超伝導生体磁気計測装置
【課題】心電計を設けることなく、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃える。
【解決手段】心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から心臓の拍動の位相を検出し、これをトリガとして超伝導磁気センサ(5a)で心磁データを収集する。
【効果】超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から心臓の拍動の位相を検出できるので、これをトリガとして超伝導磁気センサ(5a)で心磁データを収集すれば、異なる位置で異なる時刻に収集しても心磁データの心臓の拍動に対する時相が揃う。従って、これらを基に心磁の等磁場線図を作成することが出来る。そして、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【解決手段】心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から心臓の拍動の位相を検出し、これをトリガとして超伝導磁気センサ(5a)で心磁データを収集する。
【効果】超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から心臓の拍動の位相を検出できるので、これをトリガとして超伝導磁気センサ(5a)で心磁データを収集すれば、異なる位置で異なる時刻に収集しても心磁データの心臓の拍動に対する時相が揃う。従って、これらを基に心磁の等磁場線図を作成することが出来る。そして、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導生体磁気計測装置に関し、さらに詳しくは、心電計を設けることなく、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることが出来る超伝導生体磁気計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マウスのような小動物の心磁を測定するための小動物用生体磁気測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−313152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
心磁の等磁場線図(コンターマップ)を作成するためには、異なる位置で同じ時刻に収集した心磁データが必要になるが、異なる位置で同じ時刻に心磁データを収集できない場合、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることで、異なる位置で同じ時刻に収集した心磁データとみなしている。
【0004】
従来、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えるために、心電計を利用している。すなわち、異なる位置で異なる時刻に心磁データを収集する際に心電計の信号をデータ収集のトリガとして用いたり、心磁データを収集するのと並行して心電計のデータを収集し記録しておいて後処理で各心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えている。
しかし、上記の小動物用生体磁気測定装置のように超伝導磁気センサを用いて微弱な心磁を計測している近傍に心電計を置くことは、心電計の電極や電線がノイズ源となり、微弱な心磁の計測が妨げられる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、心電計を設けることなく、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることが出来る超伝導生体磁気計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動する超伝導磁気センサ移動手段(6,7)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集するデータ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記心磁信号をトリガとして前記心磁データの収集を制御するトリガ手段(20)とを具備したことを特徴とする超伝導生体磁気計測装置(100)を提供する。
【0006】
上記構成において「1以上の超伝導磁気センサ(5a)」とは、例えば1つのSQUIDセンサや、1つの基板上に集積化した複数のSQUIDセンサである。
また、「超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する」とは、心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心臓の拍動の位相を検出しうる、という意味である。
心磁検知センサ(5b)は、例えば1つのSQUIDセンサや、1つのフラックスゲートセンサや、ループコイルである。
【0007】
上記第1の観点による超伝導生体磁気計測装置(100)では、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から心臓の拍動の位相を検出できるので、これをトリガとして超伝導磁気センサ(5a)で心磁データを収集すれば、異なる位置で異なる時刻に収集しても心磁データの心臓の拍動に対する時相が揃う。従って、これらを基に心磁の等磁場線図を作成することが出来る。そして、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【0008】
第2の観点では、本発明は、1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を生体に対して相対移動する超伝導磁気センサ移動手段(6)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集する第1データ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記超伝導磁気センサ(5a)による心磁データの収集と並行して前記心磁検知センサ(5b)により心磁データを収集するための第2データ収集手段(20)と、前記心磁検知センサ(5b)により収集した心磁データを基に前記超伝導磁気センサ(5a)により収集した心磁データの時相を同期させる心磁データ同期化手段(20)とを具備したことを特徴とする超伝導生体磁気計測装置(100)を提供する。
上記第2の観点による超伝導生体磁気計測装置(100)では、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心磁検知センサ(5b)で収集した心磁データから心臓の拍動の位相を検出できるので、この心磁データの収集と同時に並行して超伝導磁気センサ(5a)で収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相も、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、検出できる。これにより、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データから心臓の拍動に対する時相の揃った心磁データを得ることが出来るので、これらを基に心磁の等磁場線図を作成することが出来る。そして、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超伝導生体磁気計測装置によれば、心電計を設けることなく、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る超伝導生体磁気測定装置100を示す構成図である。
