説明

赤外線発生装置

【課題】放熱板の歪みや亀裂を抑制できる赤外線発生装置を提供する。
【解決手段】赤外線発生装置10は、前方に開放部12aを有し、チャンバ12を形成するためのシェル12sと、チャンバ12の内部に空気を導入するためのファン13と、ファン13からチャンバ12に導入される空気の少なくとも一部を利用して燃料を燃焼させるバーナー20と、シェル12sの開放部12aを覆うように設けられた多孔性の放熱板30とを備える。放熱板30に、複数の孔34と少なくとも1つのスリット35とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を放射する赤外線発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、液体燃料燃焼式赤外線発生装置が開示されている。この赤外線発生装置では、燃焼筒の後部に、ノズル噴霧式バーナーが装着されている。また、この赤外線発生装置では、燃焼筒の前面に、多数の孔がほぼ均一に穿孔された穿孔金属板が装着されている。この種の赤外線発生装置は、燃焼筒内(チャンバ内、燃焼室)において液体燃料を燃焼させ、穿孔金属板(放熱板)の前面から赤外線を放射する。
【特許文献1】特開平5−322120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
赤外線発生装置が備える放熱板においては、成型時の歪み、輻射熱を含む種々の要因に起因する変形によって、応力が発生する。近年、赤外線発生装置としては、小型で高出力のものが求められているが、このような赤外線発生装置においては、放熱板の熱変形量がより大きくなる。したがって、発生する応力もより大きくなる。このため、赤外線発生装置の小型化および/または高出力化がさらに進むと、使用時(オン時)の熱応力や、オン・オフの繰り返し応力などにより、放熱板に、比較的高温となりやすい領域を中心として、形状に変化が生じたり、場合によっては、変形の繰り返しによる金属疲労(熱疲労)によって亀裂(クラック)が生じることが懸念される。
【0004】
また、放熱板として、中央部が前方に凸に湾曲しているとともに、周囲が外側に折り曲げられてチャンバを形成するための部材(シェル)に固定される取付部(取り付け領域、縁部、固定部)となっているようなものがある。このような放熱板は、例えば、プレス加工などによって形成される(プレス成形される)際に、周辺の取付部およびその近傍の変形量が大きく、加工時の残留応力が比較的除去されにくい。さらに、周辺は、強度が確保される形状になっているために熱応力も集中しやすい。さらに、放熱板の周囲は、取付部として、材料あるいは加熱条件が異なるシェルの前端部にネジなどにより固定される。したがって、放熱板の周囲およびその近傍は、他の領域と比べて大きな応力が発生しやすく、歪みや亀裂が発生しやすい部分である。しかしながら、従来、放熱板の周囲は、中央に比べると高温になりにくい構造であり、熱疲労の影響が顕著に表れるケースは少なかった。赤外線発生装置が小型高出力となったり、放熱板全体を高温化できる構造になると、放熱板の周辺およびその近傍など、従来の放熱板では問題にならなかった部分に、歪みや亀裂が生じるおそれがある。
【0005】
一方、放熱板には、燃焼ガスの放出量(燃焼ガスが放出される際の差圧)を適切に調整するための所定の大きさおよび数の多孔を設ける必要があり、それによっても放熱板の強度が影響を受ける可能性がある。したがって、これらの多孔に対する影響が小さく、放熱板の種々の場所において、歪みや亀裂を未然に抑制できる、放熱板およびこれを備えた赤外線発生装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、赤外線発生装置であって、前方に開放部を有し、チャンバを形成するためのシェルと、チャンバの内部に空気を導入するためのファンと、ファンからチャンバに導入される空気の少なくとも一部を利用して燃料を燃焼させるバーナーと、シェルの開放部を覆うように設けられた多孔性の放熱板とを備える。この赤外線発生装置では、放熱板に、複数の孔と少なくとも1つのスリットとが形成されている。
【0007】
この赤外線発生装置では、バーナーにより噴霧あるいは気化させた液体燃料をチャンバ内(燃焼筒内、燃焼室)において燃焼させ、輻射熱および加熱された燃焼ガスとの接触により放熱板を加熱して、放熱板から前方に赤外線を放射する。この赤外線発生装置において、放熱板の複数の孔は、チャンバからの燃焼ガスの放出量(燃焼ガスが放出される際の差圧)を適切に調整するために機能し、放熱板の温度を制御するためにも機能する。
【0008】
この赤外線発生装置において、放熱板には、複数の孔の他に、少なくとも1つのスリットが形成されている。放熱板の少なくとも1つのスリットは、チャンバからの燃焼ガスの放出量を調整することを主要な目的としたものではなく、熱変形を吸収し(熱変形を阻害するのではなく)、熱変形による応力の発生を抑制することを目的としたものである。複数の孔が形成されている放熱板において、熱変形による応力が発生しやすい部分にスリットを形成することにより、その周辺の熱変形による応力の発生を抑制することができる。
【0009】
