説明

負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートを用いた視野角の補償フィルムを含むIPS液晶表示装置

【課題】傾斜角の暗状態での光漏れを最小化することにより正面及び傾斜角で高いコントラスト特性、低い色ずれを有するIPS−LCDを提供する。
【解決手段】視野角の補償フィルムの設計条件と作製において、偏光板1,2とIPS液晶パネル3との間で、負の二軸性位相差フィルム12と+C−プレート11の配置順、負の二軸性位相差フィルム12の光軸方向を適宜決めることにより、IPS液晶表示装置の正面と傾斜角でのコントラスト特性を向上し、暗状態での視野角による色ずれを最小化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(liquid crystal display;LCD)、具体的には正の誘電率異方性を有する液晶(Δε>0)または負の誘電率異方性を有する液晶(Δε>0)で充填されたIPS液晶表示装置(In−plane Switching liquid crystal display;IPS−LCD)の視野角特性を改善するために、負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートを用いた補償フィルムを含む液晶表示装置に係る。
【背景技術】
【0002】
IPS−LCDについては、特許文献1に発表されたものがあるが、前記特許では、視野角の補償フィルムが使用されていない。視野角の補償フィルムを使用していないIPS−LCDでは、傾斜角の暗状態における相対的に大きな光漏れのため、低いコントラスト比の値を示すという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,807,831号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、傾斜角の暗状態での光漏れを最小化することにより正面及び傾斜角で高いコントラスト特性、低い色ずれ(Color Shift)を有するIPS−LCDを提供することを目的とする。
【0005】
IPS−LCDの視野角特性を低下させる原因は、次の二つに大別される。その一つは、直交偏光板の視野角依存性、もう一つは、IPS−LCDパネルの複屈折特性の視野角依存性である。
【0006】
本発明者は、このような二つの原因に起因する視野角の低下を補償するためには、負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートが必要であることを認識し、前記二種の位相差フィルムを用いた視野角の補償フィルムを設計し、広視野角特性を実現しようとする。
【0007】
また、本発明者は、適宜の視野角の補償のためには、偏光板と液晶セルとの間における負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートの配置順によって、負の二軸性位相差フィルムの光軸方向を適宜に決めする必要があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートを用いて前記視野角の問題点を解決したIPS液晶表示装置を提供する。
【0009】
具体的に、本発明は、第一の偏光板と、正の誘電率異方性(Δε>0)または負の誘電率異方性(Δε>0)を有する液晶で充填された水平配向された液晶セル、及び第二の偏光板を備え、液晶セル内の液晶の光軸が偏光板に平行な面内に置かれているIPS液晶表示装置であって、第一の偏光板の吸収軸と第二の偏光板の吸収軸とが直交し、液晶セル内の液晶の光軸が隣接する第一の偏光板の吸収軸に平行であり、視野角の補償のために一つ以上の負の二軸性位相差フィルム(n>n>n)と一つ以上の+C−プレート(n=n<n)を偏光板と液晶セルとの間に配し、このとき、負の二軸性位相差フィルムの光軸は、(a)負の二軸性位相差フィルムに直ぐ隣接する偏光板、または(b)負の二軸性位相差フィルムが液晶セルに隣接する場合は、液晶セルに隣接する偏光板の吸収軸に直交して配されることを特徴とするIPS液晶表示装置を提供する。
【0010】
コントラスト比の値は、画面の鮮明度を示す指標であって、その値が高ければ高いほど鮮明な画質の実現が可能である。IPS−LCDは、傾斜角70°でコントラスト特性が最も悪く、傾斜角70°でのコントラスト特性が向上すれば、すべての視野角でのコントラスト特性が向上されることを意味する。傾斜角70°での最小コントラスト比の値は、偏光板だけを使用した場合は10:1以下であり、本発明に係る+C−プレートと負の二軸性位相差フィルムを使用した場合は、最小20:1以上が得られる。傾斜角70°での最も好ましい最小コントラスト比の値は20:1以上である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートを使用してIPS液晶表示装置の正面と傾斜角でのコントラスト特性を向上し、暗状態での視野角による色ずれを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】IPS−LCDの基本構造を示す図である。
【図2】図1に示す基本構造のうちの偏光板の吸収軸とIPS−LCDパネルの液晶の光軸配置を示す図である。
【図3】位相差フィルムの屈折率を示す図である。
【図4】本発明に係る視野角の補償フィルムを含む第一のIPS−LCDの構造を示す図である。
【図5】本発明に係る視野角の補償フィルムを含む第二のIPS−LCDの構造を示す図である。
