超音波画像表示装置
【課題】受信部の余剰チャンネルを有効活用できる超音波画像表示装置を提供する。
【解決手段】超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子2aを有する超音波プローブ2と、前記超音波振動子2aで受信したエコー信号に対するA/D変換を行うA/D変換部422をチャンネル毎に有するとともに、A/D変換部422の後段側に前記各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマー423を有する受信部42と、を備え、1チャンネルの前記超音波振動子2aが複数チャンネルの前記A/D変換部422と接続されることを特徴とする。
【解決手段】超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子2aを有する超音波プローブ2と、前記超音波振動子2aで受信したエコー信号に対するA/D変換を行うA/D変換部422をチャンネル毎に有するとともに、A/D変換部422の後段側に前記各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマー423を有する受信部42と、を備え、1チャンネルの前記超音波振動子2aが複数チャンネルの前記A/D変換部422と接続されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像を表示する超音波画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像表示装置としては、例えば患者の体内に超音波プローブから超音波を送信してエコー信号を受信し、このエコー信号に基づく超音波画像を表示する超音波診断装置がある。このような超音波診断装置は、超音波の送受信を行なう超音波振動子を複数チャンネル有する超音波プローブと、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対するA/D変換を行なうA/D変換部を有するとともに、各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記超音波プローブは前記受信部が設けられた超音波診断装置本体に着脱自在に取り付けられるようになっており、種々の超音波プローブが接続できるようになっている。従って、接続された超音波プローブの種類によっては、前記受信部のチャンネル数と前記超音波振動子のチャンネル数とが異なる場合があり、前記受信部のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数よりも多い場合、受信部のチャンネルが余ることになる。従って、受信部の余剰チャンネルを有効活用できる超音波画像表示装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対するA/D変換を行うA/D変換部をチャンネル毎に有するとともに、該A/D変換部の後段側に前記各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部と、を備え、1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0006】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、前記増幅部と前記A/D変換部との間において各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0007】
第3の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、前記増幅部の前段部分において前記受信部の各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が、複数チャンネルの前記増幅部及び前記A/D変換部と接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0008】
第4の観点の発明は、第1〜3のいずれか一の観点の発明において、前記受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有することを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0009】
第5の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記超音波プローブにあっては、1チャンネルの前記超音波振動子で受信したエコー信号を複数チャンネルに分岐する分岐信号ラインを有し、各チャンネルの前記分岐信号ラインは前記受信部の各チャンネルと接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0010】
第6の観点の発明は、第1〜5の観点の発明において、前記受信部は、接続された各チャンネルのエコー信号を加算する加算部を、前記A/D変換部の後段に有することを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0011】
第7の観点の発明は、超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、該超音波プローブが接続される装置本体とを備え、該装置本体には、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部が設けられ、該受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有することを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0012】
第8の観点の発明は、第7の観点の発明において、前記受信部は、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対するA/D変換を行なうA/D変換部を前記ビームフォーマーの前段側に有しており、前記接続切替部は、前記A/D変換部と前記ビームフォーマーとの間において前記切替えを行なうことを特徴とする超音波画像表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
上記観点の発明によれば、1チャンネルの超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続されるので、前記1チャンネルの超音波振動子で受信されたエコー信号が複数のA/D変換部でA/D変換される。複数のA/D変換部の出力信号が前記ビームフォーマーで加算されると、A/D変換の際の量子化に伴う誤差が軽減されることになり、前記ビームフォーマーの出力信号のS/Nを向上させることができる。従って、前記受信部における余剰なチャンネルを有効活用することができる。
【0014】
また、他の観点の発明によれば、前記受信部が前記増幅部と前記A/D変換部とを有する場合に、前記増幅部の前段部分において前記受信部の各チャンネルが接続され、1チャンネルの前記超音波振動子が、複数チャンネルの前記増幅部及び前記A/D変換部と接続されることにより、S/Nを向上させることができる。従って、前記受信部における余剰なチャンネルを有効活用することができる。
【0015】
また、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える他の観点の発明によれば、前記受信部のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数と比べて余剰な状態になる超音波プローブが前記装置本体に接続された場合には、1の前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとを前記接続切替部によって接続することにより、前記受信部の余剰なチャンネルを有効活用することができる。一方で、前記受信部のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数と比べて余剰な状態にならない超音波プローブが前記装置本体に接続された場合には、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとを前記接続切替部によって非接続にし、1チャンネル同士の接続とする。このように前記装置本体に接続される超音波プローブのチャンネル数に応じて、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替えることができるので、前記受信部の余剰なチャンネルの有効な活用を実現しつつも、種々の超音波プローブを接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波画像表示装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波画像表示装置における送受信部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図4】受信部のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波プローブが接続された場合における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図5】並列同時受信を行なう場合のビームフォーマーの構成を示すブロック図である。
