説明

貨幣処理システム

【課題】使用者と管理者側との間のトラブルを極力回避することができる貨幣処理システムの提供。
【解決手段】管理者在席状況管理手段が管理者在席有りとした場合、貨幣の入金ルートを第1の振分手段を経て金種別の環流手段70〜75に収納する環流ルートに設定し、管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、貨幣の入金ルートを第2の振分手段を経て貯留手段18に貯留する非環流ルートに設定するルート切換手段と、ルート切換手段が貨幣の入金ルートを非環流ルートに設定している場合、貯留手段18に貯留した貨幣を、操作手段への承認操作入力時に収納手段20に収納する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣を入出金可能な貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理機において、取り扱う貨幣の搬送ルートについて、非環流ルートと環流ルートとを選択手段によって選択可能としたものがある。この貨幣処理機では、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア等の管理者が不在がちな場所で使用される場合に、管理者の不在時に、ジャム障害が発生し易い複雑な環流ルートの使用を避け、ジャム障害が発生し難い簡素な非環流ルートの使用を行うといった運用が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2796033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、貨幣処理機の処理について使用者と管理者側との間にトラブルが発生した場合、管理者が在席していれば、管理者の権限で対応可能であるが、管理者が不在の状況では、対応できないことがある。このため、管理者が不在の状況では、使用者と管理者側との間のトラブルを極力回避する必要があり、使用者が入金した貨幣の返却時に、入金された貨幣をそのまま返却するのが好ましい。しかしながら、上述した貨幣処理機では、非環流ルートにおいて、入金された貨幣をそのまま返却することはできなかった。
【0005】
したがって、本発明は、使用者と管理者側との間のトラブルを極力回避することができる貨幣処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、投入された貨幣を繰り出す投入手段と、該投入手段から繰り出された貨幣を識別する入金識別手段と、該入金識別手段で正常と識別された貨幣を金種別に振り分ける第1の振分手段と、該第1の振分手段で振り分けられた貨幣を繰り出し可能に収納する金種別の環流手段と、前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を払い出す払出手段と、前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を一時貯留する貯留手段と、該貯留手段の貨幣を収納する収納手段と、前記貯留手段の貨幣を返却する返却手段と、前記入金識別手段で正常と識別された貨幣を前記貯留手段に振り分ける第2の振分手段と、貨幣の取引操作の入力がなされる操作手段と、を有する貨幣処理機と、管理者の在席の有無を管理する管理者在席状況管理手段と、を備えた貨幣処理システムにおいて、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席有りとした場合、貨幣の入金ルートを前記第1の振分手段を経て前記金種別の環流手段に収納する環流ルートに設定し、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、貨幣の入金ルートを前記第2の振分手段を経て前記貯留手段に貯留する非環流ルートに設定するルート切換手段と、該ルート切換手段が貨幣の入金ルートを前記非環流ルートに設定している場合、前記貯留手段に貯留した貨幣を、前記操作手段への承認操作入力時に前記収納手段に収納する制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第1の振分手段および前記金種別の環流手段を開放可能な第1開放手段と、前記第2の振分手段および前記貯留手段を開放可能な第2開放手段と、これら第1開放手段および第2開放手段の開放を許可する許可手段と、を有し、前記許可手段は、管理者権限有りのとき前記第1開放手段および前記第2開放手段の両方の開放を許可する一方、管理者権限無しのとき前記第2開放手段のみの開放を許可することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、一の取引で前記入金識別手段の識別結果に基づき割り出される貨幣の入金金額と前記一の取引の伝票金額とを比較する比較手段を備え、前記制御手段は、前記一の取引において、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、前記比較手段の比較結果から前記入金金額が前記伝票金額より大きいと判断すると、前記一の取引の入金金額と前記収納手段の在り高との加算値が、前記一の取引の前記伝票金額を含む前記伝票金額の累計値を超えない場合に、前記貯留手段に貯留した貨幣を、前記操作手段への承認操作入力時に前記収納手段に収納することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、一の取引で前記入金識別手段の識別結果に基づき割り出される貨幣の入金金額と前記一の取引の伝票金額とを比較する比較手段を備え、前記制御手段は、前記一の取引において、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、前記比較手段の比較結果から前記入金金額が前記伝票金額より大きいと判断すると、前記一の取引の入金金額と前記収納手段の在り高との加算値が、前記一の取引の前記伝票金額を含む前記伝票金額の累計値を超える場合に、前記貯留手段に貯留した貨幣を、前記返却手段に返却することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記操作手段への売上金確定操作入力時に、伝票金額の累計値から前記収納手段の在り高を減算した金額分の貨幣を前記金種別の環流手段から前記収納手段に収納することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記管理者在席状況管理手段が、複数台の前記貨幣処理機と通信可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に係る発明において、前記ルート切換手段は、一の取引中に、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席有りを管理者在席無しに切り換えた場合、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを前記環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを前記非環流ルートに切り換えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記ルート切換手段は、一の取引中に、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しを管理者在席有りに切り換えた場合、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを前記非環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを前記環流ルートに切り換えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に係る発明において、前記貨幣処理機が取引中である旨を管理者に対し報知する報知手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、ルート切換手段が、管理者在席状況管理手段が管理者在席有りとした場合、貨幣の入金ルートを第1の振分手段を経て金種別の環流手段に収納する環流ルートに設定し、管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、貨幣の入金ルートを第2の振分手段を経て貯留手段に貯留する非環流ルートに設定するため、管理者が在席しない状況では、貯留手段に貨幣を貯留する非環流ルートで搬送し、その際に、制御手段が、貯留手段に貯留した貨幣を、操作手段への承認操作入力時に収納手段に収納することになる。したがって、管理者が不在の状況では、入金した貨幣についての承認操作入力前の返却時に、入金された貨幣をそのまま返却することが可能となり、使用者と管理者側との間のトラブルを極力回避することができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、許可手段が、管理者権限有りのとき第1開放手段および第2開放手段の両方の開放を許可することにより、非環流ルートの第2の振分手段と環流ルートの第1の振分手段および金種別の環流手段とを開放可能となり、管理者権限無しのとき第2開放手段のみの開放を許可することにより、非環流ルートの第2の振分手段および貯留手段のみを開放可能となる。したがって、管理者権限無しのとき、一の取引中に貨幣処理機に異常が発生すると、この取引で入金された貨幣の入金ルートである非環流ルートのみをアクセス可能に開放し、その前までに入金された貨幣にアクセス可能な第1の振分手段および金種別の環流手段へのアクセスは規制することができる。よって、管理者が不在の状態でも、管理上問題を生じることなく、貨幣処理機を異常から復旧可能となる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、制御手段が、一の取引において、管理者在席無しの場合、比較手段の比較結果から入金金額が伝票金額より大きいと判断すると、この一の取引の入金金額と収納手段の在り高との加算値が、この一の取引の伝票金額を含む伝票金額の累計値を超えない場合に、貯留手段に貯留した貨幣を収納手段に収納するため、収納手段の在り高が伝票金額つまり売上金の累計値を超えてしまうことがなくなる。よって、貨幣の機外回収時に、収納手段から売上金を上回る分の貨幣を取り除く必要がなくなり、管理上安全となる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、制御手段が、一の取引において、管理者在席無しの場合、比較手段の比較結果から入金金額が伝票金額より大きいと判断すると、この一の取引の入金金額と収納手段の在り高との加算値が、この一の取引の伝票金額を含む伝票金額の累計値を超える場合には、貯留手段に貯留した貨幣を、返却手段に返却するため、収納手段の在り高が伝票金額つまり売上金の累計値を超えてしまうことがなくなる。よって、貨幣の機外回収時に、収納手段から売上金を上回る分の貨幣を取り除く必要がなくなり、管理上安全となる。その上、返却手段に返却することで、その後の他の取引が可能な状況になる。なお、返却された貨幣については、管理者在席有りの状況となったら、非環流ルートで入金することになる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、制御手段は、操作手段への売上金確定操作入力時に、伝票金額の累計値から収納手段の在り高を減算した金額分の貨幣を金種別の環流手段から収納手段に収納するため、貨幣の機外回収時に収納手段ごと回収すれば、売上金の金額をそのまま回収することができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、管理者在席状況管理手段が、複数台の貨幣処理機と通信可能であるため、複数台の貨幣処理機で管理者在席状況管理手段を共用できる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、一の取引中に、管理者在席有りが管理者在席無しに切り換わった場合でも、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを非環流ルートに切り換えるため、処理の途中で入金ルートが切り換わってしまうことがなくなる。したがって、管理上好ましい。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、一の取引中に、管理者在席無しが管理者在席有りに切り換わった場合でも、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを非環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを環流ルートに切り換えるため、処理の途中で入金ルートが切り換わってしまうことがなくなる。したがって、管理上好ましい。
【0023】
