説明

超音波診断装置

【課題】画像表示器を支持するアームを上下しても、超音波診断装置における画像表示器の角度が変わらないようにする。
【解決手段】超音波プローブの制御や超音波画像の作成を行う超音波診断装置本体と、前記超音波画像を表示する画像表示器と、前記超音波診断装置本体の上面と前記画像表示器との間に設けられており前記画像表示器を前記超音波診断装置本体に支持する画像表示器支持機構とを具備してなる超音波診断装置であって、前記画像表示器支持機構は、前記超音波診断装置本体に支持された第1端側を支点にして前記画像表示器が支持された第2端側を上下方向に揺動可能な平行リンク機構を有するアーム部と、前記アーム部の第2端側に支持された一端側を支点にして他端側を上下方向に回動可能であり且つ前記他端側に前記画像表示器を支持するネック部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、さらに詳しくは、超音波画像の表示画面を見やすい位置に動かすことが可能な超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置本体に液晶表示器をヒンジで取り付けた超音波診断装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−272739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の超音波診断装置では、使用する時には液晶表示器を立てて超音波画像を表示し、使用しない時には液晶表示器を倒して搬送し易くすることが出来る。
しかし、液晶表示器の位置を水平方向や垂直方向に移動して、表示画面を見やすい位置に動かすことが出来ない問題点がある。
そこで、本発明の目的は、超音波画像の表示画面を見やすい位置に動かすことが可能な超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、超音波プローブの制御や超音波画像の作成を行う超音波診断装置本体と、前記超音波画像を表示する画像表示器と、前記画像表示器を前記超音波診断装置本体に支持する画像表示器支持機構とを具備してなる超音波診断装置であって、前記画像表示器支持機構は、前記画像表示器を水平移動・垂直移動可能に且つ前記画像表示器の表示面のチルト角を変更可能に支持すると共に前記表示面が下向きになるように前記画像表示器を倒した状態で支持可能であり、前記表示面が下向きになるように前記画像表示器を倒した状態で前記表示面のチルト角をロックするためのチルトロック手段と、前記画像表示器の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲および垂直移動可能範囲を制限する移動範囲制限手段とを有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第1の観点による超音波診断装置では、画像表示器支持機構を介して、水平移動・垂直移動可能に且つ画像表示器の表示面のチルト角を変更可能に、画像表示器を超音波診断装置本体に支持するから、超音波画像の表示画面を見やすい位置・姿勢に動かすことが可能になる。また、使用しない時には画像表示器を倒した状態にすると共にその状態で表示面のチルト角をロックすることが出来るから、搬送し易くすることが出来る。さらに、画像表示器の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲および垂直移動可能範囲を制限するから、超音波診断装置本体と画像表示器の干渉を回避することが出来る。
【0006】
第2の観点では、本発明は、超音波プローブの制御や超音波画像の作成を行う超音波診断装置本体と、前記超音波画像を表示する画像表示器と、前記画像表示器を前記超音波診断装置本体に支持する画像表示器支持機構とを具備してなる超音波診断装置であって、前記画像表示器支持機構は、前記画像表示器を水平移動・垂直移動可能に且つ前記画像表示器の表示面のチルト角を変更可能に支持すると共に前記表示面が下向きになるように前記画像表示器を倒した状態で支持可能であることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第2の観点による超音波診断装置では、画像表示器支持機構を介して、水平移動・垂直移動可能に且つ画像表示器の表示面のチルト角を変更可能に、画像表示器を超音波診断装置本体に支持するから、超音波画像の表示画面を見やすい位置・姿勢に動かすことが可能になる。また、使用しない時には画像表示器を倒した状態にすることが出来るから、搬送し易くすることが出来る。
【0007】
第3の観点では、本発明は、前記第1または前記第2の観点による超音波診断装置において、前記表示面が下向きになるように前記画像表示器を倒した状態で前記表示面のチルト角をロックするためのチルトロック手段を有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第3の観点による超音波診断装置では、使用しない時には画像表示器を倒した状態で表示面のチルト角をロックすることが出来るから、搬送し易くすることが出来る。