【図6】本発明に係る視野角の補償フィルムを含む第三のIPS−LCDの構造を示す図である。
【図7】本発明に係る視野角の補償フィルムを含む第四のIPS−LCDの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳述する。図1にIPS−LCDの基本構造が示されている。IPS−LCDは、第一の偏光板1と、第二の偏光板2、及び液晶セル3からなり、第一の偏光板の吸収軸4と第二の偏光板の吸収軸5とが互いに直交して配されており、第一の偏光板の吸収軸4と液晶セルの光軸6とが互いに平行に配されている。図2には、両偏光板の吸収軸4、5と液晶セルの光軸6が示されている。
【0014】
本発明に係る補償フィルムが使用される液晶表示装置は、第一の偏光板1と、二枚のガラス基板の間に正の誘電率異方性(Δε>0)または負の誘電率異方性(Δε>0)を有する液晶で充填され水平配向された液晶セル3、及び第二の偏光板2を備え、液晶セル内の液晶の光軸6が偏光板に平行な面内に置かれているLDC素子であって、第一の偏光板の吸収軸4と第二の偏光板の吸収軸5とが直交し、液晶セル内の液晶の光軸6が隣接する第一の偏光板の吸収軸4に平行であり、第一の基板15と第二の基板16のいずれか一方では、電極対を含むアクティブマトリクス駆動電極(active matrix drive electrode)が液晶層に隣接する表面内に形成されている。
【0015】
本発明のIPS−LCDは、液晶セルの位相差値が550nm波長で200〜350nmの範囲であることが好ましい。
【0016】
IPS−LCDへの電圧の印加時、第一の偏光板を通って90°に線偏光された光が液晶層を通った後に0°に線偏光されて明状態になるようにするためには、IPS−LCDパネルの位相差値を589nm(人が感じられる最も明るい単色光)の半波長にする必要があり、白色になるようにするために使用される液晶の波長分散特性によっては半波長より僅かに長いか短いように調節することができる。従って、位相差値は、589nm単色光の半波長の295nm前後の範囲を有することが好ましい。
【0017】
本発明のLCDは、多重ドメイン(Multi-domain)に液晶を配向させるか、または印加される電圧によって多重ドメインに分けられることを含む。
【0018】
LCDは、電極対を含むアクティブマトリクス駆動電極のモードによってIPS(In−Plane Switching)、またはSuper−IPS(Super−In−Plane−Switching)、またはFFS(Fringe-Field−Switching)とに大別される。本発明におけるIPS−LCDとは、Super−IPS、FFS、reverse−TNIPS等も含む。
【0019】
本発明は、IPS−LCDの視野角の補償のために+C−プレートと負の二軸性位相差フィルムとを組み合わせて使用することを特徴とする。IPS−LCDの視野角の補償のために+C−プレートと負の二軸性位相差フィルムとを組み合わせる場合、広い視野角特性の実現が可能である。
【0020】
+C−プレートと隣接する負の二軸性位相差フィルムの厚み方向の位相差値の総和が正の値を有し、二軸性位相差フィルムの面内位相差値が+A−プレートとして機能するため、偏光板とIPS−LCDパネルから発生される光漏れを最小化することができる。
【0021】
図3を参照して、IPS−LCDの視野角の補償のために使用される位相差フィルムの屈折率をみてみれば、面内屈折率のうちのx軸方向の屈折率をn8、y軸方向の屈折率をn9、厚み方向の屈折率、即ちz軸方向の屈折率をn10とし、このとき、屈折率の大きさによって位相差フィルムの特性が決め付けられる。
【0022】
三軸方向の屈折率のうちの二軸方向の屈折率が異なる場合を一軸性位相差フィルムといい、一軸性位相差フィルムは、次のように定義することができる。
【0023】
(1)n>n=nである時、+A−プレートといい、面内に置かれた両屈折率の差とフィルムの厚みを用いて面内位相差値(in−plane retardation value)を定義する。
【0024】
【数1】

【0025】
前記式中、dは、フィルムの厚みを表す。
【0026】
(2)n=n<nである時、+C−プレートといい、面内屈折率と厚み方向の屈折率の差とフィルムの厚みを用いて厚み方向の位相差値(thickness retardation value)を定義する。
【0027】
【数2】

【0028】
前記式中、dは、フィルムの厚みを表す。
【0029】
+C−プレートは、面内位相差値(in−plane retardation value)がほぼ0であり、厚み方向の位相差値が正の値を有するフィルムである。
【0030】
IPS−LCDの視野角の補償のために使用される+C−プレートの厚み方向の位相差値は、550nmで50〜500nmの範囲の値を有することが好ましい。
【0031】
偏光板の暗状態で透過される光を最小化するために正の厚み方向の位相差値が必要であるが、負の二軸性位相差フィルムを使用する場合に正の厚み方向の位相差値がないことから+C−プレートを介して負の厚み方向の位相差値を減らすか、正の値にさせる必要がある。偏光板とIPS−LCDパネルの視野角の補償が可能な厚み方向の位相差値の範囲は50nmから500nmであるため、負の厚み方向の位相差値を減らし正の厚み方向の位相差値を有するようにするためには前記範囲が必要である。
【0032】
フィルムの波長分散特性としては、正常波長分散特性(normal wavelength dispersion)、フラット波長分散特性(flat wavelength dispersion)、逆波長分散特性(reverse wavelength dispersion)を持っていればよい。
