説明

超音波診断装置

【課題】装置本体を台車から外す際に、安全かつ確実にさらに容易に操作することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】第1支持手段は、装置本体を起こした使用姿勢と倒した非使用姿勢との間に変位するように支持する。拘束手段は、装置本体を前記第1支持手段に拘束し、及び、拘束を解除することにより、装置本体を第1支持手段から外せるようにする。ロック手段は、拘束手段を拘束した状態に施錠する施錠位置と、施錠を解除する解錠位置との間を移動する。第2支持手段は、台車に設けられ、1支持手段を介して、装置本体を上方の使用位置と下方の非使用位置との間に移動するように支持する。解錠操作手段は、ロック手段が施錠位置の状態で、装置本体が非使用姿勢のとき、かつ、装置本体を使用位置から非使用位置に移動したとき、ロック手段を施錠位置から解錠位置に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体に対して超音波の送受信を行うことにより、被検体の断層像を取得する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置には、装置本体が台車に取り付けられたものがある(特許文献1)。装置本体を台車に取り付けることで、周辺機器と共に可搬性を向上させることができる。また、装置本体は操作部が表示されるモニタを含む。装置本体を高い位置に設けることにより、その位置を立って作業をする操作者の目の高さに合わせるようにして、操作性を向上させている。なお、装置本体を使用時に高い位置に、収納時に低い位置にするため、昇降式の台車がある。
【0003】
上記の装置本体は、台車に固定されたタブレットタイプであるため、台車から外して、ノートタイプとして使用することはできない。仮に、ノートタイプとして使用することができれば、往診等に持って行くことができ、ノートタイプをわざわざ用意する必要がなく、コストを低減することができる。そのため、タブレットタイプの装置本体を台車から外せるように構成することが要請されている。また、タブレットタイプの装置本体を台車から外すときに、安全かつ確実に、さらに容易に操作できるように配慮した構成にする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−240342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高い位置に設けられた装置本体を台車から外す際に、装置本体を支えながら、台車から外すため、操作が容易でなく、また、装置本体を支えきれずに、装置本体を落下させるおそれがあり、操作を安全かつ確実に行うためには支障がある。
【0006】
一方、昇降式の台車を用いれば、装置本体を低い位置に下げた後に、台車から外すことができるが、装置本体を低い位置に下げるとき、起きた姿勢にあるモニタが不安定であるため、モニタに注意しながら行う必要があり、作業性が良くないという問題点があった。
【0007】
この実施形態は、上記の問題を解決するものであり、装置本体を台車から外す際に、安全かつ確実に、さらに容易に操作をすることが可能な超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、実施形態の超音波診断装置は、装置本体、該装置本体を搭載する台車、第1支持手段、拘束手段、ロック手段、第2支持手段、及び、解錠操作手段を有し、第1支持手段は、装置本体を起こした使用姿勢と倒した非使用姿勢との間に変位するように支持する。拘束手段は、装置本体を前記第1支持手段に拘束し、及び、拘束を解除することにより、装置本体を第1支持手段から外せるようにする。ロック手段は、拘束手段を拘束した状態に施錠する施錠位置と、施錠を解除する解錠位置との間を移動する。第2支持手段は、台車に設けられ、1支持手段を介して、装置本体を上方の使用位置と下方の非使用位置との間に移動するように支持する。解錠操作手段は、ロック手段が施錠位置の状態で、装置本体が非使用姿勢のとき、かつ、装置本体を使用位置から非使用位置に移動したとき、ロック手段を施錠位置から解錠位置に移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置において、非使用位置にあって、非使用姿勢に変位した装置本体を示す図である。
