超音波モータ
【課題】センシング機能を付加した簡略な構成の超音波モータを提供すること。
【解決手段】超音波モータを次のように構成する。すなわち、被駆動体であるシャフト11と、前記シャフト11が挿通される貫通孔5hが形成されたステータ5と、前記ステータ5に設けられ、前記シャフト11を駆動する為の駆動信号が印加される駆動用圧電素子10と、前記ステータ5において、前記シャフト11の駆動軸方向に沿って長さを有するように設けられ、当該超音波モータの外部環境の状態を検出する為の検出信号を出力する検出用圧電素子15と、を超音波モータに具備させる。
【解決手段】超音波モータを次のように構成する。すなわち、被駆動体であるシャフト11と、前記シャフト11が挿通される貫通孔5hが形成されたステータ5と、前記ステータ5に設けられ、前記シャフト11を駆動する為の駆動信号が印加される駆動用圧電素子10と、前記ステータ5において、前記シャフト11の駆動軸方向に沿って長さを有するように設けられ、当該超音波モータの外部環境の状態を検出する為の検出信号を出力する検出用圧電素子15と、を超音波モータに具備させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧電素子等から成る超音波振動子の振動を利用する超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、圧電素子などの振動子の振動を利用した超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギア無しで低速高推力が得られる点、保持力が高い点、ストロークが長く高分解能である点、静粛性に富む点、磁気的ノイズを発生せず磁気的ノイズの影響を受けない点等の利点を有している。
【0003】
超音波モータでは、摩擦部材である駆動子が設けられた超音波振動子を、該駆動子を介して、相対運動部材である被駆動部材に押し付ける。そして、前記駆動子と前記被駆動部材との間の摩擦力によって前記被駆動部材を駆動する。このような超音波モータに関連する技術としては、例えば特許文献1に次のような技術が開示されている。
【0004】
すなわち、特許文献1に開示されている超音波モータでは、超音波振動子のうち楕円振動が生じている振動面に沿った方向に穴部が形成され、この穴部内において前記楕円振動が発生している部位に摩擦接触部が配設されている。
ここで、前記超音波振動子は圧電体である矩形状の圧電セラミックスシートが複数枚積層されて成る。それら矩形状の圧電セラミックスシートには、それぞれ4隅に圧電活性化された領域である内部電極が設けられている。それら内部電極において当該圧電セラミックスシートの周縁に露出する部位には、それぞれ対応する位置の内部電極同士で外部電極が設けられて電気的に接続されている。
【0005】
この外部電極に所定の電気信号が印加されると、前記超音波振動子には、超音波モータとして縦1次振動と屈曲2次振動とが励起される。そして、それらの合成振動である楕円振動が、前記摩擦接触部の配設位置に励起される。この摩擦接触部により取出した駆動力をシャフトに伝達して軸駆動が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−21115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されている超音波モータは、シャフトを軸方向に直進(Translation)駆動可能なように構成されている。このような直進駆動に加えて、その軸周りに回転(Rotation)駆動可能なモータは、TR型モータと称されている。このTR型モータは、一つのモータで複数方向に駆動できるという多機能的な超音波モータである。
そして、特許文献1に開示されているタイプの超音波モータやTR型モータにおいては、シャフトについての接触検知、及び当該モータが配設されている空間の温度検知を行いたいとの要望がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術に代表されるように、従来の技術に係る超音波モータは、センシング機能を付加し得るようには構成されていない。
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、センシング機能を付加した簡略な構成の超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による超音波モータは、
被駆動体であるシャフトと、
前記シャフトが挿通される貫通孔が形成されたステータと、
前記ステータに設けられ、前記シャフトを駆動する為の駆動信号が印加される駆動用圧電素子と、
前記ステータにおいて、前記シャフトの駆動軸方向に沿って長さを有するように設けられ、当該超音波モータの外部環境の状態を検出する為の検出信号を出力する検出用圧電素子と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センシング機能を付加した簡略な構成の超音波モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図1B】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図1C】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの駆動装置の概略構成例を示す図。
【図3A】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図3B】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図3C】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図3D】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図4A】本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図4B】本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図4C】本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る超音波モータについて、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1A乃至図1Cは、それぞれ本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図1A乃至図1Cに示すように、本第1実施形態に係る超音波モータは、ステータ5と、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4と、検出用圧電素子15と、シャフト11と、を具備する。
【0013】
前記ステータ5は、シャフト11を挿通する貫通孔5hが設けられた略立方体形状の弾性体(例えば金属等)である。
前記駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4は、ステータ5のうち貫通孔5hが設けられた面以外の面(側周面)に設けられた圧電素子である。詳細には、各駆動用圧電素子は下記の態様で設けられている。
【0014】
駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とは、ステータ5の一側周面において、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。該側周面に隣接する側周面においては、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とが、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
【0015】
図1A乃至図1Cに示す構成例において、駆動用圧電素子10−1,10−2は、当該側周面の略全面に渡って設けられている。一方、駆動用圧電素子10−3,10−4は、図1A乃至図1Cに示す構成例においては、検出用圧電素子15を設ける為の所定の領域を覆わない態様で設けられている。図1A乃至図1Cに示すように、各駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4及び検出用圧電素子15は、それぞれ各配設面において対称性を有する態様で配設されている。
【0016】
図1Aに示す構成例においては、当該側周面の縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
図1Bに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
【0017】
