説明

超音波診断装置

【課題】制御データの変更の際に、スキャンの停止、及び、画像表示の停止又は画面のブランクを発生させずに、応答性、および診断のスループットを向上させることが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】予め定められたタイミングで、第1記憶領域又は第2記憶領域の一方をアクティブ状態から非アクティブ状態に切り替え、第1記憶領域又は第2記憶領域の他方を非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替え、アクティブ状態に切り替えられた第1記憶領域又は第2記憶領域から読み出された第1の制御データ又は第2の制御データを基に、切り替えの直後においても、取得系構成要素群及び表示系構成要素群を動作させることで、超音波画像を表示させる切替制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波診断装置に関し、特に、超音波の走査、送信、及び、受信により被検体からの受信信号をデータを取得する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、例えば、図6に示すように、超音波の走査、送信、及び、受信により、被検体からの受信信号を取得する超音波探触子1、スキャン制御部(走査部)2、送信部3、及び、受信部4と、受信信号を処理する信号処理部5と、信号処理部5からの出力信号をビデオデータに変換するスキャン変換部6と、ビデオデータから生成された超音波画像を表示する表示部7とを有している超音波診断装置がある。この超音波診断装置にて、走査モード、送信、受信、信号処理条件、スキャン変換及び表示条件を変更する場合は、走査、送信、受信、信号処理、スキャン変換、及び、スキャンの停止、画像表示の一旦停止させ、又は、画面をブランクさせて、制御データ(制御パラメータ)の設定を変更した後、走査、送信、受信、信号処理、スキャン変換及び画像表示を、再スタートしていた。
【0003】
また、例えば、第一及び第二のフレームメモリから読み出した時相の異なる複数の画像データを取り込み、相関係数設定手段には表示条件(第一及び第二のフレームメモリの画像のフレーム数)と対応付けて相関係数が設定され、フレーム相関回路が、相関係数設定手段からの相関係数により、複数の画像間の相関をとる技術がある。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−245735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、超音波診断装置の制御データの変更は、走査、送信、受信、信号処理、キャン変換を一旦停止し、場合によっては表示画面のブランク(BLANK)処理を行っていた。つまり、一旦画面をブランクにし、その間に、変更後の制御データを設定した後に、走査、送信、受信、信号処理、スキャン変換及び画像表示を再スタートさせていた。画面がブランクされ、すぐに画像が更新されないため、応答性が悪く、ユーザ側がストレスを感じるとうい問題点があった。
【0006】
また、特許文献1に記載された技術は、相関係数設定手段に複数の表示条件を設けておくことにより、操作者毎に異なる所望の表示条件を設定することが可能となるが、前記相関係数設定手段及びフレーム相関回路を制御するための制御データ(制御パラメータ)の変更は、従来の技術と同様に、走査、送信、受信、信号処理、キャン変換及び画像表示を一旦停止し、場合によっては画面のブランク処理を行う必要がある。
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するものであり、制御データの変更の際に、スキャンの停止、及び、画像表示の停止又は画面のブランクを発生させずに、応答性、および診断のスループットを向上させることが可能な超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、第1の制御データを記憶する第1記憶領域、及び、第2の制御データを記憶する第2記憶領域を設け、第1記憶領域と第2記憶領域とをアクティブ状態と非アクティブ状態とに交互に切り替えれば、制御データの切り替え時においても、超音波画像を継続的に表示することが可能であることに着目した。
