譲渡処理装置、画像形成システム、譲渡処理方法およびプログラム
【課題】 適切な譲渡元を選択でき、適切な数量の譲渡を行うことができる装置を提供する。
【解決手段】 この装置は、利用対象装置の機能等の利用回数等を数量として上限管理し、その譲渡処理を行う装置である。この装置は、依頼元からの譲渡依頼を受け付ける受付部と、前記譲渡依頼に応じて、現在利用数量と予測利用数量とに基づき、一定期間内で使用すると予測される期間内予測利用数量を算出する数量予測部と、算出された期間内予測利用数量と一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出する譲渡数量算出部と、算出された譲渡数量に基づき、譲渡依頼に応じた数量の譲渡の可否を判断する譲渡数量管理部と、その譲渡数量管理部による判断結果を依頼元に送信する結果送信部とを含むことを特徴とする。
【解決手段】 この装置は、利用対象装置の機能等の利用回数等を数量として上限管理し、その譲渡処理を行う装置である。この装置は、依頼元からの譲渡依頼を受け付ける受付部と、前記譲渡依頼に応じて、現在利用数量と予測利用数量とに基づき、一定期間内で使用すると予測される期間内予測利用数量を算出する数量予測部と、算出された期間内予測利用数量と一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出する譲渡数量算出部と、算出された譲渡数量に基づき、譲渡依頼に応じた数量の譲渡の可否を判断する譲渡数量管理部と、その譲渡数量管理部による判断結果を依頼元に送信する結果送信部とを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用対象装置が備える機能等の利用回数や印刷枚数といった数量を上限管理し、その数量について譲渡依頼を受けた場合に、一定数量を譲渡する譲渡処理装置、その譲渡処理装置と画像形成装置とを含む画像形成システム、その方法およびその方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファックス装置、複写装置、プリンタ装置、MFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置は、トナーやインクを使用して紙に印刷し、出力する。近年、紙資源、トナーやインク等のコスト管理のために、機器毎、利用者個人毎、あるいは利用者が所属するグループ毎等に印刷枚数の制限を設定することができる印刷管理サーバを設け、その設定により決められた枚数の印刷出力を行うと、それ以上の印刷出力を禁止し、資源の無駄を防止する技術が提案されている。
【0003】
しかしながら、この技術を採用すると、印刷枚数制限により必要な印刷出力を行うことができないという不便さが生じる。このため、管理者に依頼して、印刷枚数制限の設定値を変更してもらったり、ある箇所で上限まで使われておらず、余っている枚数を譲渡してもらうことで、全体的な印刷枚数の上限を守りつつ、必要な印刷出力を実現する技術が提案されている。
【0004】
例えば、残存する画像処理枚数を制限枚数に達している他の情報処理装置に譲渡するため、譲渡枚数を伴って譲渡キーの発行要求を画像処理装置に行うと、画像処理装置が、部門別に管理する画像処理枚数を検索して、譲渡可能であれば、譲渡キーを譲渡キー発行部が情報処理装置に対して発行し、その譲渡キーを受信した情報処理装置が、その譲渡キーを入力して、制限枚数を超えるような画像処理要求を画像処理装置に行う画像処理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、印刷管理サーバが、上限値を超える印刷許可枚数が必要となったユーザに対して、印刷許可枚数が上限値に達していないユーザの印刷可能残数の一部を譲渡する手段を備える構成も提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、ユーザ別に設けられた印刷枚数管理装置が、そのユーザのみ利用可能な印刷の残枚数を計数するためのユーザ別使用量カウンタと、ユーザ別上限値保持部と、複数のユーザが共通に利用可能な印刷の残り枚数を計数する共通カウンタとを備える構成も提案されている(特許文献3参照)。この構成では、クライアント端末からユーザIDと譲渡枚数とを含む譲渡指示から減算して共通カウンタに加算し、必要な残枚数のないユーザからそのユーザIDと譲り受け枚数を含む譲り受け指示を受けると、その譲り受け枚数を共通カウンタから減算してそのユーザの上限値に加算するものとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これまでの技術では、制限枚数までの残り枚数が多い等の単純な条件から印刷枚数の譲渡元を決定するため、適切な譲渡元を選択することができなかった。例えば、残り枚数が最も多いということで、ある譲渡元が選択されたが、その譲渡元が印刷枚数を譲渡したことによって自身の印刷出力を行うことができなくなってしまい、別の譲渡元から譲渡してもらわなければならない場合が発生するという問題があった。
【0008】
また、残り枚数があるすべてのユーザを譲渡元とし、その各ユーザから譲渡を受けることができるので、結果的に印刷出力の制限を行っていない場合と同じことになってしまうという問題があった。
【0009】
上限管理されるものは、印刷枚数に限られるものではない。例えば、MFPが提供するFAX機能やスキャン機能等の利用回数、アプリケーションの利用回数等もある。これらの利用回数等も、適切な譲渡元を選択して譲渡してもらうことができれば、譲渡を多段に行う必要がなくなり、機能やアプリケーションの有効利用を図ることができる。
【0010】
したがって、適切な譲渡元を選択することができるように、譲渡依頼を受けた場合に、譲渡が可能であるか否かを適切に判断し、不可である場合はその旨を通知し、可能である場合は適切な数量を算出し、その数量を譲渡することができる装置の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、利用対象装置が備える機能またはアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量を上限管理し、当該数量の譲渡処理を行う譲渡処理装置であって、
依頼元からの譲渡依頼を受け付ける受付部と、
前記譲渡依頼に応じて、一定期間内の前記譲渡依頼の受け付け時までに使用した数量である現在利用数量と前記譲渡依頼の受け付け時から一定期間終了までに使用すると予測される数量である予測利用数量とに基づき、前記一定期間内で使用すると予測される数量である期間内予測利用数量を算出する数量予測部と、
前記数量予測部により算出された前記期間内予測利用数量と前記一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、前記譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出する譲渡数量算出部と、
前記譲渡数量算出部により算出された前記譲渡数量に基づき、前記譲渡依頼に応じた前記数量の譲渡の可否を判断する譲渡数量管理部と、
前記譲渡数量管理部による判断結果を前記依頼元に送信する結果送信部とを含むことを特徴とする、譲渡処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の画像形成システムの全体構成図。
【図2】画像形成システムに用いられるクライアント装置のハードウェア構成図。
【図3】クライアント装置の第1実施形態を示した機能ブロック図。
【図4】図3に示すクライアント装置で実行される譲渡処理の流れを例示したシーケンス図。
【図5】印刷枚数データベース(DB)に格納される印刷枚数情報を例示した図。
【図6】印刷枚数予測部により生成される印刷パターンを例示した図。
【図7】印刷枚数予測部の機能ブロック図。
【図8】印刷枚数予測部で実行される枚数算出処理の流れを例示したシーケンス図。
【図9】印刷ログDBに格納されるログ内容を例示した図。
【図10】ログ情報を集計した結果を例示した図。
【図11】印刷パターン情報を例示した図。
【図12】期間毎の印刷パターン情報を例示した図。
【図13】クライアント装置の第2実施形態を示した機能ブロック図。
【図14】図13に示すクライアント装置で実行される譲渡処理の流れを例示したシーケンス図。
【図15】譲渡ログ内容を例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態の画像形成システムの全体構成図である。画像形成システムは、ネットワーク10に接続されるクライアント装置11、12と、ネットワーク10に接続される画像形成装置としてのプリンタ14、15と、クライアント装置11に直接ケーブルで接続される画像形成装置としてのプリンタ13とから構成されている。この構成は、一例であるので、1台以上のクライアント装置がネットワーク10に接続されていてもよいし、1台以上のプリンタがネットワーク10に接続されていてもよい。また、ネットワーク10には、プリンタのほか、他の画像形成装置であるMFP、ファクシミリ装置、複写装置等、利用制限の対象となる種々の装置が接続されていてもよい。
【0014】
ネットワーク10は、その範囲によってLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)を用いることができる。これらのネットワークでは、FTP(File Transfer Protocol)やTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の適切な通信プロトコルを使用して通信を行うことができる。図1に示すネットワーク10は、主に社内LANであり、クライアント装置11、12やプリンタ13、14、15の情報のほか、図示しないサーバ装置やネットワーク機器の情報を伝送する。
【0015】
プリンタ13、14、15は、クライアント装置11、12から送信された印刷要求および印刷データを受信し、それらに従って、クライアント装置11、12から送信された文書や画像情報を用紙に印刷し出力する。プリンタ13は、クライアント装置11と直接ケーブルで接続されるため、USB(Universal Serial Bus)ポートを備え、USBケーブルにより接続される。プリンタ14、15は、LANポートを有するネットワークボードを備え、LANケーブルにより接続される。
【0016】
プリンタ13、14、15は、上記のインクやトナーにより用紙上に画像を形成する画像形成部のほか、インクやトナーの位置を制御し、各種補正を行うためのコントローラを備える。コントローラは、制御プログラムや補正プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置と、そのプログラムを読み出し実行するCPUとを含んで構成される。
【0017】
クライアント装置11、12は、PC、ワークステーション、スマートフォン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット端末等のデータ送信機能を備えた電子機器である。
【0018】
図2は、クライアント装置のハードウェア構成を例示した図である。クライアント装置11、12は同じハードウェア構成であるため、クライアント装置11として以下に説明する。クライアント装置11は、例えば、プロセッサとしてCPU20を備え、記憶装置として、BIOS(Basic Input Output System)やファームウェアを格納する不揮発性メモリであるROM21と、CPU20によるプログラム処理を可能とする実行記憶空間を提供するRAM22とを備える構成とすることができる。
【0019】
CPU20は、内部バスを介してインタフェースの1つである記憶制御用インタフェース23に接続され、その記憶制御用インタフェース23に接続される記憶装置の1つであるハードディスク24へアクセスし、各種アプリケーションやデータの読み出し、実行し、書き込みを行う。この記憶制御用インタフェース23としては、IDE(Integrated Device Electronics)、ATA(AT Attachment)、シリアルATA、UltraATA等の規格により、ハードディスク24の入出力を管理するインタフェースを使用することができる。
【0020】
CPU20は、内部バスを介してUSB、IEEE1394等のシリアルまたはパラレル・インタフェース25を制御し、キーボード、マウス、プリンタといった入出力装置26と通信し、ユーザからの入力を受け付けることができる。
【0021】
クライアント装置11は、そのほか、CPU20からの指令に応答して、ビデオ信号を処理し、表示装置27へと表示させるVRAM(Video RAM)28、グラフィックチップ29と、ネットワーク10を介して他の機器と通信するためにネットワーク10と接続されるネットワークI/F30とを含んで構成することができる。VRAM28は、表示装置27に対するビデオ表示のための記憶装置として使用されるRAMであり、グラフィックチップ29は、画像データ処理を行う集積回路である。
【0022】
クライアント装置11は、ROM21やハードディスク24、その他の図示しないNV−RAMやSDカード等の記憶装置に格納されたプログラムをCPU20が読み出し、RAM22のメモリ領域に展開することにより、適切なOS(Operating System)の下、後述する各処理を実現し、そのCPU20を、各処理を実現するための各部として構成することができる。OSとしては、Windows(登録商標)、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)等を採用することができる。
