貨幣処理システムおよび貨幣処理方法
【課題】銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができること。
【解決手段】端末装置は、利用者によって入力された利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶して、貨幣処理装置によって入力された利用者情報を貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した利用者情報と記憶された利用者情報とが一致するか否かを判定し、一致していると判定された場合に、ポート経由で受信した利用者情報の送信元である貨幣処理装置との接続を確立して、貨幣処理装置は、利用者情報を入力するように貨幣処理システムを構成する。
【解決手段】端末装置は、利用者によって入力された利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶して、貨幣処理装置によって入力された利用者情報を貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した利用者情報と記憶された利用者情報とが一致するか否かを判定し、一致していると判定された場合に、ポート経由で受信した利用者情報の送信元である貨幣処理装置との接続を確立して、貨幣処理装置は、利用者情報を入力するように貨幣処理システムを構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムおよび貨幣処理方法に関し、特に、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関では、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、業務窓口等に設置されている端末装置から、入出金額とともに顧客の口座番号や顧客名等を入力する。
【0003】
そして、行員によって入力された入出金情報を顧客情報や預金情報等を管理しているホスト装置へ送信する。また、端末装置付近に設置される貨幣処理装置では、端末装置で入力された入出金情報に基づいて実際の貨幣の収納または払出を行っている。
【0004】
そして、上述したような、従来の貨幣処理を行うシステムでは、複数台ある貨幣処理装置のうち、端末装置が利用可能な貨幣処理装置をあらかじめ設定しておき、複数台の端末装置が1台の貨幣処理装置を共有して利用することが行われる。
【0005】
たとえば、特許文献1には、ある端末装置で利用可能な貨幣処理装置を優先順位とともに複数台設定しておき、優先度の高いほうから順に、利用中でない貨幣処理装置をさがすといった技術が開示されている。
【0006】
そして、ある貨幣処理装置が他の端末装置で利用中であっても、優先順位と共に設定されている貨幣処理装置のうち、空いている下位の貨幣処理装置があった場合には、その貨幣処理装置を利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−339522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の貨幣処理を行うシステムでは、端末装置に設定された貨幣処理装置以外の貨幣処理装置は、端末装置からは利用することができないという問題があった。
【0009】
たとえ特許文献1のように、優先順位をつけて複数台設定しておいたとしても、あらかじめ設定しておいた貨幣処理装置以外の貨幣処理装置は利用することができない。たとえば、利用中でない貨幣処理装置があったとしても、端末装置で設定していなかったら利用することができない。
【0010】
これらのことから、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる貨幣処理装置システムあるいは貨幣処理方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0011】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、前記端末装置は、利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶する利用者情報記憶手段と、前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段とを備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、請求項2にかかる発明は、前記端末装置は、利用者によって貨幣の収納または払出を行う指示が与えられたならば、前記ポートを開けるオープン手段をさらに備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報をすべての前記端末装置へ送信する送信手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、請求項3にかかる発明は、前記端末装置は、前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う端末利用者認証手段をさらに備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う機器利用者認証手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項4にかかる発明は、前記端末装置は、前記リンク確立手段によって接続された前記貨幣処理装置から貨幣の収納または払出が終了した旨を通知されたならば、前記オープン手段によって開けられた前記ポートを閉じるクローズ手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項5にかかる発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、前記端末装置は、利用者によって貨幣を収納または払出す指示を行う入出金指示手段を備え、前記端末装置と前記貨幣処理装置との通信を中継する中継装置は、前記端末装置において利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けた利用者情報を前記端末装置から受信して、受信した前記利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報が許可された利用者であると認証された場合に、前記端末装置との接続を確立する端末リンク確立手段と、前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記貨幣処理装置との接続を確立するとともに前記端末装置と前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段とを備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、請求項6にかかる発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを用いた貨幣処理方法であって、利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として前記端末装置が記憶する利用者情報記憶工程と、前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶工程によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを前記端末装置が判定する一致判定工程と、前記一致判定工程によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を前記端末装置が確立するリンク確立工程とを含み、前記利用者情報を前記貨幣処理装置によって入力する利用者情報入力工程を含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、端末装置は、利用者によって入力された利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶して、貨幣処理装置によって入力された利用者情報を貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した利用者情報と記憶された利用者情報とが一致するか否かを判定し、一致していると判定された場合に、ポート経由で受信した利用者情報の送信元である貨幣処理装置との接続を確立して、貨幣処理装置は、利用者情報を入力することとしたので、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項2の発明によれば、端末装置は、利用者によって貨幣の収納または払出を行う指示が与えられたならば、ポートを開け、貨幣処理装置は、入力された利用者情報をすべての端末装置へ送信することとしたので、あらかじめ利用可能な貨幣処理装置を設定しておかなくても、自由に空いている貨幣処理装置を利用することができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項3の発明によれば、端末装置は、記憶された利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行い、貨幣処理装置は、入力された利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行うこととしたので、貨幣の収納または払出の際に、安全性を担保することができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項4の発明によれば、端末装置は、接続された貨幣処理装置から貨幣の収納または払出が終了した旨を通知されたならば、開けられたポートを閉じることとしたので、安全性を担保することができるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項5の発明によれば、端末装置は、利用者によって貨幣を収納または払出す指示を行い、端末装置と貨幣処理装置との通信を中継する中継装置は、端末装置において利用者によって入力された利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けた利用者情報を端末装置から受信して、受信した利用者情報を記憶して、記憶された利用者情報が許可された利用者であると認証された場合に、端末装置との接続を確立し、貨幣処理装置によって入力された利用者情報を受信したならば、受信した利用者情報と記憶された利用者情報とが一致するか否かを判定し、一致していると判定された場合に、貨幣処理装置との接続を確立するとともに端末装置と貨幣処理装置との接続を確立し、貨幣処理装置は、利用者情報を入力することとしたので、通信回線の負荷を大幅に軽減するとともに、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本実施例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【図2】図2は、貨幣処理システムを構成する端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、貨幣処理システムを構成する貨幣処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図5】図5は、本実施例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【図7】図7は、変形例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、変形例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、変形例にかかる貨幣処理システムの処理動作を示す図である。
