説明

貯湯式給湯装置

【課題】低コストに断水を検知することができる貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯検知手段8が給湯有りを検知している状態で給水温度センサ10が検出する給水温度を記憶する給水温度記憶手段21と、給湯検知手段8が給湯無しを検知している状態で、給水温度センサ10で検出する給水温度が給水温度記憶手段21で記憶している給水温度よりも一定温度以上高くなった後に、給湯検知手段8が給湯有りを検知すると、給湯有りの検知から一定時間以内に給水温度センサ10で検出する検出温度が給水温度記憶手段21で記憶している給水温度付近まで降下しないと、給水異常であると判断する給水異常判断手段22とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを備えた貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置においては、特許文献1や特許文献2に開示されるように、加熱手段により加熱される湯水を貯湯する貯湯タンクに給水管と出湯管が接続され、圧力センサによってこの貯湯タンクに掛かる給水元圧が無くなったことを検知すると、断水等の給水異常と判断して、給湯を禁止したり、加圧ポンプを停止したりしたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−120825号公報
【特許文献2】特開2007−263394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの従来のものでは、断水検知のために圧力センサを設ける必要があり、コスト高であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクに給水する給水管と、前記貯湯タンクから出湯する出湯管と、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記出湯管からの給湯の有無を検知する給湯検知手段と、前記給水管途中あるいは前記給水管から分岐されるバイパス管途中に設けられ給水温度を検出する給水温度センサと、前記給湯検知手段が給湯有りを検知している状態で前記給水温度センサが検出する給水温度を記憶する給水温度記憶手段と、前記給湯検知手段が給湯無しを検知している状態で、前記給水温度センサで検出する給水温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度よりも一定温度以上高くなった後に、前記給湯検知手段が給湯有りを検知すると、給湯有りの検知から一定時間以内に前記給水温度センサで検出する給水温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度付近まで降下しないと、断水等の給水異常であると判断する給水異常判断手段とを備えたものとした。
【0006】
また、前記給水管から分岐されて前記出湯管と合流するバイパス管と、前記出湯管と前記バイパス管との合流点に設けられ湯水の混合比率を調整する混合弁と、前記混合弁からの給湯される湯の温度を検出する給湯温度センサとを設け、前記給水異常判断手段は、前記給湯検知手段が給湯無しを検知している状態で、前記給水温度センサで検出する給水温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度よりも一定温度以上高くなった後に、前記給湯検知手段が給湯有りを検知すると、給湯有りの検知から一定時間以内に前記給水温度センサで検出する検出温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度付近まで降下し、かつ前記給湯温度センサが検出する温度が給湯予定の温度よりも一定値以上高温であると、前記混合弁の異常であると判断するようにした。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、給水温度センサによって断水等の給水異常を判断することができ、低コストに断水等の給水異常の検知を行うことができる。
【0008】
また、給湯温度が予定の温度よりも高く給湯されてしまう場合に、その原因が断水等の給水異常によるものなのか、それとも混合弁の異常によるものなのかを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置の概略構成図。
【図2】同一実施形態の作動を説明するためのフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯するステンレス製の貯湯タンク、2は貯湯タンク1底部に市水を給水する給水管、3は貯湯タンク1頂部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐されたバイパス管、5は出湯管3からの湯とバイパス管4からの水とを給湯予定温度である給湯設定温度になるように混合する混合弁、6は混合弁5で混合された湯が流通する給湯管、7は給湯管6からの湯を給湯する給湯栓、8は給湯管6途中に設けられ給湯温度を検出する給湯温度センサ、9は給湯管6途中に設けられ給湯の有無を検知する給湯検知手段として作動する給湯量を検出する給湯流量センサ、10はバイパス管4に設けられ給水温度を検出する給水温度センサ、11は給水管2に設けられ市水の給水圧を一定の圧力に減圧する減圧弁、12は貯湯タンク1内の過圧を逃がす過圧逃がし弁である。これらは外装体13に収容されているものである。