【図6】第一実施形態の変形例における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図7】第一実施形態の変形例において、受信部のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波プローブが接続された場合における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図8】第二実施形態における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図9】第二実施形態の変形例における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図10】第三実施形態における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1に示す超音波画像表示装置1は、例えば患者(超音波の送受信対象)に対する超音波の送受信を行なって取得されたエコー信号に基づく超音波画像を表示する超音波診断装置であり、超音波プローブ2とこの超音波プローブ2が接続される装置本体3とを備えている。この装置本体3内には、送受信部4、データ処理部5、表示制御部6、表示部7、操作部8、制御部9を有している。
【0018】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子2a(図3参照)を有して構成され、この超音波振動子2aによって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。前記超音波プローブ2は、前記超音波振動子2aとして、チャンネル1からチャンネルnまでのnチャンネル(nは任意の自然数)の超音波振動子を有している。前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例である。
【0019】
前記送受信部4は、前記制御部9からの制御信号に基づいて、前記超音波プローブ2による超音波の送受信を、所定の送受信パラメータにより行なわせるものであり、図2に示すように送信部41と受信部42とを有する。前記送信部41は、前記超音波プローブ2を所定の送信パラメータで駆動させ、スキャン面を超音波ビームによって音線順次で走査させる。前記送信部41は前記制御部9からの制御信号によって前記超音波プローブ2を駆動させる。前記受信部42については後述する。
【0020】
前記データ処理部5は、前記受信部42から出力された信号に対し、超音波画像を作成するための所定の処理を行なう。例えば、前記データ処理部5は、前記受信部42から出力された信号に対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等の所定の処理を行ってBモードデータを作成する。前記データ処理部5から出力されたBモードデータなどのデータは前記表示制御部6に入力される。
【0021】
前記表示制御部6は、前記データ処理部5からのデータをスキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して画像データを作成し、この画像データに基づく超音波画像を前記表示部7に表示させる。
【0022】
前記表示部7は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記操作部8は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0023】
前記制御部9は、CPU(CentRal Processing Unit)を有して構成され、前記超音波画像表示装置1の各部における機能を実行させる。
【0024】
さて、前記受信部42について図3に基づいて説明する。前記受信部42は、本発明における受信部の実施の形態の一例であり、エコー信号の信号処理部として増幅部421、A/D変換部422をチャンネル毎に有し、さらにビームフォーマー423を有している。これら増幅部421、A/D変換部422及びビームフォーマー423は、それぞれ本発明における増幅部、A/D変換部及びビームフォーマーの実施の形態の一例である。
【0025】
前記受信部42においては、前記増幅部421において所定のゲインで増幅されたチャンネル毎のエコー信号が前記A/D変換部422でA/D変換される。そして、A/D変換された各チャンネル毎のエコー信号が前記ビームフォーマー423で遅延加算され、RF(radio frequency)信号が作成される。作成されたRF信号は前記データ処理部5へ出力される。
【0026】
前記受信部42は、チャンネル1からチャンネルmまでmチャンネル分の信号処理部を有している。本例では、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっている。すなわち、m=3nになっている。従って、前記受信部42において、前記超音波プローブ2のチャンネル数の2倍のチャンネルが余剰チャンネルになっている。
【0027】
前記受信部42は、この受信部42における各チャンネルの接続と非接続とを切り替えるスイッチ部424を有している。このスイッチ部424は、本発明における接続切替部の実施の形態の一例であり、前記増幅部421と前記A/D変換部422との間に設けられている。そして、スイッチ部424を切り替えることにより、前記受信部42は、前記増幅部421よりも後段側において複数チャンネルの接続と非接続とが切り替わり、複数チャンネルの前記A/D変換部422を接続することができるようになっている。これにより、1チャンネルの前記超音波振動子2aが、前記受信部42において、複数チャンネルの前記A/D変換部422と接続されるようになっている。
【0028】
スイッチ部424は、チャンネル(3l−1)(lは任意の自然数)に設けられたスイッチ部424Aとチャンネル3lに設けられたスイッチ部424Bからなる。前記スイッチ部424Aは、チャンネル(3l−2)側とチャンネル(3l−1)側とに切り替えられるようになっている。また、前記スイッチ部424Bは、チャンネル(3l−2)側とチャンネル3l側とに切り替えられるようになっている。そして、これらスイッチ424A,424Bをチャンネル(3l−2)側に切り替えることにより、前記受信部42において、隣り合う3チャンネル、すなわちチャンネル(3l−2),チャンネル(3l−1),チャンネル3lが前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネルlの超音波振動子2alが、前記受信部42において前記増幅部421よりも後段側のチャンネル(3l−2),チャンネル(3l−1),チャンネル3lと接続される。
【0029】
例えば、チャンネル2,3に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル1側に切り替えることにより、チャンネル1〜3が前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネル1の超音波振動子2a1が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも後段側のチャンネル1〜3と接続される。また、チャンネル5,6に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル4側に切り替えることにより、チャンネル4〜6が前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネル2の超音波振動子2a2が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも後段側のチャンネル4〜6と接続される。さらに、チャンネル(m−1),mに設けられた前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル(m−2)側に切り替えることにより、チャンネル(m−2)〜mが前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネルnの超音波振動子2anが、前記受信部42において、前記増幅部421よりも後段側のチャンネル(m−2)〜mと接続される。
【0030】
一方、スイッチ部424Aをチャンネル(3l−1)側、スイッチ部424Bをチャンネル3l側に切り替えることにより、前記受信部42において、各チャンネルが互いに独立する。例えば、図4に示すように、前記受信部42のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波振動子2aを有する超音波プローブ2が前記装置本体3に接続された場合、チャンネル2,3に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをそれぞれチャンネル2,3側に切り替え、チャンネル5,6に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをそれぞれチャンネル5,6側に切り替え、チャンネル(m−1),mに設けられた前記スイッチ部424A,424Bをそれぞれチャンネル(m−1),m側に切り替える。これにより、前記受信部42において各チャンネルが互いに独立し、これら独立した各チャンネルにおいて、各チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が、増幅及びA/D変換された後に遅延加算される。このように前記スイッチ部424の切替えにより、前記受信部42のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数と比べて余剰な状態にならない超音波プローブ2を前記装置本体3に接続することが可能になるので、前記スイッチ部424の切替えにより、種々の超音波プローブの接続が可能である。
