説明

超音波探触子

【課題】伝送効率がよく、汎用性に優れた超音波探触子を提供する。
【解決手段】画面サイズ選択部218は、複数種類の画面サイズから何れかを選択する。データー間引き部209、対数変換部210、輝度変換部211、画素補間部212及び画像メモリー213は、受信信号に基づき、画面サイズ選択部218によって選択された画面サイズの超音波診断画像を表示するための画像データーを生成する。無線送受信部216は、データー間引き部209、対数変換部210、輝度変換部211、画素補間部212及び画像メモリー213によって生成された画像データーを伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波探触子で得られた超音波データー等を装置本体へ無線伝送するワイヤレス型の超音波画像診断装置が知られている。
【0003】
このような超音波画像診断装置では、装置本体にて受信した超音波データーに基づき、画像データーを生成し、これに基づいて超音波診断画像を表示するようにしていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−291515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、伝送先の装置本体の画像表示能力に対応して、伝送するデーター量が一定に定められるため、他の装置に適用する等、超音波探触子に汎用性を持たせることが困難であった。すなわち、伝送先の装置本体では、例えば、表示装置の総画素数に合わせた画面サイズの画像データーを生成するが、伝送先の装置本体で生成される画像データーの画面サイズが小さい場合には、余剰なデーターが伝送されることとなり、伝送効率がよくないという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、伝送効率がよく、汎用性に優れた超音波探触子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、超音波探触子において、
駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信して受信信号を得る送受信部と、
複数種類の画面サイズから何れかを選択する画面サイズ選択部と、
前記受信信号に基づき、前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズの超音波診断画像を表示するための画像データーを生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された画像データーを伝送する伝送部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子において、
前記画像データーに対応する誤り訂正符号を生成する誤り訂正符号生成部と、
前記誤り訂正符号生成部によって生成された誤り訂正符号を前記画像データーに付加して前記伝送部によって伝送するための送信データーを生成する送信データー生成部と、
を備え、
前記誤り訂正符号生成部は、前記伝送部の伝送レートと前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズとに基づき、前記画像データーに付加する誤り訂正符号のデーターサイズを決定し、該決定したデーターサイズの誤り訂正符号を生成することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子において、
超音波探触子を構成する各部のうちの少なくとも一部に対して供給される動作クロック信号の周波数を制御する動作クロック制御部を備え、
前記動作クロック制御部は、
前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズに応じて、所定の駆動周波数とする駆動時間と、前記駆動周波数よりも低周波数である所定の待機周波数とする待機時間とを決定し、該決定に従って前記動作クロック信号の周波数を制御することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子において、
超音波探触子の各部を動作させるための動力源としてバッテリーと、
前記バッテリーからの、前記超音波探触子を構成する各部のうちの少なくとも一部に対する電力の供給を制御する電力制御部と、
を備え、
前記電力制御部は、前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズに応じて、電力を供給する電力供給時間と、電力の供給を制限する電力供給制限時間とを決定し、該決定に従って電力の供給を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の超音波探触子において、
前記画面サイズ選択部は、前記バッテリーの残量に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波探触子において、
操作者によって切り替え操作可能な切替スイッチを備え、
前記画面サイズ選択部は、前記切替スイッチによる操作に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の超音波探触子において、
超音波探触子の各部を動作させるための動力源としてバッテリーを備え、
前記画面サイズ選択部は、前記バッテリーの残量に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波探触子において、
前記画面サイズ選択部は、前記画像データーの伝送先である超音波画像診断装置本体との伝送状態に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波探触子において、
前記画像データーの伝送先である超音波画像診断装置本体からの伝送信号を受信する伝送信号受信部を備え、
前記画面サイズ選択部は、前記伝送信号受信部によって画面サイズを指示する旨の画面サイズ指示信号を前記超音波画像診断装置本体から受信したときに、該受信した画面サイズ指示信号に対応した画面サイズの選択を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、伝送効率がよく、汎用性に優れた超音波探触子とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】超音波画像診断装置の外観構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における超音波探触子の概略構成を示すブロック図である。
