説明

貯湯式給湯機

【課題】施工時に貯湯タンクユニットに電気配線を接続する電気工事の作業性を向上するとともに、貯湯タンクユニット内の部品配置の自由度を向上することができる貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機50は、貯湯タンク10を内蔵する貯湯タンクユニット40を備え、貯湯タンクユニット40の筐体(外装ケース30)の前面側の下部に形成されたけこみ部31に、貯湯タンクユニット40の外部と湯水をやり取りする配管が接続される複数の配管接続口33が設けられており、貯湯タンクユニット40の外部からの電気配線を貯湯タンクユニット40に接続するための端子を有する配線接続部20がけこみ部31に面して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気の熱を吸収して湯を沸き上げるヒートポンプユニットと、このヒートポンプユニットにより沸き上げられた湯を貯える貯湯タンクを内蔵した貯湯タンクユニットとを備えた貯湯式給湯機が広く用いられている。このような貯湯式給湯機では、貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットとを接続する電源通信線や、電源を貯湯タンクユニットに接続する電源線、浴室や台所などに設置されるリモコンを貯湯タンクユニットに接続するリモコン線、アース線等の電気配線が貯湯タンクユニットに接続される。貯湯式給湯機の据付工事の際には、湯水をやり取りする配管を貯湯タンクユニットに接続する配管工事とともに、上記のような各種の電気配線を貯湯タンクユニットに接続する電気工事を行う必要がある。
【0003】
下記特許文献1には、ヒートポンプサイクルにより生成した温水により室内を暖房する温水暖房装置の熱交換ユニットにおいて、電装部と水回路とを電源板により区画し、電装部の前方に取付金具を介して取り付けられた操作部が工事の際に開閉可能な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−121841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の貯湯式給湯機では、上述したような外部からの電気配線類を貯湯タンクユニットに接続する工事の際、貯湯タンクユニットの外装ケース(筐体)の前面パネルを取り外し、内部に設けられた配線接続部に電気配線類を接続する必要がある。このため、作業に大変な手間がかかる。
【0006】
また、前面パネルを取り外す必要をなくすために、前面パネルに開口部(小窓)を設け、この開口部から電気配線類を接続できるように構成されたものもある。しかしながら、この開口部の内部に電気配線を接続するための接続部を設けるスペースを確保する必要があるため、貯湯タンクユニット内の部品の配置が制限されるという問題がある。また、輸送時や配線接続前にこの開口部より虫やゴミなどが貯湯タンクユニット内に侵入し易いという問題もある。また、電気配線の接続後、電気配線と開口部との隙間をパテ等により埋める作業が必要であり、煩雑である。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、施工時に貯湯タンクユニットに電気配線を接続する電気工事の作業性を向上するとともに、貯湯タンクユニット内の部品配置の自由度を向上することができる貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯機は、貯湯タンクを内蔵する貯湯タンクユニットを備えた貯湯式給湯機であって、貯湯タンクユニットの筐体の前面側の下部に形成されたけこみ部に、貯湯タンクユニットの外部と湯水をやり取りする配管が接続される複数の配管接続口が設けられており、貯湯タンクユニットの外部からの電気配線を貯湯タンクユニットに接続するための端子を有する配線接続部がけこみ部に面して設けられているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施工時に貯湯タンクユニットに電気配線を接続する電気工事の作業性を向上することができる。更に、貯湯タンクユニット内の部品配置の自由度を向上することや、製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す前面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における貯湯タンクユニットのけこみ部に配管カバーを装着した状態を示す前面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における貯湯タンクユニットのけこみ部を示す前面図である。