略円形、略楕円形などのチャンバからの燃焼ガスの放出量を調整することを主要な目的とした孔では、熱変形による応力の発生を抑制でき難いだけではなく、孔径を大きくしたり、開口率を増やすと、燃焼ガスの通過量が増え、放熱板の温度が上がり、熱変形による応力が増加する要因になる可能性がある。一方、孔径を小さくしたり、開口率を減らすと、放熱板の温度上昇は抑えられる可能性があるが、熱膨張する放熱部分の非開口部の面積(板本体の面積)が増えることになるので、応力が貯まりやすく、歪みなどが発生しやすい。放熱板に、燃焼ガスの放出量を調整することを主要な目的とした孔と、燃焼ガスの放出量を調整することを主要な目的としないスリットとを設けることで、放熱板の形状や、複数の孔の位置、大きさ、数などを比較的自由にアレンジでき、それに伴い発生する可能性が増大する熱応力の発生を抑制できる。
【0010】
この赤外線発生装置において、放熱板の少なくとも1つのスリットは、チャンバを形成するためのシェルとの取付部の近傍に設けることが好ましい。赤外線発生装置において、放熱板の、シェルとの取付部およびその近傍は、熱応力が発生しやすい部分となる。放熱板のスリットを、シェルとの取付部の近傍に設けることにより、放熱板の取付部の近傍の温度を上昇させても、放熱板のシェルとの取付部の近傍における亀裂の発生を抑制できる。したがって、放熱板の全面の温度をより均等に高温にして、放熱板からの赤外線発生効率を向上できる。
【0011】
放熱板のスリットは、放熱板の最も高温となる部分を中心として、放射状に設けてもよい。あるいは、放熱板のスリットは、放熱板の最も高温となる部分を中心とする同心円に沿って設けてもよい。いずれの場合も、放熱板の最も高温となる部分の熱変形による応力の発生を抑制できる。したがって、放熱板の最も高温となる部分の孔径を小さくしたり、開口率を減らして、非開口部の面積を増やしても歪みを抑制できる。また、放熱板の周辺温度を上げられるので、その結果、放熱板の赤外線放出効率を向上できる。
【0012】
この赤外線発生装置において、放熱板の孔は、略円形、略楕円形、略長円形、多角形など、種々の形状とすることができる。また、放熱板のスリットは、レーザーカットなどによる切り込みや、細長い隙間(スロット状の細長い開口)あるいはアスペクト比が比較的大きな細長い長円(燃焼ガスの放出量を適切に調整するための孔よりもアスペクト比が大きな細長い長円)などとすることができる。
【0013】
放熱板のスリットは、チャンバからの燃焼ガスの放出量を調整することを主要な目的としたものではない。このため、スリットが燃焼ガスの放出量を過剰に増大させたり、スリットの周辺が赤熱化することは、あまり好ましいことではない。したがって、スリットの幅を、そのスリットの周辺の孔の幅(径)よりも小さくすることが好ましい。本発明の赤外線発生装置の一形態は、放熱板の孔が、略円形の孔および/または略楕円形の孔であり、放熱板のスリットが、切り込みおよび/または細長い隙間であり、放熱板のスリットの幅が、そのスリットの周辺の放熱板の孔の直径または短径よりも小さいものである。
【0014】
この赤外線発生装置において、放熱板の複数の孔は、段階的あるいは連続的に、大きさ(例えば孔径)が変化しているものであることが好ましい。放熱板の製作上および/または加工上は、放熱板の複数の孔は、段階的に大きさ(例えば孔径)が変化していることが望ましい。また、放熱板は、前方に湾曲したものが多く、プレス加工が施される。放熱板の製作において、プレス加工の前に孔をあけておくことが可能であるが、この場合には、プレス加工により複数の孔が変形することがある。例えば、プレス加工の前に略円形の孔をあけておいた場合には、複数の孔は、最終製品においては略楕円形の孔となる場合がある。
【0015】
また、この赤外線発生装置によれば、放熱板の強度が比較的小さい部分であっても、所定の位置にスリットを形成しておけば、熱変形に起因する歪みや亀裂の発生を抑制できる。このため、放熱板の形状、複数の孔の位置、大きさ、数などを比較的自由にアレンジできる。
【0016】
例えば、バーナーの種類やチャンバの形状・大きさなどによっては、放熱板の最も高温となる部分が、上下方向において中心よりも上側、左右方向において略中央に位置する場合がある。バーナーとしてロータリーバーナーを用いた場合、放熱板の最も高温となる部分は、上下方向において中心よりも上側、左右方向において略中央に位置する。このような場合、放熱板の少なくとも一部の領域、例えば、最も高温となる部分を含む領域(主要領域)においては、放熱板の複数の孔を、上下方向においては下側から上側に向かうに従って小さく、左右方向においては中心に向かうに従って小さくすることが好ましく、放熱板のスリットの幅を、放熱板の複数の孔のうちのもっとも小さい孔の直径または短径よりも小さくすることが好ましい。放熱板の複数の孔を、上下方向においては下側から上側に向かうに従って小さく、左右方向においては中心に向かうに従って小さくすることにより、放熱板の最も高温となる部分が、上下方向において中心よりも上側、左右方向において略中央に位置する場合において、放熱板から前方に赤外線を均一に放射する(赤熱部を均一に形成する)ことができる。このようなアレンジとしても、スリットを設けることにより、熱変形による歪みや亀裂を抑制できる。また、放熱板のスリットの幅を、放熱板の複数の孔のうちのもっとも小さい孔の直径または短径よりも小さくすることにより、スリットの周辺における赤熱化を防止することができる。
