説明

超音波診断装置

【課題】一つの照明部で可動操作ボードと固定操作パネル下部に位置する装置本体前面を照明する超音波診断装置を提供する。
【解決手段】装置本体の前面側に前記装置本体上方からプローブコネクタを覆うように配置された固定操作パネルと、可動操作ボードと、前記可動操作ボードが前記固定操作パネルに対して下方に収納される収納位置と、前記可動操作ボードが前記固定操作パネルの下から手前側に引き出される使用位置とを移動可能に前記可動操作ボードを案内支持する案内支持部材と、前記可動操作ボードが使用位置に移動したときには、前方の使用位置に移動した可動操作ボードの上面を照明する方向に向けられ、前記可動操作ボードが収納位置に移動したときには、前記固定操作パネルの下方に位置する前記プローブコネクタを照明する方向に向けられる照明部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引き出し式の可動操作ボード(例えば、キーボード)を備えた超音波診断装置に関し、特に比較的暗い場所での使用を想定した超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブを介して被検者へ超音波を送出するとともに被検者からのエコー信号を受信し、このエコー信号に基づき超音波画像を得て被検者内の検査を行う超音波診断装置が、医療分野において広く用いられている。そして、超音波診断装置には、検査部位や被検者の状態など診断目的に応じて適切な超音波プローブを交換して使用できるように、複数種の超音波プローブが装着可能となっているものが多い。例えば特許文献1には、複数種の超音波プローブが装着可能な超音波診断装置の例が開示されている。
【0003】
各超音波プローブは超音波診断装置本体に対して、コネクタ(以降は超音波プローブのコネクタを「プローブコネクタ」と呼ぶ)を介して着脱自在となっており、例えば3種類の超音波プローブを超音波診断装置本体に対してプローブコネクタで接続しておき、超音波診断装置本体側でスイッチの切替え操作をすることによって、任意の超音波プローブを選択的に使用可能にすることができる。これらプローブコネクタに接続された状態にある超音波プローブをアクティブ超音波プローブと称している。
【0004】
一方、検査でプローブコネクタの数以上の超音波プローブを使用する場合、現在はプローブコネクタに接続されていないものの、プローブコネクタで接続さえすれば即座に使用可能となる超音波プローブを何本か備えている場合もあり、このような超音波プローブをスタンバイ超音波プローブと称している。比較的使用頻度の少ないものがスタンバイ超音波プローブとなり、ダミーコネクタと呼ばれる電源が供給されていないコネクタに接続されて保管され、必要に応じてアクティブ超音波プローブと交換して使用されることになる。
【0005】
プローブコネクタや心電図モニタのコネクタ又はUSB(Universal Serial Bus)コネクタなど診断に使用する可能性がある機器もしくは機器のコネクタは、超音波診断装置本体の前面に配置されていることが多い。これは、側面にコネクタを配置すると、装置本体をベッドの脇に配置して超音波診断を行う場合、該コネクタに接続された機器もしくは機器のケーブルがベッドもしくはベッド上の患者と干渉してしまうからである。
【0006】
また、プローブコネクタなど診断に使用する可能性がある機器もしくは機器のコネクタを超音波診断装置の前面に配置する場合、該機器もしくは機器のコネクタは超音波診断装置の前面上部に配置された固定操作パネルの下方に配置されていることが多い。これは、該コネクタに接続された該機器もしくは機器のケーブルが、操作者による固定操作パネルへの操作に干渉することを避けるためである。
【0007】
一方で、従来の超音波診断装置には、超音波画像の取得に係る操作を行う固定操作パネルとは別に、患者情報の入力を行うために可動操作ボード(例えば、キーボード)が設けられている場合がある。特に装置全体を小型化した超音波診断装置は、装置本体の奥行きを短くすることを目的に、引き出し式の可動操作ボードが採用されている場合がある。
【0008】
このような可動操作ボードには、可動操作ボード上を照明するLED(Light Emitting Diode)等の照明部、又は、可動操作ボード上のキー自体が発光する機構が設けられている場合がある。これは、超音波診断装置による検査が比較的暗い場所で行われることが多いためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−026046
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
固定操作パネルの下方に位置する装置本体前面に配置されたプローブコネクタ等の診断に使用する機器もしくは機器のコネクタは、上部に該機器もしくは機器のコネクタを覆うように固定操作パネルが配置されており、光がさえぎられるため超音波診断装置の周辺より暗い。それにも関わらず、該機器もしくは機器のコネクタを照明する機構が設けられていないため、比較的暗い場所では、プローブを交換する際にプローブの種類やプローブコネクタを判別することがきわめて困難であった。