【0031】
本例によれば、1チャンネルの超音波振動子2aが、並列接続された3チャンネル分のA/D変換部422と接続されるので、1チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換される。A/D変換後のエコー信号は、前記ビームフォーマー423において遅延加算され、RF信号が作成される。このRF信号においては、3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換されたエコー信号が加算されているので、A/D変換の際の量子化に伴う誤差が軽減されることになり、S/Nを向上させることができる。
【0032】
一回の送受信で一つの受信ビームを形成する場合、前記ビームフォーマー423において遅延加算する際の遅延量は、並列接続された3チャンネルのA/D変換部422からの各出力信号についてそれぞれ同じ遅延量とする。例えば、チャンネル1〜3における遅延量を互いに同じとし、チャンネル3〜6における遅延量を互いに同じとする。
【0033】
また、一回の送受信で複数の受信ビームを形成し、複数の走査線からのエコー信号を得る並列同時受信を行なう場合は、図5に示すように前記ビームフォーマー423として、第一ビームフォーマー4231、第二ビームフォーマー4232、第三ビームフォーマー4233を有する。そして、前記第一ビームフォーマー4231によって第一受信ビームのRF信号を作成し、前記第二ビームフォーマー4232によって第二受信ビームのRF信号を作成し、さらに前記第三ビームフォーマー4233によって第三受信ビームのRF信号を作成する。この場合には、並列接続された3チャンネルのA/D変換部422からの各出力信号についてそれぞれ遅延量が設定されることになる。例えば、チャンネル1〜3における遅延量は互いに異なる。
【0034】
具体的に説明すると、前記第一ビームフォーマー4231は、チャンネル1、チャンネル4、・・・、チャンネル(m−2)のエコー信号(チャンネル(3n−2)のエコー信号)を遅延加算して第一受信ビームのRF信号を作成する。前記第二ビームフォーマー4232は、チャンネル2、チャンネル5、・・・、チャンネル(m−1)のエコー信号(チャンネル(3n−1)のエコー信号)を遅延加算して第二受信ビームのRF信号を作成する。前記第三ビームフォーマー4233は、チャンネル3、チャンネル6、・・・、チャンネルm)のエコー信号(チャンネル3nのエコー信号)を遅延加算して第三受信ビームのRF信号を作成する。
【0035】
このようにすることで、余剰チャンネルを利用して一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成することができるので、フレームレートを向上させることができる。
【0036】
なお、前記受信部42における余剰チャンネルを利用せずとも一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成するようになっている場合には、余剰チャンネルを利用することによりさらに多くの音線数の受信ビームを形成することができる。例えば、余剰チャンネルを利用しなくても一回の送受信で2音線の受信ビームを形成するようになっている場合、本例のように前記受信部42が前記超音波振動子2aのチャンネル数の3倍の余剰チャンネルを有する場合には、この余剰チャンネルを利用することにより、2×3=6で6音線分の受信ビームを形成することができる。
【0037】
以上説明した本例の超音波画像表示装置1によれば、前記受信部42における余剰チャンネルを利用して、RF信号のS/Nの向上と、フレームレートの向上を図ることができるので、前記受信部42の余剰チャンネルを有効活用することができる。
【0038】
また、前記装置本体3に接続される超音波プローブ2のチャンネル数に応じて、1チャンネルの超音波振動子2aと前記受信部42における複数チャンネルとの接続及び非接続を前記スイッチ部424によって切り替えることができるので、前記受信部42の余剰なチャンネルの有効な活用を実現しつつも、種々の超音波プローブを接続することができる。
【0039】
次に、第一実施形態の変形例について図6に基づいて説明する。この変形例では、前記受信部42は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間において、前記スイッチ部424によって接続された隣り合う3チャンネルのエコー信号を加算する加算部425を有している。この加算部425は、本発明における加算部の実施の形態の一例である。
【0040】
具体的には、前記受信部42において接続された3チャンネルのうち1チャンネルに前記加算部425が設けられ、この加算部425と他の2チャンネルとがスイッチ部426を介して接続されている。前記加算部425は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間に設けられている。そして、前記加算部425は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間において、他の2チャンネルと接続されている。
【0041】
本例では、チャンネル(3l−2)、すなわちチャンネル1,4,・・・,(m−2)に前記加算部425が設けられている。そして、チャンネル1の加算部425には、チャンネル2,3が前記スイッチ部426を介して接続され、チャンネル4の加算部425には、チャンネル5,6が前記スイッチ部426を介して接続され、さらにチャンネル(m−2)の加算部425には、チャンネル(m−1),mが前記スイッチ部426を介して接続されている。
【0042】
本例のように、前記受信部42に余剰チャンネルが生じている場合、前記スイッチ部426をオンにする。これにより、隣り合う3チャンネルにおける前記A/D変換部422の出力信号が前記加算部425で加算される。そして、各加算部425で加算されたエコー信号が前記ビームフォーマー423で遅延加算され、一音線の受信ビームのRF信号が作成される。
【0043】
以上説明した変形例においても、1チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換されているので、上述と同様にRF信号において、A/D変換の際の量子化に伴う誤差が軽減されることになり、S/Nを向上させることができる。
【0044】
ちなみに、図7に示すように、前記受信部42のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波振動子2aを有する超音波プローブ2が前記装置本体3に接続された場合、前記スイッチ部426をオフにする。また、前記スイッチ部424Aをチャンネル(3l−1)側に切り替え、前記スイッチ部424Bをチャンネル3l側に切り替える。これにより、前記受信部42において各チャンネルが互いに独立し、これら独立した各チャンネルにおいて、各チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が、増幅及びA/D変換された後に遅延加算される。
【0045】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。以下、第一実施形態と異なる構成及び作用についてのみ説明する。
【0046】
本例の前記受信部42においては、図8に示すように、前記スイッチ部424は、前記増幅部421よりも前段側において、各チャンネル間に設けられている(スイッチ部424−1,424−2,424−3,424−4,424−5,・・・,424−(m−2),424−(m−1))。従って、前記スイッチ部424をオンすることにより、前記受信部42は前記増幅部421よりも前段側において複数チャンネルが接続されて、複数チャンネルの前記増幅部421及び前記A/D変換部422が接続されるようになっている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42の複数チャンネルと接続され、複数チャンネルの前記増幅部421及び前記A/D変換部422と接続されるようになっている。
【0047】
本例においても、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっており、前記受信部42において、前記超音波プローブ2のチャンネル数の2倍のチャンネルが余剰チャンネルになっている。そこで、図8に示すように、前記スイッチ部424により、前記増幅部41よりも前段側の前記受信部42において、第一実施形態と同様に隣り合う3チャンネルが接続されている。例えば、チャンネル1とチャンネル2の間のスイッチ部424−1、チャンネル2とチャンネル3の間のスイッチ部424−2がオンになり、チャンネル1〜3が前記増幅部421よりも前段側において接続される(ちなみに、チャンネル3とチャンネル4の間のスイッチ部4243はオフ)。これにより、チャンネル1の超音波振動子2a1(図8では符号省略)が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも前段側のチャンネル1〜3と接続される。また、チャンネル4とチャンネル5の間のスイッチ部424−4、チャンネル5とチャンネル6の間のスイッチ部424−5がオンになり、チャンネル4〜6が前記増幅部421よりも前段側において接続される。これにより、チャンネル2の超音波振動子2a2(図8では符号省略)が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも前段側のチャンネル4〜6と接続される。さらに、チャンネル(m−2)とチャンネル(m−1)の間のスイッチ部424−(m−2)、チャンネル(m−1)とチャンネルmの間のスイッチ部424−(m−1)がオンになり、チャンネル(m−2)〜mが前記増幅部421よりも前段側において接続される。これにより、チャンネルnの超音波振動子2an(図8では符号省略)が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも前段側のチャンネル(m−2)〜mと接続される。