この超伝導生体磁気計測装置100は、磁気・電波シールド1aで囲繞され且つ小動物Aを収容しうる小動物室1と、小動物室1の上に設置されたデュワ室2と、デュワ室2内に設置されたデュワ3と、デュワ3から垂下しデュワ室2の床から小動物室1の天井を突き抜けて小動物室1の中央辺りまで突出した外径35mmのセンサ管4と、センサ管4の下端部に設置された超伝導磁気センサ5aと、センサ管4の中であるが超伝導磁気センサ5aよりも上方に設置された心磁検知センサ5bと、小動物室1の下に設置され且つ超伝導磁気センサ5aや心磁検知センサ5bを駆動する電子回路を収容した基台15と、電子回路からの信号を処理し心磁検知センサ5bから心磁信号を検出したり超伝導磁気センサ5aから心磁データを収集したりする情報処理装置20とを具備している。
【0012】
小動物室1の磁気・電波シールド1aは、2層のパーマロイと1層の銅板の積層材からなる。
デュワ室2も、1層のパーマロイと1層のアルミ板の積層材からなる磁気・電波シールドで囲繞されている。
【0013】
センサ管4は、フッ素樹脂製であり、可撓性を有している。
【0014】
小動物室1内の床面には、ツマミ61を回すことにより上下に移動するZステージ6zと、ツマミ62を回すことにより前後に移動するXステージ6xと、ツマミ63を回すことにより左右に移動するYステージ6yとを有する小動物移動台6が設置されている。小動物移動台6は、プラスチックや真鍮のような非磁性材料により構成されている。
【0015】
小動物室1は、観音開きする左扉8Lおよび右扉8Rを有する。
右扉8Rには、左扉8Lとの合わせ目側の辺に開放された切欠孔9が設けられている。この切欠孔9に麻酔液チューブ10を通すことにより、左扉8Lおよび右扉8Rを閉じて小動物Aの心磁や脳磁を測定しながら、小動物室1外に置いた麻酔液注入装置から麻酔液を小動物Aに注入することが出来る。
【0016】
また、温調ベッド11を使うときは、切欠孔9に温水チューブ12を通すことにより、左扉8Lおよび右扉8Rを閉じて小動物Aの心磁や脳磁を測定しながら、小動物室1外に置いた温水循環装置から温調ベッド11に温水を給排することが出来る。
【0017】
超伝導磁気センサ5aは、1つのSQUIDセンサであり、小動物Aのごく近傍にあるので、心臓磁場分布の細かいところまで見ることが出来る(空間分解能が高い)。よって、超伝導磁気センサ5aでは、心臓に対する相対位置が異なることによって異なる信号が得られ、心磁の等磁場線図を作成するためのデータとして使うことが出来る。
【0018】
心磁検知センサ5bも、1つのSQUIDセンサであるが、小動物Aからやや離れた位置にあるので、心臓磁場分布をぼんやりと見ることが出来る(空間分解能が低い)。よって、心磁検知センサ5bでは、心臓に対する相対位置が異なってもほとんど変化しない信号が得られ、超伝導磁気センサ5aで得たデータの時相を揃える基準の信号として使うことが出来る。
【0019】
図2に示すように、心磁の等磁場線図を作成するために、小動物Aの心臓の近傍に計測点K(1,1)〜K(4,4)が決められている。
小動物移動台6を移動することによって、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)〜P(4,4)に相対移動すれば、計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データを超伝導磁気センサ5aで収集することが出来る。
【0020】
図3に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,1)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,1)は、計測点K(1,1)での心磁データである。
【0021】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,2)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,2)は、計測点K(1,2)での心磁データである。
なお、小動物Aに対する心磁検知センサ5bの位置も動くため、心磁信号t(1,1)と心磁信号t(1,2)には若干の波形の違いが生じるが、心臓の拍動の位相を検出する上での違いは生じない。換言すれば、そのような位置に心磁検知センサ5bを設置している。
【0022】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,3)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,3)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,3)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,3)は、計測点K(1,3)での心磁データである。
【0023】
以後、同様にして計測点K(1,3)〜K(4,4)での心磁データd(1,3)〜d(4,4)を収集する。
【0024】
以上のようにして得られた計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0025】
実施例1によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例2】
【0026】
実施例2は、心臓の拍動に対する時相が揃った心磁データを後処理で切り出すように実施例1を変形したものである。
【0027】
図4に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,1)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0028】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,2)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0029】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,3)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,3)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,3)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0030】
以後、同様にして位置P(1,3)〜P(4,4)で心磁データT(1,3)〜T(4,4)およびD(1,3)〜D(4,4)を収集する。
【0031】
その後、情報処理装置20は、心磁データT(1,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,1)を心磁データD(1,1)から切り出す。次に、心磁データT(1,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,2)を心磁データD(1,2)から切り出す。次に、心磁データT(1,3)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,3)を心磁データD(1,3)から切り出す。以後、同様にして心磁データd(1,3)〜d(4,4)を切り出す。
【0032】
以上のようにして切り出した心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0033】
実施例2によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例3】
【0034】
