説明

貼付剤包装構造

【課題】本発明は、貼付剤の、包装体の内面への付着を抑制しつつ、包装体を手で容易に開封することのできる、貼付剤包装構造を提供することを課題とする。
【解決手段】包装体と、該包装体の内部に収容された貼付剤とを含む、貼付剤包装構造であって、該包装体は、実質的に平面状の第1シート材と、成形された第2シート材とを含み、該第2シート材は、包装体の外側に向かって突出する第1領域と、該第1領域を包囲し、かつ実質的に平面状である第2領域とを有し、ここで、該第1領域は、貼付剤の平面外形を包含する平面外形を有し、該第2領域は、該第1領域を包囲する第1シール領域と、該第1シール領域よりも該第2シート材の中央部側に、非シール領域とを有する、貼付剤包装構造が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体と、該包装体の内部に収容された貼付剤とを含む貼付剤包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚に貼付して患部を保護するための貼付剤、および皮膚に貼付して経皮的に哺乳動物に薬物を投与するための貼付製剤が開発されている。このような貼付剤または貼付製剤(以下、特記する場合を除き集合的に貼付剤という。)は、通常、袋状の包装体(例えば実公平4−51782号公報(特許文献1)参照)に収容された包装構造として市場で流通する。このような袋状の包装体は通常、柔軟な樹脂フィルム等で形成されているので、袋状の包装体を手で破って開封することは困難ではない。
【0003】
しかし、このような袋状の包装体では、貼付剤が包装体と密着し、また包装体外部からの荷重が貼付剤にかかりやすいため、貼付剤の周辺部などからその粘着剤層成分が漏れ出し、またははみ出して、貼付剤が包装体の内面に付着し、貼付剤を包装体から取り出しにくくなる傾向にある。
【0004】
特表平10−511330号公報(特許文献2)は、所定形状の容器状の包装体に貼付剤を収容した貼付剤包装構造を開示する。そのような包装体は、袋状の包装体と比較して、包装体外部からの荷重が貼付剤にかかりにくいため、貼付剤の周辺部から粘着剤層成分が漏れ出し、またははみ出すことは抑制される。したがって、貼付剤が包装体の内面に付着することは抑制される。
しかし、このような容器状の包装体は通常、ほぼ一定形状を保持するために有る程度の剛性を有する材料を含むので、開封の際に通常はさみ等の使用が必要となり、手で開封することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平4−51782号公報
【特許文献2】特表平10−511330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑み、本発明は、貼付剤の、包装体の内面への付着を抑制しつつ、包装体を手で容易に開封することのできる、貼付剤包装構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施態様では、包装体と、該包装体の内部に収容された貼付剤とを含む、貼付剤包装構造であって、該包装体は、実質的に平面状の第1シート材と、成形された第2シート材とを含み、該第2シート材は、包装体の外側に向かって突出する第1領域と、該第1領域を包囲し、かつ実質的に平面状である第2領域とを有し、ここで、該第1領域は、貼付剤の平面外形を包含する平面外形を有し、該第2領域は、該第1領域を包囲する第1シール領域と、該第1シール領域よりも該第2シート材の中央部側に、非シール領域とを有する、貼付剤包装構造が提供される。
【0008】
もう一つの実施態様では、第2シート材は、該非シール領域に、第1シート材と密着する密着領域を有する。
【0009】
もう一つの実施態様では、該密着領域は、第2シール領域である。
【0010】
もう一つの実施態様では、該包装体は周辺部に開封開始部位を有し、かつ該切れ目は、該開封開始部位を起点として、使用者が包装体を引き裂いた場合に、包装体に引き裂き部が形成され、該引き裂き部は該非シール領域に及ぶ位置に設けられる。
【0011】
もう一つの実施態様では、該第2シール領域は、ドット状の平面形状である。
【0012】
もう一つの実施態様では、該第2シール領域は、帯状の平面形状である。
【0013】
もう一つの実施態様では、該第2シール領域は、略三角形状の平面形状である。
もう一つの実施態様では、該第1領域と第2領域の間の境界領域は、第1辺および該第1辺に隣接する第2辺を有する略矩形状であり、該第2領域は該第1辺に沿って延在する非シール領域を有し、該非シール領域は2以上の第2シール領域を有する。