請求項9に係る発明によれば、報知手段が、貨幣処理機が取引中である旨を管理者に対し報知するため、貨幣処理機が取引中に管理者が不在となる状況を回避可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する貨幣処理機の硬貨入出金装置部を概略的に示す側断面図である。
【図2】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する貨幣処理機の硬貨入出金装置部を概略的に示す平断面図である。
【図3】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する貨幣処理機の硬貨入出金装置部を概略的に示す平断面図である。
【図4】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを示す制御系ブロック図である。
【図5】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する貨幣処理機の紙幣入出金装置部を概略的に示す側断面図である。
【図6】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを示す制御系ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを図面を参照して以下に説明する。
図1に示す本実施形態の貨幣処理システムを構成する貨幣処理機10は、例えば、宅配便の基地センタに設置され、宅配便のドライバが使用者であって、顧客から代金引換で回収した代金を入金したり、代金引換のための釣銭準備金を仮払いしたりする際に用いられるものである。
【0026】
貨幣処理機10は、貨幣のうちの硬貨を処理する図1〜図4に示す硬貨入出金装置部11と、貨幣のうちの紙幣を処理する図5および図6に示す紙幣入出金装置部12とが一体に並設されたものである。なお、以下の説明において、前は貨幣処理機10の操作者側(手前側)、後は貨幣処理機10の操作者に対し反対側(奥側)である。
【0027】
まず、硬貨入出金装置部11について図1〜図4を参照して説明する。
【0028】
硬貨入出金装置部11には、前側つまり操作者側(図1の左側)の上部に、複数金種が混在する金種混合状態で硬貨が機外から一括投入され、このように投入された硬貨を貯留しつつ一枚ずつ分離して繰り出す硬貨入金口(投入手段)15が設けられており、硬貨入金口15の下側に、機内からリジェクトされたリジェクト硬貨を機外に取出可能に貯留する硬貨リジェクト口16が設けられ、その下側に、機内から出金された硬貨を機外に取出可能に貯留する硬貨出金口(払出手段)17が設けられている。さらに、硬貨入出金装置部11には、硬貨出金口17の下側に、硬貨を金種混合状態で一時貯留する一時貯留部(貯留手段)18が設けられ、この硬貨一時貯留部18の下側に、返却時に硬貨一時貯留部18から硬貨を受け取って金種混合状態で貯留する返却箱(返却手段)19と、硬貨一時貯留部18から硬貨を受け取って金種混合状態で収納する硬貨収納庫(収納手段)20とが設けられている。これら返却箱19および硬貨収納庫20は、貨幣処理機10の機体1に対して着脱可能となっている。よって、硬貨一時貯留部18は、硬貨を返却箱19を介して返却可能となるように一時貯留するとともに、一時貯留した硬貨を硬貨収納庫20に収納可能となっている。
【0029】
硬貨入出金装置部11は、図2に示すように、硬貨入金口15に投入された硬貨を左右方向一側に搬送する第1搬送部25と、この第1搬送部25の下流側に接続され、この第1搬送部25から硬貨を受け取り水平方向において鋭角に折り返しつつ後方に搬送する第2搬送部26とを有する入金硬貨搬送部27を備えている。
【0030】
硬貨入金口15は、硬貨が外から投入されるとともに投入された硬貨を下方に案内する筒状のホッパ部30と、硬貨入金口15の底部を形成するようにホッパ部30の下方に設けられこの位置から側方に延出してこの延出方向に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア31と、ベルトコンベア31の上側に配置され、ベルトコンベア31の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させる図示せぬ分離ローラと、ベルトコンベア31および分離ローラを正逆駆動する共通の駆動源である図4に示す入金硬貨繰出駆動部32とを有している。そして、硬貨入金口15は、ホッパ部30に投入された硬貨を、入金硬貨繰出駆動部32の駆動力で回転するベルトコンベア31によりその延在方向に送り途中位置に設けられた図示せぬ分離ローラで一枚ずつに分離してさらに下流側に繰り出す。
【0031】
硬貨入金口15のベルトコンベア31は、硬貨入金口15を構成する一方で、この硬貨入金口15に投入された硬貨を搬送する上記した第1搬送部25をも構成している。ベルトコンベア31で構成される第1搬送部25の終点部には、ベルトコンベア31から硬貨を受け取って機体後方に搬送する第2搬送部26の搬送路33の始点部が接続されている。
【0032】
第2搬送部26は、第1搬送部25のベルトコンベア31から搬送路33上に移送された硬貨を搬送路33に上側から押し付けながら両側の壁部35,36で案内しつつ搬送路33に沿って搬送する複数の移送ベルト37,38と、これら移送ベルト37,38を駆動する図4に示す入金硬貨搬送駆動部39とを有している。
【0033】
移送ベルト37,38は、直線状に延在する搬送路33に対し若干傾斜する直線状に設けられており、硬貨を幅寄せするように片側の壁部35に押し付けながら搬送するようになっている。
【0034】
搬送路33には、その上流側に、硬貨入金口15から繰り出されて第1搬送部25および第2搬送部26で搬送される硬貨の磁気的性質や画像あるいは外径等を検出することでその金種の識別および金種別の計数等を行う硬貨識別部(入金識別手段)44が設けられ、この硬貨識別部44の下流側には硬貨識別部44の識別結果に基づいて偽硬貨等の受け入れ不可なリジェクト硬貨を搬送路33から排除可能な開閉リジェクト部45が設けられている。この開閉リジェクト部45は、搬送路33に形成されたリジェクト孔46およびこれを開閉させるシャッタ47を有している。
【0035】
また、搬送路33には、この開閉リジェクト部45の下流側に、硬貨識別部44で正常と識別された受け入れ可能な受入硬貨を搬送路33から落下可能な開閉選別部(第2の振分手段)50が設けられている。この開閉選別部50は、搬送路33に形成された全金種の硬貨を落下可能な選別孔51およびこれを開閉させるシャッタ52を有しており、後述する環流モードにて硬貨識別部44で正常と識別された硬貨を後述する選別孔53〜58に案内し、後述する非環流モードにて硬貨識別部44で正常と識別された硬貨を硬貨一時貯留部18に直接案内する。よって、開閉選別部50は、硬貨識別部44で正常と識別された硬貨を硬貨一時貯留部18と開閉選別部50より下流側の選別孔53〜58とに振り分ける。
【0036】
搬送路33には、この開閉選別部50の下流側に選別孔(第1の振分手段)53〜58が形成されている。これら選別孔53〜58は硬貨を外径で選別する。つまり、基準面となる左側の壁部35で案内されて移動する硬貨を外径の小さい順に選別するように、硬貨の搬送方向に沿って上流側から下流側に、1円硬貨用の最も小さい選別孔53、選別孔53よりも大きい、50円硬貨用の選別孔54、選別孔54よりも大きい、5円硬貨用の選別孔55、選別孔55よりも大きい、100円硬貨用の選別孔56、選別孔56よりも大きい、10円硬貨用の選別孔57、選別孔57よりも大きい、500円硬貨用の選別孔58が、この順番に形成されている。つまり、選別孔53〜58は、硬貨識別部44で正常と識別された硬貨を金種別に振り分ける。
【0037】
開閉リジェクト部45の上流側の直前位置には通過する硬貨を検出する硬貨検出センサ45Aが設けられており、開閉選別部50の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ50Aが、選別孔53の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ53Aが、選別孔54の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ54Aが、選別孔55の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ55Aが、選別孔56の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ56Aが、選別孔57の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ57Aが、選別孔58の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ58Aが、それぞれ設けられている。硬貨検出センサ45A,50Aは硬貨の検出数の差から開閉リジェクト部45で落下した硬貨の数を計数することになり、硬貨検出センサ50A,53Aは開閉選別部50で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ53A,54Aは選別孔53で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ54A,55Aは選別孔54で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ55A,56Aは選別孔55で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ56A,57Aは選別孔56で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ57A,58Aは選別孔57で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ58Aは選別孔58で落下した硬貨の数を、それぞれ計数することになる。
【0038】
開閉選別部50の直下には図1に示すシュート59が、選別孔53の直下にはシュート60が、選別孔54の直下にはシュート61が、選別孔55の直下にはシュート62が、選別孔56の直下にはシュート63が、選別孔57の直下にはシュート64が、選別孔58の直下にはシュート65が、それぞれ設けられている。シュート59の下側に硬貨一時貯留部18が設けられており、シュート60〜65の下側には、図3に示すようにそれぞれが前後方向に沿う状態で左右方向に並べられた複数具体的には6カ所の硬貨出金収納部(環流手段)70〜75が設けられている。硬貨出金収納部70〜75は、金種別のもので、選別孔53〜58で振り分けられた硬貨を繰り出し可能に収納する。
【0039】
具体的に、最も前側の選別孔53から落下された1円硬貨はシュート60を介して左右方向一端の1円硬貨専用の硬貨出金収納部70に貯留される。前から二番目の50円硬貨用の選別孔54で落下された50円硬貨はシュート61を介して硬貨出金収納部70と隣り合う50円硬貨専用の硬貨出金収納部71に貯留され、前から三番目の5円硬貨用の選別孔55で落下された5円硬貨はシュート62を介して硬貨出金収納部71と隣り合う5円硬貨専用の硬貨出金収納部72に貯留され、前から四番目の100円硬貨用の選別孔56で落下された100円硬貨はシュート63を介して硬貨出金収納部72と隣り合う100円硬貨専用の硬貨出金収納部73に貯留され、前から五番目の10円硬貨用の選別孔57で落下された10円硬貨はシュート64を介して硬貨出金収納部73と隣り合う10円硬貨専用の硬貨出金収納部74に貯留され、最も後側の500円硬貨用の選別孔58で落下された500円硬貨はシュート65を介して硬貨出金収納部74と隣り合う左右方向他端の500円硬貨専用の硬貨出金収納部75に貯留される。なお、開閉リジェクト部45で落下された硬貨は図1に示すリジェクトシュート76で前側の硬貨リジェクト口16に案内される。
【0040】
各硬貨出金収納部70〜75は、それぞれの底部を形成するように前後方向に延在する状態で左右方向に並設されて回転時に硬貨出金口17側に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア77と、ベルトコンベア77の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ78と、ベルトコンベア77および分離ローラ78を正逆駆動する共通の駆動源である図4に示す出金硬貨搬送駆動部79とを有している。
【0041】
ここで、図1に示すように、ベルトコンベア77は、下流側が上側に位置するように傾斜しており、その上部側所定位置に上記した分離ローラ78が配置されている。
【0042】
そして、硬貨出金収納部70〜75は、出金硬貨搬送駆動部79の駆動力によりすべてのベルトコンベア77を一度に回転させることで硬貨を硬貨出金口17側に搬送することになり、このとき、それぞれの分離ローラ78が、硬貨出金口17側に繰り出される硬貨を一枚ずつに分離する。
【0043】
