貯留槽の仕切構造
【課題】傾斜板が設けられ、被処理水に混入する浮遊物の沈殿させることができ、さらに、貯留槽の傾斜板等の内部の点検・修理を安全・容易に行うことができる貯留槽の仕切構造の提供。
【解決手段】上流側水路と下流側水路の間に設けられた貯留槽11を、被処理水中を浮遊する異物の通過を許容するように上下層に仕切る貯留槽の仕切構造1であって、前記仕切構造1は、1対の傾斜板13がV字状に傾斜して設けられ、さらに歩行部材25が、前記傾斜板13のV字状の谷部に設けられている。歩行部材25は人が歩行可能であり、歩行部材25には上層18と下層19を連通させる開口26を有している。
【解決手段】上流側水路と下流側水路の間に設けられた貯留槽11を、被処理水中を浮遊する異物の通過を許容するように上下層に仕切る貯留槽の仕切構造1であって、前記仕切構造1は、1対の傾斜板13がV字状に傾斜して設けられ、さらに歩行部材25が、前記傾斜板13のV字状の谷部に設けられている。歩行部材25は人が歩行可能であり、歩行部材25には上層18と下層19を連通させる開口26を有している。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理施設に付随して設けられる貯留槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水処理施設などの水処理施設は、水路を介して集められた下水などの被処理水の浄化処理を行う施設である。これらの水処理施設の中には、その上流側に貯留槽を付設したものがある。
従来の貯留槽は、深さ10mを越える大容量の槽であり、上流側水路から貯留槽に流入した被処理水が貯留されつつ、下流側水路から水処理施設へ向けて流出する構造を有している。
【0003】
この貯留槽は、被処理水に混入する落ち葉や砂などの浮遊物を沈殿させて分離する沈殿槽としての機能を有する。また、集中豪雨などに伴って一時に大量の被処理水が水処理施設へ流れ込むことを防止するための緩衝槽としての役割も担っている。更に、貯留された雨水は防災などに用いることもでき、非常用水の貯留槽としての機能をも有するものである。
このように、多目的に機能する貯留槽は、近年、水処理施設に付設されることが多い。
【0004】
しかし、このような貯留槽では、被処理水に混入する浮遊物を沈殿させる能力に問題があった。則ち、一旦沈殿した落ち葉や砂などが、上流側流入口から流入する被処理水の水流によって再び浮遊し、下流側水路から水処理施設側へ流出するような不具合が生じ易かった。
そして、図27に示すような、貯留槽100の深さ方向の途中に設けた仕切構造104が考えられている。また、図28に示されるような、上流側水路からの入り口である上流側流入口61が下側に位置する仕切構造104も考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
貯留槽100の仕切構造104は、複数の傾斜板103を有し、傾斜板103の上面の傾斜面59は水平に対して傾斜している。そして、傾斜面59の傾斜方向は、上流側流入口61から下流側排出口62に向かう方向、すなわち、被処理水の主流方向に対して平行である。さらに、1対の傾斜板103が反対方向に傾斜してV字状となり、前記V字の谷部では、傾斜板103同士が接触しておらず、開口106となっている。
【0006】
そして、貯留槽100では、被処理水が上流側流入口61から流入すると、貯留槽100内を通過して、下流側排出口62から排出される。
また、被処理水中の浮遊物は、貯留槽100内で流れる間に沈殿し、傾斜板103によって開口106に集められ、開口106から仕切構造104の下層部側へ移動する(図27中の点線矢印)。そして、一旦沈殿した浮遊物は、傾斜板103によって上層部側へ移動しない。また、貯留槽100の底には沈殿した異物などを外部に排出する排出路64が形成されている。
さらに、図28に示される貯留槽100aは、貯留槽100と比較して、上流側流入口61の位置のみが異なる構造であり、貯留槽100と同様に浮遊物を沈殿させるものである。
【0007】
傾斜板103の内部の点検・修理の際などには、貯留槽100の中に入って行われている。しかし、前記したように貯留槽100の深さは10m程度で深いため、深さ方向の途中に設けられた傾斜板103の点検・修理は難しく、危険であった。すなわち、上からロープなどに吊り下がり、または、貯留槽の下に置かれた梯子などに登って、点検等をするのでは、落下等の危険がある。また、傾斜板103上を歩行するのは、傾斜しているため、滑り落ちてしまう。
【0008】
さらに、傾斜板103上の傾斜面59や他の部分の構造を変更して、歩行できるようにするのは、浮遊物の下層部への沈殿を妨げてしまう。すなわち、傾斜面59に水平部分等を設け、又は傾斜板103の傾斜角度を小さくして、水平に近づけたのでは、被処理水に混入する落ち葉や砂などの浮遊物が傾斜板103の表面上を下降しにくく、また、傾斜板上に浮遊物がたい積するおそれがあり、また、被処理水の浮遊物の分離効率が低下してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、被処理水に混入する浮遊物を沈殿させながら、貯留槽の傾斜板等の内部の点検・修理を容易に行うことができる貯留槽の仕切構造を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そして、上記した目的を達成するための請求項1は、上流側水路と下流側水路の間に設けられた貯留槽を、被処理水中を浮遊する異物の通過を許容するように上下層に仕切る貯留槽の仕切構造であって、前記貯留槽の深さ方向中途部に設けられた傾斜板を備え、該傾斜板は水面に対して傾斜する傾斜面を上面側に有し、傾斜面の下部側には人が歩行可能な歩行部が設けられており、該歩行部には上層と下層を連通させる上下連通開口を有することを特徴とする貯留槽の仕切構造である。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、深さ方向中途部に設けられた傾斜板を備え、該傾斜板は水面に対して傾斜する傾斜面を上面側に有し、傾斜面の下部側には人が歩行可能な歩行部が設けられている貯留槽の仕切構造であり、さらに歩行部には上下連通開口を有しているので、浮遊物の沈殿が可能であり、また歩行部によって歩行可能であるので、歩行部を歩行しながら点検・修理することができるので、安全である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、歩行部は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺板状部材からなり、該部材は上下連通開口となる孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貯留槽の仕切構造である。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、歩行部は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺板状部材からなるので歩行しやすく、また、該部材は上下連通開口となる孔が形成されているので、浮遊物の沈殿を妨げることがない。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が反対方向に傾斜してV字状となるように配置されており、前記歩行部は、前記V字の谷部に位置している特徴とする請求項1又は2に記載の貯留槽の仕切構造である。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、歩行部は、V字状に配置された傾斜板のV字の谷部に位置しているので、傾斜板の点検がしやすく、また、歩行部の左右が傾斜板であるので、歩行の際には安全である。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が同じ方向に傾斜して上下方向に配置されており、前記歩行部は該2つの傾斜板の間に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、歩行部は、傾斜面が同じ方向に傾斜して上下方向に配置された2つの傾斜板の間に位置しているので、傾斜面の中途部分での歩行が可能となり、点検が容易となる。また、歩行部に上下連通開口を設けることにより、傾斜面の中途部分で沈殿物の排出がしやすくなり、水の流れが分散することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、歩行部の下側には山型支持部材が設けられ、歩行部は山型支持部材の上側で支持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
ここで、山型支持部材は上側が凸状となるように傾斜している部材であり、断面形状が、略「へ」字状のものや三角状のものが含まれる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、歩行部は山型支持部材によって支持されているので、通過する浮遊物が、山型支持部材の上側に堆積することがない。
【0020】
請求項6の発明は、歩行部の下側には集積部が設けられ、該集積部は、集積用開口と、該開口と接続する案内板を有しており、該案内板は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺状であって、集積用開口に向かって下側に傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、歩行部の下側には集積部が設けられ、該集積部は、集積用開口と、該開口と接続する案内板を有しており、該案内板は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺状であって、集積用開口に向かって下側に傾斜しているので、浮遊物が沈殿する際に、集積部材によって集積用開口に集めることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、複数の集積用開口が傾斜板の下側側縁に沿って配置されており、隣り合う一対の集積用開口の間の案内板は略山形状に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の貯留槽の仕切構造である。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、複数の集積用開口が傾斜板の下側側縁に沿って配置されており、隣り合う一対の集積用開口の間の案内板は略山形状に構成されているので、容易に沈殿した浮遊物を集積用開口に集めることができる。
