説明

豆腐分断器具、豆腐分断器具付包丁及び、豆腐分断方法

【課題】包丁で豆腐を細かく切る際、まず厚みを切るためには、一度包装容器から取り出さないと、豆腐の側面から分断することは不可能であった。
【解決手段】豆腐分断器具を基台となる包丁、ナイフ類を含む刃物の背部に取り付けた豆腐分断器具付包丁又は、豆腐分断器具を使用して、容器上方より下向きに挿入した前記豆腐分断器具が有する線状切断部材が容器中間位にとどまり、豆腐側面から水平に通過させる豆腐分断方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐を包装容器内で、容易に分断する器具と、それを刃物類に取り付けた、食品切断用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包丁を使用し豆腐を切る際、一度豆腐を包装容器から取り出し、まな板又は手の平の上で切断している。
【0003】
従来、豆腐を包装容器から移して既成の形状に切断処理する器具が考案されている(特許文献1参照)。又、豆腐を包装容器内で切断処理する器具が考案されており(特許文献2,3参照)、部材を容器内底面に突き当て、押引動して処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案公報第3000967号
【特許文献2】登録実用新案公報第3031036号
【特許文献3】登録実用新案公報第3129784号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題は、調理の際、包丁を使用して、豆腐を崩さず綺麗に、迅速に、料理に適応した多数個の直方体小片にしたいと思うが、まず、豆腐の厚みを分断するためには、必ず一度包装容器から取り出さないと、豆腐の側面から分断することは不可能であった。包装容器からまな板の上に移す際に崩れたり、不安定な手の平の上では均一に切ることは困難であり、手を切る恐れもあった。包装容器から取り出さずに厚みの分断と、分割処理を済ませたい。
【0006】
従来考案されている豆腐切断器具は、大きな器具は調理台上を狭くし、保管や洗浄も大変であり、一度包装容器から豆腐をそれに移す手間のかかる物や、構造上、既成された大きさと形状に切断され、応用が利かないものが多い。場所をとらず、料理に応じて刃先で自由に分割する間隔を調節出来、安全にしっかりと握れる柄を有する、刃物類に取り付けられた器具はない。
【0007】
従来考案されている、豆腐を包装容器内で切断する器具は、部材を容器内底面に突き当て、押引動して処理する。しかし、豆腐の入った包装容器は、逆台形の形状で、狭くなっている下方は容器と豆腐側面の間に隙間はないのに、そこへ部材を挿し入れて底面にまで突き当てる器具は押引動の際、豆腐の側面が削れてしまう。又、容器内底面にある複数の溝に引っ掛かり滑らかに押し引きすることは出来ない。豆腐の側面を削らず、部材が容器内底面に触れずに豆腐の側面から分断処理が行える器具がない。
【0008】
本発明は、豆腐を包装容器に収納したままの状態で、容易に側面から分断し、さらに刃先を使用し、適応する多数個の直方体に分割し得るようにした、豆腐分断器具及び、豆腐分断器具付包丁を提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、豆腐分断器具及び豆腐分断器具付包丁を提供するものである。
【0010】
二本の支柱の先端間に線状切断部材を張設した、豆腐分断器具。
【0011】
単独で、又は刃物類に取り付けて使用する豆腐分断器具。
【0012】
二本の支柱と線状切断部材は一体に形成された豆腐分断器具。
【0013】
支柱の高さは豆腐の厚みの二分の一と同等、支柱間の長さは豆腐の縦幅の外方の寸法になる、豆腐分断器具。
【0014】
前記豆腐分断器具を、基台となる包丁、ナイフ類を含む刃物の背部に取り付けた豆腐分断器具付包丁。
【0015】
容器上方より下向きに挿入した前記豆腐分断器具が有する線状切断部材が容器中間位にとどまり、豆腐側面から水平に通過させる豆腐分断方法。
【0016】
上記課題解決手段による作用は、基台の豆腐分断器具付包丁を180°回転させ、豆腐分断器具を下向きに垂直に構え、容器上面枠縁から基台の包丁背面を沿わせての水平移動に連動する、前記器具が有する線状切断部材が、容器内の豆腐側面から中間位を並行通過し、豆腐を分断する。