【図2】使用位置にあって、非使用姿勢に変位した装置本体を示す図である。
【図3】使用位置にあって、使用姿勢に変位した装置本体を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る超音波診断装置において、施錠位置に移動したロック手段を示す図である。
【図5】解錠位置に移動したロック手段を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る超音波診断装置において、施錠位置に移動したロック手段を示す図である。
【図7】解錠位置に移動したロック手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、超音波診断装置の各実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
【0011】
〈第1の実施形態〉
[装置構成]
先ず、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成について説明する。超音波診断装置1は、被検体に対して超音波の送受信を行うことにより取得した被検体の断層像を表示するモニタ(図示省略)を有する装置本体10と、装置本体10を搭載する台車20とを有する。これらの他に、超音波診断装置1は、第1支持手段30、拘束手段40、ロック手段50、第2支持手段60、解錠操作手段70、及び、操作レバー80を有している。
【0012】
次に、超音波診断装置1の各構成の詳細について図1〜図3を参照して説明する。図1は、超音波診断装置において、下方の非使用位置にあって、倒した非使用姿勢に変位した装置本体を示す図、図2は、上方の使用位置にあって、倒した非使用姿勢に変位した装置本体を示す図、図3は、上方の使用位置にあって、起こした使用姿勢に変位した装置本体を示す図である。
【0013】
(第1支持手段)
以下、第1支持手段30から順番に説明する。第1支持手段30は、装置本体10を起こした使用姿勢と倒した非使用姿勢との両姿勢間に変位するように支持している。
【0014】
第1支持手段30の一例として、両姿勢に変位させるために、装置本体10を回動させる回動機構が用いられる。すなわち、第1支持手段30は、被ガイド部材31と、被ガイド部材31に設けられた軸状部材32と、装置本体10が載置されるベース部材33とを有している。ベース部材33は、軸状部材32の回りに回転されることにより、装置本体10を使用姿勢と非使用姿勢との両姿勢に変位させるものである。被ガイド部材31の上端部に支持ブラケット34が設けられ、その支持ブラケット34に軸状部材32が固定されている。筒形状に形成された上部カバー35により、被ガイド部材31が外部から覆われている。上部カバー35の下端部がテーブル36に固定されている。倒した非使用姿勢に変位させた装置本体10を図2に示し、起こした使用姿勢に変位させた装置本体10を図3に示す。
【0015】
また、第1支持手段30は、装置本体10を一定の力により各姿勢に維持させるための保持部(図示省略)を有している。装置本体10を各姿勢から他の姿勢に変位させ、また、他の姿勢から各姿勢に変位させるためには、前記一定の力を超える力を装置本体10に加えれば良い。
【0016】
ベース部材33は、載置された装置本体10の動きを制限している。係止部331は、ベース部材33の一端部に2カ所設けられ、装置本体10の一端部に2カ所設けられた第1被係止部11を係止して、装置本体10を図1に示すD1方向及びE2方向に移動するのを制限する。また、係止部331は第1被係止部11を係止して、装置本体10の図1の紙面に直交する方向の動きを制限する。傾斜部332は、ベース部材の他端部に設けられ、装置本体10の他端部に係止して、装置本体10のE1方向の動きを制限する。
【0017】
これらの係止部331及び傾斜部332を設けることにより、装置本体10をベース部材33に載置するときの操作としては、先ず、装置本体10の他端部を傾斜部332の高さ以上に持ち上げてから、係止部331を第1被係止部11に係止し、装置本体10の一端部近傍(係止部331及び第1被係止部11の近傍)を中心にして、装置本体10の他端部を下げ、傾斜部332に嵌め込むようにする。以下、「装置本体10を第1支持手段30に拘束する」、また、「装置本体10をベース部材33に拘束する」というときは、このときの状態を含む。
【0018】