【0017】
この赤外線発生装置によれば、バーナーとして、種々のバーナーを用いることができる。本発明の赤外線発生装置の一例は、ガンタイプバーナー(ノズル噴霧式バーナー)を採用したものであり、この赤外線発生装置では、ガンタイプバーナーから液体燃料を噴霧し、チャンバ内において液体燃料を燃焼させ、放熱板から前方に赤外線を放射する。本発明の赤外線発生装置の他の例は、バーナーとして、ロータリーバーナーを採用したものである。ロータリーバーナーは、回転気化筒、筒状の燃焼盤、および、燃焼盤との間にガス室を形成するための燃焼外筒が、内側からこの順序で配置されている。この赤外線発生装置では、液体燃料を回転気化筒で気化させ、ファンから供給される燃焼空気とともに混合ガスとしてガス室を介して燃焼盤から吹出させて燃焼させ、放熱板から前方に赤外線を放射する。
【0018】
本発明の他の態様は、赤外線発生装置に設けられる放熱板である。この放熱板には、複数の孔と少なくとも1つのスリットとが形成されている。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、上記のような赤外線発生装置と、液体燃料を溜めるための燃料タンクとを有する赤外線暖房装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる赤外線ヒータ(赤外線暖房装置)を正面図により示している。図2は、図1の赤外線ヒータを側面図により示している。図3は、図1の赤外線ヒータを一部断面にして示している。なお、以下の図において、上方を矢印Xにより示している。
【0021】
図1および図2に示すように、赤外線ヒータ1は、赤外線発生装置10と、赤外線発生装置10を収納するハウジング(外装)2と、ハウジング2の下方に配置された燃料タンク11と、ハウジング2および燃料タンク11を支持するフレーム3と、フレーム3に設けられた車輪4aおよび脚部4bとを有する。ハウジング2は、旋回軸6を介して上下(上方Xおよび反対側)に旋回(回動)するようにフレーム3に支持されている。このため、赤外線発生装置10は、軸線(チャンバの中心を通る線、ロータリーバーナー20の回転気化筒の軸線(回転軸)、図3参照)Lが略水平となる姿勢と、軸線Lが上側を向くように傾斜する姿勢との間で、上下に旋回(回動)可能となっている。また、フレーム3は、取手5を有している。この赤外線ヒータ1は、取手(ハンドル)5を持ち上げることにより、車輪4aを利用し、任意の場所に移動でき、取手(ハンドル)5を離すと、脚部4bがストッパとなり、その場所に設置できる。
【0022】
ハウジング2の内部に収納された赤外線発生装置10は、前方が後方よりも広がり、前方に開放部12aを有し、ほぼ角錐台状のチャンバ12を構成するための金属製(たとえば、耐熱性ステンレススチール製)のシェル12sと、チャンバ12の後方に、このチャンバ12と近接して設けられた(配置された)ファン13と、チャンバ12の後方であって、チャンバ12とファン13との間に設けられた(配置された)バーナー20と、チャンバ12の前方に、シェル12sの開放部12aを覆うように設けられた(配置された)多孔性の放熱板(穿孔金属板、金属板、パネル、放熱パネル)30とを備えている。放熱板30は、例えば、耐熱性を有するステンレススチール製である。
【0023】
シェル12sにより、チャンバ12は、前側に向かって大きくなるように開いた形状に形成されている。シェル12sの内側には断熱材17が配置され、チャンバ12の外周は、断熱材の壁(断熱壁)17により形成されている。なお、チャンバ12は、角錐台状に限らず、円錐台状、円筒形状、角筒形状などであってもよい。また、断熱材はシェル12sの外側に配置されていても良い。バーナー20の好適な例は、ロータリーバーナー(回転霧化式バーナー)である。バーナー20は、チャンバ12の後方の収容筒15に収納されており、そのさらに後方に、ファン13およびモータ14を収容するファンカバー16が配置されている。モータ14は、ファン13を回転させるためのものである。バーナー20がロータリーバーナーの場合、モータ14は、ファン13を回転させる手段と、ロータリーバーナー20が備える回転気化筒を回転させる手段とを兼ねる。
【0024】
ハウジング2の前方、すなわち、放熱板30の前方には、安全ガード7が取り付けられている。また、ハウジング2の上部には、ハウジング2の内部を換気するためのサーキュレータ65が取り付けられている。換気用の空気Aは、ハウジング2の下部に設けられた吸引口61および62から吸い込まれ、ハウジング2の上部に設けられた放出口63から放出される。ハウジング2の内部を換気することにより、ハウジング2の内部温度が極端に上昇するのを抑止できる。それとともに、加熱された換気用の空気Aをハウジング2の前面から放出することにより、放熱板30から放出される赤外線とともに室内を暖房することができる。
【0025】
