説明

走行装置及び走行方法

【課題】搭乗者がより適切に移動速度を認識できる走行装置及び走行方法を提供する。
【解決手段】走行装置20は、搭乗者による操作部27の操作を検出する操作検出手段21と、操作検出手段により検出された操作の周期を算出する周期算出手段22と、周期算出手段により算出された操作の周期に応じた目標の移動速度を算出する目標移動速度算出手段23と、目標移動速度算出手段により算出された目標の移動速度となるように、走行装置の駆動を制御する制御手段24と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭乗者を乗せて走行する走行装置及び走行方法に関し、より詳細には、搭乗者が適切に移動速度を認識することができる走行装置及び走行方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搭乗者による操作部の操作に基づいて、搭乗者を乗せて走行する走行装置が知られている。また、歩行タイミングをオペレータに対して、一定タイミング毎に電子音で知らせる歩行速度指示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2633203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の走行装置において、例えば、搭乗者が操作部を一度操作して、その後、特別な操作を行うことなく、一定速度で一定時間、単調な走行を継続した場合、徐徐に、搭乗者の速度感覚は低下する傾向にある。一方、上記特許文献1に示す歩行速度指示装置は、上述の如く、オペレータが歩行するための歩行タイミングを、単に知らせるためのものである。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、搭乗者がより適切に移動速度を認識できる走行装置及び走行方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、搭乗者による操作部の操作を検出する操作検出手段を備え、搭乗者を乗せて走行する走行装置であって、前記操作検出手段により検出された前記操作の周期を算出する周期算出手段と、前記周期算出手段により算出された前記操作の周期に応じた目標の移動速度を算出する目標移動速度算出手段と、前記目標移動速度算出手段により算出された前記目標の移動速度となるように、当該走行装置の駆動を制御する制御手段と、を備える、ことを特徴とする走行装置であってもよい。
この一態様において、前記目標移動速度算出手段は、前記周期算出手段により算出された前記操作の周期と、歩行周期に従って予め設定された周期マップと、に基づいて、前記目標の移動速度を算出してもよい。
この一態様において、前記目標移動速度算出手段は、前記周期算出手段により算出された前記操作の周期が短くなるに従って、前記目標の移動速度を増加させてもよい。
この一態様において、前記制御手段は、一定の移動速度が所定時間以上継続されたときに、前記目標移動速度算出手段により算出された前記目標の移動速度となるように、当該走行装置の駆動を制御してもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、搭乗者による操作部の操作を検出する操作検出工程を含み、搭乗者を乗せて走行する走行方法であって、前記操作検出工程で検出された前記操作の周期を算出する周期算出工程と、前記周期算出工程で算出された前記操作の周期に応じた目標の移動速度を算出する目標移動速度算出工程と、前記目標移動速度算出工程で算出された前記目標の移動速度となるように、当該走行装置の駆動を制御する制御工程と、を含む、ことを特徴とする走行方法であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搭乗者がより適切に移動速度を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)本発明の第1実施形態に係る走行装置の概略を示す正面図である。(b)本発明の第1実施形態に係る走行装置の概略を示す側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る走行装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。
