説明

足場装置とその設置方法及び移動方法

【課題】橋脚などの障害物箇所を吊下げたままで移動することができる足場装置を提供する。
【解決手段】作業用の足場本体2と、この足場本体2に設けられ該足場本体2を橋梁101の鍔部に吊下支持して移動する移動支持装置3とを備える。対をなす移動支持装置3,3を足場本体2に移動可能に設け、橋梁101に吊下支持する吊下げ装置61を、足場本体2に移動可能に設け、この吊下げ装置61は足場本体2の上方で上下方向に伸縮する伸縮アームたる縦桟部63を備えるから、足場本体2の略重心位置に吊下げ装置61を移動し、縦桟部63を上方に伸ばし、縦桟部63の上部に吊り具96を連結して吊下げることにより、1点で安定した吊上げ状態が得られ、旋回なども容易に行うことができ、障害物箇所の移動も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁に用いる足場装置とその設置方法及び移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の足場装置として、人が乗って作業することのできる足場本体に、足場本体の長手方向に摺動可能に取り付けられる摺動手段と、橋梁の橋桁、横桁等のフランジを上下から挟み全体を橋桁、桁等に吊り下げる吊下げ把持手段と、この吊下げ把持手段に対して前記足場本体を旋回させる旋回手段と、前記吊下げ把持手段を足場本体に対して昇降させる昇降手段とから成る取付旋回装置を取り付けた旋回移動式橋梁点検足場(例えば特許文献1)があり、また、人が乗って作業することのできる足場本体とこの足場本体を橋梁の横桁又はこれに平行な専用レールに走行可能と、それら橋梁又は専用レールを走行する車輪を備えた橋梁用点検足場(例えば特許文献2)がある。
【0003】
また、上記のような足場装置を橋脚下部に吊り込む方法として、俯仰アームと垂直サドル,垂直ビームからなるブームを備えた専用車両により、点検足場を橋下に潜り込ませる方法(例えば特許文献3)や、作業足場の他端部と反対側に該作業足場の重量に平衡する専用のバランスウェイトを設け、橋上から橋下に吊り込む方法(例えば特許文献4)がある。
【0004】
上記特許文献1の装置では、作業場所を変える際には、一方の取付旋回装置を橋桁から外し、橋桁にまだ取り付けられている取付旋回装置の旋回手段のハンドルを回して、足場本体を旋回させて移動するものであるから、移動作業に手間が掛かり、また、橋の長さ方向に足場本体を連続的に移動することができない。
【0005】
一方、特許文献2の装置では、専用レールを用いた場合は、橋の長さ方向に連続的に足場本体を移動することができる。しかし、専用レールを設けずに、橋桁のフランジなどをレールに用いた場合、鋼材からなる橋桁の接合には、両側のフランジやウエブを挟むように添接板を設けると共に、それら添接板にボルトを挿通して接合されるため、接合箇所などにおいてフランジの外面に添接板とボルトがあり、フランジ上面は連続した平面とはならず、添接板を設けた接合部で走行不能となるため、専用レールが必要となり、この専用レールは橋の全長に幅方向両側に設けなければならず、設備費用が高騰する問題がある。
【0006】
また、上述した足場装置を橋脚下部に吊り込む方法で、引用文献3では専用車両を必要とするため、汎用的なクレーンなどを使用することができず、また、引用文献4では釣合いのために別個に専用のバランスウェイトを必要とし、このバランスウェイトは吊り下ろしの際用いるものであるから、足場作業において不要であり、その重量により足場強度を余分に高める必要がある。
【0007】
このような問題を解決し、専用レールを用いずに連続的に移動することができる足場装置として、作業用の足場本体と、この足場本体に設けられ該足場本体を橋梁の鍔部に吊下支持して移動する移動支持装置とを備えた足場装置であって、前記移動支持装置は、前記鍔部上を移動する複数の上回転移動手段と、前記鍔部下に押し付けられる又は吸着する下回転移動手段と、前記上回転移動手段を前記鍔部上の移動位置と非移動位置とに切替える切替え手段とを備え、それら上,下回転移動手段により前記鍔部を挟んだ状態で前記下回転移動手段の回転力により前記足場本体を移動する足場装置(例えば特許文献5)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭59−145807号公報
【特許文献2】特開昭59−130904号公報
【特許文献3】特開昭62−185907号公報
【特許文献4】特開昭62−288258号公報
【特許文献5】特開2007−51416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記足場装置では、橋梁の鍔部を上,下回転移動手段により挟んで足場本体を吊り下げ、下回転移動手段の回転力により移動し、橋桁接合部の添接板やボルト、あるいは橋桁に横桁が連結された箇所などでは、移動を停止し、上回動移動手段を非移動位置に切り替えて、前記箇所を通過した後、上回動移動手段を移動位置に切り替えて移動することができる。また、下回転移動手段は鍔部に押し付けられ又は吸着するから、該下回転移動手段の回転力により確実に足場本体を移動することができる。
【0010】
