貼付剤の製造方法
【課題】パップ剤等の貼付剤に使用する剥離フィルムの素材に限定されることなく、安価で量産性に適した生産ラインを用いて、膏体面に貼着する上側及び下側の剥離フィルムに設けた掴み部分を容易に確認することができるパップ剤等の貼付剤を製造し得る方法の提供。
【解決手段】支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤の製造方法において、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法である。
【解決手段】支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤の製造方法において、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消炎・鎮痛・掻痒等の治療を目的としたパップ剤等貼付剤の製造方法に関する。更に詳しくは、単純な設備で健常者のみならず高齢者や握力の低下した患者でも剥離フィルムの剥離の動作を容易に行うことができ、更に安全かつ衛生的に貼付できる、優れた貼付剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、高齢化やハードワーク等による腰痛、関節痛、肩こり等の対症療法として、パップ剤等が広く利用されている。また近年では、帯状疱疹等の適応症にも貼付剤が広く利用されてきている。
このような貼付剤は、今日ではユニバーサルデザインとして、図15が示すように白色や肌色等の支持体と前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体に貼着された上側剥離フィルムと掴み部分を有する下側剥離フィルムで構成され、容易に剥離することができるような工夫が施された製品が増加している(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
この使用方法としては、上側剥離フィルムの掴み部分を指で掴んで剥がし、次に下側剥離フィルムの掴み部分を指で掴み、剥離フィルムを完全に剥がした後、患部に貼付するものである。
またこの製造方法としては、例えば図16に示すように、支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体に、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムを、製造ライン中、すなわち、インラインで掴み部分を裁断・折り曲げ加工を施した後に貼着し、規定の寸法に裁断し、製造していた。
その具体的製造を示す展着工程を、概略図として図16のIに示し、図16のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの重ね断面の概略図を示した。
【0004】
しかしながら、従来のパップ剤等の貼付剤の製造方法では、以下のような課題を有していた。
すなわち、上記の貼付剤の製造において膏体に貼着される剥離フィルムの掴み部分は、インラインで折り曲げる際に、反発を防ぐことを目的とし、折り曲げ部分を超音波シール等で加熱して素材を軟化させ、更に任意の寸法に折り曲げてニップロール等で形成させていたために、生産ラインの大きさ(または長さ)が大きくなり、生産フロアへの配置が制限されていた。
【0005】
また、生産ラインが複雑になり、より高価な生産ラインになっていた。
更に、剥離フィルムとして高融点の素材は不向きであるため、フィルムとしての素材が制限されていた。
加えて、機械停止、または稼働再開時等の際には品質が不安定になるので、十分な確認作業や、品質管理等への配慮が必要となっていた。
【0006】
更にまた、上記で挙げたパップ剤等の貼付剤に用いられる剥離フィルムの掴み部分は、例えば図17に示すように、1枚の原反を規定の形状でスリットするために、上側及び下側に貼着する剥離フィルムの各掴み部分の形状は同一のものとなり、端部を認識し易くするために印刷を施しても、各摘み部分は同一色となってくることから、使用する際には上下の判別が困難であるといった問題があった。
【特許文献1】特開2000−219622号公報
【特許文献2】特開2000−351717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これら上記の問題点を解決するものであって、パップ剤等の貼付剤に使用する剥離フィルムの素材に限定されることなく、安価で量産性に適した生産ラインを用いて、膏体面に貼着する上側及び下側の剥離フィルムに設けた掴み部分を容易に確認することができるパップ剤等の貼付剤を製造し得る方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するための本発明の請求項1に記載の発明は、支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤の製造方法において、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法である。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)と、摘み部分を有しない剥離フィルム(ロール剥離フィルム)とを用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法である。
【0010】
さらに、本発明の請求項3に記載の発明は、剥離フィルムにおける掴み部分が、互いに異なる形状に切断され折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて製造する貼付剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明が提供する貼付剤の製造方法によれば、例えばパップ剤等の貼付剤の製造ラインとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を使用することから、その規模、具体的には、生産ラインの大きさ(又は長さ)を小さくすることが可能となり、したがって、生産フロアへの配置の制限が無くなる利点を有している。
また、生産ラインが単純になり、安価な生産ラインとなる。
さらに、剥離フィルムの素材が限定されないので、パップ剤を始めとする多様な製品の製造に対応することが可能となり、更に製造される貼付剤の品質も安定するため、品質上特別な配慮は不要となる。
【0012】
また、剥離フィルムに設ける掴み部分を、予め任意の形状でスリットしておくので、膏体面に貼着する上側及び下側の剥離フィルムの各掴み部分を、それぞれ異なる形状に設定したり、別色で印刷したりすることが可能であり、したがって、貼付剤としてその剥離フィルムを剥離して使用する際には、容易に掴み部分を認識することができる利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の製造方法により製造される貼付剤は、支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤である。
【0014】
用いる剥離フィルムの素材としては、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム、紙、合成紙、合成樹脂を単体又はラミネートして複合させたものや、アルミ箔、蒸着フィルムと上記素材をラミネートさせたもの、及び上記単一素材又は複合素材にシリコン加工やエンボス加工、更には印刷又は着色を施したものを用いることができる。
【0015】
この場合における剥離フィルムの素材の製膜方法は、各種の方法があり、例えば、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、流延法等があるが、特に限定されるものではない。
膏体面に貼着する剥離フィルムの厚みは、12〜200μm、好ましくは12〜75μmの範囲で形成されることが好ましい。剥離フィルムの厚みが12μmより小さくなるにつれ、その薄さから掴み難くなることや、製造時に皺が発生し易くなるので好ましものではない。また、剥離フィルムの厚みが200μmより大きくなるにつれ、製造における裁断性が低下する傾向があるのでコストアップの要因となり、更に剥離フィルム自体もより高価になる。
【0016】
剥離フィルムには、剥離時における手指のすべりを防止するために、エンボス加工を施すことが好ましい。エンボス加工部は、剥離フィルムの全面または局部的な箇所、たとえば掴み部分等に形成されるのがよい。
【0017】