【図3】LCDの表示サイズについて説明する図である。
【図4】画面サイズと必要な伝送レートとの関係を表す図である。
【図5】無線通信方式について説明する図である。
【図6】伝送するデーターの比率について説明する図である。
【図7】超音波画像診断装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態における超音波探触子の概略構成を示すブロック図である。
【図9】伝送するデーターの比率について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る超音波画像診断装置について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る超音波画像診断装置Sは、図1に示すように、超音波画像診断装置本体1と超音波探触子2とを備えている。超音波探触子2は、図示しない生体等の被検体に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。超音波探触子2は、受信した反射超音波から電気信号である受信信号を取得し、これに基づいて被検体内の内部状態を超音波診断画像を表示するための超音波診断画像データーを生成する。超音波探触子2は、超音波画像診断装置本体1と無線によるデーターの送受信が可能に構成されている。なお、無線通信の方式は既知の何れのものも採用可能である。無線通信の方式の詳しい説明については後述する。超音波探触子2は、上述のようにして生成された超音波診断画像データーを超音波画像診断装置本体1に無線伝送する。また、超音波探触子2は、操作者によって切り替え操作可能な切替スイッチ21を備えている。切替スイッチ21は、例えば、スライドスイッチであるが、リミットスイッチ、トグルスイッチ等、操作者によって切り替え操作可能なものであれば、何れの態様のものであってもよい。
【0020】
超音波画像診断装置本体1は、超音波探触子2から伝送された超音波診断画像データーに基づいて被検体内の内部状態を超音波診断画像として画像化し、表示部107に表示するものである。また、超音波画像診断装置本体1は、操作入力部108を備えており、操作入力部108の操作に応じた情報を超音波探触子2に無線伝送することができる。
【0021】
超音波探触子2は、図2に示すように、例えば、バッテリー201と、昇圧回路202と、送信部203と、振動子204と、受信部205と、整相加算部206と、包絡線検波部207と、サンプリング部208と、データー間引き部209と、対数変換部210と、輝度変換部211と、画素補間部212と、画像メモリー213と、誤り訂正符号生成部214と、送信データー生成部215と、無線送受信部216と、アンテナ217と、画面サイズ選択部218とを備えている。
【0022】
バッテリー201は、超音波探触子2を構成する各部に電源を供給する。バッテリー201は、例えば、超音波探触子2を超音波画像診断装置本体1の図示しないホルダーに装着することにより、給電される。
【0023】
昇圧回路202は、バッテリー201から供給された電源電圧を、超音波探触子2を駆動可能な60V〜150V程度の電圧まで昇圧し、送信部203に昇圧された電源を供給するための回路である。
【0024】
送信部203は、振動子204に電気信号である駆動信号を供給して振動子204に送信超音波を発生させる回路である。振動子204は、例えば、圧電素子からなり、一次元アレイ状に複数配列されており、それぞれ、送信超音波を出力した後、反射超音波を受信すると受信信号を受信部205に出力する。本実施の形態では、例えば、192個の振動子204が配列されている。なお、振動子は、二次元アレイ状に配列されてもよい。また、振動子の個数は、任意に設定することができる。また、本実施の形態では、超音波探触子2について、リニア電子スキャンプローブを採用したが、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。送信部203は、例えば、送信BF(Beam Forming)制御回路を備えており、駆動信号の送信タイミングを振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行う。
【0025】
受信部205は、AMP(Amplifier)205a、ADC(Analog to Digital Converter)205bを備えて構成されている。受信部205は、複数の振動子のそれぞれに対応して複数設けられている。
AMP205aは、受信信号を、振動子毎に対応した個別経路毎に、予め設定された所定の増幅率で増幅させるための回路である。ADC205bは、増幅された受信信号を所定周波数(例えば、60MHz)にてサンプリングしてA/D変換し、出力する。
【0026】
本実施の形態では、以上のようにして構成された昇圧回路202、送信部203、振動子204及び受信部205によって送受信部を構成している。
【0027】
整相加算部206は、ADC205bによってA/D変換された受信信号に対して、振動子毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データーを生成し、出力する。
包絡線検波部207は、整相加算部206より出力された音線データーに対して全波整流を行い、包絡線データーを得る。包絡線検波部207は、取得した包絡線データーをサンプリング部208に出力する。
サンプリング部208は、包絡線検波部207によって得られた包絡線データーに対し、デシメーションを行ってダウンサンプリングする。本実施の形態では、例えば、包絡線データーのデーターレートを1/8にダウンサンプリングする。なお、ダウンサンプリング後のデーターレートは任意に設定することができる。また、ダウンサンプリングを行わないようにしてもよい。サンプリング部208は、ダウンサンプリングした包絡線データーをデーター間引き部209に出力する。
【0028】
データー間引き部209は、画面サイズ選択部218からの画面サイズ情報に応じて、包絡線データーの距離方向(深度方向)に対するデーターの間引きを行う。すなわち、データー間引き部209は、表示する超音波診断画像の画面サイズに対応するサンプリング数となるように包絡線データーの間引きを行う。
対数変換部210は、入力した包絡線データーに対して対数増幅を行う。このとき、ゲインやダイナミックレンジの調整等を行ってもよい。
輝度変換部211は、対数増幅された包絡線データーの示す信号の大きさを256階調に量子化する振幅/輝度変換を行ってBモード画像データーを生成する。すなわち、Bモード画像データーは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。