【0033】
三軸方向の屈折率がいずれも異なる場合を二軸性位相差フィルムといい、二軸性位相差フィルムは、次のように定義する。
【0034】
面内屈折率のうちのx軸方向の屈折率をn8、y軸方向の屈折率をn9、厚み方向の屈折率をn10とし、n>n>nである時、負の二軸性位相差フィルムといい、二軸性位相差フィルムは、面内位相差値と厚み方向の位相差値を同時に有する。
【0035】
【数3】

【0036】
【数4】

【0037】
ここで、dは、フィルムの厚みを表す。
【0038】
IPS−LCDの視野角の補償のために負の位相差値フィルムは、550nm波長で20〜200nmの範囲の面内位相差値を有し、負の厚み方向の位相差値を有し、550nmで−50nm〜−300nmの範囲の値を有することが好ましい。
【0039】
フィルムの波長分散特性としては、正常波長分散特性(normal wavelength dispersion)、フラット波長分散特性(flat wavelength dispersion)、逆波長分散特性(reverse wavelength dispersion)を持っていればよい。
【0040】
+C−プレートと負の二軸性位相差フィルムを含む視野角の補償フィルムの構造が、図4、図5、図6、図7に示されている。
【0041】
二つの直交偏光板の間に挟まれた液晶セル3は、液晶分子7の光軸がIPSパネル基板に平行に配されており、ラビング方向に揃っている。バックライトに隣接する第一の偏光板の吸収軸4とラビング方向6とが平行であるとき、O−mode IPS−LCDといい、バックライトに隣接する偏光板の吸収軸4とラビング方向6とが直交するとき、E−mode IPS−LCDという。バックライトに隣接する第一の偏光板1を下偏光板、バックライトから離れて配されている第二の偏光板2を上偏光板とすれば、二枚の偏光板は互いに直交状態をなす。
【0042】
視野角の補償機能を果たすためには、二種の位相差フィルムがIPS液晶セル3と偏光板との間に挟まれている必要がある。
【0043】
位相差フィルムの光軸13は、隣接する偏光板の吸収軸5に平行となるか、または直交すればよい。光軸の方向は、位相差フィルムの配置順によって決められる。
【0044】
A−プレートを偏光板の補償に使用するためには、A−プレートの光軸が偏光板の透過軸に一致するように配する必要がある。もし、+C−プレートが偏光板に隣接していれば、A−プレートは、遠く離れている偏光板の吸収軸と直交する必要があり、A−プレートが偏光板に隣接していれば、隣接する偏光板の吸収軸と直交する必要がある。
【0045】
一方、IPS−LCDの視野角補償のために使用される二種の位相差フィルムのうちの第一の形態の位相差フィルムを負の二軸性位相差フィルム12とし、第二の形態の位相差フィルムを+C−プレート11とすれば、二種のフィルムを積層した時、第二の形態の位相差フィルムの厚み方向の位相差の絶対値が第一の形態の位相差フィルムの厚み方向の位相差の絶対値より大きいことが好ましい。
【0046】
【数5】

【0047】
IPS−LCDの視野角特性を改善するためには、補償フィルムの厚み方向の位相差値の総和が正の値を有することが好ましいためである。前記条件は、補償フィルムの厚み方向の位相差値の総和が正の値を有する必要があることを意味する。
【0048】
本発明の第一の実施態様は、負の二軸性位相差フィルム12と+C−プレート11が液晶セル3と第2の偏光板2との間に配されており、+C−プレートが負の二軸性位相差フィルム12と液晶セル3との間に配されており、負の二軸性位相差フィルムの光軸13は、隣接する第2の偏光板の吸収軸5に直交することを特徴とするIPS液晶表示装置を提供する。
【0049】
直交偏光板による光漏れの最小化は、A−プレートの光軸と隣接する偏光板の透過軸とが一致して始めて可能である。偏光板の吸収軸が透過軸と直角をなすため、負の二軸性位相差フィルムの光軸と隣接する第二の偏光板の吸収軸とが直交する必要がある。
【0050】
このとき、+C−プレートは、550nm波長で50〜500nmの範囲の厚み方向の位相差値を有することが好ましい。
【0051】
現に作製可能な負の二軸性位相差フィルムの厚み方向の位相差値は−50〜−300nmである。従って、+C−プレートは、厚み方向の位相差値の総和が正の値を有するようにするために必要であり、IPS−LCDの視野角の補償のためには、厚み方向の位相差値の総和が+50nm〜300nmの範囲の値を有することが好ましいためである。
【0052】
また、IPS−LCDの視野角の補償のために必要な負の二軸性位相差フィルムの面内位相差値は、150nm以下であることが好ましい。
【0053】
図4に例示された第一のIPS−LCDの補償フィルムを有する構造をみてみれば、次の通りである。
【0054】
負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートが第二の偏光板2と液晶セル3との間に配されており、負の二軸性位相差フィルムが第二の偏光板2に隣接するように配されている。負の二軸性位相差フィルムの光軸13は、第二の偏光板の吸収軸5に直交するように配されている。
【0055】
バックライトの位置は、第一の偏光板に隣接する所に配置される必要があり、第二の偏光板に配置すれば、視野角の補償特性が変わる。
【0056】
このような配置下において実際の位相差フィルムの設計値を適用した時におけるシミュレーション結果を、次の表1に表している。
