説明

超伝導ケーブル

【課題】超伝導ケーブルにおける冷却運転により、ケーブルコアに生じる収縮に基づく損傷を発生させない構造の超伝導ケーブルを提供する。
【解決手段】低温保持装置(波形チューブ2、4、超断熱材3、シース6)内に配置されている、室温で、超伝導を示す柔軟なケーブルコア1を有する超伝導ケーブルであって、ケーブルコアが低温保持装置内で波形又はラセン形状ではめ込まれていて、冷却運転時に生じる収縮長さを補償するための過剰の長さが形成されていることを特徴とする、超伝導ケーブル。ケーブルコアの外周には熱膨張が低いインバー製の2本のワイヤー5が互いに逆方向に巻きつけられて、その交差点を結合して網目が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温保持装置内側に配置されている、超伝導を示す柔軟性のあるケーブルコアを有する超伝導ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
超伝導材料ケーブルを生産するためには、超伝導を示すケーブルコアが作製され、次いで低温保持装置内に引き込まれるか、又は超伝導ケーブルコアが連続操作で低温保持装置の個々の構成部品により包み込まれる。
【0003】
超伝導を示す柔軟性のあるケーブルコアの製造において、先ず非常に多くの超伝導ストリップ(strip)が相対的に長い層を有する銅ワイヤのストランドの周囲に配置される。続いて、ストリップ形状の多くの絶縁材の層が超伝導ストリップの層上に配置される。一般に、紙のストリップ又はプラスチックでラミネートされたストリップが超伝導ストリップの層上に巻きつけられる。絶縁材のこの層上に、少なくとも1つの超伝導ストリップの層を含む遮蔽材が取り付けられる、この遮蔽材は相当に長い層を有する絶縁材上に巻き付けられる。超伝導層の外側の一面に更に銅ストリップ層が存在する。
【0004】
低温保持装置内側に配置されている、超伝導ケーブルは特許文献1の例から知られている。超伝導材料ケーブルの生産および低温保持装置内側への囲い込みは、室温で行われる、しかし、超伝導材料ケーブルの操作は、超伝導材料の臨界温度以下で行われるので、超伝導材料ケーブルの収縮は冷却期間に行われる、例えば、300度Kから77度Kで約0.3%の収縮が行われる。例えば600mの長さのケーブルの場合、その結果、ケーブルコアの収縮は例えば1.8mになる。
【0005】
それ故に問題が生ずるので、冷却期間中に生じる収縮をケーブルコアの過剰の長さにより補う必要がある、さもなければ強い張力がテーブルコアに働いてテーブルコアを損傷することになる。
【0006】
この問題を解決するために、特許文献2から下記のことが知られている。すなわち、超伝導ケーブルコアを供給から取り出し、ケーブルコアを長手方向に調整した金属ストリップで包み込み、金属ストリップをチューブ状に成形し、長手方向の端を溶接し、溶接されたチューブに波形をつける。この際、波形チューブの内径はケーブルコアの直径よりも大きくなるようにする。その後、ケーブルコアと波形状金属チューブはケーブルドラム上に巻かれる。
【0007】
ケーブルコアとコルゲートチューブはケーブルドラムの上に配置されている一方、ケーブルコアの末端は、波形チューブの末端で互いに機械的に接続されている。
ケーブルコアの剛性のために、巻き上げの間、金属チューブの内壁の外側方向への負荷に耐えている事がわかる、すなわち、ケーブルコアは最も大きくなる巻線直径をとる傾向がある、それにより、金属チューブに対するケーブルコアの過剰の長さが生ずる。
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102 21 534 号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願第10 2004 019 141号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、超伝導ケーブルにおける冷却運転により、ケーブルコアに生ずる収縮に基づく損傷を発生させない構造の超伝導ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(I)低温保持装置(2,3,4)内に配置されている、室温で、超伝導を示す柔軟なケーブルコア(1)を有する超伝導ケーブルであって、前記ケーブルコア(1)が低温保持装置(2,3,4)内で波形又はラセン形状ではめ込まれていることを特徴とする、超伝導ケーブルに関する。
本発明の超伝導ケーブルにおいては更に下記の態様とすることができる。
(II)十字形のネットワーク(5a、5b)が縦軸方向(長手方向)の間隔の特定点でケーブルコア(1)に固定されていて、該ネットワーク(5a、5b)が熱膨張係数の低い材料からなること、
(III)前記ネットワーク(5a、5b)がインバール鋼からなること、
(IV)前記(II)又は(III)において、前記ネットワーク(5a、5b)が層の方向に相対する方向にらせんの形状でケーブルコア(1)の周りに取り付けられている、少なくとも2本のワイヤ又はストリップ(5a、5b)からなり、該ネットワーク(5a、5b)は互いに、及び交差する点で該ケーブルコアに機械的に硬く固定されていること
(V)ネットワーク又はネットワークのワイヤもしくはストリップ(5a、5b)がケーブルコア(1)の外側金属遮蔽材に点溶接又は点はんだ付けされていること
【発明の効果】
【0010】
