説明

走査型プローブ顕微鏡およびその位相調整方法

【課題】カンチレバーの交換のたびに生じる位相検出の検出感度の変化を容易に補正し得る走査型プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】走査型プローブ顕微鏡は、自由端に探針11をもつカンチレバー12と、カンチレバー12の変位を検出し、その変位を表す変位信号を出力する変位検出部15と、加振信号に基づいてカンチレバー12を振動させる加振部14と、試料19と探針11を三次元的に相対的に移動させる走査部20と、カンチレバー12の変位信号と加振信号に同期した同期信号の位相差の情報を含む位相信号を生成する位相検出部34を有している。位相検出部34は、同期信号の位相を調整し得る位相調整部35を備えている。位相調整部35は、探針11と試料19が接触していない状態において存在する初期位相差をキャンセルする位相オフセットを変位信号と同期信号の位相差に与え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、機械的探針を走査しながら試料表面の情報を取得してマッピング表示する走査型顕微鏡の総称である。SPMには、走査型トンネリング顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型磁気力顕微鏡(MFM)、走査型近接場光顕微鏡(SNOM)などがある。
【0003】
AFMは、SPMの中で最も広く使用されており、機械的探針をその自由端にもつカンチレバーと、カンチレバーの変位を検出する光学式変位センサーと、機械的探針と試料を相対的に走査する走査機構を主要な要素として備えている。その光学式変位センサーには、構成が簡単でありながら検出感度が高いことから、光てこ式の光学式変位センサーが最も広く使われている。この光てこ式の光学式変位センサーは、カンチレバー上に直径が数μmから数十μmの光束を照射し、カンチレバーの反りの変化に応じた反射光の反射方向の変化を二分割光ディテクタなどによりとらえることにより、カンチレバーの自由端にある機械的探針の動作を反映した電気信号を出力する。AFMは、走査機構によって、光学式変位センサーの出力が一定になるように機械的探針と試料の間の相対距離をZ方向に制御しながら機械的探針と試料の間の相対位置をXY方向に走査することにより、試料表面の凹凸の状態をマッピングしてコンピュータのモニター上に表示する。
【0004】
AFMでは、カンチレバーを振動させ、その振動特性から試料と探針の間に働く相互作用を検出する方式(ACモード)を採用することが多い。それは、試料と探針の間に働く力を通常の方式(コンタクトモードと呼ばれる)に比べて弱く保つことができる利点があるからである。このACモードAFMでは、試料と探針の間に働く相互作用により生じるカンチレバーの振動すなわち変位の振幅変化や位相変化の一方を検出し、その検出結果に基づいて試料の表面形状を測定している。
【0005】
特開2008−232984号公報は、この種のACモードAFMのひとつを開示している。
【0006】
ACモードAFMにおいては、試料と探針の間に働く相互作用が斥力の領域において振動状態の変化(振幅変化や位相変化)を検出し、それに基づいて画像形成することが多い。カンチレバーの変位の振幅は、試料と探針の間の斥力が大きくなるにつれて減少する。またカンチレバーの変位の位相は、斥力が大きくなるにつれて進む。
【0007】
検出感度を考えた場合、カンチレバーの変位の振幅の変化量はカンチレバーの共振周波数近傍が最も大きい。このため、カンチレバーの変位の振幅の変化に基づいて制御するAM方式(振幅変調方式)では、カンチレバーの振動周波数はカンチレバーの共振周波数近傍に設定される。またカンチレバーの変位の位相の変化に基づいて制御するPM方式(位相変調方式)においても、カンチレバーの共振周波数近傍が最も検出感度が高い。
【0008】
カンチレバーの変位の位相の変化、すなわち試料と探針が接触したことに起因して発生する位相差は、ロックインアンプ等の位相検波回路によって検出される。この位相検波回路は、位相信号としてAcosφを出力する。ここで、Aは、カンチレバーの変位信号の振幅、φは、カンチレバーの変位信号と加振信号に同期した同期信号(参照信号と呼ぶこともある)との位相差である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−232984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら特開2008−232984号公報に開示されるような従来のACモードAFMは以下に述べる問題を抱えている。
【0011】