【0057】
【表1】

【0058】
IPS−LCDの視野角特性は、偏光板の内部保護フィルム、+C−プレート、負の二軸性位相差フィルムの位相差値を如何に設計するかによって決められる。
【0059】
表1は、第一の偏光板の内部保護フィルム、+C−プレートの位相差値、負の二軸性位相差フィルムの位相差値、第二の偏光板の内部保護フィルムの位相差値による視野角の特性をシミュレーションした結果をまとめたものである。IPS−LCDの特性上、傾斜角70°で低いコントラスト特性を示すため、傾斜角70°での最小コントラスト比の値は、コントラスト特性の改善度合いが分かる指標である。視野角補償フィルムを適用していない一般の偏光板を使用したIPS−LCDの傾斜角70°での最小コントラスト比の値は10:1以下である。従って、表1に提示された構造は、いずれもコントラスト特性が改善されたことが分かり、また、これらの結果のうち、最大コントラスト比の値を示す設計値が最も優れたコントラスト特性を示す構造である。
【0060】
本発明の第二の実施態様は、負の二軸性位相差フィルム12と+C−プレート11が液晶セル3と第2の偏光板2との間に配されており、負の二軸性位相差フィルムが+C−プレートと液晶セルとの間に配されており、負の二軸性位相差フィルムの光軸13は、第2の偏光板の吸収軸5に平行であることを特徴とするIPS−LCD素子を提供する。
【0061】
IPS−LCDの視野角の補償のためには、負の二軸性位相差フィルムの光軸と隣接する偏光板の吸収軸とが直交する必要がある。しかし、配置順をみれば、第二の偏光板の次にくる+C−プレートのため負の二軸性位相差フィルムは第一の偏光板の影響を受ける。
【0062】
従って、負の二軸性位相差フィルムの光軸は、第一の偏光板の吸収軸に直交し、第二の偏光板の吸収軸に一致する必要がある。
【0063】
図5に例示された第二のIPS−LCDの補償フィルムを有する構造をみてみれば、次の通りである。
【0064】
負の二軸性位相差フィルムと+C−プレートが第二の偏光板2とIPS液晶セル3との間に配されており、+C−プレートが第二の偏光板2に隣接するように配されている。負の二軸性位相差フィルムの光軸13は、第二の偏光板の吸収軸5に平行であるように配されている。このような配置下において実際の位相差フィルムの設計値を適用した時におけるシミュレーション結果を、次の表2に表している。
【0065】
【表2】

【0066】
表2は、偏光板の内部保護フィルムの位相差値、+C−プレートの位相差値、負の二軸性位相差フィルムの位相差値による視野角70°でのコントラスト特性をシミュレーションした結果である。
【0067】
IPS−LCDは、特性上、傾斜角70°で最小コントラスト比の値を示し、補償フィルムを適用していない一般の偏光板を使用したIPS−LCDの傾斜角70°でのコントラスト比の値は10:1以下である。従って、表2に表すように、傾斜角70°でコントラスト特性が改善されたことは、すべての視野角方向からのコントラスト特性が改善されたことを意味する。
【0068】
本発明の第三の実施態様は、負の二軸性位相差フィルム12と第一の+C−プレート11が第二の偏光板2と液晶セル3との間に配されており、第二の+C−プレート14が第一の偏光板1と液晶セル3との間に配されており、第一の+C−プレート11が負の二軸性位相差フィルム12と液晶セル3との間に配されており、負の二軸性位相差フィルムの光軸13と隣接する第2の偏光板の吸収軸5とが直交することを特徴とするIPS−LCD素子を提供する。
【0069】
IPS−LCDの視野角の補償のためには、負の二軸性位相差フィルムの光軸が隣接する偏光板の透過軸と一致する必要がある。偏光板の透過軸は、吸収軸と直交するため、負の二軸性位相差フィルムの光軸が偏光板の吸収軸と直交する必要がある。
【0070】
このとき、負の二軸性位相差フィルムの面内位相差値は、20〜200nmであり、厚み方向の位相差値は、総和が−50〜−300nmであることが好ましい。第一の+C−プレートと第二の+C−プレートは、厚み方向の位相差値の総和が50〜500nmの値を有することが好ましい。
【0071】
また、二枚の+C−プレートの厚み方向の位相差値の総和が負の二軸性位相差フィルムの厚み方向の位相差値の総和より大きくなければならない。
【0072】
図6に例示された第三のIPS−LCDの補償フィルムを有する構造をみてみれば、次の通りである。
【0073】
負の二軸性位相差フィルムと第一の+C−プレート11が第二の偏光板2とIPS液晶セル3との間に配されており、負の二軸性位相差フィルム12が第二の偏光板2に隣接するように配されている。負の二軸性位相差フィルムの光軸13は、第二の偏光板の吸収軸5に直交するように配されている。第二の+C−プレートは、第一の偏光板1とIPS液晶セル3との間に配されている。
【0074】
このような配置下において実際の位相差フィルムの設計値を適用した時におけるシミュレーション結果を、次の表3に表している。
【0075】
【表3】

【0076】
表3は、第一の偏光板の内部保護フィルムの位相差値、第二の偏光板の内部保護フィルムの位相差値、第一の+C−プレートの位相差値、第二の+C−プレートの位相差値、負の二軸性位相差フィルムの位相差値による視野角70°での最小コントラスト比の値をシミュレーションした結果をまとめたものである。
【0077】
