説明

超音波送受波器

【課題】従来の実施の形態に関わる超音波送受波器において、一つの超音波送受波器で複数の共振周波数を持たせ、近遠距離の検知を行い、安価で見栄えの良い超音波送受波器を提供する。
【解決手段】有底筒状ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせユニモルフ振動子を形成し、ユニモルフ振動子の振動によって超音波の送受信を行う超音波送受波器において、大きさの異なる有底筒状ケース2a及び2bを用いて形状の大きい有底筒状ケース2aの底面内部と有底筒状ケース2bの開口部を固着し、有底筒状ケース2bの底面外部に圧電素子1を貼り合せて、異なる二つの共振周波数を発生させ、近距離及び遠距離の検知を一つの超音波送受波器で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波周波数帯の送信、受信を行う超音波送受波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の実施の形態に関わる超音波送受波器において、これを車のバンパー等に埋め込み設置し、周辺の障害物を検出する場合、超音波送受波器にパルスバースト電気信号を入力することで超音波送受波器からその入力パルスバースト電気信号に応じた超音波信号が発振され、発振された超音波信号は障害物に到達した後、その障害物で反射し、超音波信号の一部は同じ超音波送受波器に戻ってくる。超音波送受波器はその反射信号を受信することで障害物を検出している。
図5に従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図を表す。図5において、アルミニウム材等からなる有底筒状ケース2aの底面内部に圧電素子1を固着しユニモルフ振動子を形成する。圧電素子1から入出力リード5a、有底筒状ケース2aの側面内側より入出力リード5bを半田付け等して取り出す。圧電素子1と有底筒状ケース2aとは、固着面で電気的に接続されている。入出力リード線5aおよび5bはPVC被覆ワイヤ付きコネクタ6のワイヤにそれぞれ半田付けされている。圧電素子1の上面にシリコーン発泡体等から成る吸音材3を設置し、更にその上からシリコーン材、ウレタン材等の弾性体から成る封止剤4を有底筒状ケース2a内に充填する。
従来の実施の形態に関わる超音波送受波器においては、一般的に一つの超音波送受波器で一つの共振周波数により超音波の送受を行っている。遠距離を検知するためには地面等による誤検知をなくすため、指向特性を鋭くする必要があった。指向特性を鋭くするため、近距離については死角が多くなる。従来の実施の形態に関わる超音波送受波器においては、近距離及び遠距離を検知するためには二つの指向特性の違う超音波送受波機を用いる必要があり、見栄えとコストが悪化していた。
【非特許文献1】谷腰欣司著 「超音波とその使い方−超音波送受波器・超音波モータ」 日刊工業新聞 1994年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとしている課題は小型超音波送受波器において、一つの超音波送受波器で異なる二つの共振周波数を持たせ、近距離及び遠距離の検知を一つの超音波送受波器で行い、安価で見栄えの良い超音波送受波器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
有底筒状ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせユニモルフ振動子を形成し、ユニモルフ振動子の振動によって超音波の送受信を行う超音波送受波器において、大きさの異なる有底筒状ケース2a及び2bを用いて形状の大きい有底筒状ケース2aの底面内部と有底筒状ケース2bの開口部を固着し、有底筒状ケース2bの底面外部に圧電素子1を貼り合せて、異なる二つの共振周波数を発生させ、近距離及び遠距離の検知を一つの超音波送受波器で行う。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、超音波送受波器において近距離、遠距離を検知するため、従来二つの超音波送受波器を装着したいたものを一つの超音波送受波器で異なる二つの共振周波数を持たせ、一つの超音波送受波器により近距離、遠距離の検知を行えるという利点を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
車載用コーナーセンサ等に用いる際、バンパー等に埋め込み設置し、遠距離から近距離まで安定した障害物検知を誤作動無く高い信頼性で実現出来る。
【0007】
図1に本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図を表す。図1において、アルミニウム材等からなる有底筒状ケース2a内部にアルミケース材等からなる有底筒状ケース2bの開口部を固着し、有底筒状ケース2bの底面外部に圧電素子1を貼り合せ、異なる二つの共振周波数を発生させる。有底筒状ケース2aと2bの空間7はシリコーン材、ウレタン材等の弾性体を充填しても良い。圧電素子1から入出力リード5a、有底筒状ケース2a又は2bの側面内側より入出力リード5bを半田付け等して取り出す。圧電素子1と有底筒状ケース2a及び2bとは、固着面で電気的に接続されている。入出力リード線5aおよび5bはPVC被覆ワイヤ付きコネクタ6のワイヤにそれぞれ半田付けされている。圧電素子1の上面にシリコーン発泡体等から成る吸音材3を設置し、更にその上からシリコーン材、ウレタン材等の弾性体から成る封止剤4を有底筒状ケース2内に充填する。
図2、3に本発明の別の実施の形態に関わる実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図を示す。
図6は本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器および従来の実施の形態に関わる超音波送受波器のインピーダンス特性を表す。図6に示すように従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の場合、1次振動モードは単一であるが本発明の超音波送受波器の場合複数の1次振動モードに相当する共振周波数が観察され、その周波数で超音波送受波器を駆動させることが可能となる。
尚、異なる三つ以上の有底筒状ケースを図5のように固着させることによって三つ以上の異なる共振周波数を発生させることも本発明の範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、車のバックセンサのみならず、防滴型超音波送受波器が利用されている様々な分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図
【図2】本発明の別の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図
【図3】本発明の別の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図
【図4】本発明の別の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図
【図5】従来の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図
【図6】本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器のインピーダンス特性
【符号の説明】
【0010】
1 圧電素子
2a 有底筒状ケース
2b 有底筒状ケース
2c 有底筒状ケース
3 吸音材
4 封止剤
5a 入出力リード
5b 入出力リード
6 PVC被覆ワイヤ付きコネクタ
7 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせユニモルフ振動子を形成し、ユニモルフ振動子の振動によって超音波の送受信を行う超音波送受波器において、大きさの異なる有底筒状ケース2a及び2bを用いて形状の大きい有底筒状ケース2aの底面内部と有底筒状ケース2bの開口部を固着し、有底筒状ケース2bの底面外部に圧電素子1を貼り合せて、異なる二つの共振周波数を発生させることを特徴とする超音波送受波器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−267472(P2009−267472A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111020(P2008−111020)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】