【0048】
本例によれば、1チャンネルの超音波振動子2aが、並列接続された3チャンネル分の増幅部421と接続されているので、1チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が3チャンネル分の増幅部421で増幅される。これにより、S/Nを向上させることができる。また、第一実施形態と同様に、3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換されたエコー信号が加算されてRF信号が作成されるので、このRF信号においてA/D変換の際の量子化に伴う誤差軽減によるS/Nの向上を図ることができる。さらに、第一実施形態と同様に、余剰チャンネルを利用して一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成することもできる。以上より、前記受信部42における余剰チャンネルを有効活用することができる。
【0049】
次に、第二実施形態の変形例について図9に基づいて説明する。この変形例では、1チャンネルの超音波振動子2aが複数チャンネルの増幅部421及びA/D変換部422と接続されるものの、前記受信部42は前記スイッチ部424を有さない。そして、前記スイッチ部424を有さない代わりに、前記超音波プローブ2において、1チャンネルの前記超音波振動子2aで受信したエコー信号を複数チャンネルに分岐する分岐信号ライン2bを有する。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが、前記受信部42の複数チャンネルと接続されるようになっている。前記分岐信号ライン2bは、本発明における分岐信号ラインの実施の形態の一例である。
【0050】
本例では、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっているので、前記超音波プローブ2において、各チャンネルは前記分岐信号ライン2bによって3チャンネルに分岐している。そして、前記超音波プローブ2において分岐した各チャンネルは、前記受信部42の各チャンネルと接続されている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42の3チャンネルと接続され、3チャンネルの前記増幅部421及び前記A/D変換部422と接続されている。
【0051】
具体的には、前記超音波プローブ2において、チャンネル1は前記分岐信号ライン2bによってチャンネル1A,1B,1Cに分岐し、チャンネル2は前記分岐信号ライン2bによってチャンネル2A,2B,2Cに分岐し、チャンネルnは前記分岐信号ライン2bによってチャンネルnA,nB,nCに分岐している。そして、前記超音波プローブ2において分岐したチャンネル1A,1B,1C,2A,2B,2C,・・・,nA,nB,nCは、前記受信部42のチャンネル1,2,3,4,5,6,・・・,(m−2),(m−1),mと接続されている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42における3チャンネルと接続されて3チャンネル分の増幅部421及びA/D変換部422と接続されている。
【0052】
ここで、本例においても、特に図示しないが、前記受信部42は、第一実施形態の変形例と同様に、接続された3チャンネルのエコー信号を加算する加算部を、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間に有していてもよい。この場合も、第一実施形態の変形例と同様に、前記受信部42において接続された3チャンネルのうち1チャンネルに前記加算部が設けられ、この加算部425と他の2チャンネルとをスイッチ部を介して接続する。
【0053】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。以下、第一、二実施形態と異なる構成及び作用についてのみ説明する。
【0054】
本例の前記受信部42においては、図10に示すように、前記スイッチ部424(スイッチ部424A,424B)は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間に上記第一実施形態と同様にして設けられている。そして、前記スイッチ部424により、前記受信部42は前記A/D変換部422の後段側において複数チャンネルが接続されるようになっている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42の複数チャンネルと接続されるようになっている。
【0055】
本例においても、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっており、前記受信部42において、前記超音波プローブ2のチャンネル数の2倍のチャンネルが余剰チャンネルになっている。そこで、図10に示すように、前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル(3l−2)側に切り替えることにより、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間の前記受信部42において、隣り合う3チャンネルが接続されている。これにより、1チャンネルの前記超音波振動子2aが、前記受信部42における前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間の3チャンネルと接続される。
【0056】
ちなみに、特に図示しないが、本例においても、前記スイッチ部424Aをチャンネル(3l−1)側、前記スイッチ部424Bをチャンネル3l側に切り替えることにより、前記受信部42において、各チャンネルが互いに独立する。
【0057】
本例においても、前記ビームフォーマー423の入力側において複数チャンネルが接続されているので、第一、二実施形態と同様に、余剰チャンネルを利用して一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成することができる。従って、前記受信部42における余剰チャンネルを有効活用することができる。
【0058】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記スイッチ部424は、マトリックススイッチによって構成されていてもよい。また、本発明における超音波画像表示装置は、医用画像としての超音波画像を表示する超音波診断装置に限られるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1 超音波画像表示装置
2 超音波プローブ
2a 超音波振動子
2b 分岐信号ライン
3 装置本体
42 受信部
421 増幅部
422 A/D変換部
423 ビームフォーマー
424 スイッチ部(接続切替部)
425 加算部
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像を表示する超音波画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像表示装置としては、例えば患者の体内に超音波プローブから超音波を送信してエコー信号を受信し、このエコー信号に基づく超音波画像を表示する超音波診断装置がある。このような超音波診断装置は、超音波の送受信を行なう超音波振動子を複数チャンネル有する超音波プローブと、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対するA/D変換を行なうA/D変換部を有するとともに、各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記超音波プローブは前記受信部が設けられた超音波診断装置本体に着脱自在に取り付けられるようになっており、種々の超音波プローブが接続できるようになっている。従って、接続された超音波プローブの種類によっては、前記受信部のチャンネル数と前記超音波振動子のチャンネル数とが異なる場合があり、前記受信部のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数よりも多い場合、受信部のチャンネルが余ることになる。従って、受信部の余剰チャンネルを有効活用できる超音波画像表示装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対するA/D変換を行うA/D変換部をチャンネル毎に有するとともに、該A/D変換部の後段側に前記各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部と、を備え、1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0006】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、前記増幅部と前記A/D変換部との間において各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0007】