図5に示すように、1つの半導体基板7上に、超伝導磁気センサ5aとして4つのSQUIDセンサ5a−1〜5a−4を2×2の配列で形成すると共に、それらSQUIDセンサ5a−1〜5a−4を囲むように心磁検知センサ5bとしてループコイルを形成する。なお、1つの半導体基板上に複数のSQUIDセンサを集積する技術は特開2006−349496号公報に開示されている。
【0035】
図6に示すように、心磁の等磁場線図を作成するために、小動物Aの心臓の近傍に計測点K(1,1)〜K(4,4)が決められている。
小動物移動台6を移動することによって、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)〜P(2,2)に相対移動すれば、計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データを超伝導磁気センサ5aで収集することが出来る。
【0036】
図7に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,1),d(1,2),d(2,1),d(2,2)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,1),d(1,2),d(2,1),d(2,2)は、計測点K(1,1),K(1,2),K(2,1),K(2,2)での心磁データである。
【0037】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,3),d(1,4),d(2,3),d(2,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,3),d(1,4),d(2,3),d(2,4)は、計測点K(1,3),K(1,4),K(2,3),K(2,4)での心磁データである。
【0038】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(3,1),d(3,2),d(4,1),d(4,2)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(3,1),d(3,2),d(4,1),d(4,2)は、計測点K(3,1),K(3,2),K(4,1),K(4,2)での心磁データである。
【0039】
最後に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(3,3),d(3,4),d(4,3),d(4,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(3,3),d(3,4),d(4,3),d(4,4)は、計測点K(3,3),K(3,4),K(4,3),K(4,4)での心磁データである。
【0040】
以上のようにして得られた計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0041】
実施例3によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例4】
【0042】
実施例4は、心臓の拍動に対する時相が揃った心磁データを後処理で切り出すように実施例3を変形したものである。
【0043】
図8に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,1),D(1,2),D(2,1),D(2,2)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0044】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,3),D(1,4),D(2,3),D(2,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0045】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(3,1),D(3,2),D(4,1),D(4,2)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0046】
最後に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(3,3),D(3,4),D(4,3),D(4,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0047】
その後、情報処理装置20は、心磁データT(1,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,1),d(1,2),d(2,1),d(2,2)を心磁データD(1,1),D(1,2),D(2,1),D(2,2)から切り出す。次に、心磁データT(1,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,3),d(1,4),d(2,3),d(2,4)を心磁データD(1,3),D(1,4),D(2,3),D(2,4)から切り出す。次に、心磁データT(2,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(3,1),d(3,2),d(4,1),d(4,2)を心磁データD(3,1),D(3,2),D(4,1),D(4,2)から切り出す。最後に、心磁データT(2,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(3,3),d(3,4),d(4,3),d(4,4)を心磁データD(3,3),D(3,4),D(4,3),D(4,4)から切り出す。
【0048】
以上のようにして切り出した心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0049】
実施例4によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例5】
【0050】
実施例5は、空間分解能を実施例3の2倍に高めるため、超伝導磁気センサ5aの移動ピッチを実施例3の1/4に変形したものである。
【0051】
心磁の等磁場線図を作成するために、小動物Aの心臓の近傍に計測点K(1,1)〜K(4,4)を決める。但し、計測点K(1,1)〜K(4,4)のピッチは、実施例3の1/2とする。
【0052】
図9に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、図13に示すように、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,1),d(1,3),d(3,1),d(3,3)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,1),d(1,3),d(3,1),d(3,3)は、計測点K(1,1),K(1,3),K(3,1),K(3,3)での心磁データである。
【0053】
次に、図10に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、図13に示すように、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,2),d(1,4),d(3,2),d(3,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,2),d(1,4),d(3,2),d(3,4)は、計測点K(1,2),K(1,4),K(3,2),K(3,4)での心磁データである。
【0054】