ところで、上記の足場装置では、橋梁の鍔部の長さ方向に移動しながら作業を行うことができるが、橋脚箇所では橋脚などが障害となって鍔部に沿って移動することができないという問題がある。
【0011】
このため橋脚箇所まで移動した後、一旦、足場装置を橋梁から外し、橋脚の他側に足場装置を吊下げる作業が必要となり、作業の連続性が低下する。また、橋梁に起重機を配置して足場装置の吊り下ろしを行うと、その間道路を通行止めにする必要が生じ、通行の妨げとなる。
【0012】
そこで、本発明は、橋脚などの障害物箇所を吊下げたままで移動することができる足場装置を提供することを目的とし、加えて、設置作業と障害物箇所の移動作業が容易な足場装置の設置方法と移動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、作業用の足場本体と、この足場本体に設けられ該足場本体を橋梁の鍔部に吊下支持して移動する移動支持装置とを備えた足場装置において、対をなす前記移動支持装置を前記足場本体に移動可能に設け、前記橋梁に吊下支持する吊下げ装置を、前記足場本体に移動可能に設け、この吊下げ装置は前記足場本体の上方で上下方向に伸縮する伸縮アームを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、前記移動支持装置を前記足場本体に沿って移動する移動支持装置駆動手段と、前記吊下げ装置を前記足場本体に沿って移動する吊下げ装置駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に係る発明は、請求項1記載の足場装置の設置方法において、前記橋梁は左右方向に間隔を置いて複数の前記鍔部を有し、前記橋梁の側部に吊下げ手段を配置し、起重機により一方の前記吊下げ装置を用いて前記足場装置を吊り上げ、この吊り上げた足場装置を前記一方の吊下げ装置により前記昇降吊下げ体に吊り下げ、この一方の吊下げ装置により吊下げた状態で、一方の前記移動支持装置を前記鍔部に支持し、前記一方の吊下げ装置と前記一方の移動支持装置により前記橋梁に前記足場装置を吊り下げた後、他方の前記移動支持装置を前記鍔部に支持し、この後、前記一方の吊下げ装置による吊下げを解除することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に係る発明は、請求項1記載の足場の移動方法において、前記橋梁は左右方向に間隔を置いて複数の前記鍔部を有し、対をなす前記吊下げ装置を備え、前記対をなす前記移動支持装置と前記対をなす吊下げ装置のいずれか2つにより前記足場本体を支持し、この状態で、該足場本体を橋梁の幅方向に移動すること特徴とする。
【0017】
また、請求項5に係る発明は、請求項1の足場の移動方法において、対をなす前記吊下げ装置を備え、前記橋梁は左右方向に間隔を置いて前記鍔部を複数有し、前記鍔部の下方の障害物を挟んだ前後で前記橋梁の側部に、前後の昇降吊下げ体を配置し、後の前記昇降吊下げ体に一方の前記吊下げ装置を吊下げ、この一方の吊下げ装置により吊下げた状態で前記足場装置を旋回して前記橋梁の前後方向に沿わせ、他方の前記吊下げ装置を他の前記昇降吊下げ体に吊下げ、前記一方と他方の吊下げ装置により吊下げた状態で、前記足場装置を前方に移動して他方の吊下げ装置の位置に該足場装置の重心を略合わせ、一方の吊下げ装置による吊下げを解除した後、前記他方の吊下げ装置を中心に前記足場装置を旋回して橋梁の下部に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の構成によれば、足場本体の略重心位置に吊下げ装置を移動し、伸縮アームを上方に伸ばし、伸縮アームの上部に吊り具を連結して吊下げることにより、1点で安定した吊上げ状態が得られる。この場合、吊り具の連結位置が足場本体の重心位置から離れるため、足場本体を略水平の状態に保持し易くなり、旋回なども容易に行うことができる。
【0019】
また、請求項2の構成によれば、駆動手段により移動支持装置と吊下げ装置が足場本体に沿って移動する。
【0020】
また、請求項3の構成によれば、起重機により一方の前記吊下げ装置を用いて前記足場本体を吊り上げ、この吊り上げた足場本体を前記一方の吊下げ装置により前記昇降吊下げ体に吊り下げた後、起重機を撤去できるから、起重機の作業を短時間で行うことができ、通行止め時間を短縮できる。
【0021】
また、請求項4の構成によれば、吊下げ装置と移動支持装置の合計4自由度の組合せができ、自由度が高い分、橋梁幅方向の移動の際、多様に対応することができる。
【0022】
また、請求項5の構成によれば、障害物箇所を短時間で移動でき、連続した作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1を示す足場装置の側面図である。
【図2】同上、移動支持装置の側面図である。
【図3】同上、移動支持装置の正面図である。
【図4】同上、移動支持装置の要部の正面図である。
【図5】同上、下回転移動手段の断面図である。
【図6】同上、下回転移動手段周りの側面図である。
【図7】同上、下回転移動手段の不連続部における吸着力の方向を示す説明側面図である。
【図8】同上、下回転移動手段の連続部における吸着力の方向を示す説明側面図である。
【図9】同上、足場装置の側面図である。
