説明

走査ビーム装置により取得される画像におけるノイズの減少

走査ビーム装置により取得された画像におけるノイズを減少させるための方法及び装置が開示される。代表的な方法は、変速度での走査により表面全体にわたって光ビームを走査することを含むことができる。表面から後方散乱された光は、走査中の異なる時点において実質的に一定の割合で検出することができる。各々が表面の画像における異なる位置に対応する検出光のグループのノイズ減少表現を生成することができる。ノイズ減少表現は、複数の異なるサイズを有するグループについて生成することができる。表面の画像は、画像における異なる位置を対応するグループのノイズ減少表現で表わすことにより、生成することができる。他の方法及び装置が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、走査ビーム画像取得に関する。具体的には、本発明は、走査ビーム画像取得を通して取得される画像のノイズを減少させることに関する。
【背景技術】
【0002】
走査ビーム装置は、当該技術分野において知られている。1つの種類の走査ビーム装置は、走査ファイバ装置である。走査ファイバ装置は、一次元又は二次元で振動及び走査することができる単一の片持ち光ファイバを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
走査ビーム装置を用いて、目標領域の画像を取得することができる。幾つかの場合においては、取得された画像は、画像ノイズ又は最適ではない画質を有する。取得された画像のノイズを減少させる及び/又は画質を改善することが望ましい場合が多い。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明の実施形態による例示的な走査ビームシステムのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による走査ファイバ装置の特定の例の断面側面図である。
【図3】本発明の実施形態による、渦巻状走査において片持光ファイバを走査するために、図2に示されるものと同様な走査ファイバ装置の電極に印加されるように動作可能な、例示的な一対のアクチュエータ駆動信号を示す。
【図4】第1の共振モードにおいて動作される片持ち光ファイバの例示的な共振ゲイン特性のグラフである。
【図5】本発明の実施形態による、片持ち光ファイバが変速度(例えば、定周波)で走査され、後方散乱光が実質的に一定の割合でサンプリングされた場合に、渦巻状走査の中心付近でオーバーサンプリングが生じる場合があることを概念的に示す。
【図6】本発明の実施形態による、走査ビーム装置により取得された画質を改善する方法のブロックフロー図である。
【図7】本発明の1つ又はそれ以上の実施形態による、低域通過フィルタの例示的な周波数応答特性を示すボード線図である。
【図8】本発明の実施形態によるノイズ減少ユニットを有するベースステーションのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、以下の説明及び本発明の実施形態を示すのに用いられる添付の図面を参照することにより最良に理解することができる。
以下の説明において、非常に多くの特定の詳細が述べられる。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施できることが理解される。他の場合においては、本説明の理解を曖昧にしないように、周知の回路、構造、及び技術は詳細には示されていない。
【0006】
図1は、本発明の実施形態による例示的な走査ビームシステム100のブロック図である。
本発明の種々の実施形態において、走査ビームシステムは、走査ビーム内視鏡若しくは走査ファイバ内視鏡、ボロスコープ、マイクロスコープ、他の種類のスコープ、バーコードリーダ、又は、当該技術分野において知られる他の走査ビーム若しくは走査ファイバ画像取得装置の形態を取ることができる。既知のように、内視鏡は、患者の中に挿入されて、体腔、管腔内の画像を取得するか又は患者の中の画像を取得する装置を表わす。適切な種類の内視鏡の例として、幾つか例を挙げると、気管支鏡、結腸鏡、胃鏡、十二指腸内視鏡、S字結腸鏡、胸腔鏡、尿管鏡、洞鏡、ボロスコープ、及び胸腔鏡が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0007】
走査ビームシステムは、ベースステーション102と走査ビーム装置120とを含む2つの部分のフォームファクタを有するが、こうした2つの部分のフォームファクタは必ずしも必要とされない。走査ビーム装置は、1つ又はそれ以上のケーブル126を通して電気的かつ光学的にベースステーションに結合される。具体的には、ベースステーションは、走査ビーム装置の対応する接続器又は結合器122を接続又は結合することを可能にするインターフェース108を有する。
【0008】
本説明及び特許請求の範囲において、用語「結合される」及び「接続される」がその派生語と共に用いられる。これらの用語は、互いに同義語として意図されてはいないことを理解すべきである。むしろ、「接続される」は、2つ又はそれ以上の要素が互いに物理的又は電気的に直接接触している状態にあることを示すのに用いることができる。「結合される」は、2つ又はそれ以上の要素が物理的又は電気的に直接接触している状態にあることを意味する場合もある。しかしながら、「結合される」はさらに、2つ又はそれ以上の要素が互いに直接接触している状態にはないが、例えば、1つ又はそれ以上の介在する構成要素を通して、依然として互いに協働又は相互作用できることを意味する場合がある。
【0009】
ベースステーションは、光源104を含む。光源は、インターフェースと光学的に結合され、インターフェースを通して光を走査ビーム装置に与える。1つ又はそれ以上のケーブルは、光を受信及び伝送するための1つ又はそれ以上の光路128を含むことができる。適切な光源の例は、レーザー、レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザー、発光ダイオード(LED)、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の種々の例示的な実施形態においては、光源は、赤色光源、青色光源、緑色光源、赤緑青(RGB)色光源、白色光源、赤外光源、紫外光源、又はこれらの組み合わせを含むことができる。幾つかの場合において、光源はさらに、治療用高輝度レーザー光源を含むことができる。実装状態に応じて、光源は、光の連続ストリーム、変調光、又は光パルスのストリームを放射することができる。
【0010】