次に、図11に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、図13に示すように、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(2,1),d(2,3),d(4,1),d(4,3)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(2,1),d(2,3),d(4,1),d(4,3)は、計測点K(2,1),K(2,3),K(4,1),K(4,3)での心磁データである。
【0055】
次に、図12に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(2,2),d(2,4),d(4,2),d(4,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(2,2),d(2,4),d(4,2),d(4,4)は、計測点K(2,2),K(2,4),K(4,2),K(4,4)での心磁データである。
【0056】
以上のようにして得られた計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0057】
実施例5によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例6】
【0058】
実施例6は、心臓の拍動に対する時相が揃った心磁データを後処理で切り出すように実施例5を変形したものである。
【0059】
図14に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,1),D(1,3),D(3,1),D(3,3)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0060】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,2),D(1,4),D(3,2),D(3,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0061】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(2,1),D(2,3),D(4,1),D(4,3)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0062】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(2,2),D(2,4),D(4,2),D(4,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0063】
その後、情報処理装置20は、心磁データT(1,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,1),d(1,3),d(3,1),d(3,3)を心磁データD(1,1),D(1,3),D(3,1),D(3,3)から切り出す。次に、心磁データT(1,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,2),d(1,4),d(3,2),d(3,4)を心磁データD(1,2),D(1,4),D(3,2),D(3,4)から切り出す。次に、心磁データT(2,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(2,2),d(2,3),d(4,1),d(4,3)を心磁データD(2,2),D(2,3),D(4,1),D(4,3)から切り出す。次に、心磁データT(2,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(2,2),d(2,4),d(4,2),d(4,4)を心磁データD(2,2),D(2,4),D(4,2),D(4,4)から切り出す。
【0064】
以上のようにして切り出した心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0065】
実施例6によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
例えばマウスのような小動物から発せられる磁場を測定するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1に係る小動物用生体磁気測定装置を示す正面図である。
【図2】実施例1に係る計測点と超伝導磁気センサの位置を示す概念図である。
【図3】実施例1に係る心磁信号と心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図4】実施例2に係る心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図5】実施例3に係る超伝導磁気センサと心磁検知センサを示す平面図である。
【図6】実施例3に係る計測点と超伝導磁気センサの位置を示す概念図である。
【図7】実施例3に係る心磁信号と心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図8】実施例4に係る心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図9】実施例5に係る超伝導磁気センサの第1位置を示す概念図である。
【図10】実施例5に係る超伝導磁気センサの第2位置を示す概念図である。
【図11】実施例5に係る超伝導磁気センサの第3位置を示す概念図である。
【図12】実施例5に係る超伝導磁気センサの第4位置を示す概念図である。
【図13】実施例5に係る心磁信号と心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図14】実施例6に係る心磁データの時間関係を示す概念図である。
【符号の説明】
【0068】
1 小動物室
1a 磁気・電波シールド
2 デュワ室
3 デュワ
4 センサ管
5a 超伝導磁気センサ
5b 心磁検知センサ
6 小動物移動台
7 センサ移動機構
8L,8R 扉
9 切欠孔
10 麻酔液チューブ
11 温調ベッド
12 温水チューブ
100 小動物用生体磁気測定装置
A 小動物
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導生体磁気計測装置に関し、さらに詳しくは、心電計を設けることなく、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることが出来る超伝導生体磁気計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マウスのような小動物の心磁を測定するための小動物用生体磁気測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−313152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
心磁の等磁場線図(コンターマップ)を作成するためには、異なる位置で同じ時刻に収集した心磁データが必要になるが、異なる位置で同じ時刻に心磁データを収集できない場合、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることで、異なる位置で同じ時刻に収集した心磁データとみなしている。
【0004】
従来、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えるために、心電計を利用している。すなわち、異なる位置で異なる時刻に心磁データを収集する際に心電計の信号をデータ収集のトリガとして用いたり、心磁データを収集するのと並行して心電計のデータを収集し記録しておいて後処理で各心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えている。