具体的に、この発明の一の形態は、超音波の走査、送信、及び、受信により、被検体からの受信信号を取得する走査部、送信部、及び、受信部と、前記受信信号から評価用データを求める信号処理部と、を含む取得系構成要素群と、前記信号処理部からの評価用データをビデオデータに変換するスキャン変換部と、前記ビデオデータから生成された超音波画像を表示する表示部と、を含む表示系構成要素群と、前記取得系構成要素群に第1の取得条件で動作させ、前記表示系構成要素群に前記第1の取得条件に対応した第1の処理条件で処理させるための第1の制御データを記憶する第1記憶領域と、前記取得系構成要素群に第2の取得条件で動作させ、前記表示系構成要素群に前記第2の取得条件に対応した第2の処理条件で処理させるための第2の制御データを記憶する第2記憶領域とを有するメモリと、予め定められたタイミングで、前記第1記憶領域又は前記第2記憶領域の一方をアクティブ状態から非アクティブ状態に切り替え、前記第1記憶領域又は前記第2記憶領域の他方を非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替え、該アクティブ状態に切り替えられた前記第1記憶領域又は前記第2記憶領域から読み出された前記第1の制御データ又は前記第2の制御データを基に、前記切り替えの直後においても、前記取得系構成要素群及び前記表示系構成要素群を動作させることで、超音波画像を表示させる切替制御部と、を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、制御データの切り替え際に、スキャンの停止、及び、画像表示の停止又は画面のブランクを発生させずに、応答性、および診断のスループットを向上させることが可能となる。
この発明の一の形態によると、アクティブ状態にある第1記憶領域又は第2記憶領域から読み出された第1の制御データ又は第2の制御データを基に、評価用データを取得し、取得された評価用データを処理した超音波画像を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成ブロック図である。
【図2】超音波診断装置の一連の動作を示し、取得系構成要素群の記憶領域の次に、表示系構成要素群の記憶領域を切り替える場合のタイミングチャートである。
【図3A】超音波診断装置の一連の動作を示し、取得系構成要素群の記憶領域の次に、表示系構成要素群の記憶領域を切り替える場合のフローチャートである。
【図3B】従来例を示し、取得系構成要素群及び表示系構成要素群の各記憶領域の書き替えを完了するまで、各構成要素の動作を停止させる場合のフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の一連の動作を示し、表示系構成要素群の記憶領域の次に、取得系構成要素群の記憶領域を切り替える場合のタイミングチャートである。
【図5】超音波診断装置の一連の動作を示し、表示系構成要素群の記憶領域の次に、取得系構成要素群の記憶領域を切り替える場合のフローチャートである。
【図6】従来例に係る超音波診断装置の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
(構成)
この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について図1から図3を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る超音波画像診断装置の構成ブロック図である。
【0012】
超音波探触子1が、走査部(スキャン制御部)2、送信部3と受信部4に接続され、送信部3は超音波探触子1を駆動し、受信部4は超音波探触子1から得られる反射エコー信号を受信する。受信部4は、プリアンプ、アナログディジタル変換器、受信遅延回路、加算器を有する。送信部3と受信部4は、走査部2を用いて制御される。
【0013】
受信部4から出力される受信信号は、振幅情報と位相情報が含まれ、信号処理部(エコー・フロー・ドップラ信号処理回路)5に接続される。信号処理部5は、エコーデータ用検波器、対数圧縮器、深さ・走査線・フレーム方向のディジタルフィルタ、およびフロー・ドップラデータ用、MTIフィルタ、自己相関、CORDIC、FFT処理を有する。
【0014】
信号処理部5からの評価用データは、スキャン変換部6へ接続され、スキャン変換部6にて、深さ方向で整列されたビームデータを、表示用にライン方向で整列されたVideoデータに変換し、表示部7へ出力する。
【0015】
走査部2、送信部3、受信部4、及び、信号処理部5を含む各構成要素(以下、「取得系構成要素群」という。)は、各構成要素を制御するための制御データ(制御パラメータ)を記憶するための第1記憶領域8a及び第2記憶領域8bを有している。第1記憶領域8aには、各構成要素を第1の取得条件で作動させるための第1の制御データを記憶している。また、第2記憶領域8bには、各構成要素を第2の取得条件で作動させるための第2の制御データを記憶している。ここで、第1の取得条件及び第2の取得条件とは、例えば、走査モード、送信、受信、信号処理条件、その他、評価用データを取得するための条件である。
【0016】
第1記憶領域8a及び第2記憶領域8bの一方がアクティブ状態と非アクティブ状態の一方の状態に切り替わると、第1記憶領域8a及び第2記憶領域8bの他方が非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替わる構造(PingPong構造)となっている。取得系構成要素群の各構成要素は、切り替わる前又は切り替わった後のアクティブ状態にある第1記憶領域8a又は第2記憶領域8bの一方から読み出された第1の制御データ又は第2の制御データを基に評価用データを取得する。