【図3】移動速度Vと周期Tとの関係を示す周期マップの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る走行装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図5】(a)操作レバーの傾斜における変化状態の一例を示す図である。(b)走行装置の移動速度Vにおける変化状態の一例を示す図である。(c)音出力装置から、移動速度Vに応じた周期Tで発生する音の一例を示す図である。(d)振動装置から、移動速度Vに応じた周期Tで発生する振動の一例を示す図である。(e)移動速度Vに応じた周期Tで移動速度を変化させた状態の一例を示す図である。
【図6】走行装置の移動速度Vと周期Tとの関係を示す周期マップの一変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る走行装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る走行装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施形態を挙げて説明する。
(第1実施形態)
【0010】
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る走行装置の概略を示す正面図であり、図1(b)は、本発明の第1実施形態に係る走行装置の概略を示す側面図である。本実施形態に係る走行装置10は、例えば、車両本体1の走行方向と直交する方向の両側において同軸上に配置されると共に、当該車両本体1に回転自在に支持される一対の車輪2L、2Rを備える同軸二輪車として構成されている。また、走行装置10は、車両本体1と、左右一対の車輪2L、2Rと、左右一対の車輪駆動ユニット3L、3Rと、操作レバー4と、を備えている。
【0011】
なお、本明細書において、ピッチ軸とは、一対の車輪2L、2Rの車軸に相当する軸である。また、ロール軸とは、車両本体1の中心を通り、走行装置10の走行方向と平行をなす軸である。
【0012】
車両本体1の一対の側面には、左右一対の車輪駆動ユニット3L、3Rが夫々取り付けられている。各車輪駆動ユニット3L、3Rは、各車輪2L、2Rを独立して回転駆動する。各車輪駆動ユニット3L、3Rは、例えば、車輪駆動モータと、その車輪駆動モータの回転力を減速して各車輪2L、2Rへ伝達する減速機と、によって構成することができる。
【0013】
車両本体1は、操作レバー4をロール軸方向へ回転自在に支持する。車両本体1の上面には、操作レバー4の左右両側に搭乗者の足を夫々乗せることができる2つのステップ部1a、1bが設けられている。
【0014】
操作レバー4が、ピッチ軸方向(前後方向)へ傾斜されると、走行装置10の前進又は後退操作が実行され、ロール軸方向(左右方向)へ傾斜されると、走行装置10の旋回操作が実行される。
【0015】
図2は、本発明の第1実施形態に係る走行装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。本実施形態に係る走行装置10は、左右一対の車輪駆動ユニット3L、3Rと、制御装置5と、角度検出センサ6と、左右一対の車輪速度センサ7L、7Rと、姿勢センサユニット8と、左右一対の駆動回路9L、9Rと、ライト装置13と、音出力装置14と、振動装置15と、表示装置16と、送風装置17と、を備えている。
【0016】
角度検出センサ6は、操作レバー4の回動軸に取り付けられている。また、角度検出センサ6としては、例えば、ポテンショメータやバリコン構造のセンサ等を適用することができる。角度検出センサ6は、搭乗者によって旋回したいと思う所望の方向へ操作レバー4が回動されたとき、その操作量及び操作方向を検出する。
【0017】
操作レバー4が操作されると、角度検出センサ6は、その操作量及び操作方向に応じた操作信号を、制御装置5に対して供給する。そして、制御装置5は、角度検出センサ6からの操作信号に応じて、一対の車輪駆動ユニット3L、3Rの駆動を制御し、左右の車輪2L、2Rに回転差を生じさせる。これにより、走行装置10は、所望の車速度及び方向へ旋回走行することができる。
【0018】
左右の車輪速度センサ7L、7Rは、左右の車輪2L、2Rに夫々配設されており、各車輪2L、2Rの車輪速度を夫々検出する。車輪速度センサ7L、7Rは、検出した各車輪2L、2Rの車輪速度を、制御装置5に対して供給する。
【0019】
姿勢センサユニット8は、車両本体1に配設されており、走行装置10の走行時における車両本体1のピッチ角度、ピッチ角速度、加速度等を検出することができる。姿勢センサユニット8は、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ等から構成されている。