画素補間部212は、画面サイズ選択部218からの画面サイズ情報に応じて、Bモード画像データーの方位方向に配置する補間画素のデーターである補間画素データーを生成する。すなわち、画素補間部212は、表示する超音波診断画像の画面サイズに対応する画素数となるように補間画素データーの生成を行う。
画像メモリー213は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成されており、画素補間部212から送信されたBモード画像データー及び補間画素データーをフレーム単位で記憶する。すなわち、画像メモリー213は、フレーム単位で構成された超音波診断画像データーとして記憶することができる。
本実施の形態では、以上のようにして構成されたデーター間引き部209、対数変換部210、輝度変換部211、画素補間部212及び画像メモリー213によって画像生成部を構成している。
【0029】
誤り訂正符号生成部214は、画像メモリー213に記憶された超音波診断画像データーを読み出し、これに対応する誤り訂正符号を生成する。誤り訂正符号生成部214は、生成した誤り訂正符号を送信データー生成部215に出力する。誤り訂正符号については、ハミング符号、BCH符号及びリード・ソロモン符号等、公知のものを採用することができる。本実施の形態では、誤り訂正符号生成部214は、画面サイズ選択部218からの画面サイズ情報と、超音波探触子2から超音波画像診断装置本体1への無線伝送の伝送レートと、に応じて誤り訂正符号の符号長を可変する。なお、誤り訂正符号の符号長を一定としてもよい。また、誤り訂正符号生成部214を設けない構成としてもよい。
【0030】
送信データー生成部215は、画像メモリー213に記憶された超音波診断画像データーに、誤り訂正符号生成部214から出力された誤り訂正符号を付加し、所定の送信形式に変換して送信データーを生成する。送信データー生成部215は、生成した送信データーを無線送受信部216に出力する。
【0031】
無線送受信部216は、送信データー生成部215から出力された送信データーに対して所定の変調処理を施し、アンテナ217を介して超音波画像診断装置本体1に無線伝送する。また、無線送受信部216は、超音波画像診断装置本体1から無線伝送された、後述する画面サイズ指示情報や伝送状態情報を、アンテナ217を介して受信し、受信したこれらの情報を復調して画面サイズ選択部218に出力する。
【0032】
画面サイズ選択部218は、後述する画面サイズ切替条件の検出に応じて、超音波診断画像の画面サイズを決定する。画面サイズ選択部218は、データー間引き部209、画素補間部212及び誤り訂正符号生成部214に対して画面サイズ情報を出力して画面サイズの指示を行う。本実施の形態では、画面サイズ選択部218は、例えば、XGA(eXtended Graphics Array)、SXGA(Super eXtended Graphics Array)、UGA(Ultra extended Graphics Array)、WUXGA(Wide Ultra eXtended Graphics Array)、QXGA(Quad-XGA)及びWQXGA(Wide Quad-XGA)から何れかの規格に対応する画面サイズを決定する。
【0033】
ここで、超音波診断画像の画面サイズについて説明する。
超音波診断画像が表示される表示装置は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)に代表される。このようなLCDには、例えば、図3に示されるように、総画素数の異なる複数種類の規格のものが知られている。そして、超音波画像診断装置では、図3に示される規格のうち、高解像表示が可能であるSXGAやUGAといったLCDが一般に最も多く使用されているが、近年、いわゆるハイエンド機やプレミアム機といった高性能の超音波画像診断装置では、超高解像表示が可能であるQXGAやWQXGA等といったLCDが用いられている。また一方で、携帯性を考慮して開発されたいわゆるハンディタイプの超音波画像診断装置では、小型化のために総画素数のより少ないものが使用される。
【0034】
このようなLCDにおける表示能力は、例えば、SXGAでは横1280×縦1024ピクセル、UGAでは横1600×縦1200ピクセルであるが、超音波画像診断装置においては、通常、一部の表示領域(例えば、60%の領域)において超音波診断画像の表示が行われる。すなわち、表示装置に表示される超音波診断画像の画面サイズは、表示装置の規格に依存することとなる。
【0035】
従来の超音波探触子は、超音波画像診断装置の装置本体側に設けられた表示装置の規格に対応して、一意的に定められたデーターサイズの受信信号等の超音波データーを生成し、これを無線伝送する構成であったため、他の超音波画像診断装置には対応しておらず、汎用性に欠けるものであった。すなわち、例えば、XGA等の総画素数の少ない規格である表示装置を備えた超音波画像診断装置の装置本体に対し、WQXGA等の総画素数の多い規格である表示装置に超音波診断画像を表示するための超音波データーを無線伝送した場合には、装置本体側における表示能力が不足しているため、伝送したデーターの全てが活用されず、ロスが生じてしまう。また、一方で、総画素数の多い規格である表示装置を備えた超音波画像診断装置の装置本体に対し、総画素数のより少ない規格である表示装置に超音波診断画像を表示するための超音波データーを無線伝送した場合には、装置本体側における表示能力を十分に発揮することができない。
【0036】
本実施の形態では、上述したようにして、画面サイズ選択部218によって決定された画面サイズの超音波診断画像データーを生成することができるので、表示装置の規格の異なる様々な超音波画像診断装置に適用可能な、汎用性の高い超音波探触子とすることができる。ここで、表示装置に表示される超音波画像診断装置の画面サイズは、表示装置の表示能力を上回るものでなければ、適宜設定することができるのは言うまでもない。また、診断目的等に応じて画面サイズを可変することも可能である。
【0037】
なお、本実施の形態では、後述する複数の画面サイズ切替条件のうちの何れか一つのみを選択的に機能させるように構成するが、複数の画面サイズ切替条件を機能させることももちろん可能である。
【0038】
画面サイズ選択部218は、切替スイッチ21に接続されている。切替スイッチ21は、スイッチの位置に応じた信号を画面サイズ選択部218に出力する。画面サイズ選択部218は、切替スイッチ21からの信号を画面サイズ切替条件とし、入力した信号に応じた画面サイズ情報の出力を行うことができる。