第3の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、前記増幅部の前段部分において前記受信部の各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が、複数チャンネルの前記増幅部及び前記A/D変換部と接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0008】
第4の観点の発明は、第1〜3のいずれか一の観点の発明において、前記受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有することを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0009】
第5の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記超音波プローブにあっては、1チャンネルの前記超音波振動子で受信したエコー信号を複数チャンネルに分岐する分岐信号ラインを有し、各チャンネルの前記分岐信号ラインは前記受信部の各チャンネルと接続されることを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0010】
第6の観点の発明は、第1〜5の観点の発明において、前記受信部は、接続された各チャンネルのエコー信号を加算する加算部を、前記A/D変換部の後段に有することを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0011】
第7の観点の発明は、超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、該超音波プローブが接続される装置本体とを備え、該装置本体には、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部が設けられ、該受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有することを特徴とする超音波画像表示装置である。
【0012】
第8の観点の発明は、第7の観点の発明において、前記受信部は、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対するA/D変換を行なうA/D変換部を前記ビームフォーマーの前段側に有しており、前記接続切替部は、前記A/D変換部と前記ビームフォーマーとの間において前記切替えを行なうことを特徴とする超音波画像表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
上記観点の発明によれば、1チャンネルの超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続されるので、前記1チャンネルの超音波振動子で受信されたエコー信号が複数のA/D変換部でA/D変換される。複数のA/D変換部の出力信号が前記ビームフォーマーで加算されると、A/D変換の際の量子化に伴う誤差が軽減されることになり、前記ビームフォーマーの出力信号のS/Nを向上させることができる。従って、前記受信部における余剰なチャンネルを有効活用することができる。
【0014】
また、他の観点の発明によれば、前記受信部が前記増幅部と前記A/D変換部とを有する場合に、前記増幅部の前段部分において前記受信部の各チャンネルが接続され、1チャンネルの前記超音波振動子が、複数チャンネルの前記増幅部及び前記A/D変換部と接続されることにより、S/Nを向上させることができる。従って、前記受信部における余剰なチャンネルを有効活用することができる。
【0015】
また、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える他の観点の発明によれば、前記受信部のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数と比べて余剰な状態になる超音波プローブが前記装置本体に接続された場合には、1の前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとを前記接続切替部によって接続することにより、前記受信部の余剰なチャンネルを有効活用することができる。一方で、前記受信部のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数と比べて余剰な状態にならない超音波プローブが前記装置本体に接続された場合には、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとを前記接続切替部によって非接続にし、1チャンネル同士の接続とする。このように前記装置本体に接続される超音波プローブのチャンネル数に応じて、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替えることができるので、前記受信部の余剰なチャンネルの有効な活用を実現しつつも、種々の超音波プローブを接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波画像表示装置の実施形態の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波画像表示装置における送受信部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図4】受信部のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波プローブが接続された場合における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図5】並列同時受信を行なう場合のビームフォーマーの構成を示すブロック図である。
【図6】第一実施形態の変形例における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図7】第一実施形態の変形例において、受信部のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波プローブが接続された場合における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図8】第二実施形態における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図9】第二実施形態の変形例における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【図10】第三実施形態における受信部と超音波プローブとを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。図1に示す超音波画像表示装置1は、例えば患者(超音波の送受信対象)に対する超音波の送受信を行なって取得されたエコー信号に基づく超音波画像を表示する超音波診断装置であり、超音波プローブ2とこの超音波プローブ2が接続される装置本体3とを備えている。この装置本体3内には、送受信部4、データ処理部5、表示制御部6、表示部7、操作部8、制御部9を有している。
【0018】
前記超音波プローブ2は、アレイ状に配置された複数の超音波振動子2a(図3参照)を有して構成され、この超音波振動子2aによって被検体に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。前記超音波プローブ2は、前記超音波振動子2aとして、チャンネル1からチャンネルnまでのnチャンネル(nは任意の自然数)の超音波振動子を有している。前記超音波プローブ2は、本発明における超音波プローブの実施の形態の一例である。
【0019】
前記送受信部4は、前記制御部9からの制御信号に基づいて、前記超音波プローブ2による超音波の送受信を、所定の送受信パラメータにより行なわせるものであり、図2に示すように送信部41と受信部42とを有する。前記送信部41は、前記超音波プローブ2を所定の送信パラメータで駆動させ、スキャン面を超音波ビームによって音線順次で走査させる。前記送信部41は前記制御部9からの制御信号によって前記超音波プローブ2を駆動させる。前記受信部42については後述する。
【0020】
前記データ処理部5は、前記受信部42から出力された信号に対し、超音波画像を作成するための所定の処理を行なう。例えば、前記データ処理部5は、前記受信部42から出力された信号に対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等の所定の処理を行ってBモードデータを作成する。前記データ処理部5から出力されたBモードデータなどのデータは前記表示制御部6に入力される。
【0021】
前記表示制御部6は、前記データ処理部5からのデータをスキャンコンバータ(Scan Converter)によって走査変換して画像データを作成し、この画像データに基づく超音波画像を前記表示部7に表示させる。
【0022】
前記表示部7は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などで構成される。前記操作部8は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。
【0023】
前記制御部9は、CPU(CentRal Processing Unit)を有して構成され、前記超音波画像表示装置1の各部における機能を実行させる。
【0024】