【0020】
操作レバー4が前方もしくは後方に傾斜すると、車両本体1も操作レバー4に連動して同方向へ傾斜する。姿勢センサユニット8は、かかる操作レバー4の傾斜に対応した車両本体1のピッチ角度やピッチ角速度(姿勢値)を検出することができる。
【0021】
制御装置5は、姿勢センサユニット8によって検出された車両本体1のピッチ角度、ピッチ角速度等に基づいて、操作レバー4の傾斜方向(前方又は後方)及び対応する移動速度を算出する。そして、制御装置5は、算出した傾斜方向へ及び移動速度で、走行装置10が移動するように、各車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御する。これにより、走行装置10は、所望の移動速度で前進又は後進することができる。
【0022】
一対の駆動回路9L、9Rは、車両本体1に内蔵されており、左右の車輪駆動ユニット3L、3Rを夫々駆動する。また、車両本体1には、車輪駆動ユニット3L、3Rを、駆動回路9L、9Rを介して駆動制御するための制御信号を出力する制御装置5が設けられている。
【0023】
制御装置5は、姿勢センサユニット8からの検出信号、角度検出センサ6からの操作信号、等に基づいて所定の演算処理を実行し、必要な制御信号を、一対の車輪駆動ユニット3L、3Rに対して出力する。
【0024】
制御装置5は、走行装置10の移動速度Vを算出する移動速度算出部11と、移動速度算出部11により算出される移動速度Vに応じた周期Tを算出する周期算出部12と、を備えている。なお、制御装置5は、制御処理、演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、処理データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータを、中心にして構成されている。また、移動速度算出部11及び周期算出部12は、例えば、上記ROMに記憶され、上記CPUによって実行されるプログラムによって実現することができる。
【0025】
移動速度算出部11は、車輪速度センサ7L、7Rからの各車輪2L、2Rの車輪速度に基づいて、周知の演算処理を行い、走行装置10の移動速度Vを算出する。移動速度算出部11は、算出した移動速度Vを周期算出部12に対して出力する。
【0026】
周期算出部12は、移動速度算出部11により算出された移動速度Vと、予め設定された周期マップと、に基づいて、その移動速度Vに応じた周期Tを算出する。この周期マップは、走行装置10の移動速度Vと周期Tとの関係を示すマップであり、例えば、人が通常、歩く若しくは走る際の歩行周期(歩行ピッチ)に基づいて、設定されている。また、この周期マップは、例えは、移動速度Vが増加するに従って、その周期Tが徐徐に短縮し、そのピッチが速くなるように設定されている(図3)。これは、人の歩行速度が増加するに従って、その歩行周期が短くなる(歩行ピッチが速くなる)という人の歩行周期の性質に基づいたものである。周期算出部12は、算出した周期Tに応じた周期信号を、後述のライト装置13、音出力装置14、振動装置15、表示装置16、及び/又は、送風装置17に対して出力する。
【0027】
ライト装置13は、搭乗者が視認できる、例えば、操作レバー4、車両本体1等に設けられており、光を点灯又は点滅させる。また、ライト装置13は、制御装置5の周期算出部12から出力された周期信号に基づいて、その周期Tで光を点滅等させることができる。なお、ライト装置13は、周期算出部12から出力された周期信号に基づいて、その周期Tで、例えば、明/暗、色の変化(赤/青等)を繰り返してもよい。
【0028】
音出力装置14は、例えば、スピーカ装置で構成され、搭乗者が聴くことができる、操作レバー4、車両本体1等に設けられており、音を出力する。また、音出力装置14は、制御装置5の周期算出部12から出力された周期信号に基づいて、その周期Tで任意の音を出力することができる。
【0029】
振動装置15は、搭乗者が直接又は間接的に接触する、例えば、操作レバー4のハンドル部、車両本体1のステップ部1a、1b等に設けられており、振動を発生させる。また、振動装置15は、制御装置5の周期算出部12から出力された周期信号に基づいて、その周期Tで振動を発生させることができる。
【0030】