剥離フィルムにおけるエンボス加工の模様は、特に限定されるものではないが、好ましくは手指が滑ることなく掴み易いものであれば、ダイヤ柄、格子柄、亀甲柄、波形、その他種々の形状を採用することができる。
また、貼付剤の剥離方法を明確にするために、上側剥離フィルムと下側剥離フィルム、またはその一方に文字、矢印、記号、イラスト等を表示または着色することも好ましい。
印刷等を施す箇所は、特に限定されないが、掴み部分に印刷を施すことにより、使用者は更に端部を認識し易くなるので、好ましいものとなる。
掴み部分のスリットは、直線・波形・S形・台形等の形状があり、特に限定されない。使用者がパップ剤等の貼付剤を観察したとき、一見して掴み部分を発見できるような形状であれば好ましい。
【0018】
一方、貼付剤を構成する支持体としては、織布、不織布、ラミネート品等を挙げることができ、その伸縮性の有無は特に限定されるものではない。
支持体の具体的な材料としては、紙、綿、大麻、黄麻等の靱皮繊維、マニラ麻等の葉脈繊維等のセルロース繊維、羊毛等の獣毛繊維や、絹繊維、羽毛繊維等のタンパク繊維等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維や再生タンパク繊維等の再生繊維、酢酸セルロース繊維やプロミックス等の半合成繊維、ナイロンアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリイミド繊維等を、単体または複合した織布、不織布に加工し利用できる。
支持体は、引っ張り強度、厚さ、伸縮性を貼付部位に応じて、また薬物の支持体への移行等を考慮して、適宜選択することができる。
【0019】
膏体は、基剤に薬物を含有等させることにより、外用のパップ剤等の貼付剤として有効に利用させるものである。
したがって、膏体としては、皮膚への薬効効果が十分に得られるように粘着性を有し、常温またはそれ以上の温度においても軟化することなく、かつ膏体が貼付部位である皮膚面上に残らない、適度な凝集性を有するように形成されたものである。
【0020】
そのような膏体を構成する材料としては、基剤成分として増粘剤、湿潤剤、架橋剤、重合剤、充填剤等を挙げることができ、それに加え、吸収促進剤、溶解補助剤、薬効補助剤、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、香料、着色剤等を含有することができる。
【0021】
膏体を構成する基剤に含有される増粘剤としては、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、寒天、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、澱粉等の植物系、ザンタンガム、アカシアガム等の微生物系、ゼラチン、コラーゲン等の動物系の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等のデンプン系等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタクリレート等のビニル系、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系、その他ポリエチレンオキサイド、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体等の合成高分子等の水溶性高分子等が好適に用いられる。
【0022】
そのなかでも、特にポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。このものは、ゲル強度が強く、かつ保水性に優れるからであり、特に、平均重合度20000〜70000のポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
平均重合度が20000より小さくなるにつれ増粘効果が乏しくなり、十分なゲル強度が得られなくなる傾向が現れだし、平均重合度が70000より大きくなるにつれ増粘効果が強すぎ、作業性が低下する傾向が現れだし、いずれも好ましいものではない。また、前記水溶性高分子を2種類以上併用することにより、例えばポリアクリル酸ナトリウムの強イオン高分子と高分子コンプレックスを形成し、より一層ゲル強度の大きい弾性ゲルを得ることができる。
【0023】
膏体を構成する基剤に含有される湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール等があげられ、さらに、充填剤として、カオリン、酸化亜鉛、タルク、チタン、ベントナイト、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、メタ珪酸アルミニウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等を添加してもよい。また、溶解補助剤または吸収促進剤として、炭酸プロピレン、クロタミトン、l−メントール、ハッカ油、リモネン、ジイソプロピルアジペート等や、薬効補助剤として、サルチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l−メントール、チモール、ハッカ油、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス等を添加してもよい。更に、必要に応じて、安定化剤や抗酸化剤、乳化剤等を添加してもよい。
【0024】
その他必要に応じて、架橋剤や重合剤を添加してもよい。これらの架橋剤や重合剤は膏体を強固にすると共に、保水性を持たせることができる。この架橋剤は、増粘剤等の種類に応じて適宜選択される。例えば、増粘剤にポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩を使用した場合は、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物、Ca、Mg、Al等の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、ステアリン酸塩等の有機酸塩、酸化亜鉛、無水珪酸等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物等の多価金属化合物等が好適に用いられる。
【0025】
また増粘剤にポリビニルアルコールを使用した場合は、アジピン酸、チオグリコール酸、エポキシ化合物(エピクロルヒドリン)、アルデヒド類、N−メチロール化合物、Al、Ti、Zr、Sn、V、Cu、B、Cr等の化合物等の錯化物等を、好適に使用することができる。また、増粘剤にポリビニルピロリドンを使用した場合は、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリアシッド化合物またはそのアルカリ金属塩(ポリアクリル酸やタンニン酸及びその誘導体)等が好適に用いられる。
【0026】
また、増粘剤にポリエチレンオキサイドを使用した場合は、パーキオサイド、ポリスルホンアザイド等が好適に用いられる。また、増粘剤にメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体を使用した場合は、多官能ヒドロキシ化合物、ポリアミン、ヨウ素、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、鉄、水銀、鉛塩等が好適に用いられる。増粘剤にゼラチンを使用した場合は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド類、グルオキサール、ブタジエンオキシド等のジエポキシド類、ジビニルケトン等のジケトン類、ジイソシアネート類等が好適に用いられる。
【0027】
また、増粘剤にポリアクリル酸ナトリウムを使用した場合、架橋剤として、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ホウ酸ナトリウム等の多価金属塩を添加するのが好ましい。特に亜鉛塩、アルミニウム塩の架橋反応が促進されるので好ましい。架橋剤として添加される多価金属塩の濃度は、増粘剤(又は水溶性高分子)1当量に対し0.5〜1.5当量が好ましい。多価金属塩の濃度が0.5当量より小さくなるにつれ反応が遅すぎてゲル強度が低くなる傾向が現れだし、多価金属塩の濃度が1.5当量より大きくなるにつれ、反応が早すぎてゲル化が不均一になり、作業性が低下する傾向が現れだすので、いずれも好ましものではない。
【0028】