一方、装置本体10をベース部材33から外すときの操作としては、先ず、装置本体10の一端部近傍を中心にして、装置本体10の他端部を傾斜部332の高さ以上に持ち上げるように傾動させる。装置本体10を傾動させた後、装置本体10をE1方向に移動させ、第1被係止部11を係止部331から外す。以下、「装置本体10を第1支持手段30から外す」、また、「装置本体10をベース部材33から外す」という場合は、このときの状態を含む。
【0019】
装置本体10をベース部材33から外す操作の一つである、装置本体10の傾動を阻止すれば、装置本体10をベース部材33から外すことができないし、その阻止を解除すれば、装置本体10をベース部材33から外すことができる。なお、装置本体10を、ベース部材33に限らず、被ガイド部材31、軸状部材32、その他の第1支持手段30を構成する部材に拘束するようにしても良い。
【0020】
なお、第1支持手段30としては、上記した回動機構に限らない。例えば、装置本体10を使用姿勢と倒した非使用姿勢との両姿勢に変位させるものであればどのように構成されていても良く、カム溝に沿って従動部を相対的に移動させるカム機構を用いても良く、4つのリンク部材を折畳み状態と展開状態とに移動させる四節回転連鎖機構を用いても良い。
【0021】
(拘束手段)
次に、装置本体10を第1支持手段30に拘束するよう、装置本体10の傾動を阻止し、装置本体10を第1支持手段30から外せるよう、その阻止を解除する拘束手段40について説明する。
【0022】
拘束手段40は、ベース部材33の内部に2カ所設けられ、装置本体10の一端部と他端部との間の中央部に2カ所設けられた第2被係止部12を係止して、ベース部材33に対する装置本体10の傾動を阻止する。2つの拘束手段40は、ベース部材33の内部に設けたロッド形状のリンクバー81に固定され、リンクバー81を中心に、C2方向に回転して第2被係止部12に係止し、装置本体10を第1支持手段30に拘束し、及び、C1方向に回転して第2被係止部12から外れて、拘束を解除する。それにより、装置本体10を第1支持手段30から外すことができる。以上の拘束手段40が第2被係止部12に係止し、装置本体10を第1支持手段30に拘束した状態を以下、「拘束した状態」という。
【0023】
なお、拘束手段40をベース部材33に設けたが、拘束手段40を、被ガイド部材31、軸状部材32、第1支持手段30を構成するその他の部材に設けても良い。
【0024】
(ロック手段)
次に、上記拘束手段40の施錠及びその施錠の解除を行うロック手段50について説明する。ロック手段50は、拘束手段40を前記拘束した状態に施錠する施錠位置(その一端部51が突起部84に係止した位置)と、その施錠を解除する解錠位置(その一端部51が突起部84から外れた位置)との間を移動するように構成される。ロック手段50の一端部51は、施錠位置に移動したとき、突起部84に係止する長さを有している。
【0025】
ロック手段50はベース部材33の内部に設けられている。同じく、ベース部材33の内部にはブラケット82が設けられ、そのブラケット82にピン部材83が設けられている。
【0026】
後述する操作レバー80により拘束手段40をC2方向に回転させると、第2被係止部12に係止する。拘束手段40が第2被係止部12に係止した拘束状態において、ロック手段50は、ピン部材83回りに、その一端部51が時計方向に回転して施錠位置に移動し、突起部84に係止して、拘束手段40を施錠する。同じく、拘束状態において、ロック手段50は、ピン部材83回りに、その一端部51が反時計方向に回転して解錠位置に移動し、突起部84から外れて、拘束手段40の施錠を解除する。操作レバー80により、拘束手段40をC1方向に回転させると、第2被係止部12から外すことができる。
【0027】
ピン部材83からロック手段50の一端部51までの距離より、ピン部材83からロック手段50の他端部52までの距離の方が長く、一端部51側より他端部52側の方が重いため、ロック手段50は、一端部51が時計方向に回転する方向(施錠位置に移動する方向)に付勢される。
【0028】
ロック手段50は、施錠位置に移動し、リンクバー81に設けた突起部84に係止して、拘束手段40を拘束した状態に施錠し、解錠位置に移動し、突起部84から外れて、その施錠を解除する。施錠位置に移動したロック手段50を図1に示し、解錠位置に移動したロック手段50を図2に示す。
【0029】