表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイ装置等で構成され、搭乗者が視認できる、操作レバー4、車両本体1等に設けられており、画像を表示させる。また、表示装置16は、制御装置5の周期算出部12から出力された周期信号に基づいて、その周期Tで画面上の画像を動作(点滅等)させることができる。
【0031】
送風装置17は、例えば、操作レバー4、車両本体1等に設けられており、搭乗者に対して送風を発生させる。また、送風装置17は、制御装置5の周期算出部12から出力された周期信号に基づいて、その周期Tで送風を発生させることができる。
【0032】
ところで、従来の走行装置において、例えば、搭乗者が操作部を一度操作して、その後、特別な操作を行うことなく、一定速度で一定時間、単調な走行を継続した場合、徐徐に、搭乗者の速度感覚は低下する傾向にある。
【0033】
そこで、第1実施形態に係る走行装置10において、制御装置5の周期算出部12は、移動速度算出部11により算出された移動速度Vと、人の歩行周期に従った周期マップと、に基づいて、その移動速度Vに応じた周期Tを算出する。そして、ライト装置13、音出力装置14、振動装置15、表示装置16、及び/又は送風装置17は、周期算出部12により算出された周期Tで、光、音、振動、画像、及び/又は、送風を夫々発生させる。
【0034】
これにより、搭乗者は、上述の如く、特別な操作を行うことなく、一定速度で一定時間、単調な走行を継続した場合でも、人の歩行周期に従った周期で、光、音、振動、画像、送風等を認識することで、より自然な速度感覚を得つつ、走行装置10の移動速度を認識することができる。すなわち、搭乗者はより適切に走行装置10の移動速度を認識することができる。
【0035】
図4は、第1実施形態に係る走行装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。なお、図4及び後述の図8に示す制御処理フローは、例えば、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0036】
まず、姿勢センサユニット8は、操作レバー4の傾斜(図5(a))に対応した車両本体1のピッチ角度、ピッチ角速度等を検出する(ステップS100)。そして、制御装置5は、姿勢センサユニット8によって検出された車両本体1のピッチ角度、ピッチ角速度等に基づいて、操作レバー4の傾斜方向へ及びその移動速度で、走行装置10が移動するように、車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御する(ステップS101)。
【0037】
また、制御装置5の移動速度算出部11は、車輪速度センサ7L、7Rからの各車輪2L、2Rの車輪速度に基づいて、周知の演算処理を行い、走行装置10の移動速度V(図5(b))を算出する(移動速度検出工程)(ステップS102)。
【0038】
次に、周期算出部12は、移動速度算出部11により算出された移動速度Vと、予め設定された周期マップと、に基づいて、その移動速度Vに応じた周期Tを算出する(周期算出工程)(ステップS103)。そして、周期算出部12は、算出した周期Tに応じた周期信号を、例えば、音出力装置14及び振動装置15に対して出力する。
【0039】
その後、音出力装置14は、周期算出部12からの周期信号に基づいて、その周期Tで音「例えば、ピッ、ピッ、・・・」を発生させる(図5(c))。同様に、振動装置15は、周期算出部12からの周期信号に基づいて、その周期Tで振動「ブルッ、ブルッ、・・・」を発生させる(図5(d))(移動速度伝達工程)(ステップS104)。
【0040】
以上、第1実施形態に係る走行装置10において、周期算出部12は、移動速度算出部11により算出された移動速度Vと、周期マップと、に基づいて、その移動速度Vに応じた周期Tを算出する。そして、ライト装置13、音出力装置14、振動装置15、表示装置16、及び/又は送風装置17は、周期算出部12により算出された周期Tで、光、音、振動、画像、及び/又は送風を発生させる。これにより、搭乗者は、人の歩行周期に従った周期で、光、音、振動、画像、送風等を認識することで、より自然な速度感覚を得つつ、走行装置10の移動速度を認識することができる。すなわち、搭乗者はより適切に走行装置10の移動速度を認識することができる。
【0041】
次に第1実施形態に係る走行装置10の変形例について、詳細に説明する。
【0042】