カンチレバーの変位信号と加振信号に同期した同期信号との位相差φは、試料と探針が接触していなくても、ある値をもつ。まず、カンチレバーをその機械的共振周波数で振動させるため、変位信号と同期信号との間には確実にπ/2の位相差が生じる。それに加えて、カンチレバーの機械的共振周波数にカンチレバーの個体差があるためにカンチレバーを振動させる周波数が変化し、カンチレバーを振動させる圧電素子やカンチレバーを保持するホルダの機械振動特性に起因する予測できない位相差が生じてしまう。つまり、カンチレバーの変位信号と加振信号と同期した同期信号との位相差には、試料と探針が接触していない状態であっても、予測できない位相差の初期値が存在する。位相信号Acosφは、φの初期値によって、φの変化に対する信号の変化量すなわち検出感度が変化する。その結果、従来のACモードAFMにおいては、カンチレバーを交換するたびに検出感度が変化してしまう。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、カンチレバーの交換のたびに生じる位相検出の検出感度の変化を容易に補正し得る走査型プローブ顕微鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による走査型プローブ顕微鏡は、自由端に探針をもつカンチレバーと、前記探針と試料を三次元的に相対的に移動させる走査部と、加振信号に基づいて前記カンチレバーを振動させる加振部と、前記カンチレバーの変位を検出し、その変位を表す変位信号を出力する変位検出部と、前記加振信号と前記変位信号の位相差の情報を含む位相信号を生成する位相検出部とを備えている。前記位相検出部は、前記探針と前記試料が接触していない状態において存在する初期位相差をキャンセルする位相オフセットを前記位相差に与える位相調整部を有している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カンチレバーの交換のたびに生じる位相検出の検出感度の変化を容易に補正し得る走査型プローブ顕微鏡が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。
【図2】図1の信号処理部における信号の流れを示している。
【図3】第一実施形態の変形例による図1の信号処理部における信号の流れを示している。
【図4】−Asinφとφの関係を示したグラフである。
【図5】第二実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。
【図6】第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。
【図7】図6の信号処理部における信号の流れを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0017】
<第一実施形態>
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を図1に示す。図1に示すように、走査型プローブ顕微鏡は、自由端に探針11をもつカンチレバー12を有している。このカンチレバー12は、試料19に正対するようにホルダ13に保持され得る。
【0018】
走査型プローブ顕微鏡はまた、カンチレバー12の変位を検出し、その変位を表す変位信号を出力する変位検出部15を有している。変位検出部15は、光てこ式の光学式変位センサーで構成されており、カンチレバー12の背面に集束されたレーザ光を照射するレーザ光源16と、カンチレバー12の背面から反射されたレーザ光を受ける分割ディテクタ17と、分割ディテクタ17の出力からカンチレバー12の変位信号を生成する演算アンプ18から構成されている。
【0019】
走査型プローブ顕微鏡はまた、加振信号に基づいてカンチレバー12を振動させる加振部14を有している。加振部14は、たとえば、ホルダ13に設けられている。加振部14は、たとえば圧電素子で構成され、カンチレバー12をその機械的共振周波数近傍の周波数で所定の振幅で振動させ得る。
【0020】
走査型プローブ顕微鏡はまた、試料19と探針11を三次元的に相対的に移動させる走査部20を有している。走査部20は、Zスキャナ21とXYスキャナ22から構成されている。Zスキャナ21はXYスキャナ22上に配置されており、Zスキャナ21上には、図示しない試料台を介して試料19が載置され得る。Zスキャナ21は、Zドライバ23により駆動され、探針11に対して試料19をZ方向に移動させ得る。またXYスキャナ22は、XYドライバ24により駆動され、探針11に対して試料19をXY方向に移動させ得る。
【0021】
走査型プローブ顕微鏡はまた、Zドライバ23とXYドライバ24を制御するコントローラ25と、試料19の表面の画像を形成するホストコンピュータ28を有している。コントローラ25は、試料19の表面に沿って探針11を二次元的に走査するためのXY走査信号と、探針11と試料19の間の距離を制御するためのZ制御信号を生成し得る。コントローラ25は、後述する振幅信号と位相信号の一方を選択してZ制御部27に供給する選択部26と、選択部26から供給される信号に基づいてZ制御信号を生成するZ制御部27を有している。ホストコンピュータ28は、コントローラ25で生成されるXY走査信号とZ制御信号を用いて試料19の表面の画像を形成し得る。ホストコンピュータ28は、後述する位相オフセットの情報を入力設定するための入力部29を有している。
【0022】
走査型プローブ顕微鏡はまた、加振部14に加振信号を供給するとともに、変位検出部15から出力される変位信号から振幅信号と位相信号を生成する信号処理部30を有している。信号処理部30は、信号発生器31と振幅検出部32と振幅表示部33と位相検出部34と位相表示部36を有している。
【0023】
信号発生器31は、たとえば、カンチレバー12をその機械的共振周波数近傍の周波数で所定の振幅で振動させる加振信号を出力する。信号発生器31はまた、加振信号に同期した同期信号を位相検出部34に出力する。この同期信号は、加振信号と同一の周波数で同位相のたとえば方形波信号(ロジック信号)で構成され得る。