図1Cに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に対して垂直な方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向に対して垂直な方向を長手方向とする)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
前記シャフト11は、ステータ5に形成された貫通孔5hに挿通され、進退駆動及び回転駆動可能なように当該ステータ5によって支持される被駆動体である。このシャフト11は、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4に所定の駆動信号が印加されて弾性変形するステータ5によって、進退駆動及び回転駆動される。
【0018】
前記検出用圧電素子15は、当該超音波モータの外部環境の要素とシャフト11との接触(衝突を含む;以降同様)の検出、及び、当該超音波モータの外部環境の状態の検出(例えば後述する温度検出)の為に設けられた圧電素子である。
図1Aに示す構成例においては、検出用圧電素子15は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
【0019】
図1Bに示す構成例においては、検出用圧電素子15は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
図1Cに示す構成例においては、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で前記軸方向に対して垂直な方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
【0020】
上述の各図に示す構成例から分かるように、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4及び検出用圧電素子15は、下記の条件を満たすことが好ましい。
・駆動の為の圧電素子(駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)と、センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)と、を別個に設けること。
・センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)を、被駆動体(シャフト11)の軸方向に幅(所定長さ)を有するように形成すること。
・センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)を、振動時に応力が集中する(応力が最大となる)部位である前記軸方向における中央部位近傍を含むように形成する。
【0021】
なお、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4及び検出用圧電素子15としては、外部電極が引き出された積層型圧電素子を用いてもよいし、単板型圧電素子を用いてもよい。但し、ステータ5自体の容積を変化させない程度の大きさの圧電素子を用いることが好ましい。
【0022】
ところで、上述の駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4は、ステータ5が備えるA相(A+,A−)、B相(B+,B−)の駆動電極として機能する。詳細には、駆動用圧電素子10−1とA+相とが対応し、駆動用圧電素子10−2とB+相とが対応し、駆動用圧電素子10−3とB−相とが対応し、駆動用圧電素子10−4とA−相とが対応する。また、上述の検出用圧電素子15は、図2に示すように接地されたステータ5の縦振動を検出するC相の振動検出電極として機能する。
【0023】
以下、本第1実施形態に係る超音波モータを駆動する為の装置について詳細に説明する。図2は、本第1実施形態に係る超音波モータの駆動装置の概略構成例を示す図である。図2に示すように、駆動装置は、発振回路(基準信号生成手段)21と、制御CPU22と、信号制御回路23と、信号生成回路25と、信号出力制御回路26と、位相差検出回路28と、ドライブ回路30と、モニタ信号制御回路40と、基準温度計51と、を有する。
【0024】
前記発振回路21は、基準信号(クロック信号)を生成し、信号制御回路23、信号生成回路25、信号出力制御回路26、及び位相差検出回路28に出力する。
前記制御CPU22は、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4に印加する駆動信号を制御する。また、前記制御CPU22は、検出用圧電素子15から出力された信号(検出信号)を利用して、シャフト11の接触検出処理、及び当該超音波モータの外部環境/ステータ5の温度検出処理を行う。この制御CPU22によるセンシング処理については、後に詳述する。
【0025】
前記信号制御回路23は、前記発振回路21から入力される基準信号と制御CPU22から入力される周波数指令値とに基づいて、所定の周波数のパルス信号である基準駆動信号を生成し、これを信号生成回路25に出力する。ここで、制御CPU22は、基準駆動信号の周波数をステータ5の共振周波数またはその近傍の周波数に設定するための周波数指令値を、信号制御回路23に与える。従って、信号制御回路23からはステータ5の共振周波数と略同じ周波数の基準駆動信号が出力される。
【0026】
より詳細には、信号制御回路23は、周波数制御回路、位相差制御回路、及びパルスエッジ遅れ制御回路から成る。
信号制御回路23は、前記周波数制御回路として、周波数の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、駆動信号の周波数を決める基準駆動信号を出力する。
【0027】
信号制御回路23は、前記位相差制御回路として、駆動位相差の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、2つの駆動信号であるA相信号とB相信号との位相差を制御する。
前記信号出力制御回路26は、制御CPU22から当該信号出力制御回路26を介して、直接信号生成回路25の出力のON/OFF、A相信号、B相信号の出力順を制御することができる。また、信号出力制御回路26は、設定値に基づき、信号生成回路25から出力する駆動信号のパルス数や間欠駆動を行うための出力休止時間を制御する。
【0028】
前記信号生成回路25は、基準駆動信号と制御CPU22からのA相B相の位相差指令値とに基づいて、位相差が90°であるA相の基準駆動信号とB相の基準駆動信号とを生成する。なお、出力のON/OFF制御は、信号出力制御回路26によって行われる。
【0029】
前記ドライブ回路30は、スイッチング素子で構成されたHブリッジ回路とインピーダンスマッチング及び昇圧用のコイルとを備えている。このドライブ回路30は、前記信号生成回路25から各種駆動信号が入力されると、各駆動交番電圧OUTA+、OUTA−、OUTB+、OUTB−を出力する。
【0030】
ドライブ回路30はコイルを有しているので、パルス信号である駆動信号は、コイルの働きにより正弦波に近い波形に変換され、正弦波に近いA相、B相の駆動交番電圧が、ステータ5に設けられたA相(A+,A−)、B相(B+,B−)の駆動電極である駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4にそれぞれ印加される。
【0031】
ここで、ステータ5に励起されている縦振動は、C相の振動検出電極である検出用圧電素子15により検出され、この縦振動に比例する電気信号(振動検出信号)はモニタ信号制御回路40(詳細は後述)を介して位相差検出回路28に入力される。また、位相差検出回路28には、信号生成回路25から何れか一つの駆動信号(例えばA相プラス側の駆動信号(駆動用圧電素子10−1に印加する駆動信号)が入力される。
【0032】
そして、位相差検出回路28は、ステータ5の検出用圧電素子15から出力されてモニタ信号制御回路40を介して入力された振動検出信号と、信号生成回路25から入力された駆動信号と、の位相差を検出し、該位相差を制御CPU22に出力する。
前記モニタ信号制御回路40は、検出用圧電素子15からの出力信号を波形整形して2値化して前記位相差検出回路28に出力する。
【0033】
以下、本第1実施形態に係る超音波モータの制御CPU22による“周波数追尾処理”、“接触検出処理”、及び“温度検出処理”について詳細に説明する。
《周波数追尾処理》
駆動電極(本例におけるところの駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)に印加する駆動信号と、振動検出電極(本例におけるところの検出用圧電素子15)からの検出信号と、の位相差(以降、追尾位相差と称する)が、所定の値になるように、駆動信号の周波数を調整しつつ駆動する。
【0034】