本発明の第四の実施態様は、負の二軸性位相差フィルム12と第一の+C−プレート11が第二の偏光板2と液晶セル3との間に配されており、第二の+C−プレート14が第一の偏光板1と液晶セル3との間に配されており、第一の+C−プレート11が負の二軸性位相差フィルム12と第二の偏光板2との間に配されており、負の二軸性位相差フィルムの光軸13は、第二の偏光板の吸収軸5と平行であることを特徴とするIPS−LCD素子を提供する。
【0078】
IPS−LCDの視野角特性の改善のためには、負の二軸性位相差フィルムの光軸と隣接する偏光板の吸収軸とが直交する必要がある。図7に示すように、+C-プレートが第二の偏光板と負の二軸性位相差フィルムで挟まれているため、負の二軸性位相差フィルムは、第一の偏光板と作用し、負の二軸性位相差フィルムの光軸を第一の偏光板の透過軸に一致させる必要がある。第一の偏光板の透過軸が第二の偏光板の吸収軸に一致するため、負の二軸性位相差フィルムの光軸は、第二の偏光板の吸収軸に一致させる必要がある。
【0079】
図7に例示された第四のIPS−LCDの補償フィルムを有する構造をみてみれば、次の通りである。
【0080】
負の二軸性位相差フィルムと第一の+C−プレートが第二の偏光板2とIPS液晶セル3との間に配されており、第一の+C−プレートが第二の偏光板2に隣接するように配されている。負の二軸性位相差フィルムの光軸13は、第二の偏光板の吸収軸5に平行であるように配されている。第二の+C−プレートは、第一の偏光板1とIPS液晶セル3との間に配されている。
【0081】
このような配置下において実際の位相差フィルムの設計値を適用した時におけるシミュレーション結果を、次の表4に表している。
【0082】
【表4】

【0083】
図4〜図7に示すIPS−LCDは、二枚の直交偏光板1、2と液晶セル3、第二の偏光板2と液晶セル3で挟まれた一枚以上の負の二軸性位相差フィルム12と一枚以上の+C−プレート11を含む構造を有している。
【0084】
対角線方向は、偏光板の吸収軸に対し45°の方向を示し、直交偏光板の状態でIPS−LCDの視野角特性が最も悪い方向である。本発明に係る二種の位相差フィルムをIPS−LCDに視野角補償フィルムとして適用すれば、対角線方向の視野角特性が改善される。
【0085】
本発明における偏光板は、内部と外部保護フィルムを有すればよい。
【0086】
偏光板は、偏光素子の延伸PVA(Stretched Polyvinyle Alchol)を保護するために内部保護フィルムとして厚み方向の位相差値を有するTAC(Triacetate cellulose)、PNB(Polynobonene)保護フィルムまたは厚み方向の位相差値がない無延伸COP(cyclo−olefin)を含むことができる。
【0087】
IPS−LCDの視野角の補償特性は、偏光素子の保護のために使用される保護フィルムにより影響を受ける。TACフィルムのように厚み方向の位相差値を有している保護フィルムを使用すれば、視野角の補償特性が低下するという不具合がある。無延伸COPのように等方性フィルムを偏光板の保護フィルムとして使用すれば、優れた視野角の補償特性を確保することができる。
【0088】
第一の偏光板の内部保護フィルムと第二の偏光板の内部保護フィルムのいずれか一方、または両方は、0または負の厚み方向の位相差値を有することが好ましい。なぜならば、偏光板に隣接される+C−プレートは偏光板の内部保護フィルムにより発生された位相差値を相殺させるからである。
【0089】
一方、第一の偏光板1と第二の偏光板2の内部保護フィルムは、延伸されていないCOP、40μmTAC、80μmTAC、PNBより構成される群から選ばれた材料で作製されることが好ましい。
【0090】
第一の形態の位相差フィルムである負の二軸性位相差フィルム12として使用可能なフィルムとしては、一軸延伸されたTAC(Uniaxial stretched TAC)、一軸延伸されたPNB(Polynobonene)、二軸延伸されたPC(Polycarbonate)等が使用可能である。第二の位相差フィルム11(+C−プレート)としてポリマー材料またはUV硬化型液晶フィルムがあり、使用可能なフィルムとしては、垂直配向された液晶フィルム(Homeotropic aligned Liquid Crystal Film)、二軸延伸されたPC(biaxial stretched polycarbonate)等がある。
【0091】
本発明において、負の二軸性位相差フィルム12を偏光板の内部保護フィルムとして使用してもよい。偏光板の内部保護フィルムの目的は、偏光素子を保護することにあるため、偏光板の保護機能を有し透明材料であれば使用可能である。負の二軸性位相差フィルムは、偏光板の保護機能を有する透明材料であるため、偏光板の保護機能を有する位相差フィルムとして使用することができる。
【0092】
また、本発明において、+C−プレート11を偏光板の保護フィルムとして使用してもよい。+C−プレートは、偏光板の保護機能を有する透明材料であるため、偏光板の保護機能を有する位相差フィルムとして使用することができる。
【0093】
一般に偏光板の保護フィルムとして最も広く使用される材料はTACであり、TACは、負の厚み方向の位相差値を有しているため、負の二軸性位相差フィルムを偏光板の保護フィルムとして直接使用する場合には、負の厚み方向の位相差値が低減する効果がある。従って、+C−プレートの小さい厚み方向の位相差値によって視野角の補償が可能である(表1参照)。
【0094】
偏光板の内部保護フィルムが負の厚み方向の位相差値を有する場合には、厚み方向の位相差値の総和を0より大きくするためには、位相差値の大きい+C−プレートを使用する必要があり、偏光板の内部保護フィルムが0またはこれより小さい負の値を有する場合には、位相差値の小さい+C−プレートを使用して視野角特性の改善が可能である。
