説明

超音波診断装置

【課題】大幅なコストの増大を招くことなくエコー信号の飽和を効果的に防止することのできる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】駆動パルスの入力に応じて超音波を発すると共に、被検体内で反射した超音波を受けてエコー信号を出力する超音波振動子と、超音波振動子に駆動パルスを印加するパルス印加手段12と、超音波振動子から出力されるエコー信号を増幅する増幅手段14と、超音波振動子と増幅手段14との間に挿入されたダイオードブリッジ並びにダイオードブリッジに順方向のバイアス電流を与えるバイアス供給手段を有し駆動パルスの増幅手段14への回り込みを防止する入力保護手段13と、駆動パルスの印加直後はバイアス電流が小さく、その後時間の経過に従ってバイアス電流が徐々に大きくなるようにバイアス供給手段を制御する制御手段20とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の超音波診断装置は、被検者の体表に当接させた超音波プローブから超音波を体内に送信すると共に、体内の音響インピーダンスの相違する各部位で反射された超音波信号を受信し、その信号を基に体内の情報を示す超音波画像を生成する装置であり、その高い安全性から種々の診断に利用されている。
【0003】
図7に従来の超音波診断装置の概略構成を示す。超音波診断装置は超音波プローブ61、パルス発生部62、入力保護部63、増幅部64、信号処理部65、表示処理部66、モニタ67、及び前記各部を制御する主制御部68と主制御部68に操作者の指示を入力するための操作部69を備えている。パルス発生部62で発生させた高圧パルスが超音波プローブ61に入力されると、プローブ61に内蔵された超音波振動子が該パルスに応じた超音波を発生し、その後、体内で反射してきた超音波を受波して電気信号に変換する。これにより超音波振動子で発生した電気信号(以下、エコー信号と呼ぶ)は入力保護部63を介して増幅部64に入力され、所定の増幅率で増幅された後、信号処理部65及び表示処理部66で所定の処理を施され、これにより生成された超音波画像がモニタ67に表示される。
【0004】
一般に超音波振動子から出力されるエコー信号のダイナミックレンジは非常に広いため、これを増幅部64で飽和させずに増幅するために種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、超音波振動子と初段増幅器の間に可変減衰回路を設け、超音波送波時から時間の経過に従って可変減衰回路における減衰率を制御することにより初段増幅器の入力信号レベルを略一定に保つことが記載されている。また、特許文献2には、初段増幅器の後段に設けられた可変増幅器の増幅率を時間的に変化させることによりエコー信号を飽和させることなく増幅するものが記載されている。また更に、被検体へ送信する超音波の音響パワーを低いレベルに抑えることでエコー信号のレベルを抑えて増幅時の信号の飽和を防止することも従来行われている。
【0005】
【特許文献1】特開平6-334464号公報
【特許文献2】特開平11-76232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、各受信チャンネル毎に減衰回路を設ける必要があるため、部品点数が増えて製造コストが増大するという問題がある。また、特許文献2に記載の方法では、可変増幅器におけるエコー信号の飽和を防ぐことはできるものの、初段増幅器での飽和には対応できない。また更に、前記のように送信超音波の音響パワーを抑えた場合には、体内への超音波の透過率が低下し、深部領域の観察が困難になるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大幅なコストの増大を招くことなく増幅時のエコー信号の飽和を効果的に防止することのできる超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る超音波診断装置は、
a) 駆動パルスの入力に応じて超音波を発すると共に、被検体内で反射した超音波を受けてエコー信号を出力する超音波振動子と、
b) 前記超音波振動子に駆動パルスを印加するパルス印加手段と、
c) 前記超音波振動子から出力されるエコー信号を増幅する増幅手段と、
d) 前記超音波振動子と増幅手段との間に挿入された複数のダイオード及び該ダイオードに順方向のバイアス電流を与えるバイアス供給手段を有し、前記増幅手段への前記駆動パルスの回り込みを防止する入力保護手段と、