【0023】
ROM21は、システムのブートプログラムを格納することができる。ブートプログラムは、機器を起動するプログラムであり、ハードディスク24に格納されているOS(Operating System)をメモリに読み込んで起動し、機器を操作可能な状態にする。RAM22は、CPU20が動作するための作業メモリや、画像データを一時記憶するためのメモリとして使用することができる。ハードディスク24は、上記のOSのほか、ハードウェアを動作させるためのドライバやユーティリティソフトウェア等のシステムソフトウェア、入力文書の文書データ等を格納することができる。
【0024】
再び図1を参照して、図1に示す実施形態では、画像形成システムを、ネットワーク10、クライアント装置11、12、プリンタ13、14、15から構成されるものとして説明してきたが、これら以外の装置を含んで構成されていてもよく、例えば、サーバ装置として、各クライアント装置11、12に割り当てた印刷枚数上限値を設定し通知する印刷上限管理サーバ装置を設けることができる。
【0025】
上述したように、紙資源の無駄を防止するために、一定期間ごとに印刷枚数の上限値が設定されるが、印刷枚数の制限により必要な印刷出力を行うことができないという不便さが生じる。この問題に鑑み、これらのクライアント装置11、12は、印刷枚数に余裕がある方から印刷枚数を要求する方へ一定枚数を譲渡する処理を実行する。
【0026】
なお、上記の印刷上限管理サーバ装置が設けられる場合、このサーバ装置に上記譲渡する処理を実行させ、譲渡処理装置として機能させることも可能である。これにより、クライアント装置同士が1対1で通信する手間を省き、同時に複数のクライアント装置から譲渡依頼が行われたとしても統合して譲渡枚数の推移の管理を行うことができる。
【0027】
印刷枚数の上限値は、各クライアント装置11、12に対して設定することができるが、クライアント装置11、12を利用するユーザごとに設定することもできるし、そのユーザが属するグループごとに設定することも可能である。グループとしては、企業に所属していれば、部署、部門を挙げることができる。
【0028】
譲渡処理装置が上限を管理し、譲渡することができるものは、印刷枚数に限られるものではない。プリンタ13、14、15の利用回数や利用時間であってもよい。プリンタ13、14、15において利用回数や利用時間を制限することで、紙資源の無駄や、インクやトナーの無駄を防止することができる。また、これらを他の装置やユーザ等に譲渡することで、制限を設けた総数量を変えることなく、他の装置やユーザ等が印刷の実行を継続することができる。
【0029】
MFPがネットワーク10に接続される場合には、MFPが備える機能やアプリケーションの利用回数や利用時間を上限管理し、譲渡することができる。これは、MFPが備えるFAX機能やコピー機能では、印刷して出力することから、これらの機能を制限することで、紙資源の無駄や、インクやトナーの無駄を防止することができる。また、FAX機能、コピー機能、スキャナ機能は、アプリケーションを実行することにより実現される機能であるから、アプリケーションの利用回数や利用時間を制限することで、紙資源の無駄や、インクやトナーの無駄を防止することができる。これらを他の装置やユーザ等に譲渡することで、制限を設けた総数量を変えることなく、他の装置やユーザ等がMFPで印刷の実行を継続することができ、機能やアプリケーションの有効利用を図ることができる。
【0030】
このように譲渡処理装置は、印刷枚数のほか、利用回数や利用時間等の数量を上限管理し、譲渡要求に応答して譲渡可能であるか否かを判断し、可能であれば一定の数量を譲渡する処理を実行することができるが、以下、その数量を印刷枚数として詳細に説明する。
【0031】
図3は、印刷枚数の譲渡処理装置として機能するクライアント装置11の機能ブロック図である。クライアント装置11は、上記のようなCPU20やROM21等のハードウェア、OSやファームウェア等のソフトウェアを備えるが、図3には、この譲渡処理装置の構成に必要とされる機能のみを示す。なお、クライアント装置12も、このクライアント装置11と同様の機能を備えるので、ここではクライアント装置11についてのみ説明する。
【0032】
クライアント装置11は、受付部および結果送信部としての送受信部40と、譲渡数量管理部としての譲渡枚数管理部41と、譲渡数量算出部としての譲渡枚数算出部42と、数量予測部としての印刷枚数予測部43と、数量上限管理部としての印刷枚数上限管理部44と、数量記憶部としての印刷枚数DB45と、指示部としての印刷指示部46と、履歴情報記憶部としての印刷ログDB47とを備える。
【0033】
送受信部40は、ネットワークI/F30によって構成され、ネットワーク10に接続し、ネットワーク10からの情報を受信し、クライアント装置11からの情報をネットワーク10へ送信する。送受信部40は、ネットワーク10を介して他のクライアント装置から送信された印刷枚数の譲渡依頼を受信し、その譲渡依頼を譲渡枚数管理部41へ渡す。
【0034】
譲渡枚数管理部41は、その譲渡依頼を受け付けると、譲渡枚数算出部42に問い合わせを行い、譲渡可能な枚数があるかどうかを判断させる。この問い合わせを受けて、譲渡枚数算出部42は、印刷枚数予測部43を呼び出し、上限値が設定された一定期間のうち、現在からその一定期間の終了までの残りの期間で印刷されると予測される予測枚数を計算させ、現在までに使用した枚数を加算して得られる枚数(期間内予測利用枚数)を算出させ、それを用いて譲渡可能な枚数(譲渡可能枚数)を算出する。
【0035】
譲渡枚数管理部41は、譲渡枚数算出部42が算出した譲渡可能枚数から譲渡の可否を判断する。譲渡枚数管理部41は、譲渡可能枚数が正の整数として算出された場合、譲渡可能と判断し、0または負の整数として算出された場合、譲渡不可と判断する。そして、譲渡枚数管理部41は、譲渡可能であるか、不可であるかという旨と、譲渡可能である場合の譲渡可能な枚数の上限値を、送受信部40を介して、譲渡依頼した当該他のクライアント装置へ送信する。
【0036】
譲渡枚数算出部42は、譲渡枚数管理部41からの問い合わせを受けて、印刷枚数予測部43が算出した期間内予測利用枚数を受け取り、設定された上限値から期間内予測利用枚数を減算して、譲渡可能な譲渡可能枚数の上限値を算出する。そして、譲渡枚数算出部42は、その譲渡可能枚数の上限値を算出結果として譲渡枚数管理部41へ渡す。
【0037】
印刷枚数予測部43は、譲渡枚数算出部42からの指示を受けて、印刷ログDB47を参照し、一定期間内にクライアント装置11から印刷要求および印刷データを出力し、プリンタ13、14、15に印刷出力させた実績を基に、印刷枚数の推移を表す印刷パターンを求め、その期間内にどれだけの枚数を印刷するかという期間内予測利用枚数を算出する。この印刷枚数予測部43の構成および算出方法については後述する。
【0038】
印刷枚数上限管理部44は、一定期間内に印刷可能な枚数の上限値と、実際に印刷を実行し、出力した枚数をカウントして得られた印刷枚数とを管理する。上限値および印刷枚数は、その上限値が設定されるクライアント装置11の装置識別情報もしくはユーザのユーザ識別情報またはグループのグループ識別情報と対応付けて管理される。ユーザ識別情報およびグループ識別情報としては、クライアント装置11を利用する際に入力されるログイン情報を用いることができる。印刷枚数上限管理部44は、各識別情報に対応する上限値を印刷枚数DB45から読み出して提供し、各識別情報に対応する印刷枚数に、カウントして得られた印刷枚数を加算して印刷枚数DB45に格納する。
【0039】
クライアント装置11がプリンタ13、14、15のいずれかに対し、印刷要求および印刷データを送信し、実際に印刷出力され、印刷完了した旨の通知を受け取ると、印刷枚数DB45から識別情報に対応する印刷枚数を読み出し、1枚印刷すればその枚数を1増加し、格納する。このようにして枚数をカウントし、印刷枚数が上限値に達したところで、印刷枚数上限管理部44は、印刷指示部46に対して印刷を禁止する旨の通知を行う。
【0040】
印刷指示部46は、クライアント装置11で作成した文書や画像等の印刷データと印刷要求とを、送受信部40を介して、例えばプリンタ13へ送信する。このとき、印刷指示部46は、印刷が可能であるか否かを印刷枚数上限管理部44に問い合わせ、印刷枚数上限管理部44は、これまでに印刷された枚数に、これから印刷しようとする枚数を加算した印刷枚数が上限値に達しないことを確認することで、印刷可能と判断する。印刷可能という判断を受けて、印刷指示部46は、印刷要求および印刷データをプリンタ13へ送信する。また、印刷指示部46は、印刷データ等を送信してプリンタ13に印刷を実行させると、その印刷内容等を印刷ログDB47に記憶する。
【0041】
印刷ログDB47は、印刷の履歴情報を格納し、その履歴情報として、印刷日時、内容、枚数、印刷を指示したユーザ名、印刷設定等の情報を格納する。ここでは、データベース形式で蓄積する構成とされているが、ファイル形式で蓄積する構成とされていてもよい。印刷ログは、クライアント装置11で取得、蓄積されることから、クライアント装置11に直接ケーブルで接続されているプリンタ13の履歴情報も取得し格納する。
【0042】
図3に示すクライアント装置で行われる印刷枚数の譲渡処理の流れを示したシーケンスを図4に示す。依頼元となるクライアント装置12が備える印刷指示部46bがアプリケーション等から印刷要求を受け付けると、そのクライアント装置12が備える印刷枚数上限管理部44bに対し、印刷が可能であるか否かを問い合わせる。印刷枚数上限管理部44bは、印刷枚数が上限値を超えるか否かを、印刷枚数DBを参照して判断する。具体的には、印刷要求で今回印刷しようとする枚数が10枚で、上限値が200枚、現在までの印刷枚数(期間開始から現時点までの間に印刷された枚数の合計)が195枚であった場合、残りが5枚に対し、要求枚数が10枚であるため、上限を超過すると判断する。
【0043】
印刷枚数上限管理部44bは、印刷枚数が上限値を超えない場合、印刷可能である旨を返答し、印刷指示部46bは、画像形成装置16に対し、印刷要求および印刷データを送信して印刷を実行させる。これに対し、図4に示すように、印刷枚数が上限値を超える場合、印刷枚数上限管理部44bは印刷不可である旨を返答する。
【0044】
印刷指示部46bは、印刷不可という返答を受けて、譲渡枚数管理部41bに対して印刷枚数の譲渡依頼を要請する。この要請には、必要な印刷枚数の情報、譲渡依頼を要請したクライアント装置12を識別するための装置識別情報が含まれる。装置識別情報としては、装置名、IPアドレス、MAC(Media Access Control)アドレス等が挙げられる。依頼元がユーザやグループである場合には、ユーザ識別情報やグループ識別情報がこの要請に含まれることになる。
【0045】
譲渡枚数管理部41bは、この要請を受け、依頼先のクライアント装置11に対し、必要な印刷枚数および装置識別情報を通知し、その印刷枚数の譲渡を依頼する。この依頼は、送受信部40を介してネットワーク10へ送出される。
【0046】
依頼先のクライアント装置11の送受信部40は、ネットワーク10からその譲渡依頼を受け取り、譲渡枚数管理部41aへ渡す。譲渡枚数管理部41aは、印刷枚数上限管理部44aに対し、クライアント装置11の現期間における現在までの印刷枚数と上限値との差分を問い合わせる。現期間は、印刷枚数の上限値が設定された一定期間であって、当該一定期間の終了へ向けて現在進行中の期間である。印刷枚数上限管理部44aは、その問い合わせを受けて、印刷枚数DB45を参照し、印刷枚数の上限値から現在までの印刷枚数を減算し、その差分を譲渡枚数管理部41aへ問い合わせの回答として返す。
【0047】
ここで、図5を参照して、クライアント装置11が備える印刷枚数DB45に格納されている情報について説明する。印刷枚数DB45は、テーブル形式で情報を格納することができる。テーブルは、項目として、印刷上限枚数、現期間における現在までの印刷枚数を含み、それに数値が対応付けられている。図5では、印刷上限枚数が150枚とされ、現在までの印刷枚数が96枚であり、これらの数値から、残りの54枚が印刷可能な枚数と算出することができる。なお、現在までの印刷枚数が150枚に達した場合、印刷枚数が上限値に達したことを示す。
【0048】
再び図4を参照して、印刷枚数が上限値に達している場合、譲渡枚数管理部41aは、送受信部40を介して譲渡不可である旨を依頼元のクライアント装置12に返答する。これに対し、印刷枚数が上限値に達していない場合、譲渡枚数管理部41aは、譲渡枚数算出部42aに対し、譲渡可能枚数を問い合わせる。譲渡可能枚数の有無により、譲渡の可否を判断するためである。
【0049】
譲渡枚数算出部42aは、現期間のうち、現在から期間終了までの残りの期間で使用すると予測される枚数を計算して期間内予測利用枚数を算出するよう印刷枚数予測部43aに依頼する。例えば、上限値が設定された一定期間が10月1日から31日までの31日の期間であり、現在が10月15日であった場合、残りの期間は、その期間の末である10月31日までの16日である。
【0050】
