または障害の発生したATM510を中心として各ATM51を表示し、現金容量情報を同時に表示する。また合わせてATM510を中心としての警送可能範囲も表示してもよい。
【0043】
図10は一実施形態による警送ルート立案システムにおける保守会社のDB11の表示例を示す。
表示および出力部203の表示画面には、DB11で管理されるATM51の情報である、金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51が正常に稼動しているかどうかの情報である稼動状況501、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の現金容量505、ATM51の消耗品残量506等の情報が表示される。
【0044】
図11は一実施形態による警送ルート立案システムの警備会社データベース表示例を示す。
表示および出力部213の表示画面には、DB31で管理される金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の警送業者の管轄地域やATM51の設置場所の地図または道路状況等の位置情報507等の情報が表示される。
【0045】
なお、上記の実施形態の説明では保守会社1の機能と警備会社3の機能を夫々分けて説明したが、代替例としては、保守会社1が持つ構成や機能と警備会社3が持つ構成や機能を、例えば保守会社1(又は警備会社3)に集約するようにして、一方の会社が全ての機能や構成を併せ持つようにしてもよい。このように構成すれば、ネットワーク20を介して通信は不要になり、またサーバやDBはそれぞれ1つで兼用できる可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】一実施形態における警送ルート立案システムの概略を示す図。
【図2】一実施形態における警送ルート立案システムの具体的構成を示すブロック図。
【図3】一実施形態における警送ルート立案システムの動作を説明するフローチャート。
【図4】一実施形態における警送ルート立案システムの概要図。
【図5】一実施形態における保守会社のDB11を示す図。
【図6】一実施形態における警備会社のDB31を示す図。
【図7】一実施形態における警送ルート立案システムのルート作成を説明するフローチャート。
【図8】一実施形態における警送ルート立案システムの現金容量情報表示例を示す図。
【図9】一実施形態における警送ルート立案システムの現金容量情報及び位置情報の表示例を示す図。
【図10】一実施形態における保守会社のDB11の表示例を示す図。
【図11】一実施形態における警備会社のDB31の表示例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
1:保守会社 10:サーバ
11:DB 20:ネットワーク
3:警備会社 30:サーバ
31:DB 40:金融機関
41:ネットワーク 51:ATM
200:通信部 201:制御部
202:入力部 203:表示および出力部
204:現金容量情報取得部 210:通信部
211:制御部 212:入力部
213:表示および出力部
214:ルート作成部 215:警送可能範囲抽出部
216:ATM位置情報取得部 220:ATM通信部
221:ATM制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、警送ルート立案システムに係り、特に銀行等の金融機関の店舗においてATM(Automated Teller Machine/現金自動入出金機)等の金融自動取引装置に対して、警備会社による警送業務を最適に遂行する警送ルート立案システムである。
【背景技術】
【0002】
一般に、銀行の現金自動機コーナや無人の現金自動機コーナ等に設置されたATMに対する現金補充や現金回収の業務は、銀行の店舗担当者等の指示に従って警備会社の社員が行なっている。
【0003】
具体的には、例えば特許文献1(特開2004−206261号公報)に開示された手法等を用いてATMにおける現金需要枚数を予測し、その予測した需要枚数に基づいて、何れのATMにおいて、いつ、どの位の資金の補充又は回収が必要か(配分/時期)を検討し、出動作業計画を作成する。そして、作成した出動作業計画書をFAX等を利用して警備会社にも送信して、ATMへの現金の配送(補充)やATMからの余剰金の回収を依頼する。
【0004】
現金調達部門は、現金補充指示書に従って、指示された金額の資金を、指示された時期に資金装填用口座に入金する。又、警備会社は、現金補充指示書に従って、指示された時期に、指示された金額の現金を装填用口座から引き出してATMに配送(充填)したり、指示された金額の余剰金をATMから回収したりする。
【0005】
なお、警備会社においては、ATMへ(ATMから)の資金配送を行なうなめに、誰がどいつどこのATMに行なって作業を行なうか等の人的手配(スケジューリング)は、特許文献1によるシステムで行なわれている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−206261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