e) 前記駆動パルスの印加直後は前記バイアス電流が小さく、その後所定の時間に亘ってバイアス電流が徐々に大きくなるように前記バイアス供給手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴としている。
【0009】
上述の通り、一般に超音波診断装置には増幅部の前段に入力保護部が設けられている。これは、パルス発生部で発生した高圧の駆動パルスが増幅部へ回り込むのを防止するためのものであり、このような入力保護部には複数のダイオードを備えた保護回路、特にダイオードブリッジを備えた保護回路が広く用いられている。こうした従来の超音波診断装置では、入力保護部のダイオードに常時一定のバイアス電流が供給されており、該バイアス電流以上のレベルの信号(例えば駆動パルス)の通過を阻止するようになっている。
【0010】
本発明はこのような保護回路に、エコー信号をその反射深度に応じた減衰率で減衰させるための可変減衰回路としての機能を付加したものである。すなわち、エコー信号のような小信号が通過する際のダイオードの抵抗(以下、これを小信号抵抗と呼ぶ)は、ダイオードに流れる電流に依存する(詳細は後述する)。そのため、前記保護回路のダイオードに供給するバイアス電流の大きさを時間的に変化させれば、エコー信号が該ダイオードを通過する際の減衰率を変化させることができる。従って、上記のように駆動パルスの印加直後は前記バイアス電流が小さく、その後時間の経過に従ってバイアス電流が徐々に大きくなるように前記バイアス供給手段を制御することにより、反射深度の違いによるエコー信号レベルの差を低減し、増幅時における信号の飽和を防止することができる。
【0011】
なお、本発明における入力保護手段としては従来の超音波診断装置と同様の保護回路を利用することができ、更にバイアス電流を制御するための制御手段は少ない部品点数で構成できる。そのため、本発明に係る超音波診断装置は比較的安価に実現することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
以上説明した通り、本発明に係る超音波診断装置によれば、大幅な製造コストの増大を招くことなくエコー信号の飽和を効果的に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例による超音波診断装置について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施例に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【0014】
超音波プローブ11は、被検者の身体に当接させて超音波の送受を行うものであり、アレイ状に配列された多数の超音波振動子を内蔵している。パルス発生部12は高圧(例えば100V)の駆動パルスを生成してプローブ11内の複数の超音波振動子へ供給し、該駆動パルスが超音波振動子によって超音波に変換されて被検者の体内へ送波される。体内で反射された超音波は複数の超音波振動子にて受波されて電気信号(以下、エコー信号と呼ぶ)に変換され、入力保護部13を介して増幅部14へ入力される。増幅部14によって増幅されたエコー信号は、信号処理部15へと送られ、そこで所定の処理が行われることによって超音波画像が構成される。取得された超音波画像データは表示処理部16に入力され、モニタ17の画面上に表示可能な形式に変換される。なお、バイアス制御部20は、入力保護部13に設けられた電流源によるバイアス電流を制御するものである(詳細は後述する)。
【0015】
上記各部の動作はCPU等を含む主制御部18によって制御され、さらに主制御部18に対してはキーボードや各種操作ボタン、トラックボールなどを備えた操作部19によって操作者の指示が入力される。
【0016】
以下、本実施例の超音波診断装置における入力保護部13の詳細について説明する。図2は入力保護部13に設けられた保護回路を表す図である。なお入力保護部13には、このような保護回路が初段アンプ51の数だけ設けられているが、ここでは簡略化のためその内の1つのみを示している。
【0017】
保護回路は4つのダイオードD1〜D4から成るダイオードブリッジとダイオードD5、D6から成るリミッタを有している。ダイオードブリッジは、極性を同じくして直列に接続された2つのダイオードD1、D2と、同様に接続された2つのダイオードD3、D4とを並列に接続した構成となっている。ここで、ダイオードD1とダイオードD2の接続点を信号入力点P1、ダイオードD3とダイオードD4の接続点を信号出力点P4、ダイオードD1とダイオードD3の接続点をアノード共通点P2、ダイオードD2とダイオードD4の接続点をカソード共通点P3と呼ぶ。