印刷枚数予測部43aは、その依頼を受けて、印刷ログDB47に格納されている履歴情報を参照し、過去に使用した枚数の推移を表す印刷パターンを求め、その印刷パターンから予測される印刷枚数を算出し、これまでに実際に印刷した枚数にこの予測される印刷枚数を加算して期間内予測利用枚数を算出し、この期間内予測利用枚数を算出結果として返す。譲渡枚数算出部42aは、印刷枚数予測部43aから受け取った期間内予測利用枚数を、現期間に設定された上限値から減算して得られた値を譲渡枚数管理部41aへ譲渡可能枚数として回答する。
【0051】
譲渡枚数管理部41aは、譲渡可能である場合、その旨と譲渡可能枚数とを、送受信部40を介して依頼元のクライアント装置12へ依頼の回答として返信する。依頼元のクライアント装置12では、依頼元のユーザがその譲渡可能枚数以内の印刷枚数取得を、その依頼元のクライアント装置12の譲渡枚数管理部41bに指示すると、その譲渡枚数管理部41bは、印刷枚数上限管理部44bにその枚数を通知して枚数上限値の変更を依頼し、印刷枚数上限管理部44bが、クライアント装置12の印刷枚数DBに格納されている上限値を、現在設定されている値にその取得枚数を加算した値へ変更して格納する。一方、譲渡枚数管理部41bは、送受信部を介して依頼先のクライアント装置11へ取得した印刷枚数を通知する。
【0052】
依頼先のクライアント装置11の譲渡枚数管理部41aは、その通知を受け、印刷枚数上限管理部44aに譲渡した枚数を通知して枚数上限値の変更を依頼する。印刷枚数上限管理部44aは、その譲渡した枚数を、クライアント装置11の印刷枚数DB47に格納されている上限値から減算し、その減算した後の値を上限値として格納する。
【0053】
依頼元のクライアント装置12では、印刷指示部46bが、印刷枚数上限管理部44bに対し、再度、印刷が可能であるか否かを問い合わせる。印刷枚数上限管理部44bは、再度、印刷枚数が上限値を超えるか否かを、印刷枚数DBを参照して判断する。
【0054】
印刷枚数上限管理部44bは、印刷枚数が上限値を超えない場合、印刷可能である旨を返答し、印刷指示部46bは、画像形成装置17に対し、印刷要求および印刷データを送信して印刷を実行させる。印刷枚数を取得してもまだ、印刷枚数が上限値を超える場合、印刷枚数上限管理部44bは印刷不可である旨を返答する。この場合、印刷指示部46bは、譲渡枚数管理部41bに対して譲渡依頼を要請し、譲渡枚数管理部41bは、既に依頼したクライアント装置11ではなく、それ以外のクライアント装置16に対して印刷枚数の譲渡依頼を行う。このようにして他のいくつかのクライアント装置から印刷可能になる枚数の譲渡を受けることで、印刷を継続して実行することが可能となる。
【0055】
図6の印刷枚数予測部43で生成される印刷パターンの例を参照して、譲渡枚数算出部42が行う譲渡可否の判断処理について詳細に説明する。この判断において、図6に示すような一定期間内の印刷枚数の推移を表した印刷パターンを利用する。図6(a)には、印刷パターンAを示し、図6(b)には、印刷パターンBを示す。図6(a)、(b)に示す棒グラフは、一定区間毎の印刷数を示し、線グラフが、累計印刷枚数を表したものである。この印刷枚数の推移は、一定期間の印刷ログを解析して得られるものである。
【0056】
図6(a)、(b)の横軸は、時間を示し、縦軸は、印刷枚数を示す。通常、印刷枚数の上限値は、決められた期間毎に与えられることから、例えば、1ヶ月毎に100枚といった値となる。このことから、印刷パターンは、この上限値が決められる期間毎に区切って算出される。
【0057】
譲渡枚数算出部42は、単純に印刷枚数の多さや直近の期間の印刷数の平均ではなく、一定期間内の印刷枚数の推移を表すパターンを利用して判断を行う。すなわち、上記の例で言えば、1ヶ月という期間内の印刷枚数の増減を表したパターンを利用して判断を行う。このパターンは、直前の期間のパターンだけではなく、過去の複数のパターンを用い、これらを平均して得られるパターンや、月毎に期間が区切られる場合、前年の同じ月のパターンを用いることも可能である。また、過去数年分の同じ月を平均したものを用いてもよい。このように平均化することで、印刷パターンに期間ごとの変動がある場合でも、効率的に今後の枚数予測を立てることができる。
【0058】
また、過去の複数のパターンを、パターンの特徴に基づき2以上のパターンに分類し、その2以上のパターンを用い、現在のパターンがどのパターンに適合するかを判断することにより、特定のパターンを決定し、そのパターンを用いて判断することもできる。期間によって印刷パターンに違いがあっても、現期間がどのパターンに近いかを判断することで、正確な今後の枚数予測を立てることができる。
【0059】
ここで、図6(a)に示す印刷パターンAの印刷出力を行うクライアントAと、図6(b)に示す印刷パターンBの印刷出力を行うクライアントBとが存在し、期間の2/3が経過したところで残り可能印刷枚数が等しい場合を考える。図6(a)、(b)には、2/3の期間が破線で示されている。
【0060】
この時点で他のクライアントCから譲渡依頼が送付されてきたとき、クライアントAでは、図6(a)に示されるように、過去の実績から、残り1/3の期間に集中して印刷が行われることが予測される。その一方、クライアントBでは、図6(b)に示されるように、残り1/3の期間は印刷枚数が少ないと予測される。このため、残りの枚数が同じクライアントであっても、残りの期間に印刷枚数が少ないと予測されるクライアントBから印刷枚数を譲渡した方が適切である。
【0061】
そこで、クライアントAの譲渡枚数管理部は、譲渡不可と判断し、クライアントBの譲渡枚数管理部は、譲渡可能と判断し、それぞれがその譲渡依頼に対する返答を行う。これにより、クライアントAが譲渡したために自己が印刷できなくなり、他のクライアントから譲渡を受けるという、譲渡を多段に行う必要がなくなり、適切な譲渡を実現し、適切な印刷出力制御が可能となる。
【0062】
上記の予測を行う上で、譲渡枚数算出部42は、印刷枚数予測部43に依頼し、印刷パターンを生成させる。図7は、その印刷枚数予測部43の機能ブロック図である。印刷枚数予測部43は、ログ集計部50、集計データDB51、印刷パターン管理部52、印刷パターン算出部53、利用枚数算出部54、印刷パターンDB55を含んで構成される。
【0063】
ログ集計部50は、印刷ログDB47と接続され、その印刷ログDB47から印刷の日時や枚数の情報を取得し、一定区間毎に集計した集計データを生成する。ここで、区間は、一定期間を複数に分割した1つの期間である。一定期間を30日とした場合、例えば1日がここでいう区間である。集計データDB51は、ログ集計部50が生成した集計データを格納する。この集計データDB51には、過去に生成された集計データを蓄積していくことができる。
【0064】
印刷パターン管理部52は、区間毎に集計された印刷枚数の推移を表すパターンを管理する。印刷パターン算出部53は、印刷パターン管理部52が管理している印刷パターンとの比較を行うことにより、ログ集計部50が集計した集計データがどの印刷パターンに合致するかを判断する。利用枚数算出部54は、印刷パターン算出部53が合致すると判断した印刷パターンと、現在までの印刷枚数、残り期間等から一定期間内に使用が予想される期間内予測利用枚数を算出する。
【0065】
この印刷枚数予測部43で行われる枚数算出処理の詳細について、図8に示すシーケンス図を参照して説明する。印刷枚数予測部43は、譲渡枚数算出部42から期間内予測利用枚数の算出の依頼を受けて、ログ集計部50が印刷ログDB47へ現期間内に行われた印刷についてのログを要求し、印刷ログDB47は、その要求によって指定された印刷ログを返す。そして、ログ集計部50は、現期間内の印刷ログについて、一定区間毎に印刷枚数を集計する。
【0066】
ここで、印刷ログDB47が保持するログの内容を図9に例示する。図9に示すログは、印刷日時と、印刷枚数と、印刷設定と、印刷内容とを含む。印刷設定は、両面印刷の有無、集約印刷の有無、カラー/モノクロ印刷、用紙サイズ等の印刷設定情報である。印刷内容は、図9には示されていないが、例えば、ポスター、はがき、名刺、ラベル、見積、契約、納品、請求等を挙げることができる。これらは例示列挙したものであり、これら以外の情報も印刷設定情報や印刷内容として含めることができる。
【0067】
ログ集計部50は、この図9に示すようなログの内容を取得し、一定区間毎に集計した集計データを生成する。生成された集計データの例を図10に示す。図10に示した集計データは、印刷ログを1日という区間で集計した結果である。ここでは、1ヶ月という期間に対し、1日単位という区間を選択しているが、この区間は、期間に応じて1週間、1ヶ月といった最適なものを選択することができる。なお、期間も、1ヶ月に限られるものではなく、2ヶ月、3ヶ月、1年といった一定の期間を設定することができる。
【0068】
図10では、集計区間が2011年2月5日といった日単位とされ、その日に印刷された枚数の合計が、印刷枚数として集計され、入力されている。そして、印刷区間、印刷枚数に対応付けて、印刷枚数が前の区間より増えているか、減っているかを示す情報も含んでいる。ログ集計部50は、ログの内容から、その日の印刷枚数を集計し、その集計した枚数を入力するほか、その枚数と、前の区間の枚数とを比較し、増えているか、減っているかを判断し、該当する情報を入力し、これらを格納させる。
【0069】
図10に示す例では、2011年2月5日に10枚印刷し、それより前の区間が存在しないため、増減を示す情報がないことを示す「−」が入力されている。次の区間である2011年2月9日は2枚印刷し、前の区間である2月5日より印刷枚数が少ないので、「減」という情報が入力されている。さらに次の区間である2011年2月11日は6枚印刷し、前の区間である2月9日より印刷枚数が増加しているので、「増」という情報が入力されている。
【0070】
再び図8を参照して、ログ集計部50は、このようにして生成した集計データを印刷パターン算出部53に提供する。印刷パターン算出部53は、この集計データを受け取り、この集計データが適合する印刷パターンを探索するため、印刷パターン管理部52に印刷パターンを要求する。この要求を受けて、印刷パターン管理部52は、印刷パターンDB55に格納されている印刷パターンを読み出し、印刷パターン算出部53に渡す。
【0071】
印刷パターンDB55に格納されている印刷パターンの例を図11に示す。印刷パターンは、印刷パターンを識別するための情報として、印刷パターン名が用いられ、パターンの特徴と対応付けて格納される。パターンの特徴としては、図11に示すように、図10に示した増減を示す情報を用い、第1のパターンとしてほとんど増減がないもの(増減なし)、第2のパターンとして最初増加してその後減少するもの(増→減)、第3のパターンとして最初減少してその後増加するもの(減→増)、第4のパターンとして増加していくもの(増)、第5のパターンとして減少していくもの(減)が挙げられる。
【0072】
図10に示す集計データの例では、最初減少し、その後増加していることから、第3のパターン、すなわち図11の印刷パターンCに該当するものとなる。図11では、5つのパターンを例示したが、これ以外の最初減少し、一旦増加し、また減少するといったパターン等、追加のパターンを生成することも可能である。これらのパターンは、過去の印刷実績を上記のようにして集計した集計データを基に生成することができる。パターンは、このようにして生成することもできるが、予め典型的なパターンを用意しておいてもよい。
【0073】
印刷パターン算出部53は、ログ集計部50から受領した集計データと、印刷パターン管理部52から取得した印刷パターンとを比較し、最も近い傾向を有する印刷パターンを選択し、この印刷パターンを現期間の最適パターンとして算出する。印刷パターン算出部53は、この算出した最適パターンを集計データとともに集計データDB51に格納する。
【0074】
このとき集計データDB51に格納されるデータとしては、図12に示すようなデータを格納することができる。格納されるデータは、集計データから得られる期間と、その期間における合計印刷枚数と、算出された印刷パターンの印刷パターン名とを含むものとされる。図12に示す実施形態では、期間は1ヶ月とされ、その1ヶ月に印刷した枚数の合計が合計印刷枚数として対応付けて格納されている。
【0075】
現期間の経過期間が1/2を経過していない等のように経過期間が短い場合、生成した集計データから適合する印刷パターンを導き出すことが難しい場合がある。このような場合、集計データDB51から過去の直近の複数の期間の印刷パターンを調べ、その中で最も傾向が近い印刷パターンを採用したり、現期間が5月の1ヶ月間である場合、1年前の同月の1ヶ月の印刷パターンを採用することにより、過去の印刷パターンから現期間の印刷パターンを推定することができる。
【0076】
再び図8を参照して、印刷パターン算出部53は、現期間の印刷パターンを利用枚数算出部54に渡し、譲渡可能枚数の算出を依頼する。利用枚数算出部54は、その依頼を受け、受け取った印刷パターンと、現期間内において現時点までに経過した経過期間と、現時点までに出力した合計印刷枚数とから、今後の期間終了までに出力すると予測される予測枚数を算出する。予測枚数は、印刷パターンから期間内での増減の傾向、印刷枚数の区間毎の平均値等を当てはめることにより算出する。
【0077】
利用枚数算出部54は、最適パターンを用いて予測枚数を算出することもできるが、複数の印刷パターンを用いて予測枚数を算出することも可能である。例えば、現期間が5月であって、過去の1月、3月の印刷パターンの増減の傾向が同じ傾向を示す場合、これら2つの印刷パターンを用い、1月8日と3月8日といった同じ区間の平均値をそれぞれ算出し、その算出した平均値を用いて1つの平均化したパターンを生成し、その生成したパターンを用いて予測枚数を算出することができる。