【0011】
上記問題に対して、プローブコネクタを照明するための照明部を新たに設けることも可能であるが、この場合、新たに照明部を設けることにより配線が複雑化するという別の問題が発生する。
【0012】
本発明は上記の問題を解決するものであり、一つの照明部で可動操作ボードと固定操作パネル下部に位置する装置本体前面を照明することで、配線を複雑化することなく、比較的暗い場所でもプローブコネクタ等の診断に使用する機器もしくは機器のコネクタを視認可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、前面に超音波プローブを接続するプローブコネクタが配置された装置本体と、前記装置本体の前面側に前記装置本体上方から前記プローブコネクタを覆うように配置された固定操作パネルと、前記固定操作パネルと前記プローブコネクタとの間に位置する可動操作ボードと、前記可動操作ボードが前記固定操作パネルに対して下方に収納される収納位置と、前記可動操作ボードが前記固定操作パネルの下から手前側に引き出される使用位置とを移動可能に前記可動操作ボードを案内支持する案内支持部材と、前記可動操作ボードが使用位置に移動したときには、前方の使用位置に移動した可動操作ボードの上面を照明する方向に向けられ、前記可動操作ボードが収納位置に移動したときには、前記固定操作パネルの下方に位置する前記プローブコネクタを照明する方向に向けられる照明部とを備えたことを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、固定操作パネルの下方に位置するプローブコネクタ等の診断中に使用する機器もしくは機器のコネクタの照明と、可動操作ボードを照明する照明部とが兼用される。これにより、照明部及び照明部への配線が1か所に集約され、さらに可動操作ボードの上面とプローブコネクタを含む診断中に使用する機器もしくは機器のコネクタとの双方を照明することが可能となるため、比較的暗い場所でもプローブコネクタを含む該機器もしくは機器のコネクタの視認が可能となる。
【0015】
さらに、照明部による照明を行った際に、可動操作ボードの位置に応じて、その形態に対応した操作対象が照明されるため、操作者に操作対象の位置をガイドすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置の断面図である。(a)は可動操作ボードを収納位置に収納した形態を示し、(b)は可動操作ボードを使用位置に引き出した形態を示している。
【図2】図1(a)の矢印IIの方向からの拡大矢視図である。
【図3】第1の実施形態に係る超音波診断装置における操作ユニットの駆動を説明するための略断面図である。(a)は可動操作ボードを収納した形態を示している。(b)は(a)の形態から案内支持部材を固定操作パネル下部前方に引き出した形態を示している。(c)は(b)の形態から可動操作ボードを引き出した形態を示している。
【図4】図3(c)の矢印IVの方向からの矢視図である。
【図5】第2の実施形態に係る超音波診断装置の断面図である。(a)は可動操作ボードを収納した形態を示し、(b)は可動操作ボードを引き出した形態を示している。
【図6】第2の実施形態に係る超音波診断装置における操作ユニットの駆動を説明するための断面図である。(a)は可動操作ボードを収納した形態を示している。(b)は(a)の形態から可動操作ボードの一部を固定操作パネルの下部から引き出した形態を示している。(c)は(b)の形態からさらに可動操作ボードを引き出した形態を示している。
【図7】図6(c)の矢印VIIの方向からの矢視図である。
【図8】図6(c)の矢印VIIIの方向からの矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る超音波診断装置について、図1を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態に係る超音波診断装置は、前面に超音波プローブ4を接続するプローブコネクタ3が配置された装置本体1と、表示部5と、固定操作パネル201と、可動操作ボード240とで構成される。
【0019】
装置本体1の前面には超音波プローブ4を接続するプローブコネクタ3が設けられている。図2は、図1(a)の矢印IIの方向からの拡大矢視図である。図2に示すように、プローブコネクタ3は複数設けられている場合があり、この他にダミーコネクタやその他のコネクタ(図示しない)も装置本体1の前面に配置されている。
【0020】
装置本体1の上方には、超音波画像を表示する表示部5が載置されている。超音波プローブ4で取得したエコー信号はプローブコネクタ3を介して装置本体1に入力され、装置本体1内に内蔵された信号処理部や画像生成部(図示しない)により、超音波画像に変換され、表示部5に表示される。
【0021】
固定操作パネル201は、表示部5の前方かつ装置本体1の前面上方に、プローブコネクタ3を覆うように配置されている。固定操作パネル201は、超音波検査の実施時に恒常的に使用する機能、例えば、超音波画像の取得やフリーズ等の機能が割り当てられたボタン等の操作手段が配置されている。固定操作パネル201上には、照明部220による照明のON/OFFを切替える照明スイッチが設けられている(照明部220については後述する)。