【0018】
前記ダイオードブリッジは増幅部14に設けられた初段アンプ51と超音波振動子31との間に介挿されており、信号入力点P1は超音波振動子31に接続され、信号出力点P4は初段アンプ51に接続されている。更に、アノード共通点P2には電源+V(例えば+5V)に接続された第一電流源41が、カソード共通点P3には電源−V(例えば−5V)に接続された第二電流源42がそれぞれ接続されている。これらの電流源41、42によって各ダイオードD1〜D4に順方向のバイアス電流が供給され、P1及びP4の電位は、+Vと−Vの中間電位、すなわち、0Vとなる。なお、詳細は後述するが、このバイアス電流の大きさはバイアス制御部20によって第一電流源41及び第二電流源42を制御することで可変となっている。
【0019】
本実施例に係る超音波診断装置において、入力保護部13は駆動パルスから初段アンプ51を保護するという従来同様の役割に加えて、超音波振動子31から入力されるエコー信号をその反射深度に応じた減衰率で減衰させる可変減衰回路としての役割を果たすものとなっている。ここでは、まず入力保護部13による初段アンプ51の保護機能について説明する。
【0020】
超音波を送波する際には、パルス発生部12で駆動パルスが発生してプローブ11内の超音波振動子31に入力されるが、この駆動パルスは同時に初段アンプ51側へも流れようとする。このとき、該駆動パルスは、信号入力点P1からダイオードブリッジに入力され、該駆動パルスが正のパルスであった場合には、過渡的にP4の電位が上昇するが、ダイオードD5がONとなるため、P4の電位が決定して、ダイオードD1及びダイオードD4が逆バイアスでOFFとなる。一方、該駆動パルスが負のパルスであった場合には、同様にD6がONとなり、P4の電位が決定して、ダイオードD2及びダイオードD3が逆バイアスでOFFとなる。そのため、いずれの場合も駆動パルスはダイオードブリッジを通過することはない。これにより高圧の駆動パルスから初段アンプ51を保護することができる。
【0021】
一方、体内で反射した超音波に応じて超音波振動子31から出力されるエコー信号は、上述のバイアス電流よりも微弱であるためダイオードブリッジを通過することができ、初段アンプ51に入力される。この原理について以下に説明する。
【0022】
エコー信号がないときのダイオードブリッジの各ダイオードのアノード、カソード間電圧をVds、電流をIdsとし、信号入力点P1から入力されるエコー信号の電圧をVecho、電流をIechoとする。一般に、VechoはVdsに比べて十分に小さく、同様にIechoはIdsに比べて十分に小さくなっている(すなわちVecho≪Vds、Iecho≪Idsである)。
このとき、ダイオードブリッジに流れる電圧と電流の関係は以下の式で表すことができる。
Ids+Iecho=Is・[exp(q(Vds+Vecho)/(kT))] …(1)
ここで、Isは各ダイオードにおける飽和電流、kはボルツマン定数、qは電子の有する電荷、Tは絶対温度である。
【0023】
式(1)の右辺を整理すると、以下のようになる。
Ids+Iecho=Is・[exp(q・Vds/(kT))・exp(q・Vecho/(kT))] …(2)
【0024】
ここでVechoは、Vdsと比較して十分に小さな値であるので、e≒(1+X)、X≪1を用いて以下の式(3)のように近似できる(換言すると、以下の式(3)のような関係が成立するのは、Vecho≪Vdsのときに限られる)。
Ids+Iecho≒Is・[exp(q・Vds/(kT))・(1+(q・Vecho/(kT)))] …(3)
【0025】
式(3)の右辺を整理すると、以下のようになる。
Ids+Iecho≒Is・[exp(q・Vds/(kT))]+Is・[exp(q・Vds/(kT))]・(q・Vecho/(kT))] …(4)
【0026】
Ids=Is・[exp(q・Vds/(kT))]であるから、式(4)は、以下のように変形できる。
Iecho=Ids・(q・Vecho/(kT)) …(5)
【0027】
式(5)をVechoについて解くと、Vecho=Iecho(kT/(q・Ids))となる。このことは、エコー信号にとって入力保護部13のダイオードブリッジは、抵抗値R=kT/(q・Ids)を有する4つの抵抗を備えた図3に示すような回路と等価であることを意味している。