【0024】
振幅検出部32は、変位検出部15から供給されるカンチレバー12の変位信号の振幅を表す振幅信号を生成し、これを振幅表示部33とコントローラ25に出力する。
【0025】
振幅表示部33は、振幅検出部32から供給される振幅信号を表示し得る。振幅表示部33は、たとえばデジタルメータやアナログメータ、オシロスコープなどの信号の電圧値を表示する表示器で構成され得る。振幅表示部33は、たとえば、振幅信号の値すなわち振幅値を表示する。振幅表示部33は、ホストコンピュータ28のモニターで代用することも可能である。
【0026】
位相検出部34は、変位検出部15から供給されるカンチレバー12の変位信号と信号発生器31から供給される同期信号の位相差の情報を含む位相信号を生成し、これを位相表示部36とコントローラ25に出力する。同期信号と加振信号は周波数と位相が同じであるので、変位信号と同期信号の位相差は、変位信号と加振信号の位相差と等価である。
【0027】
位相検出部34は、信号発生器31から供給される同期信号の位相を調整し得る位相調整部35を備えている。位相調整部35は、コントローラ25から供給される位相オフセット指令によって指示される所定の位相オフセットを同期信号の位相に与え得る。言い換えれば、位相調整部35は、変位信号と同期信号の位相差に所定の位相オフセットを与え得る。位相検出部34は、位相オフセットが与えられた同期信号と変位信号との位相差の情報を含む位相信号を生成して出力する。位相オフセットが与えられた同期信号と変位信号との位相差は、変位信号と同期信号の位相差に位相オフセットを与えたものと等価である。所定の位相オフセットは、ホストコンピュータ28の入力部29によって、探針11と試料19が接触していない状態において存在する初期位相差をキャンセルするように入力設定される。つまり、位相調整部35は、初期位相差をキャンセルする位相オフセットを変位信号と同期信号の位相差に与える。
【0028】
位相表示部36は、位相検出部34から供給される位相信号を表示し得る。位相表示部36は、たとえばデジタルメータやアナログメータ、オシロスコープなどの信号の電圧値を表示する表示器で構成され得る。位相表示部36は、たとえば、位相信号の値を表示する。位相表示部36は、ホストコンピュータ28のモニターで代用することも可能である。
【0029】
ここで、信号処理部30における信号の流れについて図2を参照しながら説明する。
【0030】
加振信号をAsinωtとおく。ここで、Aは、加振信号の振幅、ωは、加振信号の角振動数、tは時間である。ωは、カンチレバー12の共振周波数をfとすると、2π・fとほぼ等しい値をもつ。
【0031】
同期信号は、加振信号と同一の周波数(すなわち角振動数ω)で同位相のたとえば方形波信号とする。
【0032】
カンチレバー12の変位信号をAsin(ωt+φ+φ)とおく。ここで、Aは、変位信号の振幅、φは、探針11と試料19が接触していない状態で存在する変位信号の初期位相差、φは、探針11と試料19が接触したことに起因して発生する変位信号の位相差である。探針11と試料19が接触していないとき、φは0である。
【0033】
振幅検出部32は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)の振幅Aを検出し、その振幅を表す振幅信号Aを出力する。
【0034】
位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相に位相オフセットψを与える。すなわち、位相調整部35は、同期信号の位相をψだけシフトさせる。これは、カンチレバー12の変位信号と同期信号(つまり加振信号)の位相差に、位相オフセット−ψを与えることと等価である。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と位相オフセットψが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ)を生成して出力する。
【0035】
次に位相調整の手順について説明する。
【0036】
探針11と試料19が接触していない状態において、まず、信号発生器31から加振信号Asinωtを出力させる。これと同時に、信号発生器31から、加振信号と同一の周波数(角振動数ω)で同位相の方形波信号を出力させる。
【0037】
次に、ホストコンピュータ28の入力部29において、同期信号に与える位相オフセットψを入力設定する。このときに設定する位相オフセットψは任意の値でかまわない。位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相をψだけシフトさせる。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と位相オフセットψが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ)を生成して出力する。位相表示部36は、位相信号Acos(φ+φ−ψ)の値を表示する。ここでφは、探針11と試料19が接触していない現状態では0である。したがって、位相表示部36には、Acos(φ−ψ)の値が表示される。
【0038】