なお、突起部84は、拘束手段40と一体的に形成しても良く、後述する操作レバー80と一体的に形成しても良い。また、ロック手段50は以上の構成に限らず、拘束手段40を前記拘束した状態に施錠し、その施錠を解除するものであれば、どのような構成であっても良い。
【0030】
(第2支持手段)
次に、第2支持手段60について説明する。第2支持手段60は、台車20に設けられ、第1支持手段30を介して、装置本体10を上方の使用位置と下方の非使用位置との間に移動するように支持する。この実施形態では、第2支持手段60は、ガイド部材61を有する。ガイド部材61は、被ガイド部材31を上下方向に案内することにより、被ガイド部材31、支持ブラケット34、軸状部材32、及び、ベース部材33を介して装置本体10を上方の使用位置と下方の非使用位置との両位置間に移動させる。筒形状に形成された下部カバー62によりガイド部材61が外部から覆われている。また、装置本体10を前記両位置に拘束するための図示しないストッパが設けられている。上方の使用位置に移動した装置本体10を図2に示し、下方の非使用位置に移動した装置本体10を図1に示す。
【0031】
なお、第2支持手段60は、装置本体10を上下方向に移動するように支持すれば良く、上記構成に限定されるものではない。たとえば、複数のリンク部材を折り畳んだ状態と展開した状態とに変化するように組み合わせたXアーム機構またはパンタグラフ機構を用いれば良い。
【0032】
(解錠操作手段)
次に、解錠操作手段70について説明する。解錠操作手段70は、ロック手段50が施錠位置の状態で、装置本体10が倒れた非使用姿勢のとき(図2に示す状態)、かつ、装置本体10を上方の使用位置から下方の非使用位置(図2に示すB1方向)に移動したとき、第1支持手段30と第2支持手段60とに相対的な位置の変化が生じることにより、ロック手段50を施錠位置から解錠位置に移動させるものである。
【0033】
解錠操作手段70は、「相対的な位置の変化」を検出する機能と、ロック手段50を施錠位置から解錠位置に移動させる機能との両方の機能を一つの部材が有しているものである。以下、検出する機能というときは、「相対的な位置の変化」を、その変化に連動する際の動きとして検出することをいう。
【0034】
解錠操作手段70は棒形状に形成され、解錠操作手段70は、第1支持手段30の支持ブラケット34に設けられている。解錠操作手段70は、その上端部71が支持ブラケット34内に没入した位置と、その上端部71が支持ブラケット34から突出して、ロック手段50の他端部52を押し上げる位置(ロック手段50を解錠位置に移動させる位置)との間を移動するように案内される。解錠操作手段70は、その自重により下方向の付勢力が加えられている。
【0035】
次に、図3に示す装置本体10をベース部材33から外すときの動作について説明する。図3に示す装置本体10が上方の使用位置に移動していて、起こした使用姿勢にある。また、ロック手段50が施錠位置の状態にある。先ず、装置本体10を使用姿勢から倒した非使用姿勢(図3に示すA1方向)に変位させる。
【0036】
ロック手段50が施錠位置の状態で、装置本体10が非使用姿勢のとき(図2に示す状態)、かつ、装置本体10を上方の使用位置から下方の非使用位置(図2に示すB1方向)に移動するとき、解錠操作手段70が第1支持手段30の支持ブラケット34と共に下方向に移動し、解錠操作手段70の下端部72がガイド部材61に当接して、解錠操作手段70が付勢力に抗して上方に移動し、解錠操作手段70の上端部71が支持ブラケット34内から突出し、ロック手段50の他端部52を押し上げ、ロック手段50を反時計方向に回転させ、ロック手段50を施錠位置から解錠位置に移動させる(図1に示す状態)。
【0037】
ロック手段50を解錠位置に移動させると、ロック手段50の一端部51が突起部84から外れ、操作レバー80により、拘束手段40を図1に示すC1方向に回転させることができ、拘束手段40をC1方向に回転して第2被係止部12から外せば、拘束手段40による拘束を解除することができ、装置本体10をベース部材33から外すことができる。その外す操作の方向を図1においてD1及びE1で示す。なお、操作レバー80の詳細については後述する。
【0038】