ベースステーションはさらに、アクチュエータドライバ106を含む。アクチュエータドライバは、インターフェースと電気的に結合され、本明細書においてはアクチュエータ駆動信号と呼ばれる電圧又は他の電気信号を、インターフェースを通して走査ビーム装置に与える。1つ又はそれ以上のケーブルは、アクチュエータ駆動信号を受信及び伝送する1つ又はそれ以上のアクチュエータ駆動信号経路124を含むことができる。アクチュエータドライバは、ハードウェア(例えば、回路)、ソフトウェア(例えば、ルーチン又はプログラム)又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実装することができる。一例として、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、アクチュエータドライバは、アクチュエータ駆動信号値を与えることができる、メモリ内に格納された1つ又はそれ以上のルックアップテーブル又は他のデータ構造を含むことができる。アクチュエータ駆動信号値は、例えば、Richard S.Jonstonによる「REMAPPING METHODS TO REDUCE DISTORTIONS IN IMAGES」という発明の名称の米国特許出願番号20060072843号に説明されるような較正に基づいて、潜在的に調整することができる。別の例として、アクチュエータドライバは、コンピュータ、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は、リアルタイムでアクチュエータ駆動信号値を生成するための他の回路を含むことができる。この値は、デジタルとすることができ、アクチュエータドライバのデジタル・アナログ変換器に与えることができる。アクチュエータドライバの1つ又はそれ以上の増幅器は、アナログ形式のアクチュエータ駆動信号を増幅することができる。これらは、適切なアクチュエータドライバの幾つかの例示に過ぎない。
【0011】
走査ビーム装置120は、アクチュエータ132と走査光学要素134とを含む。アクチュエータは、アクチュエータ駆動信号を受信することができる。アクチュエータは、受信したアクチュエータ駆動信号に基づいて及びこれに応答して、走査光学要素を振動させるか、そうでなければ作動させるか又は移動させることができる。本発明の実施形態においては、アクチュエータ駆動信号は、アクチュエータに二次元走査により走査光学要素を作動させるように機能することができる。適切な二次元走査の例として、渦巻状走査、プロペラ走査、リサージュ走査、円形走査、楕円形走査、ラスタ走査等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
走査光学要素は、光を光源から受け取ることができる。作動した走査光学要素は、1つ又はそれ以上のレンズ138を通して光ビームを走査し、走査表面142上において合焦ビーム140又は照明スポットを走査することができる。図においては、渦巻状走査144が示されており、ドットは、特定の時点における合焦ビーム又は照明スポットの位置を示す。しかしながら、本発明は、渦巻状走査に限定されるものではない。
【0013】
示されるように、適切な走査光学要素の一例は、単一の片持ち光ファイバの自由端部である。片持ち光ファイバの自由端部のために適したアクチュエータの一例は圧電管であり、これを通して光ファイバが挿入される。他のアクチュエータ管を代わりに用いることもできる。片持ち光ファイバの自由端部が走査の際に振動又は移動する間、片持ち光ファイバの遠位端又は先端部136から光を放射することができる。代替的には、別の例として、走査ビーム装置は、鏡又は他の反射装置と、ビームを走査するように反射装置を移動させる微小電子機械システム(MEMS)又は他のアクチュエータとを含むことができる。さらに他の走査ビーム装置は、ガルバノメータ、互いに対して移動する複数の光学要素等、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
走査ビームシステムを用いて画像を生成することができる。画像の生成は、表面の画像の取得を含むことができる。表面の画像の取得においては、走査ビーム装置は、走査の際に任意のレンズシステムを通して、表面全体にわたってビーム又は照明スポットを走査することができる。表面から後方散乱される光は、走査中の異なる時点で収集及び検出することができる。画像は、画像における異なるピクセル又は他の位置を、走査中の対応する異なる時点において検出された光で表わすことによって、生成することができる。
【0015】
後方散乱光を収集するための異なる方法が可能である。図示されるように、走査ビーム装置からの後方散乱光を収集し、ベースステーションの1つ又はそれ以上の任意の光検出器110に伝送するために、必要に応じて1つ又はそれ以上の光ファイバ又は他の後方散乱光路130を含むこともできる。代替的には、走査ビーム装置は、後方散乱光を検出するために、必要に応じて、例えばその遠位先端部の近くに1つ又はそれ以上の光検出器を含むことができる。これらの光検出器により検出される後方散乱光は、ベースステーションに返送することができる。
【0016】
図示されるように、ベースステーションは、画像生成ユニット112を含むことができる。画像生成ユニットは、検出光を表わす電気信号を受信することができる。画像生成ユニットは、画像における異なるピクセル又は他の位置を、走査中の対応する異なる時点において検出された光で表わすことにより、表面の画像を生成することができる。ベースステーションは、必要に応じて、画像を表示するための表示装置114を含むことができる。代替的には、表示装置は、ベースステーションと外部結合することができる。
【0017】
幾つかの場合においては、取得された画像は、画像ノイズ又は最適ではない画質を有する。様々な潜在的なノイズ源が存在する。一般には、一部のノイズは、システムにおける種々の回路(例えば、アクチュエータドライバ、画像生成ユニット等のうちの1つ又はそれ以上を実装するのに用いられる回路)と関連する電気的ノイズによりもたらされることがある。別の一般的なノイズ源は、ショットノイズである。ショットノイズは、光検出器により検出された後方散乱光の光子の到達時間の統計的変動によるノイズを表わすことがある。これらは例示に過ぎない。本発明の実施形態によると、画質の向上に役立つように画像ノイズを減少させることが可能である。
【0018】
説明を曖昧にしないように、単純化されたシステムが示され説明される。ベースステーションに含むことができる他の代表的な構成要素は、電源、ユーザインターフェース、メモリ等を含むが、これらに限定されるものではない。さらに、ベースステーションは、クロック、増幅器、デジタル・アナログ変換器、アナログ・デジタル変換器等のサポート構成要素を含むことができる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態による、走査ファイバ装置220の特定の例の側断面図である。この特定の走査ファイバ装置は、内視鏡又は他の比較的小型の装置として用いるのに適切であるが、他の実装形態においては、設計及び/又は動作は大幅に異なってよい。
【0020】
走査ファイバ装置は、ハウジング246を含む。1つ又はそれ以上の実施形態においては、ハウジングは、比較的小型であり、密封することができる。例えば、ハウジングは、通常は管状であり、直径が約5ミリメートル(mm)又はそれより小さく、長さが約20mm又はそれより短いものとすることができる。幾つかの実施形態においては、直径は、約1.5mm又はそれより小さく、長さは約12mm又はそれより短いものとすることができる。ハウジングは、典型的には、1つ又は複数のレンズ238を含むことができる。適切なレンズの例として、Pentax Corporationにより製造されたレンズを含むが、必要に応じて他のレンズを用いることもできる。