次に、位相表示部36に表示されたAcos(φ−ψ)の値をモニターしながら、Acos(φ−ψ)の値が最大値すなわちAになるように、ホストコンピュータ28の入力部29において位相オフセットψを調整する。その結果、位相オフセットψはφに等しく設定される。つまり、初期位相差φがキャンセルされる。
【0039】
この調整後においては、位相検出部34から出力される位相差φの情報を含む位相信号は、Acosφとなる。
【0040】
以上より、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡および位相調整方法によれば、探針11と試料19が接触していない状態で存在する初期位相差φを容易にキャンセルすることができる。言い換えれば、カンチレバー12の交換のたびに生じる位相検出の検出感度の変化を容易に補正することができる。その結果、探針11と試料19が接触することに起因して発生する位相差φの情報を含む位相信号を再現性良く検出することができる。
【0041】
[変形例]
上述した位相調整の手順は、以下に説明するように変形されてもよい。この変形例の位相調整の手順について図3を用いて説明する。図3において、図1に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0042】
探針11と試料19が接触していない状態において、まず、信号発生器31から加振信号Asinωtを出力させる。これと同時に、信号発生器31から、加振信号と同一の周波数(角振動数ω)で同位相の方形波信号を出力させる。
【0043】
まず<第一の工程>として以下を行う。
【0044】
ホストコンピュータ28の入力部29において、同期信号に与える位相オフセットψを入力設定する。このときに設定する位相オフセットψは任意の値でかまわない。位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相をψだけシフトさせる。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と位相オフセットψが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ)を生成して出力する。位相表示部36は、位相信号Acos(φ+φ−ψ)の値を表示する。ここでφは、探針11と試料19が接触していない現状態では0である。したがって、位相表示部36には、Acos(φ−ψ)の値が表示される。
【0045】
次に、位相表示部36に表示されたAcos(φ−ψ)の値をモニターしながら、Acos(φ−ψ)の値が最大値すなわちAになるように、ホストコンピュータ28の入力部29において位相オフセットψを調整する。その結果、位相オフセットψはφに等しく設定される。この調整後においては、位相検出部34から出力される位相差φの情報を含む位相信号は、Acosφとなる。
【0046】
次に<第二の工程>として以下を行う。
【0047】
ホストコンピュータ28の入力部29において、これまでの位相オフセットψに代えて、ψ(=φ)に−π/2を加算した値に等しい位相オフセットを新たに入力設定する。すなわち、ホストコンピュータ28の入力部29において、同期信号に与える位相オフセットをψから(φ−π/2)に変更する。位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相を(ψ−π/2)=(φ−π/2)だけシフトさせる。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と(φ−π/2)の位相オフセットが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−φ+π/2)=Acos(φ+π/2)=−Asinφを生成して出力する。これは、位相調整部35において同期信号の位相を(φ−π/2)だけシフトさせることによって、カンチレバー12の変位信号と同期信号(つまり加振信号)との位相差(φ+φ)に、第二の位相オフセット(−φ+π/2)を与えていることになる。
【0048】
図4は、−Asinφとφの関係を示したグラフである。このグラフから分かるように、−Asinφは、φ=0において、位相シフト量φの変化に対して最も敏感に変化する。このため、探針11と試料19が接触することに起因して発生する位相差φを最も効率良く検出できる形であるといえる。
【0049】
以上より、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡および位相調整方法の変形例によれば、探針11と試料19が接触していない状態で存在する初期位相差φをキャンセルすることができる。言い換えれば、カンチレバー12の交換のたびに生じる位相検出の検出感度の変化を容易に補正することができる。これに加えてさらに、探針11と試料19が接触することに起因して発生する位相差φを効率良く検出することができる。その結果、探針11と試料19が接触することに起因して発生する位相差φを、高い感度で再現性良く検出することが可能になる。
【0050】
<第二実施形態>
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、信号処理部の構成が異なるほかは、第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡と同じである。したがって、ここでは、本実施形態の信号処理部の構成と作用に重点をおいて説明する。
【0051】