【0024】
請求項8の発明は、傾斜板が深さ方向に2枚以上並設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、傾斜板が深さ方向に2枚以上並設されているので、浮遊物の沈殿がより効率的となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における仕切構造を拡大した斜視図である。図2は本発明の第1の実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図3は、図2におけるA−A面での断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態における仕切構造の横断面図である。図5は、本発明の第1の実施形態における仕切構造の他の横断面図である。図6は本発明の第1の実施形態における支持部材の一部を示した斜視図である。図7は、本発明の傾斜板の正面図である。図8R>8は、本発明の第1の実施形態における仕切構造の歩行部材の正面図である。図9は、本発明の第2実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図10は、図9におけるA−A面での断面図である。図11は、本発明の第2の実施形態における仕切構造の横断面図である。図12は本発明の第2の実施形態における支持部材及び集積部材の一部を示した斜視図である。図13は、本発明の第3実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図14は、図13におけるA−A面での断面図である。図15は、本発明の第3の実施形態における仕切構造の横断面図である。図16は、本発明の第4実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図17は、図16におけるA−A面での断面図である。図18は、本発明の第4の実施形態における仕切構造の横断面図である。図19は、本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の横断面図である。図20R>0は、本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の歩行部材と山型支持部材を示した斜視図である。図21は、本発明の第5の実施形態における仕切構造の横断面図である。図22は、本発明の第6の実施形態における仕切構造の横断面図である。図23は、本発明の第7の実施形態における仕切構造の横断面図である。図24は、本発明の第8の実施形態における仕切構造の横断面図である。図25は、本発明の第9の実施形態における仕切構造の横断面図である。図26は、本発明の第10の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【0027】
本発明の第1の実施形態における仕切構造1を有する貯留槽11は、図27に示された従来技術の貯留槽100と比べて仕切構造104以外は同様である。
すなわち、貯留槽11は、上流側水路につながって下水などの被処理水が流入する上流側流入口61と、下流側水路につながって被処理水を水処理施設に供給する下流側水路62との間に設けられており、大量の水を貯めることができるように所定深さに形成されている。さらに、貯留槽11の底には、沈殿した異物などを外部に排出する排出路64が形成されている。そして、仕切構造1は貯留槽11を上層18と下層19に仕切っている。また、仕切構造1は、上流側流入口61と下流側排出口62よりも下方に設けられている。
なお、本明細書では、上流側流入口61から下流側排出口62に向かう方向を主流方向、主流方向と垂直であって水平な方向を左右方向、主流方向及び左右方向に垂直な方向を深さ方向として説明する。
【0028】
本実施形態における仕切構造1は、図1〜4に示されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る貯留槽の仕切構造1を、部分的に拡大して図示したものである。
本実施形態の仕切構造1は、傾斜板13と、板状の歩行部材25を有している。傾斜板13及び歩行部材25は、支持部材22によって固定されている。また、支持部材22は、貯留槽11内に設けられている複数の梁20の上側に設置されている。
本発明の実施形態においては、すべて、上流側流入口61の位置が仕切構造1よりも上方のものを採用しているが、図28に示した貯留槽100aのように、上流側流入口61の位置が仕切構造1よりも下方であってもよい。
【0029】
そして、本実施形態の仕切構造1の傾斜板13と歩行部材25の配置は、以下の通りである。
傾斜板13は、貯留槽11の深さ方向中途部に設けられ、貯留槽11を上層18と下層19に仕切っている。各傾斜板13の傾斜面59は水面に対して傾斜しており、傾斜面59は、貯留槽11の被処理水の流れの方向に沿っている。また、左右方向には少なくとも2つ(1対)の傾斜板13が並設され、この1対の傾斜板13が反対方向に傾斜してV字状となり、V字の谷部では、傾斜板13同士が接触せず、対の傾斜板13の下側側縁14同士は左右に離れて隙間を有している。
また本実施形態の仕切構造1には歩行部材25が設けられている。歩行部材25は、傾斜面59の下部側であって、V字状となっている傾斜板13のV字の谷部に位置している。そして、歩行部材25は板状であって、板面を貫通させる開口26を有して上下が連通し、板面を水平方向として支持部材22に固定されている。
さらに、図5示すように、傾斜面59が同じ方向に傾斜して上下方向に配置された傾斜板13を備えて、前記歩行部材25が該2つの傾斜板13の間に位置している仕切構造1aでもよい。かかる仕切構造1aでは傾斜面59の中途部分での歩行が可能となり、点検が容易となる。また、仕切構造1aは、傾斜面59の中途部分に歩行部材25を有する2つの傾斜板13が、V字状となって、上記した仕切構造1と同様に、V字状となっている傾斜板13のV字の谷部にも歩行部材25が設けられている。
【0030】
傾斜板13の構造は、図7に示されるものであり、複数の板部材13aと枠部材13bにより構成されている。なお、傾斜板13には図7に示されるような板部材13aの合わせ目があるが、図1〜3においては、板部材13aの合わせ目を示していない。
そして、枠部材13bを略格子状に組み合わせた後、板部材13aの側面を密着させるようにした状態で枠部材13bに固定する。そして、傾斜板13の全体としては、略板状である。また、傾斜板13を貯留槽11に取り付ける際には、枠部材13bを略格子状に組み合わせた面を下側の状態で取り付けられる。傾斜板13は、上記のように構成されているので、工場などで傾斜板13を組み立てた後、貯留槽内部で搬入して設置する際に移動作業がしやすく、また、傾斜板13を設置の際、傾斜板13の固定箇所が少なくてすむので、貯留槽の仕切構造の設置作業が容易となる。さらに、傾斜板13の上側は傾斜面59となり、傾斜面59は平面状であり、浮遊物が沈殿して傾斜板13上をスムーズに移動するので、沈殿物が溜まりにくい。
【0031】
歩行部材25の構造は、図8に示され、いわゆるグレーチングと呼ばれる棒状又は板状の金属や樹脂などを格子状に結合させたものである。そして、歩行部材25の形状は、長方形の長尺状板状である。また、歩行部材25の格子の間は空間を有し、表面と裏面は連通させる開口26となる。
本実施形態では、歩行部材25を特に製作することなく、市販されているグレーチングを用いることができるので、仕切構造1を容易に施工できる。
【0032】
複数の梁20は、長尺状であり、その長尺方向は左右方向に水平である。そして、各梁20は貯留槽11の壁面と接続し、各梁20の深さ方向の位置は同じである。また、各梁20の中央付近の上側に、支持部材22が設置され、支持部材22は貯留槽11に固定されている。支持部材22は長尺状であり、その長尺の向きは主流方向に向いており、貯留槽11の主流方向の一端側から他端側までの全長にわたって設けられている。
前記した傾斜板13及び歩行部材25は、支持部材22により固定され貯留槽11の内部に固定される。そして、支持部材22によって、傾斜板13及び歩行部材25を、主流方向の全長にわたって設置することができる。
【0033】
傾斜板13は、下側側縁14と支持部材22の長尺方向とが平行となるように支持部材22に固定され、さらに傾斜板13の上側側縁15は、貯留槽11の壁面に固定される。そして、傾斜板13は傾斜状態で固定される。また、支持部材22はその左右方向の両側で、傾斜板13を固定することができるので、左右両側の対となる傾斜板13は支持部材22を挟んだ状態で固定できる。また、図4に示されるように、前記対の傾斜板13は反対方向に傾斜するので主流方向から見るとV字状となる。傾斜板13は主流方向に平行であり、傾斜面59の傾斜角度は水面と約45°である。
歩行部材25は支持部材22の上側に位置し、前記した対の傾斜板13の下側側縁14同士の隙間に位置している。したがって、図4に示されるように、仕切構造1を主流方向からみると、対の傾斜板13と歩行部材25によって、貯留槽11の上層18と下層19を仕切っている。歩行部材25の開口26は深さ方向に向いており、貯留槽11の上層18と下層19を連通させる開口となっている。また、歩行部材25の板面は水平方向に設置されている。
さらに、歩行部材25は、図5に示されるように、V字状に配置した傾斜板13の中段又は下段に配置することも出来る。
【0034】
貯留槽11を使用し、被処理水が上流側流入口61から流入して、下流側排出口62から排出される間に、被処理水の浮遊物が分離される。すなわち、上流側流入口61から流入して貯留槽11の上層18に流れ込む。上層18に流れ込んだ被処理水の浮遊物は、被処理水の流れ方向に進みながら、徐々に沈殿して下側に移動する。そして、浮遊物は、仕切構造1の傾斜板13に至ると、傾斜に沿ってさらに下側に移動し、傾斜板13の下側側縁14付近まで移動する。したがって、沈殿した浮遊物は傾斜板13のV字の谷部に集められる。さらに浮遊物は歩行部材25付近に至るが、歩行部材25には開口26を有しているので、浮遊物は開口26を通って下層19に至り、被処理水から分離される。また、一旦沈殿した浮遊物は、傾斜板13により、上層18側の被処理水の流れなどにより起こる巻き上がり等が発生せず、浮遊物が再び上層18に戻ることはなく、下流側排出口62から排出されない。
また、貯留槽11内部の点検等の際には、歩行部材25上を歩行することができるので、容易に点検・修理ができる。すなわち、歩行部材25は、板状であり板面を水平方向に設けられているので、人が歩行可能である。