警備会社に対して必要以上に資金配送のための出動を依頼することにより、その出動経費が高くなるおそれがある。例えば、警備会社と金融機関との間においては、定期出動契約が一般的に交わされている。この定期出動契約は、定額料金(例えば2万円)で、所定期間(例えば1ヶ月)の間に所定回数(例えば5回)の出動を行なうものであり、この所定回数以外に出動を依頼する場合には、割高な臨時出動料金(例えば1回あたり6千円)を支払うようになっている。従って、警備会社に所定回数以上の出動(配送)要請を行なうことは、警備会社に対して支払う料金が高くなり、運用コストが高くなるという課題がある。
【0008】
また、ATMにおいては、消耗品(例えば、レシート用紙、ジャーナル用紙、振込券、出入り票、発行通帳等)の補充が必要であるが、このような消耗品の補充も警備会社に対して出動の依頼を行なうようになっている。
また、ATMにおいては、そして、上述のような消耗品の補充のための出動や保守作業のための出動も、上述した定期出動契約の出動回数に含まれるのである。
【0009】
従来においては、現金、消耗品の補充作業や保守作業のための作業員の出動については予測・計画等の管理を行なって警備会社の出動を所定回数内で行なうように管理している。
【0010】
しかし、現金や消耗品の不足(至急、補充が必要)のためのアラームが通知されたりトラブルが発生したりした時点や、メーカから連絡があった場合等、何らかの事象が生じた時点で個別に対応していたので、これらの現金や消耗品の補充・交換作業や保守作業のために警備会社に対して所定回数に含まれない出動依頼を行なうことにより、割高な臨時出動料金を支払わなければならないことがある。すなわち、警備会社に対して適切な出動費用以上の支払いを行なっているという課題があるのである。
【0011】
本発明の目的は、ある金融自動取引装置が原因で警備会社が出動する場合、その出動に伴う作業にかかる費用を最小にして警送ルートを立案する警送ルート立案システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る警送ルート立案システムは、複数の金融自動取引装置とネットワークを介して接続された管理用のサーバを含むシステムであって、複数の金融自動取引装置は、自ら保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を発信する通信部を有し、サーバは、複数の金融自動取引装置から送信される状態情報を受信する通信部と、通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理するデータベースと、データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、抽出部により抽出された第2の金融自動取引装置の状態情報を、データベースから取得して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断し、その判断の結果、対象となる第2の金融自動取引装置と第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有するように構成された警送ルート立案システムである。
好ましい例では、サーバは、第1の金融自動取引装置の現金又は消耗品が不足した旨、又は障害発生により装置の稼動が停止したことを通信部が受信して、抽出部及びルート作成部における処理を実行して警送ルートを作成する。
【0013】
本発明に係る警送ルート立案システムは、好ましくは、ネットワークを介して複数の金融自動取引装置に関する状態情報を受信し、状態情報に基づいて金融自動取引装置に対する警送ルートを作成する警送ルート立案システムであって、複数の金融自動取引装置を監視する保守会社が有する第1のサーバは、複数の金融自動取引装置から送信される、金融自動取引装置自らが保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を、ネットワークを介して受信する通信部と、通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第1のデータベースと、選択された金融自動取引装置に関して、第1のデータベースを参照して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断する制御部と、を有し、
第1のサーバとネットワークを介して接続された警備会社の第2のサーバは、第1のサーバから取得した、少なくとも金融自動取引装置の位置情報を、金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第2のデータベースと、第2データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、第1のサーバから連絡された警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、第1のサーバの制御部からの情報に従い、紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えていると判断された第2の金融自動取引装置と第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有する警送ルート立案システムである。