また、画面サイズ選択部218は、バッテリー201の残量を検出することができ、残量の検出結果を画面サイズ切替条件とし、残量に応じた画面サイズの指示を行うことができる。例えば、画面サイズ選択部218は、WUXGA規格に対応する画面サイズである超音波診断画像データーを生成しているときにおいて、バッテリー201の残量が60%以下となったことを検出したときは、データー間引き部209、画素補間部212及び誤り訂正符号生成部214に、SXGA規格に対応する画面サイズである超音波診断画像データーを生成する指示を行う。また、例えば、画面サイズ選択部218は、SXGA規格に対応する画面サイズである超音波診断画像データーを生成しているときにおいて、バッテリー201の残量が40%以下となったことを検出したときは、データー間引き部209、画素補間部212及び誤り訂正符号生成部214に、XGA規格に対応する画面サイズである超音波診断画像データーを生成する指示を行う。画面サイズ選択部218は、このようにしてバッテリーの残量に応じた画面サイズに変更する制御を行うことで、画像データーの生成の際の処理負荷を軽減させてバッテリーの消費を抑制させることができる。
【0039】
本実施の形態では、以上のようにして超音波探触子2を構成しているので、画面サイズ選択部218によって決定された画面サイズに対応する超音波診断画像データーが生成されるように、データー間引き部209及び画素補間部212が制御される。具体的には、図4に示すように、画面サイズ選択部218によって決定される画面サイズは、それぞれ表示装置の規格の総画素数の60%の画素数に設定されている。データー間引き部209及び画素補間部212は、それぞれ、設定された画素数である超音波診断画像データーが生成されるように、包絡線データーの間引き及び補間画素データーの生成を行う。
【0040】
また、本実施の形態では、以上のようにして超音波診断画像データーの無線伝送を行うが、伝送するデーターのサイズは、画面サイズによって異なっている。超音波画像診断装置は、リアルタイムによる超音波診断画像の表示が要求されることから、一定のフレームレートにて画像を切り替え表示可能とされる必要がある。したがって、超音波診断画像データーを無線伝送するためには、一定の伝送レートが確保される必要がある。例えば、図4に示すように、XGA規格に対応する614×460ピクセルの画面サイズである超音波診断画像データーを、1秒間に15フレーム伝送する場合、Bモード画像等、グレースケールにて超音波診断画像を表示する場合にあっては、少なくとも、33.8928Mbpsの伝送レートを確保する必要があり、また、カラーフローマッピング(CFM)法による画像等、RGBのカラー画像にて超音波診断画像を表示する場合にあっては、その3倍である101.6784Mbpsの伝送レートを確保する必要がある。
【0041】
ここで、本実施の形態において適用可能な無線通信方式について説明する。
従来、ワイヤレス型の超音波画像診断装置にて一般的に利用される無線通信方式として、図5に示すようなものが挙げられるが、近年では、国際規格「IEEE802.11n」が、優れた通信速度を有しており、広く利用されている。すなわち、国際規格「IEEE802.11n」によれば、理論的には、WUXGA規格に対応する1152×720ピクセルの画面サイズであるカラー超音波診断画像をリアルタイムに表示させるために十分な伝送レートとなることがわかる。
【0042】
しかし、実際には、超音波診断画像データーを無線伝送する場合には、上述した誤り訂正符号や伝送元の超音波探触子の装置を特定するためのプローブID等を含む付加情報が付加されるため、国際規格「IEEE802.11n」によれば、例えば、UGA規格に対応する画面サイズであるカラー超音波診断画像を適切に表示させるのに十分な伝送レートとなり得るということができる。
【0043】
ところで、上述したように、本実施の形態では、複数種類の画面サイズの超音波診断画像データーを無線伝送するため、伝送するデーターによっては、使用する無線通信方式の伝送性能が余剰となる場合がある。すなわち、上述した国際規格「IEEE802.11n」では、XGA規格やSXGA規格に対応する画面サイズの超音波診断画像データーを伝送する場合には、伝送するデーターのサイズに対して伝送レートが大きすぎるため、非効率となってしまう。
【0044】
そこで、本実施の形態では、超音波診断画像データーを伝送する際に、伝送性能に余剰が生じないように、誤り訂正符号の符号長を可変し、効率的な伝送を行わせるとともに、表示する超音波診断画像の画面サイズが小さい場合には、誤り訂正符号の符号長を大きくして超音波診断画像データーの訂正能力を高めるようにしている。
【0045】
図6は、本実施の形態において、超音波探触子2から超音波画像診断装置本体1に無線伝送する送信データーのデーター比率を表している。ここで、使用する無線通信方式は、国際規格「IEEE802.11n」である。図6(A)に示すように、SXGA規格に対応する画面サイズのカラー超音波診断画像データーを伝送する場合には、伝送レート300Mbpsに対し、超音波診断画像データーのデーターサイズは約170Mbitである。また、10Mbitの付加情報がこの超音波診断画像データーとともに伝送されるとすると、国際規格「IEEE802.11n」の伝送レートでは、1秒あたり約120Mbitの余裕がある。そこで、本実施の形態では、無線伝送する超音波診断画像データーに対し、1秒あたり約120Mbit分の誤り訂正符号を生成し、超音波診断画像データー及び付加情報とともに無線伝送することで、超音波診断画像データーの訂正能力を高めるようにしている。なお、ここで、伝送状態に応じて誤り訂正符号の符号長を可変するようにしてもよい。
【0046】
また、図6(B)に示すように、XGA規格に対応する画面サイズのカラー超音波診断画像データーを伝送する場合には、伝送レート300Mbpsに対し、超音波診断画像データーのデーターサイズは約101Mbitである。また、10Mbitの付加情報がこの超音波診断画像データーとともに伝送されるとすると、国際規格「IEEE802.11n」の伝送レートでは、1秒あたり約189Mbitの余裕がある。すなわち、画面サイズが小さくなった分、無線伝送にさらに大きな余裕ができる。この場合には、無線伝送する超音波診断画像データーに対し、1秒あたり約189Mbit分の誤り訂正符号を生成し、超音波診断画像データー及び付加情報とともに無線伝送することで、超音波診断画像データーの訂正能力を更に高めるようにしている。
【0047】