【0014】
もう一つの実施態様では、該第1領域と第2領域の間の境界領域は、第1辺および該第1辺に隣接する第2辺を有する略矩形状であり、該第2領域は該第1辺および第2辺のそれぞれに沿って延在する非シール領域を有し、該非シール領域のそれぞれは、2以上の第2シール領域を有する。
【0015】
もう一つの実施態様では、前記貼付剤は、薬物を含む貼付製剤である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のような包装体に、貼付剤が収容されていることで、貼付剤に外部から荷重がかかることを抑制されるので、貼付剤が包装体の内壁に付着することを抑制することができる。加えて、本発明の貼付剤包装構造は、包装体に、上記のようにシール領域および非シール領域を設けることで、従来の貼付剤包装構造よりも容易に開封することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の貼付剤包装構造の例の斜視図である。
【図2】本発明の貼付剤包装構造の例の平面図である。
【図3】本発明の貼付剤包装構造の例の平面図である。
【図4】本発明の貼付剤包装構造の例の平面図である。
【図5】本発明の貼付剤包装構造の例の平面図である。
【図6】本発明の貼付剤包装構造の例の平面図である。
【図7】本発明の貼付剤包装構造の例の平面図である。
【図8】本発明の貼付剤包装構造の例の平面図である。
【図9】本発明の貼付剤包装構造の例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施態様を示すが、それらの詳細な説明および特定の例は、例示の目的のみのためのものであることが意図されており、本発明の範囲を限定しない。以下の好ましい実施態様の説明は、単に例示的な性質のものであり、決して本発明、その応用、または用途を限定することが意図されるわけではない。
【0019】
図1Aは、本発明の貼付剤包装構造1の1例の模式的斜視図である。貼付剤包装構造1は、包装体2と、該包装体2の内部に収容された貼付剤3とを含む。貼付剤3は、支持体4の少なくとも片面上に粘着剤層5が積層される。貼付剤使用まで粘着剤層5を保護するために、該粘着剤層上に、剥離ライナー6が好ましくは積層される。
【0020】
図1Bは、好ましい貼付剤の1例の模式的斜視図である。この例では、剥離ライナー6の平面外形が、粘着剤層5および支持体4のそれらを包含するものである。ここにいう「ある外形が他の外形を包含する」なる表現は、ある外形が他の外形を完全に包含する場合のほか、ある外形の一部が他の外形の一部に一致する場合も含むものとする。この例では、剥離ライナー6の周辺部は、粘着剤層5および支持体4の周辺部よりも延出している。それによって、貼付剤3が包装体2内で移動しても、粘着剤層5の周辺部が、包装体2内壁に接触し難いので、貼付剤3が包装体2内壁に付着しがたい。
【0021】
再び図1Aを参照すると、包装体2は、実質的に平面状の第1シート材7と、成形された第2シート材8とを含む。第2シート材8は、包装体2の外側に向かって突出して突出部を形成する第1領域9と、該第1領域9を包囲し、かつ実質的に平面状である第2領域10とを有する。第2領域10は、第1シール領域11および非シール領域12を有する。第1領域9は、貼付剤3の平面外形を包含する平面外形を有する。第2シート材8はこのような形状を有するので、貼付剤3、特にその周辺部は、包装体2の内壁に接触することはあるとしても、外部からの荷重を受けにくいので、貼付剤3の周辺部から粘着剤層成分がはみ出しにくい。万一粘着剤層成分がはみ出したとしても、これが包装体2の内壁に付着しにくい。
【0022】
本明細書では「粘着剤層成分」という表現は、粘着剤層の単一の成分のみならず、粘着剤層の複数の成分、およびそれらの配合物を含むことが意図される。
【0023】
図1Aおよび図1Bでは、包装体および貼付剤の平面外形は、略矩形状(正方形状を含む。以下同じ。)に描かれているが、これに限定されず、略楕円形、略円形、略三角形、略四角形、略五角形状などの略多角形状、無定形状などが挙げられる。資材効率の観点から、略矩形状が好ましい。貼付剤の包装体への収容態様は特に限定されないが、図1Aに示すように、剥離ライナー6が第1シート材7内壁と直面するように収容されることが好ましい。これは、第2シート材8は、所定形状に成形されることから、柔軟である支持体4に、包装体2外部から衝撃が及ぶことを回避し得るためである。
【0024】