【0008】
第4の観点では、本発明は、前記第1から前記第3のいずれかの観点による超音波診断装置において、前記画像表示器支持機構は、前記チルトロック手段によるチルト角のロックが行われたときに前記画像表示器の水平位置をロックする水平移動ロック手段を有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第4の観点による超音波診断装置では、画像表示器を倒した状態で表示面のチルト角をロックしたときには、画像表示器の水平移動もロックすることが出来るから、搬送し易くすることが出来る。
【0009】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点による超音波診断装置において、前記水平移動ロック手段は、前記チルトロック手段によるチルト角のロックが解除されて前記表示面が正面向きになるように前記画像表示器を立てた状態にすると、前記画像表示器を水平位置可能に戻すことを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第5の観点による超音波診断装置では、使用する時に液晶表示器を立てた状態にすると、連動して画像表示器の水平移動のロックが解除されるから、見やすい位置に画像表示器を水平移動することが出来る。
【0010】
第6の観点では、本発明は、前記第1から前記第5のいずれかの観点による超音波診断装置において、前記チルトロック手段によるチルト角のロックは、前記画像表示器が特定の水平位置にある状態でのみ可能であることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第6の観点による超音波診断装置では、搬送し易い特定の水平位置に画像表示器があるときにチルト角をロック可能になる。
【0011】
第7の観点では、本発明は、前記第1から前記第6のいずれかの観点による超音波診断装置において、前記画像表示器支持機構は、前記超音波診断装置本体に対して水平方向に旋回可能な旋回部と、前記旋回部に支持された第1端側を支点にして第2端側を上下方向に揺動可能なアーム部と、前記アーム部の第2端側に支持された一端側を支点にして他端側を上下方向に回動可能であり且つ前記他端側に前記画像表示器を支持するネック部とを有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第7の観点による超音波診断装置では、水平移動が旋回部で可能になり、垂直移動がアーム部で可能になり、表示面のチルト角の変更がネック部で可能になる。
【0012】
第8の観点では、本発明は、前記第7の観点による超音波診断装置において、前記チルトロック手段は、前記ネック部の回動をロックする手段であることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第8の観点による超音波診断装置では、表示面のチルト角のロックがネック部で可能になる。
【0013】
第9の観点では、本発明は、前記第7または前記第8の観点による超音波診断装置において、前記水平移動ロック手段は、前記旋回部の旋回をロックする手段であることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第9の観点による超音波診断装置では、画像表示器の水平移動のロックが旋回部で可能になる。
【0014】
第10の観点では、本発明は、超音波プローブの制御や超音波画像の作成を行う超音波診断装置本体と、前記超音波画像を表示する画像表示器と、前記画像表示器を前記超音波診断装置本体に支持する画像表示器支持機構とを具備してなる超音波診断装置であって、前記画像表示器支持機構は、前記画像表示器を水平移動・垂直移動可能に支持すると共に、前記画像表示器の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲及び垂直移動可能範囲を制限する移動範囲制限手段を有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第10の観点による超音波診断装置では、画像表示器支持機構を介して、水平移動・垂直移動可能に、画像表示器を超音波診断装置本体に支持するから、超音波画像の表示画面を見やすい位置・姿勢に動かすことが可能になる。また、画像表示器の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲および垂直移動可能範囲を制限するから、超音波診断装置本体と画像表示器の干渉を回避することが出来る。
【0015】
