説明

貼付剤の包装袋への充填方法

【課題】外用消炎・鎮痛剤等の貼付剤、或いは、フェイスパック、アロマセラピー等を目的とした貼付剤について、包装袋から必要枚数取り出す際の動作を容易に行い、かつ、必要以上に取り出してしまうことのない、貼付剤の包装袋内への充填方法を提供すること。
【解決手段】支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体に貼着された剥離フィルムを備えた貼付剤を複数枚重ねた状態で、貼付剤面の概略中央部において折り畳み、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填することを特徴とする貼付剤の包装袋への充填方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消炎・鎮痛・掻痒・冷却・パック・アロマセラピー等を目的として貼付する貼付剤の包装袋への充填方法に関する。更に詳しくは、健常者のみならず手先が不器用な高齢者等であっても、貼付剤を包装袋から必要枚数取り出す際の動作を容易に行うことができ、かつ、必要以上に取り出してしまうことを防止した貼付剤の充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、外用消炎・鎮痛剤や掻痒防止、更には冷却剤や基礎化粧品等のフェイシャルパック等に貼付剤が幅広く使用されてきている。
従来の貼付剤、例えば外用消炎・鎮痛剤としてのパップ剤等の貼付剤は、例えば、白色や肌色等の不織布からなる支持体と、該支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、該膏体層の全面を被覆する剥離フィルムからなる積層構造物として構成されていることが一般的である。
【0003】
このような貼付剤を充填する包装容器としては、紙とアルミ箔とポリエチレン等樹脂フィルムからなる積層シート(ラミネートシート)を、ポリエチレン等の樹脂層側を内側とし、周囲をヒートシールし、さらにその一辺の開封口付近に、エチレンメタクリル酸コポリマー等で構成される上下で嵌合・係止するチャックを設けて開口部とした袋状の包装袋(包装袋)が一般的である。そして、この包装袋に、3枚〜8枚程度の複数の貼付剤を重ね合わせて一組として、充填している。
【0004】
このような貼付剤の包装袋内への充填手段では、以下のような問題点を有していた。
例えば、従来の方法では、複数の貼付剤は、支持体面や剥離フィルム面を同一方向に向けて重ね合わせて、その状態のままで包装袋に充填されている。したがって、個々の貼付剤それぞれが包装袋の中で滑りやすい状態になっており、1枚取り出す場合であっても僅かな振動等により残りの貼付剤が不意に取り出されてしまい、再度包装袋に戻し充填し直すことがないように慎重に作業することが必要となる。
また、実際の貼付剤の使用にあたっては、1〜2枚を一度に使用することが多く、特に消炎・鎮痛剤としてのパップ剤は、手先が不器用になった高齢者の使用頻度が高いことから、その取り出し作業は特に慎重に行う必要があり、面倒であった。
【0005】
さらに、上記の貼付剤の包装袋への充填方法では、複数の貼付剤は平面状に積層されたままの状態で包装袋に充填されているため、包装袋のサイズが貼付剤のサイズに連動することとなっており、貼付剤のサイズを大きくする場合には、設備の許容範囲を上回らないよう制限されていた。また、包装袋サイズの必要面積が広くなる傾向となり、不経済でもある。
【0006】
かかる点を解決するものとして、例えば、支持体側を内側にし、剥離シートとなるプラスチックフィルムを外側になるように折り畳んだパップ剤が提案されており、その折り畳んだ状態で複数のパップ剤を包装袋内に充填する手段が提案されている(特許文献1)。
このパップ剤は、特異的な膏体を支持体面に形成したものであるが、その包装袋への充填は、折り畳んだ状態のパップ剤を複数枚で一組とし、包装袋へ充填するものであり、その点では、従来の貼付剤の充填方法と基本的に変わるものではない。
また、包装袋への充填にあっては、必ずしも折山部を包装袋の開口側に向けて位置づけしているものではなく、また、支持体が不織布やニット等である場合には、隣接する支持体同士が互いの滑りを防止するために、必要枚数を一度に取り出すことは極めて困難となっている。
【0007】
したがって、健常者のみならず手先が不器用な高齢者等であっても、外用消炎・鎮痛剤等の貼付剤について、包装袋から必要枚数を取り出す際の動作を容易に行い、かつ、必要以上に取り出してしまうことを防止した貼付剤の充填方法が求められているのが現状である。