【0035】
さらに、第1の実施形態における仕切構造1を詳しく説明する。
仕切構造1の支持部材22は、図6に示されるように、本体部23と、複数のリブプレート部24を有している。
本体部23は断面がC型である2本の長尺部材23aを複数の結合部27で結合したものある。そして、本体部23は、長尺部材23aの前記C型の開口部側を外向きの状態で固定され、2本の長尺部材23a同士は平行であり、左右対称の状態で結合している。なお、結合部27は、後述するリブプレート部24とほぼ同じ位置に設けられ、図3に示されるように所定の間隔で設けられている。
リブプレート部24は板状の部材であり、図3に示されるように、主流方向、すなわち支持部材22の長手方向に所定の間隔ごとに複数設けられている。また、リブプレート部24は、図6に示されるように、本体部23の左右方向の外側に設けられ、傾斜板保持部28を有している。傾斜板保持部28は、断面L型であってL型の開口部が上向きの状態で設けられ、傾斜板13の下側側縁14と固定し、傾斜板13は支持部材22により保持し固定される。
【0036】
支持部材22は上記のように構成されているので、複雑な構造を必要とせず容易に施工することができ、また、傾斜板13を確実に固定することができる。なお、本実施形態では、支持部材22はステンレス鋼を用いているが、これに限らず他の金属であっても良く、また樹脂などの非金属であっても良い。
【0037】
傾斜板13の素材は特に限定されず、木材、塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂等の硬質プラスチック、繊維強化プラスチック(FRP)、SUS製板等の金属板などを用いることができるが、浸水時に大きな浮力を受けることによって梁20や支持部材22などの支持躯体の負荷を軽減できることから、水より比重が軽い素材が好ましく、更に、易施工性をも有する点で木材が好ましい。木材は、天然材や合成木材の何れでもよいが、施工性や水による腐食を防止できる点から、軽量で且つ耐食性を有する樹脂が好ましい。
【0038】
さらに、傾斜板13の素材は、繊維維強化樹脂であり、発泡樹脂が好ましい。発泡樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂であって硬質のものが好適に使用される。なお、発泡樹脂中に、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレー等の無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されていてもよい。
また、発泡体を補強する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機質繊維、天然繊維、合成繊維等の有機質繊維のいずれであってもよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用してもよいし、二層以上積層してもよく、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用してもよい。なお、ガラス長繊維を長手方向に引き揃えて補強繊維とした、ガラス長繊維強化硬質ウレタン発泡体(例えば、積水化学工業株式会社製、商品名「エスロンネオランバーFFU」など)を採用するのが、軽量化、耐久性および加工性の確保のために最も好ましい。
【0039】
また、傾斜板13の傾斜面59は、異物の移動性及び被処理水の整流効果の点から平滑面に形成されている。更に、傾斜板13の表面にフィルムを貼着したり或いはFRP樹脂などの樹脂を被覆するなどの手段によって、傾斜板13の表面に異物に対する抵抗が小さいオーバーコート層を設けることが、傾斜板13の表面の平滑性をより高めることができるので好ましい。
【0040】
上記した第1の実施形態における仕切構造1の梁20は、比較的強度を有する素材、例えば、コンクリート、鉄骨、木材などの素材で構成することができるが、傾斜板13などの仕切構造材を根本的に支持するものであって浸水するものであるため、コンクリートで構成することが好ましい。
また、梁20の長尺の方向は、左右方向に平行な方向であったが、これに限らず上下方向、左右方向、深さ方向のいずれの方向に傾斜を有しても良い。
【0041】
また、歩行部材25及び傾斜板13と、支持部材22との固定は、必要に応じて、締結具63や接着剤が使用される。締結具63はSUS304製ボルトなどの防錆性を有するものを用いることが好ましく、接着剤はエポキシ系接着剤などを用いることができる。
【0042】
また、本発明の第2の実施形態として、図9 〜12に示されるような仕切構造2も採用することができる。そして、仕切構造2は、歩行部材25の下側に集積部材39を設けたものであり、その他の部分は、第1の実施形態における仕切構造1と同様である。
そして、傾斜板13には切り欠き部50が設けられ、上層18と下層19が連通している。
【0043】
図12 は、第2の実施形態における仕切構造2を、部分的に拡大して図示したものである。仕切構造2の支持部材36の下側には集積部材39が設けられている。集積部材39は、案内板44と漏斗受け部38から成っている。案内板44は、支持部材36の2本の長尺部材23aの間に設けられ、水平面に対して緩やかな傾斜を持つ長尺の板状である。案内板44には集積用開口40を有し、案内板44と漏斗受け部38は、集積用開口40で接続している。
図10 に示されるように、案内板44の傾斜は主流方向に傾斜しており、前記傾斜の方向は一定の間隔で傾斜方向が反対方向となり、複数の略山形状となっている。そして、集積用開口40は案内板44の傾斜の谷部付近に設けられ、案内板44の傾斜方向は、集積用開口40に向かって傾斜している。集積用開口40同士の間の案内板44は、略山形状となっている。
【0044】
貯留槽内を被処理水が流れると、第1の実施形態における仕切構造1と同様に、浮遊物が沈殿して傾斜板13上を傾斜しながら下に移動し、歩行部材25に至る。そして、本実施形態では、浮遊物は歩行部材25の開口26を通過した後に集積部材39に至る。集積部材39の案内板44には傾斜を有しているので、浮遊物は傾斜に沿って下に移動し、集積用開口40に至る。そして、浮遊物は集積用開口40より、さらに沈殿し、漏斗受け部38内を通過して、下層19に移動する。すなわち、図11 の点線の矢印のように浮遊物が移動する。
そして、仕切構造2を使用した場合には、全面で沈殿する被処理水の浮遊物を漏斗受け部38の下側周辺にのみ集めることができる。また、集積部材39においては上層18と下層19を連通する部分は集積用開口40及び切り欠き部50であるので、一旦下層19側に沈殿した浮遊物が、再び上層18に戻りにくい。
【0045】
本発明の第3の実施形態として、図13〜15に示される仕切構造3も採用することができる。そして、仕切構造3は、傾斜板47の構造が異なるものであり、その他の部分は、本発明の第2の実施形態の仕切構造2と同様である。
【0046】
本発明の第3の実施形態における仕切構造3の傾斜板47は複数の開口48と複数の切り欠き部50を有している。開口48及び切り欠き部50は傾斜板47を貫通しており、開口48及び切り欠き部50においては、被処理水や浮遊物は通過することができる。
傾斜板47は、開口48及び切り欠き部50が設けられている板部材47cと、開口48及び切り欠き部50が設けられていない板部材47aを交互に合わせて、第1の実施形態における傾斜板13のように、枠部材(図示せず)に固定されて製作される。
【0047】
開口48の形状は、一辺が板部材47cの幅よりやや小さい略正方形状であり、切り欠き部50は主流方向に長いスリット状である。そして、開口48の位置は、傾斜板47の深さ方向の中途部であり、主流方向に所定の間隔で配置されている。また、切り欠き部50は、傾斜板47の上端であり、開口48と同じ位置に設けられている。さらに、図13示されるように、開口48及び切り欠き部50は、左右方向に対称の位置に設けられている。
【0048】
そして、仕切構造3を使用した場合には、被処理水の浮遊物をより分離することができる。すなわち、傾斜板47の裏側を上昇する被処理水の流れが発生し、その間に浮遊物が沈殿して、浮遊物の少ない被処理水が開口48又は切り欠き部50から上層18に移動するので、効果的に浮遊物を分離する。なお、図15に、被処理水と浮遊物の想定される動きを示しており、実線の矢印が処理水の流れ、破線の矢印が浮遊物の沈殿の様子である。
本実施形態においては、傾斜板47と歩行部材25との間には隙間35bが設けられている。そして、隙間35bは上層18と下層19を連通させる開口となるものであり、貯留槽を使用した場合には浮遊物が通過することができる。
【0049】
本発明の第4の実施形態として、図16〜18に示される仕切構造4も採用することができる。そして、仕切構造4は仕切構造1と比較して、歩行部材の構造と傾斜板の開口と切り欠きを有する点が異なるものであり、その他の構成については、仕切構造1と同様である。
【0050】
本発明の第4の実施形態における仕切構造4の歩行部材35は、図16に示されるような、スリット状の開口35aが設けられた板状である。そして、開口35aは板面の表と裏を貫通して仕切構造4においては、上下連通開口となる。また、この開口35aの大きさは、歩行の際には人が落ちることがなく、浮遊物が通過できる程度の大きさである。
したがって、本発明の第4の実施形態の仕切構造4においても、第1の実施形態における仕切構造1と同様に、傾斜板52により傾斜板52のV字の谷部に集められ歩行部材35に至った浮遊物は、開口35aから下層19に移動することができるので、浮遊物の分離を行うことができる。また、歩行部材35の上を歩行することができるので、歩行部材35の上を歩いて点検修理を行うことができる。
【0051】
また、傾斜板52と歩行部材35との間には隙間35bが設けられている。そして、隙間35bは上層18と下層19を連通させる開口となるものであり、貯留槽を使用した場合には浮遊物が通過することができる。そして、歩行部材35の開口35aが設けずに、隙間35bを上下を連通させる開口とすることもできる。
【0052】
また、仕切構造4の傾斜板52には、第3の実施形態の傾斜板47のように、傾斜板52を貫通複数の開口48と複数の切り欠き部50を有するものである。傾斜板52は、開口48及び切り欠き部50が設けられている板部材52cと、開口48及び切り欠き部50が設けられていない板部材52aを交互に合わせて、枠部材(図示せず)に固定されて製作される。
【0053】