【0017】
スキャン変換部6及び表示部7を含む各構成要素(以下、「表示系構成要素群」という。)は、各構成要素を制御するための制御データ(制御パラメータ)を記憶するための第1記憶領域9a及び第2記憶領域9bを有している。第1記憶領域9aには、各構成要素を第1の処理条件で作動させるための第1の制御データを記憶している。また、第2記憶領域9bには、各構成要素を第2の処理条件で作動させるための第2の制御データを記憶している。ここで、第1の処理条件及び第2の処理条件とは前記第1の取得条件及び第2の取得条件にそれぞれ対応していて、スキャン変換及び表示条件、その他、前記取得された評価用データを処理するための条件である。
【0018】
第1記憶領域9a及び第2記憶領域9bは、第1記憶領域9a及び第2記憶領域9bの一方がアクティブ状態と非アクティブ状態の一方の状態に切り替わると、第1記憶領域9a及び第2記憶領域9bの他方が非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替わる構造(第1記憶領域8a及び第2記憶領域8bと同様なPingPong構造)となっている。表示系構成要素群の各構成要素は、切り替わる前又は切り替わった後のアクティブ状態にある第1記憶領域9a又は第2記憶領域9bの一方から読み出された第1の制御データ又は第2の制御データを基に評価用データを処理する。
【0019】
以上の取得系構成要素群及び表示系構成要素群の各構成要素に対応付けられて設けられた各記憶領域8a、8b、9a、9bを図1に概念的に示す。各記憶領域8a、8b、9b、9bを各構成要素のメモリに分散して設ける場合に限定するものではなく、例えば、各記憶領域8a、8b、9a、9bのいずれか2以上の一又は複数の組を1又は複数のメモリに設けても良い。
【0020】
CPU10は切替制御部11に対して制御データの切替指示を出力する。切替制御部11は、第1記憶領域8a、9a又は第2記憶領域8b、9bの一方を予め定められたタイミングで、アクティブ状態から非アクティブ状態に切り替え、他方の記憶領域を非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替える。表示系構成要素群の各構成要素は、切り替わる前又は切り替わった後のアクティブ状態にある記憶領域から読み出された制御データを基に、前記取得系構成要素群により取得された評価用データから生成された超音波画像を表示する。
【0021】
切替制御部11は、取得系構成要素群の第1記憶領域8a及び第2記憶領域8bと、表示系構成要素群の第1記憶領域9a及び第2記憶領域9bとを相互に独立した予め定められたタイミングで切り替える。
【0022】
さらに、図外の入力部の操作によりCPU10が制御データの切替指示を受けて、切替制御部11は、取得系構成要素群が1フレーム部の評価用データを取得した後に、第1記憶領域8a及び第2記憶領域8bを切り替え、又は、表示系構成要素群が1フレーム分の評価用データを処理した後、第1記憶領域9a及び第2記憶領域9bを切り替える。
【0023】
第1実施形態に係る超音波診断装置においては、切替制御部11が、第1の制御データを基に、取得系構成要素群及び表示系構成要素群を制御して表示部7に第1の処理条件に基づく超音波画像を表示させているとき、取得系構成要素群を第2の取得条件で動作させ、その後に表示系構成要素群を前記第2の処理条件で動作させる。
【0024】
(動作)
次に、第1実施形態に係る超音波診断装置の一連の動作について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、超音波診断装置の一連の動作を示すタイミングチャート、図3Aは、第1実施形態に係る超音波診断装置の一連の動作を示すフローチャート、図3Bは、従来例を示すフローチャートである。
【0025】
先ず、第1実施形態に係る超音波診断装置の一連の動作について図2及び図3Aを参照して説明する。取得系構成要素群を第1の取得条件又は第2の取得条件で作動させるための第1の制御データA又は第2の制御データB、及び、表示系構成要素群を第1の処理条件又は第2の処理条件で作動させるための第1の制御データA又は第2の制御データBを、図2に示す。
【0026】
また、取得系構成要素群が取得する1フレーム分の評価用データA0、A1、A2、A3、B0、B1、B2、取得準備期間Pr1、及び、表示系構成要素群素(スキャン変換部6)が評価用データを処理する1フレーム分の画像データA0、A1、A2、A3、B0、B1、処理準備期間Pr2を図2に示す。さらに、表示系構成要素群素(表示部7)が生成する1フレーム分(垂直同期信号毎)の表示データA0、A1、A2、A3’、B0、B1を、図2に示す。第1実施形態に係る垂直同期信号Vsync1、従来例に係る垂直同期信号Vsync2を図2に示す。さらに、従来例である表示部7が生成する1フレーム分の表示データA0、A1、B0、B1、画面のBLANKを、図2に示す。なお、制御データの切替指示SW、取得系構成要素群の第1記憶領域8aから第2記憶領域8bへの切替SW1、及び、表示系構成要素群の第1記憶領域9aから第2記憶領域9bへの切替SW2を図2に示す。さらに、超音波診断装置の一連の動作において、所定のタイミングを図2にt1〜t6で示す。