【図10】図10は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、銀行の業務窓口等に設置されている端末装置および貨幣処理装置について示しているが、銀行以外の金融機関についても本発明にかかる貨幣処理システムあるいは貨幣処理方法を適用することができる。
【実施例】
【0025】
まず、本実施例にかかる貨幣処理システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、本実施例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。本実施例にかかる貨幣処理システムでは、銀行の行員(以下、単に「行員」と記載する)が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0026】
同図(A)に示すように、従来の貨幣処理方式は、銀行に設置される複数の端末装置と複数の貨幣処理装置とホスト装置から構成される。各端末装置では、利用可能な貨幣処理装置をあらかじめ設定しておき、複数台の端末装置が1台の貨幣処理装置を共有して利用することができる。
【0027】
たとえば、端末装置Aおよび端末装置Bでは、利用可能な貨幣処理装置を設定することで、端末装置A、端末装置Bおよび貨幣処理装置Aは論理的に接続されていることとする。同様に、端末装置Cおよび端末装置Dでは、利用可能な貨幣処理装置を貨幣処理装置Bと設定する。
【0028】
なお、各端末装置および各貨幣処理装置は、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信回線を介して接続されていてもよく、論理的に接続されていない通信回線を破線で示している。ここで、ある行員が、端末装置Aによって、貨幣処理装置Aを利用中である場合(同図の(A−0)参照)について説明する。
【0029】
この場合、端末装置Bによって他の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、貨幣処理装置Aは端末装置Aによって利用中であることから、貨幣処理装置Aを利用することはできない(同図の(A−1)参照)。
【0030】
また、たとえ貨幣処理装置Bが利用できる状態であっても、端末装置Bは利用可能な貨幣処理装置Aと設定されているため、端末装置Bからは貨幣処理装置Bを利用することができない。
【0031】
しかし、本実施例にかかる貨幣処理システムでは、同図(B)に示すように、貨幣処理システムでは、上述した装置構成と同様の構成で、各端末装置および各貨幣処理装置は、LAN等の通信回線を介して接続されていることとする。
【0032】
ここで、各端末装置では、あらかじめ利用可能な貨幣処理装置を設定しておく必要はない。そして、ある行員が、端末装置Aによって、貨幣処理装置Aを利用中である場合(同図の(B−0)参照)、貨幣処理装置Aは他の端末装置からは利用することができない。
【0033】
この時、別の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際には、まず、本システムを利用する利用者を識別する利用者識別子(以下、「ユーザID」と記載する)と機密保護のために利用者の確認に用いる符号(以下、「パスワード」と記載する)を、端末装置Bから入力する。
【0034】
そして、端末装置Bでは、ユーザIDおよびパスワードによって、本システムを利用できる権限をもっている確認とともに、本人であることの確認を行う(以下、「個人認証」と記載する)。
【0035】
その後、端末装置Bでは、貨幣処理装置からの情報を送受信するポートをオープンすることによって(同図の(B−1)参照)、貨幣処理装置からのデータを送受信できる状態にする。
【0036】
そして、端末装置Bで個人認証をした行員は、預金の受け入れや払い戻し処理にともない、入出金額、顧客の口座番号等の入出金情報を入力した後、利用中ではない貨幣処理装置Bに出向いて貨幣の収納または払出を行う。
【0037】
その際、特に払出においては、貨幣処理装置から貨幣が払出されることから、他の行員が故意あるいは間違えて持って行くことを防止するため、貨幣処理装置Bでも、ユーザIDおよびパスワードを入力することで、個人認証を行うこととする(同図の(B−2)参照)。
【0038】
そこで、貨幣処理装置Bでは、入力されたユーザIDおよびパスワードに基づいて個人認証を行った後、接続されているすべての端末装置に対して、貨幣処理装置Bで入力されたユーザIDおよびパスワードを一斉配信する(以下、「ブロードキャスト」と記載する)(同図の(B−3)参照)。
【0039】
すると、端末装置Bでは、貨幣処理装置Bから受信したユーザIDおよびパスワードと、端末装置Bで個人認証した際のユーザIDおよびパスワードとを比較して、一致するか否かの確認を行う(同図の(B−4)参照)。
【0040】
そして、端末装置Bで一致確認ができたら、端末装置Bと貨幣処理装置Bとのリンクが確立され(同図の(B−5)参照)、双方で入出金情報や貨幣処理を行った結果等のデータの送受信を行うことができる状態になる。
【0041】
上述したように、本実施例にかかる貨幣処理システムによれば、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0042】
次に、本実施例にかかる貨幣処理システムを構成する端末装置10の構成について図2を用いて説明する。図2は、貨幣処理システムを構成する端末装置10の構成を示すブロック図である。
【0043】
同図に示すように、端末装置10は、入力部11と、表示部12と、通信I/F13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。また、制御部15は、受付部15aと、個人認証部15bと、ポートオープン部15cと、一致確認部15dと、リンク確立部15eとをさらに備えており、記憶部14は、利用者情報14aを記憶する。なお、図2では、端末装置10の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
【0044】
入力部11は、キーボードやマウス等の入力デバイスにより構成しており、個人認証を行うために行員がユーザIDおよびパスワードを入力する際や、行員が貨幣の収納または払出を行う場合に、入出金額とともに顧客の口座番号や顧客名等を入力する際に操作するものである。
【0045】
表示部12は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスにより構成しており、個人認証のための入力画面、個人認証結果および入出金情報入力画面等を表示するものである。たとえば、個人認証結果が正しい場合には、表示部12に、その旨を表示して、入出金処理を選択するメニュー画面を表示する。
【0046】
通信I/F(インターフェース)13は、LAN(ローカルエリアネットワーク)ボード等の通信デバイスであり、端末装置10と貨幣処理装置20との間のデータ送受信を行う。
【0047】
記憶部14は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、利用者情報14aを記憶する。利用者情報14aは、個人認証を行うために入力部11から行員によって入力されたユーザIDおよびパスワードである。
【0048】
受付部15aは、入力部11から入力されたユーザIDおよびパスワードを個人認証部15bへ受け渡すとともに、入力部11から入力された各処理の実行指示等を、制御部15のそれぞれの処理を行う処理部へ受け渡す処理を行う処理部である。
【0049】
たとえば、表示部12に表示された個人認証用の利用者情報入力画面から、ユーザIDおよびパスワードを入力後、実行指示キーが操作された場合には、個人認証部15bへ入力されたユーザIDおよびパスワードとともに、処理を受け渡すこととする。
【0050】
個人認証部15bは、行員によって入力部11から入力されたユーザIDおよびパスワードに基づき、貨幣処理システムを利用できる権限をもっているか否かを確認するとともに、本人であることの確認を行う処理を行う処理部である。
【0051】
ポートオープン部15cは、受付部15aから貨幣の収納または払出を行う指示が受け渡された場合に、貨幣処理装置20からのデータを送受信するため、ポートを開けた状態にしておく処理を行う処理部である。
【0052】
一致確認部15dは、ポートオープン部15cでオープンしたポート経由で、貨幣処理装置20から利用者情報を受信した場合に、利用者情報14aと受信した利用者情報とが一致するか否かを確認する処理を行う処理部である。
【0053】
リンク確立部15eは、一致確認部15dで一致が確認されたことによって、自端末装置10宛のデータを受信したことを認識し、貨幣処理装置20との接続を確立する処理を行う処理部である。
【0054】
つづいて、本実施例にかかる貨幣処理システムを構成する貨幣処理装置20の構成について図3を用いて説明する。図3は、貨幣処理システムを構成する貨幣処理装置20の構成を示すブロック図である。
【0055】
同図に示すように、貨幣処理装置20は、入力部21と、表示部22と、貨幣入出金部23と、通信I/F24と、制御部25とを備えている。また、制御部25は、受付部25aと、個人認証部25bと、ブロードキャスト部25cとをさらに備えている。なお、図3では、貨幣処理装置20の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
【0056】
入力部21は、キーボード、マウス、タッチパネルおよびカードリーダ等の入力デバイスにより構成しており、個人認証を行うために行員がユーザIDおよびパスワードを入力する際や各処理の実行指示等を行う際に操作するものである。
【0057】
たとえば、紙幣の収納をする場合には、行員が紙幣の挿入口へ紙幣を挿入した後、紙幣の取り込み開始を実行する指示を行う際に、入力部21から取り込み開始指示のキーを操作することとする。
【0058】
表示部22は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスにより構成しており、個人認証のための入力画面および個人認証結果等を表示するものである。たとえば、個人認証結果が不正であった場合には、表示部22に、その旨を表示して、再度ユーザIDおよびパスワードの入力画面を表示する。
【0059】
貨幣入出金部23は、貨幣を収納する際に、紙幣や硬貨を受け付けるとともに、受け付けた貨幣が偽物であるか否かの真偽の判定や計数処理を行い、判定結果および計数結果を制御部25へ通知する貨幣処理を行う処理部である。また、貨幣入出金部23は、貨幣を払出する際には、制御部25から指示された金額の貨幣を計数し、貨幣の払出口へ受け渡す貨幣処理を併せて行う。
【0060】
通信I/F(インターフェース)24は、LAN(ローカルエリアネットワーク)ボード等の通信デバイスであり、貨幣処理装置20と端末装置10との間のデータ送受信を行う。
【0061】
制御部25は、端末装置10から受信した入出金情報に基づいて貨幣の収納または払出を行う入出金額等を貨幣入出金部23へ指示するとともに、入出金額とともに貨幣処理を行った結果を端末装置10へ送信する処理を行う処理部である。
【0062】
受付部25aは、入力部21から入力されたユーザIDおよびパスワードを個人認証部25bへ受け渡すとともに、入力部21から入力された各処理の実行指示等を、制御部25のそれぞれの処理を行う図示しない処理部へ受け渡す処理を行う処理部である。
【0063】