ここで、ダイオードブリッジ全体の抵抗値をXとすると、
1/(2R)+1/(2R)=1/X …(6)
となり、これを解くとX=Rとなる。
つまり、信号入力点P1から入力されたエコー信号は、抵抗値R=kT/(q・Ids)に応じた分だけの電圧が降下して(即ち減衰されて)、信号出力点P4に到達することになる。なお、エコー信号のような小信号は、P4の電位が0Vであるため、ダイオードD5、D6をONすることができず、これらはオープン状態とみなすことができる。
【0028】
ちなみに、上述の駆動パルスの電圧は、例えば100V程度であり、Vdsは、例えば0.6V程度である。従って、駆動パルスの電圧はVdsよりも大きな値となっており、信号入力点P1に入力された駆動パルスに由来する電流については、上記の式(3)が成立しないこととなる。したがって、駆動パルスにとっては、ダイオードブリッジは上記のような抵抗と見なすことができない。つまり、高電圧の駆動パルスは、第一電流源41又は第二電流源42に向かって流れるのみであって、上記のエコー信号のように信号出力点P4に到達して初段アンプ51に入力されることはない。
【0029】
以上から明らかなように、エコー信号のような小信号の入力時におけるダイオードの抵抗(以下、これを小信号抵抗と呼ぶ)はダイオードに流れる電流Idsに反比例した値を持つ。従来の超音波診断装置では、ダイオードD1〜D4に供給されるバイアス電流の値が一定とされていたため、上述の小信号抵抗kT/(q・Ids)も略一定となっていた。そのため、ダイオードブリッジを通過して初段アンプ51に入力するエコー信号は、その反射深度にかかわらず同一の減衰率で減衰されていたことになる。これに対し、本実施例に係る超音波診断装置では、バイアス制御部20によって第一電流源41及び第二電流源42によるバイアス電流を時間的に変化させることで小信号抵抗kT/(q・Ids)を変化させ、エコー信号を反射深度に応じた減衰率で減衰させることができるものとなっている。以下、この点について説明する。
【0030】
図4は、本実施例の超音波診断装置においてダイオードブリッジに供給されるバイアス電流の時間変化を示した図である。バイアス制御部20は主制御部18の制御の下に、超音波の送受信周期と同期したパターンでバイアス電流が変化するように第一電流源41及び第二電流源42を制御する。すなわち本実施例の超音波診断装置では、送信直後のバイアス電流の値を最小とし、時間の経過と共にバイアス電流を徐々に大きくしていく。その後、所定の期間に亘ってバイアス電流を一定に維持した後、受信期間の終了に伴ってバイアス電流の値を小さくし、次回の超音波の送信を待って再びバイアス電流を上昇させる。
【0031】
バイアス電流が小さいと上述の小信号抵抗kT/(q・Ids)は大きくなり、バイアス電流が大きいと小信号抵抗kT/(q・Ids)は小さくなる。そのため、バイアス電流を上記のように変化させることにより、信号レベルの高い体表付近からのエコー信号についてはダイオードブリッジを通過する際に大きく減衰させ、信号レベルの低い深部領域からのエコー信号は信号強度を維持したままダイオードブリッジを通過させることができる。
【0032】
なお、バイアス信号を図4のように変化させるための制御データは、例えば以下のような方法によって作成することができる。まず、プローブ11を超音波診断装置の本体に接続し、深さ方向に1cm間隔でワイヤーターゲットが配置された超音波ファントムに該プローブ11を当接させて超音波の送受波を開始する。この状態で、初段アンプ51の入力をオシロスコープ等の計測器で観測し、初段アンプ51を飽和させない入力信号範囲(アンプICのデータシートに記載されている)となるようにダイオードD1〜D4に流すバイアス電流を調節する。続いて、バイアス電流を一定にした状態における各ワイヤーターゲットからのエコー信号レベル(即ち前記オシロスコープで観察される初段アンプ51の入力信号レベル)に基づき、信号レベルが大きいところではダイオードブリッジにおける減衰率が大きく、信号レベルが小さいところではダイオードブリッジにおける減衰率が小さくなるように、各深さ位置について前記減衰率を決定する。上述の保護回路におけるバイアス電流の大きさと減衰率の関係は予め知ることができるため、以上により、1cm間隔の各深さ位置に対応したバイアス電流の値が決定する。超音波ファントムの音速は生体軟組織とほぼ同程度(1530m/s)であるため、1cmの距離(往復で2cm)は約13μsに相当する。このことから、超音波送信後の各時刻に対応した適切なバイアス電流値を求めることができ、この各時刻の間を補間することによりバイアス電流の時間変化の制御データが作成される。その後、以上で作成された制御データを人体の超音波撮像に適用して更に微調整を行い、完成した制御データを超音波診断装置の本体に設けられた記憶部(図示略)に記憶させる。このようなバイアス電流の時間制御の設定データは、プローブ11毎に作成され、使用するプローブに対応した設定データが適宜呼び出されて使用される。