【0078】
このように過去の実績から残りの期間に使用すると予測される予測枚数を求め、その予測枚数に現在までに使用した枚数を加算して期間内予測利用枚数を求め、その期間内予測利用枚数を考慮して譲渡可能な枚数の有無を判断することにより、適切な譲渡元を選択することができ、適切な枚数を譲渡することができる。その結果、適切な枚数制御を行うことができ、譲渡を多段に行うことを防止し、必要な紙出力を支障なく行うことが可能となる。
【0079】
また、過去の印刷パターンの変動の大きさを基に、譲渡枚数とともにその確度を算出することができる。確度は、確からしさを表す度合で、例えば1ヶ月前や1年前の同月等の実績が全く同じ実績であれば、その確度は100%である。例えば、現在までの各区間の一例である各日の枚数が、最適パターンにおける各日の枚数とどの程度相違しているかに応じて確度を決定することができる。この確度を関連付けて譲渡可能枚数とともに返答することで、複数のクライアント装置、ユーザまたはグループから返答があった場合に、確度を参照して、最も高い確度を有するクライアント装置等から譲渡枚数を譲り受けることができる。
【0080】
これまで、本発明の譲渡処理装置としてクライアント装置を機能させ、そのクライアント装置が、送受信部40と、譲渡枚数管理部41と、譲渡枚数算出部42と、印刷枚数予測部43と、印刷枚数上限管理部44と、印刷枚数DB45と、印刷指示部46と、印刷ログDB47とを備えるものとして説明してきた。上限値が設定されたあるクライアント装置もしくはユーザまたはグループは、他のクライアント装置もしくはユーザまたはグループに対し、過去に印刷枚数を譲渡している場合がある。その過去に譲渡した印刷枚数を保持し、管理することができれば、過去に譲渡した実績を基に適切な譲渡枚数を決定することが可能となる。
【0081】
そこで、クライアント装置は、図13に示すように、上記の各部に加えて、さらに譲渡情報管理部60と、譲渡ログDB61とをさらに備える構成を採用することができる。上記の各部については上述したので、ここでは譲渡情報管理部60および譲渡ログDB61についてのみ説明する。
【0082】
譲渡情報管理部60は、過去に他のクライアントに対して譲渡した印刷枚数の管理を行う。そして、譲渡ログDB61は、過去に他のクライアントに対して譲渡した印刷枚数の情報を格納する。
【0083】
譲渡情報管理部60および譲渡ログDB61を含む構成を採用する場合における譲渡処理について、上述した処理とは異なる点についてのみ、図14を参照して以下に説明する。譲渡枚数算出部42aが、印刷枚数予測部43aから印刷予測枚数(期間内予測利用枚数)の回答を受け取った後、譲渡枚数算出部42aは、譲渡情報管理部60aに対し、譲渡ログの取得を要求する。
【0084】
譲渡ログは、譲渡ログDB61に格納され、例えば、図15に示すような情報とされる。図15に示す譲渡ログの内容は、譲渡日時、譲渡先のクライアント名、譲渡枚数を含むものとされている。印刷枚数の上限値がクライアント装置毎に設定される場合は図15に示すような内容でよいが、ユーザ毎やグループ毎に設定される場合は譲渡元の情報も含まれる。譲渡元の情報は、上述したユーザ識別情報およびグループ識別情報である。
【0085】
図15では、クライアントAに対し、2010年11月21日に10枚ほど1回だけ譲渡し、クライアントBに対し、2011年1月12日に5枚、2011年1月26日に4枚の2回譲渡していることを示している。
【0086】
再び図14を参照して、譲渡情報管理部60aは、その要求に応答して、過去の譲渡ログを譲渡ログDB61から読み出し、その読み出した譲渡ログを譲渡枚数算出部42aに渡す。
【0087】
譲渡枚数算出部42aは、譲渡ログから得られる過去の譲渡枚数を考慮し、譲渡可能枚数を算出する。譲渡枚数の算出方法として、第1の例では、一定期間内の1つのクライアントに対して譲渡することができる譲渡枚数上限値を予め定めておき、一定期間内に同一クライアントに譲渡した枚数を譲渡ログから取得し、その枚数と今回の譲渡枚数との合計がその上限値を超えるか否かを判断する。なお、譲渡枚数算出部42aは、今回の譲渡枚数を、上述した印刷枚数上限値から期間内予測利用枚数を減算することにより算出する。この判断の結果、上限値を超えない場合は、今回の譲渡枚数をそのまま譲渡可能枚数とし、超える場合は、その上限値から現在までの印刷枚数を減算して得られる枚数を、今回の譲渡枚数として算出する。
【0088】
第2の例では、一定期間内の1つのクライアントに対して譲渡することができる譲渡回数上限値を予め定めておき、一定期間内に同一クライアントに譲渡した回数を算出し、その回数が上限値を超えるか否かを判断する。超えない場合は、今回の譲渡枚数をそのまま譲渡可能枚数とし、超える場合は、譲渡不可とする。
【0089】
第3の例では、前回の譲渡枚数を下回るようにするために、譲渡情報管理部60aが譲渡ログDBから譲渡先のクライアントの最新の譲渡ログを取得し、譲渡枚数算出部42aは、今回の譲渡枚数と、その取得した最新の譲渡ログに含まれる譲渡枚数とを比較する。そして、譲渡枚数算出部42aは、今回の譲渡枚数の方が多ければ、最新の譲渡ログに含まれる譲渡枚数以下の値に決定するべく、例えば、その譲渡枚数以下の値になるように設定された設定値を最新のその譲渡枚数から減算して得られた枚数を譲渡可能枚数とし、今回の譲渡枚数の方が少なければ、今回の譲渡枚数を譲渡可能枚数とする。
【0090】
譲渡ログを考慮して譲渡可能枚数を算出する方法を3つ例示したが、これらの方法に限定されるものではなく、他のいかなる方法でも使用することができる。また、第1の例と第3の例を組み合わせる等して使用することも可能である。
【0091】
このようにして譲渡可能枚数を算出することにより、印刷枚数に余裕がある場合であっても、1つのクライアントが自分の印刷上限枚数を越えて譲渡依頼を繰り返すことを抑制し、適正な印刷枚数に制御することができる。したがって、全体の印刷枚数を増加させることなく、必要なところに必要な枚数を分配することができる。
【0092】
また、印刷枚数予測部43が算出した期間内予測利用枚数が上限値を超える場合に警告を発し、上限管理されている印刷枚数を抑制するように注意を促す警告部をさらに含む構成を採用することができる。この警告部を備えることで、印刷枚数が足りなくなる前にユーザに警告を発して注意を促すことができ、不要な出力を防止し、譲渡処理の発生を抑制することができる。
【0093】
これまで本発明を、譲渡処理装置、その譲渡処理装置を含む画像形成システムおよびその譲渡処理装置により実行される譲渡処理方法として上述した実施の形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、本発明は、上記の装置、システムおよび方法のみならず、その方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムや、そのプログラムが記録された記録媒体も提供することができるものである。
【符号の説明】
【0094】
10…ネットワーク、11、12、16…クライアント装置、13、14、15…プリンタ、17…画像形成装置、20…CPU、21…ROM、22…RAM、23…記憶制御用インタフェース、24…ハードディスク、25…インタフェース、26…入出力装置、27…表示装置、28…VRAM、29…グラフィックチップ、30…ネットワークI/F、40…送受信部、41、41a、41b…譲渡枚数管理部、42、42a…譲渡枚数算出部、43、43a…印刷枚数予測部、44、44a、44b…印刷枚数上限管理部、45…印刷枚数DB、46、46b…印刷指示部、47…印刷ログDB、50…ログ集計部、51…集計データDB、52…印刷パターン管理部、53…印刷パターン算出部、54…利用枚数算出部、55…印刷パターンDB、60、60a…譲渡情報管理部、61…譲渡ログDB
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2006−340248号公報
【特許文献2】特開2008−077492号公報
【特許文献3】特開2010−128807号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用対象装置が備える機能等の利用回数や印刷枚数といった数量を上限管理し、その数量について譲渡依頼を受けた場合に、一定数量を譲渡する譲渡処理装置、その譲渡処理装置と画像形成装置とを含む画像形成システム、その方法およびその方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファックス装置、複写装置、プリンタ装置、MFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置は、トナーやインクを使用して紙に印刷し、出力する。近年、紙資源、トナーやインク等のコスト管理のために、機器毎、利用者個人毎、あるいは利用者が所属するグループ毎等に印刷枚数の制限を設定することができる印刷管理サーバを設け、その設定により決められた枚数の印刷出力を行うと、それ以上の印刷出力を禁止し、資源の無駄を防止する技術が提案されている。
【0003】
しかしながら、この技術を採用すると、印刷枚数制限により必要な印刷出力を行うことができないという不便さが生じる。このため、管理者に依頼して、印刷枚数制限の設定値を変更してもらったり、ある箇所で上限まで使われておらず、余っている枚数を譲渡してもらうことで、全体的な印刷枚数の上限を守りつつ、必要な印刷出力を実現する技術が提案されている。
【0004】
例えば、残存する画像処理枚数を制限枚数に達している他の情報処理装置に譲渡するため、譲渡枚数を伴って譲渡キーの発行要求を画像処理装置に行うと、画像処理装置が、部門別に管理する画像処理枚数を検索して、譲渡可能であれば、譲渡キーを譲渡キー発行部が情報処理装置に対して発行し、その譲渡キーを受信した情報処理装置が、その譲渡キーを入力して、制限枚数を超えるような画像処理要求を画像処理装置に行う画像処理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、印刷管理サーバが、上限値を超える印刷許可枚数が必要となったユーザに対して、印刷許可枚数が上限値に達していないユーザの印刷可能残数の一部を譲渡する手段を備える構成も提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、ユーザ別に設けられた印刷枚数管理装置が、そのユーザのみ利用可能な印刷の残枚数を計数するためのユーザ別使用量カウンタと、ユーザ別上限値保持部と、複数のユーザが共通に利用可能な印刷の残り枚数を計数する共通カウンタとを備える構成も提案されている(特許文献3参照)。この構成では、クライアント端末からユーザIDと譲渡枚数とを含む譲渡指示から減算して共通カウンタに加算し、必要な残枚数のないユーザからそのユーザIDと譲り受け枚数を含む譲り受け指示を受けると、その譲り受け枚数を共通カウンタから減算してそのユーザの上限値に加算するものとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これまでの技術では、制限枚数までの残り枚数が多い等の単純な条件から印刷枚数の譲渡元を決定するため、適切な譲渡元を選択することができなかった。例えば、残り枚数が最も多いということで、ある譲渡元が選択されたが、その譲渡元が印刷枚数を譲渡したことによって自身の印刷出力を行うことができなくなってしまい、別の譲渡元から譲渡してもらわなければならない場合が発生するという問題があった。
【0008】
また、残り枚数があるすべてのユーザを譲渡元とし、その各ユーザから譲渡を受けることができるので、結果的に印刷出力の制限を行っていない場合と同じことになってしまうという問題があった。
【0009】
上限管理されるものは、印刷枚数に限られるものではない。例えば、MFPが提供するFAX機能やスキャン機能等の利用回数、アプリケーションの利用回数等もある。これらの利用回数等も、適切な譲渡元を選択して譲渡してもらうことができれば、譲渡を多段に行う必要がなくなり、機能やアプリケーションの有効利用を図ることができる。
【0010】
したがって、適切な譲渡元を選択することができるように、譲渡依頼を受けた場合に、譲渡が可能であるか否かを適切に判断し、不可である場合はその旨を通知し、可能である場合は適切な数量を算出し、その数量を譲渡することができる装置の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、利用対象装置が備える機能またはアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量を上限管理し、当該数量の譲渡処理を行う譲渡処理装置であって、
依頼元からの譲渡依頼を受け付ける受付部と、
前記譲渡依頼に応じて、一定期間内の前記譲渡依頼の受け付け時までに使用した数量である現在利用数量と前記譲渡依頼の受け付け時から一定期間終了までに使用すると予測される数量である予測利用数量とに基づき、前記一定期間内で使用すると予測される数量である期間内予測利用数量を算出する数量予測部と、
前記数量予測部により算出された前記期間内予測利用数量と前記一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、前記譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出する譲渡数量算出部と、
