説明

超音波美容器

【課題】ヘッド部を超音波振動を発生させて、その超音波振動で肌面をトリートメントするようにした超音波美容器において、簡単な構成の付加でマイナスイオン放出機能や遠赤外線放出機能を付与し得るようにすること。
【解決手段】美容器本体1のヘッド部2を超音波振動子5により超音波振動させるようにした超音波美容器において、ヘッド部2の外面にマイナスイオン放出物質6や遠赤外線放出物質7を付着させていることにより、本来の超音波振動(超音波マッサージ)による美容とともに、マイナスイオン放出や遠赤外線放出による美容を同時に行えるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、超音波振動させたヘッド部を肌面に接触させることによって肌の美容を行えるようにした超音波美容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の超音波美容器は、肌面に接触させるヘッド部内に超音波振動子を設け、該超音波振動子を超音波発生器で励振させることによってヘッド部を超音波振動させるようにしたものである。そして、この超音波美容器は、ヘッド部を超音波振動させながら該ヘッド部をトリートメント肌面(フェイスやボディの肌面)に接触させることで、肌に対するマッサージ効果を付与するものである。
【0003】
ところで、肌の美容方法として、上記したような肌に対する超音波マッサージのほかに、肌にマイナスイオンを接触させたり、肌に遠赤外線を照射させたりすることが有効であることが知られている。
【0004】
即ち、マイナスイオンを肌に接触させると、肌面の汚れ成分(プラスイオン性状)を電気的に中和させて肌面を清浄化したり、汚れの原因となる雑菌の増殖を抑制したり、肌細胞を活性化させる等の美容効果がある。他方、遠赤外線を肌に照射すると、その温熱が肌内に浸透して、血液の循環を促進させたり、汗腺から老廃物の排出を促進させる等の美容効果がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の超音波美容器では、ヘッド部の超音波振動により肌に対して超音波マッサージを行えるものの、該超音波マッサージによる美容効果しか得られないものであった。
【0006】
尚、上記のように、マイナスイオンを肌に接触させたり、遠赤外線を肌に照射したりすると肌の美容に効果があることが知られているが、超音波美容器においてマイナスイオンや遠赤外線を放出させるには、それぞれの装置(マイナスイオン発生装置、遠赤外線発生装置)を美容器本体に組み込むことが必要となって、構造が複雑になるとともに製作コストが高くなるという問題があった。
【0007】
そこで、本願発明は、汎用の超音波美容器に対して非常に簡単な構成を付加するだけで、超音波振動による本来のマッサージ機能とともに、マイナスイオン放出機能や遠赤外線放出機能を付与し得るようにした超音波美容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0009】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明は、美容器本体のヘッド部を超音波振動子により超音波振動させるようにした超音波美容器において、ヘッド部の外面にマイナスイオン放出物質を付着させていることを特徴としている。
【0010】
美容器本体のヘッド部には、一般に金属薄板製で所定面積を有するヘッド板が設けられている。
【0011】
そして、この本願の超音波美容器では、ヘッド板の内面に超音波振動子を取付けているとともに、該超音波振動子を超音波発生器で励振させることによってヘッド部を超音波振動させ得るようになっている。尚、この種の超音波美容器では、超音波振動子で発生させる超音波は0.5MHz〜7MHz程度の範囲ものが多い。
【0012】
本願請求項1で使用するマイナスイオン放出物質は、自らマイナスイオンを放出し得る性状のものである。このマイナスイオン放出物質の代表例としてはトルマリン鉱石があるが、そのほかの鉱石あるいは炭やコークス等の炭素物質にもマイナスイオンを放出するものがあり、本願請求項1の超音波美容器では、これらのマイナスイオン放出物質の1種又は複数種を選択して使用することができる。又、このマイナスイオン放出物質は、粉末にしたものを薄板状に成形(例えばセラミックス化)したものや、粉末を溶かして塗料化したもの等の形態で使用できる。尚、この請求項1で使用できるマイナスイオン放出物質の多くは、後述(請求項2)のように加温することによって遠赤外線放出機能を有しているが、この請求項1で使用されるマイナスイオン放出物質は、遠赤外線放出機能のないものでもよい。