ハウジング2の後方には、ハウジング2の内部を前後に区切るように、遮熱板66が配置されている。遮熱板66の前方には、チャンバ12と収容筒15に収納(収容)されたロータリーバーナー20とが設けられ、遮熱板66の後方には、ファンカバー16に収納されたファン13とモータ14とが設けられている。したがって、本例では、ロータリーバーナー20の後方にモータ14が設けられ、モータ14の後方にファン13が設けられている。ロータリーバーナー20を収納した収容筒15と、ファン13およびモータ14を収納したファンカバー16とは、遮熱板66の前後にそれぞれ取り付けられている。遮熱板66の前方は、発熱する部分が収納された区画であり、換気用の空気Aによりハウジング2の前方の区画を換気している。遮熱板66によりハウジング2の前後を区切り、ハウジング2の後方の温度上昇を抑制することにより、ハウジング2の後方へ熱が放出されたり、ファン13およびモータ14が熱膨張(熱変形)の影響を受けるのを抑制できる。
【0026】
図4は、図1の赤外線ヒータの概略構成を断面図(端面図)により示している。この赤外線ヒータ1の赤外線発生装置10が備えるロータリーバーナー20は、筒状の回転気化筒21と、筒状の燃焼盤22と、筒状の燃焼外筒23とを含み、これらは内側(回転中心)からこの順序で配置されている。回転気化筒21は、前側に壁(端壁、底壁、前壁)21aを有する有底円筒状(カップ状)の部材である。回転気化筒21の端壁21aの内側には、回転気化筒21に液体燃料Fを導くための略円錐形状の拡散体24が設けられている。拡散体24は、回転気化筒21と一体となってモータ14により回転する。燃焼盤22は、後側に壁(端壁、底壁、後壁)22aを有する有底円筒状の部材である。端壁22aは環状で、中央には開口22bが設けられており、この開口22bと面するように回転気化筒21が設けられている。この開口22bの縁と、回転気化筒21との隙間は、起動時などにおいて気化されない燃料が噴霧される燃料飛散孔(隙間)25となる。
【0027】
燃焼盤22の外側に配置された燃焼外筒23もまた、後側に壁(端壁、底壁、後壁)23aを有する有底円筒状の部材であって、燃焼盤22よりも一回り大きく形成されている。端壁23aは環状で、中央に開口23bが設けられているとともに、この開口23bの縁から、回転気化筒21の内側に向かって、隔壁23cが立ち上がっている。隔壁23cの内側が、ファン13から燃焼空気を回転気化筒21に供給するための空間となる。
【0028】
このロータリーバーナー20の燃焼盤22は、複数の孔(開口、多孔、炎孔)22cが千鳥状に配置された多孔の部材である。燃焼盤22と燃焼外筒23との間が、回転気化筒21により気化した液体燃料と、燃焼空気とが混合された混合ガスを、燃焼盤22の多孔22cから吹き出すためのガス室26となる。
【0029】
ロータリーバーナー20は、燃料パイプ41を介して、燃料タンク11と接続され、パイプ41の途中には、ポンプ42が設けられている。ポンプ42を駆動させることにより、燃料タンク11から供給された液体燃料Fは、燃料パイプ41を介して回転気化筒21の拡散体24に吹き付けられる。モータ14により、回転気化筒21と一体に拡散体24を回転させると、液体燃料Fが遠心力により、拡散体24の内面に薄膜状に広がりながら、蒸発する(気化する)。そして、蒸発した液体燃料Fは、まず、燃料飛散孔25から吹き出されて燃焼する。次に、気化した液体燃料Fは、ファン13から供給される燃焼空気(図4の矢印Y参照)と混合してガス状となり、ガス室26を介して燃焼盤22の多孔22cから混合ガスBとして吹出され、燃焼盤22の近傍で燃焼する。
【0030】
燃焼盤22の内側には、フレームロッド18と、着火用の点火棒(電極)19とが配置されている。点火するときは、回転気化筒21に設けられた燃料飛散孔25から放出された燃料が、点火棒19によって着火される。そして、燃焼盤22の近傍で燃焼が起き、チャンバ12の内部が加熱されると、回転気化筒21の拡散体24で気化した液体燃料Fと燃焼空気とが混合した混合ガスBが得られ、燃焼が継続される。
【0031】
放熱板30は、中央部が前方に膨らむように(凸に)湾曲しており、全体として前側に張り出すような湾曲形状に形成されている。この赤外線発生装置10では、燃料タンク11から供給された液体燃料Fを気化した混合ガスBを、ロータリーバーナー20の燃焼盤22で環状に燃焼させ、その燃焼により発生した熱(主には、輻射熱および燃焼ガスによる熱伝達)で放熱板30を加熱する。燃焼により発生した燃焼ガスは、チャンバ12を介して多孔状の放熱板30を加熱し、さらに、放熱板30の複数の孔34を通って前方に放出される。この赤外線発生装置10においては、放出される燃焼ガスによる放熱もあるが、混合ガスBの燃焼により得られる熱エネルギーは、主に放熱板30から前方に放射される赤外線として外部に放出される。
【0032】
この赤外線発生装置10は、ロータリーバーナー(回転霧化式バーナー)20を備えており、バーナー20内で液体燃料Fを気化させて吹き出し、燃焼させる。このため、ロータリーバーナー20における燃焼は、気化が進んだ混合ガスBの燃焼による青火燃焼となり、燃焼効率が良い。また、混合ガスBは、筒状の燃焼盤22から環状に吹き出され、青火も環状に形成される。さらに、この赤外線発生装置10によれば、混合ガスBは短い距離で完全燃焼する。このため、放熱板30とロータリーバーナー20との距離を近づけることができる。したがって、この赤外線発生装置10によれば、燃焼効率の良いロータリーバーナー20により、チャンバ12の前面の放熱板30を効率的に加熱できる。したがって、この赤外線発生装置10によれば、少ない燃料量でより多くの赤外線を放出できるため、赤外線ヒータ1に好適であり、暖かい赤外線ヒータ1を提供できる。しかも、液体燃料Fをバーナー内部で気化した後に吹き出して燃焼するロータリーバーナー20は、運転音も比較的小さい。