開口48の形状は、板部材52cの幅よりやや小さい一辺の略正方形状であり、切り欠き部50は主流方向に長いスリット状である。そして、開口48の位置は、傾斜板52の深さ方向の中途部であり、主流方向に所定の間隔で配置されている。また、切り欠き部50は、傾斜板52の上端であり、開口48と同じ位置に設けられている。さらに、図16示されるように、開口48及び切り欠き部50の位置は、第3の実施形態と異なり、左右方向に対称ではなく、左右方向にずれて位置している。
そして、仕切構造4を使用した場合にも仕切構造3と同様に、図18に示されるように、傾斜板52の裏側を上昇する被処理水の流れにより、被処理水の浮遊物をより効率的に分離できることができる。
【0054】
さらに、歩行部材とその支持構造として、本発明の第4の実施形態を変形した図19,20に示される仕切構造4aも用いることができる。
すなわち、仕切構造4aには歩行部材49と山型支持部材49aを有している。歩行部材49は開口を有して主流方向に長い長尺状であり、上面は水平であり、上面の上を歩行することができる。そして、歩行部材49はいわゆるグレーチングより構成されて、山型支持部材49aの上で支持されている。山型支持部材49aは長尺状の部材であり、上方が凸状となっているので浮遊物が溜まることがない。さらに、山型支持部材49aは梁20の上に設置され固定される。
仕切構造4aの使用の際、浮遊物が沈殿した場合には、歩行部材49と山型支持部材49aに浮遊物が溜まることが無く、スムーズに下層19に沈殿する。また、歩行部材49のグレーチングの代わりに、ワイヤーを網状としたものなどを用いることができ、さらに、上側が歩行できて開口を有するものであればどのようなものでも構わない。このスリット46の向きは、傾斜板の傾き方向でも、又、傾き方向と直角方向であってもよい。
上記した、仕切構造4aの歩行部材49及び山型支持部材49aの構造は、本発明の他の実施形態に用いることができる。
【0055】
前記した仕切構造3,4は、傾斜板に開口48と切り欠き部50を有するものであったが、図21に示される仕切構造5のように開口48のみ有する構造でも良く、また図22に示される仕切構造6のように切り欠き部50のみ有する構造でもよい。さらに、図23に示される仕切構造7のように、傾斜板の中途部に複数のスリット46を有する構造でも良い。
上記の仕切構造5,6,7でも、傾斜板の裏側に上昇する被処理水の流れが発生して、浮遊物の沈殿が効果的に分離する。
さらに、開口48及び切り欠き部50の大きさ・配置は上記した実施形態と異なっていても良く、また複数有していても良い。
【0056】
また、上記した実施形態においては、貯留槽11に梁20を有し、梁20の上に設けられた支持部材22により、傾斜板や歩行部材25を固定するものであったが、図24に示される仕切構造8のように、壁面21に固定された枠組部材55によって、傾斜板13を固定する仕切構造でもよい。
枠組部材55は、斜辺部58が傾斜板13と同じ角度の傾きである直角三角形状の外枠部材56と、前記外枠部材56の変形を防止する筋交い57が設けられている。また、必要に応じて、外枠部材56と筋交い57の接合部に当て板60を設けて、変形に対する強度を高めることもできる。そして、枠組部材55と壁面21が固定され、さらに、傾斜板13は枠組部材55の斜面部58に固定されている。なお、歩行部材25は、傾斜板13のV字状の谷部で、枠組部材55に固定されている。
仕切構造8では、貯留槽に梁20がなくても、仕切構造を設けることができる。
【0057】
また、上記した仕切構造の仕切構造には、傾斜板を深さ方向に1枚だけ設けたものであったが、図25に示される仕切構造9のように傾斜板13を深さ方向に2枚以上に並設し、複数設けられている部分を有していても良い。そして、傾斜板13が深さ方向に2枚以上設けられると、上層18における被処理水の流れによる浮遊物の巻き上がりが少なくなるので、浮遊物が分離しやすくなる。
さらに、貯留槽の左右方向の幅が長い場合には、図26に示される仕切構造10のように、V字状とした1対の傾斜板13を幅方向に2組以上(傾斜板13を4枚以上)設置してもよい。そして、この場合には、それぞれの傾斜板13のV字状の谷部に歩行部材25を設けることができる。
【0058】
また、貯留槽の上流側流入口61付近に多数の通孔を有する整流板を設け、被処理水の流れを整流して、貯留槽内で乱流が生じることを防止する仕切構造とすることもできる。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、上述の通り構成されているので、被処理水に混入する浮遊物の沈殿させながら、歩行部材の上を歩行することで、貯留槽の内部の点検・修理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における仕切構造を拡大した斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図3】図2におけるA−A面での断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における仕切構造の他の横断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における支持部材の一部を示した斜視図である。
【図7】本発明の傾斜板の正面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における仕切構造の歩行部材の正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図10】図9におけるA−A面での断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における支持部材及び集積部材の一部を示した斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図14】図13におけるA−A面での断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図16】本発明の第4実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図17】図16におけるA−A面での断面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図19】本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の横断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の歩行部材と山型支持部材を示した斜視図である。
【図21】本発明の第5の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図22】本発明の第6の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図23】本発明の第7の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図24】本発明の第8の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図25】本発明の第9の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図26】本発明の第10の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図27】従来技術における貯留槽の斜視図である。
【図28】従来技術における貯留槽の斜視図である。
【符号の説明】
1,1a,2,3,4,4a,5,6,7,8,9,10 仕切構造
11 貯留槽
13,47,52 傾斜板
26,35a,48 開口
25,35,49 歩行部材
39 集積部材
40 集積用開口
44 案内板
49a 山型支持部材
59 傾斜面
61 上流側流入口
62 下流側排出口
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理施設に付随して設けられる貯留槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水処理施設などの水処理施設は、水路を介して集められた下水などの被処理水の浄化処理を行う施設である。これらの水処理施設の中には、その上流側に貯留槽を付設したものがある。
従来の貯留槽は、深さ10mを越える大容量の槽であり、上流側水路から貯留槽に流入した被処理水が貯留されつつ、下流側水路から水処理施設へ向けて流出する構造を有している。
【0003】
この貯留槽は、被処理水に混入する落ち葉や砂などの浮遊物を沈殿させて分離する沈殿槽としての機能を有する。また、集中豪雨などに伴って一時に大量の被処理水が水処理施設へ流れ込むことを防止するための緩衝槽としての役割も担っている。更に、貯留された雨水は防災などに用いることもでき、非常用水の貯留槽としての機能をも有するものである。
このように、多目的に機能する貯留槽は、近年、水処理施設に付設されることが多い。
【0004】
しかし、このような貯留槽では、被処理水に混入する浮遊物を沈殿させる能力に問題があった。則ち、一旦沈殿した落ち葉や砂などが、上流側流入口から流入する被処理水の水流によって再び浮遊し、下流側水路から水処理施設側へ流出するような不具合が生じ易かった。
そして、図27に示すような、貯留槽100の深さ方向の途中に設けた仕切構造104が考えられている。また、図28に示されるような、上流側水路からの入り口である上流側流入口61が下側に位置する仕切構造104も考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
貯留槽100の仕切構造104は、複数の傾斜板103を有し、傾斜板103の上面の傾斜面59は水平に対して傾斜している。そして、傾斜面59の傾斜方向は、上流側流入口61から下流側排出口62に向かう方向、すなわち、被処理水の主流方向に対して平行である。さらに、1対の傾斜板103が反対方向に傾斜してV字状となり、前記V字の谷部では、傾斜板103同士が接触しておらず、開口106となっている。
【0006】
そして、貯留槽100では、被処理水が上流側流入口61から流入すると、貯留槽100内を通過して、下流側排出口62から排出される。
また、被処理水中の浮遊物は、貯留槽100内で流れる間に沈殿し、傾斜板103によって開口106に集められ、開口106から仕切構造104の下層部側へ移動する(図27中の点線矢印)。そして、一旦沈殿した浮遊物は、傾斜板103によって上層部側へ移動しない。また、貯留槽100の底には沈殿した異物などを外部に排出する排出路64が形成されている。