【0021】
図示されるように、ビーム又は照明スポットからの後方散乱光を収集し、例えばベースステーションに配置される1つ又はそれ以上の光検出器に返送するために、必要に応じてハウジングの外周に1つ又はそれ以上の光ファイバ230を含むことができる。代替的には、走査ファイバ装置の遠位先端部に又はその付近に、1つ又はそれ以上の光検出器を含むことができる。
【0022】
アクチュエータの1つの可能な種類である圧電管232は、ハウジング内に含まれる。本発明の1つ又はそれ以上の実施形態において、圧電管は、PZT 5A材料を含むことができるが、これは必ずしも必要とされない。適切な圧電管は、ニュージャージー州フェアフィールドのMorgan Technical Ceramics Sales、カナダ、オンタリオ州コリングウッドのSensor Technology Ltd、及びマサチューセッツ州オーバーンのPI(Physik Instrumente)L.P.を含むがこれらに限定されない幾つかの企業から市販されている。圧電管は、きつく嵌まった取り付けカラー248のほぼ円筒形の開口部を通して挿入することができる。取り付けカラーを用いて、圧電管をハウジングに取り付けることができる。他の構成も可能である。
【0023】
光ファイバ228の一部は、圧電管におけるほぼ円筒形の開口部を通して挿入される。片持ち光ファイバの自由端部分234は、ハウジング内の圧電管の端部を越えて延び、例えば接着剤により、圧電管の端部に取り付けることができる。他の構成も可能である。片持ち光ファイバは可撓性であり、圧電管により作動させることができる。破線は、移動中の片持ち光ファイバの別の位置を示すために用いられる。
【0024】
圧電管は、その上に電極250を有する。ワイヤ又は他の導電性経路224が電極と電気的に結合され、アクチュエータ駆動信号を電極に伝送する。図示されるように、本発明の1つの例示的な実施形態においては、圧電管は、その外面に4つの金属象限電極を有することができる。4つの導電性経路のそれぞれは、4つの電極にはんだ付けされてもよいし、別の方法で4つの電極と電気的に結合されてもよい。1つ又はそれ以上の実施形態においては、任意の接地電極を圧電管の内面上に含むことができる。
【0025】
アクチュエータ駆動信号を受信したことに応答して、電極は、電界を圧電管に加えることができる。電界によって、圧電管が光ファイバを作動させることができる。4つの象限電極は、又は2つの電極だけでも、片持ち光ファイバを二次元走査で移動させることが可能である。一例として、片持ち光ファイバを渦巻状走査で移動させるために、周波数が等しく、振幅が増大する、位相がずれた正弦波のアクチュエータ駆動信号を、電極に印加することができる。
【0026】
図3は、本発明の実施形態による、片持ち光ファイバを渦巻状走査344で走査するために、図2に示される走査ファイバ装置と同様な走査ファイバ装置の電極に印加されるように機能する、例示的な一組のアクチュエータ駆動信号323、325を示す。
【0027】
一組の駆動信号は、垂直アクチュエータ駆動信号323と水平アクチュエータ駆動信号325とを含む。アクチュエータ駆動信号は、正弦波であり、ピークが繰り返されるパターンを有する。単位時間当たりのピークの数が、信号の周波数である。図示されるアクチュエータ駆動信号は、等しくかつ一定の周波数を有する。
【0028】
ピークの高さは、アクチュエータ駆動信号の振幅である。振幅は、アクチュエータ駆動信号の電圧に対応する。アクチュエータ駆動信号の振幅は、時間とともに増大することに留意されたい。渦巻状走査の直径は、アクチュエータ駆動信号の振幅が増大するのに伴って大きくなる。最大直径は、一般に、最大振幅に相当する。
【0029】
一例として、垂直アクチュエータ駆動信号は(y=a1(t)sin(wt+θ))、水平アクチュエータ駆動信号は(z=a2(t)cos(wt))とすることができ、ここでa1(t)及びa2(t)は、時間の関数として潜在的に変化する可能性のある異なる振幅又は電圧であり、wは2πfであり、fは周波数であり、tは時間であり、θは位相シフトである。典型的には、水平及び垂直アクチュエータ駆動信号は、サイン及びコサインであるため約90°位相がずれている。実際のシステムにおいては、位相の差が90°の位相ずれではない場合があり、この差は位相シフトθで調整することができる。
【0030】
1つ又はそれ以上の実施形態においては、アクチュエータ駆動信号の周波数及び/又は片持ち光ファイバの作動周波数は、共振周波数付近における片持ち光ファイバのゲイン特性に基づくものとすることができる。図4は、第1の共振モードで動作する際の共振周波数付近における片持ち光ファイバの例示的なゲイン特性のグラフである。片持ち光ファイバの振動数が水平軸上にプロットされ、片持ち光ファイバの自由遠位端の変位すなわちたわみが垂直軸上にプロットされる。
【0031】
変位は、機械共振周波数又は振動共振周波数の付近で増大し、ここでピークになる。これは、片持ち光ファイバの共振周波数付近においてゲインが増大するためである。図においては、変位は、周波数に対して相対的なガウス依存を有し、共振周波数で最大の変位が生じる。実際上は、こうしたガウス依存から大きく逸脱する場合がある。
【0032】
光ファイバは種々の周波数で振動させることが可能であるが、1つ又はそれ以上の実施形態においては、光ファイバは、共振周波数で若しくはその近く、例えば共振周波数のQ因子内で、又は、共振周波数の高調波で若しくはその近くで、光ファイバを振動させることができる。既知のように、Q因子は、共振ゲイン曲線の幅に対するその曲線の高さの比率である。共振周波数近くでゲインが増大するために、共振周波数又はその近くで光ファイバを振動させることは、所与の変位を実現するため又は所与の走査を行うために必要なエネルギー量又はアクチュエータ駆動信号の大きさを減少させるのに役立つことになる。
【0033】
既知のように、速度は、移動の速さ、すなわち、時間変化当たりの位置変化である。本発明の実施形態において、光のビームは、変速度で表面全体にわたって走査することができる。例えば、片持ち光ファイバの単位時間当たりの回転数(すなわち周波数)が一定である場合には、片持ち光ファイバの速度は、(1回転当たりに移動する「円周」がより大きい)渦巻の外径の方向より、(1回転当たりに移動する「円周」がより小さい)渦巻の中心付近で、著しく小さいことになる。すなわち、ファイバ及び/又はビームの速度は、渦巻状走査の中心から距離が大きくなるのに伴って増加することになる。図3のアクチュエータ駆動信号は一定の周波数を有していたことを思い出されたい。
【0034】
さらに、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、表面から後方散乱された光は、実質的に一定の割合でサンプリング及び検出することができる。後方散乱光が実質的に一定の割合で検出される場合には、後方散乱光は、高速走査部分(例えば、渦巻の外径の方向)より低速走査部分(例えば、渦巻の中心付近)において、単位長さ当たり著しく多くの点で検出することができる。
【0035】