一例では、第1のサーバは第1の表示手段と有し、第1の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号、稼働状況、設置場所、紙幣又は消耗品の状況が表示され、第2のサーバは第2の表示手段と有し、第2の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号に対応して、設置場所及び位置情報が表示される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トラブル対象の金融自動取引装置の周辺にある他の金融自動取引装置も含めて警送ルートを立案するシステムを構築することにより、警備会社による警送業務にかかる費用を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一実施形態としての警送ルート立案システムの概略図である。
図1において、ATMを運用している銀行やクレジット会社等の金融機関40と複数のATM51は専用回線や公衆回線等のネットワーク41を介して接続して、金融システムを形成している。警送ルート立案システムとしては、ネットワーク41を介して複数のATM51と保守会社10が接続され、またネットワーク20を介して保守会社1と警備会社3とが接続され、保守会社1と警備会社3とは互いに通信可能となっている。保守会社1はサーバ10及びデータベース(DB)11を有し、同様にして警備会社3はサーバ30及びDB31を有する。
【0016】
各ATMは発信機能を有しており、ATMの状態に関する情報、例えばATM51の紙幣容量や消耗品残量等の情報及びATM51の運用事故等の稼動状態を示す情報等を自ら発信する。金融機関40および保守会社10は、ネットワーク41を介して各ATM51から送信されるATMの稼働状況に関する情報を受信する。
【0017】
保守会社1は、ATMから送信された情報を受信して、それらの情報をATM51毎にDB11に蓄積する。また、保守会社1は、受信したATMの状態に関する情報(状態情報)を、ネットワーク20を介して警備会社3へ送信する。
保守会社1は警備会社3と連携してATM51の保守業務を遂行し、そのために、保守会社1のサーバ10は、現金を各ATM51に補充する必要があるか、及び補充する現金の額を決定する機能を実行する。
【0018】
警備会社3は、受信したATMの状態情報をDB31に蓄積する。また、警備会社3のサーバ30は、DB31に蓄積したATMの状態情報を参照し、併せてDB31に蓄積しているATMの位置情報に基づいて、指定された特定の地域に属する複数のATM51への現金や消耗品を補充するルートを決定する機能を実行する。また警備会社は、業務としてATM51への現金や消耗品の補充(警送業務)、障害発生時の出動、及び現金や消耗品の補充時には適時ATMのブース内の清掃等も行なう。
【0019】
ここで、ATM51で扱われる現金や明細票等について説明しておきたい。
ATM51は、金融機関によって、銀行や店舗、無人店舗、コンビニ等に設置されている現金自動取引装置であり、その内部に現金を格納可能に構成され、利用者(顧客)の操作(取引)に応じて出金や入金等の種々の処理を行なうことができるようになっている。なお、このATM51に装填される現金、例えば紙幣や硬貨はATM51において取引が行なわれていることにより消費される消耗品であり、必要に応じて金融機関等によって補充される補充品である。以下、本実施形態においては、便宜上、現金として紙幣を用いて説明する。
【0020】
また、ATM51には、明細票、ジャーナル用紙、振込券、発行通帳等(所謂、消耗品と言う)が収納されており、顧客によって行なわれた種々の取引の内容等を印刷して、出力もしくは保存するようになっている。これらの明細票、ジャーナル用紙、振込券、発行通帳等もATM51において取引が行なわれることにより消費される補充品である。
【0021】
図2は一実施形態による警送ルート立案システムの具体的な構成を示す。
警送ルート立案システムにおいて、保守会社1のシステムとして、サーバ10は、DB11、通信部200、制御部201、入力部202、表示および出力部203、現金容量情報取得部204を有する。また、警備会社3のシステムとして、サーバ30は、DB31、通信部210、制御部213、ルート作成部214、警送可能範囲抽出部215、ATM位置情報取得部216を有して構成されている。
【0022】
保守会社1のサーバ10において、通信部200は、ネットワーク20、41を介して送られてくる情報を受信、又はネットワーク20、41を介して情報を送信する。また入力部202は、DB11に必要なデータを入力する等の機能を有している。また表示部および出力部203は、DB11に蓄積された情報を適時表示および出力する機能を有しており、具体的には図8〜図11を参照して後で説明する。
【0023】
制御部201は、サーバ10において、通信部200に送られてきた情報をDB11に定期的又は随時吸い上げを行なう。さらに入力部202から入力された情報を表示および出力部203へ表示するための制御を行なう。なお、図中、警備会社のサーバ30における、通信部210、制御部211、入力部212、表示および出力部213は、保守会社のサーバ10と同様の機能であるので、説明を省略する。
【0024】
