説明

走行体走行時間計測装置

【課題】磁気センサーで検知した計測距離の終始点間の通過時点を無線信号により走行体並びに他の地点で同時に計時並びに表示し得る走行体走行時間計測装置を提供する。
【解決手段】計測距離間の終始点の磁石からなる第一のユニット装置を夫々埋設する。磁気検知及び検知情報を無線送信する第二のユニット装置と受信並びに計時表示手段を備えた第三のユニット装置とを分離構成し、この第二のユニット装置と第三のユニット装置とを走行体に配備する他に、第三のユニット装置を他の計測地点に配備する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スキー競技、自動車競技等の競技者が練習で自動的に時間測定を可能にする走行体走行時間計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スキー競技、自動車競技等の公式競技以外の練習において、時間を測定して競技者自身の記録を確認する場合には、一般的にストップウオッチで時間を測定するが、競技者自身自ら時間を測定しようとする場合、スタート時とゴール時にストップウオッチを操作しなければならず、このような時計操作は一秒以下の時間を競う競技においては難があり、競技者自身以外の人により測定してもらうのが常である。又、スキー競技などスタート地点とゴール地点が離れている場合は、時間を測定する人にスタートした時点とゴールした時点を知らせるための手段と複数の人を必要とした。
【0003】他の従来例として、スタート地点とゴール地点に磁石を埋めて自動的にスタート地点で磁石の磁気を検知し、時間測定を開始しゴール地点で時間測定を停止する装置を競技者が身につけるか、或いはスキー等に装着して測定する方法がある。しかし、この方法はスタート後に計測値を読み取ることが出来ても、競技者を指導している指導者が今時点の経過時間をリアルタイムに知ることが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、競技者が練習等で単独にタイムを測定できると同時に競技者を指導している指導者を含め、複数の人が今時点の競技者の経過時間をリアルタイムに知ることが出来る走行体走行時間計測装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】スタート地点とゴール地点に磁石を有している第一のユニット装置を設置し、この磁石の磁気を検知したとき、符号設定器で設定している値で符号化した電気パルスを変調し、電波を送信する第二のユニット装置をスキー競技者のスキー板上に設置するか或いは競技者自身につける。第三のユニット装置に於て第二のユニット装置からの電波を受信し、符号設定器で前記第二のユニット装置で設定されている符号と同一に符号を設定しておけば、符号が一致したことを認識すると同時に時間測定を自動的に開始し、表示器に経過時間を表示する。又、ゴール地点で再度磁石を検出した時点で同様に電波を受信し、時間測定を自動的に停止させ、経過時間を表示器に表示させる。第二のユニット装置と上記時間計測機能を有している第三のユニット装置を競技者が身につければ単独でタイムを計測することができ、又競技者を指導している指導者が上記時間計測機能を有している受信機の第三のユニット装置を所有すれば、指導者が今時点の経過時間をリアルタイムに知ることができる。同様に必要に応じ複数の人が時間計測機能を有している受信機の第三のユニット装置を所有すれば、同時に今時点の経過時間をリアルタイムに知ることができる。更に、一人の指導者が複数の競技者のタイムを知りたければ、上記で述べた符号設定器で各々設定した時間計測機能を有している受信機の第三のユニット装置を持てば実現できる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。図1はスキー競技の練習における使用例を示す図である。図2は本発明の実施例を示すブロック図である。Aは棒状の形状を有する磁石を内蔵している第一のユニット装置で、図1においてスタート地点及びゴール地点に埋込んである。第一のユニットAの磁石の磁気を検出するホール素子で構成されている検出器1で、図1に示すスタート地点を図2で示す検出器1、符号設定器3、符号発生器2、変調器4、アンテナ5から構成されている第二のユニット装置Bを装着している競技者が通過すると、埋込んである第一のユニットAの磁石からの磁気を検出する。検出器1からの出力は符号発生器2に入力される。符号発生器2は符号設定器3で設定されている電気パルス列の符号を出力する。
【0007】符号設定器3は識別するために競技者自身で自分固有の識別番号を設定するものである。符号発生器2からの出力は、周波数を変調する変調器4に入力される。変調器4からの変調された電気パルス列の符号化された信号はアンテナ5から送信される。