図3に示すように、硬貨出金収納部70は、分離ローラ78よりも下流側でベルトコンベア77に向けて上から図示せぬピンを進退させることで硬貨の繰り出しを規制および許容するソレノイド80と、ソレノイド80の駆動でベルトコンベア77から硬貨出金口17に向けて繰り出される硬貨を計数する出金計数センサ70Aとを有している。同様に、硬貨出金収納部71はソレノイド81および出金計数センサ71Aを、硬貨出金収納部72はソレノイド82および出金計数センサ72Aを、硬貨出金収納部73はソレノイド83および出金計数センサ73Aを、硬貨出金収納部74はソレノイド84および出金計数センサ74Aを、硬貨出金収納部75はソレノイド85および出金計数センサ75Aを、それぞれ有している。
【0044】
硬貨出金収納部70〜75と硬貨出金口17との間には、図1に示すように、硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を案内するシュート部90が設けられており、このシュート部90には、シュート部90の下部を開閉する振分部材91を、ソレノイド等の電気的駆動で揺動させることで、閉じて硬貨を硬貨出金口17に案内する状態と、開いて硬貨を下方に落下させる状態とに切り換える振分部92が設けられている。振分部材91を開状態とすることで、シュート部90の硬貨をシュート94で案内して硬貨一時貯留部18に落下させる。よって、硬貨出金口17は、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を機外に払い出すことになり、硬貨一時貯留部18は、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を一時貯留することになる。そして、硬貨収納庫20は、硬貨一時貯留部18で一時貯留されることになった、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を収納する。
【0045】
硬貨一時貯留部18は、上下に開口する筒状の囲壁部95と、囲壁部95の下部開口を閉塞可能な底板96とを有している。囲壁部95は、図4に示す壁スライド部97の駆動で前後方向にスライドし、底板96は底板スライド部98の駆動で前後方向にスライドすることになる。
【0046】
図1に示すように、硬貨一時貯留部18の下側には、硬貨一時貯留部18の硬貨を返却する上記した返却箱19と、上下に開口する筒状のシュート99とが前後に並設されており、シュート99の下側に、硬貨一時貯留部18の硬貨を収納する上記した硬貨収納庫20が配置されている。
【0047】
硬貨一時貯留部18は、囲壁部95および底板96が可動範囲の中央位置にある待機状態では、シュート94で案内されて落下する硬貨を受け取って貯留することになり、この待機状態から、囲壁部95が返却箱19の方向にスライドし、底板96が返却箱19とは反対方向にスライドすることで、硬貨を返却箱19に放出する一方、待機状態から、囲壁部95がシュート99の方向にスライドし、底板96がシュート99とは反対方向にスライドすることで、硬貨をシュート99に放出しシュート99を介して硬貨収納庫20に収納する。
【0048】
硬貨収納庫20は、硬貨入出金装置部11内で入金のみが可能な金種混合の収納庫であり、硬貨入出金装置部11に取り付けられた状態でシュート99を介して上部の開口部100から硬貨を受け入れる。つまり、硬貨収納庫20は、硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を収納する。ここで、開口部100には、これを開閉するシャッタ101が設けられており、このシャッタ101は、硬貨収納庫20が硬貨入出金装置部11に装填されると、この装填動作に連動して開口部100を開き、硬貨収納庫20が硬貨入出金装置部11から取り外されると、この取り外し動作に連動して開口部100を閉じる。また、取り出された硬貨収納庫20は、図示せぬキーのキー操作によって、図示せぬ扉を開くことにより中に収納された硬貨が取り出し可能となる。硬貨入出金装置部11の硬貨収納庫20の下方には、棒金を収納する棒金保管庫102が設けられている。
【0049】
貨幣処理機10は、図4に示すように、制御部(管理者在席状況管理手段,ルート切換手段,制御手段,比較手段,許可手段)105と、制御プログラム等が記憶されたROM106と、硬貨識別部44の識別に基づく金種別の硬貨枚数等を記憶するRAM107と、貨幣の取引操作等、操作者による操作入力が行われる操作部(操作手段)108と、操作者への表示を行う案内表示部109とが設けられている。案内表示部109は、視覚的に表示を行う表示装置や表示灯と聴覚的に表示を行うスピーカ等とで構成されている。
【0050】
また、制御部105には、硬貨入出金装置部11の入金硬貨繰出駆動部32、入金硬貨搬送駆動部39、硬貨識別部44、開閉リジェクト部45、開閉選別部50、硬貨検出センサ45A,50A,53A〜58A、出金硬貨搬送駆動部79、ソレノイド80〜85、出金計数センサ70A〜75A、振分部92、壁スライド部97および底板スライド部98が通信可能に接続されている。
【0051】
制御部105は、本実施形態の貨幣処理システムを構成する、管理者の出社、帰社、外出および退社を含んで在席の状況を管理するタイムレコーダ(管理者在席状況管理手段)300に通信可能とされている。タイムレコーダ300は、貨幣処理機10の外部に設置されるもので、制御部105は、このタイムレコーダ300から出力される管理者の在席情報に基づいて、管理者の在席の有無を認識し管理する。つまり、管理者がタイムレコーダ300に対し出社時および帰社時用の操作を行うと、タイムレコーダ300は管理者が在席している旨の在席情報を貨幣処理機10に出力することになり、これを受けて制御部105は管理者在席有りと認識する。また、管理者がタイムレコーダ300に対し外出時および退社時用の操作を行うと、タイムレコーダ300は管理者が在席していない旨の在席情報を貨幣処理機10に出力することになり、これを受けて制御部105は管理者在席無しと認識する。
【0052】
なお、図示は略すが、一台のタイムレコーダ300は複数台の貨幣処理機10に接続されており、複数台の貨幣処理機10のそれぞれの制御部105は、共通のタイムレコーダ300からの管理者の在席情報に基づいて、同様の制御を行う。なお、タイムレコーダ300からの信号に因らず、管理者の在席状況を管理者のログインによって管理できるものであれば良く、例えば、それぞれの貨幣処理機10の操作部108への、管理者のみが可能なログイン・ログアウト操作で管理者の在席の有無を認識するようにしても良い。または、複数台の貨幣処理機10に接続されて、これら複数台の貨幣処理機10を総合的に管理する管理機に、管理者の在席状況を管理させるようにしても良い。
【0053】
制御部105は、管理者の在席情報から管理者在席有りとした場合、硬貨の入金ルートを、硬貨入金口15、硬貨識別部44、開閉リジェクト部45、開閉選別部50、選別孔53〜58およびシュート60〜65を経て金種別の硬貨出金収納部70〜75に収納する環流ルートに設定する環流モードを選択する。また、制御部105は、管理者の在席情報から管理者在席無しとした場合、硬貨の入金ルートを、硬貨入金口15、硬貨識別部44、開閉リジェクト部45、開閉選別部50およびシュート59を経て硬貨一時貯留部18に貯留する非環流ルートに設定する非環流モードを選択する。そして、制御部105は、非環流モードに設定した場合、非環流ルートの入金ルートで硬貨一時貯留部18に貯留した硬貨を、操作部108への承認操作入力時に硬貨収納庫20に収納する。
【0054】
硬貨入出金装置部11のうち、硬貨入金口15のホッパ部30およびベルトコンベア31と、入金硬貨搬送部27と、リジェクトシュート76と、硬貨リジェクト口16と、硬貨出金口17と、シュート59と、シュート60〜65と、硬貨出金収納部70〜75と、シュート部90等は上部ユニット301としてユニット化されており、この上部ユニット301が、引出機構(第1開放手段,第2開放手段)302により貨幣処理機10の機体1に対し前面側に引き出し可能に支持されている。
【0055】
引出機構302は、上部ユニット301を上記した環流ルートおよび非環流ルートの両方を構成する開閉選別部50の位置まで機体1からの引き出し可能とする第1段階と、上部ユニット301を環流ルートのみを構成する選別孔53〜58の位置まで機体1からの引き出し可能とする第2段階とに引き出し範囲が切り換えられるようになっている。第1段階で上部ユニット301が開閉選別部50の位置まで機体1から引き出されると、入金硬貨搬送部27の硬貨入金口15と開閉選別部50との間つまり環流ルートおよび非環流ルートを、操作者がアクセスできるように開放する。また、第2段階で上部ユニット301が選別孔53〜58の位置まで機体1からの引き出されると、入金硬貨搬送部27の硬貨入金口15から選別孔53〜58まで、つまり環流ルートを、操作者がアクセスできるように開放する。
【0056】
そして、上部ユニット301は、第1段階ロック機構(許可手段)305で機体1に対し閉状態でロックされることになる。第1段階ロック機構305は、制御部105の駆動で上部ユニット301の機体1に対するロックを解除すると上部ユニット301の機体1からの第1段階までの引き出しを可能とし、上部ユニット301が引き出された開状態から閉状態になると自動的に上部ユニット301を機体1にロックする。
【0057】
また、上部ユニット301は、第2段階ロック機構(許可手段)306で機体1に対し第1段階よりも第2段階側への移動が規制されることになり、第2段階ロック機構306は、管理者が所持する管理キー(許可手段)307のキー操作で上部ユニット301の第2段階側への移動規制を解除し、上部ユニット301が第2段階側から第1段階を超える位置まで閉方向に移動すると自動的に上部ユニット301の第2段階側への移動を規制する状態となる。
【0058】
なお、制御部105は、ジャム等の異常発生時に自動的に第1段階ロック機構305を駆動して上部ユニット301のロックを解除することになり、その結果、第1段階までは上部ユニット301を引き出し可能となる。これに対して、第2段階には、管理者が所持する管理キー307のロック機構306を解除するキー操作がなければ、上部ユニット301を引き出せないようになっている。つまり、制御部105、引出機構302、第1段階ロック機構305および第2段階ロック機構306は、管理者権限を示すキー操作有りのとき、入金硬貨搬送部27の硬貨入金口15から選別孔53〜58までを操作者がアクセスできるように開放可能とし、管理者権限を示すキー操作無しのとき、入金硬貨搬送部27の硬貨入金口15から開閉選別部50までを操作者がアクセスできるように開放可能とする。
【0059】
また、入金硬貨搬送部27は、環流ルートを構成する硬貨出金収納部70〜75を操作者がアクセスできるように開閉機構(第1開放手段)309で上部ユニット301に開放可能に支持されている。入金硬貨搬送部27は、上部ユニット301が機体1に対し上記した第2段階まで引き出されると、上側に揺動して硬貨出金収納部70〜75を開放可能となるものの、上部ユニット301の第1段階までの引き出しでは、機体1に邪魔されて硬貨出金収納部70〜75を開放不可となっている。つまり、機体(許可手段)1は、管理者権限を示す、管理キー307のロック機構306を解除するキー操作が有りのとき、硬貨出金収納部70〜75を操作者がアクセスできるように開放可能とし、管理者権限を示すキー操作が無しのとき、硬貨出金収納部70〜75を操作者がアクセスできないようにその開放を規制する。
【0060】
また、非環流ルートを構成する硬貨一時貯留部18は、引出部310に設けられている。この引出部310は、操作者が硬貨一時貯留部18にアクセス可能となるように引出機構(第2開放手段)311で機体1に対し前面側に引き出し可能に支持されている。引出部310は、ロック機構(許可手段)312で機体1に対し閉状態でロックされることになる。ロック機構312は、制御部105の駆動で引出部310の機体1に対するロックを解除し、引出部310が開状態から閉状態になると自動的に引出部310を機体1にロックする。よって、引出部310に設けられた硬貨一時貯留部18は、ジャム等の異常発生時には、管理者権限を示すキー操作が無しでも、制御部105で制御されて、操作者がアクセスできるように引き出し可能となる。
【0061】
加えて、返却箱19も、機体1に対し前面側に引き出し可能に設けられた引出部315に設けられている。
【0062】
硬貨収納庫20、棒金保管庫102は、機体1の前面に設けられた揺動開閉可能な扉部318が開放されることで、操作者によりアクセス可能となっている。扉部318は、ロック機構319で機体1に対し閉状態でロックされることになる。ロック機構319は、管理者が所持する管理キー307のキー操作で扉部318の機体1に対するロックを解除し、扉部318が開状態から閉状態になると自動的に扉部318を機体1にロックする。
【0063】