換言すれば、制御CPU22は、位相差検出回路28からのフィードバック値等に基づいて、基準駆動信号の周波数指令値、及びA相B相の位相差指令値等を作成して出力することで、周波数追尾を行う。
《接触検出処理》
(1)シャフト11が進退/回転駆動中における接触検出処理
制御CPU22は、前記位相差検出回路28によって検出された、“ドライブ回路30の出力である駆動信号(各駆動交番電圧)と、検出用圧電素子15の出力である検出信号と、の位相差”を、A/D変換してモニタリングする。ここで、制御CPU22は、前記A/D変換後の値(以降、A/D変換値と称する)について、前回のサンプリング値と比較して所定範囲を超えるような変化(例えば急激な変化)があるか否かを判定する。
【0035】
このA/D変換値の急激な変化は、進退/回転駆動中のシャフト11が何らかの外部要素に接触したことを示す。従って、このようにA/D変換値をモニタリングして当該A/D変換値に所定範囲を超えるような変化(例えば急激な変化)があるか否かを判定することで、進退/回転駆動中のシャフト11が何かに接触したことを検出することができる。
(2)シャフト11が進退/回転駆動していないとき(当該超音波モータがモータとして機能していないとき)の接触検出処理
制御CPU22は、“シャフト11の固有振動数”の電圧信号を駆動電極(駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)に印加する制御を行う。そして、前記位相差検出回路28によって検出された、“ドライブ回路30の出力である駆動信号(各駆動交番電圧)と、検出用圧電素子15の出力である検出信号と、の位相差”を、A/D変換してモニタリングする。ここで、制御CPU22は、A/D変換値について、前回のサンプリング値と比較して所定範囲を超えるような値の変化(例えば急激な値の変化)があるか否かを判定する。このA/D変換値の急激な変化は、シャフト11に何らかの外部要素が接触してきたことを示す。
【0036】
従って、制御CPU22は、A/D変換値をモニタリングして、当該A/D変換値に急激な変化があるか否かを判定することで、シャフト11に何らかの外部要素が接触してきたことを検出することができる。なお、前記検出用圧電素子15の出力である検出信号のみを参照して、その周波数の変化の有無について判定することで、接触したか否かを検出することも可能である。
ところで、検出信号の周波数の変化の程度は、シャフト11に接触した外部要素の硬さに応じて異なる。従って、前記検出用圧電素子15の出力である検出信号のみを参照して、シャフト11に接触した外部要素の硬さについても概略判別することも可能である。たとえば、検出信号の周波数が、シャフト11の固有振動数からどの程度変化するかに基づいて、シャフト11に接触した外部要素の硬さを概略判別する。
《温度検出処理》
制御CPU22は、検出用圧電素子15の出力である検出信号をA/D変換し、当該A/D変換値(電圧値)をモニタリングする。ここで、定常状態の検出用圧電素子15において温度変化が生じると(当該超音波モータが配設されている空間に温度変化が生じると)、焦電効果により、前記検出信号が変化する(すなわちA/D変換値が変化する)。従って、A/D変換値の変化をモニタリングし、当該A/D変換値に変化が生じたか否かを判定することで、検出用圧電素子15の(当該超音波モータが配設されている空間の)温度変化を検出することができる。
【0037】
なお、当然ながら、上述の方法で検出する温度変化は相対的な温度の変化である。従って、温度の絶対値を求める場合には、予め基準温度計51によって基準温度を取得して制御CPU22に記憶しておき、当該基準温度に対して、上述の方法で検出した相対的な温度変化を加減算することで求めればよい。勿論、相対温度のみを求めればよい場合には、基準温度の取得は不要であるので、基準温度計51も不要である。
【0038】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、センシング機能を付加した簡略な構成の超音波モータを提供することができる。具体的には、本第1実施形態に係る超音波モータによれば、例えば下記のような効果を得ることができる。
・駆動の為の圧電素子(駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)と、センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)とを別個に配設し、圧電効果(逆圧電効果)及び焦電効果等の物理現象を利用することで、簡略な構造を採るTR型の超音波モータ単体で、シャフト11の接触についてのセンシング、及び温度についてのセンシングを行うことができる。また、上述のセンシングと周波数追尾とを並行して行うことができるので、効率の良い駆動を行いつつセンシングをすることができる。
・センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)を、振動時に応力が集中する(応力が最大となる)部位である前記軸方向における中央部位近傍を含むように形成することで、良好な検出精度を得ることができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る超音波モータについて説明する。説明の重複を避ける為、上述の第1実施形態に係る超音波モータとの相違点を説明する。第1実施形態に係る超音波モータとの相違点は、検出用圧電素子の態様である。
【0039】
図3A乃至図3Dは、それぞれ本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。
駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とは、ステータ5の一側周面において、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。該側周面に隣接する側周面においては、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とが、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
【0040】
駆動用圧電素子10−1,10−2は、図3A乃至図3Dに示す構成例において、それら2つの圧電素子で当該側周面の略全面を覆うように設けられている。一方、駆動用圧電素子10−3,10−4については、図3A乃至図3Dに示すように、検出用圧電素子15−1,15−2を設ける為の所定の領域を覆わない態様で設けられている。
【0041】
図3Aに示す構成例においては、当該側周面のうち前記軸方向に対して垂直な方向における一方縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
図3Bに示す構成例においては、当該側周面のうち前記軸方向に対して垂直な方向における両側縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
【0042】
図3Cに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
図3Dに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に対して垂直な方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向に対して垂直な方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
【0043】
ところで、本第2実施形態に係る超音波モータでは、センシングの為に、2つの検出用圧電素子15−1,15−2が設けられている。
図3Aに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面のうち、前記軸方向に対して垂直な方向における一方縁部近傍で、前記軸方向に並列に設けられている。
【0044】
図3Bに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面のうち、前記軸方向に対して垂直な方向における両側縁部近傍で、それぞれ前記軸方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
【0045】
図3Cに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で、前記軸方向に並列に設けられている。
図3Dに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で、前記軸方向に対して垂直な方向に並列に設けられている。
【0046】
ここで、前記第1実施形態に係る超音波モータにおける検出用圧電素子15が当該側周面において占める面積と、本第2実施形態に係る超音波モータにおける検出用圧電素子15−1と検出用圧電素子15−2とが当該側周面において各々占める面積の合計値とが等しくなるように構成されているとする。
