説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯缶体の保温運転は給湯スイッチをオフするのを忘れると、絶対に使用しない夜中でも運転して不経済であり、これを防止した貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】湯水を貯湯する貯湯缶体1と、この貯湯缶体1内の湯水温度を検知する貯湯温度センサ12と、該貯湯温度センサ12の検知温度が予め設定された所定温度を維持する保温運転を行うように貯湯缶体1内の湯水を加熱する加熱手段4と、前記貯湯温度センサ12の検知温度と所定温度とを比較して加熱手段4を制御する制御回路13と、前記制御回路13に各種の指示信号を送るリモコン装置14とから構成したことで、前記リモコン装置14には、前記保温運転をオフする時間帯を任意に設定可能とする保温オフモードを設けたので、無駄な保温運転でエネルギーを消費する心配がなく経済的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯缶体に貯湯した湯水を常時所定温度に保温しておき、給湯使用時には給湯混合弁で給水と混合して設定温度の給湯として供給する貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、貯湯缶体内の湯水を給湯時以外でも保温温度(例えば80℃)に維持するのは、エネルギーの無駄や運転音が騒音の原因になる等から、給湯中と給湯停止中を検知して、給湯中は従来と同じく80℃で保温し、給湯停止中では低温の45℃で保温するように切替ることで、エネルギーの無駄を抑制すると共に騒音を低減しょうとしたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−97853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、就寝時に給湯スイッチのオフを忘れた場合は、絶対に給湯を使用することがない就寝中の夜中でも、低温ではあるが貯湯缶体内を保温するので、全くの無駄で省エネに反するものであり、又夜間でなくとも昼間のこの時間は外出していて給湯は使用しないが、給湯スイッチのオフを忘れれば、同じようにエネルギーの無駄となり、騒音も発生すると言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を、請求項1では、湯水を貯湯する貯湯缶体と、この貯湯缶体内の湯水温度を検知する貯湯温度センサと、該貯湯温度センサの検知温度が予め設定された所定温度を維持する保温運転を行うように貯湯缶体内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯温度センサの検知温度と所定温度とを比較して加熱手段を制御する制御回路と、前記制御回路に各種の指示信号を送るリモコン装置とから構成したものに於いて、前記リモコン装置には、前記保温運転をオフする時間帯を任意に設定可能とする保温オフモードを設けたものである。
【0006】
又請求項2では、前記リモコン装置には、保温運転のオフ時間帯でもこれを解除して該保温運転をオンさせる強制スイッチを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のようにこの発明によれば、貯湯缶体内の湯水を保温する保温運転をオフする時間帯を任意に設定可能としたので、給湯スイッチのオフを忘れたとしても設定しておけば、確実に保温運転を解除することが出来、無駄な保温運転でエネルギーを消費する心配がなく、又保温運転による騒音の発生もなく、使用者の予定に合わせた保温運転のオフを設定出来て極めて使用勝手が良く容易に利用することが出来るものである。
【0008】
又請求項2では、保温運転のオフ時間帯でもこれを解除して該保温運転をオンさせる強制スイッチを備えたので、予定とは違って緊急に給湯を使用する必要が生じた時には、強制スイッチで保温運転をオンさせて設定温度の給湯を得ることが出来、極めて便利で融通がきき使用勝手が良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態を示す貯湯式給湯装置の概略構成図。
【図2】同要部のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は外缶2と内缶3との間に湯水を貯湯する貯湯缶体で、内缶3内はガンタイプ式の燃焼バーナから成る加熱手段4が臨む燃焼室5したものであり、この燃焼室5と外缶2上方の排気室6とは複数の煙管7で連通されている。
【0011】
8は前記貯湯缶体1の上部に連通した給湯管で、途中には給湯管8からの高温水と、前記貯湯缶体1のほぼ中間部に連通され給水を供給する給水管9から分岐した給水バイパス管10からの低温水とを混合して設定温度の給湯を行う給湯混合弁11が設けられている。
【0012】
12は前記貯湯缶体1の上部に備えられたサーミスタから成る貯湯温度センサで、貯湯缶体1内の湯水温度を検知し、この温度が所定温度ここでは80℃を維持するように制御回路13を介して加熱手段4をオンオフ制御して保温運転させるものである。
【0013】
14は前記制御回路13に給湯設定温度等の各種の指示信号を送るリモコン装置で、運転開始を可能とする電源スイッチとしての給湯スイッチ15や、保温運転のオフ時間帯を任意に設定する時スイッチ16、分スイッチ17、この時刻を確定する確定スイッチ18や、この確定された時間帯で保温運転のオフ状態を維持させる保温オフモードを実行させる保温オフモードスイッチ19や、保温運転のオフ時間帯を強制的に解除して保温運転をオンする強制スイッチ20や、各種の設定や異常及び保温運転のオフ時間帯を表示する表示部21を備えている。
【0014】