【図4】図3中のA−A線での断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における配線接続部のカバー部材の斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態2における貯湯タンクユニットのけこみ部を示す前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の貯湯式給湯機を示す前面図である。図1に示すように、本実施形態の貯湯式給湯機50は、湯を生成する加熱手段としてのヒートポンプユニット1と、湯を貯える貯湯タンク10を内蔵した貯湯タンクユニット40とを備えている。貯湯タンクユニット40は、略直方体形状の外装ケース30(筐体)を有している。外装ケース30内には、略円筒形の貯湯タンク10のほか、図示しないポンプ、バルブ、熱交換器、配管類、制御装置などの各種の機器が収容されている。ヒートポンプユニット1で沸き上げられた湯は、貯湯タンクユニット40に送られて貯湯タンク10内に一旦貯留され、必要に応じて所定の給湯先に供給される。
【0013】
貯湯タンクユニット40の外装ケース30の下には、複数の支持脚35が設けられている。各支持脚35をコンクリート製の土台Cにアンカーボルト(図示せず)で固定することにより、貯湯タンクユニット40が土台Cに据え付けられている。
【0014】
貯湯タンクユニット40の外装ケース30の前面の下部には、後面側に凹んだ部分であるけこみ部31が形成されている。外装ケース30は、前面の下部が切り欠かれた形状をなしており、その切り欠かれて凹んだ部分がけこみ部31を構成している。外装ケース30の前面パネル30aは、けこみ部31より上側の範囲を覆っている。すなわち、けこみ部31は、前面パネル30aの下側に位置し、前面パネル30aの位置より奥へ引っ込んだ空間を形成している。
【0015】
けこみ部31には、貯湯タンクユニット40が外部と湯水をやり取りする配管が接続される配管接続口33が設けられている。本実施形態では、5個の配管接続口33がけこみ部31に設けられている。これらの配管接続口33には、給水配管11、ヒートポンプ往き配管13a、ヒートポンプ戻り配管13b、給湯配管12、ふろ往き配管14がそれぞれ接続される。給水配管11は、水源からの水を貯湯タンク10内に供給するための配管である。ヒートポンプ往き配管13aは、貯湯タンク10内の加熱前の水(低温水)をヒートポンプユニット1に送るための配管である。給水配管11およびヒートポンプ往き配管13aが接続される配管接続口33は、外装ケース30内において、貯湯タンク10の下部に繋がるように接続されている。ヒートポンプ戻り配管13bは、ヒートポンプユニット1により沸き上げられた湯(高温水)を貯湯タンク10内へ戻すための配管である。給湯配管12は、浴室、台所等の所定の給湯先(図示せず)に給湯するための配管である。ふろ往き配管14は、浴槽(図示せず)に給湯するための配管である。ヒートポンプ戻り配管13b、給湯配管12およびふろ往き配管14が接続される配管接続口33は、外装ケース30内において、貯湯タンク10の上部に繋がるように接続されている。
【0016】
貯湯式給湯機50の施工時には、上述した各種の配管を貯湯タンクユニット40に接続する配管工事と共に、貯湯タンクユニット40の外部からの電気配線を貯湯タンクユニット40に接続する電気工事が必要となる。本実施形態では、貯湯タンクユニット40に電気配線を接続するため配線接続部20が、けこみ部31に設けられている。電気配線としては、ヒートポンプユニット1と貯湯タンクユニット40とを接続する電源通信線18と、貯湯タンクユニット40に電源を供給する電源線19のほか、図示を省略するが、浴室や台所等に設置されるリモコンを貯湯タンクユニット40に接続するリモコン線やアース線等が配線接続部20に接続される。これらの電気配線は、例えばPF管等の可撓性のある保護管に覆われた状態で配線接続部20に導かれる。本実施形態の配線接続部20は、各電気配線を接続した後に装着されるカバー部材21を有している。図1は、カバー部材21が装着された状態を示している。
【0017】
外装ケース30の前面の下部には、けこみ部31を覆う着脱可能な配管カバー32を装着することができる。図2は、この配管カバー32が装着された状態を示している。配管接続口33および配線接続部20に上述した配管類および電気配線類を接続した後、配管カバー32を装着することにより、けこみ部31を覆い隠して、貯湯タンクユニット40の意匠性を向上させることができる。