装置本体10を使用姿勢から非使用姿勢に変位させ、かつ、装置本体10を上方の使用位置から下方の非使用位置に移動させなければ、装置本体10をベース部材33から外すことができないため、装置本体10を安全かつ確実に外すことができる。また、装置本体10を倒した非使用姿勢で下方の非使用位置に移動するため、装置本体10に特に注意を払うことなくその作業をすることができるため、操作性が良い。さらに、装置本体10をそのように操作することによって、ロック手段50を自動的に施錠位置から解錠位置に移動させるので、装置本体をベース部材33から外す操作が容易になる。
【0039】
なお、ロック手段50が施錠位置の状態で、装置本体10が使用姿勢のとき(図3に示す状態)、装置本体10を使用位置から非使用位置に移動したとき、第1支持手段30と第2支持手段60とに相対的な位置の変化が生じることにより、解錠操作手段70の下端部がガイド部材61に当接して、解錠操作手段70の上端部71が支持ブラケット34内から突出するが、解錠操作手段70の上端部71とロック手段50の他端部52とが軸状部材32を間にして反対位置にあるため(図3参照)、ロック手段50の他端部52を押し上げず、ロック手段50を施錠位置から解錠位置に移動させず、施錠位置のままであるため、装置本体10をベース部材33から外すことができない。
【0040】
なお、解錠操作手段70としては、別部材が一方の機能と他方の機能とをそれぞれ有し、「相対的な位置の変化」を、電気信号の変化として検出するものであっても良い。例えば、「相対的な位置の変化」を検出する機能を、位置検出手段(たとえば、リミットスイッチ)が有し、ロック手段50を施錠位置から解錠位置に移動させる機能を、位置検出手段からの検出信号を受けて、駆動する部材としても良い。なお、解錠操作手段70は、第2支持手段60に設けられても良い。
【0041】
(操作レバー)
次に、操作レバー80について説明する。ベース部材33の外部に突出したリンクバー81の端部に操作レバー80が固定されている。操作レバー80は、それにかかる操作力をリンクバー81を介して拘束手段40に伝達することにより、拘束手段40に対して拘束及びその拘束の解除の動作をさせる。
【0042】
次に、図1に破線で示す装置本体10を使用するときの動作について説明する。図1において、ロック手段50が解錠位置の状態にある。先ず、装置本体10をベース部材33に載置するときの操作をする。先ず、装置本体10の他端部を傾斜部332の高さ以上に持ち上げてから、係止部331を第1被係止部11に係止し、装置本体10の一端部近傍を中心にして、装置本体10の他端部を下げ、傾斜部332に嵌め込むようにする。このときの操作を簡略化して図1においてD2で示す。
【0043】
次に、操作レバー80により、拘束手段40をC2方向に回転させ、第2被係止部12に係止し、装置本体10を第1支持手段30のベース部材33に拘束した状態にする。次に、装置本体10を非使用位置から使用位置(図2に示すB2方向)に移動させる。それにより、第1支持手段30と第2支持手段60とに相対的な位置の変化が生じ、下部カバー62の相対的な下方移動に伴い、解錠操作手段70が付勢力により下方に移動し、解錠操作手段70の上端部71の下方移動に伴い、ロック手段50が時計方向に回転し、施錠位置に移動して、突起部84に係止する。
【0044】
図2に示すように、装置本体10を使用位置に移動させた後に、装置本体10を被使用姿勢から使用姿勢(図3に示すA2方向)に変位させる。それにより、装置本体10を使用することが可能となる。
【0045】
(その他の構成)
次に、拘束手段40等の配置について説明する。ロック手段50、及び、解錠操作手段70は、軸状部材32の近傍位置に配置されている。ロック手段50等が軸状部材32から近くに位置するほど、装置本体10を非使用姿勢から使用姿勢に変位させるとき、解錠操作手段70を上方へ小さく突出させることにより、ロック手段50の他端部52を大きく押し上げて、ロック手段50を施錠位置から解錠位置に移動させることができるため、ロック手段50を小型化することができる。
【0046】
なお、前記実施形態では、解錠操作手段70を第1支持手段30側(支持ブラケット34)に設けたが、第2支持手段60側に設けても良い。例えば、下部カバー62に解錠操作手段70を立設しても良い。
【0047】
〈第2の実施形態〉
次に、超音波診断装置の他の実施形態について図4及び図5を参照して説明する。図4は、施錠位置に移動したロック手段50を示す図、図5は、解錠位置に移動したロック手段50を示す図である。なお、図4及び図5では、ロック手段50、解錠操作手段70、及び、操作レバー80を主に示しており、ベース部材33、その他の超音波診断装置1の構成を省略して示した。