【0095】
[実施例]
(例示1)
表1に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=110nm、厚み方向の位相差値Rth=−48nmを有している。+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値はRth=133nmを有している。二枚の偏光板は、位相差値がほぼ0であるCOP内部保護フィルムを含む。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は150:1である。
【0096】
(例示2)
表1に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=66nm、厚み方向の位相差値Rth=−128nmを有している。+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=120nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムは、TACフィルムから構成されており、厚み方向の位相差値はRth=−65nmである。第二の偏光板2の内部保護フィルムは、位相差値がほぼ0であるCOP内部保護フィルムから構成されている。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は30:1である。
【0097】
(例示3)
表1に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=110nm、厚み方向の位相差値Rth=−48nmを有している。+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=133nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムはCOPから構成されており、第二の偏光板2の内部保護フィルムは、延伸されたTACフィルムから構成されている。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は150:1である。
【0098】
(例示4)
表2に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=77nm、厚み方向の位相差値Rth=−165nmを有している。+C−プレート12は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=305nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムはCOPから構成されており、第二の偏光板2の内部保護フィルムは、80μmTACから構成されており、厚み方向の位相差値はRth=−65nmである。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は95:1である。
【0099】
(例示5)
表2に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=77nm、厚み方向の位相差値Rth=−165nmを有している。第一の+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値はRth=420nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムはCOPから構成されており、第二の偏光板2の内部保護フィルムは、負の厚み方向の位相差値を有するPNBから構成されており、厚み方向の位相差値はRth=−160nmである。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は86:1である。
【0100】
(例示6)
表2に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=74nm、厚み方向の位相差値Rth=−162nmを有している。+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=230nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムはCOPから構成されており、第二の偏光板2の内部保護フィルムはCOPから構成されている。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は100:1である。
【0101】
(例示7)
表3に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=92nm、厚み方向の位相差値Rth=−102nmを有している。第二の+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=110nmを有している。第一の+C−プレート12は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=215nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムは80μmTACから構成されており、厚み方向の位相差値はRth=−65nmである。第二の偏光板2の内部保護フィルムはCOPから構成されている。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は136:1である。