個人認証部25bは、行員によって入力部21から入力されたユーザIDおよびパスワードに基づき、貨幣処理システムを利用できる権限をもっているか否かを確認するとともに、本人であることの確認を行う処理を行う処理部である。
【0064】
ブロードキャスト部25cは、入力部21から入力されたユーザIDおよびパスワードを、通信回線によって接続されているすべての端末装置10に同時に送信する、いわゆるブロードキャスト処理を行う処理部である。
【0065】
次に、本実施例にかかる貨幣処理システムを構成する端末装置10および貨幣処理装置20が実行する処理手順について図4および図5を用いて説明する。図4および図5は、本実施例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【0066】
同図に示すように、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際に、入出金情報を入力する端末装置10では、行員の個人認証を行うために、ユーザIDおよびパスワードを入力し(ステップS101)、記憶部14に記憶しておく。
【0067】
すると、端末装置10では、行員によって入力されたユーザIDおよびパスワードに基づいて個人認証を行い(ステップS102)、認証されたならば、端末装置10から入出金額とともに顧客の口座番号や顧客名等の入出金情報を入力する(ステップS103)。
【0068】
その後、端末装置10は、入力された入出金情報を顧客情報や預金情報等を管理している図示しないホスト装置へ送信する処理を行い(ステップS104)、ポートオープンして(ステップS105)、貨幣処理装置20からのデータの送受信ができる状態にする。
【0069】
そして、入出金情報処理が終わったら、行員は貨幣の収納または払出を行う貨幣処理装置20に出向き、貨幣処理装置20でも行員の個人認証を行うために、ユーザIDおよびパスワードを入力する(ステップS106)。
【0070】
すると、貨幣処理装置20は、行員によって入力されたユーザIDおよびパスワードに基づいて個人認証を行い(ステップS107)、認証されたならば、端末装置10に入力された利用者情報をブロードキャスト送信する(ステップS108)。
【0071】
一方、ポートオープンしていた端末装置10では、記憶部14に記憶された利用者情報14aと受信した利用者情報とが一致することを確認し(ステップS109)、貨幣処理装置20とのリンク確立をする(ステップS110)。
【0072】
つづいて、端末装置10は、行員によって入力された入出金情報を貨幣処理装置20へ送信する(ステップS111)ことによって、貨幣の収納または払出を行う指示を行い、貨幣処理装置20では、貨幣を収納または払出す貨幣処理が開始されることとなる。
【0073】
ここでは、貨幣の収納処理手順の一例について記述することとする。端末装置10から貨幣収納指示を受けた貨幣処理装置20に、行員は収納を行う貨幣を挿入すると(ステップS112)、貨幣処理装置20は、受け付けた貨幣の真偽の判定や計数処理等の貨幣処理を行う(ステップS113)。
【0074】
そして、貨幣処理装置20は、貨幣が収納された貨幣処理の結果を端末装置10へ送信し(ステップS114)、現金の入出金が行われる貨幣処理装置20であることから、安全性を考慮して、端末装置10との接続をただちに切断して(ステップS115)、処理を終了する。
【0075】
一方、端末装置10では、貨幣処理装置20からの貨幣処理結果を受信することによって、貨幣の収納指示に対する一連の貨幣処理が終了したと判断し、安全性を考慮して、ポートをクローズしておく(ステップS116)。
【0076】
そして、端末装置10は、貨幣処理装置20からの貨幣処理結果を図示しないホスト装置へ送信し(ステップS117)、処理を終了する。一方、図示しないホスト装置では、受信した貨幣処理結果に基づき、データベース等によって管理している預金情報と銀行内の現金との整合性をとることとなる。
【0077】
上述してきたように、本実施例では、貨幣処理装置20によって入力された利用者情報を端末装置10が受信して、端末装置10によって入力された利用者情報と、貨幣処理装置20から受信した利用者情報とが一致するか否かを確認することにより、受信した利用者情報が自端末装置10宛であることを認識し、貨幣処理装置20とのリンク確立を行い、貨幣処理を行うよう構成したので、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも安全に空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0078】
なお、本発明請求項記載の端末装置は端末装置10、貨幣処理装置は貨幣処理装置20、利用者情報記憶手段は利用者情報14a、一致判定手段は一致確認部15d、リンク確立手段はリンク確立部15e、利用者情報入力手段は入力部21、オープン手段はポートオープン部15c、送信手段はブロードキャスト部25c、端末利用者認証手段は個人認証部15b、機器利用者認証手段は個人認証部25b、クローズ手段は制御部15に相当するものである。
【0079】
なお、上述した実施例では、貨幣処理装置20から入力した利用者情報といずれかの端末装置10から入力した利用者情報が一致するかを確認する際に、貨幣処理装置20から端末装置10へ利用者情報をブロードキャストするようにした。しかし、各端末装置10へ1台ずつ利用者情報を送信(ポーリング方式)して、ポートオープンしている端末装置10があるかを確認してもよい。
【0080】
この場合、すべての端末装置10へブロードキャストしないことで、接続される通信回線に対して、同時に多くの負荷をかけることなく、利用者情報が一致する端末装置10を確認することができる。
【0081】
また、上述した実施例では、個人認証用のユーザIDおよびパスワードを、端末装置10および貨幣処理装置20から入力するようにしたが、あらかじめ端末装置10および貨幣処理装置20にカードリーダを接続しておき、利用者情報が対応付けられたカードをカードリーダに通すことによって、各装置で利用者情報を認識するようにしてもよい。
【0082】
この場合、行員がユーザIDおよびパスワードを入力している際に、入力したパスワード等を他人に盗み見られることもなく、また、行員になりすまして個人認証が行われる恐れもないので、安全性を向上することができる。
【0083】
ところで、これまでは、端末装置10がポートオープンして、貨幣処理装置20でブロードキャストする場合について説明してきたが、端末装置10と貨幣処理装置20との間に中継装置を備えるような装置構成としてもよい。
【0084】
そこで、以下では、中継装置を備える貨幣処理システムについて説明する。図6は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。同図に示すように、貨幣処理システムは、端末装置、貨幣処理装置および中継装置30から構成されており、貨幣処理装置が端末装置へブロードキャストではなく、中継装置30へ利用者情報を送信する点で、図1の(B)に示した貨幣処理システムとは異なる。
【0085】
具体的には、図6に示した中継装置30は、端末装置Bから入力された利用者情報を受信して、受信した利用者情報に基づいて個人認証を行い、認証した場合に、端末装置Bとのリンク確立をして(同図の(1)参照)、貨幣処理装置からのデータを送受信するため、ポートをオープンする(同図の(2)参照)。
【0086】
一方、貨幣処理装置Bは、入力された利用者情報に基づいて個人認証を行った後、入力された利用者情報を中継装置30へ送信し、中継装置30では、端末装置Bおよび貨幣処理装置Bの双方から送信された利用者情報の一致確認を行う。
【0087】
そして、中継装置30は、一致を確認したら、貨幣処理装置Bとのリンク確立をもすることによって(同図の(3)参照)、自中継装置30を介して端末装置Bと貨幣処理装置Bとの接続を確立することとなる。
【0088】
ここで、変形例にかかる貨幣処理システムを構成する端末装置10a、貨幣処理装置20aおよび中継装置30が実行する処理手順について図7および図8を用いて詳細に説明する。図7および図8は、変形例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【0089】
同図に示すように、行員が入出金情報を入力する際、ユーザIDおよびパスワードを入力し(ステップS201)、端末装置10aは、入力された入出金情報を中継装置30に送信するとともに、中継装置30へ個人認証要求を行う(ステップS202)。
【0090】
すると、中継装置30では、受信した利用者情報に基づいて個人認証を行い(ステップS203)、認証されたならば、認証結果を端末装置10aへ送信するとともに、端末装置10aとのリンク確立をする(ステップS204)。
【0091】
そして、中継装置30は、ポートオープンを行い(ステップS205)、貨幣処理装置20aからのデータの送受信ができる状態にする。一方、行員は端末装置10aから入出金情報を入力し(ステップS206)、端末装置10aは、入力された入出金情報処理を行う(ステップS207)。
【0092】
そして、入出金情報処理が終わったら、行員は貨幣処理装置20aに出向き、貨幣処理装置20aでも行員の個人認証を行うために、ユーザIDおよびパスワードを入力する(ステップS208)。
【0093】
すると、貨幣処理装置20aは、行員によって入力された利用者情報に基づいて個人認証を行い(ステップS209)、認証されたならば、中継装置30に入力された利用者情報を送信する(ステップS210)。
【0094】
一方、ポートオープンしていた中継装置30では、端末装置10aおよび貨幣処理装置20aから受信した利用者情報が一致することを確認し(ステップS211)、貨幣処理装置20aとのリンク確立をする(ステップS212)。
【0095】
ここで、中継装置30は、端末装置10aと貨幣処理装置20aとの接続が確立した旨を端末装置10aに通知するために、次に行う処置の要求を端末装置10aに送信する(ステップS213)。
【0096】
つづいて、端末装置10aは、ステップS206で入力された入出金情報を、中継装置30を介して貨幣処理装置20aへ送信する(ステップS214)ことによって、貨幣処理装置20aでは、貨幣を収納または払出す貨幣処理が開始されることとなる。
【0097】
ここでは、貨幣の払出処理手順の一例について記述することとする。貨幣処理装置20aは、端末装置10aから受信した入出金情報に基づいて払出される貨幣を計数する等の貨幣処理を行い(ステップS215)、貨幣を払出す(ステップS216)。
【0098】
そして、貨幣処理装置20aは、貨幣が払出された貨幣処理の結果を中継装置30へ送信し(ステップS217)、安全性を考慮して、中継装置30との接続をただちに切断して(ステップS218)、処理を終了する。
【0099】
その後、中継装置30では、貨幣処理装置20aからの貨幣処理結果を受信することによって、貨幣の払出に対する一連の貨幣処理が終了したと判断し、安全性を考慮して、ポートをクローズして(ステップS219)、貨幣処理装置20aから受信した貨幣処理結果を端末装置10aへ送信し(ステップS220)、中継処理を終了する。
【0100】
一方、端末装置10aでは、中継装置30から受信した貨幣処理結果を図示しないホスト装置へ送信し(ステップS221)、中継装置30との接続を切断し(ステップS222)、処理を終了する。
【0101】
上述してきたように、本変形例では、端末装置10aと貨幣処理装置20aとの間に中継装置30を備えた装置構成とすることで、中継装置30がどの端末装置10aと接続されているかを認識することができるようにした。
【0102】
したがって、多くの端末装置10aが接続されていた場合であっても、貨幣処理装置20aは中継装置30に対してのみ利用者情報を送信するだけでよく、通信回線に対しての負荷を大幅に軽減することができる。
【0103】