第11の観点では、本発明は、前記第1または前記第10の観点による超音波診断装置において、前記移動範囲制限手段は、前記画像表示器の最下点が前記超音波診断装置本体の最上点より上側にあって且つ前記画像表示器の最右点が前記超音波診断装置本体の最左点と最右点の間にある位置では前記画像表示器の最下点が前記超音波診断装置本体の最上点より下がらないように垂直移動可能範囲を制限し、前記画像表示器の最下点が前記超音波診断装置本体の最上点より上側にあって且つ前記画像表示器の最左点が前記超音波診断装置本体の最左点と最右点の間にある位置では前記画像表示器の最下点が前記超音波診断装置本体の最上点より下がらないように垂直移動可能範囲を制限し、前記画像表示器の最右点が前記超音波診断装置本体の最左点より左側にあって且つ前記画像表示器の最下点が前記超音波診断装置本体の最上点より下がった垂直位置では前記画像表示器の最右点が前記超音波診断装置本体の最左点より右にならないように水平移動可能範囲を制限し、前記画像表示器の最左点が前記超音波診断装置本体の最右点より右側にあって且つ前記画像表示器の最下点が前記超音波診断装置本体の最上点より下がった垂直位置では前記画像表示器の最左点が前記超音波診断装置本体の最右点より左にならないように水平移動可能範囲を制限することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第11の観点による超音波診断装置では、超音波診断装置本体と画像表示器の干渉を回避するように、画像表示器の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲および垂直移動可能範囲を制限することが出来る。
【0016】
第12の観点では、本発明は、前記第10または前記第11の観点による超音波診断装置において、前記画像表示器支持機構は、前記超音波診断装置本体に対して水平方向に旋回可能な旋回部と、第1端側を前記旋回部に支持され第2端側に前記画像表示器を支持し前記第1端側を支点にして前記第2端側を上下方向に揺動可能であり且つ前記第2端側に前記画像表示器を支持するアーム部とを有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第12の観点による超音波診断装置では、水平移動が旋回部で可能になり、垂直移動がアーム部で可能になる。
【0017】
第13の観点では、本発明は、前記第12の観点による超音波診断装置において、前記アーム部の第2端側に支持された一端側を支点にして他端側を上下方向に回動可能であり且つ前記他端側に前記画像表示器を支持するネック部とを有することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第13の観点による超音波診断装置では、表示面のチルト角の変更がネック部で可能になる。
【0018】
第14の観点では、本発明は、前記第12または前記第13の観点による超音波診断装置において、前記移動範囲制限手段は、前記超音波診断装置本体に対して一定位置にあるガイド部材と、前記アーム部と連動して動くストッパ部材とを有してなり、前記ガイド部材の一部に前記ストッパ部材が当接することにより前記旋回部および前記アーム部の移動範囲が制限されることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第14の観点による超音波診断装置では、ガイド部材の一部にストッパ部材が当接することにより、超音波診断装置本体と画像表示器の干渉を回避するように、画像表示器の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲および垂直移動可能範囲を制限することが出来る。
【0019】
第15の観点では、本発明は、前記第1から前記第14のいずれかの観点による超音波診断装置において、前記画像表示器支持機構は、前記画像表示器の垂直位置を変更しても前記画像表示器の表示面のチルト角を一定に維持することを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第15の観点による超音波診断装置では、画像表示器の垂直位置を変更するごとに画像表示器の表示面のチルト角を調整し直す必要がなくなる。
【0020】
第16の観点では、本発明は、前記第1から前記第15のいずれかの観点による超音波診断装置において、前記画像表示器は、フラットパネル型画像表示器であることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第16の観点による超音波診断装置では、画像表示器の薄型化が可能になる。
【0021】
第17の観点では、本発明は、前記第16の観点による超音波診断装置において、前記フラットパネル型画像表示器は、液晶表示器であることを特徴とする超音波診断装置を提供する。