しかし、上記の小動物用生体磁気測定装置のように超伝導磁気センサを用いて微弱な心磁を計測している近傍に心電計を置くことは、心電計の電極や電線がノイズ源となり、微弱な心磁の計測が妨げられる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、心電計を設けることなく、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることが出来る超伝導生体磁気計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動する超伝導磁気センサ移動手段(6,7)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集するデータ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記心磁信号をトリガとして前記心磁データの収集を制御するトリガ手段(20)とを具備したことを特徴とする超伝導生体磁気計測装置(100)を提供する。
【0006】
上記構成において「1以上の超伝導磁気センサ(5a)」とは、例えば1つのSQUIDセンサや、1つの基板上に集積化した複数のSQUIDセンサである。
また、「超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する」とは、心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心臓の拍動の位相を検出しうる、という意味である。
心磁検知センサ(5b)は、例えば1つのSQUIDセンサや、1つのフラックスゲートセンサや、ループコイルである。
【0007】
上記第1の観点による超伝導生体磁気計測装置(100)では、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心磁検知センサ(5b)で検知した心磁信号から心臓の拍動の位相を検出できるので、これをトリガとして超伝導磁気センサ(5a)で心磁データを収集すれば、異なる位置で異なる時刻に収集しても心磁データの心臓の拍動に対する時相が揃う。従って、これらを基に心磁の等磁場線図を作成することが出来る。そして、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【0008】
第2の観点では、本発明は、1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を生体に対して相対移動する超伝導磁気センサ移動手段(6)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集する第1データ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記超伝導磁気センサ(5a)による心磁データの収集と並行して前記心磁検知センサ(5b)により心磁データを収集するための第2データ収集手段(20)と、前記心磁検知センサ(5b)により収集した心磁データを基に前記超伝導磁気センサ(5a)により収集した心磁データの時相を同期させる心磁データ同期化手段(20)とを具備したことを特徴とする超伝導生体磁気計測装置(100)を提供する。
上記第2の観点による超伝導生体磁気計測装置(100)では、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、心磁検知センサ(5b)で収集した心磁データから心臓の拍動の位相を検出できるので、この心磁データの収集と同時に並行して超伝導磁気センサ(5a)で収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相も、超伝導磁気センサ(5a)の位置に影響されずに、検出できる。これにより、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データから心臓の拍動に対する時相の揃った心磁データを得ることが出来るので、これらを基に心磁の等磁場線図を作成することが出来る。そして、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超伝導生体磁気計測装置によれば、心電計を設けることなく、異なる位置で異なる時刻に収集した心磁データの心臓の拍動に対する時相を揃えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る超伝導生体磁気測定装置100を示す構成図である。
この超伝導生体磁気計測装置100は、磁気・電波シールド1aで囲繞され且つ小動物Aを収容しうる小動物室1と、小動物室1の上に設置されたデュワ室2と、デュワ室2内に設置されたデュワ3と、デュワ3から垂下しデュワ室2の床から小動物室1の天井を突き抜けて小動物室1の中央辺りまで突出した外径35mmのセンサ管4と、センサ管4の下端部に設置された超伝導磁気センサ5aと、センサ管4の中であるが超伝導磁気センサ5aよりも上方に設置された心磁検知センサ5bと、小動物室1の下に設置され且つ超伝導磁気センサ5aや心磁検知センサ5bを駆動する電子回路を収容した基台15と、電子回路からの信号を処理し心磁検知センサ5bから心磁信号を検出したり超伝導磁気センサ5aから心磁データを収集したりする情報処理装置20とを具備している。
【0012】
小動物室1の磁気・電波シールド1aは、2層のパーマロイと1層の銅板の積層材からなる。
デュワ室2も、1層のパーマロイと1層のアルミ板の積層材からなる磁気・電波シールドで囲繞されている。
【0013】
センサ管4は、フッ素樹脂製であり、可撓性を有している。
【0014】
小動物室1内の床面には、ツマミ61を回すことにより上下に移動するZステージ6zと、ツマミ62を回すことにより前後に移動するXステージ6xと、ツマミ63を回すことにより左右に移動するYステージ6yとを有する小動物移動台6が設置されている。小動物移動台6は、プラスチックや真鍮のような非磁性材料により構成されている。
【0015】
小動物室1は、観音開きする左扉8Lおよび右扉8Rを有する。
右扉8Rには、左扉8Lとの合わせ目側の辺に開放された切欠孔9が設けられている。この切欠孔9に麻酔液チューブ10を通すことにより、左扉8Lおよび右扉8Rを閉じて小動物Aの心磁や脳磁を測定しながら、小動物室1外に置いた麻酔液注入装置から麻酔液を小動物Aに注入することが出来る。
【0016】
また、温調ベッド11を使うときは、切欠孔9に温水チューブ12を通すことにより、左扉8Lおよび右扉8Rを閉じて小動物Aの心磁や脳磁を測定しながら、小動物室1外に置いた温水循環装置から温調ベッド11に温水を給排することが出来る。
【0017】
超伝導磁気センサ5aは、1つのSQUIDセンサであり、小動物Aのごく近傍にあるので、心臓磁場分布の細かいところまで見ることが出来る(空間分解能が高い)。よって、超伝導磁気センサ5aでは、心臓に対する相対位置が異なることによって異なる信号が得られ、心磁の等磁場線図を作成するためのデータとして使うことが出来る。
【0018】
心磁検知センサ5bも、1つのSQUIDセンサであるが、小動物Aからやや離れた位置にあるので、心臓磁場分布をぼんやりと見ることが出来る(空間分解能が低い)。よって、心磁検知センサ5bでは、心臓に対する相対位置が異なってもほとんど変化しない信号が得られ、超伝導磁気センサ5aで得たデータの時相を揃える基準の信号として使うことが出来る。
【0019】
図2に示すように、心磁の等磁場線図を作成するために、小動物Aの心臓の近傍に計測点K(1,1)〜K(4,4)が決められている。