なお、管理キー307のキー操作の有無以外にも、図示は略すが、管理者のIDカードのカードリーダによる読み取りの有無や、管理者のID番号の操作部108への入力の有無、管理者の操作部108への生体認証の有無等によって、管理者権限の有無を判断するようにすることができる。
【0064】
次に、紙幣入出金装置部12について主に図5および図6を参照して説明する。
【0065】
紙幣入出金装置部12は、図5に示すように、前側つまり操作者側(図5の左側)の上部に、複数金種が混在する金種混合状態で紙幣が一括投入され、投入された紙幣を貯留する紙幣入金口(投入手段)121が設けられており、その下側に、機内から繰り出された紙幣を機外に取出可能に貯留する紙幣出金口(払出手段)122が設けられている。さらに、この紙幣出金口122の下側には、機体に対して引き出し可能であり紙幣を返却可能に金種混合状態で一時貯留する一時貯留部(貯留手段,返却手段)124と、この紙幣一時貯留部124から紙幣を受け取って金種混合状態で収納する、機体に対して着脱可能な紙幣収納庫(収納手段)125とが設けられている。よって、紙幣一時貯留部124は、紙幣を返却可能に一時貯留するとともに、一時貯留した紙幣を紙幣収納庫125に収納可能となっている。
【0066】
紙幣入出金装置部12は、紙幣入金口121に投入された紙幣を一枚ずつに分離して繰り出す入金紙幣繰出部(投入手段)130と、この入金紙幣繰出部130で繰り出された紙幣を搬送する入金紙幣搬送路131と、入金紙幣搬送路131の途中に設けられて搬送中の紙幣を識別し、正常と識別された紙幣を金種毎に計数する紙幣識別部(入金識別手段)132とを有している。
【0067】
また、紙幣入出金装置部12は、入金紙幣搬送路131の紙幣識別部132よりも下流側に設けられた振分部(第2の振分手段)134と、入金紙幣搬送路131の振分部134の位置から分岐するリジェクト紙幣搬送路135とを有している。リジェクト紙幣搬送路135は紙幣出金口122に接続する出金紙幣搬送路136に合流しており、振分部134は、紙幣識別部132の識別結果に応じて、識別不能券および搬送異常券とされた異常紙幣を振分部材134Aによってリジェクト紙幣搬送路135側へと振り分ける。そして、異常紙幣は、リジェクト紙幣搬送路135から出金紙幣搬送路136を介して機外へ取出可能となるように紙幣出金口122に繰り出される。一方、振分部134は、真券且つ正常搬送券と識別された受入紙幣(正常と識別された紙幣)を振分部材134Aによってそのまま入金紙幣搬送路131の下流側へと導く。紙幣入出金装置部12は、この入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側に、紙幣識別部132の識別結果に基づいて選別された紙幣を繰り出し可能に収納する入出金可能な複数具体的には三つの金種別のスタッカ(環流手段)138〜140を有している。
【0068】
つまり、紙幣入出金装置部12は、入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側に、振分部材142Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路143側に振り分けて最も上流側のスタッカ138へと導く振分部(第1の振分手段)142を有しており、入金紙幣搬送路131の振分部142よりも下流側に、振分部材144Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路145側に振り分けて中間のスタッカ139へと導く振分部(第1の振分手段)144を有している。そして、入金紙幣搬送路131の振分部144よりも下流側には最も下流側のスタッカ140が接続されている。振分部142,144は、紙幣識別部132で正常と識別された貨幣を金種別にスタッカ138〜140に振り分ける。
【0069】
スタッカ138は、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部138aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路150に繰り出す。スタッカ139も、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部139aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路151に繰り出す。スタッカ140も、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部140aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路152に繰り出す。
【0070】
繰出紙幣搬送路150〜152は、上記した紙幣出金口122につながる出金紙幣搬送路136に接続されている。
【0071】
紙幣入出金装置部12は、出金紙幣搬送路136におけるリジェクト紙幣搬送路135の合流位置よりも下流側に設けられた振分部(第2の振分手段)154と、出金紙幣搬送路136の振分部154の位置から分岐する分岐紙幣搬送路155とを有しており、この分岐紙幣搬送路155には上記した紙幣一時貯留部124が接続されている。振分部154は、振分部材154Aによって紙幣一時貯留部124に一時貯留させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路155側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路136の下流側へと振り分ける。具体的に、金種別のスタッカ138〜140から繰り出された紙幣を振分部154が紙幣一時貯留部124に一時貯留させたり、紙幣入金口121から繰り出され、紙幣識別部13で正常と識別された紙幣を振分部134および振分部154が紙幣一時貯留部124に一時貯留させたりする。
【0072】
また、紙幣入出金装置部12は、出金紙幣搬送路136における振分部154よりも下流側に設けられた振分部157と、出金紙幣搬送路136の振分部157の位置から分岐する分岐紙幣搬送路158とを有しており、この分岐紙幣搬送路158には紙幣を貯留する紙幣リジェクト庫159が接続されている。振分部157は、振分部材157Aによって紙幣リジェクト庫159に収納させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路158側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路136の下流側つまり紙幣出金口122側へと振り分ける。
【0073】
紙幣一時貯留部124は、上下に開口する略筒状の囲壁部170と、囲壁部170の下部開口を閉塞可能な一対の底板171とを有している。一対の底板171は、図6に示す開閉スライド部172によって水平状態を維持したまま、互いに近接・離間可能に設けられており、互いに離間する方向にスライドすることで、囲壁部170の下部開口を開き、互いに近接する方向にスライドすることで、囲壁部170の下部開口を閉じる。紙幣一時貯留部124には、昇降するプッシャ173と、このプッシャ173を昇降させる図6に示すプッシャ昇降部174とが設けられている。また、紙幣一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171は、紙幣の返却のため、一対の底板171を閉じた状態で機体から引き出し可能となっている。
【0074】
紙幣一時貯留部124に一時貯留した紙幣を収納する紙幣収納庫125は、箱状の収納庫本体180と、紙幣一時貯留部124から落下する紙幣を収納庫本体180の上部の開口部181を介して受け取る揺動可能な一対のフラッパ182と、一対のフラッパ182の下側で昇降可能に設けられた載置板183とを有している。一対のフラッパ182は、図示略のスプリングの付勢力により水平状態に維持され、この状態から相互近接側が下方に位置するように揺動して開く。また、載置板183は図示略のスプリングによって上昇方向に付勢されており、紙幣を閉状態のフラッパ182との間に挟んで保持する。
【0075】
紙幣の収納時には、開閉スライド部172によって一対の底板171を離間方向にスライドさせることで、一対の底板171上に一時貯留していた紙幣を囲壁部170の下部開口から落下させる。すると、この紙幣は、開口部181を介して紙幣収納庫125の閉状態のフラッパ182上に載置される。次に、プッシャ昇降部174がプッシャ173を下降させることになり、これにより、プッシャ173は、紙幣を介してフラッパ182を図示略のスプリングの付勢力に抗して開いて、紙幣をフラッパ182より下側に移動させて載置板183上またはその上にすでに収納されている紙幣上に載置させることになり、その後、プッシャ173が上昇すると、載置板183が図示略のスプリングの付勢力で紙幣を閉状態のフラッパ182との間で挟んで保持する。なお、紙幣収納庫125には、収納庫本体180の上部の開口部181を閉塞可能なシャッタ184が設けられており、紙幣収納庫125が紙幣入出金装置部12に装填されると、この装填動作に連動してシャッタ184が開口部181を開き、紙幣収納庫125が紙幣入出金装置部12から取り外されると、この取り外し動作に連動してシャッタ184が開口部181を閉じることになる。紙幣収納庫125は、この状態から図示せぬキーのキー操作によって図示せぬ扉を開くことにより中に収納された紙幣が取り出し可能となる。
【0076】
さらに、紙幣入出金装置部12は、紙幣搬送路131,135,136,143,145,150〜152,155,158に設けられて、搬送される紙幣の状態やタイミングを確認するための複数の紙幣検出センサ191〜202を有している。
【0077】
紙幣検出センサ191は、入金紙幣搬送路131における入金紙幣繰出部130と紙幣識別部132との間にあって、入金紙幣繰出部130によって入金紙幣搬送路131上に一枚ずつ繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ192は、リジェクト紙幣搬送路135における振分部134の直後位置にあって振分部134でリジェクト紙幣搬送路135に振り分けられた紙幣を検出するものである。
【0078】
また、紙幣検出センサ193はスタッカ138の直前位置の分岐紙幣搬送路143にあって振分部142で振り分けられてスタッカ138に入金される紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ194はスタッカ139の直前位置の分岐紙幣搬送路145にあって振分部144で振り分けられてスタッカ139に入金される紙幣を検出するものであって、紙幣検出センサ195はスタッカ140の直前位置の入金紙幣搬送路131にあってスタッカ140に入金される紙幣を検出するものである。
【0079】
さらに、紙幣検出センサ196はスタッカ138の直後位置の繰出紙幣搬送路150にあってスタッカ138から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ197はスタッカ139の直後位置の繰出紙幣搬送路151にあってスタッカ139から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ198はスタッカ140の直後位置の繰出紙幣搬送路152にあってスタッカ140から繰り出された紙幣を検出するものである。
【0080】
加えて、紙幣検出センサ199は出金紙幣搬送路136の繰出紙幣搬送路150〜152よりも下流側にあってすべてのスタッカ138〜140から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ200は紙幣一時貯留部124の直前位置の分岐紙幣搬送路155にあって振分部154で振り分けられて紙幣一時貯留部124に導入される紙幣を検出するものであって、紙幣検出センサ201は紙幣リジェクト庫159の直前位置の分岐紙幣搬送路158にあって振分部157で振り分けられて紙幣リジェクト庫159に導入される紙幣を検出するものである。さらに、紙幣検出センサ202は、出金紙幣搬送路136の紙幣出金口122と振分部157との間にあって紙幣出金口122に繰り出される紙幣を検出するものである。
【0081】
紙幣検出センサ191〜202は、光学式センサであって、配置された場所における紙幣の残留検知のみならず、タイミングを計ったり、搬送の状況(重送、斜行等)を見たり、計数を行ったりと、複数の機能を有する。
【0082】
紙幣入出金装置部12は硬貨入出金装置部11と同様、制御部105で制御されることになり、制御部105には、図6に示すように、紙幣入出金装置部12の入金紙幣繰出部130と、入金紙幣搬送路131および分岐紙幣搬送路143,145を駆動する入金紙幣搬送駆動部205と、各スタッカ138〜140の出金紙幣繰出部138a,139a,140aと、出金紙幣搬送路136および繰出紙幣搬送路150〜152を駆動する出金紙幣搬送駆動部206と、リジェクト紙幣搬送路135を駆動するリジェクト紙幣搬送駆動部207と、紙幣識別部132と、振分部134,142,144,154,157と、紙幣検出センサ191〜202とが通信可能に接続されている。