【0018】
図3は、貯湯タンクユニット40のけこみ部31を示す前面図である。図3は、配線接続部20のカバー部材21を装着する前の状態を示している。また、図3は、給湯配管12およびふろ往き配管14が、対応する配管接続口33に未接続の状態を示している。図3に示すように、配線接続部20は、端子台22を有しており、この端子台22上に、電源通信線18および電源線19が接続される端子23が設置されている。
【0019】
図4は、図3中のA−A線での断面図である。図4に示すように、配管接続口33は、けこみ部31の上端の壁31aから下方に突出するように設けられている。図4では、配管接続口33に配管類が未接続の状態を示している。けこみ部31の垂直の壁31bには、奥に凹んだ凹部31cが形成されており、この凹部31c内に端子台22が形成されている。この端子台22は、前面から見て後方へ傾斜した傾斜面となっている。端子台22上に設置された端子23には、貯湯タンクユニット40の内部の機器から伸びた内部配線26が接続されている。端子台22の上方には、ひさし部25が設けられている。内部配線26は、弛みを持って配設されており、端子台22とひさし部25の下端との隙間28を上から下に向かって通過して貯湯タンクユニット40の内部に引き込まれている。
【0020】
以上説明したように、本実施形態では、配線接続部20の端子台22がけこみ部31の空間に臨むように配置したことにより、電気工事の際に外装ケース30の前面パネル30aを取り外す必要がないので、作業の手間を軽減することができる。また、前面パネル30aに、電気配線接続用の開口部(小窓)を設ける必要もないので、製造コストを低減することができる。また、輸送時や施工時に虫やゴミなどが貯湯タンクユニット40内に侵入することを確実に防止することができる。また、外装ケース30の前面パネル30aの内側に電気配線接続用のスペースも設ける必要がないので、貯湯タンクユニット40内の部品の配置の自由度を向上することができる。また、施工時、配管工事と電気工事の両方を、同じ高さのけこみ部31において作業することができるため、作業性を向上させることができる。また、天候が雨の際に施工作業を行う場合であっても、図4に示すように、けこみ部31の上端の壁31aが突き出しているため、配線接続部20が雨に濡れることがなく、施工が容易である。
【0021】
また、本実施形態では、図3に示すように、前面から見て、隣り合う二つの配管接続口33(ヒートポンプ往き配管13aが接続される配管接続口33と給水配管11が接続される配管接続口33)の間に、配線接続部20の端子台22が位置している。このように配線接続部20を配置したことより、配管工事を行った後でも、電気配線を配線接続部20に接続する際に配管類が邪魔になることなく、作業を容易に行うことができる。
【0022】
また、本実施形態では、図4に示すように、前面から見て後方へ傾斜する傾斜面となるように端子台22を設けたことにより、電気工事の作業者にとって、端子23が見易い角度となる。このため、電気配線の接続作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0023】
また、本実施形態では、端子台22の上方を覆うひさし部25を設けたことにより、貯湯タンクユニット40の内部で湯水が万一漏れ出た場合であっても、配線接続部20に湯水がかかることを確実に防止することができる。
【0024】
図5は、配線接続部20のカバー部材21の斜視図である。このカバー部材21は、電源通信線18、電源線19を端子23に接続した後、端子台22が設けられた凹部31cを覆うように、けこみ部31の垂直の壁31bにネジ等により取り付けられる。このようなカバー部材21を装着することにより、雨の跳ね返りによる水やゴミなどが端子台22の端子23に付着することを確実に防止することができる。本実施形態のカバー部材21には、接続された電源通信線18、電源線19を通す開口部を形成するために切り取り可能な切り取り部21aが設けられている。この切り取り部21aの切り取り範囲を選択することにより、電源通信線18、電源線19の外径に応じて、開口部の大きさを選択することができる。すなわち、切り取り部21aには、二つの切断線21b,21cが形成されており、内側の切断線21bで切り取り部21aを切り取った場合には小さい開口部が形成され、外側の切断線21cで切り取り部21aを切り取った場合には大きい開口部が形成される。このようにして、電源通信線18、電源線19の外径に応じてカバー部材21の開口部の大きさを調節することができるので、カバー部材21と電源通信線18、電源線19との隙間をなるべく小さくすることができ、雨水やゴミ等の浸入をより確実に防止することができる。