上記第1実施形態において、制御装置(速度制御部)5は、周期算出部12により算出された周期Tで、走行装置10の移動速度を変化(例えば、脈動)させるように、車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御してもよい(図5(e))。
【0043】
上記第1実施形態において、制御装置(方向制御部)5は、周期算出部12により算出された周期Tで、走行装置10が蛇行するように、車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御してもよい。
【0044】
上記第1実施形態において、制御装置5は、周期算出部12により算出された周期Tで、搭乗者が操作する操作部(操作レバー4、操作アクチュエータ等)に負荷を加えてもよく、搭乗者が直接的若しくは間接的に接触する部分に負荷を加えてもよい。
【0045】
上記第1実施形態において、周期算出部12の周期マップは、移動速度Vが第1所定速度V1以上となるとき、周期Tの短縮率が増加するように設定されていてもよい(図6)。これにより、移動速度Vが第1所定速度V1以上となり、注意すべき速度域にあることを、搭乗者はより確実に認識することができる。さらに、移動速度Vが第2所定速度V2以上となるとき、周期Tが一定となるように設定されていてもよい。これは、周期が短すぎる場合に、搭乗者がその周期を認識し難くなるからである。
【0046】
上記第1実施形態において、制御装置5は、一定の移動速度Vが所定時間以上継続したときにだけ、その移動速度Vに応じた周期Tを算出し、その算出した周期Tで、ライト装置13、音出力装置14、振動装置15、表示装置16、及び/又は送風装置17を作動させてもよい。
【0047】
上記第1実施形態において、制御装置5は、移動速度Vに応じた周期Tを算出し、その算出した周期Tで、ライト装置13、音出力装置14、振動装置15、表示装置16、及び送風装置17のうち、任意の装置を組み合わせて作動させてもよい。
【0048】
上記第1実施形態において、ライト装置13、音出力装置14、振動装置15、表示装置16、及び/又は送風装置17は、周期算出部12により算出された周期Tで、光、音、振動、画像、及び/又は送風を出力させつつ、その出力強度を一定周期で変化させてもよい。例えば、音出力装置14は、3パルス毎に音圧を増加させて、音を出力してもよい。また、振動装置15は、任意のパルス数毎に振幅等を可変させてもよい。
【0049】
また、ライト装置13、音出力装置14、振動装置15、表示装置16、及び/又は送風装置17は、周期算出部12により算出された周期Tで、光、音、振動、画像、及び/又は送風を出力させつつ、さらに、その出力強度を移動速度Vに応じた周期T1で増加させてもよい。これにより、より広範な速度範囲で、搭乗者はその移動速度を感じることができる。
(第2実施形態)
【0050】
図7は、本発明の第2実施形態に係る走行装置のシステム構成の概略を示すブロック図である。第2実施形態に係る走行装置20は、操作部27における操作を検出する操作検出部21と、操作検出部21により検出された操作の周期Tを算出する周期算出部22、周期算出部22により算出された操作の周期Tに応じた目標の移動速度Vを算出する目標移動速度算出部23、及び、目標移動速度算出部23により算出された目標の移動速度Vとなるように、当該走行装置20の駆動を制御する制御部24、を有する制御装置25と、を備えている。
【0051】
操作部27は、操作レバー4、車両本体1のステップ部1a、1b、等の搭乗者による操作が可能な任意の部材を含む。
【0052】
操作検出部21は、搭乗者による、操作レバー4の操作量(ロール角度)及び操作方向を検出する角度検出センサ6、車両本体1の操作量(ピッチ角度)等を検出する姿勢センサユニット8、オン・オフ操作を検出する操作スイッチ26、等の操作部27における操作(操作量、操作方向等)を検出できる任意の装置を含む。
【0053】
周期算出部22は、操作検出部21により検出された操作部27における操作の周期(操作周期)Tを算出する。例えば、搭乗者により、操作レバー4が左右方向へ揺動操作されると、周期算出部22は、角度検出センサ6により検出された操作レバー4の操作量(ロール角度)θの変化量(dθ/dt)を算出し、その操作の周期Tを算出する。また、操作レバー4及び車両本体1のステップ部1a、1bが前後方向へ揺動操作されると、周期算出部22は、姿勢センサユニット8により検出された車両本体1のピッチ角度の変量を算出し、その操作の周期Tを算出する。さらに、操作スイッチ26がオン・オフ操作(押圧操作等)されると、周期算出部22は、操作スイッチ26から出力されるオン・オフ信号に基づいて、その操作の周期Tを算出する。周期算出部22は、算出した操作の周期Tを目標移動速度算出部23に対して出力する。
