説明

超音波霧化装置

【課題】高い霧化効率を有する超音波霧化装置を提供する。
【解決手段】本発明の超音波霧化装置1においては、液体7に浸漬させることにより前記液体をその内部に取り込む柱状の吸収材5と、振動を発生させる振動ユニット4と、平坦に形成された振動伝播端面42を有し、前記超音波振動子にて発生した振動を前記吸収材5に伝播する伝播部41とを備えて構成され、前記振動伝播端面42において前記吸収材5に当接しない領域が存在するように、前記伝播部41と前記吸収材5の側面とを当接することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動によって液体を霧化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤や香料等の容器に充填された液体をフェルトや所定の繊維の束からなる吸収材によって毛細管現象を利用して吸い上げ、圧電素子等からなる超音波振動子の振動面を吸収材と接触させ、吸収材に吸収された液体を霧化させる技術がある(例えば特許文献1を参照)。この技術の一つの適用例として、いわゆるエッセンシャルオイル等の液体香料を空中に放出させることにより、種々の効能のある香気をユーザに吸引させることが行われている。この方法によれば、直接液体に振動子を当接させる必要がないので装置の小型化を図ることができ、また液体を気化させるために加熱する必要もないので火災等が発生する心配もないという利点もある。
【特許文献1】特開2003−181347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、液体を吸収した吸収材に振動を与えて霧化を行う場合、超音波振動子による振動が伝播する、限られた領域(通常は振動面と吸収材の当接する近辺の領域)からしか霧化は行われないため、液体を霧化する能力(以下、霧化効率という)が低いという問題がある。勿論、吸収材や超音波振動子を大型化することによって当接面積を多く確保するか、あるいは振動子の振動数を大きくすれば霧化効率は向上する。しかし、それぞれ装置が大型化する、霧化される粒子のサイズ(粒径)が必然的に小さくなってしまう、という問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたものであって、装置の大型化を伴わずに且つ霧化粒子の粒径に制限を加えることなく、高い霧化効率を実現することのできる霧化装置を提供する。
【0005】
本発明は、液体に浸漬させることにより前記液体をその内部に取り込む柱状の吸収材と、振動を発生させる振動発生部と、平坦に形成された振動伝播面を有し、前記振動発生部にて発生した振動を前記吸収材に伝播する伝播部とを備え、前記振動伝播面において前記吸収材に当接しない領域が存在するように、前記伝播部と前記吸収材の側面とが当接されることを特徴とする超音波霧化装置を提供する。
【0006】
好ましい態様において、前記振動伝播面の形状は円であって、前記振動伝播面上における前記吸収材の上端面の位置が前記振動伝播面の中心に重なるように、前記伝播部と前記吸収材の側面とが当接される。
【0007】
別の好ましい態様において、前記振動伝播面と前記吸収剤の上端面とのなす角が所定値となるように、前記伝播部と前記吸収剤とが当接される。前記所定値は例えば45°である。前記側面とは前記吸収剤の上端面の縁(上端面と側面との交線)をも含む概念である。
【0008】
更に別の好ましい態様において、前記振動発生部と前記伝播部とは接着材によって固定される。
【0009】
別の好ましい態様において、前記超音波霧化装置は、前記振動発生部と前記伝播部とが圧着されるように、前記伝播部と係合する振動子ホルダを更に有する。
【0010】
更に別の好ましい態様において、前記超音波霧化装置は、前記伝播部と前記振動発生部とを固定するためのネジとナットとを更に有する。
【0011】
更に別の好ましい態様において、前記伝播部にはネジ溝が切られ、前記ネジ溝と係合することにより前記伝播部と前記振動発生部とを固定するネジ止め部材を更に有する。
【0012】