さらに、図28に示される貯留槽100aは、貯留槽100と比較して、上流側流入口61の位置のみが異なる構造であり、貯留槽100と同様に浮遊物を沈殿させるものである。
【0007】
傾斜板103の内部の点検・修理の際などには、貯留槽100の中に入って行われている。しかし、前記したように貯留槽100の深さは10m程度で深いため、深さ方向の途中に設けられた傾斜板103の点検・修理は難しく、危険であった。すなわち、上からロープなどに吊り下がり、または、貯留槽の下に置かれた梯子などに登って、点検等をするのでは、落下等の危険がある。また、傾斜板103上を歩行するのは、傾斜しているため、滑り落ちてしまう。
【0008】
さらに、傾斜板103上の傾斜面59や他の部分の構造を変更して、歩行できるようにするのは、浮遊物の下層部への沈殿を妨げてしまう。すなわち、傾斜面59に水平部分等を設け、又は傾斜板103の傾斜角度を小さくして、水平に近づけたのでは、被処理水に混入する落ち葉や砂などの浮遊物が傾斜板103の表面上を下降しにくく、また、傾斜板上に浮遊物がたい積するおそれがあり、また、被処理水の浮遊物の分離効率が低下してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、被処理水に混入する浮遊物を沈殿させながら、貯留槽の傾斜板等の内部の点検・修理を容易に行うことができる貯留槽の仕切構造を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そして、上記した目的を達成するための請求項1は、上流側水路と下流側水路の間に設けられた貯留槽を、被処理水中を浮遊する異物の通過を許容するように上下層に仕切る貯留槽の仕切構造であって、前記貯留槽の深さ方向中途部に設けられた傾斜板を備え、該傾斜板は水面に対して傾斜する傾斜面を上面側に有し、傾斜面の下部側には人が歩行可能な歩行部が設けられており、該歩行部には上層と下層を連通させる上下連通開口を有することを特徴とする貯留槽の仕切構造である。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、深さ方向中途部に設けられた傾斜板を備え、該傾斜板は水面に対して傾斜する傾斜面を上面側に有し、傾斜面の下部側には人が歩行可能な歩行部が設けられている貯留槽の仕切構造であり、さらに歩行部には上下連通開口を有しているので、浮遊物の沈殿が可能であり、また歩行部によって歩行可能であるので、歩行部を歩行しながら点検・修理することができるので、安全である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、歩行部は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺板状部材からなり、該部材は上下連通開口となる孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貯留槽の仕切構造である。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、歩行部は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺板状部材からなるので歩行しやすく、また、該部材は上下連通開口となる孔が形成されているので、浮遊物の沈殿を妨げることがない。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が反対方向に傾斜してV字状となるように配置されており、前記歩行部は、前記V字の谷部に位置している特徴とする請求項1又は2に記載の貯留槽の仕切構造である。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、歩行部は、V字状に配置された傾斜板のV字の谷部に位置しているので、傾斜板の点検がしやすく、また、歩行部の左右が傾斜板であるので、歩行の際には安全である。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が同じ方向に傾斜して上下方向に配置されており、前記歩行部は該2つの傾斜板の間に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、歩行部は、傾斜面が同じ方向に傾斜して上下方向に配置された2つの傾斜板の間に位置しているので、傾斜面の中途部分での歩行が可能となり、点検が容易となる。また、歩行部に上下連通開口を設けることにより、傾斜面の中途部分で沈殿物の排出がしやすくなり、水の流れが分散することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、歩行部の下側には山型支持部材が設けられ、歩行部は山型支持部材の上側で支持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
ここで、山型支持部材は上側が凸状となるように傾斜している部材であり、断面形状が、略「へ」字状のものや三角状のものが含まれる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、歩行部は山型支持部材によって支持されているので、通過する浮遊物が、山型支持部材の上側に堆積することがない。
【0020】
請求項6の発明は、歩行部の下側には集積部が設けられ、該集積部は、集積用開口と、該開口と接続する案内板を有しており、該案内板は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺状であって、集積用開口に向かって下側に傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、歩行部の下側には集積部が設けられ、該集積部は、集積用開口と、該開口と接続する案内板を有しており、該案内板は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺状であって、集積用開口に向かって下側に傾斜しているので、浮遊物が沈殿する際に、集積部材によって集積用開口に集めることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、複数の集積用開口が傾斜板の下側側縁に沿って配置されており、隣り合う一対の集積用開口の間の案内板は略山形状に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の貯留槽の仕切構造である。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、複数の集積用開口が傾斜板の下側側縁に沿って配置されており、隣り合う一対の集積用開口の間の案内板は略山形状に構成されているので、容易に沈殿した浮遊物を集積用開口に集めることができる。
【0024】
請求項8の発明は、傾斜板が深さ方向に2枚以上並設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造である。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、傾斜板が深さ方向に2枚以上並設されているので、浮遊物の沈殿がより効率的となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における仕切構造を拡大した斜視図である。図2は本発明の第1の実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図3は、図2におけるA−A面での断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態における仕切構造の横断面図である。図5は、本発明の第1の実施形態における仕切構造の他の横断面図である。図6は本発明の第1の実施形態における支持部材の一部を示した斜視図である。図7は、本発明の傾斜板の正面図である。図8R>8は、本発明の第1の実施形態における仕切構造の歩行部材の正面図である。図9は、本発明の第2実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図10は、図9におけるA−A面での断面図である。図11は、本発明の第2の実施形態における仕切構造の横断面図である。図12は本発明の第2の実施形態における支持部材及び集積部材の一部を示した斜視図である。図13は、本発明の第3実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図14は、図13におけるA−A面での断面図である。図15は、本発明の第3の実施形態における仕切構造の横断面図である。図16は、本発明の第4実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。図17は、図16におけるA−A面での断面図である。図18は、本発明の第4の実施形態における仕切構造の横断面図である。図19は、本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の横断面図である。図20R>0は、本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の歩行部材と山型支持部材を示した斜視図である。図21は、本発明の第5の実施形態における仕切構造の横断面図である。図22は、本発明の第6の実施形態における仕切構造の横断面図である。図23は、本発明の第7の実施形態における仕切構造の横断面図である。図24は、本発明の第8の実施形態における仕切構造の横断面図である。図25は、本発明の第9の実施形態における仕切構造の横断面図である。図26は、本発明の第10の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【0027】
本発明の第1の実施形態における仕切構造1を有する貯留槽11は、図27に示された従来技術の貯留槽100と比べて仕切構造104以外は同様である。
すなわち、貯留槽11は、上流側水路につながって下水などの被処理水が流入する上流側流入口61と、下流側水路につながって被処理水を水処理施設に供給する下流側水路62との間に設けられており、大量の水を貯めることができるように所定深さに形成されている。さらに、貯留槽11の底には、沈殿した異物などを外部に排出する排出路64が形成されている。そして、仕切構造1は貯留槽11を上層18と下層19に仕切っている。また、仕切構造1は、上流側流入口61と下流側排出口62よりも下方に設けられている。