上記第17の観点による超音波診断装置では、画像表示器の薄型化が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の超音波診断装置によれば、超音波診断装置の操作者の状態に応じて超音波画像の表示画面を見やすい位置に動かすことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1に係る超音波診断装置の使用時状態を示す一部破断左側面図である。
【図2】図1における水平移動制限構成を示す要部上面図である。
【図3】実施例1に係る超音波診断装置の搬送時状態を示す一部破断左側面図である。
【図4】図3における水平移動制限構成を示す要部上面図である。
【図5】実施例1に係る超音波診断装置で画像表示器を上げた状態を示す一部破断左側面図である。
【図6】実施例1に係る超音波診断装置で画像表示器を下げた状態を示す一部破断左側面図である。
【図7】図6における垂直移動制限構成を示す要部正面図である。
【図8】実施例2に係る超音波診断装置の搬送時状態を示す一部破断左側面図である。
【図9】実施例3に係る超音波診断装置の搬送時状態を示す一部破断左側面図である。
【図10】図9における垂直移動制限構成を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1に係る超音波診断装置100を示す構成説明図である。なお、図は要部を誇張している。
この超音波診断装置100は、超音波プローブの制御や超音波画像の作成を行う超音波診断装置本体1と、超音波画像を表示する画像表示器2と、画像表示器2を超音波診断装置本体1に支持する画像表示器支持機構10とを具備してなる。
【0026】
画像表示器支持機構10は、超音波診断装置本体1に固設された固定部11と、固定部11に支持され固定部11に対して水平回転可能な旋回部12と、旋回部12に軸支された第1端13aを支点にして第2端13bを上下方向に揺動可能なアーム部材131,132と、アーム部材131,132の第2端13bを連結して平行リンク機構を構成するリンク部材13cと、リンク部材13cに軸支された一端14aを支点にして他端14bを鉛直面内で回動可能なネック部材14と、ネック部材14に軸支された一端を支点にしてネック部材14の回動方向に直交する方向に他端を回動可能であり且つ他端に画像表示器2を支持するヒンジ部材15とを有する。
【0027】
従って、画像表示器2は、旋回部12により水平方向の移動が可能であり、アーム部材131,132により上下方向の移動が可能であり、ネック部材14により表示面のチルト角の変更が可能であり、ヒンジ部材15により表示面の首振りが可能である。そして、アーム部材131,132が平行リンク機構になっているため、表示面のチルト角を変えないで画像表示器2を上下方向に移動することが出来る。
【0028】
アーム部材132にはストッパ16aが設置されている。また、アーム部材131には、スプリング16bで下向きに付勢されたロッド16cが保持されている。また、ネック部材14の一端14a側はカム形状になっており、切欠16dが設けてある。
【0029】
図3に示すように、表示面が下向きになるように画像表示器2を倒すと、ネック部材14にストッパ16aが当たる。また、ロッド16cの下端が切欠16dに入る。これにより、表示面が下向きになるように画像表示器2を倒した状態で表示面のチルト角がロックされる。
【0030】
図1に戻り、旋回部12にはレバー17aが軸支されている。レバー17aの上端は、旋回部12に一端が固定されたスプリング17bで引っ張られている。また、レバー17aの上端とネック部材14の一端14a側とがワイヤ17cで連結されている。このため、レバー17aの角度は、画像表示器2のチルト角に応じて決まる。
他方、固定部11には、レバー17aの下端の周囲を囲む囲繞空間17dを形成する枠体17eが設置されている。囲繞空間17dの一部には切欠17fが設けられている。
【0031】
表示面が下向きになるように画像表示器2を倒していない状態では、図2に示すように、レバー17aの下端の周囲が囲繞空間17dで囲まれるが、切欠17fには入っていない。従って、旋回部12は旋回可能である。
ところが、図4に示すように、レバー17aの下端が切欠17fに入るような水平位置で表示面が下向きになるように画像表示器2を倒すと、レバー17aの下端が切欠17fに入るため、旋回部12は旋回不能になる。これにより、水平位置がロックされる。
【0032】
図3のロック状態を解除するためには、スプリング16bの付勢力に抗して操作者がロッド16cを引き上げ、表示面が正面向きになるように画像表示器2を立てればよい。これにより、図1の状態に戻り、チルト角のロックが解除されると共に、それに連動して水平位置のロックも解除される。
【0033】
なお、図4の水平位置以外では、表示面が下向きになるように画像表示器2を倒しても、レバー17aの下端が切欠17fに入らないため、チルト角がロックされるまで画像表示器2を倒すことが出来ない。従って、水平位置もロックされない。