貼付剤の一種であるパップ剤としては、皮膚密着性がよいこと、有効成分の皮膚吸収を高めること、水分を可及的に多く含有していること、膏体中の水分が蒸発するとき皮膚から熱を奪い、この発熱量が清涼感を与え、また角質層が内部から蒸散してくる水分子によって水和され、薬物の吸収が促進されること、常温又はその近辺の温度でもだれないこと、剥がすときに痛くなく、膏体が残らないこと、べとつかないこと等が挙げられる。
【0029】
このため、膏体は増粘剤5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%、湿潤剤5〜40重量%、充填剤20重量%以下、水10〜80重量%、溶解補助剤0〜8重量%、薬物5重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%を含有するのが好ましい。
【0030】
本発明の貼付剤において有効成分として膏体中に含有される薬物としては、その用途に合わせて種々の薬物を配合することができる。鎮痛・抗炎症成分としては、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、フェルビナク、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、β−グリチルリチン酸等を、血行促進成分としては、酢酸トコフェロール、トウガラシエキス、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、ベンジルアルコール等を、抗アレルギー成分として、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等、局所刺激成分として、l−メントール、カンフル、ハッカ油、ユーカリ油等、局所麻酔成分として、リドカイン、ベンゾカイン、ジブカイン、テトラカイン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、薬物は必要に応じて2種類以上併用することも可能である。
【0031】
なお、薬物の含有量は、患者に適用した際にあらかじめ設定された有効量を患部に適用できるように、パップ剤等の貼付剤の種類、用途に応じて適宜選択される。
【0032】
本発明が提供する製造方法において製造される貼付剤にあっては、膏体面に貼付される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの重なり部分は、種々の態様を採ることができる。更に、その形状、重なり部分の幅も種々異なった形態を採用することができる。
特に本発明にあっては、かかる剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を使用して製造する点に特徴がある。
【0033】
以下に、その重なり部分として構成される、掴み部分と折り曲げの形態をいくつか説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、その一つの態様として、図1に示すものを挙げることができる。すなわち、図1中の矢印幅で示すように、重なり部分として10〜30mm幅が好ましく、更に好ましくは15〜25mm幅が好ましい。重なり部分が10mm幅より小さくなるにつれ、製造時の蛇行による作業性の悪化及び歩留まりが低下傾向となり好ましくない。また、重なり部分が30mm幅より大きくなるにつれ、使用面積が広がり、コストアップの要因になるので好ましいものではない。
【0034】
また、図2に示す形態にあっては、上記の上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの重なり部分(図中矢印幅)は、上側剥離フィルムを剥離させる際の掴み部分にも相当し、この場合は10〜90mm幅が好ましく、更に好ましくは15〜80mm幅が好ましい。掴み部分が10mm幅より小さくなるにつれ、掴み難くなる上に製造時の蛇行による作業性の悪化及び歩留まりが低下傾向となり好ましくない。また、掴み部分が90mm幅より大きくなるにつれ、掴み易くなるものの、使用面積が広がり、コストアップの要因になるので好ましくない。
【0035】
さらに、図3に示すような上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの掴み部分形状においては、特に限定しないが、好ましくは各々別形状にすることで端部を明確にすることが好ましい。例えば、直線、波形、台形等が好ましく、更に好ましくは直線〜緩やかな曲線を有する形状と、台形等の上下掴み部分の組み合わせが好ましい。逆に、三角形等の鋭角な形状は掴み部分の先端で指先を負傷する恐れがあるので好ましくない。
この場合の上記掴み部分の幅は特に限定されないが、5〜30mm幅が好ましく、更に好ましくは10〜25mm幅が好ましい。掴み部分が5mm幅より小さくなるにつれ、掴み難くなることから好ましくない。逆に掴み部分が30mm幅より大きくなるにつれ、掴み易くなるものの、使用面積が広がり、コストアップの要因になるだけでなく、掴み部分が端部に近くなるので、裁断時の蛇行により誤って掴み部を切断し易くなることから好ましいものではない。
【0036】
さらにまた、図4示すような上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの掴み部分に表示を施すことも可能である。かかる表示は特に限定されないが、好ましくは文字、矢印、記号、イラスト等を表示、または着色して端部を明確にすることもできる。
【0037】
また、図5示す上側剥離フィルムと下側剥離フィルムにエンボス加工を施すことができる。エンボス加工の模様は特に限定されないが、好ましくはダイヤ柄、絹目柄、SS柄、亀甲柄等の加工を施して、指先による剥離作業を容易に行えるよう配慮することが好ましい。更には上側剥離フィルムと下側剥離フィルム、または上下掴み部分のエンボス柄をそれぞれ異なる形状で加工して上下の剥離フィルムを明確に区別できるようにすることが好ましい。
【0038】
上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、特に限定されないが、好ましくは上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=4:1〜1:4、更に好ましくは1:1〜2:1が好ましい。
なお、4:1〜1:4を越える場合は、掴み部分が貼付剤の端部に近くなるため、裁断時の蛇行により誤って掴み部を切断する虞があり、好ましものではない。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明が提供する貼付剤の製造方法を、具体的実施例となるいくつかの実施形態により、図面を参照しながら説明する。
【0040】
[実施の形態1]
図6は、本発明の実施の形態1におけるパップ剤等の貼付剤を示す斜視図であり、図7はその側面図、図8は具体的製造を示す展着工程の概略図である。
図6及び図7においては、本発明の実施の形態1において製造されるパップ剤等の貼付剤は、概略縦100mm、横140mmの長方形の貼付剤である。支持体として伸縮性を有する不織布であり、該支持体の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にフェルビナク等の薬物や水分等を含有した膏体と、当該膏体の略半面に、厚み30μmであり、台形の掴み部分として20mm幅を折り曲げた延伸ポリプロピレンからなるダイヤ柄エンボス加工が施された下側剥離フィルムと、残る略半面に展着された同上の延伸ポリプロピレンフィルムにSS柄エンボス加工が施された上側剥離フィルムとを貼着した、貼付剤である。
【0041】
なお、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=1:1とされている。また、上側剥離フィルムの重なり部分は25mm幅である。
【0042】
本発明の製造方法によれば、膏体面に貼着される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムは、その下側剥離フィルムにあっては、掴み部分を予め折り曲げて巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着する点に特徴があり、その具体的製造を示す展着工程を、概略図として図8のIに示した。
なお、図8のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの剥離フィルム(ロール剥離フィルム)から膏体面に貼着される状態の重ね断面の概略図を示した。
【0043】
[実施の形態2]