小動物移動台6を移動することによって、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)〜P(4,4)に相対移動すれば、計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データを超伝導磁気センサ5aで収集することが出来る。
【0020】
図3に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,1)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,1)は、計測点K(1,1)での心磁データである。
【0021】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,2)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,2)は、計測点K(1,2)での心磁データである。
なお、小動物Aに対する心磁検知センサ5bの位置も動くため、心磁信号t(1,1)と心磁信号t(1,2)には若干の波形の違いが生じるが、心臓の拍動の位相を検出する上での違いは生じない。換言すれば、そのような位置に心磁検知センサ5bを設置している。
【0022】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,3)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,3)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,3)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,3)は、計測点K(1,3)での心磁データである。
【0023】
以後、同様にして計測点K(1,3)〜K(4,4)での心磁データd(1,3)〜d(4,4)を収集する。
【0024】
以上のようにして得られた計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0025】
実施例1によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例2】
【0026】
実施例2は、心臓の拍動に対する時相が揃った心磁データを後処理で切り出すように実施例1を変形したものである。
【0027】
図4に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,1)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0028】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,2)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0029】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,3)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,3)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,3)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0030】
以後、同様にして位置P(1,3)〜P(4,4)で心磁データT(1,3)〜T(4,4)およびD(1,3)〜D(4,4)を収集する。
【0031】
その後、情報処理装置20は、心磁データT(1,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,1)を心磁データD(1,1)から切り出す。次に、心磁データT(1,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,2)を心磁データD(1,2)から切り出す。次に、心磁データT(1,3)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,3)を心磁データD(1,3)から切り出す。以後、同様にして心磁データd(1,3)〜d(4,4)を切り出す。
【0032】
以上のようにして切り出した心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0033】
実施例2によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例3】
【0034】
図5に示すように、1つの半導体基板7上に、超伝導磁気センサ5aとして4つのSQUIDセンサ5a−1〜5a−4を2×2の配列で形成すると共に、それらSQUIDセンサ5a−1〜5a−4を囲むように心磁検知センサ5bとしてループコイルを形成する。なお、1つの半導体基板上に複数のSQUIDセンサを集積する技術は特開2006−349496号公報に開示されている。
【0035】
図6に示すように、心磁の等磁場線図を作成するために、小動物Aの心臓の近傍に計測点K(1,1)〜K(4,4)が決められている。
小動物移動台6を移動することによって、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)〜P(2,2)に相対移動すれば、計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データを超伝導磁気センサ5aで収集することが出来る。
【0036】
図7に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,1),d(1,2),d(2,1),d(2,2)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,1),d(1,2),d(2,1),d(2,2)は、計測点K(1,1),K(1,2),K(2,1),K(2,2)での心磁データである。
【0037】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,3),d(1,4),d(2,3),d(2,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,3),d(1,4),d(2,3),d(2,4)は、計測点K(1,3),K(1,4),K(2,3),K(2,4)での心磁データである。
【0038】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(3,1),d(3,2),d(4,1),d(4,2)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(3,1),d(3,2),d(4,1),d(4,2)は、計測点K(3,1),K(3,2),K(4,1),K(4,2)での心磁データである。
【0039】
最後に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(3,3),d(3,4),d(4,3),d(4,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(3,3),d(3,4),d(4,3),d(4,4)は、計測点K(3,3),K(3,4),K(4,3),K(4,4)での心磁データである。
【0040】
以上のようにして得られた計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0041】
実施例3によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例4】
【0042】