貼付剤の目的により、貼付剤および包装体の大きさは異なるが、これらが略矩形状の平面外形を有する場合、それらの大きさの特定の例は、貼付剤の第1辺は約20〜100mmの長さ、第2辺は約20〜100mmの長さの略矩形状であり、その厚さは約30〜400μmである。この特定の例では、包装体の第1辺は約25〜130mmの長さ、第2辺は約25〜130mmの長さの略矩形状である。この特定の例では、包装体の第1領域は、第1辺が約21〜110mmの長さ、第2辺が約21〜110mmの長さの略矩形である。この特定の例では、包装体の第2領域は、約2〜10mmの幅の帯状の形状である。この特定の例では、第1領域は、第2領域よりも約0.5〜2.0mmの高さで突出する。
【0025】
次に、図2は、本発明の貼付剤包装構造の1例を、第2シート材8側から見た模式的平面図である。この例は、特記する事項以外は、図1の例と同様の構成を有する。貼付剤3は、第1領域9内に位置する。第2領域10は、第1領域9を包囲する第1シール領域11と、該第1シール領域11よりも該第2シート材の中央部側に、少なくとも1つの非シール領域12とを有する。非シール領域12の外形のうち、包装体2の中央部側の部位は、第1領域9と第2領域10の境界領域上に近接するか、実質的にその上に位置するのが、開封容易の点で好ましい。
【0026】
ここにいうシール領域11を得るための手段は、第1シート材と第2シート材とがシールされておれば特に限定されず、例えば、ヒートシールなどの融着、接着などで達成される。また、非シール領域12は、第1シート材と第2シート材とがシールされていない。これらは接触していてもしていなくてもよく、また必ずしも密着している必要性はない。第一シート材と第2シート材は非シール領域において好ましくは密着して密着領域を形成する。非シール領域は、図2では略帯状に描かれているが、これに限定されない。非シール領域の幅の例は、前述の特定の例の場合、1.5〜5mmである。ここにいう密着は、第1シート材と第2シート材との距離が貼付剤の厚さより小さいことを意味する。
【0027】
図2を参照すると、本発明の貼付剤包装構造を例えば次のように開封される。使用者は手指等で、包装体の周辺部のいずれかの部位を引き裂き、包装体に、図では破線で示される引き裂き部13を形成させる。十分に本発明の効果を達成するためには、そのような引き裂き部13は、非シール領域12に及ぶことが望ましい。引き裂き部13が、非シール領域12に及ぶことで、引き裂き部13の断面は、非シール領域12において、第1シート材と第2シート材がシールされていない開口部が生成され、好ましくはこの時点で包装体は開封される。もし開口部が小さいならば、必要により手指を該開口部に挿入し、手指により該開口部を拡張させればよい。かくして、包装体は開封され、貼付剤3を取り出すことができる。
【0028】
次に、図3は、本発明の貼付剤包装構造の1例を、第2シート材8側から見た模式的平面図である。この例は、特記する事項以外は、前記の例と同様の構成を有する。この例では、非シール領域12において、少なくとも1つの密着領域14を有する。密着領域14は、単数でもよく、十分に本発明の効果を奏するためには、複数個設けることが好ましい。
【0029】
ここにいう密着領域14は、第1シート材と第2シート材とが、十分近接しておれば足り、必ずしもシールされる必要性はない。密着領域における第1シート材内壁と第2シート材内壁との距離は、貼付剤3の厚さよりも小さい。それによって、貼付剤が包装体内で移動しても、貼付剤の周辺部が第1シート材と第2シート材との空隙に挟み込まれることが抑制されるので、開封の際に、包装体と一緒に貼付剤まで引き裂いてしまう可能性が低減される。密着領域を得るための手段は特に限定されないが、例えば該領域において、第1シート材および/または第2シート材を、それおよび/またはそれらを、互いに直面する方向にわずかに突出させることが挙げられる。この例では、密着領域14の平面形状は楕円形に描かれているが、これに限定されず、さらなる例は後述する。
【0030】
図3を参照すると、この例では、密着領域14は、第1領域9に近接して設けられる。好ましくは、密着領域14の外周のうち、もっとも包装体の中央部側の部位が、この図に示されるように第1領域9と第2領域10との実質的に境界領域上に位置する。こうすることで、貼付剤3が包装体内を移動しても、密着領域14が貼付剤3の周辺部に対するストッパーとして機能し、貼付剤3の周辺部が、非シール部12において第1シート材と第2シート材との空隙に挟み込まれることが効率的に抑制される。
【0031】
