走行体の走行制御装置
【課題】各走行体に設けられた検出体の位置情報を個別に取得することができない態様においても、どの検出体がどの走行体に対応しているのかを特定可能な走行体走行装置を提供する。
【解決手段】特定期間において、全体制御装置100は、各自走車10に対して走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、第1判断処理〜第3判断処理を実行する。そして、第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、当該走行開始指示が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する。
【解決手段】特定期間において、全体制御装置100は、各自走車10に対して走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、第1判断処理〜第3判断処理を実行する。そして、第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、当該走行開始指示が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の走行体を走行させる走行体走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行体走行装置の一例として、例えば競馬ゲーム装置が挙げられる。特許文献1に開示された競馬ゲーム装置では、騎手が乗った馬の模型が、板状の競技場に配置される。その競技場の下方には、競技場と対向する板状の基台が配置される。競技場と基台との間には、基台を走行可能な走行体(自走車)が配置される。走行体の上面には磁石が設けられる。また、模型の底面のうち走行体の磁石に対応する位置には、走行体の磁石とは異なる極性の磁石が設けられる。これによって、模型は、走行体の走行に追従して競技場を移動するようになっている。
【0003】
特許文献1に開示された競馬ゲーム装置では、走行体の底面に発光体が設けられる。当該発光体は、基台の下方に設けられた所定台数のカメラで撮影され、その撮影画像から、走行体の位置データが検出される。ここで、走行体は複数存在するので、最初に、どの発光体がどの走行体に対応しているのかを特定する特定処理を行う必要がある。特許文献1に開示された競馬ゲーム装置では、最初に、各走行体における発光体の点灯動作が順次に(個別に)行われるように制御されることで、点灯した発光体がどの走行体に対応するのかが特定される。具体的には、各走行体の位置検出を行う制御手段は、全ての走行体に対して発光体を消灯する指示を与えた後、まず第1番目の走行体のみに発光体を点灯する指示を与え、そのときに取得した発光体の位置データを当該第1番目の走行体に対応付ける。つまり、そのときに点灯した発光体は第1番目の走行体に対応するものであることが特定される。次に、制御手段は、第2番目の走行体のみに発光体を点灯する指示を与え、そのときに取得した発光体の位置データを当該第2番目の走行体に対応付ける。これを繰り返すことで、各走行体に対応する発光体が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−47573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各走行体の発光体(検出体)の点灯動作を個別に制御することができず、各走行体の発光体を一斉にオンオフするのみしかできない若しくは常にオンのままの態様、または、検出体が金属片のように各走行体に設けられた検出体のうち位置情報を取得したい検出体のみを有効にすることで位置情報を個別に(排他的に)取得することができない態様においては、上述したような特定処理を採用することができない。したがって、どの検出体がどの走行体に対応しているのかを特定することが困難である。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、各走行体に設けられた検出体の位置情報を個別に取得することができない態様においても、どの検出体がどの走行体に対応しているのかを特定可能な走行体走行装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を以下に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために以下では図面の参照符号を便宜的に括弧書きで付記するが、本発明を図示の形態に限定する趣旨ではない。
【0007】
本発明に係る走行体走行装置は、走行面において複数の走行体(10)を走行させる走行体走行装置(1)であって、複数の走行体(10)のそれぞれには、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体(108)が設けられ、複数の走行体(10)のそれぞれの走行を制御する走行制御部(100)と、走行面における複数の検出体(108)のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部(102)と、位置情報出力部(102)から出力される各検出体(108)の位置情報に基づいて、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する特定部(100)と、を具備し、走行制御部(100)は、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定するための特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、特定部(100)は、特定期間において、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定することを特徴とする。
【0008】
本発明においては、特定部(100)は、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定するので、各検出体(108)の位置情報を個別に取得することができない態様であっても、各走行体(10)に対応する2つの検出体(108)を正確かつ容易に特定することができる。
【0009】
特定部(100)は、位置情報が変化した検出体(108)が2つであるか否かを判断する第1判断、位置情報が変化した2つの検出体(108)のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第2判断、もしくは位置情報が変化した2つの検出体(108)の間隔が所定の間隔に合致するか否かを判断する第3判断のうちの何れかの判断を用いた判断処理の結果が肯定である場合、または、各判断を任意に組み合わせた判断処理の結果が肯定である場合に、その位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定することが好ましい。これにより、走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)をより正確に特定できる。また、他の判断処理を組み合わせた判断処理の結果を採用し得る。
【0010】
本発明に係る走行体走行装置の態様として、特定部(100)は、どの走行体(10)に対応するのか特定されていない検出体(108)であって、且つ位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定する。この態様によれば、対応する2つの検出体(108)を特定し終えた走行体(10)を走行させ続けたまま、次の走行体(10)に対して走行開始指示を出力して、当該次の走行体(10)に対応する2つの検出体(108)を特定することもできる。例えば、第1番目に走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)を特定し終えた後も当該第1番目の走行体(10)を走行させ続けたまま、第2番目の走行体(10)に対して走行開始指示を出力する場合を想定する。この場合、第2番目の走行体(10)に対して走行開始指示を出力した後に位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報と、第2番目の走行体(10)に対して走行開始指示を出力する直前に位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報とを比較すると、位置情報が変化した検出体(108)の数は4つとなるが(第1番目の走行体は走行し続けているため)、そのうちの2つの検出体(108)については第1番目の走行体(10)に対応するものであることが既に特定されており、残りの2つの検出体(108)が、「どの走行体に対応するのか特定されていない検出体であって、且つ位置情報が変化した2つの検出体」に該当し、第2番目の走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定される。
【0011】
また、複数の走行体(10)のそれぞれに設けられる検出体(108)の数は1つであってもよい。具体的には、本発明に係る走行体走行装置は、走行面において複数の走行体(10)を走行させる走行体走行装置(1)であって、複数の走行体(10)のそれぞれには、1つの検出体(108)が設けられ、複数の走行体(10)のそれぞれの走行を制御する走行制御部(100)と、走行面における複数の検出体(108)のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部(102)と、位置情報出力部(102)から出力される各検出体(108)の位置情報に基づいて、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する検出体(108)を特定する特定部(100)と、を具備し、走行制御部(100)は、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、特定部(100)は、特定期間において、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した1つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する1つの検出体(108)として特定する。
【0012】
以上の走行体走行装置の態様として、特定部(100)で特定された、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)の位置情報を追尾する追尾部をさらに備えることが好ましい。これにより、各走行体(10)の位置情報を追尾(トラッキング)することができる。
【0013】
以上の走行体走行装置における位置情報出力部(102)は、各検出体(108)の位置情報を出力するものであればよく、その態様は任意である。例えば、検出体(108)は導電体で構成され、走行面には、互いに直交するとともに各交差で電磁結合する複数の駆動線(130)および複数の検出線(132)が設けられ、位置情報出力部(102)は、複数の駆動線(130)の各々に対して駆動電流(Id)を順番に出力し、各検出線(132)を流れる誘導電流(It)の値に基づいて、各検出体(108)の位置情報を取得して出力する態様であってもよい。この態様では、位置情報出力部(102)は、所定の間隔で走行面をスキャンすることで、走行面における各検出体(108)の位置情報を一斉に取得して出力するが、各検出体(108)の位置情報を個別に出力することはできない。しかしながら、前述したように、特定部(100)は、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定するので、この態様であっても、どの2つの検出体がどの走行体に対応しているのかを正確に特定することができる。
【0014】
本発明は、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する方法としても特定される。本発明に係る特定方法は、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体(108)がそれぞれに設けられる複数の走行体(10)を走行面で走行させる走行体走行装置(1)において、走行面における複数の検出体(108)のそれぞれの位置情報に基づいて、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する方法であって、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定するための特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、走行開始指示を出力するたびに、その前後における各検出体(108)の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定することを特徴とする。以上の方法によっても本発明に係る走行体走行装置と同様の効果が得られる。
【0015】
また、本発明は、プログラムの発明として捉えることもできる。すなわち、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体(108)がそれぞれに設けられる複数の走行体(10)を走行面で走行させる走行体走行装置(1)が有するプログラムであって、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定するための特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、走行開始指示を出力するたびに、その前後での、走行面における各検出体(108)の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定する処理を走行体走行装置(1)に実行させることを特徴とするプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置を示す斜視図である。
【図2】床板と馬の模型を取り外した状態のゲーム装置の斜視図である。
【図3】ゲーム装置における馬の模型と自走車とを示す側面図である。
【図4】自走車の平面図である。
【図5】自走車の底面図である。
【図6】ゲーム装置の制御系統の概略を示すブロック図である。
【図7】位置情報出力部の概略を示すブロック図である。
【図8】位置情報出力部の具体的な動作を示すタイミングチャートである。
【図9】センシングデータを説明するための図である。
【図10】特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。
【図11】準備期間における各自走車の配置を示す図である。
【図12】1台の自走車が所定の期間だけ前進した後に停止したときの各自走車の配置を示す図である。