また、近年では、図5に示すように、ワイヤレスHDコンソーシアム(WirelessHD Consortium)が策定した、60GHz周波数帯域を利用した無線伝送技術が知られている。この規格は、第1世代で4Gbpsの伝送レートを有しており、さらに第2世代では10〜28Gbpsの伝送レートを有している。例えば、第1世代の規格において、WQXGAのカラー超音波診断画像データーであってもおよそ1/8の能力で無線伝送することができるので、無線伝送について非常に大きな余裕ができ、画面サイズが大きくても十分な符号長の誤り訂正符号を付加することが可能となり、超音波診断画像データーの訂正能力を飛躍的に高めることが可能となる。
【0048】
超音波画像診断装置本体1は、図7に示すように、例えば、無線送受信部101と、アンテナ102と、誤り率検出部103と、誤り訂正部104と、メモリー部105と、DSC(Digital Scan Converter)106と、表示部107と、操作入力部108と、制御部109とを備えて構成されている。
【0049】
制御部109は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成され、ROMに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波画像診断装置Sの各部の動作を集中制御する。
ROMは、半導体等の不揮発メモリー等により構成され、超音波画像診断装置Sに対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、各種データー等を記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデーターを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0050】
無線送受信部101は、制御部109の指示により、超音波探触子2から無線伝送された送信データーを、アンテナ102を介して受信して復調する。無線送受信部101は、復調した送信データーを誤り率検出部103及び誤り訂正部104に出力する。
【0051】
誤り率検出部103は、無線送受信部101から出力された送信データーに対して当該送信データーの誤り率を算出する誤り率検出処理を行う。ここで、誤り率とは、超音波探触子2から無線伝送された送信データーが、超音波画像診断装置本体1によって受信された際に、送信データーについて、どのくらいデーターが誤っているかを示す指標である。すなわち、超音波探触子2から超音波画像診断装置本体1への無線伝送中において、送信データーが誤っている割合を示す値である。誤り率検出部103は、算出した誤り率から超音波画像診断装置本体1と超音波探触子2との伝送状態を判定する。伝送状態は、例えば、3段階に設定されている。誤り率検出部103は、伝送状態の判定結果を示す伝送状態情報を無線送受信部101に出力する。無線送受信部101は、誤り率検出部103からの伝送状態情報に対して所定の変調処理を施し、アンテナ102を介して超音波探触子2に無線伝送する。超音波探触子2は、受信した伝送状態情報を切替条件とし、これに応じて、例えば、伝送状態が良好である旨を示す情報であれば、画面サイズ選択部218によって、データー間引き部209、画素補間部212及び誤り訂正符号生成部214に対して、生成する超音波診断画像データーの画面サイズをWUXGAとする指示を行う。また、超音波探触子2は、伝送状態が良好でない旨を示す情報であれば、画面サイズ選択部218によって、データー間引き部209、画素補間部212及び誤り訂正符号生成部214に対して、生成する超音波診断画像データーの画面サイズをSXGAとする指示を行う。また、超音波探触子2は、受信した伝送状態情報に応じて、例えば、伝送状態が劣悪である旨を示す情報であれば、画面サイズ選択部218によって、データー間引き部209、画素補間部212及び誤り訂正符号生成部214に対して、生成する超音波診断画像データーの画面サイズをXGAとする指示を行う。この場合において、さらに、画面サイズ選択部218によって上述したバッテリー201の残量の検出を行い、残量に応じた画面サイズの指示を行うようにしてもよい。
【0052】
誤り訂正部104は、無線送受信部101から出力された送信データーに対して誤り訂正処理を行う。すなわち、誤り訂正部104は、超音波探触子2の誤り訂正符号生成部214において生成された誤り訂正符号に応じた誤り訂正処理を行う。これにより、送信データーに含まれる超音波診断画像データーの一部に誤りが生じた場合でも、送信データーに含まれる誤り訂正符号によって訂正可能な範囲内において超音波診断画像データーの復元が可能となる。超音波診断画像データーの訂正可能な範囲は、誤り訂正符号の符号長によって定められ、符号長が大きいほど訂正可能な範囲は大きくなる。そして、誤り訂正部104は、誤り訂正処理が行われた送信データーから超音波診断画像データーを抽出してメモリー部105に出力する。
なお、誤り訂正部104によって誤り訂正処理を行った結果、超音波診断画像データーの復元ができない場合には、例えば、エラー処理として、この超音波診断画像データーについて復元を行わずにメモリー部105に出力するようにしてもよい。ここで、エラー処理については他の態様であってもよく、例えば、制御部109にエラー通知を行い、エラーが解消されるまで、同一の画像を表示部107に表示させるようにしてもよい。また、例えば、誤り訂正部104にバッファーを設け、エラーが解消されるまで受信する超音波診断画像データーを補間し、補間後のデーターをメモリー部105に出力するようにしてもよい。
また、超音波診断画像データーの復元ができない場合には、表示部107にて警告表示を行わせるようにしてもよい。
【0053】
メモリー部105は、例えば、DRAMなどの半導体メモリーによって構成されており、誤り訂正部104から送信された超音波診断画像データーをフレーム単位で記憶する。メモリー部105に記憶された超音波診断画像データーは、制御部109の制御に従って、DSC106に出力される。
【0054】
DSC106は、メモリー部105より入力した超音波診断画像データーをテレビジョン信号の走査方式による画像信号に変換し、表示部107に出力する。
【0055】
表示部107は、LCD、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示装置が適用可能である。表示部107は、DSC106から出力された画像信号に従って表示画面上に超音波診断画像の表示を行う。なお、表示装置に代えてプリンター等の印刷装置等を適用してもよい。
【0056】