【0027】
CPU10が制御データの切替指示SWを受け、切替制御部11が、取得系制御データ及び表示系制御データを第1の制御データAから第2の制御データBに切り替えるイベントを発生させる(ステップS101;(t1))。
【0028】
切り替えるイベントが発生しても、取得系構成要素群は、スキャンを継続する(ステップS102)。第1の制御データAを基に、評価用データが取得される。
【0029】
次に、取得系構成要素群が第1の取得条件で少なくとも1フレーム分の評価用データの取得完了をしたか否かを切替制御部11が判断する(ステップS103)。取得完了をした1フレーム分の評価用データを図2にA3で示す。走査部2からの信号(1フレーム分の評価用データ取得完了信号を含む)を切替制御部11が受信する。走査部2から切替制御部11への信号線を図1に一点鎖線で示す。
【0030】
1フレーム分の評価用データの取得完了の判断をしない場合(ステップS103;No)、スキャンを継続する(ステップS102)。
【0031】
1フレーム分の評価用データの取得完了の判断を切替制御部11がした場合(ステップS103;Yes(t2))切替制御部11が第1の取得条件から第2の取得条件に切り替える(ステップS104(t3))
【0032】
第2の取得条件に切り替えられても、表示系構成要素群は第1の制御データAにより制御されているため、第1の取得条件で取得された評価用データA1、A2を第1の処理条件で処理した画像データA1、A2を表示する(ステップS105)。
【0033】
次に、第1の処理条件で、少なくとも1フレーム分の処理を表示系構成要素群が完了していないことを切替制御部11が判断した場合(ステップS106;No)、ステップS105に戻り、第1の取得条件で取得された評価用データA1、A2を第1の処理条件で処理した画像データA1、A2を表示する。第1の処理条件で処理した1フレーム分の画像データA3を図2に示す。また、表示部7から切替制御部11への信号線を図1に一点鎖線で示す。
【0034】
少なくとも1フレーム分の処理を表示系構成要素群が完了したと切替制御部11が判断した場合(ステップS106;Yes(t4))、切替制御部11が、表示系構成要素群の制御を第1の制御データから第2の制御データに切り替える。すなわち、第1の処理条件から第2の処理条件に切り替える(ステップS107(t5))。次に、表示部7は、第2の処理条件を基に、前記画像データA3から画像A3’を生成して、表示する(ステップS108)。次に、少なくとも1フレーム分の表示完了していないことを切替制御部11が判断した場合(ステップS109;No)、画像A3’を表示する(ステップS108)に戻る。
【0035】
少なくとも1フレーム分の画像A3’の表示を完了したことを切替制御部11が判断した場合(ステップS109;Yes)、第2の取得条件及び第2の処理条件で生成された画像を表示可能か否かを切替制御部11が判断する(ステップS110)。
【0036】
第2の取得条件及び第2の処理条件で生成された画像を表示可能か否かを切替制御部11が判断した場合(ステップS110;Yes(t6))、第2の取得条件及び第2の処理条件で生成された画像B0を表示部7が表示する(ステップS111)。その後、第2の取得条件及び第2の処理条件で生成された画像B1、B2、B3、B4…を表示部7が表示する。
【0037】
以上、第1実施形態に係る超音波診断装置の一連の動作を説明した。次に、従来例に係る超音波診断装置の一連の動作について図2及び図3Bを参照して説明する。
【0038】
従来例に係る超音波診断装置においては、切替制御部11が取得系制御データ及び表示系制御データを第1の制御データAから第2の制御データBに切り替えるイベントを発生させる(ステップS201)、取得系構成要素群がスキャンを停止する(ステップS202)。次に、CPU10が1フレーム分の表示が完了したか否の判断をする(ステップS203)、CPU10が1フレーム分の表示が完了していないことを判断した場合(ステップS203;No)、その判断を繰り返す。
【0039】
CPUが1フレーム分の表示が完了したことを判断をした場合(ステップS203;Yes)、表示画面をBLANKにする(ステップS204)。次に、CPU10が、第2の取得条件、第2の処理条件で生成された画像を表示可能か否かを判断する(ステップS205)、表示可能であると判断をした場合(ステップS205;Yes)、第2の取得条件、第2の処理条件で生成された画像B0を表示部7が表示する(ステップS206)。その後、順番に画像B1、B2、B3、B4…を表示部7が表示する。