次に、図4は、本発明の貼付剤包装構造の1例を、第2シート材側から見た模式的平面図である。この例では、特記する事項以外は、前記の例と同様の構成を有する。この例に図示されるように、密着領域は、すでにシールされてシール領域を形成している。これを、以下第2シール領域15と称する。これは、密着領域がその機能を十分発揮するためにはシールされることが好ましいためである。
【0032】
この例では、包装体の周辺部には、1または2以上の開封開始部位16を有する。この例では、開封開始部位16は、略V字状の包装体の切り欠きとしてに描かれている。切り欠きの平面形状はこれに限定されず、略I字状、略台形状などの略四角形状、略五角形状などの略多角形状であってもよい。使用者は、開封開始部位16を起点として、包装体を容易に引き裂くことが可能となる。開封開始部位は、引き裂き部13が非シール領域12に及ぶように設けられる。
【0033】
切り欠きはその平面形状によって、生成される引き裂き部は方向付けられる。例えば、略V型の切れ目の場合、使用者が特段の意思を働かせない限り、該V字の頂角の略二等分線の延長線上に、引き裂き部は形成されるであろう。あるいは、略I字型の切り欠きの場合、該I字の延長線上に、引き裂き部は同様に形成されるであろう。したがって、切れ目は、そのような線上に、非シール部領域が存在する位置に設けられる。加えて、包装体の外壁上に、生成されるべき引き裂き部の形態をイラストで示したり、貼付剤包装構造に添付される文書に、その旨の指示を記載することができる。
【0034】
次に、図5は、本発明の貼付剤包装構造の1例を、第2シート材側から見た模式的平面図である。この例は、特記する事項以外は、前記の例と同様の構成を有する。この例では、開封開始部位16は略I字状の切り欠きである。この例では、第2領域10は、少なくとも1つの帯状の非シール領域12を有する。この例では、該少なくとも1つの非シール領域あたり、少なくとも1個、好ましくは2以上の第2シール領域15を有する。またこの例では、第1領域9および第2領域10の境界領域が略矩形状であり、当該略矩形の1つの辺に沿って少なくとも1個、好ましくは2以上の第2シール領域15を有する。このように2以上の第2シール領域を、このような略矩形の1つの辺に沿って有することで、貼付剤3が、非シール領域12において第1シート材と第2シート材との間に挟みこまれることが効率的に抑制される。
【0035】
この例では、第2シール領域15はドット状の平面形状を有する。
【0036】
本発明では、第2シール領域15の平面外形は小さいことが好ましく、例えば、第2シール領域15の平面外形は、帯状の非シール領域12を、包装体の中央部側半分と包装体の周辺部側半分とに分割した場合の、包装体の中央部側半分に包含される。使用者が包装体を引き裂いて引き裂き部13を生成させる際に、シールされない領域(すなわち、非シール領域12)を引き裂くほうが、シールされた領域(すなわち、第2シール領域15)を引き裂くよりも、使用者はかける力を少なくて済む。したがって、小さい平面外形の第2シール領域15は、使用者が包装体に容易に引き裂き部を形成できる点で好ましい。
【0037】
また、包装体を引き裂いて引き裂き部13を生成させた後に、使用者が開口部から第2シール領域15を引き剥がす際にも、第2シール領域15の面積が小さいほうが、引き剥がす力が少なくてすむ。ドット状の第2シール領域15は、製造が容易である点において好ましい。
【0038】
次に、図6は、本発明の貼付剤包装構造の1例を、第2シート材側から見た模式的平面図である。この例は、特記する事項以外は、前記の例と同様の構成を有する。この例では、開封開始部位16は、略台形状の切り欠きである。この例では、第2シール領域15は、略三角形状である。略三角形の2つの頂点は、第1シール領域11と非シール領域12との境界領域に近接して、好ましくは実質的にその上に位置し、略三角形の他の1頂点は、第1領域と第2領域との境界領域に近接して、好ましくは実質的にその上に位置する。この例では、生成される引き裂き部13により分割された第2シール領域15のうち、包装体の中央部側部分の面積ほうが、包装体の周辺部側部分の面積よりもより小さい。それによって、該包装体の第2シール領域15の中央部側部分を使用者が引き剥がして、包装体を開封することが容易となる。
【0039】
次に、図7は、本発明の貼付剤包装構造の1例を、第2シート材側から見た模式的平面図である。この例は、特記する事項以外は、前記の例と同様の構成を有する。この例では、開封開始部位16は、略V字状の切り欠きである。この例では、第2シール領域15は、最近接の包装体の辺と垂直方向に設けられた帯状の平面形状を有する。このような平面形状はシール強度が高いので、包装体の密閉性の向上に寄与する。