【0054】
目標移動速度算出部23は、周期算出部22により算出された操作の周期Tと、上記周期マップとに基づいて、操作の周期Tに応じた目標の移動速度Vを算出する。なお、この周期マップは、第1実施形態に記載の周期マップと略同一である。すなわち、第1実施形態に係る周期算出部12は、移動速度Vと周期マップとに基づいて、その移動速度Vに応じた周期Tを算出しているが、第2実施形態に係る目標移動速度算出部23は、逆に、周期Tと周期マップとに基づいて、その周期Tに応じた移動速度Vを算出している。目標移動速度算出部23は、算出した目標の移動速度Vを、制御部24に対して出力する。
【0055】
制御部24は、目標移動速度算出部23により算出された目標の移動速度Vとなるように、駆動回路9L、9Rを介して車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御する。
【0056】
なお、第2実施形態に係る走行装置20において他の構成は、第1実施形態に係る走行装置10と略同一である。したがって、同一部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図8は、第2実施形態に係る走行装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、制御装置25は、走行装置20の移動速度が一定となっているか否かを判断する(ステップS200)。制御装置25は、移動速度が一定となっていないと判断したとき(ステップS200のNO)、本制御処理を終了する。
【0059】
一方、制御装置25は、移動速度が一定となっていると判断したとき(ステップS200のYES)、その一定の移動速度が所定時間以上(例えば、10分程度)、継続しているか否かを判断する(ステップS201)。このように、一定の移動速度が所定時間以上、継続していることを判断することで、搭乗者の速度感覚が低下しているか否かをより確実に判断することができる。
【0060】
制御装置25は、一定の移動速度が所定時間以上、継続していないと判断したとき(ステップS201のNO)、本制御処理を終了する。一方、制御装置25により、一定の移動速度が所定時間以上、継続していると判断されたとき(ステップS201のYES)、角度検出センサ6は操作レバー4の操作量及び操作方向を検出する(操作検出工程)(ステップS202)。そして、角度検出センサ6は、検出した操作レバー4の操作量及び操作方向に応じた操作信号を、制御装置25の周期算出部22に対して出力する。
【0061】
次に、周期算出部22は、角度検出センサ6からの操作信号に基づいて、操作レバー4の操作量θの変化量dθ/dtを算出し、操作レバー4における操作の周期Tを算出する(周期算出工程)(ステップS203)。そして、周期算出部22は、算出した操作の周期Tを、目標移動速度算出部23に対して出力する。
【0062】
その後、目標移動速度算出部23は、周期算出部22により算出された操作の周期Tと、周期マップとに基づいて、操作の周期Tに応じた目標の移動速度Vを算出する(目標移動速度算出工程)(ステップS204)。目標移動速度算出部23は、算出した目標の移動速度Vを、制御部24に対して出力する。
【0063】
制御部24は、目標移動速度算出部23により算出された目標の移動速度Vとなるように、駆動回路9L、9Rを介して車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御する(制御工程)(ステップS205)。
【0064】
以上、第2実施形態に係る走行装置20において、制御装置25の目標移動速度算出部23は、周期算出部22により算出された操作部27における操作の周期Tと、人の歩行周期に従った周期マップと、に基づいて、その操作の周期Tに応じた目標の移動速度Vを算出する。そして、制御部24は、目標移動速度算出部23により算出された目標の移動速度Vとなるように、車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御する。これにより、操作部27における操作の周期Tを歩行周期とし、その歩行周期に最も適応した移動速度Vで、走行装置20を走行させることができる。したがって、搭乗者は、自然な速度感覚に適応した操作を自ら行うことで、走行装置20の移動速度をより自然に認識することができる。すなわち、搭乗者は、自らの操作によって、走行装置20の移動速度をより適切に認識することができる。