【0022】
可動操作ボード240は、固定操作パネル201の下方、かつ、固定操作パネル201と前記プローブコネクタ3との間に配置されている。可動操作ボード240は、患者情報等の可変の情報を入力する入力手段であり、代表的なものとしてキーボードがあげられる。可動操作ボード240は、必要に応じて使用する入力手段であり、未使用時は図1(a)に示すように固定操作パネル201の下方に収納され、使用時には図1(b)に示すように固定操作パネル201の下方から引き出して使用される。なお、本説明では、固定操作パネル201及び可動操作ボード240を含むユニットを操作ユニット2と呼ぶ。
【0023】
操作ユニット2には、操作ユニット2の形態に連動して照明する方向が変化する照明部220(詳細は後述する)が設置されている。可動操作ボード240を固定操作パネル201の下方に収納したときには、照明部220は、固定操作パネルの下方に位置するプローブコネクタ3を照明する方向に向けられる(図1(a)参照)。可動操作ボード240を固定操作パネル201の下方から引き出したときには、照明部220は、可動操作ボード240の上面を照明する方向に向けられる(図1(a)参照)。照明部220を含め操作ユニット2の具体的な構成について以降で説明する。
【0024】
操作ユニット2の具体的な構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は、第1の実施形態に係る超音波診断装置における操作ユニット2の駆動を説明するための断面図である。図3(a)は可動操作ボード240を収納した形態を示している。図3(b)は図3(a)の形態から案内支持部材230(詳細は後述する)を固定操作パネル201の下部前方に引き出した形態を示している。図3(c)は図3(b)の形態から可動操作ボード240を引き出した形態を示している。図4は、図3(c)の矢印IVの方向からの矢視図である。なお、図4において、()により囲われた番号が付された部材は、併記した()のない番号が付された部材の裏側に位置することを示している。
【0025】
まず、操作ユニット2の構成の概要について説明する。固定操作パネル201の下方には、可動操作ボード240が、案内支持部材230とフロントリンク部材212とにより両側面から支持されている(図4参照)。このとき可動操作ボード240は、案内支持部材230に沿って移動可能に案内される。固定操作パネル201とフロントリンク部材212、及び、フロントリンク部材212と案内支持部材230はそれぞれ互いに回転可能に取り付けられ、固定操作パネル201とフロントリンク部材212と案内支持部材230とでリンク機構を構成している。フロントリンク部材212には照明部220が固定されており、照明部220はフロントリンク部材212の回転にあわせて異なる方向に向けられる。可動操作ボード240を固定操作パネル201の下方に押し込んだときには、フロントリンク部材212が回転軸214を軸に案内支持部材230の前方に回転し倒れ、照明部220が固定操作パネル201の下方に位置するプローブコネクタ3を照明する方向に向けられる(図3(a)参照)。可動操作ボード240を固定操作パネル201の下方から引き出したときには、フロントリンク部材212が回転軸214を軸に案内支持部材230の後方に回転し起き、照明部220が引き出された可動操作ボード240の上面を照明する方向に向けられる(図3(c)参照)。以降で操作ユニット2を構成する各部の詳細について具体的に説明する。
【0026】
案内支持部材230は、図4に示すように、略コ字型の断面形状を有し、可動操作ボード240の両側面と嵌合することで、可動操作ボード240を固定操作パネル201の下方に支持する。
【0027】
可動操作ボード240は、案内支持部材230により、固定操作パネル201に対して下方に収納される位置(図3(b)参照、以降はこの位置を「収納位置」と呼ぶ)と、可動操作ボード240が固定操作パネル201の下から手前側に引き出される位置(図3(c)参照、以降はこの位置を「使用位置」と呼ぶ)との間を移動可能に案内される。可動操作ボード240の具体的な動作については後述する。
【0028】
フロントリンク部材212は、少なくとも一端が固定操作パネル201の前方側面に固定された支持部材211と回転軸213を軸に相互に回転可能に取り付けられている。またフロントリンク部材212は、他端が案内支持部材230の前方側面に、回転軸214を軸に案内支持部材230と相互に回転可能に取り付けられており、案内支持部材230を固定操作パネル201の下方に支持する。これにより、固定操作パネル201と、フロントリンク部材212と、案内支持部材230とでリンク機構が構成される。
【0029】
案内支持部材230を後方に押し込む力が働くと、該リンク機構により、案内支持部材230は固定操作パネル201の下方後方側に後退揺動する(図3(a)参照)。この案内支持部材230が後退揺動した位置を後退揺動位置と呼ぶ。
【0030】
このとき、フロントリンク部材212が回転軸214を軸に案内支持部材230の前方に回転し倒れ、フロントリンク部材212の回転軸214側の一端は、回転軸213を軸に後方に回転する。