本発明は、他の観点において、ハウジングヘッドと容器部とから構成される超音波霧化装置であって、前記ハウジングヘッドは、液体と接触すると当該液体をその内部に取り込む柱状の第1の吸収材と、振動を発生させる振動発生部と、平坦に形成された振動伝播面を有し前記振動発生部にて発生した振動を前記吸収材に伝播する伝播部とを備え、前記振動伝播面において前記吸収材に当接しない領域が存在するように、前記伝播部と前記吸収材の側面とが当接され、前記容器部は、液体を貯蔵するための容器と、前記容器に固定され、液体と接触すると当該液体をその内部に取り込む柱状の第2の吸収材とを備え、前記第1の吸収剤が前記第2の吸収剤に押止された状態で、前記ハウジングヘッドと前記容器部とが係合することを特徴とする超音波霧化装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例に係る超音波霧化装置1の断面図である。同図に示すように、超音波霧化装置1は、大別して、例えばプラスチック樹脂等によって形成されたハウジング部2と、例えばガラス製の瓶である容器部3とから構成される。
ハウジング部2内には、基板6が設けられるとともに基板6の上に振動ユニット4が設置される。振動ユニット4は基板から供給される制御信号に基づいて動作する圧電素子を含む円筒形の振動発生部40と、振動発生部40にて発生した超音波振動(例えば40kHz)を効率よく伝播するためのホーン形状を有する伝播部41から成る。伝播部41は、振動伝播端面42を介して機械的接触により他の部材に振動を伝播させる。振動の方向は、好適には同図中y−yの方向である。基板6上にはCPU等の振動ユニット4を制御するための制御回路、制御情報等を記憶したRAMやROM等の記憶素子、電源回路やスイッチ回路等(いずれも図示は省略)が配設される。また、振動ユニット4は基板6と電気的に接続される。また、振動ユニット4の中心部には貫通穴が形成されており、この穴を介して円筒形の吸収材5がほぼ鉛直に挿入される。吸収材5は、フェルトや種々の繊維の束からなり、表面で液体に接するとその液体を吸収して毛細管現象等によって上部に運搬する機能を有する。吸収材5は、その側面上部において、振動伝播端面42を介して伝播部41と所定の押圧力で当接される一方、その下部が液体7が充填された容器部3の底面付近まで達するように固定される。これにより、容器部3内の液体7は吸い上げられて吸収材5の上端面付近まで到達する。吸収材5の上端面付近まで到達した液体7の分子は、振動伝播端面42を介して超音波振動による力が加えられると、分子間力(表面張力)に打ち勝って細かな粒子(典型的には数ミクロン程度)となって、ハウジング部2に設けられた孔(図示せず;例えば吸収材5の真上)を通り、空中に飛び出す(霧化する)。なお、ハウジング部2と容器部3は、一体として形成されても良いし、別途独立に形成されたものをネジ等を用いて接合させてもよい。
【0014】
次に、図2を用いて、本発明の特徴である伝播部41と吸収材5との当接関係について説明する。図2には、図1のx−x方向の断面図であって振動伝播端面42を拡大した図である。同図中、mは吸収材の直径を表し、dは振動伝播端面42の直径を表す。同図ではd=mとして描かれているが、dおよびmの値はこれに限定されるものではない。同図に示すように、吸収材5の上端面50は水平方向(y−y方向)にあって、振動伝播端面42の中心Cを横切る位置に固定される。このように、振動伝播端面42の領域を全て吸収材5に当接させるのではなく、吸収材5の上端面50が振動伝播端面42の中心Cと重なるように配置する。換言すれば、振動伝播端面42上において、吸収材5と当接する領域42Bと当接しない領域42Aとが形成され、その境界は中心Cを通る位置にあるということである。このように、いわば、吸収材5の当接位置を振動伝播端面42に鉛直方向(同図のx−x方向)に対し、同図において鉛直方向に1/2dだけずらすのである。なお、同図に示すようにd=mの場合およびd<mの場合は、領域42Aと42Bとの面積は等しくなる。d>mの場合は領域42Aの面積のほうが42Bよりも大きくなるが、吸収材5の上端面50が振動伝播端面42の中心Cと重なるように配置することには変わりがない。
【0015】
本願発明者は、吸収材5の上端面50の位置を変えて実験を重ねた結果、吸収材5の当接位置をずらすことによって霧化効率が向上すること明らかにした。さらに、吸収材の直径mの値、液体7や吸収材5の材質、発生させる振動数、室温その他の要素に関わらず、吸収材5の上端面50の位置が振動伝播端面42の中心Cと重なる位置にある場合が最も霧化効率が高くなるという結果を得た。さらに、この位置関係にある場合が、噴霧される粒子の方向が最も上方となることも判明した。さらに、霧化されるまでの時間が最も短縮されることも確認された。また、この位置関係にある場合が、最も安定して霧化が起こることを明らかにした。
【0016】