【0033】
また、図4に示すように、本例の赤外線発生装置10では、ロータリーバーナー20を収容筒15に収納し、燃焼外筒23と収容筒15との間に、ファン13により供給される空気の一部が冷却空気Dとして流れるようにしている。燃焼外筒23と収容筒15との間に、ファン13により供給される空気の一部を冷却空気Dとして流すことにより、ガス室26の外側の燃焼外筒23を介してガス室26を冷却し、ガス室26の温度が上がり過ぎることを抑制することができる。このようにすることにより、燃焼盤22と燃焼外筒23との間のガス室26内に炎が入り込む、いわゆるバック燃焼を抑制することができる。
【0034】
また、ハウジング2は、上述のように、ロータリーバーナー20が備える回転気化筒21の軸線Lが略水平となる姿勢と、回転気化筒21の軸線Lが上側を向くように傾斜する姿勢との間で旋回(回動)可能となるように、旋回軸6を介して、フレーム3に支持されている。ハウジング2を上下に旋回することにより、放熱板30の向きを上下に調整することができる。
【0035】
燃焼盤22の下側後方および燃焼外筒23の下側後方に、それぞれ、残留した液体燃料Fをドレンとして排出するための手段が設けられている。具体的には、燃焼盤22とその端壁22aとのコーナー部および燃焼外筒23とその端壁23aとのコーナー部に、それぞれ、排出経路となるドレン孔51および52が設けられている。また、収容筒15には、孔52と対向する位置に、ドレン配管53が設けられている。ドレン配管53は、パイプ(チューブ)54を介して、燃料タンク11と連通されている。赤外線ヒータ1が、回転気化筒21の軸線Lが略水平となる姿勢で使用する場合であっても、また、回転気化筒21の軸線Lが上側を向くように傾斜する姿勢で使用する場合であっても、燃焼盤22の下側後方および燃焼外筒23の下側後方から、ロータリーバーナー20に残留した液体燃料Fを燃料タンク11に戻すことができる。このため、ロータリーバーナー20の内部、特に、燃焼盤22の下側および燃焼外筒23の下側に液体燃料がドレンとして溜まり難く、点火時、消火時、点火ミス時などに、ドレンまたその気化成分が未燃分として放出されたり、ドレンがモータ軸などを介してロータリーバーナー20の後方に滲み出したりすることを抑制できる。この赤外線ヒータ1においては、上向き30度まで傾けることができるようになっている。
【0036】
図5は、赤外線発生装置10が備える放熱板30の一例を正面図により示している。図6は、図5の放熱板の一部を横断面、他の部分を上面図(平面図)により示している。図6は、図5中のVI-VI線に沿って切断して示す図である。図7は、図5の放熱板の一部を縦断面、他の部分を側面図により示している。図7は、図5中のVII-VII線に沿って切断して示す図である。
【0037】
放熱板30は、放熱部(赤外線放射部、放熱領域、放熱部分)31と、この放熱部31を囲む取付部(縁部、取付領域、取付部分)32とを含んでいる。放熱部31は、赤外線を放射(放熱)させるために用いられる部位であり、中心軸が水平に置かれた円筒部材の一部をなすように、上下方向において中央部が前方に膨らむように(凸に)湾曲している(図6および図7参照)。取付部32は、放熱板30をシェル12sの開口部12aの前端部12b(図3参照)にネジ止めするために用いられる部位であり、放熱部31の周囲を外側に折り返し、枠のように放熱部31を支持する形状を有している。取付部32には、下部32aに2つ、上部32bに2つ、左側部32cおよび右側部32dにそれぞれ1つずつ、それぞれネジ孔33が設けられている。
【0038】
本例の赤外線発生装置10の放熱板30は、縦約390mm、横約500mmの放熱部31を備え、放熱部31の中央部の縦約360mm、横約425mmの領域に、略円形および/または略楕円形の複数の孔34が形成されている。放熱部31には、複数の孔34の他に、複数の細長い隙間のようなスリット35が形成されている。スリット35は、幅1〜3mm程度、長さ10〜30mm程度とすることが好ましい。放熱板30は、複数の孔34と複数のスリット35とを形成(孔あけ)した後、上下方向(上方Xおよび反対側)において中央部が前方に膨らむようにプレス成形することにより形成されている。この放熱板30では、プレス加工の前に、孔34となる円形の孔をあけている。このため、プレス成形後においては、孔34が略楕円形となっている場合がある。スリット35は、プレス成形前あるいは後にレーザーカットで形成してもよい。
【0039】
複数の孔34は、孔径および配置密度(開口率)を変えることにより、放熱部31の場所によりチャンバ12内の圧力と外界との圧力差(放出される際の差圧)を制御し、放熱部31の燃焼ガスの放出量を適切に調整するためのものである。本例では、バーナー20として、ロータリーバーナーを用いている。この場合、放熱板30の最も高温となる部分C2は、放熱板30の中央C1(軸線Lと放熱板30との交点)よりも上側に位置する。より具体的には、放熱板30の最も高温となる部分C2は、上下方向において中心よりも上側(X方向)、左右方向において略中央に位置する。