【特許文献1】特許第3178360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の現状を鑑み、外用消炎・鎮痛剤等の貼付剤、或いは、フェイスパック、アロマセラピー等を目的とした貼付剤について、包装袋から必要枚数取り出す際の動作を容易に行い、かつ、必要以上に取り出してしまうことのない、貼付剤の包装袋内への充填方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために本発明者は鋭意検討した結果、貼付剤を包装袋に充填するにあたって、貼付剤を複数枚重ねた状態で一度に折り畳み、その折り畳んだ状態で折山部を包装袋の開封口側に位置づけられるように充填することで、貼付剤の必要数量を、1枚ずつ容易に取り出すことが可能となり、上記従来の問題を解決するものであることを確認し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
しかして本発明の基本的態様である請求項1に記載の発明は、支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体に貼着された剥離フィルムを備えた貼付剤を複数枚重ねた状態で、貼付剤面の概略中央部において折り畳み、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填することを特徴とする貼付剤の包装袋への充填方法である。
【0011】
また、より具体的な態様である請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、複数枚の貼付剤の折り畳みを、支持体側が内側になるように折り畳むことにより行う貼付剤の包装袋への充填方法である。
【0012】
更にまた、別のより具体的な態様である請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、複数枚の貼付剤の折り畳みを、剥離フィルム側が内側になるように折り畳むことにより行う貼付剤の包装袋への充填方法である。
【0013】
さらに本発明は別の態様として、上記した充填方法により充填される貼付剤であって、特に、貼付剤面の概略中央部に折り曲げ線を設けたことを特徴とする貼付剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明が提供する貼付剤の包装袋への充填方法にあっては、以下の具体的効果を有するものである。
すなわち、本発明の充填方法により包装袋内に充填された貼付剤は、1枚ずつ確実に取り出すことが可能となるので、貼付剤を必要以上に取り出してしまうことがない利点を有している。
特に折り畳んだ貼付剤の折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填したことから、手先が不器用な高齢者等であっても、当該折山部を掴んで取り出すことが容易になり、1枚ずつ確実に取り出すことが可能となる。
【0015】
また、貼付剤を概略半分に折り畳んでいるため、大きなサイズの貼付剤を包装する際に設備の許容範囲の影響を受けにくいものとなり、したがって、これまでの大きさの貼付剤に比較して、かなり大きな貼付剤を製造、充填することができる利点を有している。
さらに、貼付剤を概略半分に折り畳んで充填しているため、包装袋の大きさを小さくすることができ、その結果、包装袋を構成する積層シート(ラミネートシート)の必要面積を減少させることができ、経済的である利点を有している。
【0016】
さらにまた、本発明の請求項4に記載の貼付剤は、貼付剤面の概略中央部に折り曲げ線を設けたことから、充填される任意の複数枚の貼付剤を一度に折り曲げる際に、折り曲げ線に沿って正確に折り畳むことができる利点を有している。
また、万一、余分に取り出された貼付剤を包装袋に入れ直す場合においても、折山部を包装袋内に向けて、容易に再充填することができる利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の貼付剤は、基本的には、支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体に貼着された剥離フィルムを備えた貼付剤である。
貼付剤を構成する剥離フィルムとしては、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム、紙、合成紙、合成樹脂を単体又はラミネートして複合させたものや、アルミ箔、蒸着フィルムと上記素材をラミネートさせたもの、及び上記単一素材又は複合素材にシリコン加工やエンボス加工、更には印刷又は着色を施したものが用いられる。
【0018】
剥離フィルムの厚みは一概に限定できないが、6μm〜200μm、好ましくは12μm〜75μm程度の厚みの範囲で形成されることが好ましい。
剥離フィルムの厚みが6μmより薄い場合には、その薄さから製造時に剥離フィルムにシワが発生し易くなるので好ましくない。
また、剥離フィルムの厚みが200μmより厚い場合には、貼付剤の製造における裁断性が低下する傾向があり、コストアップの要因となる。さらに剥離フィルム自体もより高価になることから好ましくない。
これらの剥離フィルムには、包装袋から貼付剤を出し入れする際に、手指のすべりを防止するために、エンボス加工を施すことが好ましい。エンボス加工部は、剥離フィルムの全面、または局部的な箇所、たとえば手指による掴み部分等に形成されるものであってもよい。