【0065】
次に、第2実施形態に係る走行装置20の変形例について、詳細に説明する。
【0066】
上記第2実施形態において、操作検出部21はマイクを含んでいてもよい。この場合、周期算出部22は、マイクにより検出された搭乗者の音声(例えば、ア、ア、・・・・等)の周期Tを、上記操作の周期Tとして算出する。
【0067】
上記第2実施形態において、制御装置25の制御部24は、一定の移動速度が所定時間以上継続することを判断することなく、常時、目標移動速度算出部23により算出された目標の移動速度Vとなるように、車輪駆動ユニット3L、3Rを駆動制御してもよい。
【0068】
なお、本発明を実施するための最良の形態について上記実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした上記実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0069】
例えば、上記第1及び第2実施形態において、走行装置10、20として同軸二輪車が適用されているが、これに限らず、車椅子型の移動装置等の搭乗者を乗せて走行する任意の車両に適用可能である。
【0070】
また、上記第1実施形態における車輪速度センサ7L、7R及び移動速度算出部11が、特許請求の範囲に記載の移動速度検出手段に相当する。
【符号の説明】
【0071】
1 車両本体
2L、2R 車輪
3L、3R 車輪駆動ユニット
4 操作レバー
5、25 制御装置
6 角度検出センサ
7L、7R 車輪速度センサ
8 姿勢センサユニット
10、20 走行装置
11 移動速度算出部
12、22 周期算出部
13 ライト装置
14 音出力装置
15 振動装置
16 表示装置
17 送風装置
21 操作検出部
23 目標移動速度算出部
24 制御部
26 操作スイッチ
27 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗者による操作部の操作を検出する操作検出手段を備え、搭乗者を乗せて走行する走行装置であって、
前記操作検出手段により検出された前記操作の周期を算出する周期算出手段と、
前記周期算出手段により算出された前記操作の周期に応じた目標の移動速度を算出する目標移動速度算出手段と、
前記目標移動速度算出手段により算出された前記目標の移動速度となるように、当該走行装置の駆動を制御する制御手段と、を備える、ことを特徴とする走行装置。
【請求項2】
請求項1記載の走行装置であって、
前記目標移動速度算出手段は、前記周期算出手段により算出された前記操作の周期と、歩行周期に従って予め設定された周期マップと、に基づいて、前記目標の移動速度を算出する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の走行装置であって、
前記目標移動速度算出手段は、前記周期算出手段により算出された前記操作の周期が短くなるに従って、前記目標の移動速度を増加させる、ことを特徴とする走行装置。
【請求項4】
請求項3記載の走行装置であって、
前記制御手段は、一定の移動速度が所定時間以上継続されたときに、前記目標移動速度算出手段により算出された前記目標の移動速度となるように、当該走行装置の駆動を制御する、ことを特徴とする走行装置。
【請求項5】
搭乗者による操作部の操作を検出する操作検出工程を含み、搭乗者を乗せて走行する走行方法であって、
前記操作検出工程で検出された前記操作の周期を算出する周期算出工程と、
前記周期算出工程で算出された前記操作の周期に応じた目標の移動速度を算出する目標移動速度算出工程と、
前記目標移動速度算出工程で算出された前記目標の移動速度となるように、当該走行装置の駆動を制御する制御工程と、を含む、ことを特徴とする走行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−67384(P2013−67384A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−252413(P2012−252413)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【分割の表示】特願2008−267076(P2008−267076)の分割
【原出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)