図9は、本発明の実施の形態2におけるパップ剤等の貼付剤を示す斜視図であり、図10はその側面図、図11は具体的製造を示す展着工程の概略図である。
図9及び図10においては、本発明の実施の形態2において製造されるパップ剤等の貼付剤は、実施の形態1と同様、概略縦100mm、横140mmの長方形の貼付剤である。支持体として伸縮性を有する不織布であり、該支持体の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にインドメタシン等の薬物や水分等を含有した膏体と、当該膏体面に、厚み50μmであり、波形の掴み部分として15mm幅を折り曲げた無延伸ポリプロピレンからなる亀甲柄エンボス加工が施された下側剥離フィルムと、残る面に、厚み50μmであり、台形の掴み部分として20mm幅を折り曲げた無延伸ポリプロピレンからなる亀甲柄エンボス加工が施された上側剥離フィルムを貼着した、貼付剤である。
【0044】
なお、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=2:1とされている。また、上側剥離フィルムの重なり部分、すなわち掴み部分は、25mm幅である。
【0045】
この実施の形態2にあっても、本発明の製造方法によれば、膏体面に貼着される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの両者にあっては、掴み部分を予め折り曲げて巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着する点に特徴があり、その具体的製造を示す展着工程を、概略図として図11のIに示した。
なお、図14のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの剥離フィルム(ロール剥離フィルム)から膏体面に貼着される状態の重ね断面の概略図を示した。
【0046】
[実施の形態3]
図12は本発明の実施の形態3におけるパップ剤等の貼付剤を示す斜視図であり、図13はその側面図、図14は展着工程の概略図である。
図12及び図13においては、本発明の実施の形態3において製造されるパップ剤等の貼付剤にあっても、実施の形態1と同様、概略縦100mm、横140mmの長方形の貼付剤である。支持体として伸縮性を有するニットであり、該支持体の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にl−メントール等の薬物や水分等を含有した膏体と、当該膏体の略半面に、厚み38μmであり、波形の掴み部分として20mm幅を折り曲げ、且つ折り曲げ部分に予め印刷を施したシリコン加工を施されたポリエチレンテレフタレートからなるエンボス加工を施さない下側剥離フィルムと、残る膏体面に展着された同様の厚み38μmであり、掴み部分に印刷を施したシリコン加工を施されたポリエチレンテレフタレートからなるエンボス加工が施されていない上側剥離フィルムを貼着した、貼付剤である。
【0047】
なお、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=1:1とされている。また、上側剥離フィルムの重なり部分は70mm幅(すなわち、下側剥離フィルムの貼着部と同一幅)である。
【0048】
この実施の形態3にあっても、本発明の製造方法によれば、膏体面に貼着される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムは、特にその下側剥離フィルムにあっては、掴み部分を予め折り曲げて巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着する点に特徴があり、その具体的製造を示す展着工程を、概略図として、図14のIに示した。
なお、図14のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの剥離フィルム(ロール剥離フィルム)から膏体面に貼着される状態の重ね断面の概略図を示した。
【0049】
上記の実施の形態1〜3では、貼付剤としてパップ剤を挙げて説明したが、貼付剤としてパップ剤に限定されるものではなく、他のプラスター剤、テープ剤等の貼付剤であっても良いことはいうまでもない。
【0050】
以上のようにして製造される実施の形態1〜3の各構成を有する貼付剤について、以下その使用方法を説明する。
まず、パップ剤等の貼付剤について、上側剥離フィルムの掴み部分を手指で持ち、上側剥離フィルムをすべて剥離すると、部分的に膏体面が露出される。
次に、下側剥離フィルムの掴み部分を手指で持ち、下側剥離フィルムを剥離すると、膏体全面が露出されるので、このまま患部に貼付する。
また、肩や腰等の貼りにくい部位には、上側剥離フィルムのみを剥がし、部分的に露出した膏体面を患部に貼付した後、下側剥離フィルムの掴み部分を手指で持ち、引き剥がすことで容易に貼付が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のようにして提供される本発明の貼付剤の製造方法は、パップ剤等の貼付剤に使用する剥離フィルムの素材を限定することなく、安価で量産性に適した生産ラインを用いて、膏体面に貼着する上側及び下側の剥離フィルムに設けた掴み部分を容易に確認することができるパップ剤等の貼付剤を製造し得る方法であり、生産ラインの大きさ(または長さ)が小さくなり、生産フロアへの配置が制限されず、且つ生産ラインが単純になり、安価な生産ラインとなる点で、その産業上の利用性は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明における上下剥離フィルムの重なり部分の例を示す図である。
【図2】本発明における上下剥離フィルムの重なり部分の例を示す図である。
【図3】本発明における上下剥離フィルムの掴み部分の形状例を示す図である。
【図4】本発明における上下剥離フィルムの掴み部分の印刷図柄の例を示す図である。
【図5】本発明における上下剥離フィルムの掴み部分のエンボス図柄の例を示す図である。
【0053】
【図6】本発明の実施の形態1における貼付剤の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1における貼付剤の側面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における貼付剤の生産方法の概略を示した図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【0054】
【図9】本発明の実施の形態2における貼付剤の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2における貼付剤の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態2における貼付剤の生産方法の概略を示した図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【0055】
【図12】本発明の実施の形態3における貼付剤の斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態3における貼付剤の側面図である。
【図14】本発明の実施の形態3における貼付剤の生産方法の概略を示した図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【0056】
【図15】従来のパップ剤等の貼付剤の斜視図である。
【図16】従来のパップ剤等の貼付剤の生産方法を示す概略図である。
【図17】従来のパップ剤等の貼付剤の掴み部分の切断方法を示す図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、消炎・鎮痛・掻痒等の治療を目的としたパップ剤等貼付剤の製造方法に関する。更に詳しくは、単純な設備で健常者のみならず高齢者や握力の低下した患者でも剥離フィルムの剥離の動作を容易に行うことができ、更に安全かつ衛生的に貼付できる、優れた貼付剤の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、高齢化やハードワーク等による腰痛、関節痛、肩こり等の対症療法として、パップ剤等が広く利用されている。また近年では、帯状疱疹等の適応症にも貼付剤が広く利用されてきている。