図5は、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。図5において、図1に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0052】
図5に示すように、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡における信号処理部40は、第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡における信号処理部30の位相表示部36に代えて、除算部41と位相表示部42を備えた構成となっている。
【0053】
除算部41は、位相検出部34から供給される位相信号を、振幅検出部32から供給される振幅信号で除算し、その結果を表す除算信号を生成し出力する。
【0054】
位相表示部42は、除算部41から供給される除算信号を表示し得る。位相表示部42は、たとえばデジタルメータやアナログメータ、オシロスコープなどの信号の電圧値を表示する表示器で構成され得る。位相表示部42は、たとえば、位相信号の値を表示する。位相表示部42は、ホストコンピュータ28のモニターで代用することも可能である。
【0055】
ここで、信号処理部40における信号の流れについて説明する。
【0056】
第一実施形態と同様に、加振信号をAsinωtとおく。ここで、Aは、加振信号の振幅、ωは、加振信号の角振動数、tは時間である。ωは、カンチレバー12の共振周波数をfとすると、2π・fとほぼ等しい値をもつ。
【0057】
同期信号は、加振信号と同一の周波数(すなわち角振動数ω)で同位相のたとえば方形波信号とする。
【0058】
カンチレバー12の変位信号をAsin(ωt+φ+φ)とおく。ここで、Aは、変位信号の振幅、φは、探針11と試料19が接触していない状態で存在する変位信号の初期位相差、φは、探針11と試料19が接触したことに起因して発生する変位信号の位相差である。探針11と試料19が接触していないとき、φは0である。
【0059】
振幅検出部32は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)の振幅Aを検出し、その振幅を表す振幅信号Aを出力する。
【0060】
位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相をψだけシフトさせる。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と位相オフセットψが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ)を生成して出力する。
【0061】
除算部41は、位相信号Acos(φ+φ−ψ)を振幅信号Aで除算した結果を表す除算信号cos(φ+φ−ψ)を生成し出力する。位相表示部42は、除算信号cos(φ+φ−ψ)の値を表示する。
【0062】
次に位相調整の手順について説明する。
【0063】
探針11と試料19が接触していない状態において、まず、信号発生器31から加振信号Asinωtを出力させる。これと同時に、信号発生器31から、加振信号と同一の周波数(角振動数ω)で同位相の方形波信号を出力させる。
【0064】
次に、ホストコンピュータ28の入力部29において、同期信号に与える位相オフセットψを入力設定する。このときに設定する位相オフセットψは任意の値でかまわない。位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相をψだけシフトさせる。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と位相オフセットψが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ)を生成して出力する。除算部41は、位相信号Acos(φ+φ−ψ)を振幅信号Aで除算した除算信号cos(φ+φ−ψ)を生成し出力する。位相表示部42は、除算信号cos(φ+φ−ψ)の値を表示する。ここでφは、探針11と試料19が接触していない現状態では0である。したがって、位相表示部42には、cos(φ−ψ)の値が表示される。
【0065】
次に、位相表示部42に表示されたcos(φ−ψ)の値をモニターしながら、cos(φ−ψ)の値が最大値すなわち1になるように、ホストコンピュータ28の入力部29において位相オフセットψを調整する。その結果、位相オフセットψはφに等しく設定される。つまり、初期位相差φがキャンセルされる。
【0066】
この調整後においては、位相検出部34から出力される位相差φの情報を含む位相信号は、Acosφとなる。また、位相表示部42に表示される除算信号はcosφとなる。
【0067】
以上より、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡および位相調整方法によれば、cos(φ+φ−ψ)の値が1になるよう調整するので、調整が直感的にできるようになるとともに精度も上がる。すなわち、精度良く、かつ容易に探針11と試料19が接触していない状態で存在する初期位相差φをキャンセルできる。
【0068】
<第三実施形態>