操作入力部108は、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデーターの入力などを行うための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を備えており、操作信号を制御部109に出力する。ユーザーは、操作入力部108の操作により、超音波探触子2から無線伝送される超音波診断画像データーの画面サイズを選択することができる。画面サイズの選択については、例えば、通常時において表示部107に表示される超音波診断画像の画面サイズを選択するものの他、フリーズボタン操作時に特定の画面サイズが選択されるものであってもよい。また、診断部位を選択することによって画面サイズの選択が行われるものであってもよい。制御部109は、操作入力部108による選択操作に応じて、無線送受信部101に指示して、無線伝送する超音波診断画像データーの画面サイズを指示する画面サイズ指示情報を、アンテナ102を介して超音波探触子2に無線伝送する。超音波探触子2は、受信した画面サイズ指示情報を切替条件とし、これに応じて、データー間引き部209、画素補間部212及び誤り訂正符号生成部214に対して、画面サイズの指示を行うことができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、無線伝送する画面サイズの超音波診断画像データーの伝送が完了した後に生じる余剰時間の間、超音波探触子を構成する各部のうちの一部又は全部に対する電力の供給を停止させる。あるいは、無線伝送する画面サイズの超音波診断画像データーの伝送が完了した後に生じる余剰時間の間、超音波探触子を構成する各部のうちの一部又は全部に対して供給される動作クロック信号の周波数を通常の駆動周波数から、当該駆動周波数よりも低周波数である待機周波数に変更する。第2の実施の形態では、以上のように構成して、消費電力を低減してバッテリーの消耗を抑制し、より長く超音波探触子を使用可能にするようにしている。
【0058】
第2の実施の形態における超音波探触子1002の具体的な構成について、図8を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態における超音波探触子2と同様の機能構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
第2の実施の形態における超音波探触子1002は、電力制御部及び動作クロック制御部として機能する電圧・動作クロック制御部219を備えている。また、第2の実施の形態では、画面サイズ選択部218は、誤り訂正符号生成部214に対する画面サイズ情報の出力を行わず、電圧・動作クロック制御部219に対して画面サイズ情報の出力を行う。また、第2の実施の形態では、誤り訂正符号生成部214は、伝送レートに拘わらず、超音波診断画像データーのデーターサイズと同一サイズの誤り訂正符号を生成する。
【0060】
電圧・動作クロック制御部219は、画面サイズ選択部218からの画面サイズ情報に応じて、制御領域1002aに含まれる各部構成に対する電力の供給の制限、又は、制御領域1002aに含まれる各部構成に供給される動作クロック信号の周波数の制御を行う。電圧・動作クロック制御部219は、電力供給の制限及び動作クロック周波数の制御の何れか一方を選択して実施することができる。なお、電圧・動作クロック制御部219に代えて、電力供給の制限を行う電力制御部及び動作クロック周波数の制御を行う動作クロック制御部の何れか一方のみ備えた態様としてもよい。
【0061】
ここで、電圧・動作クロック制御部219によって電力の供給の制限を行う場合の動作について説明する。
電圧・動作クロック制御部219は、画面サイズ選択部218からの画面サイズ情報に応じて、制御領域1002aに含まれる各部構成に対する電力供給期間と電力供給停止期間とを設定し、設定した電力供給期間及び電力供給停止期間に従って、制御領域1002aに含まれる各部構成に対する電力の供給を制御する。すなわち、電圧・動作クロック制御部219は、画面サイズ選択部218から画面サイズ情報を入力すると、当該画面サイズ情報の示す画面サイズの超音波診断画像データーとこれに付加される誤り訂正符号と付加情報とを無線伝送するために必要な期間を特定する。電圧・動作クロック制御部219は、これに基づいて電力供給期間と電力供給停止期間を設定する。電圧・動作クロック制御部219は、送信データーの無線伝送を開始してから、設定した電力供給期間が経過するまで、制御領域1002aに含まれる各部構成に対する電力供給を実施する。その後、電圧・動作クロック制御部219は、設定した電力供給停止期間が経過するまで、すなわち、次の送信データーの無線伝送を実施するまで、制御領域1002aに含まれる各部構成に対する電力供給を停止させる。これは、送信データーの無線伝送が完了した後は、超音波探触子1002の少なくとも一部の構成については動作させる必要がないため、このような場合には各部構成の動作を停止させることにより省電力を図る。なお、電力供給の制御の対象となる構成については、本実施の形態において示されるものに限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。
【0062】
ここで、図9を参照しながら、電力供給期間及び電力供給停止期間の設定について、より具体的に説明する。
【0063】
図9は、第2の実施の形態において、超音波探触子1002から超音波画像診断装置本体1に無線伝送する送信データーのデーター比率を表している。ここで、使用する無線通信方式は、「Wireless HD」規格である。また、ここでは、無線伝送する超音波診断画像データーと同一データーサイズの誤り訂正符号を付加する。
図9(A)に示すように、WQXGA規格に対応する画面サイズのカラー超音波診断画像データーを伝送する場合には、伝送レート4Gbpsに対し、超音波診断画像データー及び誤り訂正符号のデーターサイズはそれぞれ約530Mbitである。また、10Mbitの付加情報がこの超音波診断画像データーとともに伝送されるとすると、「Wireless HD」規格の伝送レートでは、1秒あたり約2.93Gbitの余裕がある。そこで、本実施の形態では、この2.93Gbitを伝送するための時間を電力供給停止期間に充て、当該期間において、超音波探触子1002を構成する制御領域1002aに含まれる各部に対する電力の供給の制限を実施する。