【図13】本発明の変形例に係る特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。
<1.ゲーム装置全体>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るゲーム装置1は、複数の柱2と、柱2に水平に支持された床板3と、床板3の上を走行する複数の(図の実施の形態では3つの)馬の模型4を備える。図1には示されていないが、馬の模型4の各々は、床板3の下にある自走車に磁力で牽引されて、床板3の上を走行する。このゲーム装置1では競馬ゲームが実行される。競馬ゲーム装置においては、図1の仮想線で示すように馬の模型4は楕円またはほぼ四角形を描くように走行する。また、図示はされていないが、互いに交差するような線を描くように馬の模型4を走行させても良い。
【0018】
図2は、床板3と馬の模型4を取り外した状態のゲーム装置1の斜視図である。柱2に固定された枠2aに、自走車が走行する第2の床板6が水平に支持されている。この枠2aには、自走車に充電するための充電装置5が取り付けられている。第2の床板6には、2つの直方体状のブロック7が載せられている。柱2の上端にある複数のブラケット8とブロック7によって、床板3は支持されている。
【0019】
図3に示すように、床板3と第2の床板6の間の空間には、自走車10が配置されている。実施の形態のゲーム装置1には、3つの馬の模型4に対応する3つの自走車10と、スタートゲート(不図示)に対応する2つの自走車10とが設けられているが、説明の簡略化のため、1つの馬の模型4に対応する1つの自走車10のみを図3は示す。
【0020】
図3ないし図5を参照し、自走車10の詳細を説明する。走行可能な自走車10は、上部14と下部16と電源アセンブリ30とを備える。上部14と下部16はサスペンション18によって連結されている。図5の下面図に最も良好に示すように、下部16の長手方向の両端部には、一対のキャスタ20が取り付けられており、下部16の横断方向の両端部には、一対の車輪22が取り付けられている。キャスタ20および車輪22によって、自走車10は第2の床板6の上を走行可能である。
【0021】
図4の平面図に最も良好に示すように、上部14の長手方向の両端部には、一対のキャスタ24が取り付けられており、上部14の横断方向の両端部には、一対の駆動車輪26が取り付けられている。これらの駆動車輪26は、上部14に固定された別個の車輪用モータ28によってそれぞれ回転させられる。車輪用モータ28の回転は、図示しない歯車列によって、その車輪用モータ28に対応する駆動車輪26に伝達される。歯車列の代わりに、他の適切な動力伝達機構、例えば、ベルトとプーリを利用した機構、チェーンとスプロケットを利用した機構を用いてもよい。
【0022】
図3に示すように、自走車10の上部14には、充電可能な1つ以上の電源装置が内部に配置された電源アセンブリ30が保持される。上部14の内部には、電源アセンブリ30の電源装置から給電されて、車輪用モータ28を駆動して、駆動車輪26を回転させる駆動回路150が形成された駆動回路基板32が固定されている。
【0023】
後述する模型牽引部34,36と模型アセンブリ40の被牽引部52,54の間に作用する磁力によって、自走車10全体が上向きすなわち床板3に向けて引き付けられている。このため、キャスタ24の車輪および駆動車輪26は、上方の床板3に接触する。駆動車輪26が回転すると、駆動車輪26と床板3の摩擦接触により、自走車10が図3の矢印で示す方向に走行する。このように、車輪用モータ28および駆動車輪26は、電源アセンブリ30によって走行可能な走行機構である。但し、駆動車輪26の代わりに、他の適切な走行手段、例えばキャタピラ、リンク機構を持つアームまたはリンク機構を持つレッグを使用してもよい。
【0024】
別個の車輪用モータ28が両方の駆動車輪26をそれぞれ回転させるので、両方の駆動車輪26を異なる回転速度で回転させることが可能であり、駆動車輪26の速度差によって自走車10は曲がって進むことができる。キャスタ20,24は、自走車10の方向転換を容易にする。車輪用モータ28のシャフトは両方向に回転可能であって、自走車10は前進も後退も可能である。両方の駆動車輪26を互いに逆方向に回転させることによって、自走車10はその場で垂直軸の周りを回転することができる。
【0025】
床板3の上には、模型アセンブリ40が配置されている。模型アセンブリ40は、台車42と、台車42に回転自在に取り付けられた一対の車輪44と、台車42に回転自在に取り付けられた1つのキャスタ46と、台車42に立てられた支柱48と、支柱48に取り付けられた馬の模型4とを備える。さらに、馬の模型4の上には騎手の模型50が乗っている。台車42の内部には、2つの被牽引部52,54が配置されている。被牽引部52,54は、強磁性体または磁石であり、好ましくは永久磁石である。
【0026】
他方、自走車10の上部14には、模型牽引部34,36が取り付けられている。模型牽引部34,36は、強磁性体または磁石であり、好ましくは永久磁石である。床板3は、非磁性体によって形成されており、自走車10の模型牽引部34と模型アセンブリ40の被牽引部52が磁力によって引き付け合い、自走車10の模型牽引部36と模型アセンブリ40の被牽引部54が磁力によって引き付け合う。従って、自走車10が走行するとき、模型牽引部34,36は、自走車10と一緒に模型アセンブリ40が走行するように模型アセンブリ40を引き付ける。好ましい実施の形態では、模型牽引部34,36および被牽引部52,54は永久磁石であるが、他の選択肢も採用可能である。
【0027】
以上のように、床板3の下を自走車10が走行し、自走車10に対応する模型アセンブリ40が自走車10に牽引されて、図3の矢印に示すように床板3の上を走行する。本実施形態では、図3の矢印の方向が自走車10の前進方向であり、図3の矢印とは反対の方向が自走車10の後進方向である。
【0028】
<2.ゲーム装置の制御系統>
次に、図6を参照し、ゲーム装置の制御系統の概略を説明する。ゲーム装置の制御系統は、全体制御装置100と、位置情報出力部102と、第1の発光装置104と、第2の発光装置106を備える。全体制御装置100は、コンピュータであって、複数の自走車10と充電装置5を含むゲーム装置全体を制御する。図の実施の形態においては、単一の全体制御装置100が使用されているが、位置情報出力部102から信号を受けるとともに第1の発光装置104および第2の発光装置106を制御する制御装置と、充電装置5から信号を受けるとともに充電装置5を制御する制御装置が個別に設けられていてもよい。
【0029】
第1の発光装置104は、すべての自走車10の動作を一斉に起動するためのある波長領域の光(例えば可視光)を発する。全体制御装置100は、コンピュータプログラムに従って、第1の発光装置104を発光させる。
【0030】
第2の発光装置106は、自走車10の起動後に各自走車10の走行を制御する走行制御信号を、第1の発光装置104が発する光とは異なる波長領域の光(例えば赤外線)によって送信する。全体制御装置100は、コンピュータプログラムに従って、複数の自走車10を制御する走行制御信号を第2の発光装置106に供給し、第2の発光装置106はそれらの走行制御信号に応じて発光する。各走行制御信号には、制御対象の自走車10を識別する識別情報が付与されており、自走車10は自身を宛先とする走行制御信号を認識することができる。発光装置104,106の代わりに、他の電波を利用した無線通信方式を利用する通信装置を使用することも可能である。
【0031】
好ましくは、光透過性が高い第2の床板6(図1ないし図3参照)を使用し、第1の発光装置104および第2の発光装置106は、第2の床板6の下に配置してもよい。但し、第2の床板6の光透過性が低い場合には、第1の発光装置104および第2の発光装置106は、床板3と第2の床板6の間に配置してもよい。
【0032】
図5の底面図に示すように、自走車10の下部16の底面には、2つの第1の光センサ110および2つの第2の光センサ112が露出している。第1の光センサ110は、例えば可視光センサであり、第1の発光装置104が発する光を受けると受光信号を出力する。第2の光センサ112は、例えば赤外線センサであり、第2の発光装置106が発する光で送信された走行制御信号を出力する。図の実施の形態では、あるセンサへの光の到達に障害があっても、他のセンサが光を受けることが可能なように、2つの第1の光センサ110および2つの第2の光センサ112が設けられている。但し、単一の第1の光センサ110と単一の第2の光センサ112が設けられていてもよい。3つ以上の第1の光センサ110と3つ以上の第2の光センサ112が設けられていてもよい。
【0033】
図6に示すように、各自走車10は、CPU(central processing unit)114と、給電制御回路116と、コイン電池118をさらに備える。CPU114は図3に示す駆動回路基板32に装着されており、給電制御回路116は図3に示す給電制御回路基板120に装着される。コイン電池118は、自走車10に取り付けおよび取り外しが可能である。コイン電池118は、第1の光センサ110が受光信号を出力可能なように常に第1の発光装置104に給電する。給電制御回路116は、第1の発光装置104の発光によって、第1の光センサ110からの受光信号を受けると、電源アセンブリ30の電源装置60からのCPU114、第2の光センサ112および両方の車輪用モータ28への給電を可能にする。
【0034】
電源装置60からこれらの要素への給電開始後、第2の光センサ112は、第2の発光装置106から送信された走行制御信号をCPU114に伝達する。CPU114は、複数の自走車10のための走行制御信号のうち、CPU114が属する自走車10のための走行制御信号を選択して、その走行制御信号に従って、両方の車輪用モータ28を制御する。
【0035】
走行制御信号は、車輪用モータ28の各々の回転速度を指定する。結果的に、1つの自走車10につき駆動車輪26の各々の回転速度が制御される。両方の駆動車輪26の回転速度が同じであれば、自走車10は直進し、そうでなければ、自走車10は曲がって進む。
【0036】
次に、図7を参照しながら、位置情報出力部102について説明する。本実施形態では、第2の床板6の表面(自走車10が走行する側の面)は、シート状の部材である位置検出用シートLdsで覆われる。そして、位置検出用シートLdsの表面(第2の床板6と接触する側とは反対側の面)には、X方向に延在するm本の駆動コイル130と、X方向に交差するY方向に延在するn本の検出コイル132とが形成される。本実施形態では、駆動コイル130の数は150本、検出コイル132の数は300本である。また、互いに隣接する駆動コイル130の間隔、および、互いに隣接する検出コイル132の間隔はそれぞれ10mmに設定される。ただし、これらの値は任意に設定可能である。図7の紙面垂直方向から見ると、検出コイル132の平行な導線部分は、駆動コイル130の平行な導線部分と直交している。但し、図示しないが、検出コイル132が配置された層は、駆動コイル130が配置された層とは異なり、これらの層は平行に配置されており、これらの層の間には非導電体の層がある。
【0037】
複数の駆動コイル130と複数の検出コイル132とは、各交差で電磁結合する。本実施形態では、駆動コイル130と検出コイル132との交差する部分をセルPと呼ぶ。すなわち、位置検出用シートLdsの表面には、複数のセルPが縦m行×横n列のマトリクス状に配列される。詳細な図示は省略するが、複数のセルPがマトリクス状に形成された位置検出用シートLdsの表面は、透明なアクリル基板で覆われる。そして、自走車10は、そのアクリル基板上を走行する。
【0038】
図7に示すように、位置情報出力部102は、複数のセルPが配列されたセル部140と、駆動回路150と、検出回路160と、位置情報出力部102全体の動作を統括するとともに各種の処理を実行する処理回路170とを含んで構成される。駆動回路150は、処理回路170から供給されるタイミング信号VSYNCに基づいて、複数の駆動コイル130の各々に対して駆動電流Idを順番に出力する。説明の便宜上、第i行(1≦i≦m)の駆動コイル130に出力される駆動電流をId[i]と表記する。例えば第i行の駆動コイル130に駆動電流Id[i]が出力されると、第i行の駆動コイル130とn本の検出コイル132との各交差に配置されるn個のセルPには相互誘導による誘導起電力が生じて、n本の検出コイル132には誘導電流It(It[1]〜It[n])が流れる。説明の便宜上、第j列目(1≦j≦n)の検出コイル132を流れる誘導電流をIt[j]と表記する。
【0039】
図5に示すように、自走車10の下部16の底面には、導電体から形成された円板状の一対の被検出片108(108F,108R)が、それぞれの中心が所定の間隔だけ離れて固定されている。一対の被検出片108のうち自走車10の前進方向側に設けられた被検出片を108Fと表記し、自走車10の後進方向側に設けられた被検出片を108Rと表記する。例えば、ある自走車10に設けられた2つの被検出片108のうちの一つが、第i行の駆動コイル130と第j列目の検出コイル132との交差に配置されたセルP[i,j]に対応する位置に存在する場合は、当該セルP[i,j]に対応する位置に被検出片108が存在しない場合に比べて、当該セルP[i,j]を貫く磁束の変化が大きくなる。したがって、この場合の誘導電流It[j]の値は、当該セルP[i,j]に対応する位置に被検出片108が存在しない場合に比べて大きい値を示す。
【0040】
図8は、位置情報出力部102の具体的な動作を示すタイミングチャートである。駆動回路150は、1フィールド期間内のm個の単位期間T(T[1]〜T[m])の各々において、駆動コイル130に対して順番に駆動電流Id[1]〜Id[m]を出力する。本実施形態では、1フィールド期間は、10ミリ秒に設定される。図8において、駆動電流Id[i]がハイレベルであるときは、第i行の駆動コイル130に駆動電流Id[i]が出力されることを意味し、駆動電流Id[i]がローレベルであるときは、第i行の駆動コイル130に対する駆動電流Id[i]の出力は停止されていることを意味する。図8に示すように、第i行の駆動コイル130に出力される駆動電流Id[i]は、各フィールド期間内の第i番目の単位期間T[i]にてハイレベルに設定される。
【0041】