【0040】
次に、図8は、本発明の貼付剤包装構造の1例を、第2シート材側から見た模式的平面図である。この例は、特記する事項以外は、前記の例と同様の構成を有する。この例では、開封開始部位16は、略五角形状の切り欠きである。この例では、包装体の平面形状は、第1辺およびそれに隣接する第2辺を有する略矩形状である。この例では、第1領域9および第2領域10の境界領域は、第1辺およびそれに隣接する第2辺を有する略矩形状であり、第2領域10は、該第1辺および第2辺それぞれに沿って、非シール領域12を有する。非シール領域12は、該第1辺および第2辺それぞれに沿って、ドット状の平面外形の第2シール領域15を有する。なお、略矩形のその他の辺に沿って非シール領域および第2シール領域を有してもよい。
【0041】
これにより、開封開始部位16から包装体を引き裂いて、引き裂き部13を形成させ、包装体を開封する際に次のような利点がある。第1領域9と第2領域10との略矩形状である境界領域のうち、該第1辺と第2辺に挟まれる1頂点近傍から、第1シート材と第2シート材とを容易に引き剥がすことが可能となる。
【0042】
次に、図9は、本発明の貼付剤包装構造の1例の模式的斜視図である。この例は、特記する事項以外は、前記の例と同様の構成を有する。この例では、第2シート材8が、第1領域9において所定形状に成形されている。当該形状は、包装体2の外側に向かって突出した第1領域9における凸部のうち、その略中央部に包装体2の内側に向かって陥没する凹部17を含むものである。このような凹部17によって、貼付剤3が、包装体2内の厚さ方向に移動することが抑制される。また、包装体内の空間容積が減少するので、貼付剤の安定性が向上する。さらに、このような凹部17によって、図1Bのような貼付剤のように剥離ライナーの外形は、粘着剤層および支持体の外形が包含される外形である。それによって、貼付剤の周辺部が包装体内壁に接触し難いので、粘着剤層成分が、包装体の内壁に付着しがたい。
【0043】
図9を参照すると、略帯状の非シール領域12は、略矩形の包装体2の各辺に設けられる。少なくとも1個、好ましくは2個以上、例えば2〜3個のドット状の第2シール領域15は、各非シール領域12に設けられる。第2シール領域15は、該帯状の非シール領域12を、包装体の中央部側半分と包装体の周辺部側半分とに分割した場合の、包装体の中央部側半分に設けられる。
【0044】
以上のような本発明の貼付剤包装構造において、第1シート材および第2シート材としては、両者をシールすることにより包装体を形成するためにシール可能なものであれば特に限定されない。製造容易の観点からヒートシール可能なものが好ましい。そのような包材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、その他ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリルなどの樹脂フィルム、アルミニウム箔などの金属フィルム、これらにアルミニウム蒸着したもの、これらをラミネートした積層フィルムなどが挙げられる。
【0045】
薬物などの包装体内容物の不透過性およびヒートシール可能性の観点から、そのような包材としては、ポリアクリロニトリルフィルムなどが好ましく、薬物などの包装体内容物の非吸着性の観点から、ポリエステル、とりわけポリエチレンテレフタレートなどが好ましい。包装体内容物(貼付剤成分および包装体内の気体)、光線、外気の不透過性の観点から、アルミニウム蒸着を施したこれらのフィルム、またはアルミニウム箔をラミネートした積層フィルムがより好ましい。上記特性を両立するためには、ポリエステル、とりわけポリエチレンテレフタレートと、ポリアクリロニトリルフィルムとをラミネートした積層フィルムがより好ましく、ポリエステル、とりわけポリエチレンテレフタレートと、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着層と、ポリアクリロニトリルフィルムとをラミネートした積層フィルムがもっとも好ましい。薬物などの包装体内容物の保管安定性の観点からは、乾燥剤を含有する吸湿層の外側に水分不透過層を、内側に水分透過層をラミネートした積層フィルムもまた好ましい。
【0046】
第1シート材と第2シート材の材質・構成は同じでも異なってもよい。第2シート材を成形して成形シート材とする場合は、成形シート材は所定形状に成形される観点から、剛性を有する材質が好ましい。また、第1シート材を、成形せずに略平面状のまま非成形シート材として使用する場合は、第1シート材は、第2シート材と容易にシール可能であり製造容易である観点から、可撓性を有する材質が好ましい。