【図10】同上、吊下げ装置の正面図である。
【図11】同上、吊下げ装置の下部の断面図である。
【図12】同上、吊下げ装置の支持ローラ周り正面図である。
【図13】同上、吊下げ装置の案内ローラの正面図である。
【図14】同上、補助吊り部の使用状態を示す側面図である。
【図15】同上、吊下げ手段の正面図である。
【図16】同上、設置方法を説明する正面図であり、運搬車両からの吊下ろし作業を示す。
【図17】同上、設置方法を説明する正面図であり、旋回作業を示す。
【図18】同上、設置方法を説明する正面図であり、橋梁幅方向の移動作業を示す。
【図19】同上、移設方法を説明する正面図であり、旋回作業を示す。
【図20】同上、移設方法を説明する側面図であり、橋梁長さ方向の移動作業を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる足場装置を採用することにより、従来にない足場装置が得られ、足場装置とその設置方法及び移動方法を夫々記述する。
【0025】
以下、本発明の足場装置の実施例1について図1〜図20を参照して説明する。同図に示すように、足場装置1は、作業用の足場本体2と、この足場本体2を橋梁101の橋桁102の鍔部103に吊上支持して移動する複数(二つ)の移動支持装置3,3とを備える。
【0026】
前記移動支持装置3は、足場本体2上で左右に設けられる本体フレーム4,4と、この本体フレーム4を足場本体2の左右方向に移動可能に設けるフレーム駆動機構5,5と、前記本体フレーム4の前中後に設けられる前中後の上回転移動手段たる従動輪6,6,6と、これら前中後の上回転手段6,6,6の間に設けられた下回移動手段たる左右の駆動輪7,7とを備える。尚、前記橋桁102の鍔部103は鋼材などの磁性材からなる。
【0027】
前記足場本体2は、下枠部11と四方の手摺枠部12とを備える。この足場本体2の長さ方向の手摺枠部12の上桟13に、前記移動支持装置3の本体たる本体フレーム4が前記フレーム駆動手段5,5により連結されている。
【0028】
このフレーム駆動手段5は、図2及び図3に示すように、角パイプなどからなる前記本体フレーム4に板状の取付部材14の上部を固定し、この取付部材14は正面略三角形状をなし、その取付部材14の下部左右に複数のローラ15,15を設け、これらローラ15,15を前記上桟13内に転動可能に挿入している。また、前記上枠13の下方で前記手摺枠部12には、足場本体2の長さ方向に連続するラック16が固定され、このラック16に噛合する歯車17を前記取付部材14に軸支すると共に、この歯車17の軸に下側従動スプロケット18を設ける。また、本体フレーム4内には回転伝達軸19を軸支し、この回転伝達軸19の両端に上側従動スプロケット20,20を設け、それら上側,下側従動スプロケット18の間に中間スプロケット21を設け、それらスプロケット18,20,21にチェーン22を掛装する。さらに、前後一方の取付部材14に駆動手段たるモータ23を設け、このモータ23により一方の中間スプロケット21を回転駆動する。尚、前記上桟13はコ字型の鋼材からなる。
【0029】
したがって、フレーム駆動機構5のモータ23を駆動すると、左右一方の中間スプロケット21の回転駆動により左右一方の上側及び下側従動スプロケット20,18が回転し、この回転が回転伝達軸19により左右他側のスプロケット18,20,21に伝達され、左右の下側駆動スプロケット18,18が同期して回転し、ラック16,16との歯合により本体フレーム4が足場本体2の長さ方向に沿って移動する。
【0030】
尚、図9などに示すように、前記下枠部11の両側には、角パイプからなる下桟13Aが設けられている。
【0031】
前記従動輪6は、鍔部103に接する移動位置において、前記鍔部103の上面を回転しながら移動し、前記足場本体2の荷重を支持するものであり、図4に示すように、前記本体フレーム4の一側に一側取付部31を設け、この取付部31に枢軸32により略L字型の回動アーム33の基端側を回動可能に設け、この回動アーム33の先端に前記従動輪6を遊転可能に設け、これにより従動輪6は、本体フレーム4に対して、枢軸32を中心に回動可能に設けられる。尚、一対の移動支持装置3において、それぞれの回動アーム33は外側に回動する。
【0032】
また、図4に示すように、回動アーム33の基端側には、取付片34が突設され、この取付片34の先端に固定部材35を設け、この固定部材35は横軸35Aを中心に回動可能に設けられている。また、前記本体フレーム4の他側に他側取付部36を設け、この他側取付部36の上部にナット体37を設け、このナット体37は横軸37Aを中心に回動可能に設けられている。そして、横方向の螺子棒38を前記ナット体37を螺合し、この螺子棒38の先端に前記固定部材35を固定し、前記螺子棒38の基端には操作部たるラチェット39が設けられ、図4に示すように、螺子棒38が略水平な状態で、前記従動輪4が鍔部103に接地して足場本体2を支持する移動位置となる。
【0033】