【0048】
この実施形態に係る超音波診断装置は、第1の実施形態に対し同様の基本的な構成を有するが、ロック手段50及び解錠操作手段70の各構成が異なる。
【0049】
ロック手段50はカム溝53有し、突起部84に係止する施錠位置と、突起部84から退避する解錠位置との間を移動するように構成されている。解錠操作手段70の上端部71には傾斜部が形成されている。
【0050】
ロック手段50が図4に示す施錠位置にあるとき、ロック手段50は突起部84に係止していて、拘束手段40のC1方向の回転を阻止している。それにより、装置本体10をベース部材33に拘束している。装置本体10を使用位置から非使用位置に移動させると、第1支持手段30と第2支持手段60との相対的な位置の変化を検出することにより、解錠操作手段70が上方へ突出して、解錠操作手段70の傾斜部がカム溝53に沿って移動し、ロック手段50を解錠位置に移動させて、突起部84から後退させる。それにより、操作レバー80により、拘束手段40がC1方向に回転可能なり、装置本体10をベース部材33から外すことが可能となる。
【0051】
なお、第2の実施形態において、カム溝をロック手段50に設け、カム部である傾斜部を解錠操作手段70に設けたが、軸部をロック手段50または解錠操作手段70の一方の手段に設け、カム溝を他方の手段に設け、解錠操作手段70の上下移動に伴い、軸部がカム溝に沿って移動することにより、ロック手段50が施錠位置と解錠位置との間を移動するように構成しても良い。
【0052】
〈第3の実施形態〉
次に、超音波診断装置の他の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。図6は、施錠位置に移動したロック手段50を示す図、図7は、解錠位置に移動したロック手段50を示す図である。
【0053】
この実施形態に係る超音波診断装置は、他の実施形態に対し同様の基本的な構成を有するが、ロック手段50及び解錠操作手段70の各構成が異なる。解錠操作手段70は、「相対的な位置の変化」を検出する機能と、ロック手段50を施錠位置から解錠位置に移動させる機能との両方の機能を別の部材がそれぞれ有しているものである。
【0054】
図6及び図7において、ロック手段50、解錠操作手段70、及び、操作レバー80を主に示しており、ベース部材33、その他の超音波診断装置1の構成を省略して示した。ロック手段50はギヤードケーブル85の回転により水平方向に移動するように構成されている。ギヤードケーブル85は、モータ(図示しない)により、正逆回転する。
【0055】
ロック手段50が図6に示す施錠位置にあるとき、ロック手段50は突起部84に係止していて、拘束手段40のC1方向の回転を阻止している。装置本体10を使用位置から非使用位置に移動させると、装置本体10が非使用位置に移動したことをリミットスイッチ(図示しない)が検出し、その検出信号を受けて、制御手段(図示しない)が、モータを駆動させて、ギヤードケーブル85を回転し、ロック手段50を解錠位置に移動させて、突起部84から後退させる。それにより、操作レバー80により、拘束手段40がC1方向に回転可能なり、装置本体10をベース部材33から外すことが可能となる。
【0056】
一方、装置本体10が非使用位置から移動したことをリミットスイッチが検出し、その検出信号を受けて、制御手段が、モータを駆動させて、ギヤードケーブル85を回転し、ロック手段50を施錠位置に移動させて、突起部84に係止させる。それにより、操作レバー80により、拘束手段40がC1方向に回転するのを阻止し、装置本体10をベース部材33に拘束する。
【0057】
この実施形態では、ギヤードケーブル85、リミットスイッチ、モータ、及び、制御手段が解錠操作手段70となる。
【0058】
なお、第3の実施形態において、ロック手段50を施錠位置と解錠位置との間を移動させるために、ギヤードケーブル85及びモータを用いたが、これに限らず、ソレノイドに対して電流制御を行うことにより、プランジャに固定したロック手段50を駆動させても良く、エアシリンダに対して空気の供給を制御することにより、ピストンに連結したロック手段を駆動させても良い。
【0059】
