説明

貨幣識別装置

【課題】正確な日時情報を得ることの可能な貨幣識別装置を提供する。
【解決手段】自動販売機の主制御部と通信可能に設けられ、硬貨が投入されると投入硬貨の正偽及び金種を識別する貨幣識別装置1において、前記主制御部から所定のタイミングで日時情報を取得するように制御する制御装置100を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機等に用いられる貨幣識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貨幣識別装置として、自動販売機の主制御部と通信可能に設けられ、貨幣が投入されると投入貨幣の正偽及び金種を識別するものが知られている。
【0003】
この貨幣識別装置には日時情報を送信する時計回路が設けられており、該貨幣識別装置は、各種動作が行われたときの日時情報を該時計回路から取得するようになっている。
【特許文献1】実開昭58−124872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来例では、貨幣識別装置内の時計回路から日時情報を取得しているので、例えば貨幣識別装置内のクロック周波数にずれが生じた場合には、自動販売機内の時計と同期した正確な日時情報が得られず、故障箇所の特定や貨幣の投入履歴の取得等を適正に行うことが困難になるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、正確な日時情報を得ることの可能な貨幣識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、自動販売機の主制御部と通信可能に設けられ、貨幣が投入されると投入貨幣の正偽及び金種を識別する貨幣識別装置において、前記主制御部から所定のタイミングで日時情報を取得する日時情報取得手段を備えている。
【0007】
これにより、日時情報が所定のタイミングで主制御部から取得されることから、例えば貨幣識別装置内のクロック周波数にずれが生じた場合でも、自動販売機内の時計と同期した正確な日時情報を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、例えば貨幣識別装置内のクロック周波数にずれが生じた場合でも、自動販売機内の時計と同期した正確な日時情報を得ることができるので、経時劣化等の故障原因の特定や貨幣の投入履歴の取得等を適正に行うことができ、利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図4は本発明の第1の実施形態を示すもので、図1は貨幣識別装置の概略構成図、図2は制御装置の機能ブロック図、図3は履歴情報のデータ構造の一例を示す図、図4は日時情報を取得する際の動作を説明するシーケンス図である。
【0010】
まず、図1及び図2を参照して貨幣識別装置の構成について説明する。本実施形態の貨幣識別装置1は自動販売機の主制御部200と通信可能に設けられており、図1に示すように、貨幣としての硬貨2の投入口11と、投入口11から投入された硬貨2を案内する硬貨案内通路12と、硬貨案内通路12を通過中の硬貨2の正偽及び金種を識別する金種識別装置20と、硬貨案内通路12を通過した硬貨2を返却側通路又は受け入れ金種毎の各通路に振り分ける硬貨振分装置30と、硬貨振分装置30により振り分けられた硬貨2を収納する硬貨収納筒40と、硬貨収納筒40に収納されている硬貨2を排出する硬貨排出装置50と、日時情報取得手段としての制御装置100(図1では図示省略)とを備えている。なお、投入口11、硬貨案内通路12、金種識別装置20、硬貨振分装置30、硬貨収納筒40、硬貨搬出装置50の構成については従来のものと同様なので、ここでの詳述は省略する。
【0011】
硬貨収納筒40は、金種毎に形成された複数のチューブ40A〜40Eからなる。硬貨振分装置30は、制御装置100からの指示に基づき動作し、投入硬貨2を硬貨収納筒40の各チューブ40A〜40Eに振り分けるとともに、必要に応じて投入硬貨2を所定の返却口3や金庫(図示省略)に振り分ける。また、金種識別装置20、硬貨振分装置30及び硬貨搬出装置50は、それぞれ内部に設けられたセンサ(図示省略)から与えられた信号に基づき異常が発生したか否かを判別し、異常が発生した場合には所定の異常信号を制御装置100に送信する。
【0012】
次に、制御装置100について図2の機能ブロック図を参照して説明する。図2に示すように、制御装置100は、制御部110と、計測部120と、記憶部130と、通信制御部140とを備えている。
【0013】
制御部110は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータからなり、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより各装置の制御を行う。また、制御部110のRAMには、主制御部200から送信された日時情報を記憶するための領域が設けられている。