したがって、前記ラチェット39を操作して、螺子棒38をナット体37に捻じ込んでいくと、ナット体37を中心に螺子棒38の先端側が高くなるように傾動し、固定部材35は枢軸32を中心に円弧Kの軌跡に沿って回転し、これにより回転アーム33が外側に倒れるように回転し、従動輪6が非移動位置となる。そして、前記回転アーム33、固定部材35、ナット体37、螺子棒38及びラチェット39により、前記従動輪6を移動位置と非移動位置に切り替える切替え手段30を構成している。また、切替え手段30により螺子棒38を逆方向に移動すると、従動輪6を移動位置に切り替えることができる。
【0034】
また、前記回転アーム33の横部材41の下部には、前記鍔部103の縁に対応して、案内ローラ42が縦設され、この案内ローラ42は回動可能に設けられている。
【0035】
図6に示すように、前記駆動輪7は、昇降機構51により前記本体フレーム4に昇降可能取付けられている。前記昇降機構51は、駆動輪7とこの駆動輪7を取り付けた駆動手段たる減速機付きモータ52とを昇降するものであり、モータ52の側部に平板状の案内杆53を下方に向かって縦設し、この案内杆53を上下に案内する案内部材54を取付部材55により前記本体フレーム4に設け、その案内部材54は案内杆53を両側から挟むローラ54Aを複数有する。前記取付部材55は本体フレーム4に固定されている。
【0036】
前記駆動輪7は、鍔部103に吸着する磁石を備えた吸着車輪であり、吸着を解除する解除手段56を有する。この解除手段56は、操作杆57を備え、この操作杆57は上端を枢軸57Aにより前記モータ52に枢着し、下端側を前記取付部材55の透孔55Aに挿通し、その操作杆57の下部に雄螺子部57Bを有し、この雄螺子部57Aに筒状の操作体58の雌螺子部58Aを螺合し、その操作体58は突出した操作部59を有する。
【0037】
したがって、操作体58を回して取付部材55の下面に操作体58を当接し、さらに操作体58を回すことにより、モータ52を引き下げ、駆動輪7を鍔部103から引き離すことができる。
【0038】
前記駆動輪7は、鍔部103に吸着する磁石を備えた吸着車輪であり、図5〜図8に示すように、車輪フランジ111,これと一体に設けた二枚の側坂112,112,磁石114,114A,磁石取付アーム115を備え、前記磁石114,114Aは、磁石取付アーム115を介して、前記モータ52の駆動軸52Aの軸受60に固着され、駆動軸52Aに対して軸受60が回転可能に設け、一方、一つの側板112の中央にはハブ部116が設けられている。前記車輪フランジ111は非磁性材からなり、磁石の磁場に影響を与えない。また、車輪フランジ111の全周には、駆動輪7が移動する際に、移動面である鍔部103を損傷しないようにゴムなどの柔軟部材117を被覆している。
【0039】
そして、前記磁石取付アーム115を軸受60により駆動軸52Aに回動可能に設けることにより、駆動輪7が鍔部103に沿って回転移動するとき、駆動軸52Aに懸架された磁石114は、磁性体である鍔部103に対して最も磁場の強まる方向を自ずと向き、吸着力(吸磁力)はその方向に駆動軸52Aを介して駆動輪7を押し付ける押し付け力として作用し、一方、車輪フランジ111はハブ部116により駆動軸52Aと一体となって回転駆動し、これにより橋梁101の長さ方向に足場装置1が移動する。
【0040】
この駆動輪7の吸着力は、磁石・磁性体間のギャップと磁石114,114Aの形状によって決まる。このクラスの駆動輪7であれば、車輪フランジ111にかなり厚手の柔軟材117を巻いたとしても車輪フランジ111の厚さは10mmあれば十分であるから車輪フランジ111と磁石114とのキャップを12mmとすれば吸着力は250kgf位まで期待できる。この時、磁石114及びそれ以外の車輪重量はそれぞれ8kg、全体で16kgであるから、車輪単位質量当たり吸着力は約16kgf/kgとなる。
【0041】
一方、磁石114の幅Lに注目すると、接地中心から外側に行くにつれて磁石114と鍔部103とのギャップが増大するため、この方向に磁石114を大きくしてもあまり吸着力の増加は期待できず、磁石114の幅Lをある程度以上大きくする必要はない。
【0042】
そして、図4などに示すように、従動輪6を鍔部103の上面に配置すると共に、駆動輪7を鍔部103の下面に吸着し、それら従動輪6と駆動輪7により鍔部103を挟んで足場本体2を橋桁102の下に吊下げる。尚、前記移動支持装置3の本体フレーム4は、モータ23により上桟13に沿って移動可能であるから、両側の本体フレーム4の位置や間隔を橋梁101に合わせて調整できる。
【0043】
前記吊下げ状態において、駆動輪7の磁石114が磁性材からなる鍔部103に磁力により吸着することに足場本体2を支持するから、荷重的に従動輪6を小型化することができる。そして、モータ52により駆動輪7を回転駆動し、これによる回転力によって橋桁102の長さ方向に移動し、所定位置で停止して橋梁101下部のメンテナンスを行う。このメンテナンスには塗装による補修作業や各種の点検作業などが挙げられる。
【0044】
前記移動支持装置3により移動中、図7に示すように、添接板105,105に鍔部103を挟み、ボルトナット106により挟着することにより橋桁102,102を連結した箇所が、図8の右側にある場合、切替え手段30により右側の従動輪6を非移動位置とする。このようにすることにより、従動輪6が前記添接板105などに干渉することなく、移動することができる。1つの従動輪6を非移動位置に動かしても、他の2箇所の従動輪6と、2つの駆動輪7により、足場本体2は安定して吊下げられる。このようにして、鍔部103に不連続部が有っても、足場本体2を移動することができる。