【0047】
このように構成することで、検出用圧電素子15−1の検出信号と、検出用圧電素子15−2の検出信号との和を算出することで、検出用圧電素子15の検出信号と同じ値を得ることができる。
以上説明したように、本第2実施形態によれば、前記第1実施形態に係る超音波モータと同様の効果を奏する超音波モータを得ることができる。
【0048】
なお、本第2実施形態に係る超音波モータでは、検出用圧電素子15−1の検出信号と検出用圧電素子15−2の検出信号とを足し合わせる以外にも、種々の演算を施してユーザ所望の信号を得ることができる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る超音波モータについて説明する。説明の重複を避ける為、上述の第1実施形態に係る超音波モータとの相違点を説明する。第1実施形態に係る超音波モータとの相違点は、駆動用圧電素子及び検出用圧電素子の配設態様である。
【0049】
図4A乃至図4Cは、それぞれ本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。本第3実施形態に係る超音波モータでは、駆動用圧電素子と検出用圧電素子とが、ステータ5の互いに異なる側周面に別個に設けられている。
図4Aに示す例では、駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とが、ステータ5の一側周面において、シャフト11の軸方向に並列に、当該一側周面の略全面を覆うように設けられている。該一側周面に隣接する側周面においては、検出用圧電素子15−1と検出用圧電素子15−2とが、シャフト11の軸方向に対して垂直な方向に並列に、当該側周面の略全面を覆うように設けられている。
すなわち、図4Aに示す例においては、駆動用圧電素子10−1と検出用圧電素子15−2、及び駆動用圧電素子10−2と検出用圧電素子15−1は、検出用(或いは駆動用)の圧電素子が配設されている面を当該面に水平に時計回り(或いは反時計回り)に90度回転させた場合に対応する位置関係にある。
【0050】
図4Bに示す例では、駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とが、ステータ5の一側周面においてシャフト11の軸方向に並列に設けられている。そして、これら駆動用圧電素子10−1,10−2に対して前記軸方向に垂直な方向に並列に、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とがそれぞれ設けられている。換言すれば、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とは、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
すなわち、図4Bに示す例においても、駆動用圧電素子10−1と検出用圧電素子15−3、駆動用圧電素子10−2と検出用圧電素子15−1、駆動用圧電素子10−3と検出用圧電素子15−4、及び駆動用圧電素子10−4と検出用圧電素子15−2は、検出用(或いは駆動用)の圧電素子が配設されている面を当該面に水平に時計回り(或いは反時計回り)に90度回転させた場合に対応する位置関係にある。
【0051】
一方、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4が設けられた側周面に隣接する側周面においては、検出用圧電素子15−1と検出用圧電素子15−2とが、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。そして、これら検出用圧電素子15−1,15−2に対して前記軸方向に垂直な方向に並列に、それぞれ検出用圧電素子15−3と検出用圧電素子15−4とがシャフト11の軸方向に並列に設けられている。換言すれば、検出用圧電素子15−3と検出用圧電素子15−4とは、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
【0052】
図4Cに示す構成例は、図4Aに示す構成例の一変形例である。駆動用圧電素子10−1が略“凹”形状に形成され、該駆動用圧電素子10−1の凹み部分に別途駆動用圧電素子10−3が設けられている。駆動用圧電素子10−2も略“凹”形状に形成され、該駆動用圧電素子10−2の凹み部分に別途駆動用圧電素子10−4が設けられている。
【0053】
同様に、検出用圧電素子15−1が略“凹”形状に形成され、該検出用圧電素子15−1の凹み部分に別途検出用圧電素子15−3が設けられている。検出用圧電素子15−2も略“凹”形状に形成され、該検出用圧電素子15−2の凹み部分に別途検出用圧電素子15−4が設けられている。
すなわち、図4Cに示す例においても、駆動用圧電素子10−1と検出用圧電素子15−2、駆動用圧電素子10−2と検出用圧電素子15−1、駆動用圧電素子10−3と検出用圧電素子15−4、及び駆動用圧電素子10−4と検出用圧電素子15−3は、検出用(或いは駆動用)の圧電素子が配設されている面を当該面に水平に時計回り(或いは反時計回り)に90度回転させた場合に対応する位置関係にある。
【0054】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、前記第1実施形態に係る超音波モータと同様の効果を奏する上に、下記の効果を奏する超音波モータを提供することができる。
すなわち、互いに同じ形状の駆動用圧電素子及び検出用圧電素子をそれぞれ複数個ずつ利用する為、製造する圧電素子の種類を少なくすることができるという効果を得ることができる。特に、図4Aに示す構成例を採用した場合には、全ての駆動用圧電素子及び検出用圧電素子が同じ形状となる為、製造する圧電素子の種類は1種類でよい。
【0055】
以上、第1実施形態乃至第3実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、例えば次のような変形及び応用が可能なことは勿論である。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0056】
4…超音波振動子、 5…ステータ、 5h…貫通孔、 10…駆動用圧電素子、 11…シャフト、 15…検出用圧電素子、 21…発振回路、 22…制御CPU、 23…信号制御回路、 25…信号生成回路、 26…信号出力制御回路、 28…位相差検出回路、 30…ドライブ回路、 40…モニタ信号制御回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧電素子等から成る超音波振動子の振動を利用する超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁型モータに代わる新しいモータとして、圧電素子などの振動子の振動を利用した超音波モータが注目されている。この超音波モータは、従来の電磁型モータと比較して、ギア無しで低速高推力が得られる点、保持力が高い点、ストロークが長く高分解能である点、静粛性に富む点、磁気的ノイズを発生せず磁気的ノイズの影響を受けない点等の利点を有している。
【0003】
超音波モータでは、摩擦部材である駆動子が設けられた超音波振動子を、該駆動子を介して、相対運動部材である被駆動部材に押し付ける。そして、前記駆動子と前記被駆動部材との間の摩擦力によって前記被駆動部材を駆動する。このような超音波モータに関連する技術としては、例えば特許文献1に次のような技術が開示されている。
【0004】
すなわち、特許文献1に開示されている超音波モータでは、超音波振動子のうち楕円振動が生じている振動面に沿った方向に穴部が形成され、この穴部内において前記楕円振動が発生している部位に摩擦接触部が配設されている。
ここで、前記超音波振動子は圧電体である矩形状の圧電セラミックスシートが複数枚積層されて成る。それら矩形状の圧電セラミックスシートには、それぞれ4隅に圧電活性化された領域である内部電極が設けられている。それら内部電極において当該圧電セラミックスシートの周縁に露出する部位には、それぞれ対応する位置の内部電極同士で外部電極が設けられて電気的に接続されている。
【0005】
この外部電極に所定の電気信号が印加されると、前記超音波振動子には、超音波モータとして縦1次振動と屈曲2次振動とが励起される。そして、それらの合成振動である楕円振動が、前記摩擦接触部の配設位置に励起される。この摩擦接触部により取出した駆動力をシャフトに伝達して軸駆動が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−21115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されている超音波モータは、シャフトを軸方向に直進(Translation)駆動可能なように構成されている。このような直進駆動に加えて、その軸周りに回転(Rotation)駆動可能なモータは、TR型モータと称されている。このTR型モータは、一つのモータで複数方向に駆動できるという多機能的な超音波モータである。