図5は、本発明の実施形態による、片持ち光ファイバが変速度(例えば、一定の周波数)で走査され、後方散乱光が実質的に一定の割合でサンプリングされた場合に、渦巻状走査の中心付近でオーバーサンプリングが生じる場合があることを概念的に示す。図において、ドットは、均等に間隔が空いた時点において、後方散乱光がサンプリング又は検出された位置を概念的に表すのに用いられる。渦巻の外径の方向より中心付近において、渦巻の単位長さ当たり、より多くのドット又はサンプリング位置があることに留意されたい。図を簡単にするために、幾つかのドットのみを図示して概念を示している。実際上は、中心又は中心付近における単位長さ当たりのサンプリング位置の数は、外径における単位長さ当たりのサンプリング位置の数の数十倍又は数百倍であるが、これは、サンプリングレート、渦巻のサイズ、及び/又は他の要因によって決まるものとすることができる。
【0036】
幾つかの場合においては、後方散乱光が検出されるサンプリングレートは、最速の走査部分の間に所望の画像解像度が得られるように選択することができる。従って、最速の走査部分(例えば、渦巻の最大直径)においては、光が検出される位置又は時点の各々は、画像のピクセル又は他の個別の位置と1対1対応を持つことができる。対照的に、より低速の走査部分(例えば、渦巻の中心付近)においては、光が検出される複数の異なる位置又は時点のグループは、画像の同じピクセルに対応することがある。画像解像度の高さは、単純に、より低速の走査部分の間に光が検出されたオーバーサンプリング位置又は時点の全てを表すのに十分ではないことがある。従って、光が検出される位置又は点の間には、1対1関係ではなく、複数対1又は多数対1の関係が存在することがある。換言すれば、光が検出された位置又は点のグループが同じピクセルに対応する場合がある。
【0037】
1つの手法において、これらのオーバーサンプリングされた点又は位置は、その各々を画像に表すことができないため、単に廃棄されることがある。しかしながら、これらのオーバーサンプリングされた点又は位置の全てを廃棄することにより、測定情報が本質的に無駄になる。さらに、個々に取られた点又は位置の各々は、一定量の不正確さ又はノイズを有する傾向がある。前に説明されたように、こうした不正確さ又はノイズは、走査ビームシステムで取得される画質を低下させる傾向がある。
【0038】
図6は、本発明の実施形態による、走査ビーム装置により取得された画質を改善する方法660のブロックフロー図である。本方法は、検出された光の余分な点又はオーバーサンプリングされた点を使用してノイズ及びエイリアシングを減少させることにより、画質の改善を可能にする。
【0039】
本方法は、ブロック661において、走査表面全体にわたって変速度で光のビームを走査するステップを含む。これは、前述されたように行うことができる。
【0040】
ブロック662において、表面から反射又は後方散乱された光は、走査中の異なる時点で検出することができる。これは、前述されたように行うことができる。本明細書に用いられるときには、後方散乱光の検出は、必ずしも後方散乱されたわけではない周辺光又は他の光が後方散乱光と共に検出光に含まれることがある可能性を含むことを意図するが、こうした周辺光の量は一般に比較的小さいものである。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態においては、光は、走査全体を通して実質的に一定の割合で検出することができるが、これは必ずしも必要とされるものではない。本明細書に用いられるときには、「実質的に一定の割合で」検出されるとは、変化が10%未満の割合で検出されることを意味する。多くの場合、割合の変化は5%未満である。こうした場合、光は、画像のより高速の領域よりも、画像のより低速の領域において、画像の単位領域当たり、より多くの点又は位置で検出することができる。
【0042】
ブロック664において、各々が表面の画像における異なる位置に対応する検出光のグループのノイズ減少表現を生成することができる。このグループのノイズ減少表現は、ノイズがない場合には、グループ内の検出光の個々のどの値よりも、検出光の実際の値又は真の値を表わす可能性がより高いものとすることができる。
【0043】
本発明の実施形態においては、ノイズ減少表現は、複数の異なるサイズを有するグループについて生成することができる。すなわち、グループは、異なる数の時点で検出された光を有することができる。本明細書で用いられるときには、「グループ」は、走査中の2又はそれ以上の異なる時点で検出された光を含む。幾つかの場合においては、グループは、10、100、又はそれ以上の異なる時点で検出された光を含むことがある。
【0044】
本発明の実施形態においては、ビームが変速度で走査されたとき、及び光が実質的に一定の割合で検出されたときには、速度が相対的に低速の場合は相対的に大きいグループについてノイズ減少表現を生成することができるが、速度が相対的に高速の場合は相対的に小さいグループについてノイズ減少表現を生成することができる。例えば、渦巻状走査の場合においては、相対的に大きいグループは、渦巻の中心方向の(例えば、較正によってビームが存在すると予測される又は定められる)同じピクセル又は画像位置に対応することができるが、相対的に小さいグループは、渦巻の外周方向の同じピクセル又は画像位置に対応することができる。別の例として、ラスタ走査の場合においては、相対的に大きいグループは、より低速であるラスタ走査の外縁方向の同じピクセルに対応することができるが、相対的に小さいグループは、より高速であるラスタ走査の中心方向の同じピクセルに対応することができる。
【0045】
別の例として、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、相対的に大きいグループは、走査の際に相対的により頻繁に横切られるピクセルに対応することができるが、相対的に小さいグループは、あまり頻繁に横切られないピクセルに対応することができる。例えば、プロペラ走査においては、ビームは、各ループにおいて中心を2度通過し、走査中に複数又は多数のループが存在する場合がある。その結果、中心付近のピクセル上をビームが複数回横切る又は通ることになる。一般に、ピクセルが中心に近ければ近いほど、走査の際にビームはより頻繁にピクセル上を通る。従って、こうしたプロペラ走査においては、相対的に大きいグループは、頻繁に通過される中心付近のピクセルに対応することができ、相対的に小さいグループは、あまり頻繁に通過されない中心から離れたピクセルに対応することができる。ビームは、走査の末端の方向より走査の中心付近でより速く移動することにも留意されたい。従って、幾つかの場合においては、中心付近の同じ点の上をビームが複数回通過するという事実は、結果的に、相対的に大きいグループが走査の相対的に高速の部分における同じピクセルに対応するが、相対的に小さいグループは走査の相対的に低速の部分における同じピクセルに対応することになる。
【0046】
ブロック664において、表面の画像は、画像における異なるピクセル又は他の位置を対応するグループのノイズ減少表現で表わすことにより、生成することができる。1つ又はそれ以上の実施形態においては、異なるグループのノイズ減少表現は、それぞれのグループについてビームの予測される又は理想的なピクセル又は位置に配置されるか、そのピクセル又は位置において表わすことができる。代替的に、画像の歪みの減少に役立つように、1つ又はそれ以上の実施形態においては、異なるグループのノイズ減少表現は、それぞれのグループについて較正されたピクセル又は位置に配置されるか、そのピクセル又は位置において表わすことができる。後者の手法についてのさらなる詳細は、Richard S.Jonstonによる「REMAPPING METHODS TO REDUCE DISTORTIONS IN IMAGES」という表題の米国特許出願20060072843号に説明される。