【0045】
そして、磁石114を備えた駆動輪7を駆動し、橋桁102の鍔部103を代用レールとして使用し、専用の走行レールが不要であるため、仮設式移動足場として複数の橋梁に対して転用が可能となる。また、磁石114を備えた駆動輪7を用いることにより、鍔部103の不連続部においても、駆動輪7を吸着したまま走行することができる。さらに、足場本体2は構造がシンプル・堅牢であるため、足場本体2のメンテナンス性に優れる。また、仮設式でありながら常設足場と同様に耐久性を備え、休止時には橋梁101に長期間係留・保管することができる。さらに、橋梁101上などの現場での組立作業が無いため、設置を迅速に行うことができる。
【0046】
次に、上記のような足場装置に設ける吊下げ装置について説明する。図9〜図15に示すように、足場本体2は複数(二つ)の吊下げ装置61を備え、この吊下げ装置61は、下桟部62の両側に縦桟部63,63を一体に設けたフレーム体64を備え、このフレーム体64は、前記足場本体2に外装するように配置される。また、前記下枠部62と縦桟部63の連結箇所には、左右方向に長い略長方形形状のベース部材65を固設し、このベース部材65の左右には、図11〜図12に示すように、前記下桟13Aを上下から挟む支持ローラ66,66,66,66が回動可能に設けられ、これら支持ローラ66,66,66,66によりフレーム体64が足場本体2に対して略垂直状態で左右に移動可能になっている。また、一方のベース部材65及び縦桟部63には、吊下げ装置駆動手段たる減速機付きモータ67が縦設され、このモータ67により横方向の駆動軸68が回転駆動し、この駆動軸68は前記ベース部材65に軸支されている。前記下桟13Aの上方で前記手摺枠部12には足場本体2の長さ方向にラック69が設けられ、このラック69に歯合する歯車70を前記駆動軸68に設ける。また、前記駆動軸68に上側スプロケット71を設け、前記下桟部62内に回転伝達軸72を軸支し、この回転伝達軸72の両端に下側スプロケット73,73を設ける。他方の前記ベース部材65に、従動軸74を軸支し、この従動軸74に上側スプロケット71と前記歯車70を設け、この歯車70が前記ラック69に歯合し、回転伝達軸72の両側において、前記スプロケット71,73にチェーン75を掛装している。
【0047】
また、前記ベース部材65には縦軸76を設け、この縦軸76に案内ローラ76Aを設け、図10及び図13に示すように、前記案内ローラ76Aは、前記ベース部材65に穿設した透孔65Aから前記下桟13Aの外面に臨んでおり、両側の案内ローラ76A,76Aにより足場本体2に対するフレーム体64の位置決めがなされる。
【0048】
したがって、一方側に位置するモータ67を駆動すると、歯車70が回転すると共にスプロケット71,73とチェーン75により回転伝達軸72が回転し、他方側において、スプロケット71,73とチェーン75により歯車70が回転し、両側の歯車70,70が同期して回転駆動し、吊下げ装置61が足場本体2の長さ方向に沿って移動する。
【0049】
前記縦桟部63は、前記下桟部62に固定された外管77と、この外管77内にスライド可能に挿入した内管78とを備え、この内管78の下端外面にはストッパ78Aを設け、このストッパ78Aが係止するストッパ受け77Aが前記外管77の上端内面に設けられ、ストッパ78Aがストッパ受け77Aに係止した位置が縦桟部63の最大伸長長さとなる。
【0050】
前記両側の縦桟部63,63の上部間には、横杆79が着脱可能に連結される。具体的には、前記内管78の上端に連結片80を設け、この連結片80に連結孔80Aを穿設し、前記横杆79の両端に連結片81を設け、この連結片81に複数の連結孔81A,81Bを上下に穿設し、前記連結孔80A,81Bを連結具たる複数のシャック82,82により連結し、上の連結孔81Aにシャックル82を連結する。尚、シャックル82は、略U字形の本体82Aと、この本体82Aの端部を塞ぐ閉塞部材たるボルトナット82Bとを備える。
【0051】
図9に示すように、前記吊下げ装置61は前記移動支持装置3と干渉することなく足場本体2の長手方向任意の位置に移動することができる。また、吊下げ装置61の鉛直部である縦桟部63はスライド式で伸縮自在となっており、使用時には上限まで延びて吊り点が高くなり、足場装置1の水平維持が好適となる。さらに、吊下げ装置61の上端の横杆79は容易に着脱可能であり、取り外して移動支持装置3を移動することができる。
【0052】
また、この例では、前記足場本体2は左右方向中央で分割され、この分割箇所において連結部材83により連結される。
【0053】
また、図14などに示すように、前記外管77の外側には、補助吊り部たる補助吊り片84が一体に設けられ、この補助吊り片84に透孔84Aが穿設されており、この透孔84Aに吊下げ手段たるレバーブロック85の連結具たるフック86を連結し、このレバーブロック85を橋梁101側に連結することにより足場本体2を橋梁101に吊設することができる。この場合、レバーブロック85に設けたクランプ87により鍔部103を挟むようにして橋梁101に連結することができる。そして、挟持具であるクランプ87がレバーブロック85を橋梁101に固定する固定手段であり、前記レバーブロック85とクランプ87により、吊下げ装置61を鍔部103に吊下げる鍔部吊下げ手段88を構成している。