【0040】
従来例においては、第2の取得条件、第2の処理条件で生成された画像が表示可能となるまで、表示画面をBLANKにする。
【0041】
従来例において、BLANKの所が、第1実施形態でA2、A3’に相当している。従来例と比べ、第1実施形態では、取得系構成要素群の取得及び表示系構成要素群の処理が停止せず、動作を継続するため、画面のブランクや画像停止が発生せず、さらに、取得系構成要素群の取得系制御データを切り替えた後に、表示系構成要素群の表示系制御データを切り替えるため、第2の取得条件で取得した評価用データから第2の処理条件で生成した画像を早めに表示することが可能となる。
【0042】
[第2の実施の形態]
(構成)
次に、この発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置について図4及び図5を参照して説明する。図4は、超音波診断装置の一連の動作を示すタイミングチャート、図5は、超音波診断装置の一連の動作を示すフローチャートである。図4で示す、第1の制御データ、第2の制御データ、1フレーム分の評価用データ、1フレーム分の画像データ、1フレーム分の表示データ、垂直同期信号、切替タイミングの意味は、図2と同じである。
【0043】
第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、第1実施形態に係る超音波診断装置の基本的な構成と同じであり、第1の制御データを基に、取得系構成要素群及び表示系構成要素群を制御して表示部に第1の処理条件に基づく超音波画像を表示させているとき、表示系構成要素群を第2の処理条件で動作させ、その後に取得系構成要素群を第2の取得条件で動作させる構成が異なる。以下、超音波診断装置の一連の動作において、第1実施形態と異なる点について、主に説明し、同じ構成についての説明を省略する。
【0044】
(動作)
次に、第2の実施形態に係る超音波診断装置の一連の動作について説明する。第2実施形態では、切替制御部11が第1の制御データAから第2の制御データBに切り替えるイベントを発生させても(ステップS301(t1))、第1の取得条件、第1の処理条件で生成された画像を表示する(ステップS302)。この点、画面をBLANKにする従来例に対し、応答性、診断のスループットを向上させることができる。次に、表示系構成要素群(スキャン変換部6)の1フレーム分の画像データの処理を完了したか否かを切替制御部11が判断する(ステップS303)。画像データの処理を完了していないことを切替制御部11が判断した場合(ステップS303;No)、画像データの処理(ステップS302)に戻る。
【0045】
1フレーム分の画像データの処理を完了したことを切替制御部11が判断した場合(ステップS303;Yes(t2))、切替制御部11が表示系構成要素群の制御データを第1の制御データから第2の制御データに切り替える。すなわち、第1の処理条件から第2の処理条件に切り替える(ステップS304(t3))。
【0046】
次に、第1の取得条件、第2の処理条件で生成された画像A2’、A3’を表示部7が表示する(ステップS305)。なお、前記ステップS304で、第1の処理条件から第2の処理条件に切り替えた時t3から画像A2’、A3’を表示するステップS305までの間に、1フレーム分の評価用データA3をスキャン変換部6が1フレーム分の画像データA3’に処理する。この画像データA3’(図4に示す)を表示部7が表示データA3’として表示する。
【0047】
次に、切替制御部11が取得系構成要素群の制御データを第1の制御データAから第2の制御データBに切り替える。すなわち、第1の取得条件から第2の取得条件に切り替える(ステップS306(t4))。
【0048】
次に、第2の取得条件、第2の処理条件で生成された画像を表示可能か否かを切替制御部11が判断する(ステップS307)。当該画像を表示可能でないと切替制御部11が判断した場合(ステップS307;No)、その判断を繰り返す。
【0049】
第2の取得条件、第2の処理条件で生成された画像を表示可能であると切替制御部11が判断した場合(ステップS307;Yes(t5))、第2の取得条件、第2の処理条件で生成された画像B0を表示部7が表示する(ステップS308)。その後、順番に画像B1、B2、B3、B4…を表示部7が表示する。
【0050】
なお、記憶領域を切り替えるタイミングを、アコースティックフレーム(AcousticFrame)毎、送信ベクタ(Vector)毎、垂直同期信号(Vsync)毎に選択可能にしても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 超音波探触子 2 走査部(スキャン制御部)
3 送信部 4 受信部 5 信号処理部
6 スキャン変換部 7 表示部