【0083】
ここで、三つのスタッカ138〜140はすべて金種別とされ、例えば、万円券が万円券専用にスタッカ138に、千円券が千円券専用のスタッカ139に、五千円券が五千円券専用のスタッカ140にそれぞれ収納されるようになっている。なお、スタッカ138〜140の金種設定はこれに限らず変更可能である。
【0084】
制御部105は、タイムレコーダ300から出力される管理者の在席情報から管理者在席有りとした場合、紙幣の入金ルートを、紙幣入金口121から入金紙幣搬送路131に設けられた紙幣識別部132および振分部134を経て、金種別のスタッカ138〜140に収納する環流ルートに設定する環流モードを選択する。また、制御部105は、管理者の在席情報から管理者在席無しとした場合、紙幣の入金ルートを、紙幣入金口121から入金紙幣搬送路131に設けられた紙幣識別部132および振分部134、さらにはリジェクト紙幣搬送路135、振分部154および分岐紙幣搬送路155を経て、紙幣一時貯留部124に貯留する非環流ルートに設定する非環流モードを選択する。そして、制御部105は、非環流モードに設定した場合、非環流ルートの入金ルートで紙幣一時貯留部124に貯留した紙幣を、操作部108への承認操作入力時に紙幣収納庫125に収納する。
【0085】
紙幣入出金装置部12の側部には、環流ルートおよび非環流ルートを共通で構成する入金紙幣搬送路131の振分部134から上流側、振分部134、リジェクト紙幣搬送路135、振分部154、分岐紙幣搬送路155、振分部157および分岐紙幣搬送路158を、操作者がアクセス可能となるように開放する扉部(第2開放手段)330が設けられている。この扉部330は、ロック機構(許可手段)331で機体1に対し閉状態でロックされることになる。ロック機構331は、制御部105の駆動で扉部330の機体1に対するロックを解除し、扉部330が開状態から閉状態になると自動的に扉部330をロックする。入金紙幣搬送路131の振分部134から上流側、振分部134、リジェクト紙幣搬送路135、振分部154、分岐紙幣搬送路155、振分部157および分岐紙幣搬送路158は、異常発生時には、管理者権限を示すキー操作が無しでも、制御部105で制御されて、操作者がアクセス可能となるように開放可能となる。
【0086】
また、非環流ルートを構成する紙幣一時貯留部124は、引出部350に設けられている。この引出部350は、操作者が紙幣一時貯留部124にアクセス可能となるように引出機構(第2開放手段)351で機体1に対し前面側に引き出し可能に支持されている。引出部350は、ロック機構(許可手段)352で機体1に対し閉状態でロックされることになる。ロック機構352は、制御部105の駆動で引出部350の機体1に対するロックを解除し、引出部350が開状態から閉状態になると自動的に引出部350を機体1にロックする。引出部350に設けられた紙幣一時貯留部124は、ジャム等の異常発生時には、管理者権限を示すキー操作が無しでも、制御部105で制御されて、操作者がアクセス可能となるように引き出され開放される。
【0087】
また、紙幣入出金装置部12の側部には、環流ルートのみを構成する入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側、振分部142、分岐紙幣搬送路143、振分部144、分岐紙幣搬送路145、スタッカ138〜140、繰出紙幣搬送路150〜152、および出金紙幣搬送路136を、操作者がアクセス可能となるように開放する扉部(第1開放手段)335が設けられている。この扉部335は、ロック機構(許可手段)336で機体1に対し閉状態でロックされることになる。ロック機構336は、管理者が所持する管理キー307のキー操作で扉部335の機体1に対するロックを解除し、扉部335が開状態から閉状態になると自動的に扉部335をロックする。
【0088】
つまり、扉部335、ロック機構336は、管理者権限を示すキー操作有りのとき、環流ルートを構成する入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側、振分部142、分岐紙幣搬送路143、振分部144、分岐紙幣搬送路145、スタッカ138〜140、繰出紙幣搬送路150〜152、および出金紙幣搬送路136に、アクセスできるように開放可能とする。扉部330およびロック機構331は、管理者権限を示すキー操作無しのときでも、非環流ルートを構成する入金紙幣搬送路131の振分部134より上流側、振分部134、リジェクト紙幣搬送路135、振分部154、分岐紙幣搬送路155、振分部157および分岐紙幣搬送路158を操作者がアクセスできるように開放可能とする。引出機構351およびロック機構352は、管理者権限を示すキー操作無しのときでも、非環流ルートを構成する紙幣一時貯留部124を操作者がアクセスできるように開放可能とする。
【0089】
紙幣収納庫125は、機体1の前面に設けられた揺動開閉可能な扉部338が開放されることで、アクセス可能となっている。扉部338は、ロック機構339で機体1に対し閉状態でロックされることになる。ロック機構339は、管理者が所持する管理キー307のキー操作で扉部338の機体1に対するロックを解除し、扉部338が開状態から閉状態になると自動的に扉部338を機体1にロックする。
【0090】
次に、各処理について説明する。なお、上述した通り、制御部105は、タイムレコーダ300からの管理者の在席情報から管理者在席有りと判断した場合、入金処理について環流モードを選択し、管理者の在席情報から管理者在席無しと判断した場合、入金処理について非環流モードを選択する。
【0091】
〔環流モードでの入金処理〕
一の取引開始にあたって、硬貨入金口15に硬貨が投入され、紙幣入金口121に紙幣が投入された状態で、操作部108に、この一の取引の伝票金額の入力を含む入金操作が入力されると、制御部105は、硬貨入出金装置部11については硬貨入金処理の硬貨環流入金案内処理を開始することになり、紙幣入出金装置部12については紙幣入金処理の紙幣環流入金案内処理を開始することになる。
【0092】
「硬貨環流入金案内処理」
硬貨入金口15の硬貨をベルトコンベア31および図示せぬ分離ローラで一枚ずつ分離して入金硬貨搬送部27に繰り出し、入金硬貨搬送部27で搬送しつつ硬貨識別部44で識別する。そして、硬貨識別部44の識別結果に基づき、識別異常とされたリジェクト硬貨を、開閉リジェクト部45によりリジェクト孔46から落下させ硬貨リジェクト口16に繰り出させることで、機外にリジェクトする。
【0093】
他方、硬貨識別部44の識別結果に基づき、正常な硬貨と識別された受入硬貨を、閉状態の開閉リジェクト部45によってそのまま入金硬貨搬送部27の下流側に移動させる。その結果、受入硬貨を、選別孔53〜58の対応するもので選別して硬貨出金収納部70〜75の対応するものに貯留する。つまり、1円硬貨であれば選別孔53で硬貨出金収納部70に貯留し、50円硬貨であれば選別孔54で硬貨出金収納部71に貯留し、5円硬貨であれば選別孔55で硬貨出金収納部72に貯留し、100円硬貨であれば選別孔56で硬貨出金収納部73に貯留し、10円硬貨であれば選別孔57で硬貨出金収納部74に貯留し、500円硬貨であれば選別孔58で硬貨出金収納部75に貯留する。そして、制御部105は、硬貨識別部44の識別結果つまり金種毎の計数値をRAM107に一時的に記憶させる。
【0094】
そして、制御部105は、硬貨環流入金案内処理中に、入金硬貨繰出駆動部32および入金硬貨搬送駆動部39が駆動状態にあっても硬貨識別部44によって硬貨が検出されない状態が所定時間以上になると、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨を排出して硬貨出金収納部70〜75および硬貨リジェクト口16のいずれかに案内する硬貨環流入金案内処理が終了したと判定する。
【0095】
「紙幣環流入金案内処理」
制御部105は、紙幣入金口121の紙幣を入金紙幣繰出部130で一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路131に繰り出し、紙幣識別部132で識別する。そして、紙幣識別部132の識別結果に基づき、判別不能券または重送等の搬送異常券と識別された異常紙幣は、振分部134にて入金紙幣搬送路131からリジェクト紙幣搬送路135に振り分けられ、さらに振分部154および振分部157にて出金紙幣搬送路136を介して紙幣出金口122に繰り出されることで、機外に取出可能にリジェクトされる。
【0096】
他方、紙幣識別部132の識別結果に基づき、振分部134は、真券かつ搬送正常券と識別された受入紙幣をそのまま入金紙幣搬送路131の下流側に導き、スタッカ138〜140の対応するいずれかに上部から収納する。つまり、万円券であれば、振分部142で振り分けて分岐紙幣搬送路143からスタッカ138に収納し、千円券であれば、振分部142および振分部144で振り分けて分岐紙幣搬送路145からスタッカ139に収納し、五千円券であれば、振分部142および振分部144で振り分けて入金紙幣搬送路131を介してスタッカ140に収納する。ここで、制御部105は、紙幣識別部132の識別結果つまり金種毎の紙幣の計数値をRAM107に一時的に記憶させる。
【0097】
そして、制御部105は、紙幣環流入金案内処理中に、紙幣検出センサ191〜195,200,202のいずれによっても紙幣が検出されない状態が所定時間以上になると、紙幣入金口121からすべての紙幣を排出してスタッカ138〜140および紙幣出金口122のいずれかに案内する紙幣環流入金案内処理が終了したと判定する。
【0098】
硬貨環流入金案内処理および紙幣環流入金案内処理が共に終了したと判定すると、制御部105は、案内表示部109に今回の一の取引での硬貨環流入金案内処理における硬貨識別部44の計数結果と、今回の一の取引での紙幣環流入金案内処理の紙幣識別部132の計数結果とを表示させ、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、入金取消処理をするか、入金確定処理をするかを問う。
【0099】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力である入金確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、今回の一の取引で入力された伝票金額と、今回の一の取引での、硬貨環流入金案内処理による硬貨の入金金額と紙幣環流入金案内処理よる紙幣の入金金額との合計の貨幣入金金額とを比較する。
【0100】
そして、今回の一の取引での貨幣入金金額が伝票金額と等しければ、RAM107に一時的に記憶させていた今回の一の取引での入金処理の硬貨および紙幣の計数値を確定して記憶し、硬貨入出金装置部11における硬貨入金処理および紙幣入出金装置部12における紙幣入金処理を終了する。
【0101】
また、今回の一の取引での貨幣入金金額が伝票金額よりも大きければ、RAM107に一時的に記憶させていた今回の一の取引での入金処理の硬貨および紙幣の計数値を確定して記憶し、硬貨入出金装置部11における硬貨入金処理および紙幣入出金装置部12における紙幣入金処理を終了するとともに、差額分を釣銭として支払うために後述する硬貨出金処理および紙幣出金処理のうちの少なくともいずれか一方を行う。
【0102】
また、今回の一の取引での貨幣入金金額が伝票金額より小さければ、制御部105は、硬貨入出金装置部11においては硬貨環流返却案内処理を行い、紙幣入出金装置部12においては紙幣環流返却案内処理を行う。
【0103】
「硬貨環流返却案内処理」
制御部105は、入金された金額と同金額の入金された硬貨とは別の硬貨を硬貨出金収納部70〜75から出金計数センサ70A〜75Aで計数しつつ出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、振分部92で硬貨出金口17に繰り出させる。そして、返却に必要な枚数の硬貨が硬貨出金口17に繰り出され貯留されたことが出金計数センサ82の計数により検出されると、制御部105は、硬貨環流返却案内処理が終了したと判定し、RAM107に一時的に記憶させていた今回の一の取引での入金処理の硬貨の計数値を消去して、硬貨入金処理を終了する。これに対し、操作者は、硬貨出金口17および返却箱19に返却された硬貨を取り出すことになる。
【0104】
「紙幣環流返却案内処理」
制御部105は、スタッカ138〜140に入金された金額と同金額の入金された紙幣とは別の紙幣をスタッカ138〜140から出金紙幣繰出部138a,139a,140aによって出金紙幣搬送路136に繰り出させ、振分部154および振分部157で振り分けて紙幣出金口122に払い出させる。そして、返却に必要な枚数の紙幣が紙幣出金口122に繰り出され貯留されたことが紙幣検出センサ202の計数により検出されると、制御部105は、紙幣環流返却案内処理が終了したと判定し、RAM107に一時的に記憶させていた今回の一の取引での入金処理の紙幣の計数値を消去して、紙幣入金処理を終了する。これに対し、操作者は、紙幣出金口122から紙幣を取り出すことになる。なお、返却動作中に紙幣検出センサ196〜199でスタッカ138〜140から繰り出される紙幣の中に重送等の搬送異常券が検出されると、搬送異常券を振分部157で分岐紙幣搬送路158側に振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納する。