前記譲渡数量算出部により算出された前記譲渡数量に基づき、前記譲渡依頼に応じた前記数量の譲渡の可否を判断する譲渡数量管理部と、
前記譲渡数量管理部による判断結果を前記依頼元に送信する結果送信部とを含むことを特徴とする、譲渡処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の画像形成システムの全体構成図。
【図2】画像形成システムに用いられるクライアント装置のハードウェア構成図。
【図3】クライアント装置の第1実施形態を示した機能ブロック図。
【図4】図3に示すクライアント装置で実行される譲渡処理の流れを例示したシーケンス図。
【図5】印刷枚数データベース(DB)に格納される印刷枚数情報を例示した図。
【図6】印刷枚数予測部により生成される印刷パターンを例示した図。
【図7】印刷枚数予測部の機能ブロック図。
【図8】印刷枚数予測部で実行される枚数算出処理の流れを例示したシーケンス図。
【図9】印刷ログDBに格納されるログ内容を例示した図。
【図10】ログ情報を集計した結果を例示した図。
【図11】印刷パターン情報を例示した図。
【図12】期間毎の印刷パターン情報を例示した図。
【図13】クライアント装置の第2実施形態を示した機能ブロック図。
【図14】図13に示すクライアント装置で実行される譲渡処理の流れを例示したシーケンス図。
【図15】譲渡ログ内容を例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態の画像形成システムの全体構成図である。画像形成システムは、ネットワーク10に接続されるクライアント装置11、12と、ネットワーク10に接続される画像形成装置としてのプリンタ14、15と、クライアント装置11に直接ケーブルで接続される画像形成装置としてのプリンタ13とから構成されている。この構成は、一例であるので、1台以上のクライアント装置がネットワーク10に接続されていてもよいし、1台以上のプリンタがネットワーク10に接続されていてもよい。また、ネットワーク10には、プリンタのほか、他の画像形成装置であるMFP、ファクシミリ装置、複写装置等、利用制限の対象となる種々の装置が接続されていてもよい。
【0014】
ネットワーク10は、その範囲によってLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)を用いることができる。これらのネットワークでは、FTP(File Transfer Protocol)やTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の適切な通信プロトコルを使用して通信を行うことができる。図1に示すネットワーク10は、主に社内LANであり、クライアント装置11、12やプリンタ13、14、15の情報のほか、図示しないサーバ装置やネットワーク機器の情報を伝送する。
【0015】
プリンタ13、14、15は、クライアント装置11、12から送信された印刷要求および印刷データを受信し、それらに従って、クライアント装置11、12から送信された文書や画像情報を用紙に印刷し出力する。プリンタ13は、クライアント装置11と直接ケーブルで接続されるため、USB(Universal Serial Bus)ポートを備え、USBケーブルにより接続される。プリンタ14、15は、LANポートを有するネットワークボードを備え、LANケーブルにより接続される。
【0016】
プリンタ13、14、15は、上記のインクやトナーにより用紙上に画像を形成する画像形成部のほか、インクやトナーの位置を制御し、各種補正を行うためのコントローラを備える。コントローラは、制御プログラムや補正プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置と、そのプログラムを読み出し実行するCPUとを含んで構成される。
【0017】
クライアント装置11、12は、PC、ワークステーション、スマートフォン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット端末等のデータ送信機能を備えた電子機器である。
【0018】
図2は、クライアント装置のハードウェア構成を例示した図である。クライアント装置11、12は同じハードウェア構成であるため、クライアント装置11として以下に説明する。クライアント装置11は、例えば、プロセッサとしてCPU20を備え、記憶装置として、BIOS(Basic Input Output System)やファームウェアを格納する不揮発性メモリであるROM21と、CPU20によるプログラム処理を可能とする実行記憶空間を提供するRAM22とを備える構成とすることができる。
【0019】
CPU20は、内部バスを介してインタフェースの1つである記憶制御用インタフェース23に接続され、その記憶制御用インタフェース23に接続される記憶装置の1つであるハードディスク24へアクセスし、各種アプリケーションやデータの読み出し、実行し、書き込みを行う。この記憶制御用インタフェース23としては、IDE(Integrated Device Electronics)、ATA(AT Attachment)、シリアルATA、UltraATA等の規格により、ハードディスク24の入出力を管理するインタフェースを使用することができる。
【0020】
CPU20は、内部バスを介してUSB、IEEE1394等のシリアルまたはパラレル・インタフェース25を制御し、キーボード、マウス、プリンタといった入出力装置26と通信し、ユーザからの入力を受け付けることができる。
【0021】
クライアント装置11は、そのほか、CPU20からの指令に応答して、ビデオ信号を処理し、表示装置27へと表示させるVRAM(Video RAM)28、グラフィックチップ29と、ネットワーク10を介して他の機器と通信するためにネットワーク10と接続されるネットワークI/F30とを含んで構成することができる。VRAM28は、表示装置27に対するビデオ表示のための記憶装置として使用されるRAMであり、グラフィックチップ29は、画像データ処理を行う集積回路である。
【0022】
クライアント装置11は、ROM21やハードディスク24、その他の図示しないNV−RAMやSDカード等の記憶装置に格納されたプログラムをCPU20が読み出し、RAM22のメモリ領域に展開することにより、適切なOS(Operating System)の下、後述する各処理を実現し、そのCPU20を、各処理を実現するための各部として構成することができる。OSとしては、Windows(登録商標)、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)等を採用することができる。
【0023】
ROM21は、システムのブートプログラムを格納することができる。ブートプログラムは、機器を起動するプログラムであり、ハードディスク24に格納されているOS(Operating System)をメモリに読み込んで起動し、機器を操作可能な状態にする。RAM22は、CPU20が動作するための作業メモリや、画像データを一時記憶するためのメモリとして使用することができる。ハードディスク24は、上記のOSのほか、ハードウェアを動作させるためのドライバやユーティリティソフトウェア等のシステムソフトウェア、入力文書の文書データ等を格納することができる。
【0024】
再び図1を参照して、図1に示す実施形態では、画像形成システムを、ネットワーク10、クライアント装置11、12、プリンタ13、14、15から構成されるものとして説明してきたが、これら以外の装置を含んで構成されていてもよく、例えば、サーバ装置として、各クライアント装置11、12に割り当てた印刷枚数上限値を設定し通知する印刷上限管理サーバ装置を設けることができる。
【0025】
上述したように、紙資源の無駄を防止するために、一定期間ごとに印刷枚数の上限値が設定されるが、印刷枚数の制限により必要な印刷出力を行うことができないという不便さが生じる。この問題に鑑み、これらのクライアント装置11、12は、印刷枚数に余裕がある方から印刷枚数を要求する方へ一定枚数を譲渡する処理を実行する。
【0026】
なお、上記の印刷上限管理サーバ装置が設けられる場合、このサーバ装置に上記譲渡する処理を実行させ、譲渡処理装置として機能させることも可能である。これにより、クライアント装置同士が1対1で通信する手間を省き、同時に複数のクライアント装置から譲渡依頼が行われたとしても統合して譲渡枚数の推移の管理を行うことができる。
【0027】
印刷枚数の上限値は、各クライアント装置11、12に対して設定することができるが、クライアント装置11、12を利用するユーザごとに設定することもできるし、そのユーザが属するグループごとに設定することも可能である。グループとしては、企業に所属していれば、部署、部門を挙げることができる。
【0028】
譲渡処理装置が上限を管理し、譲渡することができるものは、印刷枚数に限られるものではない。プリンタ13、14、15の利用回数や利用時間であってもよい。プリンタ13、14、15において利用回数や利用時間を制限することで、紙資源の無駄や、インクやトナーの無駄を防止することができる。また、これらを他の装置やユーザ等に譲渡することで、制限を設けた総数量を変えることなく、他の装置やユーザ等が印刷の実行を継続することができる。
【0029】
MFPがネットワーク10に接続される場合には、MFPが備える機能やアプリケーションの利用回数や利用時間を上限管理し、譲渡することができる。これは、MFPが備えるFAX機能やコピー機能では、印刷して出力することから、これらの機能を制限することで、紙資源の無駄や、インクやトナーの無駄を防止することができる。また、FAX機能、コピー機能、スキャナ機能は、アプリケーションを実行することにより実現される機能であるから、アプリケーションの利用回数や利用時間を制限することで、紙資源の無駄や、インクやトナーの無駄を防止することができる。これらを他の装置やユーザ等に譲渡することで、制限を設けた総数量を変えることなく、他の装置やユーザ等がMFPで印刷の実行を継続することができ、機能やアプリケーションの有効利用を図ることができる。
【0030】
このように譲渡処理装置は、印刷枚数のほか、利用回数や利用時間等の数量を上限管理し、譲渡要求に応答して譲渡可能であるか否かを判断し、可能であれば一定の数量を譲渡する処理を実行することができるが、以下、その数量を印刷枚数として詳細に説明する。
【0031】
図3は、印刷枚数の譲渡処理装置として機能するクライアント装置11の機能ブロック図である。クライアント装置11は、上記のようなCPU20やROM21等のハードウェア、OSやファームウェア等のソフトウェアを備えるが、図3には、この譲渡処理装置の構成に必要とされる機能のみを示す。なお、クライアント装置12も、このクライアント装置11と同様の機能を備えるので、ここではクライアント装置11についてのみ説明する。
【0032】
クライアント装置11は、受付部および結果送信部としての送受信部40と、譲渡数量管理部としての譲渡枚数管理部41と、譲渡数量算出部としての譲渡枚数算出部42と、数量予測部としての印刷枚数予測部43と、数量上限管理部としての印刷枚数上限管理部44と、数量記憶部としての印刷枚数DB45と、指示部としての印刷指示部46と、履歴情報記憶部としての印刷ログDB47とを備える。
【0033】
送受信部40は、ネットワークI/F30によって構成され、ネットワーク10に接続し、ネットワーク10からの情報を受信し、クライアント装置11からの情報をネットワーク10へ送信する。送受信部40は、ネットワーク10を介して他のクライアント装置から送信された印刷枚数の譲渡依頼を受信し、その譲渡依頼を譲渡枚数管理部41へ渡す。
【0034】
譲渡枚数管理部41は、その譲渡依頼を受け付けると、譲渡枚数算出部42に問い合わせを行い、譲渡可能な枚数があるかどうかを判断させる。この問い合わせを受けて、譲渡枚数算出部42は、印刷枚数予測部43を呼び出し、上限値が設定された一定期間のうち、現在からその一定期間の終了までの残りの期間で印刷されると予測される予測枚数を計算させ、現在までに使用した枚数を加算して得られる枚数(期間内予測利用枚数)を算出させ、それを用いて譲渡可能な枚数(譲渡可能枚数)を算出する。
【0035】
譲渡枚数管理部41は、譲渡枚数算出部42が算出した譲渡可能枚数から譲渡の可否を判断する。譲渡枚数管理部41は、譲渡可能枚数が正の整数として算出された場合、譲渡可能と判断し、0または負の整数として算出された場合、譲渡不可と判断する。そして、譲渡枚数管理部41は、譲渡可能であるか、不可であるかという旨と、譲渡可能である場合の譲渡可能な枚数の上限値を、送受信部40を介して、譲渡依頼した当該他のクライアント装置へ送信する。
【0036】
譲渡枚数算出部42は、譲渡枚数管理部41からの問い合わせを受けて、印刷枚数予測部43が算出した期間内予測利用枚数を受け取り、設定された上限値から期間内予測利用枚数を減算して、譲渡可能な譲渡可能枚数の上限値を算出する。そして、譲渡枚数算出部42は、その譲渡可能枚数の上限値を算出結果として譲渡枚数管理部41へ渡す。
【0037】
印刷枚数予測部43は、譲渡枚数算出部42からの指示を受けて、印刷ログDB47を参照し、一定期間内にクライアント装置11から印刷要求および印刷データを出力し、プリンタ13、14、15に印刷出力させた実績を基に、印刷枚数の推移を表す印刷パターンを求め、その期間内にどれだけの枚数を印刷するかという期間内予測利用枚数を算出する。この印刷枚数予測部43の構成および算出方法については後述する。