さて、前記受信部42について図3に基づいて説明する。前記受信部42は、本発明における受信部の実施の形態の一例であり、エコー信号の信号処理部として増幅部421、A/D変換部422をチャンネル毎に有し、さらにビームフォーマー423を有している。これら増幅部421、A/D変換部422及びビームフォーマー423は、それぞれ本発明における増幅部、A/D変換部及びビームフォーマーの実施の形態の一例である。
【0025】
前記受信部42においては、前記増幅部421において所定のゲインで増幅されたチャンネル毎のエコー信号が前記A/D変換部422でA/D変換される。そして、A/D変換された各チャンネル毎のエコー信号が前記ビームフォーマー423で遅延加算され、RF(radio frequency)信号が作成される。作成されたRF信号は前記データ処理部5へ出力される。
【0026】
前記受信部42は、チャンネル1からチャンネルmまでmチャンネル分の信号処理部を有している。本例では、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっている。すなわち、m=3nになっている。従って、前記受信部42において、前記超音波プローブ2のチャンネル数の2倍のチャンネルが余剰チャンネルになっている。
【0027】
前記受信部42は、この受信部42における各チャンネルの接続と非接続とを切り替えるスイッチ部424を有している。このスイッチ部424は、本発明における接続切替部の実施の形態の一例であり、前記増幅部421と前記A/D変換部422との間に設けられている。そして、スイッチ部424を切り替えることにより、前記受信部42は、前記増幅部421よりも後段側において複数チャンネルの接続と非接続とが切り替わり、複数チャンネルの前記A/D変換部422を接続することができるようになっている。これにより、1チャンネルの前記超音波振動子2aが、前記受信部42において、複数チャンネルの前記A/D変換部422と接続されるようになっている。
【0028】
スイッチ部424は、チャンネル(3l−1)(lは任意の自然数)に設けられたスイッチ部424Aとチャンネル3lに設けられたスイッチ部424Bからなる。前記スイッチ部424Aは、チャンネル(3l−2)側とチャンネル(3l−1)側とに切り替えられるようになっている。また、前記スイッチ部424Bは、チャンネル(3l−2)側とチャンネル3l側とに切り替えられるようになっている。そして、これらスイッチ424A,424Bをチャンネル(3l−2)側に切り替えることにより、前記受信部42において、隣り合う3チャンネル、すなわちチャンネル(3l−2),チャンネル(3l−1),チャンネル3lが前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネルlの超音波振動子2alが、前記受信部42において前記増幅部421よりも後段側のチャンネル(3l−2),チャンネル(3l−1),チャンネル3lと接続される。
【0029】
例えば、チャンネル2,3に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル1側に切り替えることにより、チャンネル1〜3が前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネル1の超音波振動子2a1が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも後段側のチャンネル1〜3と接続される。また、チャンネル5,6に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル4側に切り替えることにより、チャンネル4〜6が前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネル2の超音波振動子2a2が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも後段側のチャンネル4〜6と接続される。さらに、チャンネル(m−1),mに設けられた前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル(m−2)側に切り替えることにより、チャンネル(m−2)〜mが前記増幅部421よりも後段側において接続される。これにより、チャンネルnの超音波振動子2anが、前記受信部42において、前記増幅部421よりも後段側のチャンネル(m−2)〜mと接続される。
【0030】
一方、スイッチ部424Aをチャンネル(3l−1)側、スイッチ部424Bをチャンネル3l側に切り替えることにより、前記受信部42において、各チャンネルが互いに独立する。例えば、図4に示すように、前記受信部42のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波振動子2aを有する超音波プローブ2が前記装置本体3に接続された場合、チャンネル2,3に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをそれぞれチャンネル2,3側に切り替え、チャンネル5,6に設けられた前記スイッチ部424A,424Bをそれぞれチャンネル5,6側に切り替え、チャンネル(m−1),mに設けられた前記スイッチ部424A,424Bをそれぞれチャンネル(m−1),m側に切り替える。これにより、前記受信部42において各チャンネルが互いに独立し、これら独立した各チャンネルにおいて、各チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が、増幅及びA/D変換された後に遅延加算される。このように前記スイッチ部424の切替えにより、前記受信部42のチャンネル数が前記超音波振動子のチャンネル数と比べて余剰な状態にならない超音波プローブ2を前記装置本体3に接続することが可能になるので、前記スイッチ部424の切替えにより、種々の超音波プローブの接続が可能である。
【0031】
本例によれば、1チャンネルの超音波振動子2aが、並列接続された3チャンネル分のA/D変換部422と接続されるので、1チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換される。A/D変換後のエコー信号は、前記ビームフォーマー423において遅延加算され、RF信号が作成される。このRF信号においては、3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換されたエコー信号が加算されているので、A/D変換の際の量子化に伴う誤差が軽減されることになり、S/Nを向上させることができる。
【0032】
一回の送受信で一つの受信ビームを形成する場合、前記ビームフォーマー423において遅延加算する際の遅延量は、並列接続された3チャンネルのA/D変換部422からの各出力信号についてそれぞれ同じ遅延量とする。例えば、チャンネル1〜3における遅延量を互いに同じとし、チャンネル3〜6における遅延量を互いに同じとする。
【0033】
また、一回の送受信で複数の受信ビームを形成し、複数の走査線からのエコー信号を得る並列同時受信を行なう場合は、図5に示すように前記ビームフォーマー423として、第一ビームフォーマー4231、第二ビームフォーマー4232、第三ビームフォーマー4233を有する。そして、前記第一ビームフォーマー4231によって第一受信ビームのRF信号を作成し、前記第二ビームフォーマー4232によって第二受信ビームのRF信号を作成し、さらに前記第三ビームフォーマー4233によって第三受信ビームのRF信号を作成する。この場合には、並列接続された3チャンネルのA/D変換部422からの各出力信号についてそれぞれ遅延量が設定されることになる。例えば、チャンネル1〜3における遅延量は互いに異なる。
【0034】
具体的に説明すると、前記第一ビームフォーマー4231は、チャンネル1、チャンネル4、・・・、チャンネル(m−2)のエコー信号(チャンネル(3n−2)のエコー信号)を遅延加算して第一受信ビームのRF信号を作成する。前記第二ビームフォーマー4232は、チャンネル2、チャンネル5、・・・、チャンネル(m−1)のエコー信号(チャンネル(3n−1)のエコー信号)を遅延加算して第二受信ビームのRF信号を作成する。前記第三ビームフォーマー4233は、チャンネル3、チャンネル6、・・・、チャンネルm)のエコー信号(チャンネル3nのエコー信号)を遅延加算して第三受信ビームのRF信号を作成する。
【0035】
このようにすることで、余剰チャンネルを利用して一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成することができるので、フレームレートを向上させることができる。
【0036】
なお、前記受信部42における余剰チャンネルを利用せずとも一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成するようになっている場合には、余剰チャンネルを利用することによりさらに多くの音線数の受信ビームを形成することができる。例えば、余剰チャンネルを利用しなくても一回の送受信で2音線の受信ビームを形成するようになっている場合、本例のように前記受信部42が前記超音波振動子2aのチャンネル数の3倍の余剰チャンネルを有する場合には、この余剰チャンネルを利用することにより、2×3=6で6音線分の受信ビームを形成することができる。
【0037】
以上説明した本例の超音波画像表示装置1によれば、前記受信部42における余剰チャンネルを利用して、RF信号のS/Nの向上と、フレームレートの向上を図ることができるので、前記受信部42の余剰チャンネルを有効活用することができる。
【0038】