このように、本発明に係る超音波霧化装置1によれば霧化効率が向上する。さらに、霧化が起こるまでの時間が短縮される。換言すれば、超音波霧化装置1のスイッチを入れてからの反応が高速であるということであるから、例えば3秒間隔でスイッチのON/OFFを繰り返し振動ユニット4に供給する電力を制御することにより、間欠的に香気を発生させるといったきめ細かな制御を行うことも可能である。また、本発明の当接位置の構成を採用すれば、粒子は上方に噴霧されるので、粒子を部屋中に偏りなく効率的に拡散させることができる。これにより、例えば真横等に噴霧した場合に比べ、霧化した粒子が再び液体となって床や机等に溜まることを防止するという効果もある。また、高霧化効率を実現するために振動ユニット4の振動数を上げたり、吸収材5や振動伝播端面42を大型化したりする必要がないので、装置全体の小型化を図ることができる。
【0017】
<実施例2>
続いて、本発明の他の実施例に係る超音波霧化装置を説明する。本実施例に係る超音波霧化装置おいては、超音波霧化装置1のハウジング部2、容器部3、吸収剤5および基板6を有して構成されるが、振動ユニット4に替えて振動ユニット10を用いることおよび振動ユニット10の設置方法等に関連する点について、実施例1と異なる特徴を有する。以下、この特徴につき詳説する。なお、実施例1と実施例2において共通する部材については同一の符号を付してある。
【0018】
図3および4は、振動ユニット10およびその設置の態様(吸収剤5との位置関係を含む)を表した図である。図3に示すように、振動ユニット10は、圧電素子等からなる振動発生部110と、発生した振動を吸収剤5に伝播させるための伝播部100とから構成される。伝播部100は、振動伝播端面104を有するホーン形状の先端部101と、振動発生部110と機械的に接触する後端部102と、先端部101と後端部102との間に設けれ、ユニットホルダ140と接触する凹部103の3つの部位から構成される。振動発生部110は、電源供給部120(例えば半田)を介して給電線130が取り付けられており、および基板6上などに設けられた電源(図示せず)から電力が供給されるようになっている。また、振動発生部110と後端部102とは、例えば所定の厚さに形成された接着材(図示せず)によって固着される。
【0019】
同図から判るように、本実施例においては、振動ユニット10は、吸収剤5と所定の角度をなすように固定される。図3には、振動伝播端面104が吸収剤5の上端面50に対して45°の角度をなすように固定された例が示されている。このとき振動伝播端面104と吸収剤5は、理想的には上端面50上の縁の一点P(すなわち円柱形状を有する吸収剤5の角)で接触することになる。本実施例のように、振動伝播端面104と上端面50とが所定の角度をなすように当接させることにより、当接角度を90°(0°)とする場合に比べて霧化の量および安定性が増すことを本願発明者らは明らかにした。
【0020】
また、同図に示すように、本実施例においては、吸収材5の周囲の一部を覆うように支持部材150が設けられる。これにより、吸収剤5に加えられるy−y方向の力によって、吸収剤5が損傷せず、且つ先端部101からの押圧力が一定に保たれるため、吸収剤5に加えられる振動状態が安定し、吸収剤5からの無化量を一定に保つことが可能となる。なお、非振動状態において支持部材150と吸収剤5との間には所定の間隔が設けられていてもよいし、接触していてもよい。
【0021】
図4は、振動ユニット10および関連する構成要素をx−x方向から見た図である。図3および図4に示すように、振動ユニット10は、凹部103において、図示せぬ基板6上に設けられたユニットホルダ140によって挟持される。また、基板6には電源(図示せず)と接続された電源供給用基板160が設けられ、給電線130と接続される。なお、電源の供給方法はこれに限らず、例えば給電線130をハウジング部2の外側まで取り回し、外部の電源と接続してもよい。また、ユニットホルダ140を基板6へ固定する方法は任意であり、例えばネジを用いることができる。
【0022】
上述した通り、理想的には、吸収剤5と振動伝播端面104は一点Pで接触するように構成されるが、吸収材5には有限の弾性率があり、且つ一定の接触圧力が作用しているため、接触領域は厳密には一点とはならず二元元的な広がりを持っていると把握される場合もある。しかし、この場合であっても、上述した当接角度は所定角(45°)に保たれている。なお、接触圧力は、霧化させるべき液体7の粘性などの物性や振動発生部110にて発生させる振動の周波数などのパラメータに応じて、適宜設定することができる。また、当接位置Pの微妙な調整は、例えばユーザが目視確認することによって行ってもよい。また、図3および4で説明した例では当接位置Pは上端面50上にあったが、図5に示すように、上端面50から微小距離Δだけ離れた位置に設定してもよい。この場合、当接位置Pは吸収剤5の側面にあることになる。