そして、特許文献1に開示されているタイプの超音波モータやTR型モータにおいては、シャフトについての接触検知、及び当該モータが配設されている空間の温度検知を行いたいとの要望がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術に代表されるように、従来の技術に係る超音波モータは、センシング機能を付加し得るようには構成されていない。
本発明は、前記の事情に鑑みて為されたものであり、センシング機能を付加した簡略な構成の超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の態様による超音波モータは、
被駆動体であるシャフトと、
前記シャフトが挿通される貫通孔が形成されたステータと、
前記ステータに設けられ、前記シャフトを駆動する為の駆動信号が印加される駆動用圧電素子と、
前記ステータにおいて、前記シャフトの駆動軸方向に沿って長さを有するように設けられ、当該超音波モータの外部環境の状態を検出する為の検出信号を出力する検出用圧電素子と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センシング機能を付加した簡略な構成の超音波モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図1B】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図1C】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る超音波モータの駆動装置の概略構成例を示す図。
【図3A】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図3B】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図3C】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図3D】本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図4A】本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図4B】本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【図4C】本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る超音波モータについて、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1A乃至図1Cは、それぞれ本発明の第1実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。図1A乃至図1Cに示すように、本第1実施形態に係る超音波モータは、ステータ5と、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4と、検出用圧電素子15と、シャフト11と、を具備する。
【0013】
前記ステータ5は、シャフト11を挿通する貫通孔5hが設けられた略立方体形状の弾性体(例えば金属等)である。
前記駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4は、ステータ5のうち貫通孔5hが設けられた面以外の面(側周面)に設けられた圧電素子である。詳細には、各駆動用圧電素子は下記の態様で設けられている。
【0014】
駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とは、ステータ5の一側周面において、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。該側周面に隣接する側周面においては、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とが、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
【0015】
図1A乃至図1Cに示す構成例において、駆動用圧電素子10−1,10−2は、当該側周面の略全面に渡って設けられている。一方、駆動用圧電素子10−3,10−4は、図1A乃至図1Cに示す構成例においては、検出用圧電素子15を設ける為の所定の領域を覆わない態様で設けられている。図1A乃至図1Cに示すように、各駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4及び検出用圧電素子15は、それぞれ各配設面において対称性を有する態様で配設されている。
【0016】
図1Aに示す構成例においては、当該側周面の縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
図1Bに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
【0017】
図1Cに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に対して垂直な方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向に対して垂直な方向を長手方向とする)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
前記シャフト11は、ステータ5に形成された貫通孔5hに挿通され、進退駆動及び回転駆動可能なように当該ステータ5によって支持される被駆動体である。このシャフト11は、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4に所定の駆動信号が印加されて弾性変形するステータ5によって、進退駆動及び回転駆動される。
【0018】
前記検出用圧電素子15は、当該超音波モータの外部環境の要素とシャフト11との接触(衝突を含む;以降同様)の検出、及び、当該超音波モータの外部環境の状態の検出(例えば後述する温度検出)の為に設けられた圧電素子である。
図1Aに示す構成例においては、検出用圧電素子15は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
【0019】
図1Bに示す構成例においては、検出用圧電素子15は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
図1Cに示す構成例においては、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で前記軸方向に対して垂直な方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
【0020】
上述の各図に示す構成例から分かるように、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4及び検出用圧電素子15は、下記の条件を満たすことが好ましい。
・駆動の為の圧電素子(駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)と、センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)と、を別個に設けること。
・センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)を、被駆動体(シャフト11)の軸方向に幅(所定長さ)を有するように形成すること。
・センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)を、振動時に応力が集中する(応力が最大となる)部位である前記軸方向における中央部位近傍を含むように形成する。
【0021】
なお、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4及び検出用圧電素子15としては、外部電極が引き出された積層型圧電素子を用いてもよいし、単板型圧電素子を用いてもよい。但し、ステータ5自体の容積を変化させない程度の大きさの圧電素子を用いることが好ましい。
【0022】