【0033】
以上の通り、本実施例に係る超音波診断装置によれば、ダイオードブリッジにおけるエコー信号の減衰率を超音波の送受信周期に合わせて変化させることで、反射深度にかかわらず、安定した信号レベルのエコー信号を初段アンプ51に入力させることができる。そのため、以降の工程においてエコー信号を飽和させることなく増幅することが可能となる。
【0034】
なお、本実施例における保護回路としては従来の超音波診断装置に用いられているものを利用することができる。また、本実施例における保護回路は、複数のダイオードと該ダイオードに順方向のバイアス電流を与えるバイアス供給手段とを備えたものであれば良く、上記のようなダイオードブリッジを備えたものの他、例えば、図5又は図6に示すような回路構成とすることもできる。これらの例では、保護回路はいずれもダイオードD7、D8及びこれらのダイオードD7、D8にバイアス電流を供給するための電流源43〜45又は電流源46〜48を備えており、これらの電流源43〜45又は電流源46〜48によってダイオードD7、D8に供給される電流の大きさを、バイアス制御部20によって上記と同様に制御することにより、エコー信号が保護回路を通過する際の減衰率を変化させることができる。
【0035】
また、バイアス制御部20は各超音波振動子31毎に設ける必要はなく、複数の超音波振動子31に共通して設けることができる。従って、本実施例に係る超音波診断装置は、従来の超音波診断装置の構成に小数の部品を追加すると共に該装置に搭載される制御プログラムを変更することによって比較的安価に実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】同実施例の超音波診断装置における入力保護部周辺の構成を示す拡大図。
【図3】同実施例の超音波診断装置におけるエコー信号入力時の保護回路の動作を説明する図。
【図4】同実施例の超音波診断装置におけるバイアス電流の時間変化を示す図。
【図5】同実施例の超音波診断装置における入力保護部周辺の別の構成例を示す図。
【図6】同実施例の超音波診断装置における入力保護部周辺の更に別の構成例を示す図。
【図7】従来の超音波診断装置の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0037】
11、61…超音波プローブ
12、62…パルス発生部
13、63…入力保護部
14、64…増幅部
15、65…信号処理部
16、66…表示処理部
17、67…モニタ
18、68…主制御部
19、69…操作部
20…バイアス制御部
31…超音波振動子
41…第一電流源
42…第二電流源
51…初段アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 駆動パルスの入力に応じて超音波を発すると共に、被検体内で反射した超音波を受けてエコー信号を出力する超音波振動子と、
b) 前記超音波振動子に駆動パルスを印加するパルス印加手段と、
c) 前記超音波振動子から出力されるエコー信号を増幅する増幅手段と、
d) 前記超音波振動子と増幅手段との間に挿入された複数のダイオード及び該ダイオードに順方向のバイアス電流を与えるバイアス供給手段を有し、前記増幅手段への前記駆動パルスの回り込みを防止する入力保護手段と、
e) 前記駆動パルスの印加直後は前記バイアス電流が小さく、その後所定の時間に亘ってバイアス電流が徐々に大きくなるように前記バイアス供給手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記複数のダイオードがダイオードブリッジを形成していることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−148644(P2010−148644A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329481(P2008−329481)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】