【0023】
図3および4にて説明した実施例においては、振動発生部110と後端部102とは接着剤によって固着されたが、振動発生部110と後端部102との固定方法はこれに限らない。図6(a)および図6(b)は、振動発生部110と後端部102の固定方法に係る他の例を示した図である。図6(a)は振動ユニット10の断面図であり、図6(b)は振動ユニット10の外観斜視図である。図6(a)に示すように、102と110との間には接着層を設ける代わりに、絶縁シート190で振動発生部110の全面を被覆し、その外部を振動子ホルダ200によって圧着する。振動子ホルダ200が凹部103と嵌合することにより、所定の圧着力で振動発生部110と伝播部100の後端部102とが固定される。振動子ホルダ200は、例えばSUS等の金属材料で構成されており、図6(b)のx−x’方向からスライドさせることにより嵌め込まれる。なお、絶縁シート190および振動子ホルダ200には、それぞれの中央部に給電線130を通すための貫通孔が設けられる。
【0024】
振動発生部110と後端部102の固定方法の更に他の例を図7(a)および図7(b)を用いて説明する。図7(a)は振動ユニット10の断面図である。図7(a)に示すように、この実施例においては、振動発生部110と後端部102とをネジ210およびナット220を用いて固定する。具体的には、振動ユニット10をz’−z方向から見た図を表す図7(b)から判るように、振動発生部110の中央部にナットを貫通させるための孔を、後端部102には対応する位置にネジ孔をそれぞれ設けてネジ止めする。また、振動発生部110とナット210の間には、絶縁シート190と、振動発生部110に電源を供給するための端子240とが設けられる。端子240は、振動発生部110の側面から突出している。
【0025】
また、図8に示すように、後端部102にネジ溝Sを切っておくとともに、このネジ溝Sと係合するネジ止め部材230によって、振動発生部110を後端部102に圧着させるようにしてもよい。ネジ止め部材230が金属である場合は、ネジ止め部材230と振動発生部の接触面に適宜、絶縁シート190を設ければよい。
【0026】
<実施例3>
本実施例に係る超音波霧化装置は、実施例1に開示されたハウジング部2および容器部3に替えて、ハウジングヘッド20および容器部30を用いることを特徴とする。以下、これらの特徴部分について詳説する。なお、実施例1および2に開示された構成要素と同一のものには同一の符号を付す。図9は、ハウジングヘッド20の断面構造を表す図である。同図に示すように、ハウジングヘッド20は、霧化された気体を外部に放出するための孔が設けられたヘッドカバー21と、ヘッド本体部23と、両者を固定するためのネジ22とから構成される。なお、ネジ22を用いずに、ヘッドカバー21とヘッド本体部23とを接着材を用いて接合してもよいし、両者を一体成形してもよい。
ヘッド本体部23は、プラスチック樹脂などで形成されており、上記実施例で説明した基板6(図示せず)および振動ユニット10等を取り付けるためのユニットホルダ等が設けられる。なお、振動ユニットの取り付け方法などについては、実施例1または実施例2で記載された方法を用いることができるので、本実施例では説明を省略する。ヘッド本体部23には、さらに容器部30をネジ止めするためのネジN1部が設けられている。また、吸収剤5が設けられる。吸収剤5とヘッド本体部23との接合方法は任意であるが、後述するように、容器部30との係合時に下方(容器部30側)からの力に対して強いような係合方法を用いることが好ましい。吸収剤5は、好ましい態様において尖端部Tを有する。同図から明らかなように、吸収剤5が、容器部内に蓄えられた液体7と直接、接触しない点で、本実施例3は上記実施例と異なる。
【0027】
図10は、ハウジングヘッド20と容器部30とを係合させた状態の断面図を表す。同図に示すように、容器部30は、ガラス等で形成された瓶31、瓶31に封入された液体7、ゴムなどで形成された中栓33、およびファイバーロッド32で構成される。瓶31の上部の外側にはネジN2が切られており、このネジ溝によってウジングヘッド20と容器部30とが固定される。ファイバーロッド32と瓶31は中栓33を介して押止される。なお、中栓33には、空気孔(図示せず)が設けられる。