【0025】
実施の形態2.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。図6は、本発明の実施の形態2の貯湯式給湯機が備える貯湯タンクユニット40のけこみ部31を示す前面図である。図6に示すように、本実施形態の貯湯タンクユニット40のけこみ部31には、貯湯タンク10内から排水する排水弁(図示せず)を操作するための排水ハンドル27が設けられている。この排水ハンドル27は、前面から見て配線接続部20の真下に位置している。このような位置に排水ハンドル27を配置したことにより、排水ハンドル27を操作する際、各配管接続口33に接続された各配線や接続部20に接続された電源通信線18、電源線19が邪魔になることがなく、排水ハンドル27を容易に操作することができる。なお、前面から見て配線接続部20の真上に排水ハンドル27が位置するように配置してもよい。
【0026】
以上説明した実施の形態では、けこみ部31の垂直の壁31bに形成した凹部31c内に配線接続部20の端子台22を設けた場合を例に説明したが、本発明における配線接続部20の設置箇所は、これに限定されるものではなく、けこみ部31に面する箇所であれば如何なる箇所でもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 ヒートポンプユニット
10 貯湯タンク
11 給水配管
12 給湯配管
13a ヒートポンプ往き配管
13b ヒートポンプ戻り配管
14 ふろ往き配管
18 電源通信線
19 電源線
20 配線接続部
21 カバー部材
21a 切り取り部
21b,21c 切断線
22 端子台
23 端子
25 ひさし部
26 内部配線
27 排水ハンドル
28 隙間
30 外装ケース
30a 前面パネル
31 けこみ部
31a 上端の壁
31b 垂直の壁
31c 凹部
32 配管カバー
33 配管接続口
35 支持脚
40 貯湯タンクユニット
50 貯湯式給湯機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクを内蔵する貯湯タンクユニットを備えた貯湯式給湯機であって、
前記貯湯タンクユニットの筐体の前面側の下部に形成されたけこみ部に、前記貯湯タンクユニットの外部と湯水をやり取りする配管が接続される複数の配管接続口が設けられており、
前記貯湯タンクユニットの外部からの電気配線を前記貯湯タンクユニットに接続するための端子を有する配線接続部が前記けこみ部に面して設けられている貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記けこみ部を前面から見たとき、隣り合う二つの前記配管接続口の間に前記配線接続部が位置する請求項1記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記配線接続部の前記端子の設置箇所の上方を覆うひさし部を有する請求項1または2記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記配線接続部は、前記端子に前記電気配線を接続した後に装着されるカバー部材を有し、
前記カバー部材は、前記電気配線を通す開口部を形成するために切り取り可能な切り取り部を有し、前記切り取り部の切り取り範囲を選択することにより前記電気配線の外径に応じて前記開口部の大きさを選択可能に構成されている請求項1乃至3の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
前記貯湯タンク内から排水する排水弁を操作するための排水ハンドルが前記けこみ部に設けられており、
前記けこみ部を前面から見たとき、前記配線接続部の真下または真上に前記排水ハンドルが位置する請求項1乃至4の何れか1項記載の貯湯式給湯機。
【請求項6】
前記けこみ部に、前面から見て後方へ傾斜した傾斜面が形成されており、該傾斜面上に前記配線接続部の前記端子が設置されている請求項1乃至5の何れか1項記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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