図7に示すように、n本の検出コイル132の各々と検出回路160との間にはスイッチSWが設けられる。本実施形態において、スイッチSWはNチャネル型のトランジスタで構成される。n個のスイッチSWのそれぞれは、処理回路170から供給される動作信号SELがアクティブレベル(ハイレベル)に遷移するとオン状態になる。説明の便宜上、第j列目の検出コイル132に対応するスイッチSWに供給される動作信号SELをSEL[j]と表記する。図8に示すように、各単位期間T(T[1]〜T[m])において、動作信号SEL[1]〜SEL[n]は順次にアクティブレベルに遷移する。図8において、第i番目の単位期間T[i]に着目すると、当該単位期間T[i]において、動作信号SEL[1]〜SEL[n]は順次にハイレベルに遷移していることが分かる。つまり、単位期間T[i]において、n個のスイッチSWの各々は順次にオン状態に遷移するから、当該単位期間T[i]において各検出コイル132を流れる誘導電流It[1]〜It[n](アナログ値)は、スイッチSWを介して検出回路160に順次出力される。検出回路160は、この誘導電流It[1]〜It[n]を図示しないアンプで増幅したうえで、処理回路170へ出力する。
【0042】
処理回路170は、検出回路160から順次に出力される誘導電流Itに基づいて、フィールド期間ごとのセンシングデータを生成する。より具体的には、処理回路170は、検出回路160から出力される誘導電流を2値の検出値d(デジタル値)に順次に変換し、その変換した検出値dを1フィールド期間ごとに区分することでセンシングデータを生成する。すなわち、1フィールド期間ごとのセンシングデータは、m×n個の検出値dの集合となる。本実施形態では、処理回路170は、検出回路160から順次に出力される誘導電流Itのうち所定の閾値を超えるものは検出値dを「1」とし、所定の閾値以下のものは検出値dを「0」とする。したがって、図9に示すように、被検出片108が存在する位置に対応するセルPの検出値は「1」となり、被検出片108が存在しない位置に対応するセルPの検出値は「0」となる。なお、本実施形態では、1コイル当たり10とする座標系が付与され、各検出値d(センシングデータ)のX座標は0〜2999、Y座標は0〜1499となる。処理回路170は、フィールド期間ごとのセンシングデータに基づいて、各フィールド期間における各被検出片108の中心座標を算出する。これにより、処理回路170は、各フィールド期間における各被検出片108の位置情報(第2の床板6における各被検出片108の位置を示す情報)を取得する。処理回路170は、このようにして取得した各被検出片108の位置情報を全体制御装置100へ出力する。全体制御装置100は、処理回路170から出力されるフィールド期間ごとの各被検出片108の位置情報をメモリ(不図示)に保持する。
【0043】
<3.特定処理>
全体制御装置100は、位置情報出力部102から出力される各被検出片108の位置情報に基づいて、複数の自走車10のそれぞれに対応する2つの被検出片108を特定する処理(「特定処理」と呼ぶ)を実行する。より具体的には、全体制御装置100は、複数の自走車10のそれぞれに対応する2つの被検出片108を特定するための特定期間において、複数の自走車10のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力する。特定期間は、ゲーム装置1の電源が投入されるたびに実行される初期化処理中に設定されたり、ゲーム装置1が遊技施設に設置されて初めて電源が投入され、特定処理が1度も実行されていない場合の初期化処理中に設定されたり、遊技施設の管理者の操作で任意のタイミングで設定される。そして、全体制御装置100は、走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの被検出片108を、当該走行開始指示が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する。以下、その詳細な内容について説明する。
【0044】
図10は、特定期間において全体制御装置100が実行する特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。図10に示すように、全体制御装置100は、まず位置情報出力部102に対して、各被検出片108の位置情報の出力を開始するように指示する(ステップS1)。この処理には、位置情報出力部102に対する各種設定の処理が含まれる。全体制御装置100が、位置情報出力部102に対して動作開始指示を出力してから第1番目の自走車10に対して走行開始指示を出力するまでの期間(「準備期間」と呼ぶ)においては、3つの馬の模型4に対応する3台の自走車10(10A,10B,10C)は停止した状態である。この準備期間の時間長は、位置情報出力部102のスキャン期間である10ミリ秒よりも十分に長い値に設定される。本実施形態では、位置情報出力部102は、10ミリ秒ごとに、各被検出片108の位置情報を取得して全体制御装置100へ出力するので、準備期間の時間長が10ミリ秒よりも十分に長い値に設定されていれば、位置情報出力部102は、準備期間における各被検出片108の位置情報、すなわち、各走行体(10A,10B,10C)が停止した状態における各被検出片108の位置情報を確実に取得することができる。そして、位置情報出力部102は、その取得した各被検出片108の位置情報を全体制御装置100へ出力する。位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報は、図示しないメモリに保持される。
【0045】
図11は、準備期間における各自走車(10A,10B,10C)の配置を示す図である。図11に示す黒丸は、各被検出片108の中心座標(位置情報に相当)を示す。図11における各マス目はセルPを示し、例えば図11における左下端のマス目は、第1行の駆動コイル130と第1列の検出コイル132との交差に配置されるセルP[1,1]を示す。自走車10Aに設けられた一対の被検出片108のうち前進方向側の被検出片を108Faと表記し、後進方向側の被検出片を108Raと表記する。自走車10Bに設けられた一対の被検出片108のうち前進方向側の被検出片を108Fbと表記し、後進方向側の被検出片を108Rbと表記する。さらに、自走車10Cに設けられた一対の被検出片108のうち前進方向側の被検出片を108Fcと表記し、後進方向側の被検出片を108Rcと表記する。図11に示すように、スキャン方向(m本の駆動コイル130を順番に駆動していく方向)は、Y方向の正側に向かう方向なので(併せて図7および図8も参照)、1回のスキャンにおいて、被検出片108Rb→被検出片108Ra→被検出片108Fb→被検出片108Fa→被検出片108Fc→被検出片108Rcの順番で、それぞれの検出値dが求められる。すなわち、位置情報出力部102は、スキャン毎に全体制御装置100に対して各被検出片108の位置情報を繰り返し出力し続ける。
【0046】
再び図10のフローチャートに戻って説明を続ける。ステップS1の後、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対して、所定の期間(または移動量)だけ前進することを指示する走行制御信号を順番(本実施形態では、自走車10A→自走車10B→自走車10Cの順番)に出力して、各自走車10を個別に走行させる(ステップS2)。まず、全体制御装置100は、自走車10Aに対して所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力する。自走車10AのCPU114は、第2の発光装置106から送信された走行制御信号にしたがって両方の車輪用モータ28を制御する。図12は、自走車10Aが、所定の期間だけ前進して停止したときの各自走車(10A,10B,10C)の配置を示す図である。図11および図12からも理解されるように、この場合は、6個の被検出片(108Fa,108Ra,108Fb,108Rb,108Fc,108Rc)のうち2個の被検出片(108Faおよび108Ra)の位置情報(中心座標)が変化する。
【0047】
ステップS2の後、全体制御装置100は、上述の走行制御信号を出力した後に位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報と、上述の走行制御信号を出力する直前に位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報とをメモリ(不図示)から読み出し、両者の比較処理を実行する(ステップS3)。
【0048】
ステップS3の後、全体制御装置100は、位置情報が変化した被検出片108が2つであるか否かを判断する第1判断処理、位置情報が変化した2つの被検出片108のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第2判断処理、および、位置情報が変化した2つの被検出片108の間隔が所定の間隔であるか否かを判断する第3判断処理を実行し(ステップS4)、第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、自走車10Aに設けられた2個の被検出片(108Fa,108Ra)の位置情報が変化するので、第1判断処理の結果は肯定となる。また、被検出片108Faおよび108Raのそれぞれの移動方向のベクトルは一致するので、第2判断処理の結果も肯定となる。さらに、位置情報が変化した2つの被検出片108Faおよび108Raの間隔(図11および図12のY方向における距離)は所定の間隔に合致するので、第3判断処理の結果も肯定となり、第1判断処理〜第3判断処理の結果は全て肯定となる。
【0049】
第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定である場合は、全体制御装置100は、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する(ステップS6)。すなわち、前進指示の前後で変化した位置情報から、2つの被検出片108が自走車10Aに対応する前進方向側の108Faと後進方向側の108Raとしてそれぞれ特定される。そして、全体制御装置100は、その2つの被検出片(108Faおよび108Ra)のそれぞれの位置情報と、自走車10Aを識別する識別情報とを対応付けてメモリ(不図示)に保持する。一方、ステップS5の結果が否定である場合は、再びステップS2に戻る。この場合、全体制御装置100は、再び、自走車10Aに対して所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力し、上述のステップS3〜ステップS5の処理を繰り返す。所定回数繰り返してもステップS5の結果が肯定とならない場合には、自走車10Aが故障であると判断して特定処理を中断し、所定のエラー処理を行う。所定回数繰り返してもステップS5の結果が肯定とならない場合には、自走車10Aが故障であることを記憶してステップS5をスキップさせ、特定処理が終了した時点で故障の自走車10Aが有る場合に所定のエラー処理を行うようにしてもよい。なお、自走車10Aが故障である場合として、被検出片108を固定しているネジがゆるんで被検出片108が外れている状態が例示できる。
【0050】
ステップS6の後、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対応する2つの被検出片108の特定を終了したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の結果が否定の場合は、再びステップS2に戻り、特定処理が続けられる。ここでは、自走車10Bおよび自走車10Cのそれぞれに対応する2つの被検出片108の特定が終了していないので、ステップS7の結果は否定となり、ステップS2に戻る。そして、当該ステップS2において、全体制御装置100は、第2番目の自走車10Bに対して所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力する。その後のステップS3以降の処理は、上述した内容と同様であり、自走車10Bに対応する2つの検出体(108Fb,108Rb)が特定される。同様にして、自走車10Cに対応する2つの検出体(108Fc,108Rc)も特定される。各自走車(10A,10B,10C)に対応する2つの被検出片108の特定が終了してステップS7の結果が肯定になると、上述の特定処理は終了する。その後、全体制御装置100は、複数の自走車(10A,10B,10C)のそれぞれに対応する2つの被検出片108の位置情報を追尾するように制御することで、各自走車(10A,10B,10C)の位置情報を追尾する。本実施形態では、複数の自走車(10A,10B,10C)のそれぞれには、所定の間隔だけ離れて配置される2つの被検出片108が設けられるので、各自走車10に被検出片108が1つのみ設けられる態様に比べて、各自走車(10A,10B,10C)の走行方向をより正確に特定できる。
【0051】
なお、第2の床板6に金属体の異物が存在している場合には、どの自走車(10A,10B,10C)にも対応しない位置情報が位置情報出力部102から出力されることになる。特定処理の終了後にどの自走車にも対応しない位置情報が含まれる場合には、異物等が存在すると判断してエラー報知を行う。すなわち、全体制御装置100(特定部)は、複数の自走車(走行体)のそれぞれに対応する2つの検出体を特定し終えた後、どの走行体の検出体にも対応しない位置情報が含まれていると判断したとき、エラー通知指示を行う。エラー通知は、ゲーム装置1に備えた表示部や通信を介して外部へ通知する。
【0052】
以上に説明したように、特定期間において、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対して、所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力するたびに(走行開始指示を出力するたびに)、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、上述の第1判断処理〜第3判断処理を実行する。そして、第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、当該走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定するので、各被検出片108の位置情報を個別に取得することができない態様であっても、各自走車10に対応する2つの被検出片108を正確かつ容易に特定できるという利点がある。
【0053】
<4.変形例>
以上の実施形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は併合され得る。
【0054】
(1)変形例1
上述の実施形態では、複数の自走車10のそれぞれには2つの被検出片108が設けられているが、これに限らず、複数の自走車10のそれぞれには1つの被検出片108のみが設けられる態様とすることもできる。この態様では、特定期間において、全体制御装置100は、各自走車10に対して、所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力するたびに、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した1つの被検出片108を、当該走行制御信号が出力された自走車10に対応する被検出片108として特定する。これにより、各被検出片108の位置情報を個別に取得することができない態様であっても、各自走車10に対応する被検出片108を正確に特定できる。