また、前記装置本体3に接続される超音波プローブ2のチャンネル数に応じて、1チャンネルの超音波振動子2aと前記受信部42における複数チャンネルとの接続及び非接続を前記スイッチ部424によって切り替えることができるので、前記受信部42の余剰なチャンネルの有効な活用を実現しつつも、種々の超音波プローブを接続することができる。
【0039】
次に、第一実施形態の変形例について図6に基づいて説明する。この変形例では、前記受信部42は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間において、前記スイッチ部424によって接続された隣り合う3チャンネルのエコー信号を加算する加算部425を有している。この加算部425は、本発明における加算部の実施の形態の一例である。
【0040】
具体的には、前記受信部42において接続された3チャンネルのうち1チャンネルに前記加算部425が設けられ、この加算部425と他の2チャンネルとがスイッチ部426を介して接続されている。前記加算部425は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間に設けられている。そして、前記加算部425は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間において、他の2チャンネルと接続されている。
【0041】
本例では、チャンネル(3l−2)、すなわちチャンネル1,4,・・・,(m−2)に前記加算部425が設けられている。そして、チャンネル1の加算部425には、チャンネル2,3が前記スイッチ部426を介して接続され、チャンネル4の加算部425には、チャンネル5,6が前記スイッチ部426を介して接続され、さらにチャンネル(m−2)の加算部425には、チャンネル(m−1),mが前記スイッチ部426を介して接続されている。
【0042】
本例のように、前記受信部42に余剰チャンネルが生じている場合、前記スイッチ部426をオンにする。これにより、隣り合う3チャンネルにおける前記A/D変換部422の出力信号が前記加算部425で加算される。そして、各加算部425で加算されたエコー信号が前記ビームフォーマー423で遅延加算され、一音線の受信ビームのRF信号が作成される。
【0043】
以上説明した変形例においても、1チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換されているので、上述と同様にRF信号において、A/D変換の際の量子化に伴う誤差が軽減されることになり、S/Nを向上させることができる。
【0044】
ちなみに、図7に示すように、前記受信部42のチャンネル数と同じチャンネル数の超音波振動子2aを有する超音波プローブ2が前記装置本体3に接続された場合、前記スイッチ部426をオフにする。また、前記スイッチ部424Aをチャンネル(3l−1)側に切り替え、前記スイッチ部424Bをチャンネル3l側に切り替える。これにより、前記受信部42において各チャンネルが互いに独立し、これら独立した各チャンネルにおいて、各チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が、増幅及びA/D変換された後に遅延加算される。
【0045】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。以下、第一実施形態と異なる構成及び作用についてのみ説明する。
【0046】
本例の前記受信部42においては、図8に示すように、前記スイッチ部424は、前記増幅部421よりも前段側において、各チャンネル間に設けられている(スイッチ部424−1,424−2,424−3,424−4,424−5,・・・,424−(m−2),424−(m−1))。従って、前記スイッチ部424をオンすることにより、前記受信部42は前記増幅部421よりも前段側において複数チャンネルが接続されて、複数チャンネルの前記増幅部421及び前記A/D変換部422が接続されるようになっている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42の複数チャンネルと接続され、複数チャンネルの前記増幅部421及び前記A/D変換部422と接続されるようになっている。
【0047】
本例においても、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっており、前記受信部42において、前記超音波プローブ2のチャンネル数の2倍のチャンネルが余剰チャンネルになっている。そこで、図8に示すように、前記スイッチ部424により、前記増幅部41よりも前段側の前記受信部42において、第一実施形態と同様に隣り合う3チャンネルが接続されている。例えば、チャンネル1とチャンネル2の間のスイッチ部424−1、チャンネル2とチャンネル3の間のスイッチ部424−2がオンになり、チャンネル1〜3が前記増幅部421よりも前段側において接続される(ちなみに、チャンネル3とチャンネル4の間のスイッチ部4243はオフ)。これにより、チャンネル1の超音波振動子2a1(図8では符号省略)が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも前段側のチャンネル1〜3と接続される。また、チャンネル4とチャンネル5の間のスイッチ部424−4、チャンネル5とチャンネル6の間のスイッチ部424−5がオンになり、チャンネル4〜6が前記増幅部421よりも前段側において接続される。これにより、チャンネル2の超音波振動子2a2(図8では符号省略)が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも前段側のチャンネル4〜6と接続される。さらに、チャンネル(m−2)とチャンネル(m−1)の間のスイッチ部424−(m−2)、チャンネル(m−1)とチャンネルmの間のスイッチ部424−(m−1)がオンになり、チャンネル(m−2)〜mが前記増幅部421よりも前段側において接続される。これにより、チャンネルnの超音波振動子2an(図8では符号省略)が、前記受信部42において、前記増幅部421よりも前段側のチャンネル(m−2)〜mと接続される。
【0048】
本例によれば、1チャンネルの超音波振動子2aが、並列接続された3チャンネル分の増幅部421と接続されているので、1チャンネルの超音波振動子2aで受信されたエコー信号が3チャンネル分の増幅部421で増幅される。これにより、S/Nを向上させることができる。また、第一実施形態と同様に、3チャンネル分のA/D変換部422でA/D変換されたエコー信号が加算されてRF信号が作成されるので、このRF信号においてA/D変換の際の量子化に伴う誤差軽減によるS/Nの向上を図ることができる。さらに、第一実施形態と同様に、余剰チャンネルを利用して一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成することもできる。以上より、前記受信部42における余剰チャンネルを有効活用することができる。
【0049】
次に、第二実施形態の変形例について図9に基づいて説明する。この変形例では、1チャンネルの超音波振動子2aが複数チャンネルの増幅部421及びA/D変換部422と接続されるものの、前記受信部42は前記スイッチ部424を有さない。そして、前記スイッチ部424を有さない代わりに、前記超音波プローブ2において、1チャンネルの前記超音波振動子2aで受信したエコー信号を複数チャンネルに分岐する分岐信号ライン2bを有する。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが、前記受信部42の複数チャンネルと接続されるようになっている。前記分岐信号ライン2bは、本発明における分岐信号ラインの実施の形態の一例である。
【0050】
本例では、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっているので、前記超音波プローブ2において、各チャンネルは前記分岐信号ライン2bによって3チャンネルに分岐している。そして、前記超音波プローブ2において分岐した各チャンネルは、前記受信部42の各チャンネルと接続されている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42の3チャンネルと接続され、3チャンネルの前記増幅部421及び前記A/D変換部422と接続されている。
【0051】
具体的には、前記超音波プローブ2において、チャンネル1は前記分岐信号ライン2bによってチャンネル1A,1B,1Cに分岐し、チャンネル2は前記分岐信号ライン2bによってチャンネル2A,2B,2Cに分岐し、チャンネルnは前記分岐信号ライン2bによってチャンネルnA,nB,nCに分岐している。そして、前記超音波プローブ2において分岐したチャンネル1A,1B,1C,2A,2B,2C,・・・,nA,nB,nCは、前記受信部42のチャンネル1,2,3,4,5,6,・・・,(m−2),(m−1),mと接続されている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42における3チャンネルと接続されて3チャンネル分の増幅部421及びA/D変換部422と接続されている。
【0052】
ここで、本例においても、特に図示しないが、前記受信部42は、第一実施形態の変形例と同様に、接続された3チャンネルのエコー信号を加算する加算部を、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間に有していてもよい。この場合も、第一実施形態の変形例と同様に、前記受信部42において接続された3チャンネルのうち1チャンネルに前記加算部が設けられ、この加算部425と他の2チャンネルとをスイッチ部を介して接続する。