なお、上述した実施例では、行員が利用中ではない貨幣処理装置20aに出向いて貨幣の収納または払出を行っていた。しかし、中継装置30が各貨幣処理装置の負荷を判定して、あらかじめ利用中ではない貨幣処理装置20aを検索しておいてもよい。
【0104】
そこで、以下では、中継装置30が各装置の負荷を判定する処理動作の一例について、図9を用いて簡単に説明する。図9は、変形例にかかる貨幣処理システムの処理動作を示す図である。
【0105】
同図(A)に示すように、各装置構成は、図6で示した貨幣処理システムと同じである。ここで、端末装置Aが貨幣処理装置Aを利用中であった場合について説明する(同図の(A−0)参照)。
【0106】
この場合、端末装置Bと中継装置30とのリンク確立後(同図の(A−1)参照)、中継装置30が各貨幣処理装置の負荷判定を行い(同図の(A−2)参照)、現在、利用中ではない貨幣処理装置を検索する。
【0107】
そして、現在利用中ではない貨幣処理装置の空き状況を端末装置Bへ通知して(同図の(A−3)参照)、通知された貨幣処理装置の空き状況を確認した行員は、空き状況に応じた貨幣処理装置に出向いて貨幣の収納または払出を行う。
【0108】
また、中継装置30が、貨幣処理装置の空き状況を端末装置Bへ通知した際に、端末装置Bから利用中ではない貨幣処理装置、たとえば貨幣処理装置Bの利用予約を行うことができ、中継装置30では貨幣処理装置Bが利用中であると認識するようにしてもよい。
【0109】
この場合、通知された空き状況を見て、複数の行員が同じ貨幣処理装置に出向いて利用しようとすることがなく、行員の業務に支障をきたさず、効率よく空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0110】
また、上述した実施例では、貨幣処理装置が貨幣処理を行った後、貨幣処理結果を中継装置30へ送信し、中継装置30からリンク確立していた端末装置へ、貨幣処理結果を送信するようにしていた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。
【0111】
たとえば、中継装置30が各端末装置の負荷判定を行い、負荷の少ない端末装置へ貨幣処理結果を送信するようにしてもよい。具体的には、図9(B)を用いて説明することとする。
【0112】
同図(B)に示すように、端末装置Bと中継装置30とのリンク確立をし(同図の(B−1)参照)、貨幣処理装置Bによって貨幣処理が行われた後(同図の(B−2)参照)、貨幣処理装置Bは貨幣処理結果を中継装置30へ送信する(同図の(B−3)参照)。
【0113】
ここで、端末装置Bでは既に他の処理を行っていた場合、中継装置30は、端末装置Cの処理負荷の方が少ないと判定して(同図の(B−4)参照)、端末装置Cへ貨幣処理結果を送信する(同図の(B−5)参照)。この場合、負荷の少ない端末装置Cから貨幣処理結果をホスト装置に送信できるので、処理速度の向上を図ることができる。
【0114】
さて、これまで本発明の実施例について説明してきたが、上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。たとえば、従来の銀行内での運用はそのままで、本発明の実施例で説明してきた技術を共存させてもよい。
【0115】
ここで、従来の銀行内での運用と、本発明の技術を共存させた場合の貨幣処理システムの一例について、図10を用いて説明する。図10は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【0116】
同図上部に示すように、端末装置A〜Dでは利用可能な貨幣処理装置をあらかじめ設定しておき、2台の端末装置で1台の貨幣処理装置を共有して利用する従来の銀行内の装置構成があったとする。
【0117】
具体的には、端末装置Aおよび端末装置Bには、利用可能な貨幣処理装置Aが設定されており、端末装置Cおよび端末装置Dには、利用可能な貨幣処理装置Bが設定されているものとする。
【0118】
ここで、同図下部に示すように、端末装置E〜Hを増設する場合には、利用可能な貨幣処理装置を特に設定しておかないこととする。そこで、ある行員が、端末装置Aによって、貨幣処理装置Aを利用中である場合(同図の(0)参照)、貨幣処理装置Aは他の端末装置からは利用することができない。
【0119】
この場合、端末装置Hによって他の行員が貨幣の収納または払出を行う際、貨幣処理装置Aは端末装置Aによって利用中であることから、貨幣処理装置Aを利用することはできない。
【0120】
したがって、端末装置Hによって個人認証した行員は、利用中でない貨幣処理装置Bに出向いて利用者情報を入力した後、貨幣処理装置Bでは、入力された利用者情報を端末装置にブロードキャストする(同図の(1)参照)。
【0121】
そして、端末装置Hは、利用者情報の一致確認を行い、貨幣処理装置Bとのリンク確立を行い、貨幣処理装置Bによる貨幣処理が可能となる。このように、本発明の貨幣処理システムを導入する際、現在導入している貨幣処理システムはそのまま利用することができるように構成した。
【0122】
この場合、現在導入している銀行内にある貨幣処理システムを新しいシステムに取り換えることなく、既存のシステムをそのまま利用することによって、本発明にかかる貨幣処理システムの導入の際にかかる、コストを大幅に削減することができる。
【0123】
さて、これまで本発明の実施例では、銀行等の金融機関に設置される貨幣処理装置について説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、貨幣を対象とする場合だけではなく、百貨店や金券ショップ等で扱う商品券などの紙葉類を対象とする場合にも適用してもよい。
【0124】
また、上述した実施例では、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、入出金情報を入力するよう説明してきた。しかしながら、行員が銀行内に設置されたATM(Automatic Teller Machine)と呼ばれる現金自動預け払い機および両替機等に貨幣を補填または回収する際にも適用してもよい。
【0125】
また、上述した実施例では、貨幣を扱う貨幣処理装置について説明してきたが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。たとえば、LAN等の通信回線に接続されているプリンタにも適用してもよい。
【0126】
通常、通信回線に接続されている端末装置からプリントを行う場合は、端末装置にあらかじめ利用可能なプリンタを設定しておく。そして、プリンタはキューイングといって、先にプリント指示を行ったプリントデータが先に出力されるという特徴をもつ。
【0127】
具体的には、プリント中のプリンタは、プリント中の処理が終わらないと、次にプリント指示を行った印刷物は出力されない。また、プリント物の取り忘れや、とり間違いによって、機密情報が漏えいする恐れがある。
【0128】
そこで、本発明をプリンタに適用してもよく、この場合、利用者が出力されるプリンタに出向くことによって、プリント物の取り忘れや、とり間違いを解消することができ、本発明を導入した銀行や企業等のセキュリティを担保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上のように、本発明にかかる貨幣処理システムは、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際に有用であり、特に、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも容易で安全に空いた貨幣処理装置を利用する場合に適している。
【符号の説明】
【0130】
10 端末装置
11 入力部
12 表示部
13 通信I/F
14 記憶部
14a 利用者情報
15 制御部
15a 受付部
15b 個人認証部
15c ポートオープン部
15d 一致確認部
15e リンク確立部
20 貨幣処理装置
21 入力部
22 表示部
23 貨幣入出金部
24 通信I/F
25 制御部
25a 受付部
25b 個人認証部
25c ブロードキャスト部
10a 端末装置
20a 貨幣処理装置
30 中継装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムおよび貨幣処理方法に関し、特に、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関では、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、業務窓口等に設置されている端末装置から、入出金額とともに顧客の口座番号や顧客名等を入力する。
【0003】
そして、行員によって入力された入出金情報を顧客情報や預金情報等を管理しているホスト装置へ送信する。また、端末装置付近に設置される貨幣処理装置では、端末装置で入力された入出金情報に基づいて実際の貨幣の収納または払出を行っている。
【0004】
そして、上述したような、従来の貨幣処理を行うシステムでは、複数台ある貨幣処理装置のうち、端末装置が利用可能な貨幣処理装置をあらかじめ設定しておき、複数台の端末装置が1台の貨幣処理装置を共有して利用することが行われる。
【0005】
たとえば、特許文献1には、ある端末装置で利用可能な貨幣処理装置を優先順位とともに複数台設定しておき、優先度の高いほうから順に、利用中でない貨幣処理装置をさがすといった技術が開示されている。
【0006】
そして、ある貨幣処理装置が他の端末装置で利用中であっても、優先順位と共に設定されている貨幣処理装置のうち、空いている下位の貨幣処理装置があった場合には、その貨幣処理装置を利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−339522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の貨幣処理を行うシステムでは、端末装置に設定された貨幣処理装置以外の貨幣処理装置は、端末装置からは利用することができないという問題があった。
【0009】
たとえ特許文献1のように、優先順位をつけて複数台設定しておいたとしても、あらかじめ設定しておいた貨幣処理装置以外の貨幣処理装置は利用することができない。たとえば、利用中でない貨幣処理装置があったとしても、端末装置で設定していなかったら利用することができない。
【0010】