【0055】
(2)変形例2
上述の実施形態では、特定期間において、全体制御装置100は、各自走車10を個別に走行させながら特定処理を実行しているが、これに限らず、例えば全体制御装置100は、対応する2つの被検出片108を特定し終えた自走車10を走行させ続けたまま、次の自走車10に対応する2つの被検出片108を特定することもできる。より具体的には以下のとおりである。
【0056】
図13は、この態様における特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。以下、上述の実施形態と異なる部分を中心に説明する。図13のステップS2において、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対して、連続走行(連続的に前進すること)を指示する走行制御信号を順番(この態様では、自走車10A→自走車10B→自走車10Cの順番)に出力する。まず、全体制御装置100は、第1番目の自走車10Aに対して連続走行を指示する走行制御信号を出力する。自走車10AのCPU114は、第2の発光装置106から送信された走行制御信号にしたがって両方の車輪用モータ28を制御する。ステップS2の後のステップS3の比較処理の内容は上述の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0057】
ステップS3の後、全体制御装置100は、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108があるか否かを判断する第4判断処理を実行し(ステップS4)、第4判断処理の結果が肯定であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、6個の被検出片108の何れも、どの自走車10に対応するのか特定されておらず、位置情報が変化した被検出片108は、被検出片108Faおよび108Raの2つであるので、第4判断処理の結果は肯定となる。第4判断処理の結果が肯定である場合は、全体制御装置100は、その2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する(ステップS6)。したがって、被検出片108Faおよび108Raが、上述の走行制御信号が出力された自走車10Aに対応する2つの被検出片108として特定される。
【0058】
ステップS6の後、全体制御装置100は、各自走車10に対応する2つの被検出片108の特定を終了したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の結果が否定の場合は、再びステップS2に戻り、特定処理が続けられる。ここでは、まだ自走車10Bおよび自走車10Cのそれぞれに対応する2つの被検出片108が特定されていないため、ステップS7の結果は否定となり、ステップS2に戻る。そして、当該ステップS2において、全体制御装置100は、第2番目の自走車10Bに対して連続走行を指示する走行制御信号を出力する。これにより、自走車10Bは連続走行を開始するが、対応する2つの被検出片108が既に特定された自走車10Aも走行し続けるので、ステップS3の比較処理の結果、位置情報が変化した被検出片108の数は4つ(108Fa,108Ra,108Fb,108Rb)となる。ただし、このうちの2つの被検出片108Faおよび108Raについては、自走車10Aに対応するものであることが既に特定されているので、残りの2つの被検出片108Fbおよび108Rbが、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108となる。したがって、ステップS4の第4判断処理の結果は肯定となり(ステップS5)、当該2つの被検出片108Fbおよび108Rbが、ステップS2で走行制御信号が出力された自走車10Bに対応する2つの被検出片108として特定される(ステップS6)。その後、再び上述のステップS2〜ステップS6の処理が繰り返されて、第3番目の自走車10Cに対応する2つの被検出片(108Fc,108Rc)も特定される。この態様であっても、各自走車10に対応する2つの被検出片108を特定することが可能である。
【0059】
なお、図13のステップS4の第4判断処理の代わりに、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した被検出片108が2つであるか否かを判断する第5判断処理、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第6判断処理、および、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108の間隔が所定の間隔であるか否かを判断する第7判断処理を実行し、第5判断処理〜第7判断処理の結果の全てが肯定である場合に、その2つの被検出片108を、連続走行を指示する走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定することもできる。これにより、連続走行を指示する走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108をより正確に特定できる。
【0060】
(3)変形例3
上述の実施形態では、全体制御装置100は、第1判断処理〜第3判断処理の全てを実行しているが、これに限らず、例えば全体制御装置100は、第1判断処理〜第3判断処理の何れか1つのみを実行する態様であってもよい。例えば全体制御装置100は、第1判断処理のみを実行し、第1判断処理の結果が肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する態様であってもよい。
【0061】
また、例えば全体制御装置100は、各判断処理(第1判断処理〜第3判断処理)を任意に組み合わせた判断処理の結果が肯定である場合に、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定することもできる。例えば全体制御装置100は、第3判断処理を実行せずに、第1判断処理および第2判断処理を実行し、これらの結果が肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片として特定することもできる。また、さらに他の判断処理を組み合わせてもよい。
【0062】
(4)変形例4
上述の実施形態に係るゲーム装置1では競馬ゲームが実行されているが、これに限らず、ゲーム装置1で実行されるゲームの種類は任意である。例えば自走車10に牽引される模型として競輪選手が乗った自転車が採用され、競輪ゲームが実行される態様であってもよいし、自走車10に牽引される模型として競争車(レーシングカー)が採用され、レーシングゲームが実行される態様であってもよい。さらに、自走車10に牽引される模型や床板3が設けられず、自走車10自体がプレイヤーに視認される態様であってもよい。この態様のゲーム装置1で実行されるゲームの種類も任意であり、例えば競争車の形状の自走車10が採用され、レーシングゲームを実行することもできる。要するに、本発明は、複数の走行体を走行させる走行体走行装置に対して適用可能である。
【0063】
(5)変形例5
上述の実施形態では、位置情報出力部102は、電磁結合を利用して各被検出片108の位置情報を出力しているが、これに限らず、例えば位置情報出力部102は、各走行体に設けられた発光体を撮影した画像に基づいて、各発光体の位置情報を出力するものであってもよい。ただし、この場合、各走行体の発光体は一斉にオンオフするのみしかできない若しくは常にオンのままであることが前提となる。要するに、位置情報出力部102としては、複数の自走車10のそれぞれに設けられた検出体の位置情報を一斉に出力できるものの、各検出体の位置情報を個別に出力できないタイプのものであればよい。
【符号の説明】
【0064】
1……ゲーム装置、2……柱、2a……枠、3……床板、4……馬の模型、5……充電装置、6……第2の床板、10……自走車、20……キャスタ、22……車輪、26……駆動車輪、28……車輪用モータ、30……電源アセンブリ、40……模型アセンブリ、100……全体制御装置、102……位置情報出力部、104……第1の発光装置、106……第2の発光装置、108……被検出片、110……第1の光センサ、112……第2の光センサ、130……駆動コイル、132……検出コイル、140……セル部、150……駆動回路、160……検出回路、170……処理回路、Id……駆動電流、It……誘導電流、Lds…位置検出用シート、…P……セル、SEL……動作信号、SW……スイッチ、T……単位期間、VSYNC……タイミング信号。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の走行体を走行させる走行体走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行体走行装置の一例として、例えば競馬ゲーム装置が挙げられる。特許文献1に開示された競馬ゲーム装置では、騎手が乗った馬の模型が、板状の競技場に配置される。その競技場の下方には、競技場と対向する板状の基台が配置される。競技場と基台との間には、基台を走行可能な走行体(自走車)が配置される。走行体の上面には磁石が設けられる。また、模型の底面のうち走行体の磁石に対応する位置には、走行体の磁石とは異なる極性の磁石が設けられる。これによって、模型は、走行体の走行に追従して競技場を移動するようになっている。
【0003】
特許文献1に開示された競馬ゲーム装置では、走行体の底面に発光体が設けられる。当該発光体は、基台の下方に設けられた所定台数のカメラで撮影され、その撮影画像から、走行体の位置データが検出される。ここで、走行体は複数存在するので、最初に、どの発光体がどの走行体に対応しているのかを特定する特定処理を行う必要がある。特許文献1に開示された競馬ゲーム装置では、最初に、各走行体における発光体の点灯動作が順次に(個別に)行われるように制御されることで、点灯した発光体がどの走行体に対応するのかが特定される。具体的には、各走行体の位置検出を行う制御手段は、全ての走行体に対して発光体を消灯する指示を与えた後、まず第1番目の走行体のみに発光体を点灯する指示を与え、そのときに取得した発光体の位置データを当該第1番目の走行体に対応付ける。つまり、そのときに点灯した発光体は第1番目の走行体に対応するものであることが特定される。次に、制御手段は、第2番目の走行体のみに発光体を点灯する指示を与え、そのときに取得した発光体の位置データを当該第2番目の走行体に対応付ける。これを繰り返すことで、各走行体に対応する発光体が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−47573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各走行体の発光体(検出体)の点灯動作を個別に制御することができず、各走行体の発光体を一斉にオンオフするのみしかできない若しくは常にオンのままの態様、または、検出体が金属片のように各走行体に設けられた検出体のうち位置情報を取得したい検出体のみを有効にすることで位置情報を個別に(排他的に)取得することができない態様においては、上述したような特定処理を採用することができない。したがって、どの検出体がどの走行体に対応しているのかを特定することが困難である。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、各走行体に設けられた検出体の位置情報を個別に取得することができない態様においても、どの検出体がどの走行体に対応しているのかを特定可能な走行体走行装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を以下に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために以下では図面の参照符号を便宜的に括弧書きで付記するが、本発明を図示の形態に限定する趣旨ではない。
【0007】
本発明に係る走行体走行装置は、走行面において複数の走行体(10)を走行させる走行体走行装置(1)であって、複数の走行体(10)のそれぞれには、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体(108)が設けられ、複数の走行体(10)のそれぞれの走行を制御する走行制御部(100)と、走行面における複数の検出体(108)のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部(102)と、位置情報出力部(102)から出力される各検出体(108)の位置情報に基づいて、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する特定部(100)と、を具備し、走行制御部(100)は、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定するための特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、特定部(100)は、特定期間において、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定することを特徴とする。
【0008】
本発明においては、特定部(100)は、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定するので、各検出体(108)の位置情報を個別に取得することができない態様であっても、各走行体(10)に対応する2つの検出体(108)を正確かつ容易に特定することができる。
【0009】
特定部(100)は、位置情報が変化した検出体(108)が2つであるか否かを判断する第1判断、位置情報が変化した2つの検出体(108)のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第2判断、もしくは位置情報が変化した2つの検出体(108)の間隔が所定の間隔に合致するか否かを判断する第3判断のうちの何れかの判断を用いた判断処理の結果が肯定である場合、または、各判断を任意に組み合わせた判断処理の結果が肯定である場合に、その位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定することが好ましい。これにより、走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)をより正確に特定できる。また、他の判断処理を組み合わせた判断処理の結果を採用し得る。
