説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯式給湯器に於ける、ヒーターを使わずに循環運転させることによって配管凍結を防止するものに関する。
【解決手段】出湯管側3方弁23と熱源戻り管側3方弁24と配管ユニットバイパス2方弁27を作動させ、出湯管6→配管ユニットバイパス管26→入水管8→貯湯タンク4下部の低温領域→熱源戻り管7→タンクバイパス管25→熱源往き管9間を循環させることによって配管の凍結予防が可能になるものである。この流路では、貯湯タンク4上部に貯湯された高温水部分を回避し、貯湯タンク4下部の低温水部分を用いて循環させられるために熱ロスが少なく経済的であり、又床下などにヒーターを設置する必要が無いために安全性を確保することが出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ給湯器の貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、凍結の可能性のある場所で施工する貯湯式給湯器においては、熱源装置から貯湯タンクの間、及び配管ユニットから貯湯タンクの間の4つの配管に配管ヒーターを取り付けることによって凍結を予防するものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2002−147858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、貯湯タンクが熱源装置や配管ユニットと分離しているような貯湯タンク分離型給湯機に於いては、前記配管の長さが施工毎に変化し、ヒーター本数と比例してランニングコストも上がること、又、施工条件によってはメンテナンス性・効果などの要素の均一性を保つのが困難であること等の不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記問題点を解決する為、特にその構成を請求項1では、湯水を加熱する熱源装置と、出湯管や入水管等の配管やミキシング弁などを有した配管ユニットと、前記熱源装置に対しては熱源往き管と熱源戻り管とで、前記配管ユニットに対しては入水管と出湯管とで接続される貯湯タンクとを備え、前記熱源戻り管と前記出湯管とにそれぞれ熱源戻り管側3方弁と出湯管側3方弁とを介してバイパスするタンクバイパス管と、前記配管ユニット内で入水管と出湯管を2方弁を介してバイパスする配管ユニットバイパス管とで連通するものである。
【0005】
又請求項2では、前記貯湯タンクは、床下等で設置可能な横型形状としたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の請求項1によれば、前記3方弁、2方弁を作動させることによって流路にバイパスを設け、貯湯タンクの高温部を回避する形で循環運転を行うことによって凍結を予防するものであり、この際、温度の低い領域で循環させるため熱ロスは殆ど無いものである。又、施工時の配管ヒーター取り付けが不要になるため、イニシャルコスト・ランニングコストが下がり、施工状態のばらつきが無くなるものである。
【0007】
又請求項2では、貯湯タンクを横型形状にしたことによって床下等に設置することが可能になり、設置スペースを大幅に削減するものである。又、床下などにヒーターが存在しなくなるため火災などの危険性が回避でき、高い安全性が確保できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は横置き式で建屋の床下に設置される貯湯タンクユニット、2はヒートポンプユニットよりなる加熱手段、3は前記貯湯タンクユニット1と加熱手段2とを結ぶ配管ユニットである。
【0009】
前記貯湯タンクユニット1は、湯水を貯湯する横長形状の貯湯タンク4と、該タンク4を収納するタンクケース5と、貯湯タンク4の上部に連通しタンクケース5上部に突出する出湯管6と、貯湯タンク4の同じく上部に連通しタンクケース5上部に突出して加熱手段と接続する熱源戻り管7と、貯湯タンク4の下部に連通し立ち上げられてタンクケース5上部に突出する入水管8と、貯湯タンク4の底部に連通し立ち上げられてタンクケース5上部に突出して加熱手段2へ向かう熱源往き管9とがそれぞれ備えられているものである。
【0010】
前記熱源往き管9は配管ユニット内で、流路切換弁10を介して排水ポンプ11にも連通しており、貯湯タンク4内の湯水を排水する時には、排水ポンプ11の流路に切り換わり熱源往き管9が配水管も兼ねるものである。
【0011】