【0019】
剥離フィルムにおけるエンボス加工の有無、その形状は、特に限定されるものではないが、好ましくは手指が滑ることなく掴み易いものであればよく、ダイヤ柄、格子型、亀甲柄、波形、その他種々の形状に形成されることが好ましい。
また、貼付剤の製品(販売)名称や注意事項等を明確にするために、剥離フィルムに、文字、記号、イラスト等を表示または着色印刷したものであっても良い。
【0020】
一方、貼付剤を構成する支持体としては、織布、不織布、ラミネート品等が挙げられ、その伸縮性の有無は限定されない。
支持体の具体的な材料としては、紙、綿、大麻、黄麻等の靱皮繊維、マニラ麻等の葉脈繊維等のセルロース繊維、羊毛等の獣毛繊維や、絹繊維、羽毛繊維等のタンパク繊維等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維や再生タンパク繊維等の再生繊維、酢酸セルロース繊維やプロミックス等の半合成繊維、ナイロンアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリイミド繊維等を単体または複合した織布、不織布に加工し利用できる。
【0021】
なお支持体としては、貼付剤の使用目的、貼付部位に応じて、その引っ張り強度、厚さ、伸縮性を適宜考慮し、更には膏体に含有される薬物の支持体への移行性等を考慮して、適宜選択することができる。
【0022】
膏体は、膏体を構成する基剤に薬物を含有等させることにより、外用貼付剤としての有効性を発揮するために利用されるものである。したがって、膏体は、皮膚面に対する貼付剤としての薬効効果が十分に得られるように、水分を含有し、かつ粘着性を有し、常温またはそれ以上の温度においても軟化し膏体が皮膚に残らない適度な凝集性を有するように形成されるものである。
【0023】
かかる膏体を構成する基剤に含有される増粘剤としては、膏体に水分を30%〜80%程度安定に保持することでき、かつ保水性を有するような増粘剤が望ましい。このような増粘剤の具体例としては、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、寒天、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、澱粉等の植物系、ザンタンガム等の微生物系、ゼラチン、コラーゲン等の動物系の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等のデンプン系等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタクリレート等のビニル系、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系、その他ポリエチレンオキサイド、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体等の合成高分子等の水溶性高分子等を好適に用いることができる。
【0024】
そのなかでも、特にポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。このポリアクリル酸ナトリウムは、ゲル強度が強く、かつ保水性に優れるものである。なかでも、平均重合度20,000〜70,000のポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。平均重合度が20,000より小さくなるにつれ増粘効果が乏しくなり、十分なゲル強度を得ることができなくなり、また、平均重合度が70,000より大きいと増粘効果が強すぎ、作業性が低下する傾向が現れ、いずれも好ましくない。また、ポリアクリル酸ナトリウムには、前記した水溶性高分子を2種類以上併用すること、例えばポリアクリル酸ナトリウムの強イオン高分子と高分子コンプレックスを形成させ、より一層ゲル強度の大きい弾性ゲルを得ることができる。
【0025】
膏体成分としての湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール等をあげることができ、充填剤として、カオリン、酸化亜鉛、タルク、チタン、ベントナイト、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、メタ珪酸アルミニウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等を添加してもよい。また、溶解補助剤または吸収促進剤を配合することもでき、そのようなものとして、炭酸プロピレン、クロタミトン、l−メントール、ハッカ油、リモネン、ジイソプロピルアジペート等をあげることができる。さらに、薬効補助剤として、サルチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l−メントール、チモール、ハッカ油、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス等を添加することもでき、必要に応じて、安定化剤や抗酸化剤、乳化剤等を添加してもよい。