【0010】
本発明に係る走行体走行装置の態様として、特定部(100)は、どの走行体(10)に対応するのか特定されていない検出体(108)であって、且つ位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定する。この態様によれば、対応する2つの検出体(108)を特定し終えた走行体(10)を走行させ続けたまま、次の走行体(10)に対して走行開始指示を出力して、当該次の走行体(10)に対応する2つの検出体(108)を特定することもできる。例えば、第1番目に走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)を特定し終えた後も当該第1番目の走行体(10)を走行させ続けたまま、第2番目の走行体(10)に対して走行開始指示を出力する場合を想定する。この場合、第2番目の走行体(10)に対して走行開始指示を出力した後に位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報と、第2番目の走行体(10)に対して走行開始指示を出力する直前に位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報とを比較すると、位置情報が変化した検出体(108)の数は4つとなるが(第1番目の走行体は走行し続けているため)、そのうちの2つの検出体(108)については第1番目の走行体(10)に対応するものであることが既に特定されており、残りの2つの検出体(108)が、「どの走行体に対応するのか特定されていない検出体であって、且つ位置情報が変化した2つの検出体」に該当し、第2番目の走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定される。
【0011】
また、複数の走行体(10)のそれぞれに設けられる検出体(108)の数は1つであってもよい。具体的には、本発明に係る走行体走行装置は、走行面において複数の走行体(10)を走行させる走行体走行装置(1)であって、複数の走行体(10)のそれぞれには、1つの検出体(108)が設けられ、複数の走行体(10)のそれぞれの走行を制御する走行制御部(100)と、走行面における複数の検出体(108)のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部(102)と、位置情報出力部(102)から出力される各検出体(108)の位置情報に基づいて、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する検出体(108)を特定する特定部(100)と、を具備し、走行制御部(100)は、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、特定部(100)は、特定期間において、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した1つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する1つの検出体(108)として特定する。
【0012】
以上の走行体走行装置の態様として、特定部(100)で特定された、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)の位置情報を追尾する追尾部をさらに備えることが好ましい。これにより、各走行体(10)の位置情報を追尾(トラッキング)することができる。
【0013】
以上の走行体走行装置における位置情報出力部(102)は、各検出体(108)の位置情報を出力するものであればよく、その態様は任意である。例えば、検出体(108)は導電体で構成され、走行面には、互いに直交するとともに各交差で電磁結合する複数の駆動線(130)および複数の検出線(132)が設けられ、位置情報出力部(102)は、複数の駆動線(130)の各々に対して駆動電流(Id)を順番に出力し、各検出線(132)を流れる誘導電流(It)の値に基づいて、各検出体(108)の位置情報を取得して出力する態様であってもよい。この態様では、位置情報出力部(102)は、所定の間隔で走行面をスキャンすることで、走行面における各検出体(108)の位置情報を一斉に取得して出力するが、各検出体(108)の位置情報を個別に出力することはできない。しかしながら、前述したように、特定部(100)は、走行制御部(100)が走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部(102)から出力された各検出体(108)の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定するので、この態様であっても、どの2つの検出体がどの走行体に対応しているのかを正確に特定することができる。
【0014】
本発明は、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する方法としても特定される。本発明に係る特定方法は、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体(108)がそれぞれに設けられる複数の走行体(10)を走行面で走行させる走行体走行装置(1)において、走行面における複数の検出体(108)のそれぞれの位置情報に基づいて、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定する方法であって、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定するための特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、走行開始指示を出力するたびに、その前後における各検出体(108)の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定することを特徴とする。以上の方法によっても本発明に係る走行体走行装置と同様の効果が得られる。
【0015】
また、本発明は、プログラムの発明として捉えることもできる。すなわち、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体(108)がそれぞれに設けられる複数の走行体(10)を走行面で走行させる走行体走行装置(1)が有するプログラムであって、複数の走行体(10)のそれぞれに対応する2つの検出体(108)を特定するための特定期間において、複数の走行体(10)のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、走行開始指示を出力するたびに、その前後での、走行面における各検出体(108)の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの検出体(108)を、当該走行開始指示が出力された走行体(10)に対応する2つの検出体(108)として特定する処理を走行体走行装置(1)に実行させることを特徴とするプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置を示す斜視図である。
【図2】床板と馬の模型を取り外した状態のゲーム装置の斜視図である。
【図3】ゲーム装置における馬の模型と自走車とを示す側面図である。
【図4】自走車の平面図である。
【図5】自走車の底面図である。
【図6】ゲーム装置の制御系統の概略を示すブロック図である。
【図7】位置情報出力部の概略を示すブロック図である。
【図8】位置情報出力部の具体的な動作を示すタイミングチャートである。
【図9】センシングデータを説明するための図である。
【図10】特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。
【図11】準備期間における各自走車の配置を示す図である。
【図12】1台の自走車が所定の期間だけ前進した後に停止したときの各自走車の配置を示す図である。
【図13】本発明の変形例に係る特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。
<1.ゲーム装置全体>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るゲーム装置1は、複数の柱2と、柱2に水平に支持された床板3と、床板3の上を走行する複数の(図の実施の形態では3つの)馬の模型4を備える。図1には示されていないが、馬の模型4の各々は、床板3の下にある自走車に磁力で牽引されて、床板3の上を走行する。このゲーム装置1では競馬ゲームが実行される。競馬ゲーム装置においては、図1の仮想線で示すように馬の模型4は楕円またはほぼ四角形を描くように走行する。また、図示はされていないが、互いに交差するような線を描くように馬の模型4を走行させても良い。
【0018】
図2は、床板3と馬の模型4を取り外した状態のゲーム装置1の斜視図である。柱2に固定された枠2aに、自走車が走行する第2の床板6が水平に支持されている。この枠2aには、自走車に充電するための充電装置5が取り付けられている。第2の床板6には、2つの直方体状のブロック7が載せられている。柱2の上端にある複数のブラケット8とブロック7によって、床板3は支持されている。
【0019】
図3に示すように、床板3と第2の床板6の間の空間には、自走車10が配置されている。実施の形態のゲーム装置1には、3つの馬の模型4に対応する3つの自走車10と、スタートゲート(不図示)に対応する2つの自走車10とが設けられているが、説明の簡略化のため、1つの馬の模型4に対応する1つの自走車10のみを図3は示す。
【0020】
図3ないし図5を参照し、自走車10の詳細を説明する。走行可能な自走車10は、上部14と下部16と電源アセンブリ30とを備える。上部14と下部16はサスペンション18によって連結されている。図5の下面図に最も良好に示すように、下部16の長手方向の両端部には、一対のキャスタ20が取り付けられており、下部16の横断方向の両端部には、一対の車輪22が取り付けられている。キャスタ20および車輪22によって、自走車10は第2の床板6の上を走行可能である。
【0021】
図4の平面図に最も良好に示すように、上部14の長手方向の両端部には、一対のキャスタ24が取り付けられており、上部14の横断方向の両端部には、一対の駆動車輪26が取り付けられている。これらの駆動車輪26は、上部14に固定された別個の車輪用モータ28によってそれぞれ回転させられる。車輪用モータ28の回転は、図示しない歯車列によって、その車輪用モータ28に対応する駆動車輪26に伝達される。歯車列の代わりに、他の適切な動力伝達機構、例えば、ベルトとプーリを利用した機構、チェーンとスプロケットを利用した機構を用いてもよい。
【0022】
図3に示すように、自走車10の上部14には、充電可能な1つ以上の電源装置が内部に配置された電源アセンブリ30が保持される。上部14の内部には、電源アセンブリ30の電源装置から給電されて、車輪用モータ28を駆動して、駆動車輪26を回転させる駆動回路150が形成された駆動回路基板32が固定されている。
【0023】
後述する模型牽引部34,36と模型アセンブリ40の被牽引部52,54の間に作用する磁力によって、自走車10全体が上向きすなわち床板3に向けて引き付けられている。このため、キャスタ24の車輪および駆動車輪26は、上方の床板3に接触する。駆動車輪26が回転すると、駆動車輪26と床板3の摩擦接触により、自走車10が図3の矢印で示す方向に走行する。このように、車輪用モータ28および駆動車輪26は、電源アセンブリ30によって走行可能な走行機構である。但し、駆動車輪26の代わりに、他の適切な走行手段、例えばキャタピラ、リンク機構を持つアームまたはリンク機構を持つレッグを使用してもよい。
【0024】
別個の車輪用モータ28が両方の駆動車輪26をそれぞれ回転させるので、両方の駆動車輪26を異なる回転速度で回転させることが可能であり、駆動車輪26の速度差によって自走車10は曲がって進むことができる。キャスタ20,24は、自走車10の方向転換を容易にする。車輪用モータ28のシャフトは両方向に回転可能であって、自走車10は前進も後退も可能である。両方の駆動車輪26を互いに逆方向に回転させることによって、自走車10はその場で垂直軸の周りを回転することができる。
【0025】
床板3の上には、模型アセンブリ40が配置されている。模型アセンブリ40は、台車42と、台車42に回転自在に取り付けられた一対の車輪44と、台車42に回転自在に取り付けられた1つのキャスタ46と、台車42に立てられた支柱48と、支柱48に取り付けられた馬の模型4とを備える。さらに、馬の模型4の上には騎手の模型50が乗っている。台車42の内部には、2つの被牽引部52,54が配置されている。被牽引部52,54は、強磁性体または磁石であり、好ましくは永久磁石である。
【0026】
他方、自走車10の上部14には、模型牽引部34,36が取り付けられている。模型牽引部34,36は、強磁性体または磁石であり、好ましくは永久磁石である。床板3は、非磁性体によって形成されており、自走車10の模型牽引部34と模型アセンブリ40の被牽引部52が磁力によって引き付け合い、自走車10の模型牽引部36と模型アセンブリ40の被牽引部54が磁力によって引き付け合う。従って、自走車10が走行するとき、模型牽引部34,36は、自走車10と一緒に模型アセンブリ40が走行するように模型アセンブリ40を引き付ける。好ましい実施の形態では、模型牽引部34,36および被牽引部52,54は永久磁石であるが、他の選択肢も採用可能である。
【0027】
以上のように、床板3の下を自走車10が走行し、自走車10に対応する模型アセンブリ40が自走車10に牽引されて、図3の矢印に示すように床板3の上を走行する。本実施形態では、図3の矢印の方向が自走車10の前進方向であり、図3の矢印とは反対の方向が自走車10の後進方向である。
【0028】
<2.ゲーム装置の制御系統>
次に、図6を参照し、ゲーム装置の制御系統の概略を説明する。ゲーム装置の制御系統は、全体制御装置100と、位置情報出力部102と、第1の発光装置104と、第2の発光装置106を備える。全体制御装置100は、コンピュータであって、複数の自走車10と充電装置5を含むゲーム装置全体を制御する。図の実施の形態においては、単一の全体制御装置100が使用されているが、位置情報出力部102から信号を受けるとともに第1の発光装置104および第2の発光装置106を制御する制御装置と、充電装置5から信号を受けるとともに充電装置5を制御する制御装置が個別に設けられていてもよい。
【0029】
第1の発光装置104は、すべての自走車10の動作を一斉に起動するためのある波長領域の光(例えば可視光)を発する。全体制御装置100は、コンピュータプログラムに従って、第1の発光装置104を発光させる。
【0030】