【0031】
また、案内支持部材230を前方に引き出す力が働くと、該リンク機構により、案内支持部材230は固定操作パネル201の下方前方側に前進揺動する(図3(b)参照)。この案内支持部材230が前進揺動した位置を前進揺動位置と呼ぶ。
【0032】
このとき、フロントリンク部材212が回転軸214を軸に後方に回転し起き上がり、フロントリンク部材212の回転軸214側の一端は、回転軸213を軸に前方に回転する。
【0033】
照明部220は、図4に示すように、フロントリンク部材212に架設され固定されたシャフト部材219の外周側面に固定されており、フロントリンク部材212の回転に連動して異なる方向に向けられる。
【0034】
フロントリンク部材212が回転軸214を軸に後方に回転したときには、シャフト部材219がフロントリンク部材212に連動して回転し、照明部220は、前方の使用位置に移動した可動操作ボード240の上面を照明する方向に向けられる。
【0035】
またフロントリンク部材212が回転軸214を軸に案内支持部材230の前方に回転したときには、シャフト部材219がフロントリンク部材212に連動して回転し、照明部220は、固定操作パネル201の下方に位置するプローブコネクタ3を照明する方向に向けられる。
【0036】
このとき、照明部220が収納位置に移動した可動操作ボード240の前端部よりも前方に移動するため、固定操作パネル201の下方に位置するプローブコネクタ3等の診断中に使用する機器もしくは機器のコネクタを照明することが可能となる。
【0037】
リアリンク部材216は、少なくとも一端が固定操作パネル201の後方側面に固定された支持部材215と回転軸217を軸に相互に回転可能に取り付けられている。またリアリンク部材216は、他端が案内支持部材230の後方側面に、回転軸218を軸に案内支持部材230と相互に回転可能に取り付けられており、フロントリンク部材212と同様に案内支持部材230を固定操作パネル201の下方に支持する。
【0038】
リアリンク部材216は、フロントリンク部材212とともに、案内支持部材230を前進揺動位置と後退揺動位置との間で揺動可能に案内支持する。このとき、リアリンク部材216は、フロントリンク部材212の後方に位置し、フロントリンク部材212と同様に動作する。
【0039】
ロック支持部材250は、図3(a)〜図3(c)に示すように、固定操作パネル201の後方側面に固定されている。ロック支持部材250にはロック部材設置溝251が設けられており、ロック部材設置溝251は回転軸218の軸凸部と嵌合している。リアリンク部材216が回転軸217を軸に回転する範囲はロック部材設置溝251の範囲に制限され、これにより、案内支持部材230が揺動する範囲が、前進揺動位置と後退揺動位置の範囲に制限される。
【0040】
ロック部材設置溝251の前方側のへりには、案内支持部材230が前進揺動位置に移動したときに、回転軸218の軸凸部を前方に支持する位置に前進揺動位置ロック部材252が取り付けられている(図3(b)を参照)。前進揺動位置ロック部材252は、例えば板ばねで構成すると良い。
【0041】
案内支持部材230を前進揺動位置に移動させるときには、案内支持部材230を前方に引き出したときに、前進揺動位置ロック部材252により回転軸218の軸凸部が後方に支持された状態から、前方にさらに荷重をかけるように案内支持部材230を引き出す。これにより、回転軸218の軸凸部が前進揺動位置ロック部材252を乗り上げ前方に通過する。同様に、案内支持部材230を前進揺動位置から移動させるときには、後方にさらに荷重をかけるように案内支持部材230を押し込むことになる。
【0042】
ロック部材設置溝251の後方側のへりには、案内支持部材230が後退揺動位置に移動したときに、回転軸218の軸凸部を後方に支持する位置に後退揺動位置ロック部材253が取り付けられている(図3(a)を参照)。後退揺動位置ロック部材253は、例えば板ばねで構成すると良い。
【0043】
案内支持部材230を後退揺動位置に移動させるときには、案内支持部材230を後方に押し込んだときに、後退揺動位置ロック部材253により回転軸218の軸凸部が前方に支持された状態から、後方にさらに荷重をかけるように案内支持部材230を押し込む。これにより、回転軸218の軸凸部が後退揺動位置ロック部材253を乗り上げ後方に通過する。同様に、案内支持部材230を後退揺動位置から移動させるときには、前方にさらに荷重をかけるように案内支持部材230を引き出すことになる。
【0044】
可動操作ボード240の具体的な動作について図3(b)及び図3(c)を参照しながら説明する。案内支持部材230と可動操作ボード240の間は固定されておらず、可動操作ボード240を案内支持部材230に沿って案内位置と使用位置との間で移動させることが可能である。つまり、可動操作ボード240は、案内支持部材230により、収納位置と使用位置との間を移動可能に案内される。
【0045】