【0008】第二のユニット装置Bから送信された電波は、図1において競技者自身或いは指導者が装着しているアンテナ6、復調器7、符号設定器9、比較器8、マイクロコンピュータ10、表示器11から構成されている第三のユニット装置Cが受信する。第二のユニット装置Bから送信された周波数の変調されている電波は、図2R>2においてアンテナ6で受信され、復調器7で第二のユニット装置Bで電気パルス列の符号化された信号を復調する。符号設定器9で時間測定する競技者と同一の識別番号を設定する。復調器7からの復調した符号化された信号と符号設定器9で設定されている識別番号野符号とを比較器8で比較する。復調器7からの符号と符号設定器9からの符号が一致すれば符号が一致したことを示す電気パルスの信号が比較器8から出力され、マイクロコンピュータ10に入力される。マイクロコンピュータ10は時計機能、時間測定した結果を記録する記憶機能、マイクロコンピュータ10に接続されている表示器11の制御信号出力機能を有している。
【0009】マイクロコンピュータ10に接続されているスイッチ12はマイクロコンピュータ10を初期状態に命令するスイッチで、時間の計測を開始できる状態に初期化すると同時に、又時間測定した結果を記録する記憶内容を消し初期化する。比較器8からの電気パルスの信号が入力されると初期化されている状態のマイクロコンピュータ10は時計機能で時間の計測を開始し、経過時間は表示器11に表示される。
【0010】次に、図1において第二のユニット装置Bを装着している競技者がゴールを通過すると、競技者が装着している第二のユニット装置Bがゴール地点に埋込んである第一のユニット装置Aの磁石からの磁気を検出する。上記と同様に第二のユニット装置Bから符号化された電気パルスが変調され送信される。その送信された電波を第三のユニット装置Cで受信し復調され、復調された符号が符号設定器9からの符号と一致すれば比較器8から電気パルスの信号が出力されマイクロコンピュータ10に入力され、マイクロコンピュータ10は現在時間計測していることを停止し、停止した時点の時間を記憶保持する。一方、図1において競技者の指導者が第三のユニット装置Cを自分自身で装着し、図2における符号設定器9で競技者が装着している第二のユニット装置Bの符号設定と同一に設定すれば同じく競技者の経過時間をリアルタイムに知ることができる。
【0011】
【発明の効果】本発明装置によれば、スキー競技或いは自動車競技等の競技者が練習等で単独にタイムを測定できると同時に、競技者を指導している指導者を含め、複数の人が今時点の競技者の経過時間をリアルタイムに知ることができる走行体走行時間計測装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走行体走行時間計測装置を使用するときの概念図。
【図2】本発明の走行体走行時間計測装置のブロック図である。
【符号の説明】
A 第一のユニット装置
B 第二のユニット装置
C 第三のユニット装置
1 検出器
2 符号発生器
3 符号設定器
4 変調器
5 アンテナ
6 アンテナ
7 復調器
8 比較器
9 符号設定器
10 マイクロコンピュータ
11 表示器
12 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】走行時間計測距離間の終始点に夫々設置する磁気発生手段からなる第一のユニット装置と、走行体に配備する磁気検知及び検知情報を無線送信する第二のユニット装置と、受信及び計時表示手段を備えた第三のユニット装置とからなり、第三のユニット装置を走行体並びに他の計測者にも配備できることを特徴とする走行体走行時間計測装置。
【請求項2】磁石を有している第一のユニット装置と、該第一のユニット装置の磁石の磁気を検出する検出器と該検出器の出力で予め符号設定器で設定された設定値に対応した符号を発生させる符号発生器と、該符号発生器から符号化されたパルス列の電気信号を周波数変調する変調器と、該変調器の出力を送信するアンテナを具備する第二のユニット装置と、該第二のユニット装置のアンテナから送信された電波を受信するアンテナと該アンテナで受信した信号を復調する復調器と、該復調器で復調された第一のユニット装置で符号化されているパルス列の電気信号と符号設定器で予め設定している符号と比較し一致している場合に電気信号のパルスを発生させる比較器と、該比較器からの入力で動作開始する時計機能と表示器の表示をするための制御信号を発生させる機能を有するマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータからの出力信号で表示する表示器を有している第三のユニット装置とから構成されていることを特徴とする走行体走行時間計測装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平10−132966
【公開日】平成10年(1998)5月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−305589
【出願日】平成8年(1996)10月31日
【出願人】(392020705)テクノクオーツ株式会社 (7)