【0013】
そして、このマイナスイオン放出物質は、ヘッド部(ヘッド板)の外面(全面又はほぼ全面)に付着させているが、薄板状に成形したものではヘッド板外面に接着剤で接着させ、塗料化したものではヘッド板外面に塗工により付着させることができる。
【0014】
本願請求項1の超音波美容器を使用するには、超音波振動子によりヘッド部を超音波振動させながら該ヘッド部の外面をトリートメント肌面に接触させるが、そのときヘッド部からの超音波振動で肌を超音波マッサージする一方、ヘッド部外面のマイナスイオン放出物質からマイナスイオンが放出されるようになる。
【0015】
ところで、マイナスイオン放出物質(例えばトルマリン)は、振動を与えるとマイナスイオン放出量が多くなる性質を有しており、本願の超音波美容器では、ヘッド部とともにその外面のマイナスイオン放出物質も超音波振動することにより、該マイナスイオン放出物質からのマイナスイオン放出量も多くなる。
【0016】
又、マイナスイオン放出物質は、トリートメント肌面に接触した状態で使用されるので、該マイナスイオン放出物質から放出されたマイナスイオンはトリートメント肌面に効率よく浸透していく。
【0017】
従って、この請求項1の超音波美容器では、ヘッド部の超音波振動による超音波マッサージと、マイナスイオン放出物質からのマイナスイオン放出とにより、トリートメント肌面への美容効率を良好にし得るという機能がある。
【0018】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、美容器本体のヘッド部を超音波振動子により超音波振動させるようにした超音波美容器において、ヘッド部の外面に遠赤外線放出物質を付着させていることを特徴としている。尚、この請求項2の超音波美容器は、上記請求項1におけるマイナスイオン放出物質を遠赤外線放出物質に置き換えたものである。
【0019】
ところで、この種の超音波美容器に使用されている超音波振動子は、通電することにより発熱する性質を有しており、使用中は(超音波振動子に通電している状態では)、該超音波振動子で発生した熱がヘッド部(ヘッド板)に伝達されるようになる。尚、超音波美容器の使用中には、超音波振動子が温度50〜60℃程度まで上昇するが、該超音波振動子からの熱でヘッド部(ヘッド板)が40〜50℃程度まで加温されるようになる。
【0020】
この請求項2で使用する遠赤外線放出物質は、加温することによって遠赤外線を放出し得る性状のものである。この遠赤外線放出物質の代表例としては炭やコークス等の炭素物質があるが、そのほかに遠赤外線を放出する鉱石もあり、本願請求項2の超音波美容器では、これらの遠赤外線放出物質の1種又は複数種を選択して使用することができる。又、この遠赤外線放出物質は、上記請求項1のマイナスイオン放出物質と同様に、粉末にしたものを薄板状に成形(例えばセラミックス化)したものや、粉末を溶かして塗料化したもの等の形態で使用できる。尚、この請求項2で使用できる遠赤外線放出物質の多くは、前述の請求項1のように超音波振動させることによってマイナスイオン放出機能を有しているが、この請求項2で使用される遠赤外線放出物質は、マイナスイオン放出機能のないものでもよい。
【0021】
そして、この遠赤外線放出物質は、上記請求項1の場合と同様に、ヘッド部(ヘッド板)の外面(全面又はほぼ全面)に付着させているが、薄板状に成形したものではヘッド板外面に接着剤で接着させ、塗料化したものではヘッド板外面に塗工により付着させることができる。
【0022】
本願請求項2の超音波美容器を使用するには、超音波振動子によりヘッド部を超音波振動させながら該ヘッド部の外面をトリートメント肌面に接触させるが、そのときヘッド部からの超音波振動で肌を超音波マッサージする一方、遠赤外線放出物質から遠赤外線が放出されるようになる。即ち、超音波振動子が超音波振動すると、該超音波振動子が発熱して(50〜60℃程度まで上昇する)、その熱でヘッド部(ヘッド板)を介してその外面の遠赤外線放出物質を加温するが、遠赤外線放出物質は加温されることにより遠赤外線放出量が多くなる性質がある。
【0023】