【0105】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力ではない入金取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、硬貨入出金装置部11について上記した硬貨環流返却案内処理を行うとともに、紙幣入出金装置部12について上記した紙幣環流返却案内処理を行う。
【0106】
なお、以上の環流モードでの入金処理中に、硬貨入出金装置部11にジャム等の異常が発生すると、制御部105は、自動的に第1段階ロック機構305のロックを解除し、上部ユニット301を第1段階まで引き出して入金硬貨搬送部27の硬貨入金口15から開閉選別部50までを操作者がアクセスできるように開放可能とする。これにより硬貨の環流ルートのうちの非環流ルートと共通の部分が開放可能となる。これに加えて、管理者が管理キー307のキー操作を行うことにより、ロック機構306のロックを解除すると、環流ルートの専用部分も開放可能となる。つまり、上部ユニット301を機体1に対して第2段階まで引き出すことで、選別孔53〜58に操作者がアクセスできるようになり、さらに、開閉機構309を介して入金硬貨搬送部27を上側に揺動させることで、硬貨出金収納部70〜75に操作者がアクセスできるようになる。このようにして、管理者の管理のもと、硬貨の環流ルートのジャムを解消する。
【0107】
同様に、環流モードでの入金処理中に、紙幣入出金装置部12にジャム等の異常が発生すると、制御部105は、ロック機構331のロックを解除し、入金紙幣搬送路131の振分部134よりも上流側、振分部134、リジェクト紙幣搬送路135、振分部154、分岐紙幣搬送路155、振分部157および分岐紙幣搬送路158を開放可能とする。これにより紙幣の環流ルートのうちの非環流ルートと共通の部分が開放可能となる。これに加えて、管理者が管理キー307のキー操作を行うことにより、ロック機構336のロックを解除すると、環流ルートの専用部分も開放可能となる。つまり、入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側、振分部142、分岐紙幣搬送路143、振分部144、分岐紙幣搬送路145、スタッカ138〜140、繰出紙幣搬送路150〜152、および出金紙幣搬送路136に、操作者がアクセスできるようになる。このようにして、管理者の管理のもと、紙幣の環流ルートのジャムを解消する。
【0108】
〔非環流モードでの入金処理〕
一の取引開始にあたって、硬貨入金口15に硬貨が投入され、紙幣入金口121に紙幣が投入された状態で、操作部108に、この一の取引の伝票金額の入力を含む入金操作が入力されると、制御部105は、硬貨入出金装置部11については硬貨入金処理の硬貨非環流入金案内処理を開始することになり、紙幣入出金装置部12については紙幣入金処理の紙幣非環流入金案内処理を開始することになる。
【0109】
「硬貨非環流入金案内処理」
制御部105は、硬貨入金口15の硬貨をベルトコンベア31および図示せぬ分離ローラで一枚ずつ分離して入金硬貨搬送部27に繰り出し、入金硬貨搬送部27で搬送しつつ硬貨識別部44で識別する。そして、硬貨識別部44の識別結果に基づき、識別異常とされたリジェクト硬貨を、開閉リジェクト部45によりリジェクト孔46から落下させ硬貨リジェクト口16に繰り出させることで、機外にリジェクトする。
【0110】
他方、硬貨識別部44の識別結果に基づき、正常な硬貨と識別された受入硬貨を、開状態の開閉選別部50によってシュート59を介して硬貨一時貯留部18に貯留する。そして、制御部105は、硬貨識別部44の識別結果つまり金種毎の計数値をRAM107に一時的に記憶させる。
【0111】
そして、制御部105は、硬貨非環流入金案内処理中に、入金硬貨繰出駆動部32および入金硬貨搬送駆動部39が駆動状態にあっても硬貨識別部44によって硬貨が検出されない状態が所定時間以上になると、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨を排出して硬貨一時貯留部18および硬貨リジェクト口16のいずれかに案内する硬貨非環流入金案内処理が終了したと判定する。
【0112】
「紙幣非環流入金案内処理」
制御部105は、紙幣入金口121の紙幣を入金紙幣繰出部130で一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路131に繰り出し、紙幣識別部132で識別する。そして、紙幣識別部132の識別結果に基づき、判別不能券または重送等の搬送異常券と識別された異常紙幣は、振分部134にて入金紙幣搬送路131からリジェクト紙幣搬送路135に振り分けられ、さらに振分部154および振分部157にて出金紙幣搬送路136を介して紙幣出金口122に繰り出されることで、機外に取出可能にリジェクトされる。
【0113】
他方、紙幣識別部132の識別結果に基づき、真券かつ搬送正常券と識別された受入紙幣を、振分部134によりリジェクト紙幣搬送路135に案内し、振分部154によって、分岐紙幣搬送路155に案内して、紙幣一時貯留部124に貯留する。ここで、制御部105は、紙幣識別部132の識別結果つまり金種毎の紙幣の計数値をRAM107に一時的に記憶させる。
【0114】
そして、制御部105は、紙幣非環流入金案内処理中に、紙幣検出センサ191〜192,200,202のいずれによっても紙幣が検出されない状態が所定時間以上になると、紙幣入金口121からすべての紙幣を排出して、紙幣出金口122および紙幣一時貯留部124のいずれかに案内する紙幣非環流入金案内処理が終了したと判定する。
【0115】
硬貨非環流入金案内処理および紙幣非環流入金案内処理が共に終了したと判定すると、制御部105は、案内表示部109に今回の一の取引での硬貨非環流入金案内処理における硬貨識別部44の計数結果と、今回の一の取引での紙幣非環流入金案内処理の計数結果とを表示させ、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、入金取消処理をするか、入金確定処理をするかを問う。
【0116】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力である入金確定処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、今回の一の取引で入力された伝票金額と、今回の一の取引での、硬貨非環流入金案内処理による硬貨の入金金額と紙幣非環流入金案内処理よる紙幣の入金金額との合計の貨幣入金金額とを比較する。
【0117】
そして、今回の一の取引での貨幣入金金額が伝票金額より小さければ、制御部105は、案内表示部109に入金金額が伝票金額より小さい旨のアラーム表示を行うとともに、硬貨入出金装置部11について硬貨非環流返却案内処理を行うとともに、紙幣入出金装置部12について紙幣非環流返却案内処理を行う。
【0118】
「硬貨非環流返却案内処理」
制御部105は、硬貨入出金装置部11において、囲壁部95を返却箱19の方向にスライドさせ、底板96を返却箱19とは反対方向にスライドさせることで、硬貨一時貯留部18の硬貨を返却箱19に放出する。そして、硬貨一時貯留部18を待機位置に戻すと、硬貨非環流返却案内処理が終了したと判定し、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨の計数値を消去して、硬貨入金処理を終了する。これに対し、操作者は、返却箱19に返却された硬貨を取り出すことになる。
【0119】
「紙幣非環流返却案内処理」
制御部105は、紙幣入出金装置部12において、ロック機構350のロックを解除して紙幣一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171を引出部350とともに機体1から引き出し可能とする。これに対し、操作者は、紙幣出金口122および紙幣一時貯留部124から紙幣を取り出すことになる。そして、紙幣一時貯留部124が機体に押し込まれロック機構352がロックされたことが検出されると、制御部105は、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の紙幣の計数値を消去して、紙幣入金処理が終了したと判定する。
【0120】
また、今回の一の取引での貨幣入金金額が伝票金額と等しければ、硬貨入出金装置部11について硬貨非環流入金収納処理を行うとともに、紙幣入出金装置部12について紙幣非環流入金案内処理を行う。
【0121】
「硬貨非環流入金収納処理」
制御部105は、硬貨入出金装置部11について、硬貨一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95をシュート99側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96をシュート99とは反対方向にスライドさせることで、硬貨をシュート99を介して硬貨収納庫20に収納するとともに、RAM107に一時的に記憶させていた今回の一の取引での入金処理の硬貨の計数値を確定して記憶し、硬貨入出金装置部11における硬貨入金処理を終了する。
【0122】
「紙幣非環流入金収納処理」
制御部105は、紙幣入出金装置部12について、開閉スライド部172によって紙幣一時貯留部124の一対の底板171を離間方向にスライドさせることで、一対の底板171上に一時貯留していた紙幣を囲壁部170の下部開口から落下させてフラッパ182上に載置させる。次に、制御部105は、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を下降させ、プッシャ173により一対のフラッパ182上の紙幣を下方に押圧して、一対のフラッパ182を開き、紙幣を一対のフラッパ182より下側に移動させて載置板183上またはその上にすでに収納されている紙幣上に載置させることになり、その後、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を待機位置まで上昇させる。すると、載置板183が図示略のスプリングの付勢力で紙幣を閉状態のフラッパ182との間で挟んで保持する。これにより、紙幣一時貯留部124の紙幣を紙幣収納庫125に収納する。制御部105は、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の紙幣の計数値を確定して記憶し、紙幣入出金装置部12における入金入金処理を終了する。
【0123】
また、今回の一の取引での貨幣入金金額が伝票金額よりも大きい場合、つまり釣銭が発生する場合、制御部105は、今回の一の取引の貨幣入金金額と、硬貨収納庫20の在り高(リセット時から前回の取引までの硬貨分の入金金額の累計金額)と、紙幣収納庫125の在り高(リセット時から前回の取引までの紙幣分の入金金額の累計金額)との加算値が、今回の一の取引の伝票金額を含む伝票金額の累計値(リセット時から今回の取引までの伝票金額の合計金額)を超えるか否かを判定する。この加算値が、伝票金額の累計値を超えない場合、つまり加算値が伝票金額の累計値以下である場合、上記した硬貨非環流入金収納処理および紙幣非環流入金収納処理を行って、硬貨一時貯留部18の硬貨をシュート99を介して硬貨収納庫20に収納するとともに、紙幣一時貯留部124の紙幣をプッシャ173で紙幣収納庫125に収納する。加えて、RAM107に一時的に記憶させていた今回の一の取引での入金処理の硬貨および紙幣の計数値を確定して記憶し、硬貨入出金装置部11における硬貨入金処理を終了するとともに、紙幣入出金装置部12における紙幣入金処理を終了する。
【0124】
他方、今回の一の取引での貨幣入金金額が伝票金額よりも大きい場合であって、上記の加算値が伝票金額の累計値を超える場合、制御部105は、案内表示部109に、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の在り高である機内収納金額が、伝票金額の累計値である売上金額を超えてしまう旨のアラーム表示を表示させるとともに、上記した硬貨非環流返却案内処理および紙幣非環流返却案内処理を行って、硬貨一時貯留部18の硬貨を返却箱19に放出するとともに、紙幣一時貯留部124の引き出しを可能とする。そして、制御部105は、硬貨一時貯留部18を待機位置に戻して、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨の計数値を消去して、硬貨入金処理を終了するとともに、紙幣一時貯留部124が機体に押し込まれロック機構352がロックされたことが検出されると、制御部105は、RAM107に一時的に記憶させていた今回の入金処理の紙幣の計数値を消去して、紙幣入金処理を終了する。