【0047】
第1シート材の厚みとしては特に限定されないが、製造効率および包装構造に包装される成分の不透過性の観点から、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
【0048】
第2シート材の厚みとしては特に限定されないが、上記した所定形状に成形する必要があるので、ある程度コシがあるほうが好ましく、このような観点からは、好ましくは50〜300μm、より好ましくは、50〜200μmである。
【0049】
成形シート材を上記のように成形する方法としては限定されず、真空・圧空成形、射出成形、プレス成形法などが挙げられ、低コスト性、形状自由度、材料選択性の観点から好ましくは、真空成形法、圧空成形法などが挙げられる。
【0050】
貼付剤はまた、粘着剤層が薬物を含む貼付製剤であってもよい。ここにいう薬物は特に限定されず、ヒトなどの哺乳動物にその皮膚を通して投与し得る、すなわち経皮吸収可能な薬物が好ましい。そのような薬物としては、具体的には、例えば、全身性麻酔薬、催眠・鎮静薬、抗癲癇薬、解熱鎮痛消炎薬、鎮暈薬、精神神経用薬、局所麻酔薬、骨格筋弛緩薬、自律神経用薬、鎮痙薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、強心薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、動脈硬化用薬、循環器用薬、呼吸促進薬、鎮咳去痰薬、ホルモン薬、化膿性疾患用外用薬、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎用薬、寄生性皮膚疾患用薬、止血用薬、痛風治療用薬、糖尿病用薬、抗悪性腫瘍用薬、抗生物質、化学療法薬、麻薬、禁煙補助薬などが挙げられる。
【0051】
薬物の含有量は、その経皮吸収用薬物の効果を満たし、粘着剤の接着特性を損なわない範囲であれば特に限定されないが、例えば0.01〜70重量%、好ましくは粘着剤中に0.1〜60重量%、より好ましくは0.5〜40重量%含有されることが好ましい。0.01重量%より少ないと治療効果が十分でない恐れがあり、70重量%より多いと皮膚刺激発生の可能性がありまた経済的にも不利である恐れがある。
【0052】
粘着剤層は粘着剤を含む。粘着剤としては特に限定されず:アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等のシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸成分とエチレングリコール等の多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤等が挙げられる。
【0053】
このような粘着剤のうち、液状成分を粘着剤層中に保持可能であることで、粘着剤層に皮膚貼付時におけるソフト感を付与できる観点からは、アクリル系粘着剤またはゴム系粘着剤が好ましく、容易に架橋でき多量の液状成分を粘着剤層に保持可能である観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
【0054】
そのようなアクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸C218アルキルエステルを重合成分として含む重合体を主成分とするアクリル酸エステル系粘着剤が挙げられる。そのようなゴム系粘着剤としては、ポリイソブチレン、ポリイソプレンおよびスチレン−ジエン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも一種を主成分とするゴム系粘着剤が挙げられる。
【0055】
液状成分としては、特に限定されず、粘着剤層との相溶性の観点から有機液状成分が好ましく、そのような有機液状成分としては、特に限定されず、経皮吸収促進効果を有するのものが好ましく、そのような有機液状成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、オリーブ油、ヒマシ油、スクアラン、ラノリン等の油脂類、流動パラフィンのような炭化水素類、各種界面活性剤、エトキシ化ステアリルアルコール、オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリド等のグリセリンモノエステル類、グリセリンジエステル類、グリセリントリエステル類またはそれらの混合物、ラウリル酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル等の脂肪酸アルキルエステル類、オレイン酸、カプリル酸等の高級脂肪酸類、その他N−メチルピロリドン、1,3−ブタンジオール等が挙げられる。