そして、この請求項2の超音波美容器では、ヘッド部外面の遠赤外線放出物質がトリートメント肌面に接触した状態で使用されるので、該遠赤外線放出物質から放出された遠赤外線はトリートメント肌面に効率よく浸透していく。
【0024】
従って、この請求項2の超音波美容器では、ヘッド部の超音波振動による超音波マッサージと、遠赤外線放出物質からの遠赤外線放出とにより、トリートメント肌面への美容効率を良好にし得るという機能がある。
【発明の効果】
【0025】
本願請求項1の超音波美容器では、ヘッド部の外面にマイナスイオン放出物質を付着させているので、トリートメント肌面に対して、ヘッド部の超音波振動(超音波マッサージ)による本来の美容と、マイナスイオン放出物質からのマイナスイオン(肌の清浄化等に効果がある)による美容とが同時に行える(付加価値を付与できる)という効果がある。
【0026】
又、マイナスイオン放出物質自体は安価なものであるとともに、該マイナスイオン放出物質はヘッド部の外面に付着させたものであるから、安価に且つ簡単な構成でマイナスイオン放出機能を付与できるという効果もある。
【0027】
本願請求項2の超音波美容器では、ヘッド部の外面に遠赤外線放出物質を付着させているので、トリートメント肌面に対して、ヘッド部の超音波振動(超音波マッサージ)による本来の美容と、遠赤外線放出物質からの遠赤外線(温熱効果)による美容とが同時に行える(付加価値を付与できる)という効果がある。
【0028】
又、遠赤外線放出物質自体は安価なものであるとともに、該遠赤外線放出物質はヘッド部の外面に付着させたものであるから、安価に且つ簡単な構成で遠赤外線放出機能を付与できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願実施例の超音波美容器であって、その一部を断面とした側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[実施例]
図1を参照して本願実施例の超音波美容器を説明する。
【0031】
図1の超音波美容器は、ハンディタイプ式のもので、把持部3の先側にヘッド部2を設けて美容器本体1を構成している。
【0032】
美容器本体1の大部分は、合成樹脂製のケース体11で構成されている。ケース体11
の先側の一面にはかなり大きな円形の開口が形成されており、該開口にヘッド部2となる金属薄板製のヘッド板21が取付けらけている。尚、該ヘッド板21には、ステンレスやチタン等の金属が多用されている。
【0033】
ヘッド板21の内面には、板状の超音波振動子5が固着されている。この超音波振動子5は、圧電体(圧電セラミックス)の表裏各面に薄板状(膜状)の電極を設けたもので、両電極間に電流を流すことによって圧電体が超音波振動するものである。尚、この超音波振動子5は圧電体部分に電気抵抗がって、通電状態では該圧電体部分が発熱する性質を有している。
【0034】
この超音波振動子5は、超音波発生器4により励振せしめられる。この実施例では、超音波発生器4は美容器本体1のケース体11内に組み込んでいるが、該超音波発生器4を美容器本体1の外部に設けたものでもよい。
【0035】
尚、ケース体11の外面には、各種のスイッチ類が設けられているが、各スイッチ類の図示は省略している。
【0036】
この実施例の超音波美容器は、超音波発生器4を介して超音波振動子5に通電すると、超音波振動子5が励振されてヘッド部2(ヘッド板21)を超音波振動させるようになっている。
【0037】
ところで、この種の超音波美容器は数分間連続して使用されるが、そのとき超音波振動子5が発熱してその熱がヘッド部(ヘッド板)に伝達されるようになる。尚、連続使用中には超音波振動子が温度50〜60℃程度まで上昇するが、該超音波振動子からの熱でヘッド部(ヘッド板)が40〜50℃程度まで加温されるようになる。
【0038】
ヘッド部2(ヘッド板21)の外面には、マイナスイオン放出物質6又は(及び)遠赤外線放出物質7を付着させている。
【0039】
本願で使用するマイナスイオン放出物質6としては、自らマイナスイオンを放出し得る性状のものであればよい。このマイナスイオン放出物質6の代表例としてはトルマリン鉱石があるが、そのほかの鉱石あるいは炭やコークス等の炭素物質にもマイナスイオンを放出するものがあり、本願実施例では、これらのマイナスイオン放出物質の1種又は複数種を選択して使用することができる。
【0040】