【0102】
(例示8)
表3に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=92nm、厚み方向の位相差値Rth=−102nmを有している。第二の+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=220nmを有している。第一の+C−プレート14は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=215nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムはPNBから構成されており、厚み方向の位相差値はRth=−160nmである。第二の偏光板2の内部保護フィルムはCOPから構成されている。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は125:1である。
【0103】
(例示9)
表4に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=88nm、厚み方向の位相差値Rth=−65nmを有している。第二の+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=110nmを有している。第一の+C−プレート14は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=163nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムは80μmTACから構成されており、厚み方向の位相差値はRth=−65nmである。第二の偏光板2の内部保護フィルムはCOPから構成されている。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は150:1である。
【0104】
(例示10)
表4に表すIPS−LCDは、2.9μmのセルギャップ、プレティルト角は3°、誘電率異方性Δε=+7、複屈折Δη=0.1の液晶で充填されたIPS液晶セルから構成されている。負の二軸性位相差フィルム12は、延伸されたTACフィルムから構成されており、面内位相差値Rin=88nm、厚み方向の位相差値Rth=−65nmを有している。第二の+C−プレート11は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=220nmを有している。第一の+C−プレート14は、UV硬化された垂直配向液晶フィルムであり、位相差値Rth=163nmを有している。第一の偏光板1の内部保護フィルムはPNBから構成されており、厚み方向の位相差値はRth=−160nmである。第二の偏光板2の内部保護フィルムはCOPから構成されている。このような視野角の補償フィルムを適用した場合における全ての方位角に対し、傾斜角70°で最小コントラスト比の値に対してシミュレーションした結果は140:1である。
【符号の説明】
【0105】
1第一の偏光板
2第二の偏光板
11第一の+C−プレート
12負の二軸性位相差フィルム
14第二の+C−プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の偏光板;正の誘電率異方性(Δε>0)または負の誘電率異方性(Δε>0)を有する液晶で充填され、水平配向された液晶セル及び第二の偏光板を備え、前記液晶セル内の液晶の光軸が前記偏光板に平行な面内に置かれ、前記第一の偏光板の吸収軸と前記第二の偏光板の吸収軸とが直交し、前記液晶セル内の液晶の光軸が前記第一の偏光板の吸収軸に平行である、IPS液晶表示装置用補償フィルムであって、前記液晶セルと前記第二の偏光板との間に、前記第二の偏光板に隣接して配し、また光軸は、前記第二の偏光板の吸収軸と直交して配られる負の二軸性位相差フィルム及び前記液晶セルと前記第二の偏光板との間に、前記液晶セルに隣接して配られる+C−プレートを含み、前記負の二軸性位相差フィルムは、負の厚み方向の位相差値と正の面内位相差値を有し、前記+C−プレートは、正の厚み方向の位相差値を有する、IPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項2】
第一の偏光板;正の誘電率異方性(Δε>0)または負の誘電率異方性(Δε>0)を有する液晶で充填され、水平配向された液晶セル及び第二の偏光板を備え、前記液晶セル内の液晶の光軸が前記偏光板に平行な面内に置かれ、前記第一の偏光板の吸収軸と前記第二の偏光板の吸収軸とが直交し、前記液晶セル内の液晶の光軸が前記第一の偏光板の吸収軸に平行である、IPS液晶表示装置用補償フィルムであって、前記液晶セルと前記第二の偏光板との間に、前記第二の偏光板に隣接して配られる+C−プレート及び前記液晶セルと前記第二の偏光板との間に、前記液晶セルに隣接して配し、また光軸は、前記第二の偏光板の吸収軸に平行である負の二軸性位相差フィルムを含み、前記負の二軸性位相差フィルムは、負の厚み方向の位相差値と正の面内位相差値を有し、前記+C−プレートは、正の厚み方向の位相差値を有する、IPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項3】