【0011】
13は貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプ式加熱手段で、図示しない冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器と、冷媒の圧力を減圧する減圧器と、液冷媒を蒸発させる蒸発器とを環状に接続してなり、蒸発器で吸熱した低温低圧の冷媒を圧縮機で圧縮し、冷媒水熱交換器を介して高温高圧になった冷媒と水とを熱交換して湯水を加熱するようにしている。
【0012】
15は貯湯タンク1の下部とヒートポンプ式加熱手段14内の冷媒水熱交換器の水側と貯湯タンク1の上部とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路で、貯湯タンク1の下部から取り出された低温の水がヒートポンプ式加熱手段14で高温に加熱された後に貯湯タンク1の上部から貯湯タンク1内に戻されるようにして貯湯される。
【0013】
16はリモコンで、給湯装置に関する各種の情報(給湯設定温度、残湯量、給湯装置の作動状態等)を表示する表示部17と、給湯設定温度を設定操作するための温度設定スイッチ16と、操作音や警告音等の音を発生する発音部19とを備えている。
【0014】
20は給湯温度センサ8、給湯流量センサ9、給水温度センサ10の検出値が入力され、混合弁5、ヒートポンプ式加熱手段14の作動を制御すると共に、リモコン16と通信可能に接続された制御手段である。この制御手段20は、予め給湯装置の作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、時計機能を有しているものである。
【0015】
21は制御手段20内の一機能として設けられた給水温度記憶手段で、給湯流量センサ9が所定の流量以上を検出して給湯有りを検知している状態において給水温度センサ10が検出する給水温度を記憶するものである。
【0016】
22は制御手段20内の一機能として設けられて給水異常判断手段で、給湯流量センサ9が給湯無しを検知している状態で、給水温度センサ10で検出する給水温度が貯湯タンク1の湯水による雰囲気温度の上昇によって給水温度記憶手段21で記憶している給水温度よりも一定温度以上高くなった後に、給湯流量センサ9が所定の流量以上を検出して給湯有りを検知すると、給湯有りの検知から一定時間以内に給水温度センサ10で検出する検出温度が給水温度記憶手段21で記憶している給水温度付近まで降下しないと、断水等の給水異常であると判断するものである。
【0017】
また、この給水異常判断手段22は、給湯流量センサ9が給湯無しを検知している状態で、給水温度センサ10で検出する給水温度が給水温度記憶手段21で記憶している給水温度よりも一定温度以上高くなった後に、給湯流量センサ9が給湯有りを検知すると、給湯有りの検知から一定時間以内に給水温度センサ10で検出する検出温度が給水温度記憶手段21で記憶している給水温度付近まで降下し、かつ給湯温度センサ8が検出する温度が給湯予定の温度である給湯設定温度よりも一定値以上高温であると、混合弁5の異常であると判断するものである。
【0018】
次に、この一実施形態の作動を図2のフローチャート図に従って説明する。
まず、ステップS1では、給湯流量センサ9が給湯を行っていないと見なせる所定流量以上の流量を検出していない給湯待機中に給水温度センサ10が給水温度記憶手段21が記憶している給水温度より一定温度以上上昇したかを判断する。
【0019】
給湯待機時間がある程度の時間継続されると、貯湯タンク1内の高温の湯の放熱により外装体13内の雰囲気温度が上昇し、それに伴い給水温度センサ10で検出する給水温度も上昇する。
【0020】
そして、給湯待機中に給水温度センサ10が検出する給水温度が給水温度記憶手段21が記憶している給水温度より一定温度(例えば5℃)以上上昇した場合(ステップS1でYes)、給湯栓7が開かれて給湯が開始されるまで待機する(ステップS2)。
【0021】
ステップS2で制御手段20が給湯栓7が開かれて給湯が開始されたことを検知すると、給水異常判断手段22は給水温度センサ10で検出する給水温度が給湯の開始から短い一定時間(例えば5秒)以内に給水温度記憶手段21で記憶している給水温度付近(ここでは記憶された給水温度+1℃)まで温度低下したかどうかを判断する(ステップS3)。
【0022】
ステップS3で一定時間以内に給水温度が降下しなかった場合は、給水異常判断手段22は断水等の給水異常によって給水温度センサ10付近に新鮮な水が供給されていない状態であるため、断水等の給水異常であると判断する(ステップS4)。
【0023】
このように、給湯開始後に素早く給水温度センサ10によって断水等の給水異常を判断することができ、低コストに断水等の給水異常の検知を行うことができる。
【0024】
そして、給水異常判断手段22の給水異常の判断を受けた制御手段20は、給水異常が発生している旨をリモコン16の表示部にエラーコードとして表示すると同時に、発音部19から警報音を発して、ユーザーに給水異常が発生している旨を報知する。