また、図9(B)に示すように、XGA規格に対応する画面サイズのカラー超音波診断画像データーを伝送する場合には、伝送レート4Gbpsに対し、超音波診断画像データー及び誤り訂正符号のデーターサイズはそれぞれ約100Mbitである。また、10Mbitの付加情報がこの超音波診断画像データーとともに伝送されるとすると、「Wireless HD」規格の伝送レートでは、1秒あたり約3.79Gbitの余裕がある。すなわち、画面サイズが小さくなった分、無線伝送にさらに大きな余裕ができる。この場合には、この3.79Gbitを伝送するための時間を電力供給停止期間に充て、当該期間において、超音波探触子1002を構成する制御領域1002aに含まれる各部に対する電力の供給の制限を実施する。
【0064】
次に、電圧・動作クロック制御部219によって動作クロック周波数の制御を行う場合の動作について説明する。
電圧・動作クロック制御部219は、画面サイズ選択部218からの画面サイズ情報に応じて、制御領域1002aに含まれる各部構成に対して供給する動作クロックの周波数を所定の駆動周波数とする駆動期間と、当該駆動周波数よりも低周波数である待機周波数とする待機期間とを設定し、設定した駆動期間及び待機期間に従って制御領域1002aに含まれる各部構成に供給される動作クロックの周波数の制御を行う。具体的には、例えば、水晶発振器から出力されるクロック信号を通常駆動用の分周回路と待機用の分周回路とに切り替えることにより実現することができる。待機周波数は、例えば、駆動周波数の1/2〜1/8に設定するが、これに限定されない。なお、駆動期間及び待機期間の特定は、上述した電力供給期間と電力供給停止期間とを特定するのと同様の要領にて行う。以上のように構成することによっても省電力を図ることができる。
【0065】
以上説明したように、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、昇圧回路202、送信部203、振動子204及び受信部205は、駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信して受信信号を得る。画面サイズ選択部218は、複数種類の画面サイズから何れかを選択する。データー間引き部209、対数変換部210、輝度変換部211、画素補間部212及び画像メモリー213は、受信信号に基づき、画面サイズ選択部218によって選択された画面サイズの超音波診断画像を表示するための画像データーを生成する。無線送受信部216は、データー間引き部209、対数変換部210、輝度変換部211、画素補間部212及び画像メモリー213によって生成された画像データーを伝送する。その結果、伝送先の装置本体に対して、適切な画面サイズの画像データーを伝送することができるので、例えば、表示装置の規格の異なる様々な超音波画像診断装置に適用可能となり、汎用性に優れたものとなる。また、伝送先の装置本体において要求される画面サイズよりも大きいサイズの画像データーを伝送する必要がなくなるため、余剰なデーターの伝送を低減でき、伝送効率を向上させることができる。
【0066】
また、本発明の第1の実施の形態によれば、誤り訂正符号生成部214は、画像データーに対応する誤り訂正符号を生成する。送信データー生成部215は、誤り訂正符号生成部214によって生成された誤り訂正符号を画像データーに付加して無線送受信部216によって伝送するための送信データーを生成する。誤り訂正符号生成部214は、無線送受信部216の伝送レートと画面サイズ選択部218によって選択された画面サイズとに基づき、画像データーに付加する誤り訂正符号のデーターサイズを決定する。誤り訂正符号生成部214は、決定したデーターサイズの誤り訂正符号を生成する。その結果、伝送能力を十分に活用することができるので、効率よくデーターの伝送を行うことができる。また、伝送する画像データーのサイズが小さい場合には、誤り訂正符号を多く付加することができるので、画像データーの訂正能力を向上させることができるようになる。
【0067】
また、本発明の第2の実施の形態によれば、電圧・動作クロック制御部219は、超音波探触子1002を構成する各部のうちの少なくとも一部に対して供給される動作クロック信号の周波数を制御する。電圧・動作クロック制御部219は、画面サイズ選択部218によって選択された画面サイズに応じて、所定の駆動周波数とする駆動時間と、駆動周波数よりも低周波数である所定の待機周波数とする待機時間とを決定する。電圧・動作クロック制御部219は、該決定に従って動作クロック信号の周波数を制御する。その結果、画像データーの伝送を行わない間における各部構成についての消費電力を抑制させることができ、省電力化を図ることができる。
【0068】
また、本発明の第2の実施の形態によれば、電圧・動作クロック制御部219は、バッテリー201からの、超音波探触子1002を構成する各部のうちの少なくとも一部に対する電力の供給を制御する。電圧・動作クロック制御部219は、画面サイズ選択部218によって選択された画面サイズに応じて、電力を供給する電力供給時間と、電力の供給を制限する電力供給制限時間とを決定する。電圧・動作クロック制御部219は、該決定に従って電力の供給を制御する。その結果、画像データーの伝送を行わない間における各部構成についての消費電力を抑制させることができ、省電力化を図ることができる。
【0069】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、画面サイズ選択部218は、バッテリー201の残量に応じて画面サイズの選択を行う。その結果、例えば、バッテリーの残量が少なくなったことに応じて画面サイズを小さくして画像データーの生成を行うようにして電力の消費を抑制することができるので、長時間の検査にも耐え得るものとなる。
【0070】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、画面サイズ選択部218は、切替スイッチ21による操作に応じて画面サイズの選択を行う。その結果、ユーザーの利用目的に応じた画面サイズに切り替えて伝送することができ、有用性に優れたものとなる。
【0071】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、画面サイズ選択部218は、画像データーの伝送先である超音波画像診断装置本体1との伝送状態に応じて画面サイズの選択を行う。その結果、伝送状態に適した伝送レートにて適切な画面サイズの画像データーを伝送することができ、伝送されるデーターの信頼性を向上させることができるとともに、データーの伝送効率を向上させることができる。
【0072】
また、本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、無線送受信部216は、画像データーの伝送先である超音波画像診断装置本体1からの伝送信号を受信する。画面サイズ選択部218は、無線送受信部216によって画面サイズを指示する旨の画面サイズ指示信号を超音波画像診断装置本体1から受信したときに、受信した画面サイズ指示信号に対応した画面サイズの選択を行う。その結果、ユーザーの利用目的や装置本体の仕様に応じた画面サイズに切り替えて画像データーを伝送することができ、有用性あるいは汎用性に優れたものとなる。