【0054】
次に、前記足場装置1の設置方法について説明する。
(1)図16に示すように、二分割した足場装置1を上下に重ねて運搬車両91に載せ、設置予定場所の橋梁101上に搬入する。この際、上段の分割足場装置には2台の移動支持装置3と2台の吊下げ装置61が搭載されている。
(2)図16の右側に示すように、上段の分割足場装置の1台の吊下げ装置61を使い、起重機92で少し吊り上げて分割足場装置の水平状態を確認しながら足場装置1が水平になる位置まで該吊下げ装置61を移動させる。この場合、横杆79の両側上部のシャックル82,82にワイヤなどの吊り具93を連結し、この吊り具93を起重機92の吊り部であるフック94に係止する。尚、吊下げ装置61をそれぞれの重心近傍に移動させ、足場装置1を略水平の状態に保持することができ、これは吊り点鉛直部が上方に伸びることにより実現できる。
(3)そのまま上段の分割足場装置を起重機92で吊りながら運搬車両91に積んだままの下段の分割足場と連結する。
(4)足場装置1の連結が終了したら、(2)と同様の手順で吊下げ装置61を連結後の重心に移動し、水平状態で吊り上げる。
(5)そのまま、足場装置1を橋梁101と平行にした状態で桁下まで移動し、予め橋脚101の高欄101Aに固定した吊下げ手段であるチェーンブロック95に盛り替え、完了したら橋脚104等から作業者が足場装置1に乗り込む。盛り替え時には、予め横杆79の両側上部のシャックル82,82に、吊り具93とは別に吊下げ帯などの吊り具96を連結しておき、この吊り具96を吊下げ手段たるチェーンブロック95に連結した後、前記吊り具93を前記フック94から外す。尚、チェーンブロック95を操作して足場装置1を昇降することができ、チェーンブロック95は昇降吊下げ手段の一種である。
(6)作業者がチェンブロック95を操作して足場装置1を桁下に設置可能な位置まで吊り下げ、または、吊り上げる。
(7)図17に示すように、足場装置1を鍔部103より下方の旋回可能な位置まで吊下げたら、足場装置1を桁下に送り込むため、90°旋回させる。
(8)足場装置1の移動支持装置3を移動させて桁下に懸架する。まず、足場装置1の橋梁側端部の移動支持装置3を端部側に移動する。この際、吊下げに使用していない吊下げ装置61と残り1台の移動支持装置3で足場装置1の水平バランスを取る。例えば、図17においては、吊下げに使用している吊下げ装置61を位置固定した状態で、左側の移動支持装置3を端部側に移動する際、右側の移動支持装置3を反対側の右側に移動してバランスを取る。また、足場装置1に乗った作業者が反対側に移動してバランスを取ってもよい。このようにして右側の移動支持装置3を移動して鍔部103に係止する。
(9)使用中の吊下げ装置61と右側(移動方向前側)の移動支持装置3による2点吊り状態となったため、使用中の吊下げ装置61のモータ67と右の移動支持装置3のモータ23とを駆動して足場本体2を前方に送り出して使用位置にセットし、次いで後方の移動支持装置3を移動方向後側の鍔部103に懸架する(図18)。尚、足場本体2の送り出しは使用中の吊下げ装置61と右の移動支持装置3を同期させて移動させる。
(10)最後に、使用中の吊下げ装置61を解放して使用状態となる。尚、吊下げ装置61を解放すれば、内管78が降下して元の高さに縮む。
【0055】
連結後の足場本体2は約12mと有限である。そこで、足場本体2の長さを超える大幅橋梁に対して足場装置1を幅方向に送り出す合理的な橋梁幅方向の移動方法を提供する。以下に詳述する。
(1)図9などに示したように、吊下げ装置61の縦桟部63には補助吊り片84が設けてある。
(2)この補助吊り片84を使用してレバーブロック85で橋梁101の任意の位置に支持することで移動支持装置3を鍔部103から外しても。レバーブロック85を用いた2台の吊下げ装置61により足場装置1を長手方向2点吊りの状態とすることができる。移動支持装置3と吊下げ装置61で常に2点吊りの状態を保持しながら尺取りの要領で足場装置1を限りなく橋軸と直角の方向にシフトさせることができる。2台の吊下げ装置61,61と2台の移動支持装置3,3の4自由度の組合せがあるが実際の手続きは単純であり、自由度が高い分、多様に対応することができる。
【0056】
次に、前記足場装置1の移動方法について説明する。尚、この例では、障害物を橋梁101を支持する橋脚104として説明する。
(1)図19に示すように、足場装置1を橋梁101の側部のチェーンブロック95を用いて1台の吊下げ装置61により吊り下げた状態に戻す。この時は足場前方側の吊下げ装置61を使用する。
(2)チェンブロック95を操作して足場装置1が橋脚104の肩張り出し部104Aの下方を通過できる位置まで下降させる。
(3)足場装置1を橋軸と平行になるよう90°旋回させる。