【0014】
計測部120は周知のタイマーであり、制御部110の制御に基づき時間の測定を行う。通信制御部140は、自動販売機に設けられた主制御部200等と通信するためのものである。
【0015】
記憶部130はEEPROM等の書き換え可能な記憶素子であり、記憶部130には、図3に示すように貨幣識別装置1内に発生した異常の内容及び発生日時の履歴を表す履歴情報が記憶されている。制御部110は、各装置20,30,50のうち何れか一つの装置から異常信号を受信すると、その時点での年月日時分秒を計測部120から取得し、異常信号に基づく異常の内容及び取得した年月日時分秒からなる発生日時を履歴情報に記録する。
【0016】
次に、本実施形態において日時情報を取得する際の制御装置100及び主制御部200の動作について、図4のシーケンス図を参照して説明する。なお、本実施形態では、自動販売機及び貨幣識別装置1に電源が投入されたときを所定のタイミングとして、日時情報が主制御部200から送信されるようになっている。
【0017】
まず、自動販売機及び貨幣識別装置1に電源が投入されると、主制御部200は、所定の接続確認コマンドを貨幣識別装置1に送信する(ステップS1)。一方、貨幣識別装置1の制御部110は、通信制御部140を介して接続確認コマンドを受信すると、該コマンドに対する応答信号を、通信制御部140を介して主制御部200に送信する(ステップS2)。
【0018】
そして、主制御部200は、応答信号を受信すると、その時点での年月日時分秒からなる日時情報を自動販売機内に設けられたタイマー(図示省略)から取得し、取得した日時情報を含む所定の日時送信コマンドを貨幣識別装置1に送信する(ステップS3)。一方、制御部110は、通信制御部140を介して日時送信コマンドを受信すると、該コマンドに対する応答信号を主制御部200に送信し(ステップS4)、該コマンドに含まれた日時情報に基づき日時設定を行う(ステップS5)。具体的に説明すると、制御部110は、日時情報をRAMに記憶させるとともに、日時情報を計測部120に送信する。また、計測部120は、制御部110から日時情報を受信すると、日時情報で表された時間を起点として時間測定を行う。これにより、日時情報を主制御部200から取得することができるので、例えば貨幣識別装置1内のクロック周波数にずれが生じた場合でも、自動販売機内の時計と同期した正確な日時情報を得ることが可能になる。
【0019】
また、主制御部200は、日時情報を送信した後所定時間(例えば1時間)経過毎に、最新の日時情報を貨幣識別装置1に送信する(ステップS6)。一方、制御部110は、通信制御部140を介して日時送信コマンドを受信すると、該コマンドに対する応答信号を主制御部200に送信し(ステップS7)、該コマンドに含まれた日時情報に基づき日時設定を行う(ステップS8)。なお、ここでの制御部110の処理内容は、上記ステップS4及びステップS5と同様である。このようにして、制御部110は、電源投入時に日時情報を取得すると、所定時間経過毎に主制御部200から最新の日時情報を取得することができる。
【0020】
なお、制御部110は、正当な硬貨2が投入される毎に金種識別装置20から送信される所定の硬貨投入信号を受信すると、その時点での年月日時分秒を計測部120から取得し、硬貨投入信号に基づく金種及び取得した年月日時分秒からなる硬貨投入履歴情報を記憶部130に記憶するようにしてもよい。これにより、制御部110は、硬貨投入履歴情報に基づき硬貨2の投入が少ない時間帯、即ち販売機会の少ない時間帯を判別することが可能になる。この場合、制御部110は、販売機会の少ない時間帯における貨幣識別装置1内の各機器への通電を停止するように制御することにより、貨幣識別装置1の電力消費量を低減させることができる。
【0021】
以上のように本実施形態に係る貨幣識別装置1によれば、主制御部200から電源投入時に日時情報を取得する制御装置100を備えたので、例えば貨幣識別装置1内のクロック周波数にずれが生じた場合でも、自動販売機内の時計と同期した正確な日時情報を得ることができる。従って、経時劣化等の故障原因の特定や硬貨2の投入履歴の取得等を適正に行うことができ、利便性を向上させることができる。
【0022】
また、制御装置100は、電源投入時に主制御部200から送信された日時情報を取得するので、正確な日時情報を容易に取得することができる。
【0023】
さらに、制御装置100は、電源投入時に日時情報を取得すると、所定時間経過毎に主制御部200から最新の日時情報を取得するので、最新且つ正確な日時情報を絶えず取得することができ、計測部120によって測定される時間の精度を向上させることができる。
【0024】