本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、信号処理部の構成が異なるほかは、第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡と同じである。したがって、ここでは、本実施形態の信号処理部の構成と作用に重点をおいて説明する。
【0069】
図6は、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。図6において、図1に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0070】
図6に示すように、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡における信号処理部50は、第一実施形態における信号処理部30の各構成すなわち信号発生器31と振幅検出部32と振幅表示部33と位相検出部34と位相表示部36に加えて、位相検出部51を備えている。また、第一実施形態では、位相検出部34から出力される位相信号は位相表示部36とコントローラ25に供給されたが、本実施形態では、位相検出部34から出力される位相信号は、位相表示部36に供給されるが、コントローラ25には供給されず、代わりに、位相検出部51から出力される位相信号がコントローラ25に供給される。
【0071】
位相検出部51は、信号発生器31から供給される同期信号の位相を調整し得る位相調整部52を備えている。位相調整部52は、コントローラ25から供給されるコントローラ25から供給される位相オフセット指令によって指示される所定の位相オフセットを同期信号の位相に与え得る。言い換えれば、位相調整部52は、変位信号と同期信号の位相差に位相オフセットを与え得る。位相検出部51は、位相調整部52によって位相オフセットが与えられた同期信号と変位信号との位相差の情報を含む位相信号を生成して出力する。
【0072】
位相調整部52は、信号発生器31から供給される同期信号の位相を所定の量だけシフトさせる。位相調整部52は、同期信号に、位相オフセット指令によって指示される位相オフセットψに−π/2を加算した値に等しい位相オフセットを与えるもので、この点において位相調整部35と異なっている。つまり、所定の量とは、「位相オフセット指令によって指示された位相オフセット」+「−π/2」である。
【0073】
位相検出部51は、変位検出部15から供給されるカンチレバー12の変位信号と、位相調整部52によって位相オフセットが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号を生成し、これをコントローラ25に出力する。
【0074】
また、位相検出部34は、変位検出部15から供給されるカンチレバー12の変位信号と、位相調整部35によって位相オフセットが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号を生成し、これを位相表示部36に出力する。
【0075】
以上のように本実施形態の走査型プローブ顕微鏡においては、コントローラ25に供給される位相信号と位相表示部36に供給される位相信号が、それぞれ、位相検出部51と位相検出部34によって独立して生成される。
【0076】
ここで、信号処理部50における信号の流れについて図7を参照しながら説明する。
【0077】
第一実施形態と同様に、加振信号をAsinωtとおく。ここで、Aは、加振信号の振幅、ωは、加振信号の角振動数、tは時間である。ωは、カンチレバー12の共振周波数をfとすると、2π・fとほぼ等しい値をもつ。
【0078】
同期信号は、加振信号と同一の周波数(すなわち角振動数ω)で同位相のたとえば方形波信号とする。
【0079】
カンチレバー12の変位信号をAsin(ωt+φ+φ)とおく。ここで、Aは、変位信号の振幅、φは、探針11と試料19が接触していない状態で存在する変位信号の初期位相差、φは、探針11と試料19が接触したことに起因して発生する変位信号の位相差である。探針11と試料19が接触していないとき、φは0である。
【0080】
振幅検出部32は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)の振幅Aを検出し、その振幅を表す振幅信号Aを出力する。
【0081】
位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相をψだけシフトさせる。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と位相オフセットψが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ)を生成して出力する。位相表示部36は、位相信号Acos(φ+φ−ψ)の値を表示する。
【0082】
位相調整部52は、同期信号の位相に、位相オフセットψに−π/2を加算した値に等しい位相オフセットを与える。つまり、位相調整部52は、同期信号の位相をψ−π/2だけシフトさせる。位相検出部51は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)とψ−π/2の位相オフセットが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ+π/2)=−Asin(φ+φ−ψ)を生成し、これをコントローラ25に出力する。
【0083】
次に位相調整の手順について説明する。