【0034】
図1に戻り、アーム部材132の第1端13aには、棒状のストッパ部材18aが突設されている。他方、固定部11には、ストッパ部材18aの上端の位置を規制する板状のガイド部材18bが設置されている。
【0035】
アーム部材131,132が正面方向を向いた水平位置では、図1や図3に示す高さよりもアーム部材131,132を下方向へ移動しようとしても、ストッパ部材18aとガイド部材18bとが当接するため、下方向へ移動することが出来ない。これにより、超音波診断装置本体1と画像表示器2の干渉を防止することが出来る。
【0036】
一方、図5に示すように、図1や図3に示す高さよりもアーム部材131,132を上方向へ移動する場合は、ストッパ部材18aとガイド部材18bとが当接しないため、上方向へ移動することが出来る。これは、上方向へ移動しても超音波診断装置本体1と画像表示器2とが干渉することはないからである。
【0037】
図1や図3に示す高さよりも画像表示器2が高い位置にある場合は、水平移動は制限されない。これは、水平移動しても超音波診断装置本体1と画像表示器2とが干渉することはないからである。
【0038】
図6に示すように、画像表示器2の最右点が超音波診断装置本体1の最左点より左側に来るか又は画像表示器2の最左点が超音波診断装置本体1の最右点より右側に来る水平位置では、図1や図3に示す高さよりもガイド部材18bの高さが高くなるため、図1や図3に示す高さよりもアーム部材131,132を下方向へ移動することが出来る。これは、下方向へ移動しても超音波診断装置本体1と画像表示器2とが干渉することはないからである。
【0039】
図7は、ストッパ部材18aとガイド部材18bの要部を示す正面図である。
ストッパ部材18aの上端がガイド部材18bの下面18Dに当たることで、画像表示器2の下方向への移動が制限される。
【0040】
また、ストッパ部材18aの上端側面がガイド部材18bの垂直面18L,18Rに当たることで、画像表示器2の水平方向への移動が制限される。
すなわち、画像表示器2の最右点が超音波診断装置本体1の最左点より左側にあり且つ画像表示器2の最下点が超音波診断装置本体1の最上点より下がった垂直位置では、画像表示器2の最右点が超音波診断装置本体1の最左点より右になるように画像表示器2を右へ水平移動しようとしても、ストッパ部材18aの上端側面とガイド部材18bの右垂直面18Rとが当接するため、右方向へ水平移動することが出来ない。また、画像表示器2の最左点が超音波診断装置本体1の最右点より右側にあり且つ画像表示器2の最下点が超音波診断装置本体1の最上点より下がった垂直位置では、画像表示器2の最左点が超音波診断装置本体1の最右点より左になるように画像表示器2を左へ水平移動しようとしても、ストッパ部材18aの上端側面とガイド部材18bの左垂直面18Lとが当接するため、左方向へ水平移動することが出来ない。これにより、超音波診断装置本体1と画像表示器2の干渉を防止することが出来る。
【0041】
要するに、超音波診断装置本体1と画像表示器2の干渉を回避するためには、次のように画像表示器2の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲および垂直移動可能範囲を制限すればよい。
(a)画像表示器2の最下点が超音波診断装置本体1の最上点より上側にあって且つ画像表示器2の最右点が超音波診断装置本体1の最左点と最右点の間にある位置では、画像表示器1の最下点が超音波診断装置本体1の最上点より下がらないように垂直移動可能範囲を制限する。
(b)画像表示器2の最下点が超音波診断装置本体1の最上点より上側にあって且つ画像表示器2の最左点が超音波診断装置本体1の最左点と最右点の間にある位置では、画像表示器2の最下点が超音波診断装置本体1の最上点より下がらないように垂直移動可能範囲を制限する。
(c)画像表示器2の最右点が超音波診断装置本体1の最左点より左側にあって且つ画像表示器2の最下点が超音波診断装置本体の最上点より下がった垂直位置では、画像表示器2の最右点が超音波診断装置本体1の最左点より右にならないように水平移動可能範囲を制限する。
(d)画像表示器の最左点が超音波診断装置本体1の最右点より右側にあって且つ画像表示器2の最下点が超音波診断装置本体1の最上点より下がった垂直位置では、画像表示器2の最左点が超音波診断装置本体1の最右点より左にならないように水平移動可能範囲を制限する。
【0042】
実施例1の超音波診断装置100によれば、次の効果が得られる。
(1)画像表示器支持機構10を介して、水平移動・垂直移動可能に且つ画像表示器2の表示面のチルト角を変更可能に、画像表示器2を超音波診断装置本体1に支持するから、超音波画像の表示画面を見やすい位置・姿勢に動かすことが可能になる。
(2)使用しない時には画像表示器2を倒した状態で表示面のチルト角をロックすると共に水平移動もロックすることが出来るから、搬送し易くすることが出来る。