【0026】
その他、膏体成分として、膏体をより強固にすると共に、保水性を持たせる目的で、必要に応じて、架橋剤や重合剤を添加してもよい。このような架橋剤は、増粘剤等の種類に応じて適宜選択される。例えば、増粘剤としてポリアクリル酸又はポリアクリル酸塩を選択した場合は、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物、Ca、Mg、Al等の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、ステアリン酸塩等の有機酸塩、酸化亜鉛、無水珪酸等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物等の多価金属化合物等である架橋剤が好適に使用することができる。
【0027】
また、増粘剤としてポリビニルアルコールを選択した場合には、架橋剤或いは重合剤としてアジピン酸、チオグリコール酸、エポキシ化合物(エピクロルヒドリン)、アルデヒド類、N−メチロール化合物、Al、Ti、Zr、Sn、V、Cu、B、Cr等の化合物等の錯化物等を好適に使用することができる。
【0028】
さらにまた、増粘剤としてポリビニルピロリドンを選択した場合には、架橋剤或いは重合剤としてメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリアシッド化合物又はそのアルカリ金属塩(ポリアクリル酸やタンニン酸及びその誘導体)等を好適に使用することができる。
【0029】
また、増粘剤としてポリエチレンオキサイドを選択した場合には、架橋剤或いは重合剤としてパーオキサイド、ポリスルホンアザイド等が好適に用いられる。また、増粘剤にメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体を選択した場合には、架橋剤或いは重合剤として多官能ヒドロキシ化合物、ポリアミン、ヨウ素、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、鉄、水銀、鉛塩等を好適に使用することができる。
【0030】
さらに、増粘剤としてゼラチンを選択した場合には、架橋剤或いは重合剤としてホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド類、グルオキサール、ブタジエンオキシド等のジエポキシド類、ジビニルケトン等のジケトン類、ジイソシアネート類等を好適に使用することができる。また、増粘剤としてポリアクリル酸ナトリウムを選択した場合には、架橋剤として、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ホウ酸ナトリウム等の多価金属塩が添加されるのが好ましい。特に亜鉛塩、アルミニウム塩は架橋反応が促進されるので好ましい。
【0031】
架橋剤として添加される多価金属塩の濃度は、増粘剤(又は水溶性高分子)1当量に対して0.5〜1.5当量使用するのが好ましい。多価金属塩の濃度が0.5当量未満であると架橋反応が遅すぎ、ゲル強度が低くなる傾向が現れ、また多価金属塩の濃度が1.5当量を超える場合には、架橋反応が早すぎて、ゲル化が不均一になり、作業性が低下する傾向が現れ、いずれも好ましいものではない。
【0032】
貼付剤としては、皮膚密着性がよいこと、有効成分の皮膚透過吸収性を高めること、水分を可及的に多く含有していること等が要求される。膏体中の水分が蒸発するときに皮膚から熱を奪い、この吸熱量が清涼感を与え、また角質層が内部から蒸散してくる水分子によって水和され、薬物の吸収性が促進される。なお膏体の特性として、常温又はその近辺の温度でもだれないこと、剥がすときに痛くなく、膏体が皮膚に残らないこと、べとつかないこと等が挙げられる。
【0033】
そのためには、膏体は増粘剤5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%、湿潤剤5〜40重量%、充填剤20重量%以下、水分10〜80重量%、溶解補助剤0〜8重量%、薬物5重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%配合するのが好ましい。
【0034】
本発明の貼付剤において、有効成分として配合される薬物は、その用途に合わせて種々の薬物が選択され、配合することができる。例えば、鎮痛・抗炎症成分としては、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、フェルビナク、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、β−グリチルリチン酸等をあげることができる。
【0035】