現金容量情報取得部204は、各ATM51における現金容量情報の取得を行なうもので、各ATM51から現金容量情報が収集されるとその現金容量情報を、入力部202を介してDB11に書き込む機能を有している。ここで現金容量情報とは、図8における、現金容量を3段階に分類した情報である。現金容量710において1次補充ライン720以上は補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満は残量少、2次補充ライン721未満は要補充と設定している。
【0025】
警備会社のサーバ30におけるルート作成部214は、警送ルートを作成する機能を有している。ここで、警送ルート作成方法は、例えば、特許文献1に開示されているようなルート作成の技法を用いて、警送費用を最小にする最適なルート作成方法である。
【0026】
警送可能範囲抽出部215は、ある地域例えば、半径30Km以内の地域等を警送可能な(警送費用を最小にする最適ルートを作成可能な)地域のATMを抽出する機能を有している。
ATM位置情報取得部216は、各ATM51が位置する地域および住所、隣接する各ATM51までの道路状況などを取得する機能を有している。
警送可能範囲抽出部215とATM位置情報取得部216に基づく処理により、図9(後述で説明する)で示す警送ルート立案システムの現金容量情報及び位置情報の表示例を出力可能とする。
【0027】
ATM51において、通信部220は、ATMの状態情報、例えば、現金容量情報、消耗品の容量情報、ATMの稼動状況の情報を、ネットワーク41を介して保守会社1のサーバ10へと通信する機能を有する。また制御部221はATMの状態情報を検知し、また通信部220への通信命令を行なう機能を有する。
【0028】
次に、図3以降を参照して、警送ルート立案システムの動作について説明する。
図3は一実施形態による警送ルート立案システムの動作を示すフローチャートである。また、図4は一実施形態による警送ルート立案システムを説明するための概要図である。
【0029】
図3において、まず、ATM510(図4)において現金や消耗品(例えば、明細票、ジャーナル、振込券、発行通帳等)の不足、障害等が発生し、ATM510の稼動が停止するとする(S300)。ここで、現金不足とは、要補充となった場合である。次にATM510の周辺地域(警送可能範囲の地域)に位置する他のATM51を抽出する(S301)。ここで警送可能範囲とは単純に当該ATM510を中心に例えば半径30km圏内の地域や道路状況などを考慮しての移動距離時間での警送可能範囲や警備会社30と金融機関40で決めた地域等の範囲である。そして、S301で抽出したATM51の現金容量情報を取得する(S302)。また現金容量情報から現金容量が残量少に該当する各ATM51を抽出する(S303)。
【0030】
ここで、現金や消耗品の不足、障害が発生したATM510を中心に警送可能範囲に位置する、かつ現金容量が残量少に該当する各ATM51に対して、最適な警送ルートを作成する(S304)。これを元に警備会社は出動し(S305)、まずATM510に現金を補充、または消耗品補充またはATMを復旧し(S306)、作成したルートに従って警送業務を遂行する(S307)。
【0031】
図4は本発明の一実施形態による警送ルート立案システムを説明する概要図である。
まず、(1)ATM510において現金や消耗品の不足、障害等が発生し、ATM510の稼動が停止するとする(S300)。ここで、現金不足とは、要補充となった場合である。(2)次にATM510の周辺地域(警送可能範囲の地域)に位置する他のATM51を抽出する(S301)。ここで警送可能範囲とは単純にATM510を中心に例えば半径30km圏内の地域や道路状況などを考慮しての移動距離時間での警送可能範囲や警備会社30と金融機関40で決めた地域等の範囲である。そして、(3)S301で抽出したATM51の現金容量情報を取得し(S302)、(4)現金容量情報から現金容量が残量少に該当する各ATM51を抽出する(S303)。
【0032】
(5)ここで、現金や消耗品の不足、障害が発生した当該ATM510を中心に警送可能範囲に位置する、かつ現金容量が残量少に該当する各ATM51に対して、最適な警送ルートを作成する(S304)。これを元に警備会社は出動し(S305)、ATM510に現金を補充または消耗品補充またはATM510を復旧し(S306)、作成したルートに従って警送業務を遂行する(S307)。
【0033】
図5は一実施形態による警送ルート立案システムの保守会社のDB11の構成例を示す。
保守会社のDB11には、ATM51の情報である、金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51が正常に稼動しているかどうかの情報である稼動状況501、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の現金容量505、ATM51の消耗品残量506等の情報を管理する。これらの情報はATM51からの情報吸い上げによって随時更新される。
【0034】
図6は同じく警備会社のDB31の構成例を示す。
DB31は、金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の警送業者の管轄地域やATM51の設置場所の地図または道路状況等の位置情報507等の情報を管理する。
なお、DB31は、DB11の全ての情報を管理してもよいし、図6の示す情報に、更にDB11から抽出された情報を加えて管理するようにしてもよい。