第2の発光装置106は、自走車10の起動後に各自走車10の走行を制御する走行制御信号を、第1の発光装置104が発する光とは異なる波長領域の光(例えば赤外線)によって送信する。全体制御装置100は、コンピュータプログラムに従って、複数の自走車10を制御する走行制御信号を第2の発光装置106に供給し、第2の発光装置106はそれらの走行制御信号に応じて発光する。各走行制御信号には、制御対象の自走車10を識別する識別情報が付与されており、自走車10は自身を宛先とする走行制御信号を認識することができる。発光装置104,106の代わりに、他の電波を利用した無線通信方式を利用する通信装置を使用することも可能である。
【0031】
好ましくは、光透過性が高い第2の床板6(図1ないし図3参照)を使用し、第1の発光装置104および第2の発光装置106は、第2の床板6の下に配置してもよい。但し、第2の床板6の光透過性が低い場合には、第1の発光装置104および第2の発光装置106は、床板3と第2の床板6の間に配置してもよい。
【0032】
図5の底面図に示すように、自走車10の下部16の底面には、2つの第1の光センサ110および2つの第2の光センサ112が露出している。第1の光センサ110は、例えば可視光センサであり、第1の発光装置104が発する光を受けると受光信号を出力する。第2の光センサ112は、例えば赤外線センサであり、第2の発光装置106が発する光で送信された走行制御信号を出力する。図の実施の形態では、あるセンサへの光の到達に障害があっても、他のセンサが光を受けることが可能なように、2つの第1の光センサ110および2つの第2の光センサ112が設けられている。但し、単一の第1の光センサ110と単一の第2の光センサ112が設けられていてもよい。3つ以上の第1の光センサ110と3つ以上の第2の光センサ112が設けられていてもよい。
【0033】
図6に示すように、各自走車10は、CPU(central processing unit)114と、給電制御回路116と、コイン電池118をさらに備える。CPU114は図3に示す駆動回路基板32に装着されており、給電制御回路116は図3に示す給電制御回路基板120に装着される。コイン電池118は、自走車10に取り付けおよび取り外しが可能である。コイン電池118は、第1の光センサ110が受光信号を出力可能なように常に第1の発光装置104に給電する。給電制御回路116は、第1の発光装置104の発光によって、第1の光センサ110からの受光信号を受けると、電源アセンブリ30の電源装置60からのCPU114、第2の光センサ112および両方の車輪用モータ28への給電を可能にする。
【0034】
電源装置60からこれらの要素への給電開始後、第2の光センサ112は、第2の発光装置106から送信された走行制御信号をCPU114に伝達する。CPU114は、複数の自走車10のための走行制御信号のうち、CPU114が属する自走車10のための走行制御信号を選択して、その走行制御信号に従って、両方の車輪用モータ28を制御する。
【0035】
走行制御信号は、車輪用モータ28の各々の回転速度を指定する。結果的に、1つの自走車10につき駆動車輪26の各々の回転速度が制御される。両方の駆動車輪26の回転速度が同じであれば、自走車10は直進し、そうでなければ、自走車10は曲がって進む。
【0036】
次に、図7を参照しながら、位置情報出力部102について説明する。本実施形態では、第2の床板6の表面(自走車10が走行する側の面)は、シート状の部材である位置検出用シートLdsで覆われる。そして、位置検出用シートLdsの表面(第2の床板6と接触する側とは反対側の面)には、X方向に延在するm本の駆動コイル130と、X方向に交差するY方向に延在するn本の検出コイル132とが形成される。本実施形態では、駆動コイル130の数は150本、検出コイル132の数は300本である。また、互いに隣接する駆動コイル130の間隔、および、互いに隣接する検出コイル132の間隔はそれぞれ10mmに設定される。ただし、これらの値は任意に設定可能である。図7の紙面垂直方向から見ると、検出コイル132の平行な導線部分は、駆動コイル130の平行な導線部分と直交している。但し、図示しないが、検出コイル132が配置された層は、駆動コイル130が配置された層とは異なり、これらの層は平行に配置されており、これらの層の間には非導電体の層がある。
【0037】
複数の駆動コイル130と複数の検出コイル132とは、各交差で電磁結合する。本実施形態では、駆動コイル130と検出コイル132との交差する部分をセルPと呼ぶ。すなわち、位置検出用シートLdsの表面には、複数のセルPが縦m行×横n列のマトリクス状に配列される。詳細な図示は省略するが、複数のセルPがマトリクス状に形成された位置検出用シートLdsの表面は、透明なアクリル基板で覆われる。そして、自走車10は、そのアクリル基板上を走行する。
【0038】
図7に示すように、位置情報出力部102は、複数のセルPが配列されたセル部140と、駆動回路150と、検出回路160と、位置情報出力部102全体の動作を統括するとともに各種の処理を実行する処理回路170とを含んで構成される。駆動回路150は、処理回路170から供給されるタイミング信号VSYNCに基づいて、複数の駆動コイル130の各々に対して駆動電流Idを順番に出力する。説明の便宜上、第i行(1≦i≦m)の駆動コイル130に出力される駆動電流をId[i]と表記する。例えば第i行の駆動コイル130に駆動電流Id[i]が出力されると、第i行の駆動コイル130とn本の検出コイル132との各交差に配置されるn個のセルPには相互誘導による誘導起電力が生じて、n本の検出コイル132には誘導電流It(It[1]〜It[n])が流れる。説明の便宜上、第j列目(1≦j≦n)の検出コイル132を流れる誘導電流をIt[j]と表記する。
【0039】
図5に示すように、自走車10の下部16の底面には、導電体から形成された円板状の一対の被検出片108(108F,108R)が、それぞれの中心が所定の間隔だけ離れて固定されている。一対の被検出片108のうち自走車10の前進方向側に設けられた被検出片を108Fと表記し、自走車10の後進方向側に設けられた被検出片を108Rと表記する。例えば、ある自走車10に設けられた2つの被検出片108のうちの一つが、第i行の駆動コイル130と第j列目の検出コイル132との交差に配置されたセルP[i,j]に対応する位置に存在する場合は、当該セルP[i,j]に対応する位置に被検出片108が存在しない場合に比べて、当該セルP[i,j]を貫く磁束の変化が大きくなる。したがって、この場合の誘導電流It[j]の値は、当該セルP[i,j]に対応する位置に被検出片108が存在しない場合に比べて大きい値を示す。
【0040】
図8は、位置情報出力部102の具体的な動作を示すタイミングチャートである。駆動回路150は、1フィールド期間内のm個の単位期間T(T[1]〜T[m])の各々において、駆動コイル130に対して順番に駆動電流Id[1]〜Id[m]を出力する。本実施形態では、1フィールド期間は、10ミリ秒に設定される。図8において、駆動電流Id[i]がハイレベルであるときは、第i行の駆動コイル130に駆動電流Id[i]が出力されることを意味し、駆動電流Id[i]がローレベルであるときは、第i行の駆動コイル130に対する駆動電流Id[i]の出力は停止されていることを意味する。図8に示すように、第i行の駆動コイル130に出力される駆動電流Id[i]は、各フィールド期間内の第i番目の単位期間T[i]にてハイレベルに設定される。
【0041】
図7に示すように、n本の検出コイル132の各々と検出回路160との間にはスイッチSWが設けられる。本実施形態において、スイッチSWはNチャネル型のトランジスタで構成される。n個のスイッチSWのそれぞれは、処理回路170から供給される動作信号SELがアクティブレベル(ハイレベル)に遷移するとオン状態になる。説明の便宜上、第j列目の検出コイル132に対応するスイッチSWに供給される動作信号SELをSEL[j]と表記する。図8に示すように、各単位期間T(T[1]〜T[m])において、動作信号SEL[1]〜SEL[n]は順次にアクティブレベルに遷移する。図8において、第i番目の単位期間T[i]に着目すると、当該単位期間T[i]において、動作信号SEL[1]〜SEL[n]は順次にハイレベルに遷移していることが分かる。つまり、単位期間T[i]において、n個のスイッチSWの各々は順次にオン状態に遷移するから、当該単位期間T[i]において各検出コイル132を流れる誘導電流It[1]〜It[n](アナログ値)は、スイッチSWを介して検出回路160に順次出力される。検出回路160は、この誘導電流It[1]〜It[n]を図示しないアンプで増幅したうえで、処理回路170へ出力する。
【0042】
処理回路170は、検出回路160から順次に出力される誘導電流Itに基づいて、フィールド期間ごとのセンシングデータを生成する。より具体的には、処理回路170は、検出回路160から出力される誘導電流を2値の検出値d(デジタル値)に順次に変換し、その変換した検出値dを1フィールド期間ごとに区分することでセンシングデータを生成する。すなわち、1フィールド期間ごとのセンシングデータは、m×n個の検出値dの集合となる。本実施形態では、処理回路170は、検出回路160から順次に出力される誘導電流Itのうち所定の閾値を超えるものは検出値dを「1」とし、所定の閾値以下のものは検出値dを「0」とする。したがって、図9に示すように、被検出片108が存在する位置に対応するセルPの検出値は「1」となり、被検出片108が存在しない位置に対応するセルPの検出値は「0」となる。なお、本実施形態では、1コイル当たり10とする座標系が付与され、各検出値d(センシングデータ)のX座標は0〜2999、Y座標は0〜1499となる。処理回路170は、フィールド期間ごとのセンシングデータに基づいて、各フィールド期間における各被検出片108の中心座標を算出する。これにより、処理回路170は、各フィールド期間における各被検出片108の位置情報(第2の床板6における各被検出片108の位置を示す情報)を取得する。処理回路170は、このようにして取得した各被検出片108の位置情報を全体制御装置100へ出力する。全体制御装置100は、処理回路170から出力されるフィールド期間ごとの各被検出片108の位置情報をメモリ(不図示)に保持する。
【0043】
<3.特定処理>
全体制御装置100は、位置情報出力部102から出力される各被検出片108の位置情報に基づいて、複数の自走車10のそれぞれに対応する2つの被検出片108を特定する処理(「特定処理」と呼ぶ)を実行する。より具体的には、全体制御装置100は、複数の自走車10のそれぞれに対応する2つの被検出片108を特定するための特定期間において、複数の自走車10のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力する。特定期間は、ゲーム装置1の電源が投入されるたびに実行される初期化処理中に設定されたり、ゲーム装置1が遊技施設に設置されて初めて電源が投入され、特定処理が1度も実行されていない場合の初期化処理中に設定されたり、遊技施設の管理者の操作で任意のタイミングで設定される。そして、全体制御装置100は、走行開始指示を出力するたびに、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの被検出片108を、当該走行開始指示が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する。以下、その詳細な内容について説明する。
【0044】
図10は、特定期間において全体制御装置100が実行する特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。図10に示すように、全体制御装置100は、まず位置情報出力部102に対して、各被検出片108の位置情報の出力を開始するように指示する(ステップS1)。この処理には、位置情報出力部102に対する各種設定の処理が含まれる。全体制御装置100が、位置情報出力部102に対して動作開始指示を出力してから第1番目の自走車10に対して走行開始指示を出力するまでの期間(「準備期間」と呼ぶ)においては、3つの馬の模型4に対応する3台の自走車10(10A,10B,10C)は停止した状態である。この準備期間の時間長は、位置情報出力部102のスキャン期間である10ミリ秒よりも十分に長い値に設定される。本実施形態では、位置情報出力部102は、10ミリ秒ごとに、各被検出片108の位置情報を取得して全体制御装置100へ出力するので、準備期間の時間長が10ミリ秒よりも十分に長い値に設定されていれば、位置情報出力部102は、準備期間における各被検出片108の位置情報、すなわち、各走行体(10A,10B,10C)が停止した状態における各被検出片108の位置情報を確実に取得することができる。そして、位置情報出力部102は、その取得した各被検出片108の位置情報を全体制御装置100へ出力する。位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報は、図示しないメモリに保持される。
【0045】
図11は、準備期間における各自走車(10A,10B,10C)の配置を示す図である。図11に示す黒丸は、各被検出片108の中心座標(位置情報に相当)を示す。図11における各マス目はセルPを示し、例えば図11における左下端のマス目は、第1行の駆動コイル130と第1列の検出コイル132との交差に配置されるセルP[1,1]を示す。自走車10Aに設けられた一対の被検出片108のうち前進方向側の被検出片を108Faと表記し、後進方向側の被検出片を108Raと表記する。自走車10Bに設けられた一対の被検出片108のうち前進方向側の被検出片を108Fbと表記し、後進方向側の被検出片を108Rbと表記する。さらに、自走車10Cに設けられた一対の被検出片108のうち前進方向側の被検出片を108Fcと表記し、後進方向側の被検出片を108Rcと表記する。図11に示すように、スキャン方向(m本の駆動コイル130を順番に駆動していく方向)は、Y方向の正側に向かう方向なので(併せて図7および図8も参照)、1回のスキャンにおいて、被検出片108Rb→被検出片108Ra→被検出片108Fb→被検出片108Fa→被検出片108Fc→被検出片108Rcの順番で、それぞれの検出値dが求められる。すなわち、位置情報出力部102は、スキャン毎に全体制御装置100に対して各被検出片108の位置情報を繰り返し出力し続ける。
【0046】