案内支持部材230の前方には可動操作ボード240の側面と嵌合する側にはストッパーピン231が設けられている。また、可動操作ボード240の両側面には位置制限用溝241が設けられている。位置制限用溝241はストッパーピン231と嵌合しており、これにより、案内支持部材230に沿った可動操作ボード240の移動は収納位置と使用位置との間に制限される。
【0046】
位置制限用溝241の前方側には収納位置制限部242が設けられている。可動操作ボード240は、この収納位置制限部242とストッパーピン231により収納位置よりさらに後方への移動が制限される(図3(b)を参照)。
【0047】
また、位置制限用溝241の後方側に使用位置制限部243が設けられている。可動操作ボード240は、この使用位置制限部243とストッパーピン231により使用位置よりさらに前方への移動が制限される(図3(c)を参照)。
【0048】
位置制限用溝241の前方側のへりには、可動操作ボード240が収納位置に移動したときに、ストッパーピン231を前方に支持する位置に収納位置戻り止め部材244が取り付けられている(図3(b)を参照)。収納位置戻り止め部材244は、例えば板ばねで構成すると良い。
【0049】
ストッパーピン231を収納位置に移動させるときには、可動操作ボード240を後方に押し込んだときに、収納位置戻り止め部材244によりストッパーピン231が前方に支持された状態から、後方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード240を押し込む。これにより、ストッパーピン231が収納位置戻り止め部材244を乗り上げ後方に通過する。同様に、可動操作ボード240を収納位置から移動させるときには、前方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード240を引き出すことになる。
【0050】
同様に位置制限用溝241の後方側のへりには、可動操作ボード240が使用位置に移動したときに、ストッパーピン231を後方に支持する位置に使用位置戻り止め部材245が取り付けられている(図3(c)を参照)。使用位置戻り止め部材245は、例えば板ばねで構成すると良い。
【0051】
ストッパーピン231を使用位置に移動させるときには、可動操作ボード240を前方に引き出したときに、使用位置戻り止め部材245によりストッパーピン231が後方に支持された状態から、前方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード240を引き出す。これにより、ストッパーピン231が使用位置戻り止め部材245を乗り上げ前方に通過する。同様に、可動操作ボード240を使用位置から移動させるときには、後方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード240を押し込むことになる。
【0052】
以上により、可動操作ボード240を収納時に、可動操作ボード240を照明する照明部220を用いて、固定操作パネル201の下方に位置するプローブコネクタ3等の診断中に使用する機器もしくは機器のコネクタを照明することで、暗所でもプローブコネクタ3の視認が可能となる。
【0053】
また、プローブコネクタ3等の診断中に使用する機器もしくは機器のコネクタの照明に、可動操作ボード240を照明する照明部220を兼用するため、照明部及び照明部への配線を1か所に集約することが可能となる。
【0054】
さらに、照明部220による照明を行った際に、可動操作ボード240の位置に応じて、その形態に対応した操作対象が照明されるため、操作者に操作すべき操作対象の位置をガイドすることが可能となる。
【0055】
なお、フロントリンク部材212の揺動にあわせて照明部220の向きが変更されれば良く、固定操作パネル201の後方側と案内支持部材230の後方側とのリンク機構は、リアリンク部材216及びロック支持部材250による構成に限定されない。
【0056】
例えば、固定操作パネル201の後方側面に略水平方向を長手方向とした案内溝を有するガイド部材を固定し、案内支持部材230の後方側面にピンを設け、該案内溝と該ピンを嵌合させ、固定操作パネル201の下方に案内支持部材230を支持する構成としても良い。この場合、案内支持部材230が前進揺動位置に移動したときに該ピンは該案内溝の前方端部に移動し、案内支持部材230が後退揺動位置に移動したときに該ピンは該案内溝の後方端部に移動する。
【0057】
また、固定操作パネル201上に配置された前記照明スイッチを、超音波プローブの交換を指示する交換スイッチや超音波画像のフリーズを指示する操作手段と連動させてもよい。交換スイッチと連動させる場合は、交換スイッチが押されたときに、可動操作ボード240が収納されている(案内支持部材230が後退揺動位置に移動している)場合に、あわせて照明部220に照明させるようにすると良い。また、フリーズを指示する操作手段と連動させる場合は、フリーズ時に、可動操作ボード240が収納されている場合に、あわせて照明部220に照明させるようにすると良い。