【0084】
探針11と試料19が接触していない状態において、まず、信号発生器31から加振信号Asinωtを出力させる。これと同時に、信号発生器31から、加振信号と同一の周波数(角振動数ω)で同位相の方形波信号を出力させる。
【0085】
次に、ホストコンピュータ28の入力部29において、同期信号に与える位相オフセットψを入力設定する。このときに設定する位相オフセットψは任意の値でかまわない。位相調整部35は、位相オフセット指令に基づいて、同期信号の位相をψだけシフトさせる。位相検出部34は、カンチレバー12の変位信号Asin(ωt+φ+φ)と位相オフセットψが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ)を生成して出力する。位相表示部36は、位相信号Acos(φ+φ−ψ)の値を表示する。ここでφは、探針11と試料19が接触していない現状態では0である。したがって、位相表示部36には、Acos(φ−ψ)の値が表示される。
【0086】
次に、位相表示部36に表示されたAcos(φ−ψ)の値をモニターしながら、Acos(φ−ψ)の値が最大値すなわちAになるように、ホストコンピュータ28の入力部29において位相オフセットψを調整する。その結果、位相オフセットψはφに等しく設定される。つまり、初期位相差φがキャンセルされる。
【0087】
位相調整部52は、同期信号の位相に、位相オフセットψに−π/2を加算した値に等しい位相オフセットを与える。つまり、位相調整部52は、同期信号の位相をψ−π/2だけシフトさせる。位相検出部51は、変位信号Asin(ωt+φ+φ)とψ−π/2の位相オフセットが与えられた同期信号との位相差の情報を含む位相信号Acos(φ+φ−ψ+π/2)=−Asin(φ+φ−ψ)を生成し、これをコントローラ25に出力する。前述した位相オフセットψの調整後においては、位相オフセットψはφに等しく設定されているので、位相検出部51から出力される位相差φの情報を含む位相信号は、−Asinφとなる。
【0088】
−Asinφは、図4に示したように、φ=0において、位相シフト量φの変化に対して最も敏感に変化する。このため、探針11と試料19が接触することに起因して発生する位相差φを最も効率良く検出することができる。
【0089】
以上より、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡および位相調整方法においては、探針11と試料19が接触していない状態で存在する初期位相差φをキャンセルできる。言い換えれば、カンチレバー12の交換のたびに生じる位相検出の検出感度の変化を容易に補正することができる。これに加えてさらに、探針11と試料19が接触することに起因して発生する位相差φを高い感度で検出することができる。その結果、探針11と試料19が接触することに起因して発生する位相差φを、高い感度で再現性良く検出することが可能になる。
【0090】
本実施形態のこの利点は第一実施形態の変形例と共通しているが、これを達成するために、第一実施形態の変形例では2回の工程が必要であるのに対して、本実施形態では1回の工程で済む。
【0091】
さらに本実施形態の走査型プローブ顕微鏡に、第二実施形態の図5で示した除算部を設けて、位相検出部34から出力される位相信号を振幅信号で除算した結果である除算信号をモニターすれば、すなわち本実施形態と第二実施形態の組み合わせを行えば、調整が直感的にできるようになるとともに精度も上がる。すなわち、探針11と試料19が接触していない状態で存在する初期位相差φを精度良く容易にキャンセルできるようになる。
【0092】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【符号の説明】
【0093】
11…探針、12…カンチレバー、13…ホルダ、14…加振部、15…変位検出部、16…レーザ光源、17…分割ディテクタ、18…演算アンプ、19…試料、20…走査部、21…Zスキャナ、22…XYスキャナ、23…Zドライバ、24…XYドライバ、25…コントローラ、26…選択部、27…Z制御部、28…ホストコンピュータ、29…入力部、30…信号処理部、31…信号発生器、32…振幅検出部、33…振幅表示部、34…位相検出部、35…位相調整部、36…位相表示部、40…信号処理部、41…除算部、42…位相表示部、50…信号処理部、51…位相検出部、52…位相調整部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由端に探針をもつカンチレバーと、
前記探針と試料を三次元的に相対的に移動させる走査部と、
加振信号に基づいて前記カンチレバーを振動させる加振部と、
前記カンチレバーの変位を検出し、その変位を表す変位信号を出力する変位検出部と、
前記加振信号と前記変位信号の位相差の情報を含む位相信号を生成する位相検出部とを備え、
前記位相検出部は、前記探針と前記試料が接触していない状態において存在する初期位相差をキャンセルする位相オフセットを前記位相差に与える位相調整部を有している、走査型プローブ顕微鏡。
【請求項2】
前記位相オフセットの情報を入力する入力部と、
前記位相信号を表示する位相表示部とをさらに備え、
前記位相調整部は、前記入力部によって入力された前記情報に従って前記位相オフセットを前記位相差に与える、請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項3】