血行促進成分として、酢酸トコフェロール、トウガラシエキス、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、ベンジルアルコール等をあげることができる。また、抗アレルギー成分としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等をあげることができる。さらに、局所刺激成分として、l−メントール、カンフル、ハッカ油、ユーカリ油等、さらに、局所麻酔成分として、リドカイン、ベンゾカイン、ジブカイン、テトラカイン等を挙げることができる。
【0036】
さらにフェイスパック、アロマセラピーに使用する貼付剤においては、適宜植物精油成分、例えば、ラベンダー、バラ、ゼラニウム、レモン、オレンジ等の植物油を挙げることができる。
【0037】
なお、本発明の貼付剤に使用される薬物・精油成分としては、上記のものに限定されるものではなく、また、薬物・精油成分は必要に応じて2種類以上併用することも可能であることはいうまでもない。
【0038】
膏体中に配合される薬物の配合量は、患者に適用した際にあらかじめ設定された有効量を患部に適用できるように、パップ剤等の貼付剤の種類、用途に応じて適宜選択される。
【0039】
貼付剤を充填する包装袋の形状としては特に限定されるものではない。例えば、三方シール包装、四方シール包装、ピロー包装、ガゼット包装等を挙げらことができる。また、開口辺において、チャックの有無が限定されるものでものではない。
【0040】
包装袋の素材としては、特に限定されないが、基材フィルムとして、紙、セロハン、ポリエステル、延伸ポリプロピレン、ナイロン及びそれらのポリ塩化ビニリデンコートフィルムを挙げることができる。
密封性を確保するバリアフィルムとしては、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、アルミナ蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリアクリルニトリル等が挙げられる。
シーラントフィルムとしては、エチレンメタクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、アイオノマー、無延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアクリルニトリル等を挙げらことができる。
【0041】
上記素材を貼り合わせする場合でも、その手段は特に限定されないが、ウエットラミネート、ドライラミネート、押し出しラミネート、ホットメルトラミネートが挙げられる。
これら基材フィルムとバリアフィルム及びシーラントフィルムを積層したフィルムを包装袋とすることが望ましい。
【0042】
このようにして構成された包装袋に貼付剤を充填する本発明の特異的な充填方法は、具体的には以下のようにして実施される。
すなわち、使用目的に応じた所望の薬効成分を含有する膏体成分を、常法に従って均一なペーストになるまで混合撹拌して含水粘着性膏体を調製し、例えば、支持体として1平方mあたり120gのポリエステル不織布に、含水粘性膏体を1平方mあたり1500gになるように展延し、もう一方の含水粘着性膏体面を1平方mあたり27gのポリプロピレンフィルム(剥離フィルム)で覆い、これを例えば100×60mmの大きさに裁断して、含水貼付剤を製造する。
【0043】
次いで、得られた貼付剤を3〜8枚程度積層させて一組とし、その積層物を、貼付剤面の概略中央部において折り畳み、折り畳んだ状態のまま折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填し、密封することにより実施することができる。
【0044】
この場合にあって、例えば、支持体が伸縮性を有する不織布であり、剥離フィルムとしてエンボス加工を施した例えばポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムを積層させた貼付剤の場合には、剥離フィルム側を折り畳んだ状態で内側になるよう、すなわち、折山部側に支持体がくるように折り畳み、その上で、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填すればよい。
【0045】
さらに、最近の貼付剤にあっては、膏体面に貼着される剥離フィルムとして二分割剥離フィルムで形成され、二枚の剥離フィルムに適宜積層部分を設けて、剥離フィルムの剥離を容易にする摘み部分とした貼付剤が登場している。このような貼付剤の場合には、剥離フィルム側を外側にして折り畳んだ場合には、剥離フィルムの積層部分の摘み部分が突出し、包装袋内に充填した貼付剤を取り出す時に剥離フィルムが剥がれる恐れがあることより、剥離フィルム側を折り畳んだ状態で内側になるよう、すなわち、折山部側に支持体がくるように折り畳み、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填すればよい。
【0046】