本発明の超伝導ケーブルは、その低温保持装置に液体窒素等を流入する冷却運転の際にケーブルコアに生ずる収縮に基づく損傷発生を防止可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、図1及び2で概略的に示された典型的な態様に基づいてより詳細に説明される。
図1は、ケーブルコア(1)を囲む低温保持装置を貫く側面の断面図を示す。
低温保持装置は、波形金属チューブ2、超断熱体3及び波形金属チューブ4を含む。波形金属チューブ2と4は、金属ストリップをスリットチューブに成形し、スリットを溶接し、その後波形成形する連続操作により製造される。超断熱体3は、反射金属ホイルと、例えばガラス繊維不織布のような熱非伝導材料とを交互に取り付けた層を含む。更に、金属チューブ2と4の間のスペースは真空にされる。
【0012】
超伝導ケーブルは、超断熱体3を備えた金属チューブ2を金属チューブ4内に押し込むことにより生産することができる。ケーブルコア1は、前記操作の前またはその後に金属チューブ2に引き込むことができる。極めて長い長尺の生産に適している方法は、最初に金属ストリップが供給リールから連続的に取り出されたケーブルコアの周りにあるチューブ状に成形される、このチューブはその縦方向の継ぎ目に沿って溶接され、その後に波形に成形する。超断熱体3は金属チューブ2に取り付けられ、そして金属チューブ4は金属チューブ2ついて記載したと同様方法でその上部に取り付けられる。プラスチックのシース(さや)は6で表示される。
【0013】
本発明の教示によれば、超伝導ケーブルが室温にある場合、これは生産の間の正常なケースであるが、ケーブルコア1は波形ライン又はらせん形状で取り付けられる。
その結果、ケーブルコアの“過剰の長さ”が低温保持装置内で創り出される。
波形形状又はらせんは、熱膨張率が極めて低い金属金属の1又はそれ以上のエレメント5(例えばワイヤ又はストリップ)により固定される、これらは、銅のバンド固定からなるケーブルコア1の外面に予め決められた間隔で、例えばはんだ付け又は溶接により接続されている。
インバール鋼はワイヤ又はストリップ用の材料として好ましい。
【0014】
ケーブルコア1の好ましい典型的な態様を図2に示す。
ワイヤ5a及び5bは、非常に長い層を有するケーブルコア上に配置される。ワイヤ5aの層の方向は、ワイヤ5bの層と反対方向にある。結合する点5cで、ワイヤ5aと5bは、互いに及びケーブルコア1に機械的に堅く接続されている。この目的のために、ケーブルコア1は、外部金属層(表示はしていない)を有する。
【0015】
超伝導ケーブルが作動状態に置かれるとき、液体窒素が金属チューブ2の内部の空間に導入される。ケーブルコアはそれにより冷却されて、収縮する。同時に波形形状は事実上消滅される。超伝導ケーブルの縦方向(長手方向)のケーブルコア1の範囲は、室温(300K)で、及びケーブルの操作温度(77K)の双方で低温保持装置の長さに相当する。
本発明は、電力等を長距離伝送する際の電力ケーブルとして広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ケーブルコアに囲まれた低温保持装置を貫く側面の断面図
【図2】ケーブルコアの好ましい典型的な態様を示す図面
【符号の説明】
【0017】
1 ケーブルコア
2 波形チューブ
3 超断熱材
4 波形チューブ
5 エレメント
6 シース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温保持装置(2、3、4)内に配置されている、室温で、超伝導を示す柔軟なケーブルコア(1)を有する超伝導ケーブルであって、前記ケーブルコア(1)が低温保持装置(2、3、4)内で波形又はラセン形状ではめ込まれていることを特徴とする、超伝導ケーブル。
【請求項2】
十字形のネットワーク(5a、5b)が縦軸方向の間隔の特定点でケーブルコア(1)に固定されていて、該ネットワーク(5a、5b)が熱膨張係数の低い材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の超伝導ケーブル。
【請求項3】
前記ネットワーク(5a、5b)がインバール鋼からなることを特徴とする、請求項2に記載の超伝導ケーブル。
【請求項4】
前記ネットワーク(5a、5b)が層の方向に相対する方向にらせんの形状でケーブルコア(1)の周りに取り付けられている、少なくとも2本のワイヤ又はストリップ(5a、5b)からなり、該ネットワーク(5a、5b)は互いに、及び交差する点で該ケーブルコアに機械的に硬く固定されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の超伝導ケーブル。
【請求項5】
ネットワーク又はネットワークのワイヤもしくはストリップ(5a、5b)がケーブルコア(1)の外側金属遮蔽材に点溶接又は点はんだ付けされていることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の超伝導ケーブル。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−87925(P2007−87925A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121410(P2006−121410)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(501044725)ネクサン (81)
【Fターム(参考)】