他方、本願で使用する遠赤外線放出物質6としては、加温することによって遠赤外線を放出し得る性状のものである。この遠赤外線放出物質の代表例としては炭やコークス等の炭素物質があるが、そのほかに遠赤外線を放出する鉱石もあり、本願実施例では、これらの遠赤外線放出物質の1種又は複数種を選択して使用することができる。
【0041】
上記のマイナスイオン放出物質6や遠赤外線放出物質7は、粉末にしたものを薄板状に成形(例えばセラミックス化)したものや、粉末を溶かして塗料化したもの等の形態で使用できる。そして、これらのマイナスイオン放出物質6や遠赤外線放出物質7は、薄板状に成形したものではヘッド板21外面に接着剤で接着させ、塗料化したものではヘッド板21外面に塗工により付着させることができる。
【0042】
尚、本願では、マイナスイオン放出又は遠赤外線放出のいずれか一方の機能しか有しない物質をそれぞれ使用することも可能であるが、単一の物質でマイナスイオン放出と遠赤外線放出の両機能を有したものを使用することができる。又、マイナスイオン放出特性の強い物質(例えばトルマリン)と遠赤外線放出特性の強い物質(例えば炭素物質)の両方を混合したものを使用してもよい(この場合も単一の放出物質でマイナスイオン放出と遠赤外線放出の両機能を達成できる)。そして、以下の説明では、超音波美容器として、マイナスイオン放出物質6によるマイナスイオン放出機能と遠赤外線放出物質7による遠赤外線放出機能の両方を兼備したもので説明する。
【0043】
この実施例(図1)の超音波美容器を使用するには、超音波振動子5に通電して、ヘッド部2を超音波振動させながら該ヘッド部2(ヘッド板21)の外面をトリートメント肌面に接触させるが、そのときヘッド部2からの超音波振動で肌を超音波マッサージするようになる(超音波によるマッサージ効果が発生する)。
【0044】
ところで、マイナスイオン放出物質(例えばトルマリン)6は、振動を与えるとマイナスイオン放出量が多くなる性質を有しており、ヘッド部2が超音波振動するとその外面のマイナスイオン放出物質6も超音波振動することにより、該マイナスイオン放出物質6からのマイナスイオン放出量も多くなる。
【0045】
又、マイナスイオン放出物質6は、トリートメント肌面に接触した状態で使用されるので、該マイナスイオン放出物質6から放出されたマイナスイオンはトリートメント肌面に効率よく浸透していく。
【0046】
他方、超音波振動子5に通電していると、該超音波振動子5が発熱してヘッド部(ヘッド板21)が加熱され、その熱でヘッド部外面の遠赤外線放出物質7が加温されるが、このように遠赤外線放出物質7が加温されると、該遠赤外線放出物質7からの遠赤外線放出量が多くなる。
【0047】
又、この遠赤外線放出物質7も、トリートメント肌面に接触した状態で使用されるので、該遠赤外線放出物質7から放出された遠赤外線はトリートメント肌面に効率よく浸透していく。
【0048】
従って、この実施例の超音波美容器では、ヘッド部2の超音波振動による超音波マッサージと、マイナスイオン放出物質6からのマイナスイオン放出と、遠赤外線放出物質7からの遠赤外線放出との相乗効果により、トリートメント肌面への美容効率を良好にし得るという機能がある。
【0049】
又、マイナスイオン放出物質6自体及び遠赤外線放出物質7自体は、それぞれ安価なものであるとともに、該両物質6,7はヘッド部2の外面に付着させたものであるから、安価に且つ簡単な構成でマイナスイオン放出機能と遠赤外線放出機能を付与できる。
【符号の説明】
【0050】
1は美容器本体、2はヘッド部、4は超音波発生器、5は超音波振動子、6はマイナスイオン放出物質、7は遠赤外線放出物質、21はヘッド板である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容器本体(1)のヘッド部(2)を超音波振動子(5)により超音波振動させるようにした超音波美容器であって、
前記ヘッド部(2)の外面にマイナスイオン放出物質(6)を付着させていることを特徴とする超音波美容器。
【請求項2】
美容器本体(1)のヘッド部(2)を超音波振動子(5)により超音波振動させるようにした超音波美容器であって、
前記ヘッド部(2)の外面に遠赤外線放出物質(7)を付着させていることを特徴とする超音波美容器。

【図1】
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