8a 第1記憶領域 8b 第2記憶領域
9a 第1記憶領域 9b 第2記憶領域
10 CPU 11 切替制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の走査、送信、及び、受信により、被検体からの受信信号を取得する走査部、送信部、及び、受信部と、前記受信信号から評価用データを求める信号処理部と、を含む取得系構成要素群と、
前記信号処理部からの評価用データをビデオデータに変換するスキャン変換部と、前記ビデオデータから生成された超音波画像を表示する表示部と、を含む表示系構成要素群と、
前記取得系構成要素群に第1の取得条件で動作させ、前記表示系構成要素群に前記第1の取得条件に対応した第1の処理条件で処理させるための第1の制御データを記憶する第1記憶領域と、前記取得系構成要素群に第2の取得条件で動作させ、前記表示系構成要素群に前記第2の取得条件に対応した第2の処理条件で処理させるための第2の制御データを記憶する第2記憶領域とを有するメモリと、
予め定められたタイミングで、前記第1記憶領域又は前記第2記憶領域の一方をアクティブ状態から非アクティブ状態に切り替え、前記第1記憶領域又は前記第2記憶領域の他方を非アクティブ状態からアクティブ状態に切り替え、該アクティブ状態に切り替えられた前記第1記憶領域又は前記第2記憶領域から読み出された前記第1の制御データ又は前記第2の制御データを基に、前記切り替えの直後においても、前記取得系構成要素群及び前記表示系構成要素群を動作させることで、超音波画像を表示させる切替制御部と、
を有する
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記切替制御部は、前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域の切り替えを、前記取得系構成要素群と前記表示系構成要素群とで、相互に独立したタイミングで行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記切替制御部は、前記取得系構成要素群又は前記表示系構成要素群が1フレーム分のデータを処理した直後に、前記第1記憶領域及び前記第2記憶領域を切り替えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記切替制御部は、前記第1の制御データを基に、前記取得系構成要素群及び前記表示系構成要素群を制御して前記表示部に前記第1の処理条件に基づく超音波画像を表示させているとき、前記取得系構成要素群を前記第2の取得条件で動作させ、その後に前記表示系構成要素群を前記第2の処理条件で動作させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
さらに、前記切替制御部は、前記取得系構成要素群が前記第2の取得条件で少なくとも1フレーム分の前記評価用データを処理して出力したのちに、前記表示系構成要素群に対して前記第2の処理条件で前記評価用データを処理させるとともに、該評価用データに基づく超音波画像を前記表示系構成要素群が表示するまでは、前記取得系構成要素群が前記第1の取得条件で求めた前記評価用データを前記表示系構成要素群が前記第1の処理条件及び前記第2の処理条件のいずれか又は双方で処理した超音波画像を表示させることを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記切替制御部は、前記第1の制御データを基に、前記取得系構成要素群及び前記表示系構成要素群を制御して前記表示部に前記第1の処理条件に基づく超音波画像を表示させているとき、前記表示系構成要素群を前記第2の処理条件で動作させ、その後に前記取得系構成要素群を前記第2の取得条件で動作させさせることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
さらに、前記切替制御部は、前記取得系構成要素群が前記第1の取得条件で求めた前記評価用データを前記表示系構成要素群が前記第1の処理条件及び前記第2の処理条件のいずれか又は双方で処理した前記超音波画像を前記表示部に表示させ、前記表示系構成要素群が前記第2の処理条件で少なくとも1フレーム分の前記評価用データを処理して出力した後は、前記表示系構成要素群に対して前記第2の処理条件で前記評価用データを処理した超音波画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項6に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−147638(P2011−147638A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11798(P2010−11798)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】