【0056】
液状成分が、粘着剤層中に含まれる場合に、貼付剤を保管中に粘着剤層が可塑化し貼付剤の周辺部から粘着剤層成分がはみ出し、または流れ出す可能性があることから、そのような場合に本発明は特に有利に実施される。かかる観点から、粘着剤層中の液状成分の含有量は、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜65重量%、もっとも好ましくは15〜60重量%である。
【0057】
粘着剤層が比較的厚い場合に、貼付剤の周辺部から粘着剤層がはみ出し、または流れ出しやすい傾向にあり、そのような場合に本発明は特に有利に実施される。かかる観点から、粘着剤層厚みは、好ましくは20〜300μm、より好ましくは30〜250μm、もっとも好ましくは50〜200μmである。
【0058】
上記した本発明の説明は、単に例示的な性質のものであり、かくして本発明の要旨から離れないその変形態様は、本発明の範囲内であるべきことが意図される。そのような変形態様は、本発明の精神および範囲から離れるものとしてみなされるべきではない。
【0059】
本発明を、構成要素が参照用の数字を有する、添付の図面に言及することによってより詳細に説明する。
【符号の説明】
【0060】
1 貼付剤包装構造
2 包装体
3 貼付剤
4 支持体
5 粘着剤層
6 剥離ライナー
7 第1シート材
8 第2シート材
9 第1領域
10 第2領域
11 第1シール領域
12 非シール領域
13 引き裂き部
14 密着領域
15 第2シール領域
16 開封開始部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体と、該包装体の内部に収容された貼付剤とを含む、貼付剤包装構造であって、
該包装体は、実質的に平面状の第1シート材と、成形された第2シート材とを含み、
該第2シート材は、包装体の外側に向かって突出する第1領域と、該第1領域を包囲し、かつ実質的に平面状である第2領域とを有し、
ここで、該第1領域は、貼付剤の平面外形を包含する平面外形を有し、
該第2領域は、該第1領域を包囲する第1シール領域と、該第1シール領域よりも該第2シート材の中央部側に、非シール領域とを有する、
貼付剤包装構造。
【請求項2】
第2シート材は、該非シール領域に、第1シート材と密着する密着領域を有する、請求項1記載の貼付剤包装構造。
【請求項3】
該密着領域は、第2シール領域である、請求項2記載の貼付剤包装構造。
【請求項4】
該包装体は周辺部に開封開始部位を有し、かつ
該切れ目は、該開封開始部位を起点として、使用者が包装体を引き裂いた場合に、包装体に引き裂き部が形成され、該引き裂き部は該非シール領域に及ぶ位置に設けられる、
請求項3記載の貼付剤包装構造。
【請求項5】
該第2シール領域は、ドット状の平面形状である、請求項3記載の貼付剤包装構造。
【請求項6】
該第2シール領域は、帯状の平面形状である、請求項3記載の貼付剤包装構造。
【請求項7】
該第2シール領域は、略三角形状の平面形状である、請求項3記載の貼付剤包装構造。
【請求項8】
該第1領域と第2領域の間の境界領域は、第1辺および該第1辺に隣接する第2辺を有する略矩形状であり、該第2領域は該第1辺に沿って延在する非シール領域を有し、該非シール領域は2以上の第2シール領域を有する、請求項3記載の貼付剤包装構造。
【請求項9】
該第1領域と第2領域の間の境界領域は、第1辺および該第1辺に隣接する第2辺を有する略矩形状であり、該第2領域は該第1辺および第2辺のそれぞれに沿って延在する非シール領域を有し、該非シール領域のそれぞれは、2以上の第2シール領域を有する、請求項3記載の貼付剤包装構造。
【請求項10】
請求項1〜9いずれかに記載の貼付剤は、薬物を含む貼付製剤である、貼付製剤包装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−208846(P2009−208846A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16368(P2009−16368)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】