これらのことから、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる貨幣処理装置システムあるいは貨幣処理方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0011】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、前記端末装置は、利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶する利用者情報記憶手段と、前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段とを備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、請求項2にかかる発明は、前記端末装置は、利用者によって貨幣の収納または払出を行う指示が与えられたならば、前記ポートを開けるオープン手段をさらに備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報をすべての前記端末装置へ送信する送信手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、請求項3にかかる発明は、前記端末装置は、前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う端末利用者認証手段をさらに備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う機器利用者認証手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、請求項4にかかる発明は、前記端末装置は、前記リンク確立手段によって接続された前記貨幣処理装置から貨幣の収納または払出が終了した旨を通知されたならば、前記オープン手段によって開けられた前記ポートを閉じるクローズ手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、請求項5にかかる発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、前記端末装置は、利用者によって貨幣を収納または払出す指示を行う入出金指示手段を備え、前記端末装置と前記貨幣処理装置との通信を中継する中継装置は、前記端末装置において利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けた利用者情報を前記端末装置から受信して、受信した前記利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報が許可された利用者であると認証された場合に、前記端末装置との接続を確立する端末リンク確立手段と、前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記貨幣処理装置との接続を確立するとともに前記端末装置と前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段とを備え、前記貨幣処理装置は、前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、請求項6にかかる発明は、貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを用いた貨幣処理方法であって、利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として前記端末装置が記憶する利用者情報記憶工程と、前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶工程によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを前記端末装置が判定する一致判定工程と、前記一致判定工程によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を前記端末装置が確立するリンク確立工程とを含み、前記利用者情報を前記貨幣処理装置によって入力する利用者情報入力工程を含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、端末装置は、利用者によって入力された利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶して、貨幣処理装置によって入力された利用者情報を貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した利用者情報と記憶された利用者情報とが一致するか否かを判定し、一致していると判定された場合に、ポート経由で受信した利用者情報の送信元である貨幣処理装置との接続を確立して、貨幣処理装置は、利用者情報を入力することとしたので、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項2の発明によれば、端末装置は、利用者によって貨幣の収納または払出を行う指示が与えられたならば、ポートを開け、貨幣処理装置は、入力された利用者情報をすべての端末装置へ送信することとしたので、あらかじめ利用可能な貨幣処理装置を設定しておかなくても、自由に空いている貨幣処理装置を利用することができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項3の発明によれば、端末装置は、記憶された利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行い、貨幣処理装置は、入力された利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行うこととしたので、貨幣の収納または払出の際に、安全性を担保することができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項4の発明によれば、端末装置は、接続された貨幣処理装置から貨幣の収納または払出が終了した旨を通知されたならば、開けられたポートを閉じることとしたので、安全性を担保することができるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項5の発明によれば、端末装置は、利用者によって貨幣を収納または払出す指示を行い、端末装置と貨幣処理装置との通信を中継する中継装置は、端末装置において利用者によって入力された利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けた利用者情報を端末装置から受信して、受信した利用者情報を記憶して、記憶された利用者情報が許可された利用者であると認証された場合に、端末装置との接続を確立し、貨幣処理装置によって入力された利用者情報を受信したならば、受信した利用者情報と記憶された利用者情報とが一致するか否かを判定し、一致していると判定された場合に、貨幣処理装置との接続を確立するとともに端末装置と貨幣処理装置との接続を確立し、貨幣処理装置は、利用者情報を入力することとしたので、通信回線の負荷を大幅に軽減するとともに、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本実施例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【図2】図2は、貨幣処理システムを構成する端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、貨幣処理システムを構成する貨幣処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図5】図5は、本実施例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【図7】図7は、変形例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、変形例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、変形例にかかる貨幣処理システムの処理動作を示す図である。
【図10】図10は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、銀行の業務窓口等に設置されている端末装置および貨幣処理装置について示しているが、銀行以外の金融機関についても本発明にかかる貨幣処理システムあるいは貨幣処理方法を適用することができる。
【実施例】
【0025】
まず、本実施例にかかる貨幣処理システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、本実施例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。本実施例にかかる貨幣処理システムでは、銀行の行員(以下、単に「行員」と記載する)が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0026】
同図(A)に示すように、従来の貨幣処理方式は、銀行に設置される複数の端末装置と複数の貨幣処理装置とホスト装置から構成される。各端末装置では、利用可能な貨幣処理装置をあらかじめ設定しておき、複数台の端末装置が1台の貨幣処理装置を共有して利用することができる。
【0027】
たとえば、端末装置Aおよび端末装置Bでは、利用可能な貨幣処理装置を設定することで、端末装置A、端末装置Bおよび貨幣処理装置Aは論理的に接続されていることとする。同様に、端末装置Cおよび端末装置Dでは、利用可能な貨幣処理装置を貨幣処理装置Bと設定する。
【0028】
なお、各端末装置および各貨幣処理装置は、LAN(ローカルエリアネットワーク)等の通信回線を介して接続されていてもよく、論理的に接続されていない通信回線を破線で示している。ここで、ある行員が、端末装置Aによって、貨幣処理装置Aを利用中である場合(同図の(A−0)参照)について説明する。
【0029】
この場合、端末装置Bによって他の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、貨幣処理装置Aは端末装置Aによって利用中であることから、貨幣処理装置Aを利用することはできない(同図の(A−1)参照)。
【0030】
また、たとえ貨幣処理装置Bが利用できる状態であっても、端末装置Bは利用可能な貨幣処理装置Aと設定されているため、端末装置Bからは貨幣処理装置Bを利用することができない。
【0031】
しかし、本実施例にかかる貨幣処理システムでは、同図(B)に示すように、貨幣処理システムでは、上述した装置構成と同様の構成で、各端末装置および各貨幣処理装置は、LAN等の通信回線を介して接続されていることとする。
【0032】
ここで、各端末装置では、あらかじめ利用可能な貨幣処理装置を設定しておく必要はない。そして、ある行員が、端末装置Aによって、貨幣処理装置Aを利用中である場合(同図の(B−0)参照)、貨幣処理装置Aは他の端末装置からは利用することができない。
【0033】
この時、別の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際には、まず、本システムを利用する利用者を識別する利用者識別子(以下、「ユーザID」と記載する)と機密保護のために利用者の確認に用いる符号(以下、「パスワード」と記載する)を、端末装置Bから入力する。
【0034】
そして、端末装置Bでは、ユーザIDおよびパスワードによって、本システムを利用できる権限をもっている確認とともに、本人であることの確認を行う(以下、「個人認証」と記載する)。
【0035】
その後、端末装置Bでは、貨幣処理装置からの情報を送受信するポートをオープンすることによって(同図の(B−1)参照)、貨幣処理装置からのデータを送受信できる状態にする。
【0036】
そして、端末装置Bで個人認証をした行員は、預金の受け入れや払い戻し処理にともない、入出金額、顧客の口座番号等の入出金情報を入力した後、利用中ではない貨幣処理装置Bに出向いて貨幣の収納または払出を行う。
【0037】
その際、特に払出においては、貨幣処理装置から貨幣が払出されることから、他の行員が故意あるいは間違えて持って行くことを防止するため、貨幣処理装置Bでも、ユーザIDおよびパスワードを入力することで、個人認証を行うこととする(同図の(B−2)参照)。
【0038】
そこで、貨幣処理装置Bでは、入力されたユーザIDおよびパスワードに基づいて個人認証を行った後、接続されているすべての端末装置に対して、貨幣処理装置Bで入力されたユーザIDおよびパスワードを一斉配信する(以下、「ブロードキャスト」と記載する)(同図の(B−3)参照)。
【0039】
すると、端末装置Bでは、貨幣処理装置Bから受信したユーザIDおよびパスワードと、端末装置Bで個人認証した際のユーザIDおよびパスワードとを比較して、一致するか否かの確認を行う(同図の(B−4)参照)。
【0040】