このような貼付剤は、今日ではユニバーサルデザインとして、図15が示すように白色や肌色等の支持体と前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体に貼着された上側剥離フィルムと掴み部分を有する下側剥離フィルムで構成され、容易に剥離することができるような工夫が施された製品が増加している(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
この使用方法としては、上側剥離フィルムの掴み部分を指で掴んで剥がし、次に下側剥離フィルムの掴み部分を指で掴み、剥離フィルムを完全に剥がした後、患部に貼付するものである。
またこの製造方法としては、例えば図16に示すように、支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体に、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムを、製造ライン中、すなわち、インラインで掴み部分を裁断・折り曲げ加工を施した後に貼着し、規定の寸法に裁断し、製造していた。
その具体的製造を示す展着工程を、概略図として図16のIに示し、図16のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの重ね断面の概略図を示した。
【0004】
しかしながら、従来のパップ剤等の貼付剤の製造方法では、以下のような課題を有していた。
すなわち、上記の貼付剤の製造において膏体に貼着される剥離フィルムの掴み部分は、インラインで折り曲げる際に、反発を防ぐことを目的とし、折り曲げ部分を超音波シール等で加熱して素材を軟化させ、更に任意の寸法に折り曲げてニップロール等で形成させていたために、生産ラインの大きさ(または長さ)が大きくなり、生産フロアへの配置が制限されていた。
【0005】
また、生産ラインが複雑になり、より高価な生産ラインになっていた。
更に、剥離フィルムとして高融点の素材は不向きであるため、フィルムとしての素材が制限されていた。
加えて、機械停止、または稼働再開時等の際には品質が不安定になるので、十分な確認作業や、品質管理等への配慮が必要となっていた。
【0006】
更にまた、上記で挙げたパップ剤等の貼付剤に用いられる剥離フィルムの掴み部分は、例えば図17に示すように、1枚の原反を規定の形状でスリットするために、上側及び下側に貼着する剥離フィルムの各掴み部分の形状は同一のものとなり、端部を認識し易くするために印刷を施しても、各摘み部分は同一色となってくることから、使用する際には上下の判別が困難であるといった問題があった。
【特許文献1】特開2000−219622号公報
【特許文献2】特開2000−351717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これら上記の問題点を解決するものであって、パップ剤等の貼付剤に使用する剥離フィルムの素材に限定されることなく、安価で量産性に適した生産ラインを用いて、膏体面に貼着する上側及び下側の剥離フィルムに設けた掴み部分を容易に確認することができるパップ剤等の貼付剤を製造し得る方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するための本発明の請求項1に記載の発明は、支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤の製造方法において、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法である。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)と、摘み部分を有しない剥離フィルム(ロール剥離フィルム)とを用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法である。
【0010】
さらに、本発明の請求項3に記載の発明は、剥離フィルムにおける掴み部分が、互いに異なる形状に切断され折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて製造する貼付剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明が提供する貼付剤の製造方法によれば、例えばパップ剤等の貼付剤の製造ラインとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を使用することから、その規模、具体的には、生産ラインの大きさ(又は長さ)を小さくすることが可能となり、したがって、生産フロアへの配置の制限が無くなる利点を有している。
また、生産ラインが単純になり、安価な生産ラインとなる。
さらに、剥離フィルムの素材が限定されないので、パップ剤を始めとする多様な製品の製造に対応することが可能となり、更に製造される貼付剤の品質も安定するため、品質上特別な配慮は不要となる。
【0012】
また、剥離フィルムに設ける掴み部分を、予め任意の形状でスリットしておくので、膏体面に貼着する上側及び下側の剥離フィルムの各掴み部分を、それぞれ異なる形状に設定したり、別色で印刷したりすることが可能であり、したがって、貼付剤としてその剥離フィルムを剥離して使用する際には、容易に掴み部分を認識することができる利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の製造方法により製造される貼付剤は、支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤である。
【0014】
用いる剥離フィルムの素材としては、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム、紙、合成紙、合成樹脂を単体又はラミネートして複合させたものや、アルミ箔、蒸着フィルムと上記素材をラミネートさせたもの、及び上記単一素材又は複合素材にシリコン加工やエンボス加工、更には印刷又は着色を施したものを用いることができる。
【0015】
この場合における剥離フィルムの素材の製膜方法は、各種の方法があり、例えば、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、流延法等があるが、特に限定されるものではない。
膏体面に貼着する剥離フィルムの厚みは、12〜200μm、好ましくは12〜75μmの範囲で形成されることが好ましい。剥離フィルムの厚みが12μmより小さくなるにつれ、その薄さから掴み難くなることや、製造時に皺が発生し易くなるので好ましものではない。また、剥離フィルムの厚みが200μmより大きくなるにつれ、製造における裁断性が低下する傾向があるのでコストアップの要因となり、更に剥離フィルム自体もより高価になる。
【0016】
剥離フィルムには、剥離時における手指のすべりを防止するために、エンボス加工を施すことが好ましい。エンボス加工部は、剥離フィルムの全面または局部的な箇所、たとえば掴み部分等に形成されるのがよい。
【0017】
剥離フィルムにおけるエンボス加工の模様は、特に限定されるものではないが、好ましくは手指が滑ることなく掴み易いものであれば、ダイヤ柄、格子柄、亀甲柄、波形、その他種々の形状を採用することができる。
また、貼付剤の剥離方法を明確にするために、上側剥離フィルムと下側剥離フィルム、またはその一方に文字、矢印、記号、イラスト等を表示または着色することも好ましい。
印刷等を施す箇所は、特に限定されないが、掴み部分に印刷を施すことにより、使用者は更に端部を認識し易くなるので、好ましいものとなる。
掴み部分のスリットは、直線・波形・S形・台形等の形状があり、特に限定されない。使用者がパップ剤等の貼付剤を観察したとき、一見して掴み部分を発見できるような形状であれば好ましい。
【0018】
一方、貼付剤を構成する支持体としては、織布、不織布、ラミネート品等を挙げることができ、その伸縮性の有無は特に限定されるものではない。
支持体の具体的な材料としては、紙、綿、大麻、黄麻等の靱皮繊維、マニラ麻等の葉脈繊維等のセルロース繊維、羊毛等の獣毛繊維や、絹繊維、羽毛繊維等のタンパク繊維等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維や再生タンパク繊維等の再生繊維、酢酸セルロース繊維やプロミックス等の半合成繊維、ナイロンアラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール繊維、ポリイミド繊維等を、単体または複合した織布、不織布に加工し利用できる。
支持体は、引っ張り強度、厚さ、伸縮性を貼付部位に応じて、また薬物の支持体への移行等を考慮して、適宜選択することができる。
【0019】