【0035】
図7は、本発明の一実施形態による警送ルート立案システムのルート作成を説明するためのフローチャートを示す。
ATM51の制御部221が現金要補充、消耗品要補充、障害を検知する(S600)。ここで現金要補充とは、図8において現金容量を3段階に分類し、現金容量710において1次補充ライン720以上を補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満を残量少、2次補充ライン未満を要補充とし、要補充にあたるものである。消耗品要補充についても同様に扱うものとしている。また、この要補充の現金枚数は、例えば、特許文献1に示される需要予測の手法を用いて設定し、ATM51ごとにそれぞれ別枚数の設定をしてもよい。
【0036】
次に、ATM51の制御部が検知した情報を通信部220がネットワーク41を介して、保守会社のサーバ10の通信部200へ発信する(S601)。サーバ10の通信部200は、ネットワーク20を介して、ATM510から送信された障害情報を警備会社のサーバ30の通信部210へ発信する(S602)。ここで、障害情報とは現金要補充、消耗品要補充、障害等の情報である。
【0037】
保守会社のサーバ10の通信部200から送られてきたATM510の状態情報を元にして、警備会社のサーバ30のATM位置情報取得部216は、ATM510の位置情報を取得する(S603)。次に警備会社のサーバ30の警送可能範囲抽出部215は、ATM510の位置を基準に警送可能範囲(例えば、半径30km圏内等)に位置する各ATM51を抽出する(S604)。通信部210は、この抽出したATMの状態情報をネットワーク20を介して保守会社のサーバ10の通信部200へ発信する(S605)。
【0038】
次に、保守会社のサーバ10の現金容量情報取得部204は、警備会社のサーバ30から送られてきた各ATM51の現金容量情報を取得し(S606)、制御部201はこの現金容量情報から現金残量少であるATM51を抽出する(S607)。ここで現金残量少とは、図8において現金容量を3段階に分類し、現金容量710において1次補充ライン720以上を補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満を残量少、2次補充ライン未満を要補充とし、残量少にあたるものである。また、この残量少の現金枚数は、例えば特許文献1に示される需要予測の手法を用いて設定し、ATM51ごとにそれぞれ別枚数の設定をしてもよい。
【0039】
通信部200は、S07で抽出した各ATM51の情報(ATM識別番号等を含む)をネットワーク20を介して、警備会社のサーバ30の通信部210へ発信する(S608)。
【0040】
次に、警備会社のサーバ30のルート作成部214は、保守会社のサーバ10から送られてきた各ATM51から現金要補充または消耗品要補充または障害の発生したATM510を中心として警送ルートを作成する(S609)。
【0041】
図8は一実施形態による警送ルート立案システムの現金容量情報の表示例を示す。
203は保守会社のサーバ10における表示および出力部203の表示例であり、現金容量を3段階に分類した情報である。現金容量710において1次補充ライン720以上は、補充不要、2次補充ライン721以上1次補充ライン721未満は残量少、2次補充ライン未満は要補充とする。また、消耗品(例えば明細票等)の容量情報についても上記と同様に表示してもよい。また、この残量少、要補充の現金枚数は、例えば特許文献1に示される需要予測の手法を用いて、ATM51ごとにそれぞれ別枚数の設定をしてもよい。また、上述した現金や消耗品の不足は、ここでいう要補充のことである。
【0042】
図9は一実施形態による警送ルート立案システムの現金容量情報及びATM51の警送業者の管轄地域やATM51の設置場所の地図または道路状況等の位置情報の表示例を示す図である。
警備会社のサーバ11の表示および出力部213には、現金要補充または消耗品要補充または障害の発生したATM510を中心として各ATM51を表示し、現金容量情報を同時に表示する。また合わせてATM510を中心としての警送可能範囲も表示してもよい。
【0043】
図10は一実施形態による警送ルート立案システムにおける保守会社のDB11の表示例を示す。
表示および出力部203の表示画面には、DB11で管理されるATM51の情報である、金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51が正常に稼動しているかどうかの情報である稼動状況501、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の現金容量505、ATM51の消耗品残量506等の情報が表示される。
【0044】
図11は一実施形態による警送ルート立案システムの警備会社データベース表示例を示す。
表示および出力部213の表示画面には、DB31で管理される金融機関40等がATM51を識別するために任意に設定した番号であるATM識別番号500、ATM51の住所等の情報である設置場所502、ATM51を管理している支店名503、ATM51の重複しない固有の番号である機番504、ATM51の警送業者の管轄地域やATM51の設置場所の地図または道路状況等の位置情報507等の情報が表示される。
【0045】