なお、本明細書では、上流側流入口61から下流側排出口62に向かう方向を主流方向、主流方向と垂直であって水平な方向を左右方向、主流方向及び左右方向に垂直な方向を深さ方向として説明する。
【0028】
本実施形態における仕切構造1は、図1〜4に示されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る貯留槽の仕切構造1を、部分的に拡大して図示したものである。
本実施形態の仕切構造1は、傾斜板13と、板状の歩行部材25を有している。傾斜板13及び歩行部材25は、支持部材22によって固定されている。また、支持部材22は、貯留槽11内に設けられている複数の梁20の上側に設置されている。
本発明の実施形態においては、すべて、上流側流入口61の位置が仕切構造1よりも上方のものを採用しているが、図28に示した貯留槽100aのように、上流側流入口61の位置が仕切構造1よりも下方であってもよい。
【0029】
そして、本実施形態の仕切構造1の傾斜板13と歩行部材25の配置は、以下の通りである。
傾斜板13は、貯留槽11の深さ方向中途部に設けられ、貯留槽11を上層18と下層19に仕切っている。各傾斜板13の傾斜面59は水面に対して傾斜しており、傾斜面59は、貯留槽11の被処理水の流れの方向に沿っている。また、左右方向には少なくとも2つ(1対)の傾斜板13が並設され、この1対の傾斜板13が反対方向に傾斜してV字状となり、V字の谷部では、傾斜板13同士が接触せず、対の傾斜板13の下側側縁14同士は左右に離れて隙間を有している。
また本実施形態の仕切構造1には歩行部材25が設けられている。歩行部材25は、傾斜面59の下部側であって、V字状となっている傾斜板13のV字の谷部に位置している。そして、歩行部材25は板状であって、板面を貫通させる開口26を有して上下が連通し、板面を水平方向として支持部材22に固定されている。
さらに、図5示すように、傾斜面59が同じ方向に傾斜して上下方向に配置された傾斜板13を備えて、前記歩行部材25が該2つの傾斜板13の間に位置している仕切構造1aでもよい。かかる仕切構造1aでは傾斜面59の中途部分での歩行が可能となり、点検が容易となる。また、仕切構造1aは、傾斜面59の中途部分に歩行部材25を有する2つの傾斜板13が、V字状となって、上記した仕切構造1と同様に、V字状となっている傾斜板13のV字の谷部にも歩行部材25が設けられている。
【0030】
傾斜板13の構造は、図7に示されるものであり、複数の板部材13aと枠部材13bにより構成されている。なお、傾斜板13には図7に示されるような板部材13aの合わせ目があるが、図1〜3においては、板部材13aの合わせ目を示していない。
そして、枠部材13bを略格子状に組み合わせた後、板部材13aの側面を密着させるようにした状態で枠部材13bに固定する。そして、傾斜板13の全体としては、略板状である。また、傾斜板13を貯留槽11に取り付ける際には、枠部材13bを略格子状に組み合わせた面を下側の状態で取り付けられる。傾斜板13は、上記のように構成されているので、工場などで傾斜板13を組み立てた後、貯留槽内部で搬入して設置する際に移動作業がしやすく、また、傾斜板13を設置の際、傾斜板13の固定箇所が少なくてすむので、貯留槽の仕切構造の設置作業が容易となる。さらに、傾斜板13の上側は傾斜面59となり、傾斜面59は平面状であり、浮遊物が沈殿して傾斜板13上をスムーズに移動するので、沈殿物が溜まりにくい。
【0031】
歩行部材25の構造は、図8に示され、いわゆるグレーチングと呼ばれる棒状又は板状の金属や樹脂などを格子状に結合させたものである。そして、歩行部材25の形状は、長方形の長尺状板状である。また、歩行部材25の格子の間は空間を有し、表面と裏面は連通させる開口26となる。
本実施形態では、歩行部材25を特に製作することなく、市販されているグレーチングを用いることができるので、仕切構造1を容易に施工できる。
【0032】
複数の梁20は、長尺状であり、その長尺方向は左右方向に水平である。そして、各梁20は貯留槽11の壁面と接続し、各梁20の深さ方向の位置は同じである。また、各梁20の中央付近の上側に、支持部材22が設置され、支持部材22は貯留槽11に固定されている。支持部材22は長尺状であり、その長尺の向きは主流方向に向いており、貯留槽11の主流方向の一端側から他端側までの全長にわたって設けられている。
前記した傾斜板13及び歩行部材25は、支持部材22により固定され貯留槽11の内部に固定される。そして、支持部材22によって、傾斜板13及び歩行部材25を、主流方向の全長にわたって設置することができる。
【0033】
傾斜板13は、下側側縁14と支持部材22の長尺方向とが平行となるように支持部材22に固定され、さらに傾斜板13の上側側縁15は、貯留槽11の壁面に固定される。そして、傾斜板13は傾斜状態で固定される。また、支持部材22はその左右方向の両側で、傾斜板13を固定することができるので、左右両側の対となる傾斜板13は支持部材22を挟んだ状態で固定できる。また、図4に示されるように、前記対の傾斜板13は反対方向に傾斜するので主流方向から見るとV字状となる。傾斜板13は主流方向に平行であり、傾斜面59の傾斜角度は水面と約45°である。
歩行部材25は支持部材22の上側に位置し、前記した対の傾斜板13の下側側縁14同士の隙間に位置している。したがって、図4に示されるように、仕切構造1を主流方向からみると、対の傾斜板13と歩行部材25によって、貯留槽11の上層18と下層19を仕切っている。歩行部材25の開口26は深さ方向に向いており、貯留槽11の上層18と下層19を連通させる開口となっている。また、歩行部材25の板面は水平方向に設置されている。
さらに、歩行部材25は、図5に示されるように、V字状に配置した傾斜板13の中段又は下段に配置することも出来る。
【0034】
貯留槽11を使用し、被処理水が上流側流入口61から流入して、下流側排出口62から排出される間に、被処理水の浮遊物が分離される。すなわち、上流側流入口61から流入して貯留槽11の上層18に流れ込む。上層18に流れ込んだ被処理水の浮遊物は、被処理水の流れ方向に進みながら、徐々に沈殿して下側に移動する。そして、浮遊物は、仕切構造1の傾斜板13に至ると、傾斜に沿ってさらに下側に移動し、傾斜板13の下側側縁14付近まで移動する。したがって、沈殿した浮遊物は傾斜板13のV字の谷部に集められる。さらに浮遊物は歩行部材25付近に至るが、歩行部材25には開口26を有しているので、浮遊物は開口26を通って下層19に至り、被処理水から分離される。また、一旦沈殿した浮遊物は、傾斜板13により、上層18側の被処理水の流れなどにより起こる巻き上がり等が発生せず、浮遊物が再び上層18に戻ることはなく、下流側排出口62から排出されない。
また、貯留槽11内部の点検等の際には、歩行部材25上を歩行することができるので、容易に点検・修理ができる。すなわち、歩行部材25は、板状であり板面を水平方向に設けられているので、人が歩行可能である。
【0035】
さらに、第1の実施形態における仕切構造1を詳しく説明する。
仕切構造1の支持部材22は、図6に示されるように、本体部23と、複数のリブプレート部24を有している。
本体部23は断面がC型である2本の長尺部材23aを複数の結合部27で結合したものある。そして、本体部23は、長尺部材23aの前記C型の開口部側を外向きの状態で固定され、2本の長尺部材23a同士は平行であり、左右対称の状態で結合している。なお、結合部27は、後述するリブプレート部24とほぼ同じ位置に設けられ、図3に示されるように所定の間隔で設けられている。
リブプレート部24は板状の部材であり、図3に示されるように、主流方向、すなわち支持部材22の長手方向に所定の間隔ごとに複数設けられている。また、リブプレート部24は、図6に示されるように、本体部23の左右方向の外側に設けられ、傾斜板保持部28を有している。傾斜板保持部28は、断面L型であってL型の開口部が上向きの状態で設けられ、傾斜板13の下側側縁14と固定し、傾斜板13は支持部材22により保持し固定される。
【0036】
支持部材22は上記のように構成されているので、複雑な構造を必要とせず容易に施工することができ、また、傾斜板13を確実に固定することができる。なお、本実施形態では、支持部材22はステンレス鋼を用いているが、これに限らず他の金属であっても良く、また樹脂などの非金属であっても良い。
【0037】
傾斜板13の素材は特に限定されず、木材、塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂等の硬質プラスチック、繊維強化プラスチック(FRP)、SUS製板等の金属板などを用いることができるが、浸水時に大きな浮力を受けることによって梁20や支持部材22などの支持躯体の負荷を軽減できることから、水より比重が軽い素材が好ましく、更に、易施工性をも有する点で木材が好ましい。木材は、天然材や合成木材の何れでもよいが、施工性や水による腐食を防止できる点から、軽量で且つ耐食性を有する樹脂が好ましい。
【0038】
さらに、傾斜板13の素材は、繊維維強化樹脂であり、発泡樹脂が好ましい。発泡樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂であって硬質のものが好適に使用される。なお、発泡樹脂中に、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレー等の無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されていてもよい。
また、発泡体を補強する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機質繊維、天然繊維、合成繊維等の有機質繊維のいずれであってもよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用してもよいし、二層以上積層してもよく、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用してもよい。なお、ガラス長繊維を長手方向に引き揃えて補強繊維とした、ガラス長繊維強化硬質ウレタン発泡体(例えば、積水化学工業株式会社製、商品名「エスロンネオランバーFFU」など)を採用するのが、軽量化、耐久性および加工性の確保のために最も好ましい。
【0039】