【0125】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力ではない入金取消処理の選択操作を操作部108に入力すると、制御部105は、硬貨入出金装置部11について上記した硬貨非環流返却案内処理を行うとともに、紙幣入出金装置部12について上記した紙幣非環流返却案内処理を行う。
【0126】
なお、制御手段105は、上記した一の取引中に、タイムレコーダ300から出力される管理者の在席情報が管理者在席有りから管理者在席無しに切り換わった場合、当該一の取引終了までは、硬貨および紙幣の入金ルートを上記した環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、硬貨および紙幣の入金ルートを上記した非環流ルートに切り換えることになる。
【0127】
また、制御手段105は、上記した一の取引中に、タイムレコーダ300から出力される管理者の在席情報が管理者在席無しから管理者在席有りに切り換わった場合、当該一の取引終了までは、硬貨および紙幣の入金ルートを上記した非環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、硬貨および紙幣の入金ルートを上記した環流ルートに切り換えることになる。
【0128】
なお、タイムレコーダ300には、報知部(報知手段)341が設けられており、管理者がタイムレコーダ300に対し在席しない状態となる外出の操作あるいは退社の操作を行うと、管理者が管理する複数の貨幣処理機10のうちのいずれかが上記した一の取引中である状態では、報知部341が、取引中の貨幣処理機10が有る旨を報知する。他方、管理者が管理する複数の貨幣処理機10のいずれも上記した一の取引中でない状態では、報知部341が、取引中の貨幣処理機10がない旨を報知する。
【0129】
なお、以上の非環流モードでの入金処理中に、硬貨入出金装置部11にジャム等の異常が発生すると、制御部105は、自動的に第1段階ロック機構305およびロック機構312のロックを解除し、入金硬貨搬送部27の硬貨入金口15から開閉選別部50までを操作者がアクセスできるように開放可能とするとともに、硬貨一時貯留部18に操作者がアクセスできるように引出部310を開放可能とする。つまり、硬貨の非環流ルートが開放可能となる。このとき、管理者は不在のため、第2段階ロック機構306はロックを解除できず、選別孔53〜58および硬貨出金収納部70〜75を含む環流ルートの専用部分は開放不可となる。このようにして、担当者レベルでも可能な非環流ルートのジャム等の異常を解消する。
【0130】
同様に、非環流モードでの入金処理中に、紙幣入出金装置部12にジャム等の異常が発生すると、制御部105は、ロック機構331およびロック機構352のロックを解除し、入金紙幣搬送路131の振分部134から上流側、振分部134、リジェクト紙幣搬送路135、振分部154、分岐紙幣搬送路155、振分部157および分岐紙幣搬送路158と、紙幣一時貯留部124とを開放可能とする。これにより紙幣の非環流ルートが開放可能となる。このとき、管理者は不在のため、ロック機構336のロックは解除されず、振分部142、振分部144およびスタッカ138〜140を含む紙幣の環流ルートの専用部分は開放不可となる。このようにして、担当者レベルでも可能な非環流ルートのジャム等の異常を解消する。
【0131】
〔出金処理〕
制御部105は、今回の一の取引にて、上記硬貨入金処理で入金された硬貨の入金金額と、紙幣入金処理で入金された紙幣の入金金額との合計の貨幣入金金額と、操作部108に入力された伝票金額の合計値とから、まず、入金金額の合計値から伝票金額の合計値を減算した釣銭総金額を算出し、この釣銭総金額から硬貨出金分および紙幣出金分の釣銭金額を算出して、硬貨出金処理および紙幣出金処理の少なくともいずれか一方を行う。
【0132】
「硬貨出金処理」
制御部105は、硬貨出金分の釣銭金額を最小枚数で構成する出金パターンを算出する。そして、この出金パターンで硬貨を出金させるように、出金計数センサ70A〜75Aで計数しつつ硬貨出金収納部70〜75の対応するものから硬貨を出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、閉状態の振分部92で硬貨出金口17に案内する。そして、この出金パターンの釣銭硬貨が硬貨出金口17に繰り出されたことが出金計数センサ70A〜75Aの計数により検出されると、制御部105は、今回の硬貨出金処理での計数値を記憶するとともに、硬貨出金処理が終了したと判定する。
【0133】
「紙幣出金処理」
制御部105は、紙幣出金分の釣銭金額を最小枚数で構成する出金パターンを算出する。そして、この出金パターンで紙幣を出金させるように、紙幣検出センサ197,198で計数しつつスタッカ139,140の対応するものから紙幣を、出金紙幣繰出部139a,140aで、繰出紙幣搬送路151,152の対応するものに繰り出させて、振分部154および振分部157で振り分けて、出金紙幣搬送路136によって紙幣出金口122に案内する。なお、出金動作中にセンサ197〜199で多重搬送等の搬送異常紙幣が検出されると、この搬送異常紙幣を振分部157で振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納させる。そして、出金に必要な枚数の紙幣が紙幣出金口122に繰り出され貯留されたことがセンサ202の計数により検出されると、制御部105は、今回の紙幣出金処理での計数値を記憶するとともに、紙幣出金処理が終了したと判定する。
【0134】
〔売上金収納処理〕
操作部108に、売上金確定操作入力が入力されると、制御部105は、前回の硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の機外回収時にリセットされ、その後、再び累計された入金処理の伝票金額(つまり売上金)の累計値を算出するとともに、前回の硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の機外回収時(空の硬貨収納庫20および紙幣収納庫125への交換時)にいずれもリセットされ、その後、計数された硬貨収納庫20内の硬貨の在り高および紙幣収納庫125内の紙幣の在り高とを算出する。そして、硬貨収納庫20内の硬貨の在り高と紙幣収納庫125内の紙幣の在り高との加算値を、伝票金額の累計値から減算し、不足金額を算出する。そして、不足金額がある場合、不足金額を補うべく、硬貨補充処理および紙幣補充処理の少なくともいずれか一方を行う。
【0135】
「硬貨補充処理」
制御部105は、不足金額のうちの硬貨分を最小枚数で構成する補充パターンを算出する。そして、この補充パターンで硬貨を補充するように、出金計数センサ70A〜75Aで計数しつつ硬貨出金収納部70〜75の対応するものから硬貨を出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、開状態の振分部92で硬貨一時貯留部18に案内する。そして、この補充パターンの硬貨が硬貨一時貯留部18に繰り出されたことが出金計数センサ70A〜75Aの計数により検出されると、制御部105は、硬貨一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95をシュート99側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96をシュート99とは反対方向にスライドさせることで、硬貨をシュート99を介して硬貨収納庫20に収納する。
【0136】
「紙幣補充処理」
制御部105は、不足金額のうちの紙幣分を最小枚数で構成する補充パターンを算出する。そして、この補充パターンで紙幣を補充するように、紙幣検出センサ196〜198で計数しつつスタッカ138〜140の対応するものから紙幣を、出金紙幣繰出部138a〜140aで、繰出紙幣搬送路150〜152の対応するものに繰り出させて、振分部154で振り分けて、紙幣一時貯留部124に案内する。なお、出金動作中にセンサ197〜199で多重搬送等の搬送異常紙幣が検出されると、この搬送異常紙幣を振分部157で振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納させる。そして、出金に必要な金種および枚数の紙幣が紙幣一時貯留部124に繰り出され貯留されたことがセンサ196〜200の計数により検出されると、制御部105は、開閉スライド部172によって紙幣一時貯留部124の紙幣をフラッパ182上に載置させ、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を下降させて、プッシャ173により紙幣を紙幣収納庫125に収納する。
【0137】
これら硬貨補充処理および紙幣補充処理によって、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の在り高が、伝票金額の累計値つまり売上金額と一致することになり、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125が回収されることで、売上金が回収されることになる。
【0138】
以上に述べた本実施形態の貨幣処理システムによれば、制御部105が、タイムレコーダ300から出力される在席情報から、管理者在席有りの場合、硬貨の入金ルートを選別孔53〜58を経て金種別の硬貨出金収納部70〜75に収納する環流ルートに設定するとともに、紙幣の入金ルートを振分部142,144を経て金種別のスタッカ138〜140に収納する環流ルートに設定する。他方、管理者在席無しの場合、硬貨の入金ルートを開閉選別部50を経て全金種一括の硬貨一時貯留部18に収納する非環流ルートに設定するとともに、紙幣の入金ルートを振分部134を経て全金種一括の紙幣一時貯留部124に収納する非環流ルートに設定する。このため、管理者が在席しない状況では、硬貨一時貯留部18に硬貨を、紙幣一時貯留部124に紙幣を貯留する非環流ルートで搬送し、その際に、制御部105が、硬貨一時貯留部18に貯留した硬貨および紙幣一時貯留部124に貯留した紙幣を、操作部108への承認操作入力時に、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125に収納することになる。したがって、管理者が不在の状況では、入金した貨幣についての承認操作入力前の返却時に、入金された貨幣をそのまま返却することが可能となり、使用者と管理者側との間のトラブルを極力回避することができる。
【0139】
また、管理者権限有りつまり管理キー307があるとき、制御部105および第1段階ロック機構305と、第2段階ロック機構306とが、引出機構302の第2段階までの開放と開閉機構309の開放とを許可することにより、非環流ルートと兼用の開閉選別部50と、環流ルート専用の選別孔53〜58および硬貨出金収納部70〜75とを開放可能となる。それとともに、制御部105、ロック機構331およびロック機構336が扉部330および扉部335の開放を許可することにより、非環流ルートと兼用の振分部134,154と、環流ルート専用の振分部142,144および金種別のスタッカ138〜140とを開放可能となる。他方、管理者権限無しつまり管理キー307がないとき、制御部105、第1段階ロック機構305およびロック機構312が、引出機構302の第1段階までの開放と引出部310の開放とを許可することにより、非環流ルートの開閉選別部50および硬貨一時貯留部18を開放可能となる。それとともに、制御部105、ロック機構331およびロック機構352が、扉部330および紙幣一時貯留部124の開放を許可することにより、非環流ルートの振分部134,154および紙幣一時貯留部124を開放可能となる。したがって、管理者権限無しの状況で、一の取引中に貨幣処理機10にジャム等の異常が発生すると、この取引で入金された貨幣の入金ルートである非環流ルートのみをアクセス可能に開放し、その前までに入金された貨幣にアクセス可能な環流ルート専用の選別孔53〜58および硬貨出金収納部70〜75と環流ルート専用の振分部142,144および金種別のスタッカ138〜150とへのアクセスは規制することができる。よって、管理者が不在の状態でも、管理上問題を生じることなく、貨幣処理機10を異常から復旧可能となる。
【0140】
また、制御部105が、一の取引において、管理者在席無しの場合、この一の取引の入金金額が伝票金額より大きいと判断すると、この一の取引の入金金額と、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の在り高との加算値が、この一の取引の伝票金額を含む伝票金額の累計値を超えない場合に、硬貨一時貯留部18に貯留した硬貨を硬貨収納庫20に、紙幣一時貯留部124に貯留した紙幣を紙幣収納庫125に収納するため、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の合計の在り高が伝票金額つまり売上金の累計値を超えてしまうことがなくなる。よって、貨幣の機外回収時に、硬貨収納庫20あるいは紙幣収納庫125から売上金を上回る分の貨幣を取り除く必要がなくなり、管理上安全となる。