前記変位信号の振幅を表す振幅信号を生成する振幅検出部と、
前記振幅信号を表示する振幅表示部と、
前記位相オフセットの情報を入力する入力部と、
前記位相信号を前記振幅信号で除算した除算信号を生成する除算部と、
前記除算信号を表示する位相表示部とを備えている、請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項4】
前記位相差の情報を含む第二の位相情報を生成する第二の位相検出部をさらに備え、
前記第二の位相検出部は、前記入力部によって入力された前記情報に従って前記位相オフセットに+π/2を加算した値に等しい第二の位相オフセットを前記位相差に与える第二の位相調整部を有している、請求項2または請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項5】
自由端に探針をもつカンチレバーを加振信号に基づいて振動させる工程と、
試料の表面に沿って前記探針を走査する工程と、
前記カンチレバーの変位を検出し、その変位を表す変位信号を出力する工程と、
前記加振信号と前記変位信号の位相差の情報を含む位相信号を生成する工程と、
前記探針と前記試料が接触していない状態において存在する初期位相差をキャンセルする位相オフセットを前記位相差に与える工程とを有している走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。
【請求項6】
前記位相オフセットを与える工程は、前記位相信号をモニターしながら前記位相オフセットを調整する工程を有している、請求項5に記載の走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。
【請求項7】
前記位相信号は、Acos(φ+φ−ψ)であり、ここで、Aは前記変位信号の振幅、φは前記初期位相差、−ψは前記位相オフセット、φは、前記探針と前記試料が接触したことに起因して発生する前記変位信号の位相差であり、
前記位相オフセットを調整する工程は、前記探針と前記試料が接触していない状態(φ=0)において、Acos(φ−ψ)の値が最大となるように前記位相オフセットを調整することを有している、請求項6に記載の走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。
【請求項8】
前記位相オフセットと異なる第二の位相オフセットを前記位相差に与えて、前記探針と前記試料が接触したことに起因して発生する位相差に対して敏感に変化する第二の位相信号を生成する工程をさらに有している、請求項6に記載の走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。
【請求項9】
前記位相信号は、Acos(φ+φ−ψ)であり、ここで、Aは前記変位信号の振幅、φは前記初期位相差、−ψは前記位相オフセット、φは、前記探針と前記試料が接触したことに起因して発生する前記変位信号の位相差であり、
前記位相オフセットを調整する工程は、前記探針と前記試料が接触していない状態(φ=0)において、まず、Acos(φ−ψ)の値が最大となるように前記位相オフセットを調整し、
前記第二の位相オフセットは、−ψ+π/2に等しい、請求項8に記載の走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。
【請求項10】
前記位相信号は、Acos(φ+φ−ψ)であり、ここで、Aは前記変位信号の振幅、φは前記初期位相差、−ψは前記位相オフセット、φは、前記探針と前記試料が接触したことに起因して発生する前記変位信号の位相差であり、
前記変位信号の振幅Aを表す振幅信号を生成する工程と、
前記位相信号を前記振幅信号で除算した除算信号cos(φ+φ−ψ)を生成する工程をさらに有し、
前記位相オフセットを与える工程は、前記探針と前記試料が接触していない状態(φ=0)において、cos(φ−ψ)の値をモニターしながら、cos(φ−ψ)の値が1となるように前記位相オフセットを調整する工程を有している、請求項5に記載の走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。
【請求項11】
前記位相オフセットと異なる第二の位相オフセットを前記位相差に与えて、前記探針と前記試料が接触したことに起因して発生する位相差に対して敏感に変化する第二の位相信号を生成する工程をさらに有している、請求項10に記載の走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。
【請求項12】
前記第二の位相オフセットψは前記初期位相差φに等しく調整されており、前記第二の位相オフセットは、−ψ+π/2に等しく、第二の位相信号は、Acos(φ+φ−ψ+π/2)=−Asinφである、請求項8または請求項11に記載の走査型プローブ顕微鏡の位相調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88186(P2013−88186A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227115(P2011−227115)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)