前記+C−プレートは、550nm波長で50〜500nmの範囲の厚み方向の位相差値を有する、請求項1又は2に記載のIPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項4】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で面内位相差値が20〜200nmである、請求項1乃至3のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項5】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で面内位相差値が150nm未満である、請求項1乃至4のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項6】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で面内位相差値が77nm以下である、請求項1乃至4のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項7】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で厚み方向の位相差値が-300nm以上である、請求項1乃至6のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項8】
前記+C−プレートは、負の二軸性位相差フィルムの厚み方向の位相差の絶対値より大きい厚み方向の位相差値を有する、請求項1乃至7のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項9】
前記負の二軸性位相差フィルムと前記+C−プレートの厚み方向の位相差値の総和が550nmで+50〜+300nmである、請求項1乃至8のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用補償フィルム。
【請求項10】
偏光板;前記偏光板に隣接して配られており、また光軸は、前記偏光板の吸収軸と直交して配られておる、負の二軸性位相差フィルム及び前記負の二軸性位相差フィルムに隣接して配られておる、+C−プレートを含み、前記負の二軸性位相差フィルムは、負の厚み方向の位相差値と正の面内位相差値を有し、前記+C−プレートは、正の厚み方向の位相差値を有する、IPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項11】
偏光板;前記偏光板に隣接して配られておる、+C−プレート及び前記+C−プレートに隣接して配られており、また光軸は、前記偏光板の吸収軸に平行である、負の二軸性位相差フィルムを含み、前記負の二軸性位相差フィルムは、負の厚み方向の位相差値と正の面内位相差値を有し、前記+C−プレートは、正の厚み方向の位相差値を有する、IPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項12】
前記+C−プレートは、550nm波長で50〜500nmの範囲の厚み方向の位相差値を有する、請求項10又は11に記載のIPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項13】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で面内位相差値が20〜200nmである、請求項10乃至12のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項14】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で面内位相差値が150nm未満である、請求項10乃至13のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項15】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で面内位相差値が77nm以下である、請求項10乃至13のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項16】
前記負の二軸性位相差フィルムは、550nm波長で厚み方向の位相差値が-300nm以上である、請求項10乃至15のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項17】
前記+C−プレートは、負の二軸性位相差フィルムの厚み方向の位相差の絶対値より大きい厚み方向の位相差値を有する、請求項10乃至16のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用フィルム。
【請求項18】
前記負の二軸性位相差フィルムと前記+C−プレートの厚み方向の位相差値の総和が550nmで+50〜+300nmである、請求項10乃至17のいずれかに記載のIPS液晶表示装置用フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−185509(P2012−185509A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102587(P2012−102587)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2010−126723(P2010−126723)の分割
【原出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】