【0047】
特定の方法が説明されたが、本発明の範囲は、この特定の方法に限定されるものではない。特定の操作を本方法に加える及び/又は本方法から除くことができ、及び/又は、特定の操作を必要に応じて異なる順番で及び/又は少なくとも部分的に同時に実行することができる。例えば、画像を最後に生成するのではなく、走査全体にわたって検出光がフィルタ処理されたときに画像を生成することができる。多数の修正及び適応を本方法に行うことができ、またこれが想定される。
【0048】
ここで、ノイズ減少表現を生成するための異なる可能な方法がある。本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、グループの各々に対して、単一の値を計算、算出、処理、又は別の方法により生成することができる。単一の値は、各々の対応するグループ内の潜在的に等しくない検出光の値を「集約する」ことができる。潜在的に等しくない値を「集約する」ことは、値の中のノイズ又は差を重視しない又は減少させながら、潜在的に等しくない値の中で共通するものの一般的な重要性を表現する、又は、共通するものを明らかにすることができる。単一の値は、ソフトウェア(例えば、命令)、ハードウェア(例えば、回路)、ファームウェア(例えば、ハードウェア上に埋め込まれたソフトウェア)、又はこれらの組み合わせにおいて算出するか又は別の方法により生成することができる。
【0049】
グループ内の潜在的に等しくない値のグループを集約し、そのグループ内のノイズを減少させる適切な単一の値の一例は、算術平均である。算術平均は、時には、単に平均又は平均値と呼ばれる。算術平均又は平均値は、グループ内の検出光の幾つかの値を互いに加算し、この合計を、互いに加算した値の数で除算することにより、生成することができる。最初に加算を行い、次に除算を行ってもよいし、又は代替的に、最初に各値に対して除算を行い、次に加算を行ってもよい。
【0050】
一般に、ノイズはあるが有限の測定値が与えられると、測定値に系統誤差又はバイアスがないのであれば、変数の測定値の数が大きくなればなるほど、算術平均又は平均値は、変数の真の値をより良好に推定する。換言すれば、平均値は、相対的に大きいグループについてはノイズを相対的に多く減少させることが可能である一方、相対的に小さいグループについては、ノイズの減少が相対的に少ない。すなわち、画像の異なる領域又は部分に対して、異なる量の平均化又はノイズ減少を行うことができる。
【0051】
しかしながら、算術平均又は平均値の使用は必ずしも必要とされない。好適な多数の異なる種類の集約基準がある。潜在的に異なる値のグループを集約し、そのグループ内のノイズを減少させる好適な単一の値の他の例は、重み付け平均値、移動平均値、他の種類の平均値、他の種類の平均、中央値、極値間の中間点、相対的に中央の点、中間値、モード等、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。これらは幾つかの例示に過ぎない。他の例が当業者には明らかであり、本開示の利点を有する。
【0052】
本発明の実施形態による、各々のグループ内の検出光のノイズ減少表現を生成するための別の手法は、各々のグループ内の検出光をフィルタ処理することを含むことができる。ノイズは、多くの場合、信号スペクトルの相対的に高い周波数範囲、すなわち対象となる基本の測定値より高い周波数にある。従って、これらの高い又は最も高い周波数をフィルタ処理又は除去することにより、ノイズの減少に役立つ場合がある。
【0053】
本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、各々のグループ内の検出光は、低域通過フィルタを通過させることができる。低域通過フィルタは、入力された検出光のサンプルのうちカットオフ周波数より下の周波数を通し、入力された検出光のサンプルのうちカットオフ周波数より上の周波数を減衰させる(すなわち、除去する又は少なくとも減少させる)ように機能することができる。従って、こうした低域通過フィルタは、これらの相対的に高い周波数を減少又は減衰させる一方で、より低い周波数を通すことにより、ノイズの減少に役立つ場合がある。1つ又はそれ以上の実施形態においては、カットオフ周波数は、データ回線速度又はピクセル横断速度に基づくものとすることができる。
【0054】
図7は、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態による、低域通過フィルタの例示的な周波数応答特性を示すボード線図である。対数目盛の水平軸上に周波数がプロットされ、垂直軸上にゲインがプロットされる。
【0055】
カットオフ周波数が示される。本プロットは、カットオフ周波数より下の周波数については実質的に水平の線を有する。これは、低域通過フィルタが、カットオフ周波数より低い入力周波数を通すことを示す。本プロットは、カットオフ周波数より上の周波数に対しては、斜め下向きの線を有する。これは、低域通過フィルタが、カットオフ周波数より高い入力周波数を減少又は減衰させることを示す。
【0056】
多数の種類の好適な低域通過フィルタがある。好適な種類の低域通過フィルタの例は、平均化フィルタ、移動平均フィルタ、重み付け移動平均フィルタ、指数関数的重み付け移動平均フィルタ(一次低域通過フィルタとしても知られる)、二次低域通過フィルタ、三次低域通過フィルタ、三次より高い低域通過フィルタ、バターワースフィルタ、チェビシェフフィルタ、ベッセルフィルタ、ガウスフィルタ、ブラックマンフィルタ、楕円フィルタ、等リップルフィルタ、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、及び無限インパルス応答(IIR)フィルタを含むが、これらに限定されるものではない。これらのフィルタの多くは、入力データの何らかの平均化を効率的に行って、出力を生成する。
【0057】
本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、低域通過フィルタは、可変カットオフ低域通過フィルタを含むことができる。本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、カットオフ周波数は、少なくとも部分的に、フィルタ処理された単一の出力値を生成するのに用いられる検出光の点又は位置の数に基づいて、変更することができる。一般に、点又は位置の数が多いほど、より低いカットオフ周波数が可能になる。一例として、カットオフ周波数は、時間に関して相対的に多い点又は位置で検出された光を含むグループについて減少させることができ、カットオフ周波数は、時間に関して相対的に少ない点又は位置で検出された光を含むグループについて増加させることができる。時間に関して相対的に多くの点又は位置により、より高いノイズ周波数をさらに除去することによって相対的により多くのノイズ減少を可能にする。