以上の実施形態によれば、ロック手段50が施錠位置の状態で、装置本体10が非使用姿勢のとき、装置本体10を下方の可能の非使用位置に移動すると、解錠操作手段70が非使用位置に移動したことを検出して、ロック手段50を自動的に解錠するようにしたから、装置本体10を台車20から外す際に、安全かつ確実に、さらに容易に操作することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 超音波診断装置
10 装置本体
11 第1被係止部
12 第2被係止部
20 台車
30 第1支持手段
31 被ガイド部材
32 軸状部材
33 ベース部材
331 係止部
332 傾斜部
34 支持ブラケット
35 上部ガイド部材
36 テーブル
40 拘束手段
50 ロック手段
51 一端部
52 他端部
53 カム溝
60 第2支持手段
61 ガイド部材
62 下部カバー
70 解錠操作手段
71 上端部
72 下端部
80 操作レバー
81 リンクバー
82 支持ブラケット
83 ピン部材
84 突起部
85 ギヤードケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、該装置本体を搭載する台車とを含む超音診断装置において、
前記装置本体を起こした使用姿勢と倒した非使用姿勢との間に変位するように支持する第1支持手段と、
前記装置本体を前記第1支持手段に拘束し、及び、当該拘束を解除することにより、前記装置本体を前記第1支持手段から外せるようにした拘束手段と、
前記拘束手段を前記拘束した状態に施錠する施錠位置と、前記施錠を解除する解錠位置との間を移動するロック手段と、
前記台車に設けられ、前記1支持手段を介して、前記装置本体を上方の使用位置と下方の非使用位置との間に移動するように支持する第2支持手段と、
前記ロック手段が前記施錠位置の状態で、前記装置本体が前記非使用姿勢のとき、かつ、前記装置本体を前記使用位置から前記非使用位置に移動したとき、前記ロック手段を前記施錠位置から前記解錠位置に移動させる解錠操作手段と、
を有する
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記第1支持手段は、被ガイド部材と、前記被ガイド部材に設けられた軸状部材と、前記装置本体が載置され、前記軸状部材の回りに回転されることにより、前記装置本体を前記使用姿勢と前記非使用姿勢とに変位させるベース部材と、を有し、
前記第2支持手段は、前記被ガイド部材を上下方向に案内することにより、前記被ガイド部材及び前記ベース部材を介して前記装置本体を前記使用位置と前記非使用位置との間に移動させるように構成されたガイド部材を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記第1支持手段には、前記解錠操作手段が上下方向に移動するように設けられ、
前記解錠操作手段は、その自重による下方向の付勢力が加えられ、前記第1支持手段と共に下方向に移動して、前記装置本体が前記使用位置から前記非使用位置に移動したとき、前記第2支持手段により、前記付勢力に抗して前記ガイド部材に対して相対的に上方向に移動して、前記ロック手段を前記施錠位置から前記解錠位置に移動させることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記軸状部材の近傍位置には、前記ロック手段、及び、前記解錠操作手段が配されることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記ベース部材の内部には、前記拘束手段、及び、前記ロック手段が配されることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記ベース部材の外部に設けられた操作レバーと、前記ベース部材の内部に設けられ、前記操作レバーにかかる操作力を前記拘束手段に伝達することにより、前記拘束手段に対して前記拘束及び前記拘束の解除の動作をさせるリンクバーとをさらに有することを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−65697(P2012−65697A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210565(P2010−210565)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】