【0058】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る超音波診断装置について、図5を参照して説明する。図5は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の断面図である。図5(a)は可動操作ボードを収納した形態を示し、図5(b)は可動操作ボードを引き出した形態を示している。
【0059】
本実施形態に係る超音波診断装置は、前面に超音波プローブ4を接続するプローブコネクタ3が配置された装置本体1と、表示部5と、固定操作パネル601と、可動操作ボード640とで構成される。本説明では、固定操作パネル601及び可動操作ボード640を含むユニットを操作ユニット6と呼ぶ。操作ユニット6には、操作ユニット6の形態に連動して照明する方向が変化する照明部620が設置されている。
【0060】
なお、本実施形態に係る超音波診断装置は、第1の実施形態に係る超音波診断装置と操作ユニット6の部分のみ異なり、図1と同じ番号が付された部分の機能構成は同一である。そのため、操作ユニット6の構成に着目して説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0061】
操作ユニット6の具体的な構成について図6〜図8を参照して説明する。図6は、第2の実施形態に係る超音波診断装置における操作ユニットの駆動を説明するための断面図である。図6(a)は可動操作ボード640を収納した形態を示している。図6(b)は図6(a)の形態から可動操作ボード640の一部を固定操作パネル601の下部から引き出した形態を示している。図6(c)は図6(b)の形態からさらに可動操作ボード640を引き出した形態を示している。図7は、図6(c)の矢印VIIの方向からの矢視図である。図8は、図6(c)の矢印VIIIの方向からの矢視図である。なお、図7において、()によりかこわれた番号が付された部材は、併記した()のない番号が付された部材の裏側に位置するものを示している。
【0062】
まず、操作ユニット6の構成の概要について説明する。固定操作パネル601の下方には、可動操作ボード640が、案内支持部材630により両側面から支持されている(図7参照)。このとき可動操作ボード640は、案内支持部材630に沿って移動可能に案内される。可動操作ボード640の後方側には収納凹部650が設けられており、レバー621が収納されている(図8参照)。レバー621は、一端が収納凹部側面部652に架設された回転軸622に回転可能に係止されており、巻きばね623により上方に回転するように付勢されている。レバー621の他端には照明部620が固定されており、照明部620はレバー621の回転にあわせて異なる方向に向けられる。可動操作ボード640を固定操作パネル601の下方に押し込んだときには、レバー621は固定操作パネル601に抑え込まれることで下方に回転し、照明部620が固定操作パネル601の下方に位置するプローブコネクタ3を照明する方向に向けられる(図6(a)参照)。可動操作ボード640を固定操作パネル601の下方から引き出したときには、レバー621が巻きばね623による付勢で上方に回転し、照明部620が引き出された可動操作ボード640の上面を照明する方向に向けられる(図6(c)参照)。以降で操作ユニット6を構成する各部の詳細について具体的に説明する。
【0063】
固定操作パネル601は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の固定操作パネル201と同一の機能構成となる。また、可動操作ボード640は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の可動操作ボード240と同一の機能構成となる。
【0064】
案内支持部材630は、図6(a)〜図6(c)及び図7に示すように、支持部材611及び612により、固定操作パネル601の下方に固定されている。また、案内支持部材630は、図7に示すように、略コ字型の断面形状を有し、可動操作ボード640の両側面と嵌合することで、可動操作ボード640を固定操作パネル601の下方に支持する。
【0065】
案内支持部材630と可動操作ボード640の間は固定されておらず、可動操作ボード640を案内支持部材630に沿って移動させることが可能である。つまり、可動操作ボード640は、案内支持部材630により、固定操作パネル601に対して下方に収納される位置(図6(a)参照、以降はこの位置を「収納位置」と呼ぶ)と、可動操作ボード640が固定操作パネル601の下から手前側に引き出される位置(図6(c)参照、以降はこの位置を「使用位置」と呼ぶ)との間を移動可能に案内される。可動操作ボード640の具体的な動作については後述する。
【0066】
可動操作ボード640の後方側には、図6(a)〜図6(c)及び図8に示すように、レバー621を収納する収納凹部650が設けられている(レバー621については後述する)。なお、収納凹部650の前方内側の面を収納凹部底面部651、収納凹部650の内側側面を収納凹部側面部652と呼ぶ。
【0067】
回転軸622は、図7及び図8に示すように、収納凹部側面部652に架設されている。
【0068】