【0025】
また、同時に制御手段20は、混合弁5の開度を出湯管3側を全閉し、バイパス管4側を全開する方向へ変更するようにし、貯湯タンク1よりも給湯栓7が下方にあるような階下給湯や、給湯管途中に加圧ポンプを介在させたような場合において、給水元圧がなくとも給湯が継続されてしまう状況で、意図しない高温出湯が行われてしまうことを防止することができる。
【0026】
なお、断水等の給水異常が生じていない場合は、給湯の開始から一定時間以内に給水温度センサ10で検出する給水温度が給水温度記憶手段21で記憶されている給水温度付近(ここでは記憶された給水温度+1℃)以下まで降下するため、ステップS3でYesとなり、次のステップS5で給水異常判断手段22が給湯温度センサ8で検出する給湯温度が給湯予定の温度(ここでは給湯設定温度)+α(一定値、ここでは+10℃)以下になっているかを判断し、ステップS5でYesであれば、正常状態であると判断して給湯を継続し(ステップS6)、一方、ステップS5でNoであれば、混合弁5の異常状態であると判断する(ステップS7)。
【0027】
そして、制御手段20は、混合弁5の異常状態であると判断したならば、混合弁異常が発生している旨をリモコン16の表示部にエラーコードとして表示すると同時に、発音部19から警報音を発して、ユーザーに混合弁異常が発生している旨を報知し、給湯の使用を中止するよう喚起することができる。
【0028】
このように、給湯温度センサ8が給湯予定の温度よりも一定値以上高い温度を検出した際に、その原因が混合弁5の異常によるよるものなのか、それとも断水等の給水異常によるものなのかのを判別することができ、混合弁5の故障等による修理が必要な異常と、断水等の一時的な異常とを判別して報知することができる。
【0029】
本発明は、上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を変更しない範囲で改変可能なものであり、例えば、加熱手段として貯湯タンク内に電熱ヒータを配置したものでもよいものである。また、給水温度センサ10はバイパス管4に設けることに限定されず、給水管2に設けるようにしてもよい。また、給湯検知手段として給湯流量センサ9に替えて出湯管3あるいは給湯管6の流れの有無を直接検知する給湯フロースイッチでもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 貯湯タンク
2 給水管
3 出湯管
4 バイパス管
5 混合弁
8 給湯温度センサ
9 給湯流量センサ(給湯検知手段)
10 給水温度センサ
14 ヒートポンプ式加熱手段(加熱手段)
21 給水温度記憶手段
22 給水異常判断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクに給水する給水管と、前記貯湯タンクから出湯する出湯管と、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記出湯管からの給湯の有無を検知する給湯検知手段と、前記給水管途中あるいは前記給水管から分岐されるバイパス管途中に設けられ給水温度を検出する給水温度センサと、前記給湯検知手段が給湯有りを検知している状態で前記給水温度センサが検出する給水温度を記憶する給水温度記憶手段と、前記給湯検知手段が給湯無しを検知している状態で、前記給水温度センサで検出する給水温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度よりも一定温度以上高くなった後に、前記給湯検知手段が給湯有りを検知すると、給湯有りの検知から一定時間以内に前記給水温度センサで検出する給水温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度付近まで降下しないと、断水等の給水異常であると判断する給水異常判断手段とを備えたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記給水管から分岐されて前記出湯管と合流するバイパス管と、前記出湯管と前記バイパス管との合流点に設けられ湯水の混合比率を調整する混合弁と、前記混合弁からの給湯される湯の温度を検出する給湯温度センサとを設け、前記給水異常判断手段は、前記給湯検知手段が給湯無しを検知している状態で、前記給水温度センサで検出する給水温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度よりも一定温度以上高くなった後に、前記給湯検知手段が給湯有りを検知すると、給湯有りの検知から一定時間以内に前記給水温度センサで検出する給水温度が前記給水温度記憶手段で記憶している給水温度付近まで降下し、かつ前記給湯温度センサが検出する温度が給湯予定の温度よりも一定値以上高温であると、前記混合弁の異常であると判断するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−158107(P2011−158107A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17641(P2010−17641)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】