そして、端末装置Bで一致確認ができたら、端末装置Bと貨幣処理装置Bとのリンクが確立され(同図の(B−5)参照)、双方で入出金情報や貨幣処理を行った結果等のデータの送受信を行うことができる状態になる。
【0041】
上述したように、本実施例にかかる貨幣処理システムによれば、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0042】
次に、本実施例にかかる貨幣処理システムを構成する端末装置10の構成について図2を用いて説明する。図2は、貨幣処理システムを構成する端末装置10の構成を示すブロック図である。
【0043】
同図に示すように、端末装置10は、入力部11と、表示部12と、通信I/F13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。また、制御部15は、受付部15aと、個人認証部15bと、ポートオープン部15cと、一致確認部15dと、リンク確立部15eとをさらに備えており、記憶部14は、利用者情報14aを記憶する。なお、図2では、端末装置10の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
【0044】
入力部11は、キーボードやマウス等の入力デバイスにより構成しており、個人認証を行うために行員がユーザIDおよびパスワードを入力する際や、行員が貨幣の収納または払出を行う場合に、入出金額とともに顧客の口座番号や顧客名等を入力する際に操作するものである。
【0045】
表示部12は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスにより構成しており、個人認証のための入力画面、個人認証結果および入出金情報入力画面等を表示するものである。たとえば、個人認証結果が正しい場合には、表示部12に、その旨を表示して、入出金処理を選択するメニュー画面を表示する。
【0046】
通信I/F(インターフェース)13は、LAN(ローカルエリアネットワーク)ボード等の通信デバイスであり、端末装置10と貨幣処理装置20との間のデータ送受信を行う。
【0047】
記憶部14は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、利用者情報14aを記憶する。利用者情報14aは、個人認証を行うために入力部11から行員によって入力されたユーザIDおよびパスワードである。
【0048】
受付部15aは、入力部11から入力されたユーザIDおよびパスワードを個人認証部15bへ受け渡すとともに、入力部11から入力された各処理の実行指示等を、制御部15のそれぞれの処理を行う処理部へ受け渡す処理を行う処理部である。
【0049】
たとえば、表示部12に表示された個人認証用の利用者情報入力画面から、ユーザIDおよびパスワードを入力後、実行指示キーが操作された場合には、個人認証部15bへ入力されたユーザIDおよびパスワードとともに、処理を受け渡すこととする。
【0050】
個人認証部15bは、行員によって入力部11から入力されたユーザIDおよびパスワードに基づき、貨幣処理システムを利用できる権限をもっているか否かを確認するとともに、本人であることの確認を行う処理を行う処理部である。
【0051】
ポートオープン部15cは、受付部15aから貨幣の収納または払出を行う指示が受け渡された場合に、貨幣処理装置20からのデータを送受信するため、ポートを開けた状態にしておく処理を行う処理部である。
【0052】
一致確認部15dは、ポートオープン部15cでオープンしたポート経由で、貨幣処理装置20から利用者情報を受信した場合に、利用者情報14aと受信した利用者情報とが一致するか否かを確認する処理を行う処理部である。
【0053】
リンク確立部15eは、一致確認部15dで一致が確認されたことによって、自端末装置10宛のデータを受信したことを認識し、貨幣処理装置20との接続を確立する処理を行う処理部である。
【0054】
つづいて、本実施例にかかる貨幣処理システムを構成する貨幣処理装置20の構成について図3を用いて説明する。図3は、貨幣処理システムを構成する貨幣処理装置20の構成を示すブロック図である。
【0055】
同図に示すように、貨幣処理装置20は、入力部21と、表示部22と、貨幣入出金部23と、通信I/F24と、制御部25とを備えている。また、制御部25は、受付部25aと、個人認証部25bと、ブロードキャスト部25cとをさらに備えている。なお、図3では、貨幣処理装置20の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
【0056】
入力部21は、キーボード、マウス、タッチパネルおよびカードリーダ等の入力デバイスにより構成しており、個人認証を行うために行員がユーザIDおよびパスワードを入力する際や各処理の実行指示等を行う際に操作するものである。
【0057】
たとえば、紙幣の収納をする場合には、行員が紙幣の挿入口へ紙幣を挿入した後、紙幣の取り込み開始を実行する指示を行う際に、入力部21から取り込み開始指示のキーを操作することとする。
【0058】
表示部22は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスにより構成しており、個人認証のための入力画面および個人認証結果等を表示するものである。たとえば、個人認証結果が不正であった場合には、表示部22に、その旨を表示して、再度ユーザIDおよびパスワードの入力画面を表示する。
【0059】
貨幣入出金部23は、貨幣を収納する際に、紙幣や硬貨を受け付けるとともに、受け付けた貨幣が偽物であるか否かの真偽の判定や計数処理を行い、判定結果および計数結果を制御部25へ通知する貨幣処理を行う処理部である。また、貨幣入出金部23は、貨幣を払出する際には、制御部25から指示された金額の貨幣を計数し、貨幣の払出口へ受け渡す貨幣処理を併せて行う。
【0060】
通信I/F(インターフェース)24は、LAN(ローカルエリアネットワーク)ボード等の通信デバイスであり、貨幣処理装置20と端末装置10との間のデータ送受信を行う。
【0061】
制御部25は、端末装置10から受信した入出金情報に基づいて貨幣の収納または払出を行う入出金額等を貨幣入出金部23へ指示するとともに、入出金額とともに貨幣処理を行った結果を端末装置10へ送信する処理を行う処理部である。
【0062】
受付部25aは、入力部21から入力されたユーザIDおよびパスワードを個人認証部25bへ受け渡すとともに、入力部21から入力された各処理の実行指示等を、制御部25のそれぞれの処理を行う図示しない処理部へ受け渡す処理を行う処理部である。
【0063】
個人認証部25bは、行員によって入力部21から入力されたユーザIDおよびパスワードに基づき、貨幣処理システムを利用できる権限をもっているか否かを確認するとともに、本人であることの確認を行う処理を行う処理部である。
【0064】
ブロードキャスト部25cは、入力部21から入力されたユーザIDおよびパスワードを、通信回線によって接続されているすべての端末装置10に同時に送信する、いわゆるブロードキャスト処理を行う処理部である。
【0065】
次に、本実施例にかかる貨幣処理システムを構成する端末装置10および貨幣処理装置20が実行する処理手順について図4および図5を用いて説明する。図4および図5は、本実施例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【0066】
同図に示すように、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際に、入出金情報を入力する端末装置10では、行員の個人認証を行うために、ユーザIDおよびパスワードを入力し(ステップS101)、記憶部14に記憶しておく。
【0067】
すると、端末装置10では、行員によって入力されたユーザIDおよびパスワードに基づいて個人認証を行い(ステップS102)、認証されたならば、端末装置10から入出金額とともに顧客の口座番号や顧客名等の入出金情報を入力する(ステップS103)。
【0068】
その後、端末装置10は、入力された入出金情報を顧客情報や預金情報等を管理している図示しないホスト装置へ送信する処理を行い(ステップS104)、ポートオープンして(ステップS105)、貨幣処理装置20からのデータの送受信ができる状態にする。
【0069】
そして、入出金情報処理が終わったら、行員は貨幣の収納または払出を行う貨幣処理装置20に出向き、貨幣処理装置20でも行員の個人認証を行うために、ユーザIDおよびパスワードを入力する(ステップS106)。
【0070】
すると、貨幣処理装置20は、行員によって入力されたユーザIDおよびパスワードに基づいて個人認証を行い(ステップS107)、認証されたならば、端末装置10に入力された利用者情報をブロードキャスト送信する(ステップS108)。
【0071】
一方、ポートオープンしていた端末装置10では、記憶部14に記憶された利用者情報14aと受信した利用者情報とが一致することを確認し(ステップS109)、貨幣処理装置20とのリンク確立をする(ステップS110)。
【0072】
つづいて、端末装置10は、行員によって入力された入出金情報を貨幣処理装置20へ送信する(ステップS111)ことによって、貨幣の収納または払出を行う指示を行い、貨幣処理装置20では、貨幣を収納または払出す貨幣処理が開始されることとなる。
【0073】
ここでは、貨幣の収納処理手順の一例について記述することとする。端末装置10から貨幣収納指示を受けた貨幣処理装置20に、行員は収納を行う貨幣を挿入すると(ステップS112)、貨幣処理装置20は、受け付けた貨幣の真偽の判定や計数処理等の貨幣処理を行う(ステップS113)。
【0074】
そして、貨幣処理装置20は、貨幣が収納された貨幣処理の結果を端末装置10へ送信し(ステップS114)、現金の入出金が行われる貨幣処理装置20であることから、安全性を考慮して、端末装置10との接続をただちに切断して(ステップS115)、処理を終了する。
【0075】
一方、端末装置10では、貨幣処理装置20からの貨幣処理結果を受信することによって、貨幣の収納指示に対する一連の貨幣処理が終了したと判断し、安全性を考慮して、ポートをクローズしておく(ステップS116)。
【0076】
そして、端末装置10は、貨幣処理装置20からの貨幣処理結果を図示しないホスト装置へ送信し(ステップS117)、処理を終了する。一方、図示しないホスト装置では、受信した貨幣処理結果に基づき、データベース等によって管理している預金情報と銀行内の現金との整合性をとることとなる。
【0077】
上述してきたように、本実施例では、貨幣処理装置20によって入力された利用者情報を端末装置10が受信して、端末装置10によって入力された利用者情報と、貨幣処理装置20から受信した利用者情報とが一致するか否かを確認することにより、受信した利用者情報が自端末装置10宛であることを認識し、貨幣処理装置20とのリンク確立を行い、貨幣処理を行うよう構成したので、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも安全に空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0078】
なお、本発明請求項記載の端末装置は端末装置10、貨幣処理装置は貨幣処理装置20、利用者情報記憶手段は利用者情報14a、一致判定手段は一致確認部15d、リンク確立手段はリンク確立部15e、利用者情報入力手段は入力部21、オープン手段はポートオープン部15c、送信手段はブロードキャスト部25c、端末利用者認証手段は個人認証部15b、機器利用者認証手段は個人認証部25b、クローズ手段は制御部15に相当するものである。
【0079】