なお、上記の実施形態の説明では保守会社1の機能と警備会社3の機能を夫々分けて説明したが、代替例としては、保守会社1が持つ構成や機能と警備会社3が持つ構成や機能を、例えば保守会社1(又は警備会社3)に集約するようにして、一方の会社が全ての機能や構成を併せ持つようにしてもよい。このように構成すれば、ネットワーク20を介して通信は不要になり、またサーバやDBはそれぞれ1つで兼用できる可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】一実施形態における警送ルート立案システムの概略を示す図。
【図2】一実施形態における警送ルート立案システムの具体的構成を示すブロック図。
【図3】一実施形態における警送ルート立案システムの動作を説明するフローチャート。
【図4】一実施形態における警送ルート立案システムの概要図。
【図5】一実施形態における保守会社のDB11を示す図。
【図6】一実施形態における警備会社のDB31を示す図。
【図7】一実施形態における警送ルート立案システムのルート作成を説明するフローチャート。
【図8】一実施形態における警送ルート立案システムの現金容量情報表示例を示す図。
【図9】一実施形態における警送ルート立案システムの現金容量情報及び位置情報の表示例を示す図。
【図10】一実施形態における保守会社のDB11の表示例を示す図。
【図11】一実施形態における警備会社のDB31の表示例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
1:保守会社 10:サーバ
11:DB 20:ネットワーク
3:警備会社 30:サーバ
31:DB 40:金融機関
41:ネットワーク 51:ATM
200:通信部 201:制御部
202:入力部 203:表示および出力部
204:現金容量情報取得部 210:通信部
211:制御部 212:入力部
213:表示および出力部
214:ルート作成部 215:警送可能範囲抽出部
216:ATM位置情報取得部 220:ATM通信部
221:ATM制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金融自動取引装置とネットワークを介して接続された管理用のサーバを含むシステムであって、
該複数の金融自動取引装置は、自ら保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を発信する通信部を有し、
該サーバは、該複数の金融自動取引装置から送信される状態情報を受信する通信部と、
該通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び該金融自動取引装置の位置情報を、該金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理するデータベースと、
該データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、
該抽出部により抽出された該第2の金融自動取引装置の状態情報を、該データベースから取得して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断し、その判断の結果、対象となる該第2の金融自動取引装置と該第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、
を有することを特徴とする警送ルート立案システム。
【請求項2】
該サーバは、該第1の金融自動取引装置の現金又は消耗品が不足した旨、又は障害発生により装置の稼動が停止したことを該通信部が受信して、該抽出部及びルート作成部における処理を実行して警送ルートを作成することを特徴とする請求項1の警送ルート立案システム。
【請求項3】
ネットワークを介して複数の金融自動取引装置に関する状態情報を受信し、該状態情報に基づいて該金融自動取引装置に対する警送ルートを作成する警送ルート立案システムであって、
複数の金融自動取引装置を監視する保守会社が有する第1のサーバは、
該複数の金融自動取引装置から送信される、該金融自動取引装置自らが保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を、ネットワークを介して受信する通信部と、該通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び該金融自動取引装置の位置情報を、該金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第1のデータベースと、選択された該金融自動取引装置に関して、該第1のデータベースを参照して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断する制御部と、を有し、
該第1のサーバとネットワークを介して接続された警備会社の第2のサーバは、該第1のサーバから取得した、少なくとも該金融自動取引装置の位置情報を、該金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第2のデータベースと、該第2データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、該第1のサーバから連絡された警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、該第1のサーバの制御部からの情報に従い、紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えていると判断された該第2の金融自動取引装置と該第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有する、