また、上記とは逆に、剥離フィルムとしてある程度の厚みを有し、エンボス加工により手指のすべりを防止した剥離フィルムを膏体面に貼着した貼付剤の場合には、支持体側を折り畳んだ状態で内側になるよう、すなわち、折山部側に剥離フィルムがくるように折り畳み、その上で、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填することもできる。
【0047】
要は、本発明が提供する貼付剤の包装袋内への充填方法にあっては、特に貼付剤の複数枚を積層させ、折り畳み、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填するものであることから、貼付剤の支持体側或いは剥離面側のいずれを内側として折り畳むかは、支持体並びに剥離フィルムの厚み、滑り等の性質、更には貼着された剥離フィルムの構成等を基本として、適宜いずれかの面を内側とすることを決定すればよい。
【0048】
なお、これらの場合にあっては、貼付剤を折り畳むのをより容易、かつ正確にするために、貼付剤面の概略中央部に折り曲げ線を設けることが好ましい。この折り曲げ線は、支持体面に展着された粘着性を有する膏体層に折り曲げ線としての溝を構成することにより行うことができる。
したがって、本発明は、本発明が提供する充填方法により充填される貼付剤であって、特に、貼付剤面の概略中央部に折り曲げ線を設けたことを特徴とする貼付剤にも関するものである。
【0049】
以上のようにして、本発明方法により包装袋内に充填された複数枚の貼付剤を包装袋から取り出す場合には、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填するものであることから、当該折山部を指で摘み、一枚ずつを確実に取り出すことが可能となる。
【実施例】
【0050】
以下に、本発明の貼付剤の包装袋への充填方法について、いくつかの具体的実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0051】
[実施例1]
図1に本発明の実施例1における具体的貼付剤を示した。(a)は当該貼付剤の斜視図を示し、(b)は(a)のA−A断面図、すなわち当該貼付剤の断面を示した図である。
図中、1は貼付剤を表し、2は支持体を、3は膏体を、4は剥離フィルムを表す。
本貼付剤1は、具体的には、支持体2として伸縮性を有するポリエステル繊維からなる不織布を使用し、膏体3は支持体2の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にフェルビナク等の薬物や水分等を含有したものであり、その表面に、厚みが30〜50μmを有する無延伸ポリプロピレン等からなる、ダイヤ柄エンボス加工が施された剥離フィルム4が積層されている。
なお、貼付剤1の貼付剤面の概略中央部に折り曲げ線5が設けられている。
【0052】
本発明の貼付剤の包装袋への充填方法は、上記の貼付剤1を複数枚、具体的には、4枚積層し、剥離フィルム側を内側に折り畳んで、外側に位置する支持体側の折山部15を包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填する。
【0053】
その状態の概略断面図を図2として示した。
図中、20は包装袋であり、その包装袋20内に、上記で積層し、折り畳んだ複数(4枚)の貼付剤1を、折山部15が包装袋20の開封口21側に位置するように充填されている。
なお、本実施例における包装袋20の具体的材質構成としては、紙/ポリエチレン/アルミ箔/エチレンメタクリル酸コポリマーからなるラミネート紙である。
この充填が完了した後、開封口21側にエチレンメタクリル酸コポリマーからなる上下で嵌合・係止するチャック(図示せず)を設けてヒートシールすることにより包装袋20内への貼付剤の充填が完了する。
【0054】
かくして充填された貼付剤を取り出す時は、例えば、包装袋20に設けられた切り取り線(図示せず)に沿って開封し、チャックを開いて、その開封口から貼付剤の折山部15を手指で摘み、無作為に取り出すことで、一枚ずつ確実に包装袋から貼付剤を取り出すことができた。
【0055】
[実施例2]
本実施例2における貼付剤としては、支持体として伸縮性を有する不織布であり、膏体は支持体の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にインドメタシンの薬物や水分等を含有したものを用い、実施例1とは異なり、膏体面に厚み30〜50μmの無延伸ポリプロピレン等からなる、ダイヤ柄エンボス加工が施された二分割剥離フィルムを貼付剤の概略中央部で積層させて貼着した貼付剤を用いた。
なお、本実施例2においても、貼付剤の概略中央部において折り曲げ線が設けられており、その構成は実施例1で示した図1と殆ど同様であり、図1を参照されたい。
【0056】
かかる貼付剤を、実施例1と同様に4枚積層させ、貼付剤の概略中央部に設けた折り曲げ線に沿って剥離フィルム側を内側にして折り畳み、折山部を包装袋の開封側に位置するよう充填し、次いで、開封口側に上下で嵌合するチャックを設けてヒートシールすることにより包装袋内への貼付剤の充填を完了した。