膏体は、基剤に薬物を含有等させることにより、外用のパップ剤等の貼付剤として有効に利用させるものである。
したがって、膏体としては、皮膚への薬効効果が十分に得られるように粘着性を有し、常温またはそれ以上の温度においても軟化することなく、かつ膏体が貼付部位である皮膚面上に残らない、適度な凝集性を有するように形成されたものである。
【0020】
そのような膏体を構成する材料としては、基剤成分として増粘剤、湿潤剤、架橋剤、重合剤、充填剤等を挙げることができ、それに加え、吸収促進剤、溶解補助剤、薬効補助剤、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、香料、着色剤等を含有することができる。
【0021】
膏体を構成する基剤に含有される増粘剤としては、グァーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、寒天、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、澱粉等の植物系、ザンタンガム、アカシアガム等の微生物系、ゼラチン、コラーゲン等の動物系の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等のデンプン系等の半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタクリレート等のビニル系、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系、その他ポリエチレンオキサイド、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体等の合成高分子等の水溶性高分子等が好適に用いられる。
【0022】
そのなかでも、特にポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。このものは、ゲル強度が強く、かつ保水性に優れるからであり、特に、平均重合度20000〜70000のポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
平均重合度が20000より小さくなるにつれ増粘効果が乏しくなり、十分なゲル強度が得られなくなる傾向が現れだし、平均重合度が70000より大きくなるにつれ増粘効果が強すぎ、作業性が低下する傾向が現れだし、いずれも好ましいものではない。また、前記水溶性高分子を2種類以上併用することにより、例えばポリアクリル酸ナトリウムの強イオン高分子と高分子コンプレックスを形成し、より一層ゲル強度の大きい弾性ゲルを得ることができる。
【0023】
膏体を構成する基剤に含有される湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール等があげられ、さらに、充填剤として、カオリン、酸化亜鉛、タルク、チタン、ベントナイト、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、メタ珪酸アルミニウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等を添加してもよい。また、溶解補助剤または吸収促進剤として、炭酸プロピレン、クロタミトン、l−メントール、ハッカ油、リモネン、ジイソプロピルアジペート等や、薬効補助剤として、サルチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l−メントール、チモール、ハッカ油、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス等を添加してもよい。更に、必要に応じて、安定化剤や抗酸化剤、乳化剤等を添加してもよい。
【0024】
その他必要に応じて、架橋剤や重合剤を添加してもよい。これらの架橋剤や重合剤は膏体を強固にすると共に、保水性を持たせることができる。この架橋剤は、増粘剤等の種類に応じて適宜選択される。例えば、増粘剤にポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩を使用した場合は、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物、Ca、Mg、Al等の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、ステアリン酸塩等の有機酸塩、酸化亜鉛、無水珪酸等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物等の多価金属化合物等が好適に用いられる。
【0025】
また増粘剤にポリビニルアルコールを使用した場合は、アジピン酸、チオグリコール酸、エポキシ化合物(エピクロルヒドリン)、アルデヒド類、N−メチロール化合物、Al、Ti、Zr、Sn、V、Cu、B、Cr等の化合物等の錯化物等を、好適に使用することができる。また、増粘剤にポリビニルピロリドンを使用した場合は、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリアシッド化合物またはそのアルカリ金属塩(ポリアクリル酸やタンニン酸及びその誘導体)等が好適に用いられる。
【0026】
また、増粘剤にポリエチレンオキサイドを使用した場合は、パーキオサイド、ポリスルホンアザイド等が好適に用いられる。また、増粘剤にメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体を使用した場合は、多官能ヒドロキシ化合物、ポリアミン、ヨウ素、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、鉄、水銀、鉛塩等が好適に用いられる。増粘剤にゼラチンを使用した場合は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド類、グルオキサール、ブタジエンオキシド等のジエポキシド類、ジビニルケトン等のジケトン類、ジイソシアネート類等が好適に用いられる。
【0027】
また、増粘剤にポリアクリル酸ナトリウムを使用した場合、架橋剤として、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ホウ酸ナトリウム等の多価金属塩を添加するのが好ましい。特に亜鉛塩、アルミニウム塩の架橋反応が促進されるので好ましい。架橋剤として添加される多価金属塩の濃度は、増粘剤(又は水溶性高分子)1当量に対し0.5〜1.5当量が好ましい。多価金属塩の濃度が0.5当量より小さくなるにつれ反応が遅すぎてゲル強度が低くなる傾向が現れだし、多価金属塩の濃度が1.5当量より大きくなるにつれ、反応が早すぎてゲル化が不均一になり、作業性が低下する傾向が現れだすので、いずれも好ましものではない。
【0028】
貼付剤の一種であるパップ剤としては、皮膚密着性がよいこと、有効成分の皮膚吸収を高めること、水分を可及的に多く含有していること、膏体中の水分が蒸発するとき皮膚から熱を奪い、この発熱量が清涼感を与え、また角質層が内部から蒸散してくる水分子によって水和され、薬物の吸収が促進されること、常温又はその近辺の温度でもだれないこと、剥がすときに痛くなく、膏体が残らないこと、べとつかないこと等が挙げられる。
【0029】
このため、膏体は増粘剤5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%、湿潤剤5〜40重量%、充填剤20重量%以下、水10〜80重量%、溶解補助剤0〜8重量%、薬物5重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%を含有するのが好ましい。
【0030】
本発明の貼付剤において有効成分として膏体中に含有される薬物としては、その用途に合わせて種々の薬物を配合することができる。鎮痛・抗炎症成分としては、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、フェルビナク、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、β−グリチルリチン酸等を、血行促進成分としては、酢酸トコフェロール、トウガラシエキス、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル、ベンジルアルコール等を、抗アレルギー成分として、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等、局所刺激成分として、l−メントール、カンフル、ハッカ油、ユーカリ油等、局所麻酔成分として、リドカイン、ベンゾカイン、ジブカイン、テトラカイン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、薬物は必要に応じて2種類以上併用することも可能である。