レバー621は、図6〜図8に示すように、一端が回転軸622で可動操作ボード640に係止され、回転軸622を軸に回転可能に設置されている。レバー621は、巻きばね623により回転軸622を軸に上方に回転するように付勢されている。
【0069】
レバー621は、可動操作ボード640が使用位置に移動したときに、巻きばね623による付勢で上方に回転する(図6(c)を参照)。また、レバー621は、可動操作ボード640が収納位置に移動したときに、固定操作パネル601に抑え込まれることで下方に回転する(図6(b)及び図6(a)を参照)。
【0070】
このとき、収納凹部底面部651は、図6(a)〜図6(c)及び図8に示すように、回転軸622を軸にしたレバー621の回転を阻害しない位置に設けられていることが望ましい。
【0071】
照明部620は、図6(a)〜図6(c)に示すように、レバー621の回転軸622とは反対の一端に固定され、レバー621の回転に連動して異なる方向に向けられる。
【0072】
レバー621が回転軸622を軸に上方に回転したときには、図6(c)に示すように、照明部620は、前方の使用位置に移動した可動操作ボード640の上面を照明する方向に向けられる。
【0073】
また、レバー621が回転軸622を軸に下方に回転したときには、図6(a)に示すように、照明部620は、固定操作パネル601の下方に位置するプローブコネクタ3を照明する方向に向けられる。これにより、固定操作パネル601の下方に位置するプローブコネクタ3等の診断中に使用する機器もしくは機器のコネクタを照明することが可能となる。
【0074】
可動操作ボード640の具体的な動作について図6(a)〜図6(c)を参照しながら説明する。案内支持部材630の前方には可動操作ボード640の側面と嵌合する側にストッパーピン631が設けられている。また、可動操作ボード640の両側面には位置制限用溝641が設けられている。位置制限用溝641はストッパーピン631と嵌合しており、これにより、案内支持部材630に沿った可動操作ボード640の移動は収納位置と使用位置との間に制限される。
【0075】
位置制限用溝641の前方側には収納位置制限部642が設けられている。可動操作ボード640は、この収納位置制限部642とストッパーピン631により収納位置よりさらに後方への移動が制限される(図6(a)を参照)。
【0076】
また、位置制限用溝641の後方側に使用位置制限部643が設けられている。可動操作ボード640は、この使用位置制限部643とストッパーピン631により使用位置よりさらに前方への移動が制限される(図6(c)を参照)。
【0077】
位置制限用溝641の前方側のへりには、可動操作ボード640が収納位置に移動したときに、ストッパーピン631を前方に支持する位置に収納位置戻り止め部材644が取り付けられている(図6(a)を参照)。収納位置戻り止め部材644は、例えば板ばねで構成すると良い。
【0078】
ストッパーピン631を収納位置に移動させるときには、可動操作ボード640を後方に押し込んだときに、収納位置戻り止め部材644によりストッパーピン631が前方に支持された状態から、後方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード640を押し込む。これにより、ストッパーピン631が収納位置戻り止め部材644を乗り上げ後方に通過する。同様に、可動操作ボード640を収納位置から移動させるときには、前方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード640を引き出すことになる。
【0079】
同様に位置制限用溝641の後方側のへりには、可動操作ボード640が使用位置に移動したときに、ストッパーピン631を後方に支持する位置に使用位置戻り止め部材645が取り付けられている(図6(c)を参照)。使用位置戻り止め部材645は、例えば板ばねで構成すると良い。
【0080】
ストッパーピン631を使用位置に移動させるときには、可動操作ボード640を前方に引き出したときに、使用位置戻り止め部材645によりストッパーピン631が後方に支持された状態から、前方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード640を引き出す。これにより、ストッパーピン631が使用位置戻り止め部材645を乗り上げ前方に通過する。同様に、可動操作ボード640を使用位置から移動させるときには、後方にさらに荷重をかけるように可動操作ボード640を押し込むことになる。
【0081】
以上により、本実施形態に係る超音波診断装置は、第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様の効果が得られ、さらに、その構造が簡素化されるため作成に係るコストを低減することが可能となる。
【0082】
なお、可動操作ボード640の動作に連動したレバー621の動作は、少なくとも可動操作ボード640を使用位置に引き出したときに上方に回転し、可動操作ボード640を収納位置に押し込んだときに下方に回転すれば良く、巻きばね623による付勢に限定するものではない。例えば、ギアを用いて可動操作ボード640とレバー621の動作を上述したように連動させても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 装置本体 2 操作ユニット 3 プローブコネクタ