実施例4は、心臓の拍動に対する時相が揃った心磁データを後処理で切り出すように実施例3を変形したものである。
【0043】
図8に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,1),D(1,2),D(2,1),D(2,2)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0044】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,3),D(1,4),D(2,3),D(2,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0045】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(3,1),D(3,2),D(4,1),D(4,2)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0046】
最後に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(3,3),D(3,4),D(4,3),D(4,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0047】
その後、情報処理装置20は、心磁データT(1,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,1),d(1,2),d(2,1),d(2,2)を心磁データD(1,1),D(1,2),D(2,1),D(2,2)から切り出す。次に、心磁データT(1,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,3),d(1,4),d(2,3),d(2,4)を心磁データD(1,3),D(1,4),D(2,3),D(2,4)から切り出す。次に、心磁データT(2,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(3,1),d(3,2),d(4,1),d(4,2)を心磁データD(3,1),D(3,2),D(4,1),D(4,2)から切り出す。最後に、心磁データT(2,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(3,3),d(3,4),d(4,3),d(4,4)を心磁データD(3,3),D(3,4),D(4,3),D(4,4)から切り出す。
【0048】
以上のようにして切り出した心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0049】
実施例4によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例5】
【0050】
実施例5は、空間分解能を実施例3の2倍に高めるため、超伝導磁気センサ5aの移動ピッチを実施例3の1/4に変形したものである。
【0051】
心磁の等磁場線図を作成するために、小動物Aの心臓の近傍に計測点K(1,1)〜K(4,4)を決める。但し、計測点K(1,1)〜K(4,4)のピッチは、実施例3の1/2とする。
【0052】
図9に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、図13に示すように、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,1),d(1,3),d(3,1),d(3,3)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,1),d(1,3),d(3,1),d(3,3)は、計測点K(1,1),K(1,3),K(3,1),K(3,3)での心磁データである。
【0053】
次に、図10に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、図13に示すように、心磁検知センサ5bから心磁信号t(1,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(1,2),d(1,4),d(3,2),d(3,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(1,2),d(1,4),d(3,2),d(3,4)は、計測点K(1,2),K(1,4),K(3,2),K(3,4)での心磁データである。
【0054】
次に、図11に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、図13に示すように、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,1)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(2,1),d(2,3),d(4,1),d(4,3)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(2,1),d(2,3),d(4,1),d(4,3)は、計測点K(2,1),K(2,3),K(4,1),K(4,3)での心磁データである。
【0055】
次に、図12に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、心磁検知センサ5bから心磁信号t(2,2)を検出し、心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相をトリガとして、超伝導磁気センサ5aによる心磁データd(2,2),d(2,4),d(4,2),d(4,4)の収集を開始し、一定時間後に収集を終了する。得られた心磁データd(2,2),d(2,4),d(4,2),d(4,4)は、計測点K(2,2),K(2,4),K(4,2),K(4,4)での心磁データである。
【0056】
以上のようにして得られた計測点K(1,1)〜K(4,4)での心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0057】
実施例5によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【実施例6】
【0058】
実施例6は、心臓の拍動に対する時相が揃った心磁データを後処理で切り出すように実施例5を変形したものである。
【0059】
図14に示すように、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,1),D(1,3),D(3,1),D(3,3)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0060】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(1,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(1,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(1,2),D(1,4),D(3,2),D(3,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0061】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,1)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,1)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(2,1),D(2,3),D(4,1),D(4,3)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0062】