なお、上述した実施例では、貨幣処理装置20から入力した利用者情報といずれかの端末装置10から入力した利用者情報が一致するかを確認する際に、貨幣処理装置20から端末装置10へ利用者情報をブロードキャストするようにした。しかし、各端末装置10へ1台ずつ利用者情報を送信(ポーリング方式)して、ポートオープンしている端末装置10があるかを確認してもよい。
【0080】
この場合、すべての端末装置10へブロードキャストしないことで、接続される通信回線に対して、同時に多くの負荷をかけることなく、利用者情報が一致する端末装置10を確認することができる。
【0081】
また、上述した実施例では、個人認証用のユーザIDおよびパスワードを、端末装置10および貨幣処理装置20から入力するようにしたが、あらかじめ端末装置10および貨幣処理装置20にカードリーダを接続しておき、利用者情報が対応付けられたカードをカードリーダに通すことによって、各装置で利用者情報を認識するようにしてもよい。
【0082】
この場合、行員がユーザIDおよびパスワードを入力している際に、入力したパスワード等を他人に盗み見られることもなく、また、行員になりすまして個人認証が行われる恐れもないので、安全性を向上することができる。
【0083】
ところで、これまでは、端末装置10がポートオープンして、貨幣処理装置20でブロードキャストする場合について説明してきたが、端末装置10と貨幣処理装置20との間に中継装置を備えるような装置構成としてもよい。
【0084】
そこで、以下では、中継装置を備える貨幣処理システムについて説明する。図6は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。同図に示すように、貨幣処理システムは、端末装置、貨幣処理装置および中継装置30から構成されており、貨幣処理装置が端末装置へブロードキャストではなく、中継装置30へ利用者情報を送信する点で、図1の(B)に示した貨幣処理システムとは異なる。
【0085】
具体的には、図6に示した中継装置30は、端末装置Bから入力された利用者情報を受信して、受信した利用者情報に基づいて個人認証を行い、認証した場合に、端末装置Bとのリンク確立をして(同図の(1)参照)、貨幣処理装置からのデータを送受信するため、ポートをオープンする(同図の(2)参照)。
【0086】
一方、貨幣処理装置Bは、入力された利用者情報に基づいて個人認証を行った後、入力された利用者情報を中継装置30へ送信し、中継装置30では、端末装置Bおよび貨幣処理装置Bの双方から送信された利用者情報の一致確認を行う。
【0087】
そして、中継装置30は、一致を確認したら、貨幣処理装置Bとのリンク確立をもすることによって(同図の(3)参照)、自中継装置30を介して端末装置Bと貨幣処理装置Bとの接続を確立することとなる。
【0088】
ここで、変形例にかかる貨幣処理システムを構成する端末装置10a、貨幣処理装置20aおよび中継装置30が実行する処理手順について図7および図8を用いて詳細に説明する。図7および図8は、変形例にかかる貨幣処理手順を示すシーケンス図である。
【0089】
同図に示すように、行員が入出金情報を入力する際、ユーザIDおよびパスワードを入力し(ステップS201)、端末装置10aは、入力された入出金情報を中継装置30に送信するとともに、中継装置30へ個人認証要求を行う(ステップS202)。
【0090】
すると、中継装置30では、受信した利用者情報に基づいて個人認証を行い(ステップS203)、認証されたならば、認証結果を端末装置10aへ送信するとともに、端末装置10aとのリンク確立をする(ステップS204)。
【0091】
そして、中継装置30は、ポートオープンを行い(ステップS205)、貨幣処理装置20aからのデータの送受信ができる状態にする。一方、行員は端末装置10aから入出金情報を入力し(ステップS206)、端末装置10aは、入力された入出金情報処理を行う(ステップS207)。
【0092】
そして、入出金情報処理が終わったら、行員は貨幣処理装置20aに出向き、貨幣処理装置20aでも行員の個人認証を行うために、ユーザIDおよびパスワードを入力する(ステップS208)。
【0093】
すると、貨幣処理装置20aは、行員によって入力された利用者情報に基づいて個人認証を行い(ステップS209)、認証されたならば、中継装置30に入力された利用者情報を送信する(ステップS210)。
【0094】
一方、ポートオープンしていた中継装置30では、端末装置10aおよび貨幣処理装置20aから受信した利用者情報が一致することを確認し(ステップS211)、貨幣処理装置20aとのリンク確立をする(ステップS212)。
【0095】
ここで、中継装置30は、端末装置10aと貨幣処理装置20aとの接続が確立した旨を端末装置10aに通知するために、次に行う処置の要求を端末装置10aに送信する(ステップS213)。
【0096】
つづいて、端末装置10aは、ステップS206で入力された入出金情報を、中継装置30を介して貨幣処理装置20aへ送信する(ステップS214)ことによって、貨幣処理装置20aでは、貨幣を収納または払出す貨幣処理が開始されることとなる。
【0097】
ここでは、貨幣の払出処理手順の一例について記述することとする。貨幣処理装置20aは、端末装置10aから受信した入出金情報に基づいて払出される貨幣を計数する等の貨幣処理を行い(ステップS215)、貨幣を払出す(ステップS216)。
【0098】
そして、貨幣処理装置20aは、貨幣が払出された貨幣処理の結果を中継装置30へ送信し(ステップS217)、安全性を考慮して、中継装置30との接続をただちに切断して(ステップS218)、処理を終了する。
【0099】
その後、中継装置30では、貨幣処理装置20aからの貨幣処理結果を受信することによって、貨幣の払出に対する一連の貨幣処理が終了したと判断し、安全性を考慮して、ポートをクローズして(ステップS219)、貨幣処理装置20aから受信した貨幣処理結果を端末装置10aへ送信し(ステップS220)、中継処理を終了する。
【0100】
一方、端末装置10aでは、中継装置30から受信した貨幣処理結果を図示しないホスト装置へ送信し(ステップS221)、中継装置30との接続を切断し(ステップS222)、処理を終了する。
【0101】
上述してきたように、本変形例では、端末装置10aと貨幣処理装置20aとの間に中継装置30を備えた装置構成とすることで、中継装置30がどの端末装置10aと接続されているかを認識することができるようにした。
【0102】
したがって、多くの端末装置10aが接続されていた場合であっても、貨幣処理装置20aは中継装置30に対してのみ利用者情報を送信するだけでよく、通信回線に対しての負荷を大幅に軽減することができる。
【0103】
なお、上述した実施例では、行員が利用中ではない貨幣処理装置20aに出向いて貨幣の収納または払出を行っていた。しかし、中継装置30が各貨幣処理装置の負荷を判定して、あらかじめ利用中ではない貨幣処理装置20aを検索しておいてもよい。
【0104】
そこで、以下では、中継装置30が各装置の負荷を判定する処理動作の一例について、図9を用いて簡単に説明する。図9は、変形例にかかる貨幣処理システムの処理動作を示す図である。
【0105】
同図(A)に示すように、各装置構成は、図6で示した貨幣処理システムと同じである。ここで、端末装置Aが貨幣処理装置Aを利用中であった場合について説明する(同図の(A−0)参照)。
【0106】
この場合、端末装置Bと中継装置30とのリンク確立後(同図の(A−1)参照)、中継装置30が各貨幣処理装置の負荷判定を行い(同図の(A−2)参照)、現在、利用中ではない貨幣処理装置を検索する。
【0107】
そして、現在利用中ではない貨幣処理装置の空き状況を端末装置Bへ通知して(同図の(A−3)参照)、通知された貨幣処理装置の空き状況を確認した行員は、空き状況に応じた貨幣処理装置に出向いて貨幣の収納または払出を行う。
【0108】
また、中継装置30が、貨幣処理装置の空き状況を端末装置Bへ通知した際に、端末装置Bから利用中ではない貨幣処理装置、たとえば貨幣処理装置Bの利用予約を行うことができ、中継装置30では貨幣処理装置Bが利用中であると認識するようにしてもよい。
【0109】
この場合、通知された空き状況を見て、複数の行員が同じ貨幣処理装置に出向いて利用しようとすることがなく、行員の業務に支障をきたさず、効率よく空いている貨幣処理装置を利用することができる。
【0110】
また、上述した実施例では、貨幣処理装置が貨幣処理を行った後、貨幣処理結果を中継装置30へ送信し、中継装置30からリンク確立していた端末装置へ、貨幣処理結果を送信するようにしていた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。
【0111】
たとえば、中継装置30が各端末装置の負荷判定を行い、負荷の少ない端末装置へ貨幣処理結果を送信するようにしてもよい。具体的には、図9(B)を用いて説明することとする。
【0112】
同図(B)に示すように、端末装置Bと中継装置30とのリンク確立をし(同図の(B−1)参照)、貨幣処理装置Bによって貨幣処理が行われた後(同図の(B−2)参照)、貨幣処理装置Bは貨幣処理結果を中継装置30へ送信する(同図の(B−3)参照)。
【0113】
ここで、端末装置Bでは既に他の処理を行っていた場合、中継装置30は、端末装置Cの処理負荷の方が少ないと判定して(同図の(B−4)参照)、端末装置Cへ貨幣処理結果を送信する(同図の(B−5)参照)。この場合、負荷の少ない端末装置Cから貨幣処理結果をホスト装置に送信できるので、処理速度の向上を図ることができる。
【0114】
さて、これまで本発明の実施例について説明してきたが、上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。たとえば、従来の銀行内での運用はそのままで、本発明の実施例で説明してきた技術を共存させてもよい。
【0115】
ここで、従来の銀行内での運用と、本発明の技術を共存させた場合の貨幣処理システムの一例について、図10を用いて説明する。図10は、変形例にかかる貨幣処理システムの概要を示す図である。
【0116】
同図上部に示すように、端末装置A〜Dでは利用可能な貨幣処理装置をあらかじめ設定しておき、2台の端末装置で1台の貨幣処理装置を共有して利用する従来の銀行内の装置構成があったとする。
【0117】
具体的には、端末装置Aおよび端末装置Bには、利用可能な貨幣処理装置Aが設定されており、端末装置Cおよび端末装置Dには、利用可能な貨幣処理装置Bが設定されているものとする。
【0118】
ここで、同図下部に示すように、端末装置E〜Hを増設する場合には、利用可能な貨幣処理装置を特に設定しておかないこととする。そこで、ある行員が、端末装置Aによって、貨幣処理装置Aを利用中である場合(同図の(0)参照)、貨幣処理装置Aは他の端末装置からは利用することができない。
【0119】
この場合、端末装置Hによって他の行員が貨幣の収納または払出を行う際、貨幣処理装置Aは端末装置Aによって利用中であることから、貨幣処理装置Aを利用することはできない。
【0120】
したがって、端末装置Hによって個人認証した行員は、利用中でない貨幣処理装置Bに出向いて利用者情報を入力した後、貨幣処理装置Bでは、入力された利用者情報を端末装置にブロードキャストする(同図の(1)参照)。
【0121】
そして、端末装置Hは、利用者情報の一致確認を行い、貨幣処理装置Bとのリンク確立を行い、貨幣処理装置Bによる貨幣処理が可能となる。このように、本発明の貨幣処理システムを導入する際、現在導入している貨幣処理システムはそのまま利用することができるように構成した。
【0122】
この場合、現在導入している銀行内にある貨幣処理システムを新しいシステムに取り換えることなく、既存のシステムをそのまま利用することによって、本発明にかかる貨幣処理システムの導入の際にかかる、コストを大幅に削減することができる。