ところで、上述の駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4は、ステータ5が備えるA相(A+,A−)、B相(B+,B−)の駆動電極として機能する。詳細には、駆動用圧電素子10−1とA+相とが対応し、駆動用圧電素子10−2とB+相とが対応し、駆動用圧電素子10−3とB−相とが対応し、駆動用圧電素子10−4とA−相とが対応する。また、上述の検出用圧電素子15は、図2に示すように接地されたステータ5の縦振動を検出するC相の振動検出電極として機能する。
【0023】
以下、本第1実施形態に係る超音波モータを駆動する為の装置について詳細に説明する。図2は、本第1実施形態に係る超音波モータの駆動装置の概略構成例を示す図である。図2に示すように、駆動装置は、発振回路(基準信号生成手段)21と、制御CPU22と、信号制御回路23と、信号生成回路25と、信号出力制御回路26と、位相差検出回路28と、ドライブ回路30と、モニタ信号制御回路40と、基準温度計51と、を有する。
【0024】
前記発振回路21は、基準信号(クロック信号)を生成し、信号制御回路23、信号生成回路25、信号出力制御回路26、及び位相差検出回路28に出力する。
前記制御CPU22は、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4に印加する駆動信号を制御する。また、前記制御CPU22は、検出用圧電素子15から出力された信号(検出信号)を利用して、シャフト11の接触検出処理、及び当該超音波モータの外部環境/ステータ5の温度検出処理を行う。この制御CPU22によるセンシング処理については、後に詳述する。
【0025】
前記信号制御回路23は、前記発振回路21から入力される基準信号と制御CPU22から入力される周波数指令値とに基づいて、所定の周波数のパルス信号である基準駆動信号を生成し、これを信号生成回路25に出力する。ここで、制御CPU22は、基準駆動信号の周波数をステータ5の共振周波数またはその近傍の周波数に設定するための周波数指令値を、信号制御回路23に与える。従って、信号制御回路23からはステータ5の共振周波数と略同じ周波数の基準駆動信号が出力される。
【0026】
より詳細には、信号制御回路23は、周波数制御回路、位相差制御回路、及びパルスエッジ遅れ制御回路から成る。
信号制御回路23は、前記周波数制御回路として、周波数の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、駆動信号の周波数を決める基準駆動信号を出力する。
【0027】
信号制御回路23は、前記位相差制御回路として、駆動位相差の設定値に基づき、発振回路21の出力である基準信号のパルス数を基準にして、2つの駆動信号であるA相信号とB相信号との位相差を制御する。
前記信号出力制御回路26は、制御CPU22から当該信号出力制御回路26を介して、直接信号生成回路25の出力のON/OFF、A相信号、B相信号の出力順を制御することができる。また、信号出力制御回路26は、設定値に基づき、信号生成回路25から出力する駆動信号のパルス数や間欠駆動を行うための出力休止時間を制御する。
【0028】
前記信号生成回路25は、基準駆動信号と制御CPU22からのA相B相の位相差指令値とに基づいて、位相差が90°であるA相の基準駆動信号とB相の基準駆動信号とを生成する。なお、出力のON/OFF制御は、信号出力制御回路26によって行われる。
【0029】
前記ドライブ回路30は、スイッチング素子で構成されたHブリッジ回路とインピーダンスマッチング及び昇圧用のコイルとを備えている。このドライブ回路30は、前記信号生成回路25から各種駆動信号が入力されると、各駆動交番電圧OUTA+、OUTA−、OUTB+、OUTB−を出力する。
【0030】
ドライブ回路30はコイルを有しているので、パルス信号である駆動信号は、コイルの働きにより正弦波に近い波形に変換され、正弦波に近いA相、B相の駆動交番電圧が、ステータ5に設けられたA相(A+,A−)、B相(B+,B−)の駆動電極である駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4にそれぞれ印加される。
【0031】
ここで、ステータ5に励起されている縦振動は、C相の振動検出電極である検出用圧電素子15により検出され、この縦振動に比例する電気信号(振動検出信号)はモニタ信号制御回路40(詳細は後述)を介して位相差検出回路28に入力される。また、位相差検出回路28には、信号生成回路25から何れか一つの駆動信号(例えばA相プラス側の駆動信号(駆動用圧電素子10−1に印加する駆動信号)が入力される。
【0032】
そして、位相差検出回路28は、ステータ5の検出用圧電素子15から出力されてモニタ信号制御回路40を介して入力された振動検出信号と、信号生成回路25から入力された駆動信号と、の位相差を検出し、該位相差を制御CPU22に出力する。
前記モニタ信号制御回路40は、検出用圧電素子15からの出力信号を波形整形して2値化して前記位相差検出回路28に出力する。
【0033】
以下、本第1実施形態に係る超音波モータの制御CPU22による“周波数追尾処理”、“接触検出処理”、及び“温度検出処理”について詳細に説明する。
《周波数追尾処理》
駆動電極(本例におけるところの駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)に印加する駆動信号と、振動検出電極(本例におけるところの検出用圧電素子15)からの検出信号と、の位相差(以降、追尾位相差と称する)が、所定の値になるように、駆動信号の周波数を調整しつつ駆動する。
【0034】
換言すれば、制御CPU22は、位相差検出回路28からのフィードバック値等に基づいて、基準駆動信号の周波数指令値、及びA相B相の位相差指令値等を作成して出力することで、周波数追尾を行う。
《接触検出処理》
(1)シャフト11が進退/回転駆動中における接触検出処理
制御CPU22は、前記位相差検出回路28によって検出された、“ドライブ回路30の出力である駆動信号(各駆動交番電圧)と、検出用圧電素子15の出力である検出信号と、の位相差”を、A/D変換してモニタリングする。ここで、制御CPU22は、前記A/D変換後の値(以降、A/D変換値と称する)について、前回のサンプリング値と比較して所定範囲を超えるような変化(例えば急激な変化)があるか否かを判定する。
【0035】
このA/D変換値の急激な変化は、進退/回転駆動中のシャフト11が何らかの外部要素に接触したことを示す。従って、このようにA/D変換値をモニタリングして当該A/D変換値に所定範囲を超えるような変化(例えば急激な変化)があるか否かを判定することで、進退/回転駆動中のシャフト11が何かに接触したことを検出することができる。
(2)シャフト11が進退/回転駆動していないとき(当該超音波モータがモータとして機能していないとき)の接触検出処理
制御CPU22は、“シャフト11の固有振動数”の電圧信号を駆動電極(駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)に印加する制御を行う。そして、前記位相差検出回路28によって検出された、“ドライブ回路30の出力である駆動信号(各駆動交番電圧)と、検出用圧電素子15の出力である検出信号と、の位相差”を、A/D変換してモニタリングする。ここで、制御CPU22は、A/D変換値について、前回のサンプリング値と比較して所定範囲を超えるような値の変化(例えば急激な値の変化)があるか否かを判定する。このA/D変換値の急激な変化は、シャフト11に何らかの外部要素が接触してきたことを示す。
【0036】
従って、制御CPU22は、A/D変換値をモニタリングして、当該A/D変換値に急激な変化があるか否かを判定することで、シャフト11に何らかの外部要素が接触してきたことを検出することができる。なお、前記検出用圧電素子15の出力である検出信号のみを参照して、その周波数の変化の有無について判定することで、接触したか否かを検出することも可能である。
ところで、検出信号の周波数の変化の程度は、シャフト11に接触した外部要素の硬さに応じて異なる。従って、前記検出用圧電素子15の出力である検出信号のみを参照して、シャフト11に接触した外部要素の硬さについても概略判別することも可能である。たとえば、検出信号の周波数が、シャフト11の固有振動数からどの程度変化するかに基づいて、シャフト11に接触した外部要素の硬さを概略判別する。
《温度検出処理》
制御CPU22は、検出用圧電素子15の出力である検出信号をA/D変換し、当該A/D変換値(電圧値)をモニタリングする。ここで、定常状態の検出用圧電素子15において温度変化が生じると(当該超音波モータが配設されている空間に温度変化が生じると)、焦電効果により、前記検出信号が変化する(すなわちA/D変換値が変化する)。従って、A/D変換値の変化をモニタリングし、当該A/D変換値に変化が生じたか否かを判定することで、検出用圧電素子15の(当該超音波モータが配設されている空間の)温度変化を検出することができる。
【0037】