次に、超伝導磁気センサ5aを位置P(2,2)に相対移動した後、情報処理装置20は、任意のタイミングで心磁検知センサ5bよる心磁データT(2,2)の収集および超伝導磁気センサ5aによる心磁データD(2,2),D(2,4),D(4,2),D(4,4)の収集を同時に並行して開始し、一定時間後に収集を終了する。
【0063】
その後、情報処理装置20は、心磁データT(1,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,1),d(1,3),d(3,1),d(3,3)を心磁データD(1,1),D(1,3),D(3,1),D(3,3)から切り出す。次に、心磁データT(1,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(1,2),d(1,4),d(3,2),d(3,4)を心磁データD(1,2),D(1,4),D(3,2),D(3,4)から切り出す。次に、心磁データT(2,1)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(2,2),d(2,3),d(4,1),d(4,3)を心磁データD(2,2),D(2,3),D(4,1),D(4,3)から切り出す。次に、心磁データT(2,2)から心臓の拍動の位相を検出し、所定の位相から一定時間後までの心磁データd(2,2),d(2,4),d(4,2),d(4,4)を心磁データD(2,2),D(2,4),D(4,2),D(4,4)から切り出す。
【0064】
以上のようにして切り出した心磁データd(1,1)〜d(4,4)は、異なる時刻に収集した心磁データであるが、心臓の拍動に対する時相は揃っている。そこで、情報処理装置20は、これらを基に心磁の等磁場線図を作成する。
【0065】
実施例6によれば、心電計を設ける必要がないため、心電計の電極や電線がノイズ源となって微弱な心磁の計測が妨げられることがなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
例えばマウスのような小動物から発せられる磁場を測定するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1に係る小動物用生体磁気測定装置を示す正面図である。
【図2】実施例1に係る計測点と超伝導磁気センサの位置を示す概念図である。
【図3】実施例1に係る心磁信号と心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図4】実施例2に係る心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図5】実施例3に係る超伝導磁気センサと心磁検知センサを示す平面図である。
【図6】実施例3に係る計測点と超伝導磁気センサの位置を示す概念図である。
【図7】実施例3に係る心磁信号と心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図8】実施例4に係る心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図9】実施例5に係る超伝導磁気センサの第1位置を示す概念図である。
【図10】実施例5に係る超伝導磁気センサの第2位置を示す概念図である。
【図11】実施例5に係る超伝導磁気センサの第3位置を示す概念図である。
【図12】実施例5に係る超伝導磁気センサの第4位置を示す概念図である。
【図13】実施例5に係る心磁信号と心磁データの時間関係を示す概念図である。
【図14】実施例6に係る心磁データの時間関係を示す概念図である。
【符号の説明】
【0068】
1 小動物室
1a 磁気・電波シールド
2 デュワ室
3 デュワ
4 センサ管
5a 超伝導磁気センサ
5b 心磁検知センサ
6 小動物移動台
7 センサ移動機構
8L,8R 扉
9 切欠孔
10 麻酔液チューブ
11 温調ベッド
12 温水チューブ
100 小動物用生体磁気測定装置
A 小動物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動する超伝導磁気センサ移動手段(6,7)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集するデータ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記心磁信号をトリガとして前記心磁データの収集を制御するトリガ手段(20)とを具備したことを特徴とする生体磁気計測装置(100)。
【請求項2】
1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を生体に対して相対移動する超伝導磁気センサ移動手段(6)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集する第1データ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記超伝導磁気センサ(5a)による心磁データの収集と並行して前記心磁検知センサ(5b)により心磁データを収集するための第2データ収集手段(20)と、前記心磁検知センサ(5b)により収集した心磁データを基に前記超伝導磁気センサ(5a)により収集した心磁データの時相を同期させる心磁データ同期化手段(20)とを具備したことを特徴とする超伝導生体磁気計測装置(100)。
【請求項1】
1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動する超伝導磁気センサ移動手段(6,7)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集するデータ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記心磁信号をトリガとして前記心磁データの収集を制御するトリガ手段(20)とを具備したことを特徴とする生体磁気計測装置(100)。
【請求項2】
1以上の超伝導磁気センサ(5a)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を生体に対して相対移動する超伝導磁気センサ移動手段(6)と、前記超伝導磁気センサ(5a)を移動し2以上の計測位置で心磁データを収集する第1データ収集手段(20)と、前記超伝導磁気センサ(5a)の移動に実質的に影響されずに心磁信号を検知する心磁検知センサ(5b)と、前記超伝導磁気センサ(5a)による心磁データの収集と並行して前記心磁検知センサ(5b)により心磁データを収集するための第2データ収集手段(20)と、前記心磁検知センサ(5b)により収集した心磁データを基に前記超伝導磁気センサ(5a)により収集した心磁データの時相を同期させる心磁データ同期化手段(20)とを具備したことを特徴とする超伝導生体磁気計測装置(100)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−233211(P2009−233211A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85067(P2008−85067)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、経済産業省、地域新生コンソーシアム研究開発事業委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【Fターム(参考)】
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