【0040】
このため、放熱板30に設けられた、略円形または若干扁平な略楕円形の複数の孔34の大きさを段階的に変化させ、放熱部31の温度をできるだけ均一にして、放熱部31から前方へ放射される赤外線の強度を均一に近づけようとしている。具体的には、放熱板30の放熱部31のうち、左端近傍、右端近傍、下端近傍を除くほぼ全域において、複数の孔34を、上下方向においては下側から上側(X方向)に向かうに従って、特に、下側から中心に向かうに従って段階的に孔径が小さく、左右方向においては中心に向かうに従って段階的に孔径が小さくなるようにしている。上下方向においては下側から上側(X方向)に向かうに従って段階的に孔径が小さく、左右方向においては中心に向かうに従って段階的に孔径が小さくなるように、複数の孔34を形成すると、放熱部31の左端近傍、右端近傍、下端近傍の領域においては、比較的孔径の大きな孔34が形成されることになる。放熱板30の周辺部の強度を高めるために、左端、右端、下端の数列分、本例では、2列分の孔は、中央側の隣り合う孔よりも、孔径を小さくしている。
【0041】
詳しくは、放熱板30に設けられた複数の孔34は、3種類の大きさに分類される。1番小さな第1の孔34aは、直径(短径)が2.8mmであり、最も高温となる部分C2を中心とする同心円(仮想円)に沿うように、合計約384個、形成されている。また、1番小さな第1の孔34aは、さらに、最も外側の同心円(仮想円)よりも上側(X方向)の領域に、約80個、形成されている。2番目に小さな第2の孔34bは、直径(短径)が5.2mmであり、孔34aが形成されている領域の左側および右側と、左端近傍、右端近傍、下端近傍の2列に、合計約227個、形成されている。3番目に小さな第3の孔(最も大きな孔)34cは、直径(短径)が6.2mmであり、孔34bが形成されている領域の左側および右側に、合計約306個、形成されている。すなわち、孔34cが形成されている領域は、孔34bが形成されている領域に囲まれている。したがって、上述したように、この放熱板30の複数の孔34は、そのほとんどの領域において、上下方向においては、下側から上側(X方向)に向かうに従って、孔径が小さくなっており、左右方向においては、中心に向かうに従って、孔径が小さくなっている。
【0042】
上記のような複数の径に孔を分布した放熱板30を採用すると、赤熱部は上下左右に、多孔状の領域にほぼ均等に広がり、放熱板30の温度が高くなる面積を拡大できる。この放熱板30を備えた赤外線発生装置10によれば、燃焼盤22の近傍の燃焼により生成される高温の熱風(燃焼ガス)が、チャンバ12の上方に偏り、放熱板の上方を集中的に加熱し、その結果、赤熱領域が限定されて赤外線の発生量が増加しないような不具合が発生することを抑制できる。すなわち、このような径の異なる孔が分布した放熱板30は、燃焼ガスの放出量(放出される際の差圧)を適切に調整でき、燃焼ガスの放出が放熱板30の周囲で多く、中心部で少なく、さらに上部で少ない状態にできると考えられる。その結果、チャンバ12内において、高温の燃焼ガスが上方に偏在することを抑制し、高温の燃焼ガスの分布を平均化し、放熱板30の周囲の加熱を促進することができ、放熱板30から前方に赤外線を均一に放射すること(赤熱部を均一に形成すること)ができる。
【0043】
また、このような放熱板30では、最も高温となる部分C2およびその近傍は、他の部分と比べて熱変形量が大きい。さらに、上記のような孔34の配置を採用することにより、孔34の開口率は減り、放熱部31の非開口部分(放熱板本体、耐熱ステンレススチール板の部分)の面積が増えており、熱変形により発生した歪みや、繰り返される熱変形による弛みなどが目立つ状態になる。したがって、熱変形を吸収し、応力の発生を抑制するために、最も高温となる部分C2の近傍にスリット35を形成している。
【0044】
具体的には、例えば幅2mm、長さ22.5mmの第1のスリット35aを、合計28本、放熱板30の最も高温となる部分C2を中心として、放射状に形成している。第1のスリット35aは、上下方向(部分C2を通る水平方向Yを基準とした角度(以下においても同様)で90°の位置と270°の位置とを結ぶ方向)においては、最も高温となる中心C2を挟んで、上側に3本、下側に3本、形成されており、左右方向(180°の位置と0°の位置とを結ぶ方向)においては、最も高温となる中心C2を挟んで、左側に3本、右側に3本、形成されている。また、斜め方向においては、最も高温となる中心C2を挟んで、放射状に、2本ずつ形成されている。すなわち、第1のスリット35aは、斜め方向においては、30°の方向、60°の方向、120°の方向、150°の方向、210°の方向、240°の方向、300°の方向、330°の方向に沿うように、2本ずつ形成されている。
【0045】