【0058】
変速度走査の場合には、カットオフ周波数は、走査の低速領域又は他の部分の間で減少させることが可能であり、一方、カットオフ周波数は、走査の高速領域又は他の部分の間で増加させることが可能である。一例として、渦巻状走査の特定の場合において、カットオフ周波数は、渦巻状走査の中心に向かって減少するか又は相対的に低くなることがあり、渦巻状走査の直径が大きくなるのに伴って増加するか又は相対的に高くなることがある。カットオフ周波数は、画像の位置に部分的に依存することがあることに留意されたい。
【0059】
しかしながら、低域通過フィルタの使用は必ずしも必要とされるものではない。例えば、帯域通過フィルタ等の他の種類のフィルタを必要に応じて用いることができる。既知のように、帯域通過フィルタは、測定値がある対象となる帯域通過周波数の範囲より低い周波数と高い周波数の両方を減衰させることが可能である。
【0060】
ある時点からは、平均化されるか、フィルタ処理されるか、又はその他の方法でノイズ減少表現を生成するのに用いられる検出光の点又は位置の数をさらに増加させても、ノイズをさらに減少させること又は変数の真の値の推定をさらに改善することにはほとんど効果がないことがある。しかしながら、一般には、点又は位置の数を増加させ続けることにより、メモリ、処理、エネルギー、時間、又はノイズ減少表現を生成するのに用いられる他のリソースの量は、増大する。従って、1つ又はそれ以上の実施形態においては、検出光のグループのノイズ減少表現は、グループ内の検出光の(全てよりは少ない)サブセットのみに基づくものとすることができる。例えば、グループ内に100又はそれ以上の検出光の点又は位置が潜在的にあり得るとしても、種々の実施形態においては、グループ内の約2、4、8、16、32、64又は他の何らかの所定数の検出光の点又は位置を用いて、グループについてのノイズ減少表現を生成することができる。数は、2の倍数である必要はないが、これにより、実施を単純化することができる可能性がある。1つの態様においては、用いられる点又は位置は、グループ内で時間的に最初の点又は位置とすることができる。別の態様においては、用いられる点又は位置は、グループ内で時間的に最後の点又は位置とすることができる。さらに別の態様においては、用いられる点又は位置は、グループ内の点又は位置の数全体にわたって概ね等しい間隔のものとすることができる。さらに別の態様においては、用いられる点又は位置は、ノイズ減少表現を表すことになる画像のピクセル又は位置に最も近いものとすることができる。代替的には、必要に応じて全ての点又は位置を任意に用いることができる。他の手法もまた可能である。
【0061】
図8は、本発明の実施形態によるベースステーション802のブロック図である。ベースステーションは、走査ビーム装置を結合することを可能にするインターフェース808を含む。ベースステーションは、さらに、インターフェースを通して走査ビーム装置に光を与えるために、インターフェースに光学的に結合された光源804を含む。ベースステーションはさらに、インターフェースを通して走査ビーム装置にアクチュエータ駆動信号を与えるために、インターフェースと電気的に結合されたアクチュエータドライバ806を含む。これらの構成要素は、実質的に、本明細書の他の場所で前述されたものである。
【0062】
ベースステーションは、ノイズ減少ユニット880を含む。ノイズ減少ユニットは、走査ビーム装置による表面全体にわたる光ビームの走査中の異なる時点で検出された光のグループのノイズ減少表現を生成することができる。
【0063】
ノイズ減少ユニットは、ハードウェア(例えば、FPGA又は他の回路)、ソフトウェア(例えば、機械可読媒体上の命令)、ファームウェア、又はハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアのうちの2つ又はそれ以上の組み合わせとして実装することができる。前述のように、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態においては、ノイズ減少ユニットは、フィルタを含むことができる。一般に、フィルタは、ハードウェアの電気的フィルタである。デジタルフィルタ及びアナログフィルタのいずれも適しているが、デジタルフィルタは、実装するにはより実用的である傾向があり、従って、可変カットオフフィルタの場合には特に好まれることが多い。ベースステーションはさらに、アナログ・デジタル変換器(ADC)を含むことができる。デジタルフィルタは、ADCの出力と画像生成ユニットの入力との間に結合することができる。アナログフィルタは、光検出器の出力とADCの入力との間に結合することができる。代替的に、フィルタは、必要に応じてソフトウェアとして実装することができる。
【0064】
図示されるように、1つ又はそれ以上の実施形態において、ベースステーションは、インターフェースとノイズ減少ユニットとの間に光学的に結合された1つ又はそれ以上の任意の光検出器810を含むことができる。ノイズ減少ユニットは、走査中に異なる点又は位置で検出される光を受け取るように、光検出器に結合するか、そうでなければ光検出器と通信することができる。代替的には、前述のように、必要に応じて光検出器を走査ビーム装置又は他の場所に含むことができる。この場合には、ノイズ減少ユニットは、走査中に異なる点又は位置で検出される光を表わす信号をインターフェースから受信するように、インターフェースに電気的に結合するか、そうでなければ光検出器と通信することができる。
【0065】
再び図を参照すると、ベースステーションはさらに、画像生成ユニット812を含む。画像生成ユニットは、画像の異なる位置を対応するグループのノイズ減少表現で表わすことにより、表面の画像を生成することができる。
【0066】
図示されるように、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態において、ベースステーションは、任意の画像位置較正ユニット882を含むことができる。画像位置較正ユニットは、検出光のそれぞれのグループについて較正されたピクセル又は位置を与えるように、画像生成ユニットと結合するか、そうでなければ画像生成ユニットと通信することができる。画像位置較正ユニットは、ノイズ減少ユニットと結合するか、そうでなければノイズ減少ユニットと通信することもできる。画像位置較正ユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせとして実装することができる。
【0067】
図示されるように、ベースステーションは、任意の表示装置814を含むことができる。代替的には、外部表示装置を必要に応じてベースステーションと接続又は結合することができる。表示装置は、画像生成ユニットから生成された画像を受信して表示するために結合又は通信することができる。
【0068】
図示されるベースステーションにおいては、例示の目的で構成要素は別々に示されているが、これらの構成要素の2つ又はそれ以上を必要に応じて同じ回路又は他のユニット内で組み合わせてもよいことが理解される。例えば、ノイズ減少ユニットは、必要に応じて、アクチュエータドライバの一部及び/又は画像生成ユニットの一部と組み合わせてもよい。