【0017】
さらに課題解決手段による作用として、基台の包丁刃先で、豆腐を料理に応じて自由に切る間隔を調節し、適応する多数個の直方体に分割する。以上の処理を、包装容器内にて行える。
【発明の効果】
【0018】
上述したように本発明の効果として、豆腐側面からの分断を容易に包装容器内で行なうことが可能になり、崩れや落下を防ぎ、その後の分割も容器内で安全に処理できるので、手を切る恐れも回避できる。
【0019】
また、刃先を自由に動かせるため、料理に合わせ、分割する間隔を調節でき、応用範囲が広い。
【0020】
調理の際、必須用具の包丁に、本発明の豆腐分断器具を取り付けることにより、場所をとらず、他の食材を切断する機能も保持し、豆腐の切断処理をも、一連の流れとして行え、調理の迅速化につながる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の豆腐分断器具の正面図
【図2】本発明の豆腐切断器具付き包丁の実施例全体を示す正面図
【図3】包装容器の上面カバーを突刺切開する状態を示す斜視図
【図4】包装容器内に収納時の豆腐の断面図
【図5】本発明の豆腐分断器具を包装容器内の豆腐側縁へ垂直挿入した状態を示す断面図
【図6】本発明の豆腐切断器具付き包丁の使用状態を示す斜視図
【図7】刃先にて分割する状態を示す斜視図
【図8】豆腐を半量だけ使用する場合の実施例の斜視図
【図9】豆腐分断器具に持ち手を設けた実施例の正面図
【図10】線状切断部材の位置を調節可能にした実施例の正面図
【図11】豆腐分断器具を複数設けた実施例の正面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図11に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1に示すは、豆腐を分断するための器具で、コの字型の形状をしており、二本の支柱(7)(7’)の先端間に、線状切断部材(6)を張設する。
二本の支柱(7)(7’)と、線状切断部材(6)は、直交部(8)(8’)で交わり一体に形成されている。
支柱(7)(7’)の高さは標準的なサイズの豆腐の厚みの二分の一と同等に、19mm〜21mmの範囲とする。
支柱間の長さは、標準的なサイズの豆腐の縦幅の外方の寸法になるよう、90mm〜94mmの範囲とする。
【実施例2】
【0024】
図2〜図8までを参照しながら説明する。図2に示すように、図1の豆腐分断器具を基台の包丁と一直線上になるように取り付ける。支柱(7’)は、背部(4)の柄側の端に立て、支柱(7)は同背部の刃先側に立てる。
【0025】
基台の包丁及びナイフ類を含む刃物は、刃渡り135mm〜145mm程度の小型で軽量のものが使い易い。柄(1)をしっかりと把持し、安定した状態で安全に実施できる。
【0026】
図3に示すように柄(1)を把持し、刃の角部(5)を包装容器の上面カバーに突刺し、3方向に引くように切り、容器上面部を開口する。
【0027】
図4に示すように、豆腐の包装容器は上方より下方が狭い形状のため、直方体の豆腐を収納時は下方には容器内側面(B)(B’)と豆腐側面(D)(D’)との間に隙間はない。又、容器内各側面には縦に複数の溝があり、容器内底面(C)には四方の側面より延長された溝が、格子状に交わっている。
【0028】
図5に示すように、図2の包丁を180°回転し、図1の豆腐分断器具を下向きに構え、包装容器と豆腐側面縁の間に垂直に挿入し、前記包丁背部の支柱基脇(9)(10)を容器の上面枠(A)(A’)に当てると、前記器具は容器上面位より吊られた状態になり支柱と線状切断部材の直交部(8)−(8’)及び、線状切断部材(6)は豆腐の中間位にとどまる。包装容器内の底面(C)に部材が触れることはない。
【0029】
図6に示すように、柄(1)を把持し、豆腐の入った包装容器枠縁内から対向する枠縁内まで、容器上面枠の(A)(A’)に対し、垂直に、包丁背部の支柱基脇(9)(10)を沿わせての水平移動に伴い、連動する線状切断部材(6)が豆腐の側面から中間位を通過して分断される。平らな上面枠ゆえ、並行して滑らかに通過し、豆腐の側面(D)(D’)が削られる心配もない。
【0030】
図7に示すように、側面から分断された豆腐の上面に、刃先(3)を挿入し、適応する間隔に調節し、縦方向、横方向に各複数回切り、多数個の直方体に分割していく。