4 超音波プローブ 5 表示部 6 操作ユニット
201 固定操作パネル
211,215 支持部材 212 フロントリンク部材
213、214、217、218 回転軸
216 リアリンク部材、 219 シャフト部材
220 照明部
230 案内支持部材 231 ストッパーピン
240 可動操作ボード
241 位置制限用溝 242 収納位置制限部 243 使用位置制限部
244 収納位置戻り止め部材 245 使用位置戻り止め部材
250 ロック支持部材 251 ロック部材設置溝
252 前進揺動位置ロック部材 253 後退揺動位置ロック部材
601 固定操作パネル
611、612 支持部材
620 照明部
621 レバー 622 回転軸
630 案内支持部材 631 ストッパーピン
640 可動操作ボード
641 位置制限用溝 642 収納位置制限部 643 使用位置制限部
644 収納位置戻り止め部材 645 使用位置戻り止め部材
650 収納凹部 651 収納凹部底面部 652 収納凹部側面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に超音波プローブを接続するプローブコネクタが配置された装置本体と、
前記装置本体の前面側に前記装置本体上方から前記プローブコネクタを覆うように配置された固定操作パネルと、
前記固定操作パネルと前記プローブコネクタとの間に位置する可動操作ボードと、
前記可動操作ボードが前記固定操作パネルに対して下方に収納される収納位置と、前記可動操作ボードが前記固定操作パネルの下から手前側に引き出される使用位置とを移動可能に前記可動操作ボードを案内支持する案内支持部材と、
前記可動操作ボードが使用位置に移動したときには、前方の使用位置に移動した可動操作ボードの上面を照明する方向に向けられ、前記可動操作ボードが収納位置に移動したときには、前記固定操作パネルの下方に位置する前記プローブコネクタを照明する方向に向けられる照明部とを備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前面に超音波プローブを接続するプローブコネクタが配置された装置本体と、
前記装置本体の前面側に前記装置本体上方から前記プローブコネクタを覆うように配置された固定操作パネルと、
前記固定操作パネルと前記プローブコネクタとの間に位置する可動操作ボードと、
前記可動操作ボードが前記固定操作パネルに対して下方に収納される収納位置と、前記可動操作ボードが前記固定操作パネルの下から手前側に引き出される使用位置とを移動可能に前記可動操作ボードを案内支持する案内支持部材と、
少なくとも一端が前記固定操作パネルの前方側面に前記固定操作パネルと相互に回転可能に取り付けられ、他端が前記案内支持部の前方側面に前記案内支持部と相互に回転可能に取り付けられ、前記案内支持部材を前記固定操作パネルの下方に支持するリンク部材と、
前記リンク部材に固定され、前記リンク部材が前記他端を軸に後方に回転したときに、前方の前記使用位置に移動した可動操作ボードの上面を照明する方向に向けられ、前記リンク部材が前記他端を軸に前記案内支持部材の前方に回転したときに、前記固定操作パネルの下方に位置する前記プローブコネクタを照明する方向に向けられる照明部とを備えた超音波診断装置。
【請求項3】
前面に超音波プローブを接続するプローブコネクタが配置された装置本体と、
前記装置本体の前面側に前記装置本体上方から前記プローブコネクタを覆うように配置された固定操作パネルと、
前記固定操作パネルと前記プローブコネクタとの間に位置する可動操作ボードと、
前記可動操作ボードが前記固定操作パネルに対して下方に収納される収納位置と、前記可動操作ボードが前記固定操作パネルの下から手前側に引き出される使用位置とを移動可能に前記可動操作ボードを案内支持する案内支持部材と、
一端が前記可動操作ボードに係止され、前記一端を軸に上方に付勢され、前記可動操作ボードが前記使用位置に移動したときに付勢により上方に回転し、前記可動操作ボードが前記収納位置に移動したときに前記固定操作パネルに抑え込まれることで下方に回転するレバーと、
前記レバーの他端に固定され、前記レバーが上方に回転したときに、前方の前記使用位置に移動した可動操作ボードの上面を照明する方向に向けられ、前記レバーが下方に回転したときに、前記固定操作パネルの下方に位置する前記プローブコネクタを照明する方向に向けられる照明部とを備えた超音波診断装置。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図1】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−98077(P2011−98077A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254874(P2009−254874)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】