前記制御回路13には、現在時刻を常時カウントする時計機能部22が備えられ、前記リモコン装置14で設定された保温運転のオフ時間帯が入力されこれを記憶し、保温オフモードスイッチ19の信号入力により現在時刻と比較しながら保温運転のオフ時間帯では、貯湯缶体1の保温運転は行わないようにするものであり、強制スイッチ20からの信号入力では前記保温運転のオフ時間帯が強制的に解除され保温運転がオンされるものである。
【0015】
23は前記給湯管8に備えられたフローセンサで、蛇口(図示せず)の開口による流水を検知して給湯の使用を指示するものであり、24は給湯混合弁11後の給湯温度を検知して給湯設定温度になるように該給湯混合弁11を制御する給湯サーミスタ、25は加熱手段4の噴霧ノズルで、先端には点火棒26が設けられ、後端には送油管27が接続し電磁ボンプ28が連通されている。
【0016】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今給湯スイッチ15をオンすると貯湯温度センサ12が貯湯缶体1内の湯水温度を検知し、この温度が所定温度の80℃以上の場合は加熱手段4は駆動させないが、80℃未満の時には、制御回路13を介して加熱手段4を駆動させて湯水を加熱して昇温し、80℃以上になれば加熱手段4の駆動を停止して、給湯スイッチ15がオンの時は自動的に保温運転をオン状態として貯湯缶体1内の湯水を常に所定温度に保持するものである。
【0017】
そして、この状態で給湯管8先端の蛇口を開くことで、貯湯缶体1内の高温水が給湯管8から流出し、給湯混合弁11でこの高温水と給水バイパス管10からの低温水とを混合して給湯設定温度の温水として蛇口から給湯するものであり、又高温水を出湯した貯湯缶体1には出湯した高温水と同量の給水が給水管9から供給され、この給水の供給で貯湯缶体1内が温度低下すれば加熱手段4が駆動され該貯湯缶体1内を常に所定温度とするものである。
【0018】
次に給湯スイッチ15がオン状態でも保温運転をオフする時間帯を設定しての作動を図2に示すフローチャートに従って説明する。
先ずリモコン装置14で保温オフモードスイッチ19で保温オフモードを設定した後に、時スイッチ16と分スイッチ17でオフ時間帯の開始時間、例えばここでは就寝時間であるPM11:00を入力し確定スイッチ18で確定し、次にオフ時間帯の終了時間、例えばここでは起床時間であるAM6:00を入力し確定スイッチ18で確定して設定を終了する。
【0019】
そしてステップ29で給湯スイッチ15がオン状態かを判断し、YESでステップ30の保温オフモードがスタートとし、ステップ31に進み時計機能部22による現在時刻との比較で、保温運転のオフ時間帯かを判断してNOの場合は、ステップ32に進んで貯湯温度センサ12の検知温度が所定温度未満かを判断しYESの場合は、ステップ33で加熱手段4を駆動させての保温運転を行うもので、そしてステップ34で貯湯温度センサ12が所定温度以上を検知すると、YESでステップ35に進み加熱手段4を停止させて保温運転は終了し、このステップ34の終了後及びステップ32のNOではステップ31に戻るものである。
【0020】
又ステップ31で保温運転のオフ時間帯である場合には、YESでステップ36に進み貯湯温度センサ12の検知温度に関係なく、加熱手段4は駆動させず保温運転のオフを強制的に行わせるものであり、更にステップ37に進んで強制スイッチ20がオンされたかを判断し、YESでステップ38に進み上記の保温運転のオフ時間帯を解除して、貯湯温度センサ12の検知温度で加熱手段4の駆動を制御する保温運転をオンするものである。
【0021】
これにより、貯湯缶体1内の湯水を保温する保温運転をオフする時間帯を任意に設定可能としたので、給湯スイッチ15のオフを忘れたとしても設定しておけば、確実に保温運転をオフすることが出来、無駄な保温運転でエネルギーを消費する心配がなく経済的であり、又オフしておけばその時間帯は保温運転による騒音の発生もなく、使用者の予定に合わせた保温運転のオフを設定出来て極めて使用勝手が良いものである。
【0022】
又保温運転のオフ時間帯でもこれを解除して該保温運転をオンさせる強制スイッチ20を備えたことで、予定とは違って緊急に給湯を使用する必要が生じた時には、強制スイッチ20で保温運転をオンさせて設定温度の給湯を得ることが出来、極めて便利で融通がきき使用勝手が更に良くなるものである。
【符号の説明】
【0023】
1 貯湯缶体
4 加熱手段
12 貯湯温度センサ
13 制御回路
14 リモコン装置
20 強制スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯缶体と、この貯湯缶体内の湯水温度を検知する貯湯温度センサと、該貯湯温度センサの検知温度が予め設定された所定温度を維持する保温運転を行うように貯湯缶体内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯温度センサの検知温度と所定温度とを比較して加熱手段を制御する制御回路と、前記制御回路に各種の指示信号を送るリモコン装置とから構成したものに於いて、前記リモコン装置には、前記保温運転をオフする時間帯を任意に設定可能とする保温オフモードを設けた事を特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記リモコン装置には、保温運転のオフ時間帯でもこれを解除して該保温運転をオンさせる強制スイッチを備えた事を特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−94935(P2011−94935A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251582(P2009−251582)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)