【0031】
図5〜図7の実施により、豆腐を包装容器から一度も取り出さずに分断し、崩れや落下を防ぎ、さいの目状、その他、料理に適応した多数個の直方体に分割処理することができる。そのまま調理鍋まで運び、手の平を豆腐上面に添えて傾け、豆腐を静かに投入する。
【0032】
図8に示すように、少人数家族などで、豆腐を半量だけ使用したい場合は、容器カバーを半分だけ開口し、刃先(3)を挿入し二分割したのち、図5〜図7を行うことにより、豆腐を容器に入れたまま、半量だけ切断処理できる。
【実施例3】
【0033】
図9に示すように、本発明の豆腐分断器具を単独で使用する場合、豆腐分断器具の両支柱(7)(7’)基に、平板状の持ち手(11)を設ける。平板状の持ち手は一体、又は分割されている。平板状基台の形は長方形、三角形、半円形、半楕円形、長方形と半円形を複合した形、など様々な形で応用出来る。前記器具を下に向け、豆腐側面から分断する。平板状の側縁を薄くした場合は、豆腐を切る事も可能な刃になる。
【実施例4】
【0034】
図10に示すように、本発明の豆腐分断器具を単独で使用する場合、豆腐分断器具の両支柱(7)(7’)基に、平板状の持ち手(11)を設ける。支柱の高さを豆腐の厚みの三分の二の長さまで延長し27mm程度にする。持ち手(11)の一面側に、両支柱基より連結した摘み(12)を二つ、又は一括して一つ設け、スライドして、両支柱(7)(7’)を可動させ、三段階に線状切断部材(6)の位置を調節する事が可能になる。豆腐を三層、又は二層に分断する。
豆腐を三層に分断する場合は、線状切断部材(6)の位置を豆腐の厚みの上から三分の一、三分の二の位置に合わせ、側面からそれぞれ分断する。又、二層に分断する場合は、豆腐の厚みの二分の一の位置に合わせ側面から分断する。
【実施例5】
【0035】
図11に示すように、本発明の豆腐分断器具を単独で使用する場合、豆腐分断器具を、小サイズの豆腐用(E)と、標準サイズ用(F)を、持ち手(11)にそれぞれ設ける。小サイズ用はそれに適合するように、支柱の高さを5mm程度低くし、支柱間の長さは15mm程度短くする。さらに様々な豆腐の大きさや厚みに対応出来る様に複数のサイズの器具を用意して、持ち手(11)の表裏両面に設けてもよい。使用したい器具を下に向け、豆腐側面から分断する。
【符号の説明】
【0036】
1 柄
2 刃
3 刃先
4 刃の背部
5 刃の角部
6 線状切断部材
7、7’ 支柱
8 6と7の直交部
8’ 6と7’の直交部
9、10 支柱基脇
11 持ち手
12 摘み
A、A’ 包装容器上面枠
B B’ 包装容器内側面
C 包装容器内底面
D、D’ 豆腐の下方部位の側面
E 小サイズの豆腐用分断器具
F 標準サイズ用豆腐分断器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の支柱の先端間に、線状切断部材を張設したことを特徴とする、豆腐分断器具。
【請求項2】
単独で、又は刃物類に取り付けて使用することを特徴とする請求項1記載の豆腐分断器具。
【請求項3】
二本の支柱と線状切断部材は、一体に形成されていることを特徴とする請求項1、又は2記載の豆腐分断器具。
【請求項4】
支柱の高さは豆腐の厚みの二分の一とし、支柱間の長さは豆腐の縦幅の外方の寸法になることを特徴とする、請求項1、2又は3記載の豆腐分断器具。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載の豆腐分断器具を、包丁、ナイフ類を含む刃物の背部に取り付けてなることを特徴とする、豆腐分断器具付包丁。
【請求項6】
容器上方より下向きに挿入した請求項1、2、3又は4記載の豆腐分断器具が有する線状切断部材が容器中間位にとどまり、豆腐側面から水平に通過させることを特徴とする豆腐分断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−224765(P2011−224765A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111510(P2010−111510)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(510133230)