なお、本実施例2における包装袋の材質構成としては、セロハン/ポリエチレン/紙/ポリエチレン/アルミ箔/アイオノマーからなるラミネート紙である。
【0057】
本実施例2においては、貼付剤の概略中央部に設けた折り曲げ線に沿って剥離フィルム側を内側にして折り畳んでいることから、二分割剥離フィルムの積層部分である摘み部分が突出されていない。
したがって、本実施例2においても、充填された貼付剤を取り出す時は、例えば、包装袋に設けられた切り取り線に沿って開封し、その開封口から貼付剤の折山部を手指で摘み、無作為に取り出すことで、一枚ずつ確実に包装袋から貼付剤を取り出すことができた。
【0058】
[実施3]
本実施例3における貼付剤としては、支持体として伸縮性を有するニットを用い、ポリアクリル酸ナトリウム等の膏体構成成分にl−メントールの薬物成分並びに水分等を含有させた膏体を支持体の表面の略全面に展着させ、さらに膏体面に厚み30〜50μmの無延伸ポリプロピレン等からなる、亀甲柄エンボス加工が施された剥離フィルムを貼着させた貼付剤を使用した。
実施例3においても、貼付剤の概略中央部において折り曲げ線が設けられており、その構成は実施例1で示した図1と基本的には殆ど同様であり、図1を参照されたい。
【0059】
かかる貼付剤を、実施例1と同様に4枚積層させ、貼付剤の概略中央部に設けた折り曲げ線に沿って支持体側を内側にして折り畳み、折山部(剥離フィルム側)を包装袋の開封側に位置するよう充填し、次いで、開封口付近にエチレンメタクリル酸コポリマーからなる上下で嵌合・係止するチャックを設けてヒートシールすることにより包装袋内への貼付剤の充填を完了した。
なお、本実施例3における包装袋の材質構成としては、材質構成としては、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン/アルミ箔/エチレンメタクリル酸コポリマーからなるラミネート紙である。
【0060】
本実施例3においても、充填された貼付剤を取り出す時は、例えば、包装袋に設けられた切り取り線に沿って開封し、その開封口から貼付剤の折山部を手指で摘み、無作為に取り出すことで、一枚ずつ確実に包装袋から貼付剤を取り出すことができた。
なお、本実施例3においては、積層された複数の貼付剤の折山部は、実施例1及び2と異なり剥離フィルム側の折山部であったが、剥離フィルムにエンボス加工が施されることより、当該折山部を手指で摘み、無作為に取り出すことで、一枚ずつ確実に包装袋から貼付剤を取り出すことができるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上記載のように、本発明は、貼付剤を包装袋に充填するにあたって、貼付剤を複数枚重ねた状態で一度に折り畳み、その折り畳んだ状態で折山部を包装袋の開封口側に位置づけられるように充填する方法を提供するものであり、このようにして包装袋内に充填され貼付剤は、その必要数量を、1枚ずつ容易に取り出すことが可能となる。
また、手先が不器用な高齢者等であっても、当該折山部を掴んで取り出すことが容易になり、1枚ずつ確実に取り出すことが可能となる点で、産業上の利用可能性は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例1で充填される貼付剤を示した図であり、(a)は該貼付剤の斜視図を示し、(b)は(a)のA−A断面図、すなわち当該貼付剤の断面である。
【図2】本発明の実施例1において、包装袋内に充填した複数の貼付剤の状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 貼付剤
5 折り曲げ線
15 折山部
20 包装袋
21 開封口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体に貼着された剥離フィルムを備えた貼付剤を複数枚重ねた状態で、貼付剤面の概略中央部において折り畳み、折山部が包装袋の開封口側に位置するよう包装袋内に充填することを特徴とする貼付剤の包装袋への充填方法。
【請求項2】
複数枚の貼付剤の折り畳みを、支持体側が内側になるように折り畳むことにより行う請求項1に記載の貼付剤の包装袋への充填方法。
【請求項3】
複数枚の貼付剤の折り畳みを、剥離フィルム側が内側になるように折り畳むことにより行う請求項1に記載の貼付剤の包装袋への充填方法。
【請求項4】
前記請求項1〜3に記載の充填方法により包装袋に充填される貼付剤であって、貼付剤面の概略中央部に折り曲げ線を設けたことを特徴とする貼付剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−93175(P2008−93175A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278056(P2006−278056)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000215958)帝國製薬株式会社 (44)
【Fターム(参考)】