【0031】
なお、薬物の含有量は、患者に適用した際にあらかじめ設定された有効量を患部に適用できるように、パップ剤等の貼付剤の種類、用途に応じて適宜選択される。
【0032】
本発明が提供する製造方法において製造される貼付剤にあっては、膏体面に貼付される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの重なり部分は、種々の態様を採ることができる。更に、その形状、重なり部分の幅も種々異なった形態を採用することができる。
特に本発明にあっては、かかる剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を使用して製造する点に特徴がある。
【0033】
以下に、その重なり部分として構成される、掴み部分と折り曲げの形態をいくつか説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、その一つの態様として、図1に示すものを挙げることができる。すなわち、図1中の矢印幅で示すように、重なり部分として10〜30mm幅が好ましく、更に好ましくは15〜25mm幅が好ましい。重なり部分が10mm幅より小さくなるにつれ、製造時の蛇行による作業性の悪化及び歩留まりが低下傾向となり好ましくない。また、重なり部分が30mm幅より大きくなるにつれ、使用面積が広がり、コストアップの要因になるので好ましいものではない。
【0034】
また、図2に示す形態にあっては、上記の上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの重なり部分(図中矢印幅)は、上側剥離フィルムを剥離させる際の掴み部分にも相当し、この場合は10〜90mm幅が好ましく、更に好ましくは15〜80mm幅が好ましい。掴み部分が10mm幅より小さくなるにつれ、掴み難くなる上に製造時の蛇行による作業性の悪化及び歩留まりが低下傾向となり好ましくない。また、掴み部分が90mm幅より大きくなるにつれ、掴み易くなるものの、使用面積が広がり、コストアップの要因になるので好ましくない。
【0035】
さらに、図3に示すような上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの掴み部分形状においては、特に限定しないが、好ましくは各々別形状にすることで端部を明確にすることが好ましい。例えば、直線、波形、台形等が好ましく、更に好ましくは直線〜緩やかな曲線を有する形状と、台形等の上下掴み部分の組み合わせが好ましい。逆に、三角形等の鋭角な形状は掴み部分の先端で指先を負傷する恐れがあるので好ましくない。
この場合の上記掴み部分の幅は特に限定されないが、5〜30mm幅が好ましく、更に好ましくは10〜25mm幅が好ましい。掴み部分が5mm幅より小さくなるにつれ、掴み難くなることから好ましくない。逆に掴み部分が30mm幅より大きくなるにつれ、掴み易くなるものの、使用面積が広がり、コストアップの要因になるだけでなく、掴み部分が端部に近くなるので、裁断時の蛇行により誤って掴み部を切断し易くなることから好ましいものではない。
【0036】
さらにまた、図4示すような上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの掴み部分に表示を施すことも可能である。かかる表示は特に限定されないが、好ましくは文字、矢印、記号、イラスト等を表示、または着色して端部を明確にすることもできる。
【0037】
また、図5示す上側剥離フィルムと下側剥離フィルムにエンボス加工を施すことができる。エンボス加工の模様は特に限定されないが、好ましくはダイヤ柄、絹目柄、SS柄、亀甲柄等の加工を施して、指先による剥離作業を容易に行えるよう配慮することが好ましい。更には上側剥離フィルムと下側剥離フィルム、または上下掴み部分のエンボス柄をそれぞれ異なる形状で加工して上下の剥離フィルムを明確に区別できるようにすることが好ましい。
【0038】
上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、特に限定されないが、好ましくは上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=4:1〜1:4、更に好ましくは1:1〜2:1が好ましい。
なお、4:1〜1:4を越える場合は、掴み部分が貼付剤の端部に近くなるため、裁断時の蛇行により誤って掴み部を切断する虞があり、好ましものではない。
【実施例】
【0039】
以下に、本発明が提供する貼付剤の製造方法を、具体的実施例となるいくつかの実施形態により、図面を参照しながら説明する。
【0040】
[実施の形態1]
図6は、本発明の実施の形態1におけるパップ剤等の貼付剤を示す斜視図であり、図7はその側面図、図8は具体的製造を示す展着工程の概略図である。
図6及び図7においては、本発明の実施の形態1において製造されるパップ剤等の貼付剤は、概略縦100mm、横140mmの長方形の貼付剤である。支持体として伸縮性を有する不織布であり、該支持体の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にフェルビナク等の薬物や水分等を含有した膏体と、当該膏体の略半面に、厚み30μmであり、台形の掴み部分として20mm幅を折り曲げた延伸ポリプロピレンからなるダイヤ柄エンボス加工が施された下側剥離フィルムと、残る略半面に展着された同上の延伸ポリプロピレンフィルムにSS柄エンボス加工が施された上側剥離フィルムとを貼着した、貼付剤である。
【0041】
なお、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=1:1とされている。また、上側剥離フィルムの重なり部分は25mm幅である。
【0042】
本発明の製造方法によれば、膏体面に貼着される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムは、その下側剥離フィルムにあっては、掴み部分を予め折り曲げて巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着する点に特徴があり、その具体的製造を示す展着工程を、概略図として図8のIに示した。
なお、図8のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの剥離フィルム(ロール剥離フィルム)から膏体面に貼着される状態の重ね断面の概略図を示した。
【0043】
[実施の形態2]
図9は、本発明の実施の形態2におけるパップ剤等の貼付剤を示す斜視図であり、図10はその側面図、図11は具体的製造を示す展着工程の概略図である。
図9及び図10においては、本発明の実施の形態2において製造されるパップ剤等の貼付剤は、実施の形態1と同様、概略縦100mm、横140mmの長方形の貼付剤である。支持体として伸縮性を有する不織布であり、該支持体の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にインドメタシン等の薬物や水分等を含有した膏体と、当該膏体面に、厚み50μmであり、波形の掴み部分として15mm幅を折り曲げた無延伸ポリプロピレンからなる亀甲柄エンボス加工が施された下側剥離フィルムと、残る面に、厚み50μmであり、台形の掴み部分として20mm幅を折り曲げた無延伸ポリプロピレンからなる亀甲柄エンボス加工が施された上側剥離フィルムを貼着した、貼付剤である。
【0044】
なお、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=2:1とされている。また、上側剥離フィルムの重なり部分、すなわち掴み部分は、25mm幅である。
【0045】
この実施の形態2にあっても、本発明の製造方法によれば、膏体面に貼着される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの両者にあっては、掴み部分を予め折り曲げて巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着する点に特徴があり、その具体的製造を示す展着工程を、概略図として図11のIに示した。