【0053】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。以下、第一、二実施形態と異なる構成及び作用についてのみ説明する。
【0054】
本例の前記受信部42においては、図10に示すように、前記スイッチ部424(スイッチ部424A,424B)は、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間に上記第一実施形態と同様にして設けられている。そして、前記スイッチ部424により、前記受信部42は前記A/D変換部422の後段側において複数チャンネルが接続されるようになっている。これにより、1チャンネルの超音波振動子2aが前記受信部42の複数チャンネルと接続されるようになっている。
【0055】
本例においても、前記受信部42のチャンネル数mは、前記装置本体3に接続された超音波プローブ2のチャンネル数nの3倍になっており、前記受信部42において、前記超音波プローブ2のチャンネル数の2倍のチャンネルが余剰チャンネルになっている。そこで、図10に示すように、前記スイッチ部424A,424Bをチャンネル(3l−2)側に切り替えることにより、前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間の前記受信部42において、隣り合う3チャンネルが接続されている。これにより、1チャンネルの前記超音波振動子2aが、前記受信部42における前記A/D変換部422と前記ビームフォーマー423の間の3チャンネルと接続される。
【0056】
ちなみに、特に図示しないが、本例においても、前記スイッチ部424Aをチャンネル(3l−1)側、前記スイッチ部424Bをチャンネル3l側に切り替えることにより、前記受信部42において、各チャンネルが互いに独立する。
【0057】
本例においても、前記ビームフォーマー423の入力側において複数チャンネルが接続されているので、第一、二実施形態と同様に、余剰チャンネルを利用して一回の送受信で複数音線の受信ビームを形成することができる。従って、前記受信部42における余剰チャンネルを有効活用することができる。
【0058】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記スイッチ部424は、マトリックススイッチによって構成されていてもよい。また、本発明における超音波画像表示装置は、医用画像としての超音波画像を表示する超音波診断装置に限られるものではない。
【符号の説明】
【0059】
1 超音波画像表示装置
2 超音波プローブ
2a 超音波振動子
2b 分岐信号ライン
3 装置本体
42 受信部
421 増幅部
422 A/D変換部
423 ビームフォーマー
424 スイッチ部(接続切替部)
425 加算部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子で受信したエコー信号に対するA/D変換を行うA/D変換部をチャンネル毎に有するとともに、該A/D変換部の後段側に前記各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部と、を備え、
1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続される
ことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、
前記増幅部と前記A/D変換部との間において各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像表示装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、
前記増幅部の前段部分において前記受信部の各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が、複数チャンネルの前記増幅部及び前記A/D変換部と接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像表示装置。
【請求項4】
前記受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波画像表示装置。
【請求項5】
前記超音波プローブにあっては、1チャンネルの前記超音波振動子で受信したエコー信号を複数チャンネルに分岐する分岐信号ラインを有し、各チャンネルの前記分岐信号ラインは前記受信部の各チャンネルと接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像表示装置。
【請求項6】
前記受信部は、接続された各チャンネルのエコー信号を加算する加算部を、前記A/D変換部の後段に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波画像表示装置。
【請求項7】
超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、
該超音波プローブが接続される装置本体とを備え、
該装置本体には、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部が設けられ、該受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有する
ことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対するA/D変換を行なうA/D変換部を前記ビームフォーマーの前段側に有しており、
前記接続切替部は、前記A/D変換部と前記ビームフォーマーとの間において前記切替えを行なう
ことを特徴とする請求項7に記載の超音波画像表示装置。
【請求項1】
超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子で受信したエコー信号に対するA/D変換を行うA/D変換部をチャンネル毎に有するとともに、該A/D変換部の後段側に前記各チャンネルのエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部と、を備え、
1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続される
ことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、
前記増幅部と前記A/D変換部との間において各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が複数チャンネルの前記A/D変換部と接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像表示装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記超音波振動子で受信したエコー信号に対する増幅を行なう増幅部を前記A/D変換部の前段にチャンネル毎に有し、
前記増幅部の前段部分において前記受信部の各チャンネルが接続されることにより、1チャンネルの前記超音波振動子が、複数チャンネルの前記増幅部及び前記A/D変換部と接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像表示装置。
【請求項4】
前記受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波画像表示装置。
【請求項5】
前記超音波プローブにあっては、1チャンネルの前記超音波振動子で受信したエコー信号を複数チャンネルに分岐する分岐信号ラインを有し、各チャンネルの前記分岐信号ラインは前記受信部の各チャンネルと接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像表示装置。
【請求項6】
前記受信部は、接続された各チャンネルのエコー信号を加算する加算部を、前記A/D変換部の後段に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波画像表示装置。
【請求項7】
超音波の送信を行なってエコー信号を受信する複数チャンネルの超音波振動子を有する超音波プローブと、
該超音波プローブが接続される装置本体とを備え、
該装置本体には、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対する遅延加算を行なうビームフォーマーを有する受信部が設けられ、該受信部は、1チャンネルの前記超音波振動子と前記受信部における複数チャンネルとの接続及び非接続を切り替える接続切替部を有する
ことを特徴とする超音波画像表示装置。
【請求項8】
前記受信部は、前記超音波振動子で受信したチャンネル毎のエコー信号に対するA/D変換を行なうA/D変換部を前記ビームフォーマーの前段側に有しており、
前記接続切替部は、前記A/D変換部と前記ビームフォーマーとの間において前記切替えを行なう
ことを特徴とする請求項7に記載の超音波画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−50468(P2012−50468A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193004(P2010−193004)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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