ハウジングヘッド20と容器部30がネジ止めされる際、吸収剤5がファイバーロッド32に押止される。ファイバーロッド32は、吸収剤5と同様、その表面で液体に接するとその液体を吸収して毛細管現象等によって上部に運搬することのできる機能を有する物質で構成される。また、ファイバーロッド32は、直径は吸収剤5よりも大きい円筒形であり、その下端は、液体7に浸漬することの位置(例えば瓶31の底面付近まで)まで達している。ファイバーロッド32の下部で吸い上げられた液体7は、ファイバーロッド32の上部に運ばれる。ここに到達した液体7は、更に吸収剤5によって上部へ運ばれる。なお、ファイバーロッド32は、吸収剤5と押止される都合上、プラスチック樹脂等の比較的(例えば吸収剤5に比べて)柔らかい物質で形成されることが好ましい。
【0028】
このように本実施例によれば、振動ユニットが設けられるハウジングヘッド20と、液体7が封入された容器部30とを別体として形成し、ネジによって固定することで、両者を別々に製造・運搬・販売することが容易になる。例えば、図10において、ハウジングヘッド20の代わりにN2と係合するネジ構造を有するプラスチックカバー(図示せず)を取り付ければ、香気液体が入った瓶単体として運搬・販売することができる。容器部30に中栓を設けているため、運搬時に液体7がこぼれ出すといった瓶単体として取引する際に重大な障害となる問題も発生することがない。
また、本実施例の構成によれば、ユーザは、購入した容器部30に別途購入したハウジングヘッド20をネジ止めするだけで超音波霧化装置の機能を手に入れることができる。つまり、香気液体を自身の手で詰め替えたり、香気の種類ごとに振動ユニットを購入したりする必要がない。ハウジングヘッド20を1つ購入すれば、取り付ける容器30を変えることにより、手軽に様々な種類の香気を発生させることができるからである。
また、本実施例によれば、ハウジングヘッド20に取り付けられる吸収剤(導入芯)は、容器部31内の液体と直接接触させる必要がないので、その長さを短くすることができ、結果としてハウジングヘッド20をコンパクトにすることができるから、ハウジングヘッド単体としての販売や運搬が容易になる。また、吸収剤5をハウジングヘッド20の下方(すなわち外部)に露出させずに済むから、吸収剤5が運搬中に折れたり傷ついたりする虞がない。
【0029】
本発明は、上述した実施例に対して様々な変形等を施すことが可能である。以下、その一例を説明する。霧化させる液体7の種類や超音波霧化装置1の用途に制限はない。例えば、液体7としてアロマテラピーに用いられる各種エッセンシャルオイルを用いてもよいし、液体7としてエタノール等のアルコールを用いて医療器具として使用することも可能である。また、噴霧量や噴霧時間(時間間隔)については、液体の種類、吸収材の特性、あるいは超音波霧化装置1の用途に応じて好適な値を選択することができる。また、伝播部41および100(ホーン)の形状についても任意である。なお、振動伝播端面42および104の断面形状は必ずしも円である必要はなく、実施例1においては、振動伝播端面42の領域を全て吸収材5に当接させるのではなく、吸収材5の上端面50が振動伝播端面42内に位置するように当接されていればよい。
実施例1においては、好ましい当接位置として、吸収材5の上端面50が振動伝播端面42の中心Cと重なる場合の他、例えば振動伝播端面42が中心対称でない形状の場合は、上端面50が振動伝播端面42の重心と重なるような配置位置を採用することも可能である。また、吸収材5の形状は、円柱の他、四角柱その他の柱状の形状を有するものであってもよい。
また、実施例2においては、更に、当接角度を45°することを特徴とするが、厳密に45°である必要はない。例えば30°や60°であっても霧化効率は向上するが、液体の粘性や振動数に関わらず45°付近で最も霧化効率および霧化安定性が向上することが、本願発明者らによって行われた実験によって明らかになった。
また、各実施例に記載された構成要素を組み合わせて用いてもよいことは勿論である。例えば、実施例3において、ハウジングヘッド20には実施例2に係る45°の角度で当接される振動ユニット10を用いたが、ハウジングヘッド20に実施例1にかかる振動ユニット4(当接角度は0度)を取り付けて超音波霧化装置を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】超音波霧化装置1の断面図を示す図である。
【図2】伝播部41と吸収材5との当接関係を説明するための図である。
【図3】振動ユニット10の設置態様の一例を説明するための図である。
【図4】振動ユニット10の設置態様の一例を説明するための図である。
【図5】同設置態様の他の例を説明するための図である。
【図6(a)】振動発生部110と伝播部100とを接合する一態様を表す図である。
【図6(b)】振動発生部110と伝播部100とを接合する一態様を表す図である。