なお、当然ながら、上述の方法で検出する温度変化は相対的な温度の変化である。従って、温度の絶対値を求める場合には、予め基準温度計51によって基準温度を取得して制御CPU22に記憶しておき、当該基準温度に対して、上述の方法で検出した相対的な温度変化を加減算することで求めればよい。勿論、相対温度のみを求めればよい場合には、基準温度の取得は不要であるので、基準温度計51も不要である。
【0038】
以上説明したように、本第1実施形態によれば、センシング機能を付加した簡略な構成の超音波モータを提供することができる。具体的には、本第1実施形態に係る超音波モータによれば、例えば下記のような効果を得ることができる。
・駆動の為の圧電素子(駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4)と、センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)とを別個に配設し、圧電効果(逆圧電効果)及び焦電効果等の物理現象を利用することで、簡略な構造を採るTR型の超音波モータ単体で、シャフト11の接触についてのセンシング、及び温度についてのセンシングを行うことができる。また、上述のセンシングと周波数追尾とを並行して行うことができるので、効率の良い駆動を行いつつセンシングをすることができる。
・センシングの為の圧電素子(検出用圧電素子15)を、振動時に応力が集中する(応力が最大となる)部位である前記軸方向における中央部位近傍を含むように形成することで、良好な検出精度を得ることができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る超音波モータについて説明する。説明の重複を避ける為、上述の第1実施形態に係る超音波モータとの相違点を説明する。第1実施形態に係る超音波モータとの相違点は、検出用圧電素子の態様である。
【0039】
図3A乃至図3Dは、それぞれ本発明の第2実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。
駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とは、ステータ5の一側周面において、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。該側周面に隣接する側周面においては、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とが、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
【0040】
駆動用圧電素子10−1,10−2は、図3A乃至図3Dに示す構成例において、それら2つの圧電素子で当該側周面の略全面を覆うように設けられている。一方、駆動用圧電素子10−3,10−4については、図3A乃至図3Dに示すように、検出用圧電素子15−1,15−2を設ける為の所定の領域を覆わない態様で設けられている。
【0041】
図3Aに示す構成例においては、当該側周面のうち前記軸方向に対して垂直な方向における一方縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
図3Bに示す構成例においては、当該側周面のうち前記軸方向に対して垂直な方向における両側縁部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
【0042】
図3Cに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
図3Dに示す構成例においては、当該側周面の中央部近傍で前記軸方向に対して垂直な方向に略一辺の長さに渡る領域(前記軸方向に対して垂直な方向を長手方向とする領域)以外の領域に、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている。
【0043】
ところで、本第2実施形態に係る超音波モータでは、センシングの為に、2つの検出用圧電素子15−1,15−2が設けられている。
図3Aに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面のうち、前記軸方向に対して垂直な方向における一方縁部近傍で、前記軸方向に並列に設けられている。
【0044】
図3Bに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面のうち、前記軸方向に対して垂直な方向における両側縁部近傍で、それぞれ前記軸方向に略一辺の長さに渡って設けられている。
【0045】
図3Cに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で、前記軸方向に並列に設けられている。
図3Dに示す構成例においては、検出用圧電素子15−1,15−2は、駆動用圧電素子10−3,10−4が設けられている側周面の中央部近傍で、前記軸方向に対して垂直な方向に並列に設けられている。
【0046】
ここで、前記第1実施形態に係る超音波モータにおける検出用圧電素子15が当該側周面において占める面積と、本第2実施形態に係る超音波モータにおける検出用圧電素子15−1と検出用圧電素子15−2とが当該側周面において各々占める面積の合計値とが等しくなるように構成されているとする。
【0047】
このように構成することで、検出用圧電素子15−1の検出信号と、検出用圧電素子15−2の検出信号との和を算出することで、検出用圧電素子15の検出信号と同じ値を得ることができる。
以上説明したように、本第2実施形態によれば、前記第1実施形態に係る超音波モータと同様の効果を奏する超音波モータを得ることができる。
【0048】
なお、本第2実施形態に係る超音波モータでは、検出用圧電素子15−1の検出信号と検出用圧電素子15−2の検出信号とを足し合わせる以外にも、種々の演算を施してユーザ所望の信号を得ることができる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る超音波モータについて説明する。説明の重複を避ける為、上述の第1実施形態に係る超音波モータとの相違点を説明する。第1実施形態に係る超音波モータとの相違点は、駆動用圧電素子及び検出用圧電素子の配設態様である。
【0049】
図4A乃至図4Cは、それぞれ本発明の第3実施形態に係る超音波モータの一構成例を示す図である。本第3実施形態に係る超音波モータでは、駆動用圧電素子と検出用圧電素子とが、ステータ5の互いに異なる側周面に別個に設けられている。
図4Aに示す例では、駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とが、ステータ5の一側周面において、シャフト11の軸方向に並列に、当該一側周面の略全面を覆うように設けられている。該一側周面に隣接する側周面においては、検出用圧電素子15−1と検出用圧電素子15−2とが、シャフト11の軸方向に対して垂直な方向に並列に、当該側周面の略全面を覆うように設けられている。
すなわち、図4Aに示す例においては、駆動用圧電素子10−1と検出用圧電素子15−2、及び駆動用圧電素子10−2と検出用圧電素子15−1は、検出用(或いは駆動用)の圧電素子が配設されている面を当該面に水平に時計回り(或いは反時計回り)に90度回転させた場合に対応する位置関係にある。
【0050】
図4Bに示す例では、駆動用圧電素子10−1と駆動用圧電素子10−2とが、ステータ5の一側周面においてシャフト11の軸方向に並列に設けられている。そして、これら駆動用圧電素子10−1,10−2に対して前記軸方向に垂直な方向に並列に、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とがそれぞれ設けられている。換言すれば、駆動用圧電素子10−3と駆動用圧電素子10−4とは、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
すなわち、図4Bに示す例においても、駆動用圧電素子10−1と検出用圧電素子15−3、駆動用圧電素子10−2と検出用圧電素子15−1、駆動用圧電素子10−3と検出用圧電素子15−4、及び駆動用圧電素子10−4と検出用圧電素子15−2は、検出用(或いは駆動用)の圧電素子が配設されている面を当該面に水平に時計回り(或いは反時計回り)に90度回転させた場合に対応する位置関係にある。
【0051】
一方、駆動用圧電素子10−1,10−2,10−3,10−4が設けられた側周面に隣接する側周面においては、検出用圧電素子15−1と検出用圧電素子15−2とが、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。そして、これら検出用圧電素子15−1,15−2に対して前記軸方向に垂直な方向に並列に、それぞれ検出用圧電素子15−3と検出用圧電素子15−4とがシャフト11の軸方向に並列に設けられている。換言すれば、検出用圧電素子15−3と検出用圧電素子15−4とは、シャフト11の軸方向に並列に設けられている。