また、傾斜板13の傾斜面59は、異物の移動性及び被処理水の整流効果の点から平滑面に形成されている。更に、傾斜板13の表面にフィルムを貼着したり或いはFRP樹脂などの樹脂を被覆するなどの手段によって、傾斜板13の表面に異物に対する抵抗が小さいオーバーコート層を設けることが、傾斜板13の表面の平滑性をより高めることができるので好ましい。
【0040】
上記した第1の実施形態における仕切構造1の梁20は、比較的強度を有する素材、例えば、コンクリート、鉄骨、木材などの素材で構成することができるが、傾斜板13などの仕切構造材を根本的に支持するものであって浸水するものであるため、コンクリートで構成することが好ましい。
また、梁20の長尺の方向は、左右方向に平行な方向であったが、これに限らず上下方向、左右方向、深さ方向のいずれの方向に傾斜を有しても良い。
【0041】
また、歩行部材25及び傾斜板13と、支持部材22との固定は、必要に応じて、締結具63や接着剤が使用される。締結具63はSUS304製ボルトなどの防錆性を有するものを用いることが好ましく、接着剤はエポキシ系接着剤などを用いることができる。
【0042】
また、本発明の第2の実施形態として、図9 〜12に示されるような仕切構造2も採用することができる。そして、仕切構造2は、歩行部材25の下側に集積部材39を設けたものであり、その他の部分は、第1の実施形態における仕切構造1と同様である。
そして、傾斜板13には切り欠き部50が設けられ、上層18と下層19が連通している。
【0043】
図12 は、第2の実施形態における仕切構造2を、部分的に拡大して図示したものである。仕切構造2の支持部材36の下側には集積部材39が設けられている。集積部材39は、案内板44と漏斗受け部38から成っている。案内板44は、支持部材36の2本の長尺部材23aの間に設けられ、水平面に対して緩やかな傾斜を持つ長尺の板状である。案内板44には集積用開口40を有し、案内板44と漏斗受け部38は、集積用開口40で接続している。
図10 に示されるように、案内板44の傾斜は主流方向に傾斜しており、前記傾斜の方向は一定の間隔で傾斜方向が反対方向となり、複数の略山形状となっている。そして、集積用開口40は案内板44の傾斜の谷部付近に設けられ、案内板44の傾斜方向は、集積用開口40に向かって傾斜している。集積用開口40同士の間の案内板44は、略山形状となっている。
【0044】
貯留槽内を被処理水が流れると、第1の実施形態における仕切構造1と同様に、浮遊物が沈殿して傾斜板13上を傾斜しながら下に移動し、歩行部材25に至る。そして、本実施形態では、浮遊物は歩行部材25の開口26を通過した後に集積部材39に至る。集積部材39の案内板44には傾斜を有しているので、浮遊物は傾斜に沿って下に移動し、集積用開口40に至る。そして、浮遊物は集積用開口40より、さらに沈殿し、漏斗受け部38内を通過して、下層19に移動する。すなわち、図11 の点線の矢印のように浮遊物が移動する。
そして、仕切構造2を使用した場合には、全面で沈殿する被処理水の浮遊物を漏斗受け部38の下側周辺にのみ集めることができる。また、集積部材39においては上層18と下層19を連通する部分は集積用開口40及び切り欠き部50であるので、一旦下層19側に沈殿した浮遊物が、再び上層18に戻りにくい。
【0045】
本発明の第3の実施形態として、図13〜15に示される仕切構造3も採用することができる。そして、仕切構造3は、傾斜板47の構造が異なるものであり、その他の部分は、本発明の第2の実施形態の仕切構造2と同様である。
【0046】
本発明の第3の実施形態における仕切構造3の傾斜板47は複数の開口48と複数の切り欠き部50を有している。開口48及び切り欠き部50は傾斜板47を貫通しており、開口48及び切り欠き部50においては、被処理水や浮遊物は通過することができる。
傾斜板47は、開口48及び切り欠き部50が設けられている板部材47cと、開口48及び切り欠き部50が設けられていない板部材47aを交互に合わせて、第1の実施形態における傾斜板13のように、枠部材(図示せず)に固定されて製作される。
【0047】
開口48の形状は、一辺が板部材47cの幅よりやや小さい略正方形状であり、切り欠き部50は主流方向に長いスリット状である。そして、開口48の位置は、傾斜板47の深さ方向の中途部であり、主流方向に所定の間隔で配置されている。また、切り欠き部50は、傾斜板47の上端であり、開口48と同じ位置に設けられている。さらに、図13示されるように、開口48及び切り欠き部50は、左右方向に対称の位置に設けられている。
【0048】
そして、仕切構造3を使用した場合には、被処理水の浮遊物をより分離することができる。すなわち、傾斜板47の裏側を上昇する被処理水の流れが発生し、その間に浮遊物が沈殿して、浮遊物の少ない被処理水が開口48又は切り欠き部50から上層18に移動するので、効果的に浮遊物を分離する。なお、図15に、被処理水と浮遊物の想定される動きを示しており、実線の矢印が処理水の流れ、破線の矢印が浮遊物の沈殿の様子である。
本実施形態においては、傾斜板47と歩行部材25との間には隙間35bが設けられている。そして、隙間35bは上層18と下層19を連通させる開口となるものであり、貯留槽を使用した場合には浮遊物が通過することができる。
【0049】
本発明の第4の実施形態として、図16〜18に示される仕切構造4も採用することができる。そして、仕切構造4は仕切構造1と比較して、歩行部材の構造と傾斜板の開口と切り欠きを有する点が異なるものであり、その他の構成については、仕切構造1と同様である。
【0050】
本発明の第4の実施形態における仕切構造4の歩行部材35は、図16に示されるような、スリット状の開口35aが設けられた板状である。そして、開口35aは板面の表と裏を貫通して仕切構造4においては、上下連通開口となる。また、この開口35aの大きさは、歩行の際には人が落ちることがなく、浮遊物が通過できる程度の大きさである。
したがって、本発明の第4の実施形態の仕切構造4においても、第1の実施形態における仕切構造1と同様に、傾斜板52により傾斜板52のV字の谷部に集められ歩行部材35に至った浮遊物は、開口35aから下層19に移動することができるので、浮遊物の分離を行うことができる。また、歩行部材35の上を歩行することができるので、歩行部材35の上を歩いて点検修理を行うことができる。
【0051】
また、傾斜板52と歩行部材35との間には隙間35bが設けられている。そして、隙間35bは上層18と下層19を連通させる開口となるものであり、貯留槽を使用した場合には浮遊物が通過することができる。そして、歩行部材35の開口35aが設けずに、隙間35bを上下を連通させる開口とすることもできる。
【0052】
また、仕切構造4の傾斜板52には、第3の実施形態の傾斜板47のように、傾斜板52を貫通複数の開口48と複数の切り欠き部50を有するものである。傾斜板52は、開口48及び切り欠き部50が設けられている板部材52cと、開口48及び切り欠き部50が設けられていない板部材52aを交互に合わせて、枠部材(図示せず)に固定されて製作される。
【0053】
開口48の形状は、板部材52cの幅よりやや小さい一辺の略正方形状であり、切り欠き部50は主流方向に長いスリット状である。そして、開口48の位置は、傾斜板52の深さ方向の中途部であり、主流方向に所定の間隔で配置されている。また、切り欠き部50は、傾斜板52の上端であり、開口48と同じ位置に設けられている。さらに、図16示されるように、開口48及び切り欠き部50の位置は、第3の実施形態と異なり、左右方向に対称ではなく、左右方向にずれて位置している。
そして、仕切構造4を使用した場合にも仕切構造3と同様に、図18に示されるように、傾斜板52の裏側を上昇する被処理水の流れにより、被処理水の浮遊物をより効率的に分離できることができる。
【0054】
さらに、歩行部材とその支持構造として、本発明の第4の実施形態を変形した図19,20に示される仕切構造4aも用いることができる。
すなわち、仕切構造4aには歩行部材49と山型支持部材49aを有している。歩行部材49は開口を有して主流方向に長い長尺状であり、上面は水平であり、上面の上を歩行することができる。そして、歩行部材49はいわゆるグレーチングより構成されて、山型支持部材49aの上で支持されている。山型支持部材49aは長尺状の部材であり、上方が凸状となっているので浮遊物が溜まることがない。さらに、山型支持部材49aは梁20の上に設置され固定される。
仕切構造4aの使用の際、浮遊物が沈殿した場合には、歩行部材49と山型支持部材49aに浮遊物が溜まることが無く、スムーズに下層19に沈殿する。また、歩行部材49のグレーチングの代わりに、ワイヤーを網状としたものなどを用いることができ、さらに、上側が歩行できて開口を有するものであればどのようなものでも構わない。このスリット46の向きは、傾斜板の傾き方向でも、又、傾き方向と直角方向であってもよい。
上記した、仕切構造4aの歩行部材49及び山型支持部材49aの構造は、本発明の他の実施形態に用いることができる。
【0055】
前記した仕切構造3,4は、傾斜板に開口48と切り欠き部50を有するものであったが、図21に示される仕切構造5のように開口48のみ有する構造でも良く、また図22に示される仕切構造6のように切り欠き部50のみ有する構造でもよい。さらに、図23に示される仕切構造7のように、傾斜板の中途部に複数のスリット46を有する構造でも良い。
上記の仕切構造5,6,7でも、傾斜板の裏側に上昇する被処理水の流れが発生して、浮遊物の沈殿が効果的に分離する。
さらに、開口48及び切り欠き部50の大きさ・配置は上記した実施形態と異なっていても良く、また複数有していても良い。
【0056】
また、上記した実施形態においては、貯留槽11に梁20を有し、梁20の上に設けられた支持部材22により、傾斜板や歩行部材25を固定するものであったが、図24に示される仕切構造8のように、壁面21に固定された枠組部材55によって、傾斜板13を固定する仕切構造でもよい。
枠組部材55は、斜辺部58が傾斜板13と同じ角度の傾きである直角三角形状の外枠部材56と、前記外枠部材56の変形を防止する筋交い57が設けられている。また、必要に応じて、外枠部材56と筋交い57の接合部に当て板60を設けて、変形に対する強度を高めることもできる。そして、枠組部材55と壁面21が固定され、さらに、傾斜板13は枠組部材55の斜面部58に固定されている。なお、歩行部材25は、傾斜板13のV字状の谷部で、枠組部材55に固定されている。
仕切構造8では、貯留槽に梁20がなくても、仕切構造を設けることができる。
【0057】