【図7(a)】振動発生部110と伝播部100とを接合する他の態様を表す図である。
【図7(b)】振動発生部110と伝播部100とを接合する他の態様を表す図である。
【図8】振動発生部110と伝播部100とを接合する他の態様を表す図である。
【図9】ハウジングヘッド20と容器部30の接合部の断面図である。
【図10】ハウジングヘッド20の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・超音波霧化装置、2・・・ハウジング部、3、30・・・容器部、4,10・・・振動ユニット、5・・・吸収材、6・・・基板、7・・・液体、20・・・ハウジングヘッド、21・・・ヘッドカバー、22・・・ネジ、23・・・ヘッド本体部、31・・・瓶、32・・・ファイバーロッド、33・・・中栓、40,110・・・振動発生部、41、100・・・伝播部、42、104・・・振動伝播端面、50・・・上端面、101・・・先端部、102・・・後端部、103・・・凹部、120・・・電源供給部、130・・・給電線、140・・・ユニットホルダ、150・・・支持部材、160・・・電源供給用基板、190・・・絶縁シート、200・・・振動子ホルダ、210・・・ねじ、220・・・ナット、230・・・ネジ止め部材、240・・・端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に浸漬させることにより前記液体をその内部に取り込む柱状の吸収材と、
振動を発生させる振動発生部と、
平坦に形成された振動伝播面を有し、前記振動発生部にて発生した振動を前記吸収材に伝播する伝播部と、
を備え、
前記振動伝播面において前記吸収材に当接しない領域が存在するように、前記伝播部と前記吸収材の側面とが当接される
ことを特徴とする超音波霧化装置。
【請求項2】
前記振動伝播面の形状は円であって、
前記振動伝播面上における前記吸収材の上端面の位置が前記振動伝播面の中心に重なるように、前記伝播部と前記吸収材の側面とが当接される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項3】
前記振動伝播面と前記吸収剤の上端面とのなす角が所定値となるように、前記伝播部と前記吸収剤とが当接される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項4】
前記所定値は45°である
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波霧化装置。
【請求項5】
前記伝播部は前記吸収剤の上端面の縁で当接する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の超音波霧化装置。
【請求項6】
前記振動発生部と前記伝播部とは接着材によって固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項7】
前記振動発生部と前記伝播部とが圧着されるように、前記伝播部と係合する振動子ホルダを更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項8】
前記伝播部と前記振動発生部とを固定するためのネジとナットとを更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項9】
前記伝播部にはネジ溝が切られ、
前記ネジ溝と係合することにより前記伝播部と前記振動発生部とを固定するネジ止め部材を更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項10】
ハウジングヘッドと容器部とから構成される超音波霧化装置であって、
前記ハウジングヘッドは、
液体と接触すると当該液体をその内部に取り込む柱状の第1の吸収材と、
振動を発生させる振動発生部と、
平坦に形成された振動伝播面を有し前記振動発生部にて発生した振動を前記吸収材に伝播する伝播部とを備え、
前記振動伝播面において前記吸収材に当接しない領域が存在するように、前記伝播部と前記吸収材の側面とが当接され、
前記容器部は、
液体を貯蔵するための容器と、
前記容器に固定され、液体と接触すると当該液体をその内部に取り込む柱状の第2の吸収材とを備え、
前記第1の吸収剤が前記第2の吸収剤に押止された状態で、前記ハウジングヘッドと前記容器部とが係合する
ことを特徴とする超音波霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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