【0052】
図4Cに示す構成例は、図4Aに示す構成例の一変形例である。駆動用圧電素子10−1が略“凹”形状に形成され、該駆動用圧電素子10−1の凹み部分に別途駆動用圧電素子10−3が設けられている。駆動用圧電素子10−2も略“凹”形状に形成され、該駆動用圧電素子10−2の凹み部分に別途駆動用圧電素子10−4が設けられている。
【0053】
同様に、検出用圧電素子15−1が略“凹”形状に形成され、該検出用圧電素子15−1の凹み部分に別途検出用圧電素子15−3が設けられている。検出用圧電素子15−2も略“凹”形状に形成され、該検出用圧電素子15−2の凹み部分に別途検出用圧電素子15−4が設けられている。
すなわち、図4Cに示す例においても、駆動用圧電素子10−1と検出用圧電素子15−2、駆動用圧電素子10−2と検出用圧電素子15−1、駆動用圧電素子10−3と検出用圧電素子15−4、及び駆動用圧電素子10−4と検出用圧電素子15−3は、検出用(或いは駆動用)の圧電素子が配設されている面を当該面に水平に時計回り(或いは反時計回り)に90度回転させた場合に対応する位置関係にある。
【0054】
以上説明したように、本第3実施形態によれば、前記第1実施形態に係る超音波モータと同様の効果を奏する上に、下記の効果を奏する超音波モータを提供することができる。
すなわち、互いに同じ形状の駆動用圧電素子及び検出用圧電素子をそれぞれ複数個ずつ利用する為、製造する圧電素子の種類を少なくすることができるという効果を得ることができる。特に、図4Aに示す構成例を採用した場合には、全ての駆動用圧電素子及び検出用圧電素子が同じ形状となる為、製造する圧電素子の種類は1種類でよい。
【0055】
以上、第1実施形態乃至第3実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、例えば次のような変形及び応用が可能なことは勿論である。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示した複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示す全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0056】
4…超音波振動子、 5…ステータ、 5h…貫通孔、 10…駆動用圧電素子、 11…シャフト、 15…検出用圧電素子、 21…発振回路、 22…制御CPU、 23…信号制御回路、 25…信号生成回路、 26…信号出力制御回路、 28…位相差検出回路、 30…ドライブ回路、 40…モニタ信号制御回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体であるシャフトと、
前記シャフトが挿通される貫通孔が形成されたステータと、
前記ステータに設けられ、前記シャフトを駆動する為の駆動信号が印加される駆動用圧電素子と、
前記ステータにおいて、前記シャフトの駆動軸方向に沿って長さを有するように設けられ、当該超音波モータの外部環境の状態を検出する為の検出信号を出力する検出用圧電素子と、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
前記検出用圧電素子は、前記ステータのうち前記貫通孔が形成されていない面に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
前記検出用圧電素子が出力する前記検出信号は、
前記駆動用圧電素子に前記駆動信号が印加されている状態で、前記シャフトと当該超音波モータの外部環境の要素とが接触すると変化する信号である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
前記検出用圧電素子が出力する前記検出信号は、
前記駆動用圧電素子に前記シャフトの固有振動数の電圧信号が印加されている状態で、前記シャフトと当該超音波モータの外部環境の要素とが接触すると変化する信号である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記検出用圧電素子が出力する前記検出信号は、前記ステータにおける焦電効果により、前記ステータの温度変化に伴って変化する信号である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項6】
前記検出用圧電素子は、
前記ステータの容積を変化させない範囲内で、少なくとも前記ステータの1面において前記シャフトの駆動軸に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記検出用圧電素子は、
前記ステータの前記貫通孔が形成されていない面における中央部位近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項8】
前記検出用圧電素子は、
前記ステータの前記貫通孔が形成されていない面において、前記シャフトの駆動軸方向または該駆動軸方向に垂直な方向に並列に複数個設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項9】
前記ステータは、前記貫通孔が形成されていない面を複数備え、
前記検出用圧電素子と前記駆動用圧電素子とは、互いに異なる前記貫通孔が形成されていない面に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項1】
被駆動体であるシャフトと、
前記シャフトが挿通される貫通孔が形成されたステータと、
前記ステータに設けられ、前記シャフトを駆動する為の駆動信号が印加される駆動用圧電素子と、
前記ステータにおいて、前記シャフトの駆動軸方向に沿って長さを有するように設けられ、当該超音波モータの外部環境の状態を検出する為の検出信号を出力する検出用圧電素子と、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
前記検出用圧電素子は、前記ステータのうち前記貫通孔が形成されていない面に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
前記検出用圧電素子が出力する前記検出信号は、
前記駆動用圧電素子に前記駆動信号が印加されている状態で、前記シャフトと当該超音波モータの外部環境の要素とが接触すると変化する信号である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
前記検出用圧電素子が出力する前記検出信号は、
前記駆動用圧電素子に前記シャフトの固有振動数の電圧信号が印加されている状態で、前記シャフトと当該超音波モータの外部環境の要素とが接触すると変化する信号である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記検出用圧電素子が出力する前記検出信号は、前記ステータにおける焦電効果により、前記ステータの温度変化に伴って変化する信号である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項6】
前記検出用圧電素子は、
前記ステータの容積を変化させない範囲内で、少なくとも前記ステータの1面において前記シャフトの駆動軸に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記検出用圧電素子は、
前記ステータの前記貫通孔が形成されていない面における中央部位近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項8】
前記検出用圧電素子は、
前記ステータの前記貫通孔が形成されていない面において、前記シャフトの駆動軸方向または該駆動軸方向に垂直な方向に並列に複数個設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項9】
前記ステータは、前記貫通孔が形成されていない面を複数備え、
前記検出用圧電素子と前記駆動用圧電素子とは、互いに異なる前記貫通孔が形成されていない面に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波モータ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【公開番号】特開2012−151943(P2012−151943A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7210(P2011−7210)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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