再び図10のフローチャートに戻って説明を続ける。ステップS1の後、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対して、所定の期間(または移動量)だけ前進することを指示する走行制御信号を順番(本実施形態では、自走車10A→自走車10B→自走車10Cの順番)に出力して、各自走車10を個別に走行させる(ステップS2)。まず、全体制御装置100は、自走車10Aに対して所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力する。自走車10AのCPU114は、第2の発光装置106から送信された走行制御信号にしたがって両方の車輪用モータ28を制御する。図12は、自走車10Aが、所定の期間だけ前進して停止したときの各自走車(10A,10B,10C)の配置を示す図である。図11および図12からも理解されるように、この場合は、6個の被検出片(108Fa,108Ra,108Fb,108Rb,108Fc,108Rc)のうち2個の被検出片(108Faおよび108Ra)の位置情報(中心座標)が変化する。
【0047】
ステップS2の後、全体制御装置100は、上述の走行制御信号を出力した後に位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報と、上述の走行制御信号を出力する直前に位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報とをメモリ(不図示)から読み出し、両者の比較処理を実行する(ステップS3)。
【0048】
ステップS3の後、全体制御装置100は、位置情報が変化した被検出片108が2つであるか否かを判断する第1判断処理、位置情報が変化した2つの被検出片108のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第2判断処理、および、位置情報が変化した2つの被検出片108の間隔が所定の間隔であるか否かを判断する第3判断処理を実行し(ステップS4)、第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、自走車10Aに設けられた2個の被検出片(108Fa,108Ra)の位置情報が変化するので、第1判断処理の結果は肯定となる。また、被検出片108Faおよび108Raのそれぞれの移動方向のベクトルは一致するので、第2判断処理の結果も肯定となる。さらに、位置情報が変化した2つの被検出片108Faおよび108Raの間隔(図11および図12のY方向における距離)は所定の間隔に合致するので、第3判断処理の結果も肯定となり、第1判断処理〜第3判断処理の結果は全て肯定となる。
【0049】
第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定である場合は、全体制御装置100は、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する(ステップS6)。すなわち、前進指示の前後で変化した位置情報から、2つの被検出片108が自走車10Aに対応する前進方向側の108Faと後進方向側の108Raとしてそれぞれ特定される。そして、全体制御装置100は、その2つの被検出片(108Faおよび108Ra)のそれぞれの位置情報と、自走車10Aを識別する識別情報とを対応付けてメモリ(不図示)に保持する。一方、ステップS5の結果が否定である場合は、再びステップS2に戻る。この場合、全体制御装置100は、再び、自走車10Aに対して所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力し、上述のステップS3〜ステップS5の処理を繰り返す。所定回数繰り返してもステップS5の結果が肯定とならない場合には、自走車10Aが故障であると判断して特定処理を中断し、所定のエラー処理を行う。所定回数繰り返してもステップS5の結果が肯定とならない場合には、自走車10Aが故障であることを記憶してステップS5をスキップさせ、特定処理が終了した時点で故障の自走車10Aが有る場合に所定のエラー処理を行うようにしてもよい。なお、自走車10Aが故障である場合として、被検出片108を固定しているネジがゆるんで被検出片108が外れている状態が例示できる。
【0050】
ステップS6の後、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対応する2つの被検出片108の特定を終了したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の結果が否定の場合は、再びステップS2に戻り、特定処理が続けられる。ここでは、自走車10Bおよび自走車10Cのそれぞれに対応する2つの被検出片108の特定が終了していないので、ステップS7の結果は否定となり、ステップS2に戻る。そして、当該ステップS2において、全体制御装置100は、第2番目の自走車10Bに対して所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力する。その後のステップS3以降の処理は、上述した内容と同様であり、自走車10Bに対応する2つの検出体(108Fb,108Rb)が特定される。同様にして、自走車10Cに対応する2つの検出体(108Fc,108Rc)も特定される。各自走車(10A,10B,10C)に対応する2つの被検出片108の特定が終了してステップS7の結果が肯定になると、上述の特定処理は終了する。その後、全体制御装置100は、複数の自走車(10A,10B,10C)のそれぞれに対応する2つの被検出片108の位置情報を追尾するように制御することで、各自走車(10A,10B,10C)の位置情報を追尾する。本実施形態では、複数の自走車(10A,10B,10C)のそれぞれには、所定の間隔だけ離れて配置される2つの被検出片108が設けられるので、各自走車10に被検出片108が1つのみ設けられる態様に比べて、各自走車(10A,10B,10C)の走行方向をより正確に特定できる。
【0051】
なお、第2の床板6に金属体の異物が存在している場合には、どの自走車(10A,10B,10C)にも対応しない位置情報が位置情報出力部102から出力されることになる。特定処理の終了後にどの自走車にも対応しない位置情報が含まれる場合には、異物等が存在すると判断してエラー報知を行う。すなわち、全体制御装置100(特定部)は、複数の自走車(走行体)のそれぞれに対応する2つの検出体を特定し終えた後、どの走行体の検出体にも対応しない位置情報が含まれていると判断したとき、エラー通知指示を行う。エラー通知は、ゲーム装置1に備えた表示部や通信を介して外部へ通知する。
【0052】
以上に説明したように、特定期間において、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対して、所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力するたびに(走行開始指示を出力するたびに)、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、上述の第1判断処理〜第3判断処理を実行する。そして、第1判断処理〜第3判断処理の結果が全て肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、当該走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定するので、各被検出片108の位置情報を個別に取得することができない態様であっても、各自走車10に対応する2つの被検出片108を正確かつ容易に特定できるという利点がある。
【0053】
<4.変形例>
以上の実施形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は併合され得る。
【0054】
(1)変形例1
上述の実施形態では、複数の自走車10のそれぞれには2つの被検出片108が設けられているが、これに限らず、複数の自走車10のそれぞれには1つの被検出片108のみが設けられる態様とすることもできる。この態様では、特定期間において、全体制御装置100は、各自走車10に対して、所定の期間だけ前進することを指示する走行制御信号を出力するたびに、その前後において位置情報出力部102から出力された各被検出片108の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した1つの被検出片108を、当該走行制御信号が出力された自走車10に対応する被検出片108として特定する。これにより、各被検出片108の位置情報を個別に取得することができない態様であっても、各自走車10に対応する被検出片108を正確に特定できる。
【0055】
(2)変形例2
上述の実施形態では、特定期間において、全体制御装置100は、各自走車10を個別に走行させながら特定処理を実行しているが、これに限らず、例えば全体制御装置100は、対応する2つの被検出片108を特定し終えた自走車10を走行させ続けたまま、次の自走車10に対応する2つの被検出片108を特定することもできる。より具体的には以下のとおりである。
【0056】
図13は、この態様における特定処理の具体的な内容を示すフローチャートである。以下、上述の実施形態と異なる部分を中心に説明する。図13のステップS2において、全体制御装置100は、各自走車(10A,10B,10C)に対して、連続走行(連続的に前進すること)を指示する走行制御信号を順番(この態様では、自走車10A→自走車10B→自走車10Cの順番)に出力する。まず、全体制御装置100は、第1番目の自走車10Aに対して連続走行を指示する走行制御信号を出力する。自走車10AのCPU114は、第2の発光装置106から送信された走行制御信号にしたがって両方の車輪用モータ28を制御する。ステップS2の後のステップS3の比較処理の内容は上述の実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0057】
ステップS3の後、全体制御装置100は、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108があるか否かを判断する第4判断処理を実行し(ステップS4)、第4判断処理の結果が肯定であるか否かを判定する(ステップS5)。ここでは、6個の被検出片108の何れも、どの自走車10に対応するのか特定されておらず、位置情報が変化した被検出片108は、被検出片108Faおよび108Raの2つであるので、第4判断処理の結果は肯定となる。第4判断処理の結果が肯定である場合は、全体制御装置100は、その2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する(ステップS6)。したがって、被検出片108Faおよび108Raが、上述の走行制御信号が出力された自走車10Aに対応する2つの被検出片108として特定される。
【0058】
ステップS6の後、全体制御装置100は、各自走車10に対応する2つの被検出片108の特定を終了したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の結果が否定の場合は、再びステップS2に戻り、特定処理が続けられる。ここでは、まだ自走車10Bおよび自走車10Cのそれぞれに対応する2つの被検出片108が特定されていないため、ステップS7の結果は否定となり、ステップS2に戻る。そして、当該ステップS2において、全体制御装置100は、第2番目の自走車10Bに対して連続走行を指示する走行制御信号を出力する。これにより、自走車10Bは連続走行を開始するが、対応する2つの被検出片108が既に特定された自走車10Aも走行し続けるので、ステップS3の比較処理の結果、位置情報が変化した被検出片108の数は4つ(108Fa,108Ra,108Fb,108Rb)となる。ただし、このうちの2つの被検出片108Faおよび108Raについては、自走車10Aに対応するものであることが既に特定されているので、残りの2つの被検出片108Fbおよび108Rbが、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108となる。したがって、ステップS4の第4判断処理の結果は肯定となり(ステップS5)、当該2つの被検出片108Fbおよび108Rbが、ステップS2で走行制御信号が出力された自走車10Bに対応する2つの被検出片108として特定される(ステップS6)。その後、再び上述のステップS2〜ステップS6の処理が繰り返されて、第3番目の自走車10Cに対応する2つの被検出片(108Fc,108Rc)も特定される。この態様であっても、各自走車10に対応する2つの被検出片108を特定することが可能である。
【0059】
なお、図13のステップS4の第4判断処理の代わりに、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した被検出片108が2つであるか否かを判断する第5判断処理、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第6判断処理、および、どの自走車10に対応するのか特定されていない被検出片108であって、且つ位置情報が変化した2つの被検出片108の間隔が所定の間隔であるか否かを判断する第7判断処理を実行し、第5判断処理〜第7判断処理の結果の全てが肯定である場合に、その2つの被検出片108を、連続走行を指示する走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定することもできる。これにより、連続走行を指示する走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108をより正確に特定できる。
【0060】
(3)変形例3
上述の実施形態では、全体制御装置100は、第1判断処理〜第3判断処理の全てを実行しているが、これに限らず、例えば全体制御装置100は、第1判断処理〜第3判断処理の何れか1つのみを実行する態様であってもよい。例えば全体制御装置100は、第1判断処理のみを実行し、第1判断処理の結果が肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定する態様であってもよい。
【0061】
また、例えば全体制御装置100は、各判断処理(第1判断処理〜第3判断処理)を任意に組み合わせた判断処理の結果が肯定である場合に、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片108として特定することもできる。例えば全体制御装置100は、第3判断処理を実行せずに、第1判断処理および第2判断処理を実行し、これらの結果が肯定であれば、位置情報が変化した2つの被検出片108を、上述の走行制御信号が出力された自走車10に対応する2つの被検出片として特定することもできる。また、さらに他の判断処理を組み合わせてもよい。
【0062】
(4)変形例4