【0038】
印刷枚数上限管理部44は、一定期間内に印刷可能な枚数の上限値と、実際に印刷を実行し、出力した枚数をカウントして得られた印刷枚数とを管理する。上限値および印刷枚数は、その上限値が設定されるクライアント装置11の装置識別情報もしくはユーザのユーザ識別情報またはグループのグループ識別情報と対応付けて管理される。ユーザ識別情報およびグループ識別情報としては、クライアント装置11を利用する際に入力されるログイン情報を用いることができる。印刷枚数上限管理部44は、各識別情報に対応する上限値を印刷枚数DB45から読み出して提供し、各識別情報に対応する印刷枚数に、カウントして得られた印刷枚数を加算して印刷枚数DB45に格納する。
【0039】
クライアント装置11がプリンタ13、14、15のいずれかに対し、印刷要求および印刷データを送信し、実際に印刷出力され、印刷完了した旨の通知を受け取ると、印刷枚数DB45から識別情報に対応する印刷枚数を読み出し、1枚印刷すればその枚数を1増加し、格納する。このようにして枚数をカウントし、印刷枚数が上限値に達したところで、印刷枚数上限管理部44は、印刷指示部46に対して印刷を禁止する旨の通知を行う。
【0040】
印刷指示部46は、クライアント装置11で作成した文書や画像等の印刷データと印刷要求とを、送受信部40を介して、例えばプリンタ13へ送信する。このとき、印刷指示部46は、印刷が可能であるか否かを印刷枚数上限管理部44に問い合わせ、印刷枚数上限管理部44は、これまでに印刷された枚数に、これから印刷しようとする枚数を加算した印刷枚数が上限値に達しないことを確認することで、印刷可能と判断する。印刷可能という判断を受けて、印刷指示部46は、印刷要求および印刷データをプリンタ13へ送信する。また、印刷指示部46は、印刷データ等を送信してプリンタ13に印刷を実行させると、その印刷内容等を印刷ログDB47に記憶する。
【0041】
印刷ログDB47は、印刷の履歴情報を格納し、その履歴情報として、印刷日時、内容、枚数、印刷を指示したユーザ名、印刷設定等の情報を格納する。ここでは、データベース形式で蓄積する構成とされているが、ファイル形式で蓄積する構成とされていてもよい。印刷ログは、クライアント装置11で取得、蓄積されることから、クライアント装置11に直接ケーブルで接続されているプリンタ13の履歴情報も取得し格納する。
【0042】
図3に示すクライアント装置で行われる印刷枚数の譲渡処理の流れを示したシーケンスを図4に示す。依頼元となるクライアント装置12が備える印刷指示部46bがアプリケーション等から印刷要求を受け付けると、そのクライアント装置12が備える印刷枚数上限管理部44bに対し、印刷が可能であるか否かを問い合わせる。印刷枚数上限管理部44bは、印刷枚数が上限値を超えるか否かを、印刷枚数DBを参照して判断する。具体的には、印刷要求で今回印刷しようとする枚数が10枚で、上限値が200枚、現在までの印刷枚数(期間開始から現時点までの間に印刷された枚数の合計)が195枚であった場合、残りが5枚に対し、要求枚数が10枚であるため、上限を超過すると判断する。
【0043】
印刷枚数上限管理部44bは、印刷枚数が上限値を超えない場合、印刷可能である旨を返答し、印刷指示部46bは、画像形成装置16に対し、印刷要求および印刷データを送信して印刷を実行させる。これに対し、図4に示すように、印刷枚数が上限値を超える場合、印刷枚数上限管理部44bは印刷不可である旨を返答する。
【0044】
印刷指示部46bは、印刷不可という返答を受けて、譲渡枚数管理部41bに対して印刷枚数の譲渡依頼を要請する。この要請には、必要な印刷枚数の情報、譲渡依頼を要請したクライアント装置12を識別するための装置識別情報が含まれる。装置識別情報としては、装置名、IPアドレス、MAC(Media Access Control)アドレス等が挙げられる。依頼元がユーザやグループである場合には、ユーザ識別情報やグループ識別情報がこの要請に含まれることになる。
【0045】
譲渡枚数管理部41bは、この要請を受け、依頼先のクライアント装置11に対し、必要な印刷枚数および装置識別情報を通知し、その印刷枚数の譲渡を依頼する。この依頼は、送受信部40を介してネットワーク10へ送出される。
【0046】
依頼先のクライアント装置11の送受信部40は、ネットワーク10からその譲渡依頼を受け取り、譲渡枚数管理部41aへ渡す。譲渡枚数管理部41aは、印刷枚数上限管理部44aに対し、クライアント装置11の現期間における現在までの印刷枚数と上限値との差分を問い合わせる。現期間は、印刷枚数の上限値が設定された一定期間であって、当該一定期間の終了へ向けて現在進行中の期間である。印刷枚数上限管理部44aは、その問い合わせを受けて、印刷枚数DB45を参照し、印刷枚数の上限値から現在までの印刷枚数を減算し、その差分を譲渡枚数管理部41aへ問い合わせの回答として返す。
【0047】
ここで、図5を参照して、クライアント装置11が備える印刷枚数DB45に格納されている情報について説明する。印刷枚数DB45は、テーブル形式で情報を格納することができる。テーブルは、項目として、印刷上限枚数、現期間における現在までの印刷枚数を含み、それに数値が対応付けられている。図5では、印刷上限枚数が150枚とされ、現在までの印刷枚数が96枚であり、これらの数値から、残りの54枚が印刷可能な枚数と算出することができる。なお、現在までの印刷枚数が150枚に達した場合、印刷枚数が上限値に達したことを示す。
【0048】
再び図4を参照して、印刷枚数が上限値に達している場合、譲渡枚数管理部41aは、送受信部40を介して譲渡不可である旨を依頼元のクライアント装置12に返答する。これに対し、印刷枚数が上限値に達していない場合、譲渡枚数管理部41aは、譲渡枚数算出部42aに対し、譲渡可能枚数を問い合わせる。譲渡可能枚数の有無により、譲渡の可否を判断するためである。
【0049】
譲渡枚数算出部42aは、現期間のうち、現在から期間終了までの残りの期間で使用すると予測される枚数を計算して期間内予測利用枚数を算出するよう印刷枚数予測部43aに依頼する。例えば、上限値が設定された一定期間が10月1日から31日までの31日の期間であり、現在が10月15日であった場合、残りの期間は、その期間の末である10月31日までの16日である。
【0050】
印刷枚数予測部43aは、その依頼を受けて、印刷ログDB47に格納されている履歴情報を参照し、過去に使用した枚数の推移を表す印刷パターンを求め、その印刷パターンから予測される印刷枚数を算出し、これまでに実際に印刷した枚数にこの予測される印刷枚数を加算して期間内予測利用枚数を算出し、この期間内予測利用枚数を算出結果として返す。譲渡枚数算出部42aは、印刷枚数予測部43aから受け取った期間内予測利用枚数を、現期間に設定された上限値から減算して得られた値を譲渡枚数管理部41aへ譲渡可能枚数として回答する。
【0051】
譲渡枚数管理部41aは、譲渡可能である場合、その旨と譲渡可能枚数とを、送受信部40を介して依頼元のクライアント装置12へ依頼の回答として返信する。依頼元のクライアント装置12では、依頼元のユーザがその譲渡可能枚数以内の印刷枚数取得を、その依頼元のクライアント装置12の譲渡枚数管理部41bに指示すると、その譲渡枚数管理部41bは、印刷枚数上限管理部44bにその枚数を通知して枚数上限値の変更を依頼し、印刷枚数上限管理部44bが、クライアント装置12の印刷枚数DBに格納されている上限値を、現在設定されている値にその取得枚数を加算した値へ変更して格納する。一方、譲渡枚数管理部41bは、送受信部を介して依頼先のクライアント装置11へ取得した印刷枚数を通知する。
【0052】
依頼先のクライアント装置11の譲渡枚数管理部41aは、その通知を受け、印刷枚数上限管理部44aに譲渡した枚数を通知して枚数上限値の変更を依頼する。印刷枚数上限管理部44aは、その譲渡した枚数を、クライアント装置11の印刷枚数DB47に格納されている上限値から減算し、その減算した後の値を上限値として格納する。
【0053】
依頼元のクライアント装置12では、印刷指示部46bが、印刷枚数上限管理部44bに対し、再度、印刷が可能であるか否かを問い合わせる。印刷枚数上限管理部44bは、再度、印刷枚数が上限値を超えるか否かを、印刷枚数DBを参照して判断する。
【0054】
印刷枚数上限管理部44bは、印刷枚数が上限値を超えない場合、印刷可能である旨を返答し、印刷指示部46bは、画像形成装置17に対し、印刷要求および印刷データを送信して印刷を実行させる。印刷枚数を取得してもまだ、印刷枚数が上限値を超える場合、印刷枚数上限管理部44bは印刷不可である旨を返答する。この場合、印刷指示部46bは、譲渡枚数管理部41bに対して譲渡依頼を要請し、譲渡枚数管理部41bは、既に依頼したクライアント装置11ではなく、それ以外のクライアント装置16に対して印刷枚数の譲渡依頼を行う。このようにして他のいくつかのクライアント装置から印刷可能になる枚数の譲渡を受けることで、印刷を継続して実行することが可能となる。
【0055】
図6の印刷枚数予測部43で生成される印刷パターンの例を参照して、譲渡枚数算出部42が行う譲渡可否の判断処理について詳細に説明する。この判断において、図6に示すような一定期間内の印刷枚数の推移を表した印刷パターンを利用する。図6(a)には、印刷パターンAを示し、図6(b)には、印刷パターンBを示す。図6(a)、(b)に示す棒グラフは、一定区間毎の印刷数を示し、線グラフが、累計印刷枚数を表したものである。この印刷枚数の推移は、一定期間の印刷ログを解析して得られるものである。
【0056】
図6(a)、(b)の横軸は、時間を示し、縦軸は、印刷枚数を示す。通常、印刷枚数の上限値は、決められた期間毎に与えられることから、例えば、1ヶ月毎に100枚といった値となる。このことから、印刷パターンは、この上限値が決められる期間毎に区切って算出される。
【0057】
譲渡枚数算出部42は、単純に印刷枚数の多さや直近の期間の印刷数の平均ではなく、一定期間内の印刷枚数の推移を表すパターンを利用して判断を行う。すなわち、上記の例で言えば、1ヶ月という期間内の印刷枚数の増減を表したパターンを利用して判断を行う。このパターンは、直前の期間のパターンだけではなく、過去の複数のパターンを用い、これらを平均して得られるパターンや、月毎に期間が区切られる場合、前年の同じ月のパターンを用いることも可能である。また、過去数年分の同じ月を平均したものを用いてもよい。このように平均化することで、印刷パターンに期間ごとの変動がある場合でも、効率的に今後の枚数予測を立てることができる。
【0058】
また、過去の複数のパターンを、パターンの特徴に基づき2以上のパターンに分類し、その2以上のパターンを用い、現在のパターンがどのパターンに適合するかを判断することにより、特定のパターンを決定し、そのパターンを用いて判断することもできる。期間によって印刷パターンに違いがあっても、現期間がどのパターンに近いかを判断することで、正確な今後の枚数予測を立てることができる。
【0059】
ここで、図6(a)に示す印刷パターンAの印刷出力を行うクライアントAと、図6(b)に示す印刷パターンBの印刷出力を行うクライアントBとが存在し、期間の2/3が経過したところで残り可能印刷枚数が等しい場合を考える。図6(a)、(b)には、2/3の期間が破線で示されている。
【0060】
この時点で他のクライアントCから譲渡依頼が送付されてきたとき、クライアントAでは、図6(a)に示されるように、過去の実績から、残り1/3の期間に集中して印刷が行われることが予測される。その一方、クライアントBでは、図6(b)に示されるように、残り1/3の期間は印刷枚数が少ないと予測される。このため、残りの枚数が同じクライアントであっても、残りの期間に印刷枚数が少ないと予測されるクライアントBから印刷枚数を譲渡した方が適切である。
【0061】
そこで、クライアントAの譲渡枚数管理部は、譲渡不可と判断し、クライアントBの譲渡枚数管理部は、譲渡可能と判断し、それぞれがその譲渡依頼に対する返答を行う。これにより、クライアントAが譲渡したために自己が印刷できなくなり、他のクライアントから譲渡を受けるという、譲渡を多段に行う必要がなくなり、適切な譲渡を実現し、適切な印刷出力制御が可能となる。
【0062】
上記の予測を行う上で、譲渡枚数算出部42は、印刷枚数予測部43に依頼し、印刷パターンを生成させる。図7は、その印刷枚数予測部43の機能ブロック図である。印刷枚数予測部43は、ログ集計部50、集計データDB51、印刷パターン管理部52、印刷パターン算出部53、利用枚数算出部54、印刷パターンDB55を含んで構成される。
【0063】
ログ集計部50は、印刷ログDB47と接続され、その印刷ログDB47から印刷の日時や枚数の情報を取得し、一定区間毎に集計した集計データを生成する。ここで、区間は、一定期間を複数に分割した1つの期間である。一定期間を30日とした場合、例えば1日がここでいう区間である。集計データDB51は、ログ集計部50が生成した集計データを格納する。この集計データDB51には、過去に生成された集計データを蓄積していくことができる。
【0064】
印刷パターン管理部52は、区間毎に集計された印刷枚数の推移を表すパターンを管理する。印刷パターン算出部53は、印刷パターン管理部52が管理している印刷パターンとの比較を行うことにより、ログ集計部50が集計した集計データがどの印刷パターンに合致するかを判断する。利用枚数算出部54は、印刷パターン算出部53が合致すると判断した印刷パターンと、現在までの印刷枚数、残り期間等から一定期間内に使用が予想される期間内予測利用枚数を算出する。