【0073】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る超音波画像診断装置の一例であり、これに限定されるものではない。超音波画像診断装置を構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0074】
また、本実施の形態において、例えば、超音波画像診断装置本体の仕様を特定可能なID情報を超音波探触子に無線伝送し、このID情報によって特定された装置本体の仕様に応じた画面サイズの選択を行うように構成してもよい。
【0075】
また、本実施の形態において、送信する超音波の周波数に応じて画面サイズの選択を行うようにしてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、超音波診断画像データーとしてBモードによる画像データーを生成するようにしたが、Aモード及びMモードによる画像データーであってもよく、また、ドプラ法によって画像データーを生成したものであってもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、超音波画像診断装置本体と超音波探触子とを無線伝送にて送信データーの伝送を行うようにしたが、有線によって送信データーが伝送される態様であってもよく、例えば、シリアル伝送によってデーターを送信するものに適用すると好適である。
【符号の説明】
【0078】
S 超音波画像診断装置
1 超音波画像診断装置本体
2 超音波探触子
21 切替スイッチ
201 バッテリー
202 昇圧回路
203 送信部
204 振動子
205 受信部
209 データー間引き部
210 対数変換部
211 輝度変換部
212 画素補間部
213 画像メモリー
214 誤り訂正符号生成部
215 送信データー生成部
216 無線送受信部
218 画面サイズ選択部
219 電圧・動作クロック制御部
1002 超音波探触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信して受信信号を得る送受信部と、
複数種類の画面サイズから何れかを選択する画面サイズ選択部と、
前記受信信号に基づき、前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズの超音波診断画像を表示するための画像データーを生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された画像データーを伝送する伝送部と、
を備えたことを特徴とする超音波探触子。
【請求項2】
前記画像データーに対応する誤り訂正符号を生成する誤り訂正符号生成部と、
前記誤り訂正符号生成部によって生成された誤り訂正符号を前記画像データーに付加して前記伝送部によって伝送するための送信データーを生成する送信データー生成部と、
を備え、
前記誤り訂正符号生成部は、前記伝送部の伝送レートと前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズとに基づき、前記画像データーに付加する誤り訂正符号のデーターサイズを決定し、該決定したデーターサイズの誤り訂正符号を生成することを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
超音波探触子を構成する各部のうちの少なくとも一部に対して供給される動作クロック信号の周波数を制御する動作クロック制御部を備え、
前記動作クロック制御部は、
前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズに応じて、所定の駆動周波数とする駆動時間と、前記駆動周波数よりも低周波数である所定の待機周波数とする待機時間とを決定し、該決定に従って前記動作クロック信号の周波数を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項4】
超音波探触子の各部を動作させるための動力源としてバッテリーと、
前記バッテリーからの、前記超音波探触子を構成する各部のうちの少なくとも一部に対する電力の供給を制御する電力制御部と、
を備え、
前記電力制御部は、前記画面サイズ選択部によって選択された画面サイズに応じて、電力を供給する電力供給時間と、電力の供給を制限する電力供給制限時間とを決定し、該決定に従って電力の供給を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項5】
前記画面サイズ選択部は、前記バッテリーの残量に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする請求項4に記載の超音波探触子。
【請求項6】
操作者によって切り替え操作可能な切替スイッチを備え、
前記画面サイズ選択部は、前記切替スイッチによる操作に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波探触子。
【請求項7】
超音波探触子の各部を動作させるための動力源としてバッテリーを備え、
前記画面サイズ選択部は、前記バッテリーの残量に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の超音波探触子。
【請求項8】
前記画面サイズ選択部は、前記画像データーの伝送先である超音波画像診断装置本体との伝送状態に応じて画面サイズの選択を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波探触子。
【請求項9】
前記画像データーの伝送先である超音波画像診断装置本体からの伝送信号を受信する伝送信号受信部を備え、
前記画面サイズ選択部は、前記伝送信号受信部によって画面サイズを指示する旨の画面サイズ指示信号を前記超音波画像診断装置本体から受信したときに、該受信した画面サイズ指示信号に対応した画面サイズの選択を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−245036(P2012−245036A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116747(P2011−116747)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】