【0141】
また、制御部105が、一の取引において、管理者在席無しの場合、この一の取引の入金金額が伝票金額より大きいと判断すると、この一の取引の入金金額と、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の在り高との加算値が、この一の取引の伝票金額を含む伝票金額の累計値を超える場合には、硬貨一時貯留部18に貯留した硬貨を返却箱19に返却するとともに、紙幣一時貯留部124に貯留した紙幣を紙幣一時貯留部124を引き出し可能として返却するため、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の在り高が伝票金額つまり売上金の累計値を超えてしまうことがなくなる。よって、貨幣の機外回収時に、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125から売上金を上回る分の貨幣を取り除く必要がなくなり、管理上安全となる。その上、返却箱19および紙幣一時貯留部124で返却することで、その後の他の取引が可能な状況になる。なお、返却された貨幣については、管理者在席有りの状況となったら、環流ルートで入金することになる。
【0142】
また、制御部105は、操作部108への売上金確定操作入力時に、伝票金額の累計値から硬貨収納庫20および紙幣収納庫125の在り高を減算した金額分の貨幣を金種別の硬貨出金収納部70〜75およびスタッカ138〜140から、硬貨収納庫20および紙幣収納庫125に収納するため、貨幣の機外回収時に硬貨収納庫20および紙幣収納庫125ごと回収すれば、貨幣の機外回収時に売上金の金額をそのまま回収することができる。
【0143】
また、タイムレコーダ300が、複数台の貨幣処理機10と通信可能であるため、複数台の貨幣処理機10でタイムレコーダ300を共用して、管理者の在席状況に基づいた上記処理を行うことができる。
【0144】
また、一の取引中に、タイムレコーダ300からの在席情報が、管理者在席有りから管理者在席無しに切り換わった場合でも、制御部105は、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを非環流ルートに切り換えるため、処理の途中で入金ルートが切り換わってしまうことがなくなる。したがって、管理上好ましい。
【0145】
また、一の取引中に、タイムレコーダ300からの在席情報が、管理者在席無しが管理者在席有りに切り換わった場合でも、制御部105は、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを非環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを環流ルートに切り換えるため、処理の途中で入金ルートが切り換わってしまうことがなくなる。したがって、管理上好ましい。
【0146】
また、タイムレコーダ300に設けられた報知部341が、貨幣処理機10が取引中である旨を管理者に対し報知するため、貨幣処理機10が取引中に管理者が不在となる状況を回避可能となる。つまり、使用者が貨幣処理機10で取引を行っている最中に管理者が不在になってしまうと、この取引分のみは貨幣処理機10は環流モードの入金ルートにて動作を行っているので、レアケースとはなるものの、仮に当該取引中に使用者が取引をキャンセルして現金を返却する際や、更には異常が発生した際には、問題が生じることになるが、管理者が在席から不在となる場合に、取引中の貨幣処理機10が有る旨を報知することでこのような懸念がなくなる。また、管理者がタイムレコーダ300で不在となる操作を行う際に現在貨幣処理機10が取引を行っていなければ、その旨を報知部341によって報知するため、管理者は安心して不在となることができる。
【0147】
尚、以上にて説明した実施形態では、紙幣入出金装置部12は便宜上三つの金種別のスタッカ138〜140を有するものとしたが、個数は三つに限られるものではない。また、金種別のスタッカ138〜140の金種設定となる紙幣、つまり万円券,五千円券,千円券は管理者在席有りで貨幣の入金ルートが環流ルートに設定された場合には、環流対象となるこれらの紙幣は入金処理の際にスタッカ138〜140の対応するいずれかに上部から収納される旨説明したが、これに限らず何れかのスタッカ138〜140が収納容量満杯発生となってそれ以上収納できないオーバーフロー分の万円券,五千円券,千円券については、紙幣一時貯留部124へ導いて貯留するようにしても良い。同様に、環流対象外の紙幣、つまりは2千円券についても紙幣一時貯留部124へ導いて貯留するようにすれば良い。つまりは、管理者在席有りで貨幣の入金ルートが環流ルートに設定された場合には、これらの紙幣の収納先、貯留先については上述した説明内容に制限されるものではなく、少なくとも環流対象外の金種である2千券が環流対象となる金種別のスタッカ138〜140のいずれでもなく紙幣一時貯留部124へ導いて貯留されるように制御されれば良い事になる。そして逆に、管理者在席無しで貨幣の入金ルートが非環流ルートに設定された場合には、環流対象外の金種である2千券のみではなく、環流対象となる万円券,五千円券,千円券も含めて全ての紙幣が環流対象となる金種別のスタッカ138〜140のいずれでもなく、紙幣一時貯留部124のみに導いて貯留されるように制御されれば良い事になる。
【符号の説明】
【0148】
1 機体(許可手段)
10 貨幣処理機
15 硬貨入金口(投入手段)
17 硬貨出金口(払出手段)
18 硬貨一時貯留部(貯留手段)
19 返却箱(返却手段)
20 硬貨収納庫(収納手段)
44 硬貨識別部(入金識別手段)
50 開閉選別部(第2の振分手段)
53〜58 選別孔(第1の振分手段)
70〜75 硬貨出金収納部(環流手段)
105 制御部(管理者在席状況管理手段,ルート切換手段,制御手段,比較手段,許可手段)
108 操作部(操作手段)
121 紙幣入金口(投入手段)
122 紙幣出金口(払出手段)
124 紙幣一時貯留部(貯留手段,返却手段)
125 紙幣収納庫(収納手段)
132 紙幣識別部(入金識別手段)
134,154 振分部(第2の振分手段)
138〜140 スタッカ(環流手段)
142,144 振分部(第1の振分手段)
300 タイムレコーダ(管理者在席状況管理手段)
302 引出機構(第1開放手段,第2開放手段)
305 第1段階ロック機構(許可手段)
306 第2段階ロック機構(許可手段)
307 管理キー(許可手段)
309 開閉機構(第1開放手段)
311 引出機構(第2開放手段)
312 ロック機構(許可手段)
330 扉部(第2開放手段)
331 ロック機構(許可手段)
335 扉部(第1開放手段)
336 ロック機構(許可手段)
341 報知部(報知手段)
351 引出機構(第2開放手段)
352 ロック機構(許可手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された貨幣を繰り出す投入手段と、
該投入手段から繰り出された貨幣を識別する入金識別手段と、
該入金識別手段で正常と識別された貨幣を金種別に振り分ける第1の振分手段と、
該第1の振分手段で振り分けられた貨幣を繰り出し可能に収納する金種別の環流手段と、
前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を払い出す払出手段と、
前記金種別の環流手段から繰り出された貨幣を一時貯留する貯留手段と、
該貯留手段の貨幣を収納する収納手段と、
前記貯留手段の貨幣を返却する返却手段と、
前記入金識別手段で正常と識別された貨幣を前記貯留手段に振り分ける第2の振分手段と、
貨幣の取引操作の入力がなされる操作手段と、
を有する貨幣処理機と、
管理者の在席の有無を管理する管理者在席状況管理手段と、
を備えた貨幣処理システムにおいて、
前記管理者在席状況管理手段が管理者在席有りとした場合、貨幣の入金ルートを前記第1の振分手段を経て前記金種別の環流手段に収納する環流ルートに設定し、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、貨幣の入金ルートを前記第2の振分手段を経て前記貯留手段に貯留する非環流ルートに設定するルート切換手段と、
該ルート切換手段が貨幣の入金ルートを前記非環流ルートに設定している場合、前記貯留手段に貯留した貨幣を、前記操作手段への承認操作入力時に前記収納手段に収納する制御手段とを有することを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記第1の振分手段および前記金種別の環流手段を開放可能な第1開放手段と、
前記第2の振分手段および前記貯留手段を開放可能な第2開放手段と、
これら第1開放手段および第2開放手段の開放を許可する許可手段と、を有し、
前記許可手段は、管理者権限有りのとき前記第1開放手段および前記第2開放手段の両方の開放を許可する一方、管理者権限無しのとき前記第2開放手段のみの開放を許可することを特徴とする請求項1記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
一の取引で前記入金識別手段の識別結果に基づき割り出される貨幣の入金金額と前記一の取引の伝票金額とを比較する比較手段を備え、
前記制御手段は、前記一の取引において、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、前記比較手段の比較結果から前記入金金額が前記伝票金額より大きいと判断すると、前記一の取引の入金金額と前記収納手段の在り高との加算値が、前記一の取引の前記伝票金額を含む前記伝票金額の累計値を超えない場合に、前記貯留手段に貯留した貨幣を、前記操作手段への承認操作入力時に前記収納手段に収納することを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
一の取引で前記入金識別手段の識別結果に基づき割り出される貨幣の入金金額と前記一の取引の伝票金額とを比較する比較手段を備え、
前記制御手段は、前記一の取引において、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しとした場合、前記比較手段の比較結果から前記入金金額が前記伝票金額より大きいと判断すると、前記一の取引の入金金額と前記収納手段の在り高との加算値が、前記一の取引の前記伝票金額を含む前記伝票金額の累計値を超える場合に、前記貯留手段に貯留した貨幣を、前記返却手段に返却することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記操作手段への売上金確定操作入力時に、伝票金額の累計値から前記収納手段の在り高を減算した金額分の貨幣を前記金種別の環流手段から前記収納手段に収納することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記管理者在席状況管理手段が、複数台の前記貨幣処理機と通信可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記ルート切換手段は、一の取引中に、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席有りを管理者在席無しに切り換えた場合、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを前記環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを前記非環流ルートに切り換えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記ルート切換手段は、一の取引中に、前記管理者在席状況管理手段が管理者在席無しを管理者在席有りに切り換えた場合、当該一の取引終了までは、貨幣の入金ルートを前記非環流ルートに設定し続け、当該一の取引終了後に、貨幣の入金ルートを前記環流ルートに切り換えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記貨幣処理機が取引中である旨を管理者に対し報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の貨幣処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−197760(P2011−197760A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60991(P2010−60991)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】