【0065】
この印刷枚数予測部43で行われる枚数算出処理の詳細について、図8に示すシーケンス図を参照して説明する。印刷枚数予測部43は、譲渡枚数算出部42から期間内予測利用枚数の算出の依頼を受けて、ログ集計部50が印刷ログDB47へ現期間内に行われた印刷についてのログを要求し、印刷ログDB47は、その要求によって指定された印刷ログを返す。そして、ログ集計部50は、現期間内の印刷ログについて、一定区間毎に印刷枚数を集計する。
【0066】
ここで、印刷ログDB47が保持するログの内容を図9に例示する。図9に示すログは、印刷日時と、印刷枚数と、印刷設定と、印刷内容とを含む。印刷設定は、両面印刷の有無、集約印刷の有無、カラー/モノクロ印刷、用紙サイズ等の印刷設定情報である。印刷内容は、図9には示されていないが、例えば、ポスター、はがき、名刺、ラベル、見積、契約、納品、請求等を挙げることができる。これらは例示列挙したものであり、これら以外の情報も印刷設定情報や印刷内容として含めることができる。
【0067】
ログ集計部50は、この図9に示すようなログの内容を取得し、一定区間毎に集計した集計データを生成する。生成された集計データの例を図10に示す。図10に示した集計データは、印刷ログを1日という区間で集計した結果である。ここでは、1ヶ月という期間に対し、1日単位という区間を選択しているが、この区間は、期間に応じて1週間、1ヶ月といった最適なものを選択することができる。なお、期間も、1ヶ月に限られるものではなく、2ヶ月、3ヶ月、1年といった一定の期間を設定することができる。
【0068】
図10では、集計区間が2011年2月5日といった日単位とされ、その日に印刷された枚数の合計が、印刷枚数として集計され、入力されている。そして、印刷区間、印刷枚数に対応付けて、印刷枚数が前の区間より増えているか、減っているかを示す情報も含んでいる。ログ集計部50は、ログの内容から、その日の印刷枚数を集計し、その集計した枚数を入力するほか、その枚数と、前の区間の枚数とを比較し、増えているか、減っているかを判断し、該当する情報を入力し、これらを格納させる。
【0069】
図10に示す例では、2011年2月5日に10枚印刷し、それより前の区間が存在しないため、増減を示す情報がないことを示す「−」が入力されている。次の区間である2011年2月9日は2枚印刷し、前の区間である2月5日より印刷枚数が少ないので、「減」という情報が入力されている。さらに次の区間である2011年2月11日は6枚印刷し、前の区間である2月9日より印刷枚数が増加しているので、「増」という情報が入力されている。
【0070】
再び図8を参照して、ログ集計部50は、このようにして生成した集計データを印刷パターン算出部53に提供する。印刷パターン算出部53は、この集計データを受け取り、この集計データが適合する印刷パターンを探索するため、印刷パターン管理部52に印刷パターンを要求する。この要求を受けて、印刷パターン管理部52は、印刷パターンDB55に格納されている印刷パターンを読み出し、印刷パターン算出部53に渡す。
【0071】
印刷パターンDB55に格納されている印刷パターンの例を図11に示す。印刷パターンは、印刷パターンを識別するための情報として、印刷パターン名が用いられ、パターンの特徴と対応付けて格納される。パターンの特徴としては、図11に示すように、図10に示した増減を示す情報を用い、第1のパターンとしてほとんど増減がないもの(増減なし)、第2のパターンとして最初増加してその後減少するもの(増→減)、第3のパターンとして最初減少してその後増加するもの(減→増)、第4のパターンとして増加していくもの(増)、第5のパターンとして減少していくもの(減)が挙げられる。
【0072】
図10に示す集計データの例では、最初減少し、その後増加していることから、第3のパターン、すなわち図11の印刷パターンCに該当するものとなる。図11では、5つのパターンを例示したが、これ以外の最初減少し、一旦増加し、また減少するといったパターン等、追加のパターンを生成することも可能である。これらのパターンは、過去の印刷実績を上記のようにして集計した集計データを基に生成することができる。パターンは、このようにして生成することもできるが、予め典型的なパターンを用意しておいてもよい。
【0073】
印刷パターン算出部53は、ログ集計部50から受領した集計データと、印刷パターン管理部52から取得した印刷パターンとを比較し、最も近い傾向を有する印刷パターンを選択し、この印刷パターンを現期間の最適パターンとして算出する。印刷パターン算出部53は、この算出した最適パターンを集計データとともに集計データDB51に格納する。
【0074】
このとき集計データDB51に格納されるデータとしては、図12に示すようなデータを格納することができる。格納されるデータは、集計データから得られる期間と、その期間における合計印刷枚数と、算出された印刷パターンの印刷パターン名とを含むものとされる。図12に示す実施形態では、期間は1ヶ月とされ、その1ヶ月に印刷した枚数の合計が合計印刷枚数として対応付けて格納されている。
【0075】
現期間の経過期間が1/2を経過していない等のように経過期間が短い場合、生成した集計データから適合する印刷パターンを導き出すことが難しい場合がある。このような場合、集計データDB51から過去の直近の複数の期間の印刷パターンを調べ、その中で最も傾向が近い印刷パターンを採用したり、現期間が5月の1ヶ月間である場合、1年前の同月の1ヶ月の印刷パターンを採用することにより、過去の印刷パターンから現期間の印刷パターンを推定することができる。
【0076】
再び図8を参照して、印刷パターン算出部53は、現期間の印刷パターンを利用枚数算出部54に渡し、譲渡可能枚数の算出を依頼する。利用枚数算出部54は、その依頼を受け、受け取った印刷パターンと、現期間内において現時点までに経過した経過期間と、現時点までに出力した合計印刷枚数とから、今後の期間終了までに出力すると予測される予測枚数を算出する。予測枚数は、印刷パターンから期間内での増減の傾向、印刷枚数の区間毎の平均値等を当てはめることにより算出する。
【0077】
利用枚数算出部54は、最適パターンを用いて予測枚数を算出することもできるが、複数の印刷パターンを用いて予測枚数を算出することも可能である。例えば、現期間が5月であって、過去の1月、3月の印刷パターンの増減の傾向が同じ傾向を示す場合、これら2つの印刷パターンを用い、1月8日と3月8日といった同じ区間の平均値をそれぞれ算出し、その算出した平均値を用いて1つの平均化したパターンを生成し、その生成したパターンを用いて予測枚数を算出することができる。
【0078】
このように過去の実績から残りの期間に使用すると予測される予測枚数を求め、その予測枚数に現在までに使用した枚数を加算して期間内予測利用枚数を求め、その期間内予測利用枚数を考慮して譲渡可能な枚数の有無を判断することにより、適切な譲渡元を選択することができ、適切な枚数を譲渡することができる。その結果、適切な枚数制御を行うことができ、譲渡を多段に行うことを防止し、必要な紙出力を支障なく行うことが可能となる。
【0079】
また、過去の印刷パターンの変動の大きさを基に、譲渡枚数とともにその確度を算出することができる。確度は、確からしさを表す度合で、例えば1ヶ月前や1年前の同月等の実績が全く同じ実績であれば、その確度は100%である。例えば、現在までの各区間の一例である各日の枚数が、最適パターンにおける各日の枚数とどの程度相違しているかに応じて確度を決定することができる。この確度を関連付けて譲渡可能枚数とともに返答することで、複数のクライアント装置、ユーザまたはグループから返答があった場合に、確度を参照して、最も高い確度を有するクライアント装置等から譲渡枚数を譲り受けることができる。
【0080】
これまで、本発明の譲渡処理装置としてクライアント装置を機能させ、そのクライアント装置が、送受信部40と、譲渡枚数管理部41と、譲渡枚数算出部42と、印刷枚数予測部43と、印刷枚数上限管理部44と、印刷枚数DB45と、印刷指示部46と、印刷ログDB47とを備えるものとして説明してきた。上限値が設定されたあるクライアント装置もしくはユーザまたはグループは、他のクライアント装置もしくはユーザまたはグループに対し、過去に印刷枚数を譲渡している場合がある。その過去に譲渡した印刷枚数を保持し、管理することができれば、過去に譲渡した実績を基に適切な譲渡枚数を決定することが可能となる。
【0081】
そこで、クライアント装置は、図13に示すように、上記の各部に加えて、さらに譲渡情報管理部60と、譲渡ログDB61とをさらに備える構成を採用することができる。上記の各部については上述したので、ここでは譲渡情報管理部60および譲渡ログDB61についてのみ説明する。
【0082】
譲渡情報管理部60は、過去に他のクライアントに対して譲渡した印刷枚数の管理を行う。そして、譲渡ログDB61は、過去に他のクライアントに対して譲渡した印刷枚数の情報を格納する。
【0083】
譲渡情報管理部60および譲渡ログDB61を含む構成を採用する場合における譲渡処理について、上述した処理とは異なる点についてのみ、図14を参照して以下に説明する。譲渡枚数算出部42aが、印刷枚数予測部43aから印刷予測枚数(期間内予測利用枚数)の回答を受け取った後、譲渡枚数算出部42aは、譲渡情報管理部60aに対し、譲渡ログの取得を要求する。
【0084】
譲渡ログは、譲渡ログDB61に格納され、例えば、図15に示すような情報とされる。図15に示す譲渡ログの内容は、譲渡日時、譲渡先のクライアント名、譲渡枚数を含むものとされている。印刷枚数の上限値がクライアント装置毎に設定される場合は図15に示すような内容でよいが、ユーザ毎やグループ毎に設定される場合は譲渡元の情報も含まれる。譲渡元の情報は、上述したユーザ識別情報およびグループ識別情報である。
【0085】
図15では、クライアントAに対し、2010年11月21日に10枚ほど1回だけ譲渡し、クライアントBに対し、2011年1月12日に5枚、2011年1月26日に4枚の2回譲渡していることを示している。
【0086】
再び図14を参照して、譲渡情報管理部60aは、その要求に応答して、過去の譲渡ログを譲渡ログDB61から読み出し、その読み出した譲渡ログを譲渡枚数算出部42aに渡す。
【0087】
譲渡枚数算出部42aは、譲渡ログから得られる過去の譲渡枚数を考慮し、譲渡可能枚数を算出する。譲渡枚数の算出方法として、第1の例では、一定期間内の1つのクライアントに対して譲渡することができる譲渡枚数上限値を予め定めておき、一定期間内に同一クライアントに譲渡した枚数を譲渡ログから取得し、その枚数と今回の譲渡枚数との合計がその上限値を超えるか否かを判断する。なお、譲渡枚数算出部42aは、今回の譲渡枚数を、上述した印刷枚数上限値から期間内予測利用枚数を減算することにより算出する。この判断の結果、上限値を超えない場合は、今回の譲渡枚数をそのまま譲渡可能枚数とし、超える場合は、その上限値から現在までの印刷枚数を減算して得られる枚数を、今回の譲渡枚数として算出する。
【0088】
第2の例では、一定期間内の1つのクライアントに対して譲渡することができる譲渡回数上限値を予め定めておき、一定期間内に同一クライアントに譲渡した回数を算出し、その回数が上限値を超えるか否かを判断する。超えない場合は、今回の譲渡枚数をそのまま譲渡可能枚数とし、超える場合は、譲渡不可とする。
【0089】
第3の例では、前回の譲渡枚数を下回るようにするために、譲渡情報管理部60aが譲渡ログDBから譲渡先のクライアントの最新の譲渡ログを取得し、譲渡枚数算出部42aは、今回の譲渡枚数と、その取得した最新の譲渡ログに含まれる譲渡枚数とを比較する。そして、譲渡枚数算出部42aは、今回の譲渡枚数の方が多ければ、最新の譲渡ログに含まれる譲渡枚数以下の値に決定するべく、例えば、その譲渡枚数以下の値になるように設定された設定値を最新のその譲渡枚数から減算して得られた枚数を譲渡可能枚数とし、今回の譲渡枚数の方が少なければ、今回の譲渡枚数を譲渡可能枚数とする。
【0090】
譲渡ログを考慮して譲渡可能枚数を算出する方法を3つ例示したが、これらの方法に限定されるものではなく、他のいかなる方法でも使用することができる。また、第1の例と第3の例を組み合わせる等して使用することも可能である。
【0091】
このようにして譲渡可能枚数を算出することにより、印刷枚数に余裕がある場合であっても、1つのクライアントが自分の印刷上限枚数を越えて譲渡依頼を繰り返すことを抑制し、適正な印刷枚数に制御することができる。したがって、全体の印刷枚数を増加させることなく、必要なところに必要な枚数を分配することができる。
【0092】
また、印刷枚数予測部43が算出した期間内予測利用枚数が上限値を超える場合に警告を発し、上限管理されている印刷枚数を抑制するように注意を促す警告部をさらに含む構成を採用することができる。この警告部を備えることで、印刷枚数が足りなくなる前にユーザに警告を発して注意を促すことができ、不要な出力を防止し、譲渡処理の発生を抑制することができる。
【0093】
これまで本発明を、譲渡処理装置、その譲渡処理装置を含む画像形成システムおよびその譲渡処理装置により実行される譲渡処理方法として上述した実施の形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、本発明は、上記の装置、システムおよび方法のみならず、その方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムや、そのプログラムが記録された記録媒体も提供することができるものである。