【0123】
さて、これまで本発明の実施例では、銀行等の金融機関に設置される貨幣処理装置について説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、貨幣を対象とする場合だけではなく、百貨店や金券ショップ等で扱う商品券などの紙葉類を対象とする場合にも適用してもよい。
【0124】
また、上述した実施例では、銀行の行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際、入出金情報を入力するよう説明してきた。しかしながら、行員が銀行内に設置されたATM(Automatic Teller Machine)と呼ばれる現金自動預け払い機および両替機等に貨幣を補填または回収する際にも適用してもよい。
【0125】
また、上述した実施例では、貨幣を扱う貨幣処理装置について説明してきたが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。たとえば、LAN等の通信回線に接続されているプリンタにも適用してもよい。
【0126】
通常、通信回線に接続されている端末装置からプリントを行う場合は、端末装置にあらかじめ利用可能なプリンタを設定しておく。そして、プリンタはキューイングといって、先にプリント指示を行ったプリントデータが先に出力されるという特徴をもつ。
【0127】
具体的には、プリント中のプリンタは、プリント中の処理が終わらないと、次にプリント指示を行った印刷物は出力されない。また、プリント物の取り忘れや、とり間違いによって、機密情報が漏えいする恐れがある。
【0128】
そこで、本発明をプリンタに適用してもよく、この場合、利用者が出力されるプリンタに出向くことによって、プリント物の取り忘れや、とり間違いを解消することができ、本発明を導入した銀行や企業等のセキュリティを担保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上のように、本発明にかかる貨幣処理システムは、行員が顧客からの預金の受け入れや払い戻しを行う際に有用であり、特に、利用中でない貨幣処理装置があった場合、どの端末装置からでも容易で安全に空いた貨幣処理装置を利用する場合に適している。
【符号の説明】
【0130】
10 端末装置
11 入力部
12 表示部
13 通信I/F
14 記憶部
14a 利用者情報
15 制御部
15a 受付部
15b 個人認証部
15c ポートオープン部
15d 一致確認部
15e リンク確立部
20 貨幣処理装置
21 入力部
22 表示部
23 貨幣入出金部
24 通信I/F
25 制御部
25a 受付部
25b 個人認証部
25c ブロードキャスト部
10a 端末装置
20a 貨幣処理装置
30 中継装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、
前記端末装置は、
利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶する利用者情報記憶手段と、
前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、
前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段と
を備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記端末装置は、
利用者によって貨幣の収納または払出を行う指示が与えられたならば、前記ポートを開けるオープン手段
をさらに備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報をすべての前記端末装置へ送信する送信手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記端末装置は、
前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う端末利用者認証手段
をさらに備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う機器利用者認証手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記端末装置は、
前記リンク確立手段によって接続された前記貨幣処理装置から貨幣の収納または払出が終了した旨を通知されたならば、前記オープン手段によって開けられた前記ポートを閉じるクローズ手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、
前記端末装置は、
利用者によって貨幣を収納または払出す指示を行う入出金指示手段
を備え、
前記端末装置と前記貨幣処理装置との通信を中継する中継装置は、
前記端末装置において利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けた利用者情報を前記端末装置から受信して、受信した前記利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、
前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報が許可された利用者であると認証された場合に、前記端末装置との接続を確立する端末リンク確立手段と、
前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、
前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記貨幣処理装置との接続を確立するとともに前記端末装置と前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段と
を備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項6】
貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを用いた貨幣処理方法であって、
利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として前記端末装置が記憶する利用者情報記憶工程と、
前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶工程によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを前記端末装置が判定する一致判定工程と、
前記一致判定工程によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を前記端末装置が確立するリンク確立工程と
を含み、
前記利用者情報を前記貨幣処理装置によって入力する利用者情報入力工程
を含んだことを特徴とする貨幣処理方法。
【請求項1】
貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、
前記端末装置は、
利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として記憶する利用者情報記憶手段と、
前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、
前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段と
を備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記端末装置は、
利用者によって貨幣の収納または払出を行う指示が与えられたならば、前記ポートを開けるオープン手段
をさらに備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報をすべての前記端末装置へ送信する送信手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記端末装置は、
前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う端末利用者認証手段
をさらに備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報入力手段によって入力された前記利用者情報に基づいて許可された利用者であるか否かの認証を行う機器利用者認証手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記端末装置は、
前記リンク確立手段によって接続された前記貨幣処理装置から貨幣の収納または払出が終了した旨を通知されたならば、前記オープン手段によって開けられた前記ポートを閉じるクローズ手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを有する貨幣処理システムであって、
前記端末装置は、
利用者によって貨幣を収納または払出す指示を行う入出金指示手段
を備え、
前記端末装置と前記貨幣処理装置との通信を中継する中継装置は、
前記端末装置において利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けた利用者情報を前記端末装置から受信して、受信した前記利用者情報を記憶する利用者情報記憶手段と、
前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報が許可された利用者であると認証された場合に、前記端末装置との接続を確立する端末リンク確立手段と、
前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶手段によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを判定する一致判定手段と、
前記一致判定手段によって一致していると判定された場合に、前記貨幣処理装置との接続を確立するとともに前記端末装置と前記貨幣処理装置との接続を確立するリンク確立手段と
を備え、
前記貨幣処理装置は、
前記利用者情報を入力する利用者情報入力手段
を備えたことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項6】
貨幣の入出金の情報を入力する端末装置と前記端末装置からの入出金情報に基づいて貨幣を収納または払出す貨幣処理装置とを用いた貨幣処理方法であって、
利用者によって入力された前記利用者を識別する端末利用者識別子と機密保護のために利用者の確認に用いる符号とを対応付けて利用者情報として前記端末装置が記憶する利用者情報記憶工程と、
前記貨幣処理装置によって入力された前記利用者情報を前記貨幣処理装置からのデータを送受信するためのポート経由で受信したならば、受信した前記利用者情報と前記利用者情報記憶工程によって記憶された前記利用者情報とが一致するか否かを前記端末装置が判定する一致判定工程と、
前記一致判定工程によって一致していると判定された場合に、前記ポート経由で受信した前記利用者情報の送信元である前記貨幣処理装置との接続を前記端末装置が確立するリンク確立工程と
を含み、
前記利用者情報を前記貨幣処理装置によって入力する利用者情報入力工程
を含んだことを特徴とする貨幣処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−204767(P2010−204767A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47292(P2009−47292)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]