以下に、本発明の第2の実施形態に係る貨幣識別装置1について説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、制御装置100が、所定のタイミングで主制御部200に対して日時情報の送信を要求することにより日時情報を取得するように構成した点にある。他の構成及び動作については第1の実施形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0025】
本実施形態において日時情報を取得する際の制御装置100及び主制御部200の動作について、図5のシーケンス図を参照して説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、自動販売機及び貨幣識別装置1に電源が投入されたときを所定のタイミングとして、日時情報を取得するようになっている。
【0026】
まず、自動販売機及び貨幣識別装置1に電源が投入されると、制御部110は、所定の日時要求コマンドを、通信制御部140を介して自動販売機に送信する(ステップS11)。一方、主制御部200は、日時要求コマンドを受信すると、該コマンドに対する応答信号を貨幣識別装置1に送信した後に(ステップS12)、日時情報を貨幣識別装置1に送信する(ステップS13)。
【0027】
一方、制御部110は、通信制御部140を介して日時情報を受信すると、該日時情報に基づき日時設定を行う(ステップS14)。なお、日時設定の内容については、前述したステップS5と同様である。
【0028】
また、制御部110は、日時情報を受信した後、所定時間(例えば1時間)経過毎に、日時要求コマンドを自動販売機に送信する(ステップS15)。一方、主制御部200は、日時要求コマンドを受信すると、該コマンドに対する応答信号を貨幣識別装置1に送信した後に(ステップS16)、最新の日時情報を貨幣識別装置1に送信する(ステップS17)。そして、制御部110は、通信制御部140を介して日時情報を受信すると、該日時情報に基づき日時設定を行う(ステップS18)。このようにして、制御部110は、電源投入時に主制御部200に対して日時情報の送信を要求することにより日時情報を取得することができる。
【0029】
以上のように本実施形態に係る貨幣識別装置1によれば、制御装置100は、電源投入時に主制御部200に対して日時情報の送信を要求することにより日時情報を取得するので、正確な日時情報を容易に取得することができる。
【0030】
なお、上記実施形態は本発明の具体例に過ぎず、本発明が上記実施形態のみに限定されることはない。例えば、上記実施形態では、硬貨2のみを扱っていたが、紙幣も取扱い可能に構成してもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、電源投入時を所定のタイミングとして動作するように構成していたが、硬貨2投入時や硬貨振分装置30による硬貨2の振分時等を所定のタイミングとして動作するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す貨幣識別装置の概略構成図
【図2】制御装置の機能ブロック図
【図3】履歴情報のデータ構造の一例を示す図
【図4】日時情報を取得する際の動作を説明するシーケンス図
【図5】第2の実施形態を示す貨幣識別装置において日時情報を取得する際の動作を説明するシーケンス図
【符号の説明】
【0033】
1…貨幣識別装置、2…硬貨、20…金種識別装置、30…硬貨振分装置、100…制御装置、110…制御部、200…主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の主制御部と通信可能に設けられ、貨幣が投入されると投入貨幣の正偽及び金種を識別する貨幣識別装置において、
前記主制御部から所定のタイミングで日時情報を取得する日時情報取得手段を備えた
ことを特徴とする貨幣識別装置。
【請求項2】
前記日時情報取得手段は、前記所定のタイミングで前記主制御部から送信された日時情報を取得する
ことを特徴とする請求項1記載の貨幣識別装置。
【請求項3】
前記日時情報取得手段は、前記所定のタイミングで前記主制御部に対して日時情報の送信を要求することにより日時情報を取得する
ことを特徴とする請求項1記載の貨幣識別装置。
【請求項4】
前記日時情報取得手段は、前記所定のタイミングで日時情報を取得すると、所定時間経過毎に前記主制御部から最新の日時情報を取得する
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の貨幣識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−72819(P2010−72819A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238053(P2008−238053)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】