【0069】
上の説明においては、説明のために、本発明の実施形態の全体的な理解をもたらすように、多くの特定の詳細が述べられた。しかしながら、これらの特定の詳細の幾つかを用いずに、1つ又はそれ以上の他の実施形態を実施できることを理解されたい。説明された特定の実施形態は、本発明を制限するのではなく、これを示すために与えられる。さらに、例えば、本実施形態の構成要素のサイズ、形状、構成、形態、機能、材料、動作の方法、並びに、組み立て及び用途といった、本明細書に開示される実施形態には、修正を行うことができることを理解されたい。図面に示されるもの及び/又は明細書に説明されるものに対する全ての均等な関係は、本発明の実施形態の中に含まれる。本発明の範囲は、上述の特定の例によってではなく、特許請求の範囲によってのみ定められる。
【0070】
他の場合においては、説明の理解を曖昧にしないように、周知の回路、構造、装置、及び動作は、ブロック図の形態ですなわち詳細なしで示される。適切であると考えられる場合は、参照番号の末尾部分は、必要に応じて同様の特性を有することがある対応する構成要素又は類似する構成要素を示すために、図の間で繰り返されている。
【0071】
本発明の1つ又はそれ以上の実施形態は、機械アクセス可能媒体及び/又は機械可読媒体を含むことができるプログラム製品又は他の製品として提供することができる。この媒体は、機械により実行された場合に、本明細書に開示される動作又は方法の1つ又はそれ以上を結果的に実行する及び/又は実行するようにさせることが可能な命令を格納することができる。好適な機械は、幾つかの例を挙げると、回路、プロセッサ、ベースステーション、内視鏡ベースステーション、走査ビームシステム、医療装置、及び命令を実行することができる他の機械を含むが、これらに限定されるものではない。
【0072】
媒体は、機械によりアクセス可能な形態で情報を提供する、例えば格納する、機構を含むことができる。例えば、媒体は、必要に応じて、光学的記憶媒体、光学ディスク、CD−ROM、磁気ディスク、光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能ROM(PROM)、消去可能及びプログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能及びプログラム可能ROM(EEPROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、静的RAM(SRAM)、動的RAM(DRAM)、Flashメモリ、及びこれらの組み合わせといった追記可能媒体及び/又は追記不可能媒体を含むことができる。
【0073】
明確にするために、特許請求の範囲においては、特定の機能を実行する「ための手段」又は特定の機能を実行する「ためのステップ」を明示していない全ての要素は、35 U.S.C.Section112,Paragraph6に規定される「手段」又は「ステップ」条項として解釈されるべきではない。
【0074】
さらに、本明細書を通して、例えば「1つの実施形態」、「実施形態」又は「1つ又はそれ以上の実施形態」というときには、特定の特徴が本発明の実施に含まれる場合があることを意味するものとして理解されるべきである。同様に、本説明においては、種々の特性は、開示を簡素化して種々の発明の態様の理解に役立つように、単一の実施形態、図、又はその説明において一緒にされる場合があることが理解されるべきである。しかしながら、開示の方法は、本発明が各々の請求項に明示的に列挙される特徴より多くの特徴を必要とする意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲により反映されるように、本発明の態様は、単一の開示される実施形態の全ての特徴より少ない特徴にある場合がある。従って、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明示的に組み入れられ、各々の請求項は、それ自体が本発明の別個の実施形態として独立している。
【符号の説明】
【0075】
100:走査ビームシステム
102:ベースステーション
104:光源
106:アクチュエータドライバ
108:インターフェース
110:光検出器
112:画像生成ユニット
120:走査ビーム装置
122:接続器又は結合器
124:アクチュエータ駆動信号経路
126:ケーブル
128:光路
130:後方散乱光路
132:アクチュエータ
134:走査光学要素
136:片持ち光ファイバの遠位端又は先端部
138:レンズ
140:ビーム
142:表面
144:渦巻状走査
220:走査ファイバ装置
224:導電性経路
228:光ファイバ
246:ハウジング
248:取り付けカラー
250:電極
232:圧電管
234:片持ち光ファイバの自由端部分
230:光ファイバ
238:レンズ
323:垂直アクチュエータ駆動信号
325:水平アクチュエータ駆動信号
344:渦巻状走査
802:ベースステーション
804:光源
806:アクチュエータドライバ
808:インターフェース
810:光検出器
812:画像生成ユニット
814:表示装置
880:ノイズ減少ユニット
882:画像位置較正ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速度での走査により表面全体にわたって光ビームを走査するステップと、
前記走査中の異なる時点で前記表面から後方散乱された光を検出するステップと、
各々が前記表面の画像における異なる位置に対応する前記検出光のグループのノイズ減少表現を、複数の異なるサイズを有するグループについて生成するステップと、
前記画像における前記異なる位置を前記対応するグループの前記ノイズ減少表現で表わすことにより、前記表面の前記画像を生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記グループの前記ノイズ減少表現を生成するステップは、各グループ内の前記検出光をフィルタ処理するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルタ処理するステップは、カットオフ周波数より上の周波数を減少させるステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カットオフ周波数を変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カットオフ周波数を変更するステップは、少なくとも部分的に前記グループの前記サイズに基づいて、前記カットオフ周波数を変更するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カットオフ周波数を変更するステップは、
相対的に多くの時点で検出された光を含むグループについて前記カットオフ周波数を減少させ、
相対的に少ない時点で検出された光を含むグループについて前記カットオフ周波数を増加させる
ステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ノイズ減少表現を生成するステップは、各グループ内の前記検出光の潜在的に等しくない値を集約する単一のノイズ減少表現を各グループについて生成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ノイズ減少表現を生成するステップは、算術平均、平均、平均値、重み付け平均値、移動平均値、中央値、極値間の中間点、相対的に中央の点、中間値、及びモードのうちの少なくとも1つを各グループについて生成するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ノイズ減少表現は、前記速度が相対的に低速であるときは相対的に大きいグループについて生成され、前記速度が相対的に高速であるときは相対的に小さいグループについて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記走査するステップは、渦巻状走査により前記表面全体にわたって前記光ビームを走査するステップを含み、前記速度は、前記渦巻状走査の中心から距離が大きくなるのに伴って増加し、前記ノイズ減少表現を生成するステップは、前記渦巻状走査の前記中心に近付くほどノイズを相対的に多く減少させ、前記渦巻状走査の前記中心から遠くなるほどノイズを相対的に少なく減少させるステップを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ノイズ減少表現は、前記走査中に前記画像における所与の位置全体にわたる前記光ビームの異なる通過の間に検出された前記所与の位置に対応する検出光を含むグループについて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ノイズ減少表現は、前記グループの検出光のサブセットのみに基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
走査ビーム内視鏡を患者に挿入するステップをさらに含み、前記光ビームを走査するステップは、前記走査ビーム内視鏡を用いて前記患者の内部の表面全体にわたって前記光ビームを走査するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
走査ビーム装置を結合することを可能にするインターフェースと、
前記インターフェースを通して前記走査ビーム装置に光を与えるために、前記インターフェースと光学的に結合された光源と、
変速度での走査により表面全体にわたって前記走査ビーム装置に光ビームを走査させるように機能するアクチュエータ駆動信号を、前記インターフェースを通して前記走査ビーム装置に与えるために、前記インターフェースと電気的に結合されたアクチュエータドライバと、
前記走査中の異なる時点で検出された光のグループのノイズ減少表現を生成するためのノイズ減少ユニットであって、複数の異なるサイズを有するグループのノイズ減少表現を生成する、ノイズ減少ユニットと、
前記画像における異なる位置を対応するグループのノイズ減少表現で表わすことにより、前記表面の画像を生成するための画像生成ユニットと
を含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
前記ノイズ減少ユニットはフィルタを含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記フィルタは、低域通過フィルタ及び帯域通過フィルタから選択される電気的フィルタを含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記フィルタは可変カットオフを含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記カットオフはグループのサイズの増加に伴って減少することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ノイズ減少ユニットは、各グループ内の検出光の潜在的に等しくない値を集約する単一のノイズ減少表現を各グループについて生成するためのものであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記ノイズ減少ユニットは、算術平均、平均、平均値、重み付け平均値、移動平均値、中央値、極値間の中間点、相対的に中央の点、中間値、及びモードから選択される、各グループの単一のノイズ減少表現を生成するためのものであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項21】
変速度での走査により表面全体にわたって光ビームを走査するステップと、
前記走査中の異なる時点で前記表面から後方散乱された光を、実質的に一定の割合で検出するステップと、
各々が前記表面の画像における異なる位置に対応する前記検出光の複数の異なるサイズのグループの各々を平均化するステップと、
前記画像における各々の異なる位置を前記対応するグループの平均で表わすことにより、前記表面の前記画像を生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
変速度での走査により表面全体にわたって光ビームを走査するステップと、
前記走査中の異なる時点で前記表面から後方散乱された光を、実質的に一定の割合で検出するステップと、
前記検出後方散乱光に対して、カットオフ周波数より上の周波数を減少させることを含むフィルタ処理を行うステップと、
フィルタ処理された前記表面の画像における所与の位置に対応する前記検出後方散乱光の点の数に少なくとも部分的に基づいて、前記カットオフ周波数を変更するステップと、
前記画像における異なる位置を前記対応するフィルタ処理後の検出後方散乱光で表わすことにより、前記表面の前記画像を生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
渦巻状走査の中心から距離が大きくなるのに伴って速度が増加する変速度での渦巻状走査により、表面全体にわたって光ビームを走査するステップと、
前記走査中の異なる時点で前記表面から後方散乱された光を検出するステップと、
各々が前記表面の画像における異なる位置に対応する前記検出光のグループを可変カットオフフィルタでフィルタ処理することにより、前記グループのノイズ減少表現を生成するステップであって、前記グループのサイズは前記渦巻状走査の中心からの距離が大きくなるのに伴って減少し、前記フィルタのカットオフは前記渦巻状走査の中心からの距離が大きくなるのに伴って増加し、ノイズ減少の量は前記渦巻状走査の中心からの距離が大きくなるのに伴って減少する、ステップと、
前記画像における異なる位置を前記対応するグループの前記ノイズ減少表現で表わすことにより、前記表面の前記画像を生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−505190(P2011−505190A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535937(P2010−535937)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/024953
【国際公開番号】WO2009/070151
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】