さらに、例えば幅2mm、長さ15.0mmの第2のスリット35bが、30°の方向、60°の方向、120°の方向、150°の方向、210°の方向、240°の方向、300°の方向、330°の方向に沿うように、第1のスリット35aの外側に1本ずつ、合計8本、形成されている。スリット35(スリット35aおよびスリット35b)により、その周囲の金属(放熱部31の非開口部分、放熱板本体)は、熱膨張/収縮しやすくなり、熱変形による応力は発生しにくくなる。スリット35により、放熱板30の、最も高温となる部分C2およびその近傍の熱変形による応力の発生が抑制されるため、使用時に放熱板30が高温になったり、オン・オフが繰り返されたりしても、この部分に歪みや亀裂が発生することが抑制される。
【0046】
また、この放熱板30は、プレス加工により、放熱部31の周囲が外側に折り曲げられて、縁状の取付部(取り付け領域、縁部、固定部)32となっている。このため、取付部32およびその近傍では、加工時の残留応力が比較的多い。また、放熱板30は、取付部32においてシェル12sにネジ止めされるため、取付部32は、固定端となる。したがって、スリットが無いと、取付部32の近傍では、熱変形が阻害されるため、他の領域と比べて大きなストレスがかかりやすい。特に、本例の放熱板30では、放熱部31の全域の温度が上がるようになっているので、周辺の取付部32の温度も上がりやすく、その部分が固定されていると、熱応力が高くなりやすい。
【0047】
さらに、放熱部31の温度を均一化するために、取付部32の下側の部分32aの近傍に形成されている放熱部の孔34(孔34bおよび34c)は径が大きく、開口率が高い。特に、反対側の取付部32の上側の部分32bの近傍に比較すると、上側近傍に形成されている孔34(主として孔34a)は小さく、開口率も低く、強度が高いのに対し、取付部32の下側の部分32aの近傍は、強度が低く、熱応力が高いと、亀裂(材料破断)が発生しやすい。
【0048】
本例の放熱板30では、放熱部31の下側であって、取付部32の下側の部分32aの近傍、より具体的には、ネジ孔33よりも若干中心寄りの部分に、その周囲の孔34bおよび34cの径よりも小さい幅の、例えば幅2mm、長さ22.5mmの第3のスリット35cが、上下方向に延びるように、2本形成されている。これらのスリット35(スリット35c)により、取付部32の下側の部分32aの近傍の熱変形による応力の発生が抑制されるため、使用時に放熱板30が高温になったり、オン・オフが繰り返されたりしても、この部分に歪みや亀裂が発生することが抑制される。
【0049】
図8に、放熱板30の他の例を示している。この例では、第1〜第3のスリット35a〜35cに加え、円弧状の第4のスリット35dを、放熱板30の最も高温となる部分を中心C2とする同心円(仮想円)に沿って形成している。スリット35dは、最も高温となる中心C2近傍の熱変形を吸収するため、この場合には、スリット35aおよび35bは、省略できる可能性がある。なお、放熱板30に設けられるスリットは、同心円に沿って形成された円弧状のものだけであっても良い。
【0050】
以上のように、この赤外線発生装置10によれば、放熱板30に、孔34に加えて、スリット35を形成している。このため、歪みや亀裂が生じ難く、放熱板30の孔34のパターンを、比較的自由に設定できる。したがって、放熱板30の孔34のパターンを上述のようにアレンジすることにより、放熱板30の全体の温度を上げ、放熱板30から前方に放射される赤外線の強度を放熱部の全域にわたり均一化することができる。特に、ロータリーバーナー20を採用し、ロータリーバーナー20と放熱板30とが対面したような構成の赤外線発生装置10においては、燃焼ガスの分布が左右対称になりやすく、上述したような比較的簡単な孔34のパターンを採用でき、そのような孔パターンを備えた放熱板30は外観に優れ、見栄えも良い。したがって、このような放熱板30は、ロータリーバーナー20を採用した赤外線発生装置10に好適である。さらに、ロータリーバーナー20を採用することにより、燃焼効率が高く、しかも、運転音の小さい、赤外線発生装置10を提供できる。また、この赤外線発生装置10を採用することにより、少ない燃焼量でより暖かく、しかも、運転音が比較的小さい赤外線ヒータ1を提供できる。
【0051】
図9は、本発明の第2の実施形態にかかる赤外線ヒータ(赤外線暖房装置)の概略構成を断面図(端面図)により示している。なお、図9は、上方から見た図であり、放熱板30が設けられている方向が前側である。
【0052】
この赤外線ヒータ1が備える赤外線発生装置10では、チャンバ12を形成するシェル12sの側部に開口部12cが設けられており、バーナー70は、この開口部12cからチャンバ12内(燃焼室)に露出するように、チャンバ12の側方に設けられている。バーナー70としては、例えば、ノズル噴霧式バーナー、いわゆるガンタイプのバーナーを用いることができる。なお、図9中の符号19aはイグナイタであり、符号43は燃料フィルタである。他の構成は、第1の実施形態と同じであるから、重複する説明は、図面に同符号を付して省略する。本発明の赤外線ヒータ、赤外線発生装置、放熱板は、図9のように、チャンバ12の側方にバーナー70を設けたもの、バーナー70として、ガンタイプのバーナーを用いたものにも適用可能である。すなわち、図5ないし図7に示したような放熱板30は、チャンバ12の側方にバーナー70を設けた赤外線発生装置、バーナー70として、ガンタイプのバーナーを用いた赤外線発生装置にも適用可能である。なお、チャンバ12の側方にバーナー70を設けた赤外線発生装置、バーナー70として、ガンタイプのバーナーを用いた赤外線発生装置の場合、放熱板30の孔34は、同じ大きさの孔を所定のピッチで形成してもよい。このようにしても、放熱板30から前方に赤外線をほぼ均一に放射する(赤熱部をほぼ均一に形成する)ことができる。