(4)図20に示すように、移動支持装置3を移動させると同様の方法で足場装置1の水平を保ちながらもう1台の吊下げ装置61を、予め橋脚101の反対側(前方側)の高欄に固定しているチェンブロック95の位置まで移動させ、その後、その吊下げ装置61をチェンブロック95に掛けて2台の吊下げ装置61,61による橋軸に平行で長手方向2点吊りの状態とする。
(5)吊下げ装置61,61のモータ67,67を駆動して足場本体2を前側に送り、前側の吊下げ装置61に足場本体2の重心を合わせ、後側の吊下げ装置61の懸架を解除し、前側の吊下げ装置61による1点吊り状態とする。これは2台の吊下げ装置61,612を移動を同期させて運転することにより可能となる。
(6)足場装置1を90°旋回させ、その後、桁下設置可能な高さまで足場を引き上げる。
(7)以下は、上述した設置方法の(7)〜(10)と同様の手順で移設が完了する。
【0057】
上記の足場装置1では、足場本体2の長さ方向に移動可能な2台の吊下げ装置61,61を備え、該吊下げ装置61は足場装置1を吊る場合は上方に伸びるため、あたかもワイヤロープで2点吊りすると同様の効果があり、足場装置1の水平方向の重心が多少変化しても大きく傾斜することがない。足場装置1には2台の移動支持装置3,3の他、作業用の資材や機材が不定の位置に搭載されるため足場装置1の重心位置に1台の吊下げ装置61を移動させて吊り上げれば足場本体2を水平に吊ることができる。
【0058】
また、この方法による移動の所要時間は20分程度と極めて短時間であり、極めて短い。また、運搬車両91と起重機92は、設置作業の(5)の盛り替えが完了したら不要なため、道路規制(1車線)の時間は10分程度で済む。
【0059】
このように本実施例では、作業用の足場本体2と、この足場本体2に設けられ該足場本体2を橋梁101の鍔部103に吊下支持して移動する移動支持装置3とを備えた足場装置において、対をなす移動支持装置3,3を足場本体2に移動可能に設け、橋梁101に吊下支持する吊下げ装置61を、足場本体2に移動可能に設け、この吊下げ装置61は足場本体2の上方で上下方向に伸縮する伸縮アームたる縦桟部63を備えるから、足場本体2の略重心位置に吊下げ装置61を移動し、縦桟部63を上方に伸ばし、縦桟部63の上部に吊り具93を連結して吊下げることにより、1点で安定した吊上げ状態が得られる。この場合、吊り具93の連結位置が足場本体2の重心位置から離れるため、足場本体2を略水平の状態に保持し易くなり、旋回なども容易に行うことができる。
【0060】
また、このように本実施例では、移動支持装置3を足場本体2に沿って移動する移動支持装置駆動手段たるモータ23と、吊下り装置61を足場本体2に沿って移動する吊下り装置駆動手段たるモータ67とを備えるから、駆動手段により移動支持装置3と吊下げ装置61を足場本体に沿って移動することができる。
【0061】
また、このように本実施例では、請求項1記載の足場装置1の設置方法において、橋梁101は左右方向に間隔を置いて複数の鍔部103を有し、橋梁101の高欄101Aの側部に昇降吊下げ手段たるチェーンブロック95を配置し、起重機92により一方の吊下げ装置61を用いて足場装置1を吊り上げ、この吊り上げた足場装置1を前記一方の吊下げ装置61によりチェーンブロック95に吊り下げる吊下げ工程と、一方の吊下げ装置61により吊下げた状態で、一方の移動支持装置3を鍔部103に支持し、一方の吊下げ装置61と一方の移動支持装置3により橋梁101に足場装置1を吊り下げた後、他方の移動支持装置3を鍔部103に支持する吊下げ支持工程と、一方の吊下げ装置61による吊下げを解除する吊下げ装置61の吊下げ解除工程と、を備えるから、起重機92により一方の吊下げ装置61を用いて足場装置1を吊り上げ、この吊り上げた足場装置1を一方の吊下げ装置61によりチェーンブロック95に吊り下げた後、起重機92を撤去できるから、起重機92の作業を短時間で行うことができ、通行止め時間を短縮できる。
【0062】
また、このように本実施例では、請求項1記載の足場の移動方法において、橋梁101は左右方向に間隔を置いて複数の鍔部103を有し、対をなす吊下げ装置61,61を備え、対をなす移動支持装置3,3と対をなす吊下げ装置61,61のいずれか2つにより足場本体2を支持し、この状態で、該足場本体2を橋梁101の幅方向に移動するから、吊下げ装置61,61と移動支持装置3,3の合計4自由度の組合せができ、自由度が高い分、橋梁幅方向の移動の際、多様に対応することができる。
【0063】
また、このように本実施例では、請求項1の足場の移動方法において、対をなす吊下げ装置61,61を備え、橋梁101は左右方向に間隔を置いて鍔部103を複数有し、鍔部103の下方の障害物たる肩張り出し部104Aを挟んだ前後で橋梁101の側部に、前後の昇降吊下げ手段たるチェーンブロック95を配置し、後の昇降吊下げ手段たるチェーンブロック95に一方の吊下げ装置61を吊下げ、この一方の吊下げ装置61により吊下げた状態で足場装置1を旋回して橋梁101の前後方向に沿わせる始めの旋回工程と、他方の吊下げ装置61を他の昇降吊下げ手段たるチェーンブロック95に吊下げ、一方と他方の吊下げ装置61,61により吊下げた状態で、足場装置1を前方に移動して他方の吊下げ装置61の位置に該足場装置1の重心を略合わせ、一方の吊下げ装置61による吊下げを解除する前のチェーンブロック95による吊下げ工程と、他方の吊下げ装置61を中心に足場装置1を旋回して橋梁101の下部に配置する後の旋回工程とを備えるから、障害物箇所を短時間で移動でき、連続した作業が可能となる。