なお、図14のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの剥離フィルム(ロール剥離フィルム)から膏体面に貼着される状態の重ね断面の概略図を示した。
【0046】
[実施の形態3]
図12は本発明の実施の形態3におけるパップ剤等の貼付剤を示す斜視図であり、図13はその側面図、図14は展着工程の概略図である。
図12及び図13においては、本発明の実施の形態3において製造されるパップ剤等の貼付剤にあっても、実施の形態1と同様、概略縦100mm、横140mmの長方形の貼付剤である。支持体として伸縮性を有するニットであり、該支持体の表面の略全面に展着されたポリアクリル酸ナトリウム等にl−メントール等の薬物や水分等を含有した膏体と、当該膏体の略半面に、厚み38μmであり、波形の掴み部分として20mm幅を折り曲げ、且つ折り曲げ部分に予め印刷を施したシリコン加工を施されたポリエチレンテレフタレートからなるエンボス加工を施さない下側剥離フィルムと、残る膏体面に展着された同様の厚み38μmであり、掴み部分に印刷を施したシリコン加工を施されたポリエチレンテレフタレートからなるエンボス加工が施されていない上側剥離フィルムを貼着した、貼付剤である。
【0047】
なお、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの膏体面に貼着する面積比率については、上側剥離フィルム:下側剥離フィルム=1:1とされている。また、上側剥離フィルムの重なり部分は70mm幅(すなわち、下側剥離フィルムの貼着部と同一幅)である。
【0048】
この実施の形態3にあっても、本発明の製造方法によれば、膏体面に貼着される上側剥離フィルムと下側剥離フィルムは、特にその下側剥離フィルムにあっては、掴み部分を予め折り曲げて巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着する点に特徴があり、その具体的製造を示す展着工程を、概略図として、図14のIに示した。
なお、図14のIIに、上側剥離フィルムと下側剥離フィルムの剥離フィルム(ロール剥離フィルム)から膏体面に貼着される状態の重ね断面の概略図を示した。
【0049】
上記の実施の形態1〜3では、貼付剤としてパップ剤を挙げて説明したが、貼付剤としてパップ剤に限定されるものではなく、他のプラスター剤、テープ剤等の貼付剤であっても良いことはいうまでもない。
【0050】
以上のようにして製造される実施の形態1〜3の各構成を有する貼付剤について、以下その使用方法を説明する。
まず、パップ剤等の貼付剤について、上側剥離フィルムの掴み部分を手指で持ち、上側剥離フィルムをすべて剥離すると、部分的に膏体面が露出される。
次に、下側剥離フィルムの掴み部分を手指で持ち、下側剥離フィルムを剥離すると、膏体全面が露出されるので、このまま患部に貼付する。
また、肩や腰等の貼りにくい部位には、上側剥離フィルムのみを剥がし、部分的に露出した膏体面を患部に貼付した後、下側剥離フィルムの掴み部分を手指で持ち、引き剥がすことで容易に貼付が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のようにして提供される本発明の貼付剤の製造方法は、パップ剤等の貼付剤に使用する剥離フィルムの素材を限定することなく、安価で量産性に適した生産ラインを用いて、膏体面に貼着する上側及び下側の剥離フィルムに設けた掴み部分を容易に確認することができるパップ剤等の貼付剤を製造し得る方法であり、生産ラインの大きさ(または長さ)が小さくなり、生産フロアへの配置が制限されず、且つ生産ラインが単純になり、安価な生産ラインとなる点で、その産業上の利用性は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明における上下剥離フィルムの重なり部分の例を示す図である。
【図2】本発明における上下剥離フィルムの重なり部分の例を示す図である。
【図3】本発明における上下剥離フィルムの掴み部分の形状例を示す図である。
【図4】本発明における上下剥離フィルムの掴み部分の印刷図柄の例を示す図である。
【図5】本発明における上下剥離フィルムの掴み部分のエンボス図柄の例を示す図である。
【0053】
【図6】本発明の実施の形態1における貼付剤の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態1における貼付剤の側面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における貼付剤の生産方法の概略を示した図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【0054】
【図9】本発明の実施の形態2における貼付剤の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2における貼付剤の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態2における貼付剤の生産方法の概略を示した図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【0055】
【図12】本発明の実施の形態3における貼付剤の斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態3における貼付剤の側面図である。
【図14】本発明の実施の形態3における貼付剤の生産方法の概略を示した図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【0056】
【図15】従来のパップ剤等の貼付剤の斜視図である。
【図16】従来のパップ剤等の貼付剤の生産方法を示す概略図である。
【図17】従来のパップ剤等の貼付剤の掴み部分の切断方法を示す図であり、図中Iはその製造概略図であり、IIは上側/下側剥離フィルムの重ね断面の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤の製造方法において、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法。
【請求項2】
膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)と、摘み部分を有しない剥離フィルム(ロール剥離フィルム)とを用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする請求項1に記載の貼付剤の製造方法。
【請求項3】
剥離フィルムにおける掴み部分が、互いに異なる形状に切断され折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて製造する請求項1又は請求項2に記載の貼付剤の製造方法。
【請求項1】
支持体と、前記支持体の一面の略全面に展着された粘着性を有する膏体と、前記膏体面に、少なくとも一方の掴み部分を折り曲げられた状態で貼着した上下2枚の剥離フィルムとからなる貼付剤の製造方法において、膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする貼付剤の製造方法。
【請求項2】
膏体面に貼着する剥離フィルムとして、予め掴み部分を折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)と、摘み部分を有しない剥離フィルム(ロール剥離フィルム)とを用いて膏体面に貼着し、規定の寸法に裁断することを特徴とする請求項1に記載の貼付剤の製造方法。
【請求項3】
剥離フィルムにおける掴み部分が、互いに異なる形状に切断され折り曲げられた状態で巻き取られた剥離フィルム(ロール剥離フィルム)を用いて製造する請求項1又は請求項2に記載の貼付剤の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−156323(P2008−156323A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350202(P2006−350202)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000215958)帝國製薬株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000215958)帝國製薬株式会社 (44)
【Fターム(参考)】
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