ことを特徴とする警送ルート立案システム。
【請求項4】
該第1のサーバは第1の表示手段と有し、該第1の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号、稼働状況、設置場所、紙幣又は消耗品の状況が表示され、
該第2のサーバは第2の表示手段と有し、該第2の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号に対応して、設置場所及び位置情報が表示されることを特徴とする請求項3の警送ルート立案システム。
【請求項1】
複数の金融自動取引装置とネットワークを介して接続された管理用のサーバを含むシステムであって、
該複数の金融自動取引装置は、自ら保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を発信する通信部を有し、
該サーバは、該複数の金融自動取引装置から送信される状態情報を受信する通信部と、
該通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び該金融自動取引装置の位置情報を、該金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理するデータベースと、
該データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、
該抽出部により抽出された該第2の金融自動取引装置の状態情報を、該データベースから取得して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断し、その判断の結果、対象となる該第2の金融自動取引装置と該第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、
を有することを特徴とする警送ルート立案システム。
【請求項2】
該サーバは、該第1の金融自動取引装置の現金又は消耗品が不足した旨、又は障害発生により装置の稼動が停止したことを該通信部が受信して、該抽出部及びルート作成部における処理を実行して警送ルートを作成することを特徴とする請求項1の警送ルート立案システム。
【請求項3】
ネットワークを介して複数の金融自動取引装置に関する状態情報を受信し、該状態情報に基づいて該金融自動取引装置に対する警送ルートを作成する警送ルート立案システムであって、
複数の金融自動取引装置を監視する保守会社が有する第1のサーバは、
該複数の金融自動取引装置から送信される、該金融自動取引装置自らが保有する紙幣の容量及び装置で使用される消耗品の残量に関する情報を含む装置の状態情報を、ネットワークを介して受信する通信部と、該通信部を介して受信した金融自動取引装置の状態情報及び該金融自動取引装置の位置情報を、該金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第1のデータベースと、選択された該金融自動取引装置に関して、該第1のデータベースを参照して紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えているかを判断する制御部と、を有し、
該第1のサーバとネットワークを介して接続された警備会社の第2のサーバは、該第1のサーバから取得した、少なくとも該金融自動取引装置の位置情報を、該金融自動取引装置の識別情報に対応させて管理する第2のデータベースと、該第2データベースに管理される金融自動取引装置の位置情報に基づいて、該第1のサーバから連絡された警送の主な目的とする第1の金融自動取引装置を含むある位置的範囲に属する第2の金融自動取引装置を抽出する抽出部と、該第1のサーバの制御部からの情報に従い、紙幣の容量又は消耗品の残量が所定の範囲を超えていると判断された該第2の金融自動取引装置と該第1の金融自動取引装置を含めて警送ルートを設定するルート作成部と、を有する、
ことを特徴とする警送ルート立案システム。
【請求項4】
該第1のサーバは第1の表示手段と有し、該第1の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号、稼働状況、設置場所、紙幣又は消耗品の状況が表示され、
該第2のサーバは第2の表示手段と有し、該第2の表示手段には、取得された複数の金融自動取引装置に関する識別番号に対応して、設置場所及び位置情報が表示されることを特徴とする請求項3の警送ルート立案システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−4526(P2007−4526A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184582(P2005−184582)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
[ Back to top ]