【0064】
また、実施例上の効果として、前記レバーブロック85とクランプ87を備えた鍔部吊下げ手段88を備えるから、橋梁101の下部において、吊下げ装置61を鍔部103に簡便に連結することができる。また、鍔部吊下げ手段88を連結する補助吊り片84を外管77に設けたから、鍔部103に近い位置で足場装置1を吊設することができる。
【0065】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、請求項1においては、吊下げ装置は1台でもよい。また、駆動手段はモータに限らず、各種のものを用いることができる。また、上,下回転移動手段は各種のものを用いることができ、例えば、回転する球状のものや、クローラ式のものなどでもよい。また、移動駆動手段も、実施例に示した駆動輪に内蔵するものに限らず、回転操作用のハンドルなどを用いて手動により回転するなどの各種の手段を用いることができる。さらに、実施例では、固定足場本体に1つの可動足場本体を設けたが、可動足場本体を2つ以上にしてもよい。また、実施例では、本体フレームに複数の下回転移動手段を備えるものを示したが、下回転移動手段は、1個でも、3個以上でもよい。さらに、下回転移動手段は、回転時に鍔部と滑りが発生しない程度に鍔部下に押し付けられていればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 足場装置
2 足場本体
3 移動支持装置
4 本体フレーム
6 従動輪(上回転移動手段)
7 駆動輪(下回転移動手段)
23 モータ(移動支持装置駆動手段)
61 吊下げ装置
63 縦桟部(伸縮アーム)
67 モータ(吊下げ装置駆動手段)
77 外管
78 内管
79 横杆
92 起重機
93 吊り具
95 チェーンブロック(吊下げ手段)
101 橋梁
102 橋桁
103 鍔部
104A 肩張り出し部(障害物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用の足場本体と、この足場本体に設けられ該足場本体を橋梁の鍔部に吊下支持して移動する移動支持装置とを備えた足場装置において、対をなす前記移動支持装置を前記足場本体に移動可能に設け、前記橋梁に吊下支持する吊下げ装置を、前記足場本体に移動可能に設け、この吊下げ装置は前記足場本体の上方で上下方向に伸縮する伸縮アームを備えることを特徴とする足場装置。
【請求項2】
前記移動支持装置を前記足場本体に沿って移動する移動支持装置駆動手段と、前記吊下げ装置を前記足場本体に沿って移動する吊下げ装置駆動手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の足場装置。
【請求項3】
請求項1記載の足場装置の設置方法において、前記橋梁は左右方向に間隔を置いて複数の前記鍔部を有し、前記橋梁の側部に吊下げ手段を配置し、起重機により一方の前記吊下げ装置を用いて前記足場装置を吊り上げ、この吊り上げた足場装置を前記一方の吊下げ装置により前記昇降吊下げ体に吊り下げ、この一方の吊下げ装置により吊下げた状態で、一方の前記移動支持装置を前記鍔部に支持し、前記一方の吊下げ装置と前記一方の移動支持装置により前記橋梁に前記足場装置を吊り下げた後、他方の前記移動支持装置を前記鍔部に支持し、この後、前記一方の吊下げ装置による吊下げを解除することを特徴とする足場装置の設置方法。
【請求項4】
請求項1記載の足場の移動方法において、前記橋梁は左右方向に間隔を置いて複数の前記鍔部を有し、対をなす前記吊下げ装置を備え、前記対をなす前記移動支持装置と前記対をなす吊下げ装置のいずれか2つにより前記足場本体を支持し、この状態で、該足場本体を橋梁の幅方向に移動すること特徴とする足場装置の移動方法。
【請求項5】
請求項1の足場の移動方法において、対をなす前記吊下げ装置を備え、前記橋梁は左右方向に間隔を置いて前記鍔部を複数有し、前記鍔部の下方の障害物を挟んだ前後で前記橋梁の側部に、前後の昇降吊下げ体を配置し、後の前記昇降吊下げ体に一方の前記吊下げ装置を吊下げ、この一方の吊下げ装置により吊下げた状態で前記足場装置を旋回して前記橋梁の前後方向に沿わせ、他方の前記吊下げ装置を他の前記昇降吊下げ体に吊下げ、前記一方と他方の吊下げ装置により吊下げた状態で、前記足場装置を前方に移動して他方の吊下げ装置の位置に該足場装置の重心を略合わせ、一方の吊下げ装置による吊下げを解除した後、前記他方の吊下げ装置を中心に前記足場装置を旋回して橋梁の下部に配置することを特徴とする足場装置の移動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−231474(P2011−231474A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100352(P2010−100352)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レバーブロック
【出願人】(594091215)株式会社技術開発研究所 (9)
【Fターム(参考)】