(3)画像表示器2の水平位置および垂直位置に応じて水平移動可能範囲および垂直移動可能範囲を制限するから、超音波診断装置本体1と画像表示器2の干渉を回避することが出来る。
【実施例2】
【0043】
図8は、実施例2に係る超音波診断装置200を示す構成説明図である。なお、図は要部を誇張している。
この超音波診断装置200は、実施例1に係る超音波診断装置100のスプリング16b,ロッド16c,切欠16dの代わりに、スプリング16e,レバー16f,ストッパ16gおよび切欠20を用いた構成である。
【0044】
レバー16fは、アーム部材131に軸支されており、スプリング16eで図8の反時計方向に回るように付勢されている。ストッパ16gは、垂直になる角度よりも反時計方向にレバー16fが回ることを制限している。
切欠20は、画像表示器2の下端面に設けてある。
【0045】
図8に示すように、表示面が下向きになるように画像表示器2を倒すと、ネック部材14にストッパ16aが当たる。また、レバー16fの下端が切欠20に入る。これにより、表示面が下向きになるように画像表示器2を倒した状態で表示面のチルト角がロックされる。
【0046】
図8のロック状態を解除するためには、スプリング16eの付勢力に抗して操作者がレバー16fを手前に引いてから、表示面が正面向きになるように画像表示器2を立てればよい。
【実施例3】
【0047】
図9は、実施例3に係る超音波診断装置300を示す構成説明図である。なお、図は要部を誇張している。
この超音波診断装置300は、実施例1に係る超音波診断装置100のストッパ18aおよびガイド部材18bの代わりに、板状のフック18eおよびカム状部材18fを用いた構成である。
【0048】
図10に示すように、フック18eの上面18Uがカム状部材18fの下端に当たることで、画像表示器2の下方向への移動が制限される。また、フック18eの垂直面18Vとカム状部材18fの右面18Qが当たることで画像表示器2の左方向への移動が制限される。また、フック18eの垂直面18Hとカム状部材18fの左面18Pが当たることで画像表示器2の右方向への移動が制限される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の超音波診断装置は、超音波画像の撮像を行うのに利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 超音波診断装置本体
2 画像表示器
10 画像表示器支持機構
100,200,300 超音波診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブの制御や超音波画像の作成を行う超音波診断装置本体と、前記超音波画像を表示する画像表示器と、前記超音波診断装置本体の上面と前記画像表示器との間に設けられており前記画像表示器を前記超音波診断装置本体に支持する画像表示器支持機構とを具備してなる超音波診断装置であって、
前記画像表示器支持機構は、
前記超音波診断装置本体に支持された第1端側を支点にして前記画像表示器が支持された第2端側を上下方向に揺動可能な平行リンク機構を有するアーム部と、
前記アーム部の第2端側に支持された一端側を支点にして他端側を上下方向に回動可能であり且つ前記他端側に前記画像表示器を支持するネック部とを有しており、
前記アーム部の平行リンク機構により、前記画像表示器の上下方向の位置を変更しても前記画像表示器の表示面のチルト角を一定に維持することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記画像表示器支持機構は、前記超音波診断装置本体に対して水平方向に旋回可能な旋回部を有しており、
前記アーム部の前記第1端側は前記旋回部に支持され、前記アーム部は前記旋回部を介して前記超音波診断装置本体に支持されたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記画像表示器は、フラットパネル型画像表示器であることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記フラットパネル型画像表示器は、液晶表示器であることを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−50876(P2012−50876A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263237(P2011−263237)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【分割の表示】特願2009−226153(P2009−226153)の分割
【原出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】