また、上記した仕切構造の仕切構造には、傾斜板を深さ方向に1枚だけ設けたものであったが、図25に示される仕切構造9のように傾斜板13を深さ方向に2枚以上に並設し、複数設けられている部分を有していても良い。そして、傾斜板13が深さ方向に2枚以上設けられると、上層18における被処理水の流れによる浮遊物の巻き上がりが少なくなるので、浮遊物が分離しやすくなる。
さらに、貯留槽の左右方向の幅が長い場合には、図26に示される仕切構造10のように、V字状とした1対の傾斜板13を幅方向に2組以上(傾斜板13を4枚以上)設置してもよい。そして、この場合には、それぞれの傾斜板13のV字状の谷部に歩行部材25を設けることができる。
【0058】
また、貯留槽の上流側流入口61付近に多数の通孔を有する整流板を設け、被処理水の流れを整流して、貯留槽内で乱流が生じることを防止する仕切構造とすることもできる。
【0059】
【発明の効果】
本発明は、上述の通り構成されているので、被処理水に混入する浮遊物の沈殿させながら、歩行部材の上を歩行することで、貯留槽の内部の点検・修理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における仕切構造を拡大した斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図3】図2におけるA−A面での断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における仕切構造の他の横断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における支持部材の一部を示した斜視図である。
【図7】本発明の傾斜板の正面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における仕切構造の歩行部材の正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図10】図9におけるA−A面での断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における支持部材及び集積部材の一部を示した斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図14】図13におけるA−A面での断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図16】本発明の第4実施形態における仕切構造の上側から見た正面図である。
【図17】図16におけるA−A面での断面図である。
【図18】本発明の第4の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図19】本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の横断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態の変形例における仕切構造の歩行部材と山型支持部材を示した斜視図である。
【図21】本発明の第5の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図22】本発明の第6の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図23】本発明の第7の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図24】本発明の第8の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図25】本発明の第9の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図26】本発明の第10の実施形態における仕切構造の横断面図である。
【図27】従来技術における貯留槽の斜視図である。
【図28】従来技術における貯留槽の斜視図である。
【符号の説明】
1,1a,2,3,4,4a,5,6,7,8,9,10 仕切構造
11 貯留槽
13,47,52 傾斜板
26,35a,48 開口
25,35,49 歩行部材
39 集積部材
40 集積用開口
44 案内板
49a 山型支持部材
59 傾斜面
61 上流側流入口
62 下流側排出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側水路と下流側水路の間に設けられた貯留槽を、被処理水中を浮遊する異物の通過を許容するように上下層に仕切る貯留槽の仕切構造であって、前記貯留槽の深さ方向中途部に設けられた傾斜板を備え、該傾斜板は水面に対して傾斜する傾斜面を上面側に有し、傾斜面の下部側には人が歩行可能な歩行部が設けられており、該歩行部には上層と下層を連通させる上下連通開口を有することを特徴とする貯留槽の仕切構造。
【請求項2】
歩行部は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺板状部材からなり、該部材は上下連通開口となる孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項3】
前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が反対方向に傾斜してV字状となるように配置されており、前記歩行部は、前記V字の谷部に位置している特徴とする請求項1又は2に記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項4】
前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が同じ方向に傾斜して上下方向に配置されており、前記歩行部は該2つの傾斜板の間に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項5】
歩行部の下側には山型支持部材が設けられ、歩行部は山型支持部材の上側で支持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項6】
歩行部の下側には集積部が設けられ、該集積部は、集積用開口と、該開口と接続する案内板を有しており、該案内板は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺状であって、集積用開口に向かって下側に傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項7】
複数の集積用開口が傾斜板の下側側縁に沿って配置されており、隣り合う一対の集積用開口の間の案内板は略山形状に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項8】
傾斜板が深さ方向に2枚以上並設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項1】
上流側水路と下流側水路の間に設けられた貯留槽を、被処理水中を浮遊する異物の通過を許容するように上下層に仕切る貯留槽の仕切構造であって、前記貯留槽の深さ方向中途部に設けられた傾斜板を備え、該傾斜板は水面に対して傾斜する傾斜面を上面側に有し、傾斜面の下部側には人が歩行可能な歩行部が設けられており、該歩行部には上層と下層を連通させる上下連通開口を有することを特徴とする貯留槽の仕切構造。
【請求項2】
歩行部は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺板状部材からなり、該部材は上下連通開口となる孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項3】
前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が反対方向に傾斜してV字状となるように配置されており、前記歩行部は、前記V字の谷部に位置している特徴とする請求項1又は2に記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項4】
前記傾斜板を少なくとも2つ備え、該2つの傾斜板の傾斜面が同じ方向に傾斜して上下方向に配置されており、前記歩行部は該2つの傾斜板の間に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項5】
歩行部の下側には山型支持部材が設けられ、歩行部は山型支持部材の上側で支持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項6】
歩行部の下側には集積部が設けられ、該集積部は、集積用開口と、該開口と接続する案内板を有しており、該案内板は、傾斜板の下側側縁に沿って延びる長尺状であって、集積用開口に向かって下側に傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項7】
複数の集積用開口が傾斜板の下側側縁に沿って配置されており、隣り合う一対の集積用開口の間の案内板は略山形状に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の貯留槽の仕切構造。
【請求項8】
傾斜板が深さ方向に2枚以上並設されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の貯留槽の仕切構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
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【図14】
【図15】
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【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2004−105860(P2004−105860A)
【公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−272232(P2002−272232)
【出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年9月18日(2002.9.18)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
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