上述の実施形態に係るゲーム装置1では競馬ゲームが実行されているが、これに限らず、ゲーム装置1で実行されるゲームの種類は任意である。例えば自走車10に牽引される模型として競輪選手が乗った自転車が採用され、競輪ゲームが実行される態様であってもよいし、自走車10に牽引される模型として競争車(レーシングカー)が採用され、レーシングゲームが実行される態様であってもよい。さらに、自走車10に牽引される模型や床板3が設けられず、自走車10自体がプレイヤーに視認される態様であってもよい。この態様のゲーム装置1で実行されるゲームの種類も任意であり、例えば競争車の形状の自走車10が採用され、レーシングゲームを実行することもできる。要するに、本発明は、複数の走行体を走行させる走行体走行装置に対して適用可能である。
【0063】
(5)変形例5
上述の実施形態では、位置情報出力部102は、電磁結合を利用して各被検出片108の位置情報を出力しているが、これに限らず、例えば位置情報出力部102は、各走行体に設けられた発光体を撮影した画像に基づいて、各発光体の位置情報を出力するものであってもよい。ただし、この場合、各走行体の発光体は一斉にオンオフするのみしかできない若しくは常にオンのままであることが前提となる。要するに、位置情報出力部102としては、複数の自走車10のそれぞれに設けられた検出体の位置情報を一斉に出力できるものの、各検出体の位置情報を個別に出力できないタイプのものであればよい。
【符号の説明】
【0064】
1……ゲーム装置、2……柱、2a……枠、3……床板、4……馬の模型、5……充電装置、6……第2の床板、10……自走車、20……キャスタ、22……車輪、26……駆動車輪、28……車輪用モータ、30……電源アセンブリ、40……模型アセンブリ、100……全体制御装置、102……位置情報出力部、104……第1の発光装置、106……第2の発光装置、108……被検出片、110……第1の光センサ、112……第2の光センサ、130……駆動コイル、132……検出コイル、140……セル部、150……駆動回路、160……検出回路、170……処理回路、Id……駆動電流、It……誘導電流、Lds…位置検出用シート、…P……セル、SEL……動作信号、SW……スイッチ、T……単位期間、VSYNC……タイミング信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行面において複数の走行体を走行させる走行体走行装置であって、
前記複数の走行体のそれぞれには、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体が設けられ、
前記複数の走行体のそれぞれの走行を制御する走行制御部と、
前記走行面における複数の前記検出体のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部と、
前記位置情報出力部から出力される前記各検出体の位置情報に基づいて、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定する特定部と、を具備し、
前記走行制御部は、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定するための特定期間において、前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、
前記特定部は、前記特定期間において、前記走行制御部が前記走行開始指示を出力するたびに、その前後において前記位置情報出力部から出力された前記各検出体の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする走行体走行装置。
【請求項2】
前記特定部は、位置情報が変化した前記検出体が2つであるか否かを判断する第1判断、位置情報が変化した2つの前記検出体のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第2判断、もしくは位置情報が変化した2つの前記検出体の間隔が前記所定の間隔に合致するか否かを判断する第3判断のうちの何れかの判断を用いた判断処理の結果が肯定である場合、または、各判断を任意に組み合わせた判断処理の結果が肯定である場合に、その位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の走行体走行装置。
【請求項3】
前記特定部は、どの前記走行体に対応するのか特定されていない前記検出体であって、且つ位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の走行体走行装置。
【請求項4】
走行面において複数の走行体を走行させる走行体走行装置であって、
前記複数の走行体のそれぞれには、1つの検出体が設けられ、
前記複数の走行体のそれぞれの走行を制御する走行制御部と、
前記走行面における複数の前記検出体のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部と、
前記位置情報出力部102から出力される前記各検出体の位置情報に基づいて、前記複数の走行体のそれぞれに対応する前記検出体を特定する特定部と、を具備し、
前記走行制御部は、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定する特定期間において、前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、
前記特定部は、前記特定期間において、前記走行制御部が前記走行開始指示を出力するたびに、その前後において前記位置情報出力部から出力された前記各検出体の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した1つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する1つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする走行体走行装置。
【請求項5】
前記特定部で特定された、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体の位置情報を追尾する追尾部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の走行体走行装置。
【請求項6】
前記検出体は導電体で構成され、
前記走行面には、互いに直交するとともに各交差で電磁結合する複数の駆動線および複数の検出線が設けられ、
前記位置情報出力部は、前記複数の駆動線の各々に対して駆動電流を順番に出力し、前記各検出線を流れる誘導電流の値に基づいて、前記各検出体の位置情報を取得して出力する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の走行体走行装置。
【請求項7】
所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体がそれぞれに設けられる複数の走行体を走行面で走行させる走行体走行装置において、前記走行面における複数の前記検出体のそれぞれの位置情報に基づいて、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定する方法であって、
前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定するための特定期間において、
前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、前記走行開始指示を出力するたびに、その前後における各検出体の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする特定方法。
【請求項8】
所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体がそれぞれに設けられる複数の走行体を走行面で走行させる走行体走行装置が有するプログラムであって、
前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定するための特定期間において、
前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、前記走行開始指示を出力するたびに、その前後での、前記走行面における各検出体の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する処理を、前記走行体走行装置に実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
走行面において複数の走行体を走行させる走行体走行装置であって、
前記複数の走行体のそれぞれには、所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体が設けられ、
前記複数の走行体のそれぞれの走行を制御する走行制御部と、
前記走行面における複数の前記検出体のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部と、
前記位置情報出力部から出力される前記各検出体の位置情報に基づいて、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定する特定部と、を具備し、
前記走行制御部は、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定するための特定期間において、前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、
前記特定部は、前記特定期間において、前記走行制御部が前記走行開始指示を出力するたびに、その前後において前記位置情報出力部から出力された前記各検出体の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする走行体走行装置。
【請求項2】
前記特定部は、位置情報が変化した前記検出体が2つであるか否かを判断する第1判断、位置情報が変化した2つの前記検出体のそれぞれの移動方向のベクトルが合致するか否かを判断する第2判断、もしくは位置情報が変化した2つの前記検出体の間隔が前記所定の間隔に合致するか否かを判断する第3判断のうちの何れかの判断を用いた判断処理の結果が肯定である場合、または、各判断を任意に組み合わせた判断処理の結果が肯定である場合に、その位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の走行体走行装置。
【請求項3】
前記特定部は、どの前記走行体に対応するのか特定されていない前記検出体であって、且つ位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の走行体走行装置。
【請求項4】
走行面において複数の走行体を走行させる走行体走行装置であって、
前記複数の走行体のそれぞれには、1つの検出体が設けられ、
前記複数の走行体のそれぞれの走行を制御する走行制御部と、
前記走行面における複数の前記検出体のそれぞれの位置情報を出力する位置情報出力部と、
前記位置情報出力部102から出力される前記各検出体の位置情報に基づいて、前記複数の走行体のそれぞれに対応する前記検出体を特定する特定部と、を具備し、
前記走行制御部は、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定する特定期間において、前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、
前記特定部は、前記特定期間において、前記走行制御部が前記走行開始指示を出力するたびに、その前後において前記位置情報出力部から出力された前記各検出体の位置情報を比較する比較処理を行い、位置情報が変化した1つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する1つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする走行体走行装置。
【請求項5】
前記特定部で特定された、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体の位置情報を追尾する追尾部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の走行体走行装置。
【請求項6】
前記検出体は導電体で構成され、
前記走行面には、互いに直交するとともに各交差で電磁結合する複数の駆動線および複数の検出線が設けられ、
前記位置情報出力部は、前記複数の駆動線の各々に対して駆動電流を順番に出力し、前記各検出線を流れる誘導電流の値に基づいて、前記各検出体の位置情報を取得して出力する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の走行体走行装置。
【請求項7】
所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体がそれぞれに設けられる複数の走行体を走行面で走行させる走行体走行装置において、前記走行面における複数の前記検出体のそれぞれの位置情報に基づいて、前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定する方法であって、
前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定するための特定期間において、
前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、前記走行開始指示を出力するたびに、その前後における各検出体の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する、
ことを特徴とする特定方法。
【請求項8】
所定の間隔だけ離れて配置される2つの検出体がそれぞれに設けられる複数の走行体を走行面で走行させる走行体走行装置が有するプログラムであって、
前記複数の走行体のそれぞれに対応する2つの前記検出体を特定するための特定期間において、
前記複数の走行体のそれぞれに対して走行開始指示を順番に出力し、前記走行開始指示を出力するたびに、その前後での、前記走行面における各検出体の位置情報を比較して、位置情報が変化した2つの前記検出体を、当該走行開始指示が出力された走行体に対応する2つの前記検出体として特定する処理を、前記走行体走行装置に実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−188907(P2011−188907A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55600(P2010−55600)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
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