【0053】
本発明の赤外線発生装置は、大量の赤外線を安価に放出できるので、室内外の暖房を主な目的として、ヒータに好適に用いることができるが、用途はヒータに限定されるものではない。本発明の赤外線発生装置は、他の用途、例えば、加熱あるいは乾燥を目的とした装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる赤外線ヒータを示す正面図。
【図2】図1の赤外線ヒータを示す側面図。
【図3】図1の赤外線ヒータを一部断面にして示す側面図。
【図4】図1の赤外線ヒータの概略構成を示す図。
【図5】放熱板の一例を示す正面図。
【図6】図5の放熱板を一部断面にして示す上面図。
【図7】図5の放熱板を一部断面にして示す側面図。
【図8】放熱板の他の例を示す正面図。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかる赤外線ヒータの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0055】
1 赤外線ヒータ(赤外線暖房装置)、 10 赤外線発生装置
11 燃料タンク、 12 チャンバ、 12s シェル
12a シェルの開放部、 13 ファン
20 ロータリーバーナー(バーナー)、 21 回転気化筒
22 燃焼盤、 23 燃焼外筒、 26 ガス室
30 放熱板、 32 取付部
34 放熱板の孔、 35 放熱板のスリット
70 ガンタイプバーナー(バーナー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開放部を有し、チャンバを形成するためのシェルと、
前記チャンバの内部に空気を導入するためのファンと、
前記ファンから前記チャンバに導入される空気の少なくとも一部を利用して燃料を燃焼させるバーナーと、
前記シェルの開放部を覆うように設けられた多孔性の放熱板とを備え、
前記放熱板に、複数の孔と少なくとも1つのスリットとが形成されている、赤外線発生装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記放熱板は、前記シェルに取り付けられており、
前記放熱板のスリットは、前記シェルとの取付部の近傍に設けられている、赤外線発生装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記放熱板のスリットは、前記放熱板の最も高温となる部分を中心として、放射状に設けられている、赤外線発生装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記放熱板のスリットは、前記放熱板の最も高温となる部分を中心とする同心円に沿って設けられている、赤外線発生装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記放熱板の孔は、略円形の孔および/または略楕円形の孔であり、
前記放熱板のスリットは、切り込みおよび/または細長い隙間であり、
前記放熱板のスリットの幅は、そのスリットの周辺の前記放熱板の孔の直径または短径よりも小さい、赤外線発生装置。
【請求項6】
請求項5において、前記放熱板の複数の孔は、段階的に大きさが変化している、赤外線発生装置。
【請求項7】
請求項6において、前記放熱板の少なくとも一部の領域においては、前記放熱板の複数の孔は、上下方向においては下側から上側に向かうに従って小さく、左右方向においては中心に向かうに従って小さくなっており、
前記放熱板のスリットの幅は、前記放熱板の複数の孔のうちのもっとも小さい孔の直径または短径よりも小さい、赤外線発生装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記バーナーは、ロータリーバーナーであり、
前記ロータリーバーナーは、回転気化筒、筒状の燃焼盤、および、前記燃焼盤との間にガス室を形成するための燃焼外筒が、内側からこの順序で配置されており、
液体燃料を前記回転気化筒で気化させ、前記ファンから供給される燃焼空気とともに混合ガスとして前記ガス室を介して前記燃焼盤から吹出させて燃焼させ、前記放熱板は前方に赤外線を放射する、赤外線発生装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の赤外線発生装置と、液体燃料を溜めるための燃料タンクとを有する、赤外線暖房装置。
【請求項10】
赤外線発生装置に設けられる放熱板であって、複数の孔と少なくとも1つのスリットとが形成されている、放熱板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−2621(P2009−2621A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165981(P2007−165981)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)