【符号の説明】
【0094】
10…ネットワーク、11、12、16…クライアント装置、13、14、15…プリンタ、17…画像形成装置、20…CPU、21…ROM、22…RAM、23…記憶制御用インタフェース、24…ハードディスク、25…インタフェース、26…入出力装置、27…表示装置、28…VRAM、29…グラフィックチップ、30…ネットワークI/F、40…送受信部、41、41a、41b…譲渡枚数管理部、42、42a…譲渡枚数算出部、43、43a…印刷枚数予測部、44、44a、44b…印刷枚数上限管理部、45…印刷枚数DB、46、46b…印刷指示部、47…印刷ログDB、50…ログ集計部、51…集計データDB、52…印刷パターン管理部、53…印刷パターン算出部、54…利用枚数算出部、55…印刷パターンDB、60、60a…譲渡情報管理部、61…譲渡ログDB
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2006−340248号公報
【特許文献2】特開2008−077492号公報
【特許文献3】特開2010−128807号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用対象装置が備える機能またはアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量を上限管理し、当該数量の譲渡処理を行う譲渡処理装置であって、
依頼元からの譲渡依頼を受け付ける受付部と、
前記譲渡依頼に応じて、一定期間内の前記譲渡依頼の受け付け時までに使用した数量である現在利用数量と前記譲渡依頼の受け付け時から一定期間終了までに使用すると予測される数量である予測利用数量とに基づき、前記一定期間内で使用すると予測される数量である期間内予測利用数量を算出する数量予測部と、
前記数量予測部により算出された前記期間内予測利用数量と前記一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、前記譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出する譲渡数量算出部と、
前記譲渡数量算出部により算出された前記譲渡数量に基づき、前記譲渡依頼に応じた前記数量の譲渡の可否を判断する譲渡数量管理部と、
前記譲渡数量管理部による判断結果を前記依頼元に送信する結果送信部とを含むことを特徴とする、譲渡処理装置。
【請求項2】
前記数量予測部は、複数の過去の一定期間における前記数量の推移を表すパターンを生成し、複数の前記パターンを平均した平均パターンを、前記期間内予測利用数量を算出するために使用する、請求項1に記載の譲渡処理装置。
【請求項3】
前記数量予測部は、複数の過去の一定期間における前記数量の推移を表すパターンを生成し、複数の前記パターンを、前記パターンの特徴に基づき2以上のパターンに分類し、現在の前記一定期間内において既に使用された数量および日時を含む履歴情報を使用して現在の前記パターンを生成し、前記現在のパターンが、分類したどのパターンに適合するかを判断し、適合するパターンから前記期間内予測利用数量を算出する、請求項1に記載の譲渡処理装置。
【請求項4】
前記利用対象装置に対し、使用要求を発行する指示部と、前記上限数量を管理するとともに前記数量をカウントし、カウントした前記数量が前記上限数量に達した場合に使用不可である旨を前記指示部へ通知する数量上限管理部とをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の譲渡処理装置。
【請求項5】
前記数量予測部が算出した前記期間内予測利用数量が前記上限数量を超える場合に警告を発し、前記上限数量で管理されている機能またはアプリケーションの使用を抑制するように注意を促す警告部をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の譲渡処理装置。
【請求項6】
前記譲渡依頼に応じた譲渡の履歴と前記依頼元とを対応付けた履歴情報を管理する譲渡情報管理部をさらに含み、
前記譲渡情報管理部は、前記受付部により前記譲渡依頼を受け付けた場合に、前記履歴情報から当該譲渡依頼を送信した前記依頼元に対応する譲渡の履歴に基づき、前記譲渡数量算出部が算出した前記譲渡数量を変更する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の譲渡処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記譲渡処理装置として機能する少なくとも1つのクライアント装置と、前記クライアント装置にネットワークを介して接続される少なくとも1つの利用対象装置とを含み、
前記利用対象装置が備える機能やアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量の前記上限数量が、各前記クライアント装置もしくは各前記クライアント装置を利用するユーザまたは当該ユーザが属するグループの少なくともいずれか1つに対して設定される、画像形成システム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記譲渡処理装置と、前記譲渡処理装置にネットワークを介して接続される少なくとも1つの利用対象装置と、前記利用対象装置に対して使用要求を発行する少なくとも1つのクライアント装置とを含み、
前記利用対象装置が備える機能やアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量の前記上限数量が、各前記クライアント装置もしくは各前記クライアント装置を利用するユーザまたは当該ユーザが属するグループの少なくともいずれか1つに対して設定される、画像形成システム。
【請求項9】
利用対象装置が備える機能またはアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量を上限管理し、当該数量の譲渡処理を行う譲渡処理装置により実行される方法であって、
依頼元からの譲渡依頼を受け付けるステップと、
前記譲渡依頼に応じて、一定期間内の前記譲渡依頼の受け付け時までに使用した数量である現在利用数量と前記譲渡依頼の受け付け時から一定期間終了までに使用すると予測される数量である予測利用数量とに基づき、前記一定期間内で使用すると予測される数量である期間内予測利用数量を算出するステップと、
算出された前記期間内予測利用数量と前記一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、前記譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出するステップと、
算出された前記譲渡数量に基づき、前記譲渡依頼に応じた前記数量の譲渡の可否を判断するステップと、
前記判断するステップで判断された結果を前記依頼元に送信するステップとを含むことを特徴とする、譲渡処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の譲渡処理方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラム。
【請求項1】
利用対象装置が備える機能またはアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量を上限管理し、当該数量の譲渡処理を行う譲渡処理装置であって、
依頼元からの譲渡依頼を受け付ける受付部と、
前記譲渡依頼に応じて、一定期間内の前記譲渡依頼の受け付け時までに使用した数量である現在利用数量と前記譲渡依頼の受け付け時から一定期間終了までに使用すると予測される数量である予測利用数量とに基づき、前記一定期間内で使用すると予測される数量である期間内予測利用数量を算出する数量予測部と、
前記数量予測部により算出された前記期間内予測利用数量と前記一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、前記譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出する譲渡数量算出部と、
前記譲渡数量算出部により算出された前記譲渡数量に基づき、前記譲渡依頼に応じた前記数量の譲渡の可否を判断する譲渡数量管理部と、
前記譲渡数量管理部による判断結果を前記依頼元に送信する結果送信部とを含むことを特徴とする、譲渡処理装置。
【請求項2】
前記数量予測部は、複数の過去の一定期間における前記数量の推移を表すパターンを生成し、複数の前記パターンを平均した平均パターンを、前記期間内予測利用数量を算出するために使用する、請求項1に記載の譲渡処理装置。
【請求項3】
前記数量予測部は、複数の過去の一定期間における前記数量の推移を表すパターンを生成し、複数の前記パターンを、前記パターンの特徴に基づき2以上のパターンに分類し、現在の前記一定期間内において既に使用された数量および日時を含む履歴情報を使用して現在の前記パターンを生成し、前記現在のパターンが、分類したどのパターンに適合するかを判断し、適合するパターンから前記期間内予測利用数量を算出する、請求項1に記載の譲渡処理装置。
【請求項4】
前記利用対象装置に対し、使用要求を発行する指示部と、前記上限数量を管理するとともに前記数量をカウントし、カウントした前記数量が前記上限数量に達した場合に使用不可である旨を前記指示部へ通知する数量上限管理部とをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の譲渡処理装置。
【請求項5】
前記数量予測部が算出した前記期間内予測利用数量が前記上限数量を超える場合に警告を発し、前記上限数量で管理されている機能またはアプリケーションの使用を抑制するように注意を促す警告部をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の譲渡処理装置。
【請求項6】
前記譲渡依頼に応じた譲渡の履歴と前記依頼元とを対応付けた履歴情報を管理する譲渡情報管理部をさらに含み、
前記譲渡情報管理部は、前記受付部により前記譲渡依頼を受け付けた場合に、前記履歴情報から当該譲渡依頼を送信した前記依頼元に対応する譲渡の履歴に基づき、前記譲渡数量算出部が算出した前記譲渡数量を変更する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の譲渡処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記譲渡処理装置として機能する少なくとも1つのクライアント装置と、前記クライアント装置にネットワークを介して接続される少なくとも1つの利用対象装置とを含み、
前記利用対象装置が備える機能やアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量の前記上限数量が、各前記クライアント装置もしくは各前記クライアント装置を利用するユーザまたは当該ユーザが属するグループの少なくともいずれか1つに対して設定される、画像形成システム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記譲渡処理装置と、前記譲渡処理装置にネットワークを介して接続される少なくとも1つの利用対象装置と、前記利用対象装置に対して使用要求を発行する少なくとも1つのクライアント装置とを含み、
前記利用対象装置が備える機能やアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量の前記上限数量が、各前記クライアント装置もしくは各前記クライアント装置を利用するユーザまたは当該ユーザが属するグループの少なくともいずれか1つに対して設定される、画像形成システム。
【請求項9】
利用対象装置が備える機能またはアプリケーションの利用回数、利用時間および印刷枚数の少なくとも1つの数量を上限管理し、当該数量の譲渡処理を行う譲渡処理装置により実行される方法であって、
依頼元からの譲渡依頼を受け付けるステップと、
前記譲渡依頼に応じて、一定期間内の前記譲渡依頼の受け付け時までに使用した数量である現在利用数量と前記譲渡依頼の受け付け時から一定期間終了までに使用すると予測される数量である予測利用数量とに基づき、前記一定期間内で使用すると予測される数量である期間内予測利用数量を算出するステップと、
算出された前記期間内予測利用数量と前記一定期間内に使用可能な数量として設定された上限数量とに基づき、前記譲渡依頼に応じた譲渡数量を算出するステップと、
算出された前記譲渡数量に基づき、前記譲渡依頼に応じた前記数量の譲渡の可否を判断するステップと、
前記判断するステップで判断された結果を前記依頼元に送信するステップとを含むことを特徴とする、譲渡処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の譲渡処理方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−109536(P2013−109536A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253389(P2011−253389)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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