前記加熱手段2は、冷媒を圧縮するコンプレッサー12と、凝縮器としての冷媒−水熱交換器13と、減圧器14と、蒸発器としての空気熱交換器15よりなるヒートポンプ回路16と、前記熱源戻り管7及び熱源往き管9を介して冷媒−水熱交換器13に循環させる加熱循環ポンプ17とそれらの駆動を制御する加熱制御部18とを備え、貯湯タンク4内の湯水を循環して指示された沸き上げ温度まで沸かし上げるものである。
【0012】
前記配管ユニット3は、出湯管6からの高温水と入水管8から分岐された分岐管19からの低温水とを混合するミキシング弁20と、ミキシング弁20の下流に接続された給湯栓21を有する給湯管22とで構成されているものである。
【0013】
前記出湯管6と前記熱源戻り管7とはそれぞれ出湯管側3方弁23と熱源戻り管側3方弁24とを介してタンクバイパス管25によって連通している。又、前記出湯管6と前記入水管8とは配管ユニットバイパス管26によって連通しており、前記配管ユニットバイパス管26内に設けられた配管ユニットバイパス2方弁27によって開閉を制御するものである。又前記出湯管側3方弁23及び熱源戻り管側3方弁24によるタンクバイパス管5の連通と配管ユニットバイパス2方弁27による配管ユニットバイパス26の開成は、入水管8に備えられた凍結温度センサ8が凍結予防温度を検知することで行われるものである。
【0014】
次にこの発明の一実施例の作動について説明する。
先ず通常使用時に貯湯タンク4内の湯水を加熱する場合には、出湯管側3方弁23と熱源戻り管側3方弁24と配管ユニットバイパス2方弁27が作動することによりタンクバイパス管25及び配管ユニットバイパス管26を閉鎖し、流路を貯湯タンク側に切り替える。加熱制御部18がヒートポンプ回路16を作動させ、循環ポンプ17を駆動開始させることにより貯湯タンク4下部から取り出された湯水が加熱手段2の冷媒−水熱交換器13に流入して加熱された後に貯湯タンク4の上部に戻され、高温の湯が貯湯されるものである。
【0015】
次に凍結温度センサ28が凍結予防温度を検知して凍結予防の循環運転をする場合には、図2のように出湯管側3方弁23と熱源戻り管側3方弁24と配管ユニットバイパス2方弁27が作動して流路にバイパスを設け、貯湯タンク4上部に貯湯された高温水部分を回避して温度の低い領域を循環させることで熱ロスを無くすものである。循環水は出湯管6→配管ユニットバイパス管26→入水管8→貯湯タンク4下部の低温領域→熱源戻り管7→タンクバイパス管25→熱源往き管9間の流路を循環することになり、前記配管ユニット3→前記貯湯タンク4→前記熱源手段2間の配管の凍結予防が可能となるものである。又、凍結予防運転中に出湯する場合には、出湯管側3方弁23と熱源戻り管側3方弁24と配管ユニットバイパス2方弁27を作動させてタンクバイパス管25及び配管ユニットバイパス管26を閉鎖し、流路を貯湯タンク側に切り替えることで対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の概略構成図
【図2】同、凍結予防運転時の循環水流路
【符号の説明】
【0017】
2 熱源装置
3 配管ユニット
4 貯湯タンク
6 出湯管
7 熱源戻り管
8 入水管
9 熱源往き管
23 出湯管側3方弁
24 熱源戻り管側3方弁
25 タンクバイパス管
26 配管ユニットバイパス管
27 配管ユニットバイパス2方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を加熱する熱源装置と、出湯管や入水管等の配管やミキシング弁などを有した配管ユニットと、前記熱源装置に対しては熱源往き管と熱源戻り管とで、前記配管ユニットに対しては入水管と出湯管とで接続される貯湯タンクとを備え、前記熱源戻り管と前記出湯管とにそれぞれ熱源戻り管側3方弁と出湯管側3方弁とを介してバイパスするタンクバイパス管と、前記配管ユニット内で入水管と出湯管を2方弁を介してバイパスする配管ユニットバイパス管とで連通することを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記貯湯タンクは、床下等で設置可能な横型形状としたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−10148(P2006−10148A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185858(P2004−185858)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)