説明

足温浴器

【課題】
足温浴器の使用後に、体に無理な負担をかけないで、楽に内容器内の湯を捨てることができるようにする。
【解決手段】
本体内に設けられた上面が開口した内容器1と、該内容器1を覆い本体の外郭を形成する外容器3と、該外容器3の底部に設けられた本体移動用の車輪13と、前記外容器3の後側に設けられた本体移動用のハンドル14とを備えた足温浴器において、前記外容器3の前側の壁面を底面から前方上方に向かって開いた勾配の角度で傾斜させるとともに、前記外容器3の前側の外壁に前記内容器1内の水7を捨てる際に浴室等の間仕切り等の敷居17段差に当てて載せることのできる滑り止めリブ15を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯を用いて足を温める足温浴器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の足温浴器は、図5に示すような構造のものが知られている。すなわち、上面が開口した略方形の内容器19の外側の側壁及び底面に発熱体20を設け、これらの内容器19及び発熱体20の外側を本体外郭を構成する外容器21で覆っている。
【0003】
内容器19の底部には排水口22が設けられ、この排水口22に接続された排水ホース23は外容器21を貫通して外部に導出しており、その先端には止水コック24が設けられている。排水ホース23は、普段は外容器21の保持部に引っ掛けられて保持されている。
【0004】
外容器21の外側底部には本体移動用の車輪25が設けられている。また、外容器21の後側には伸縮式のハンドル26が設けられている。
【0005】
以上のような足温浴器の使用方法は、ハンドル26を上に伸ばし、このハンドル26を手で引っ張って給湯口のある場所まで本体を移動させ、直接内容器19内に給湯口から給湯する。そののち、電源を接続して発熱体20に通電し、内容器19内の水27を適当な温度に加熱する。
【0006】
使用者は湯の中に浴用薬剤を規定量投入し、例えば図6に示すように椅子28に腰掛けて本体の内容器19内の水(湯)27に足を入れ、適当な時間保持することによって湯のエネルギーと浴用薬剤の作用で足の皮膚を通して人体を加温し、血液の流れにより、全身に湯の熱や薬剤の作用を伝えて血行を良くし、疲労回復,健康の維持増進を図る。
【0007】
使い終わって内容器19内の水27を排水するときは、ハンドル26を手で引っ張って浴室等へ本体を移動させ、排水ホース23を外容器21の保持部から取り外し、下に垂らして止水コック24を開け、内容器19内の水27を排水する(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2001−29424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来技術において、内容器19内の水27を排水するため浴室など排水場所に本体を移動させる場合、浴室の入り口に床との間仕切り等の敷居段差が有り、そのまま入ることが出来ない場合は、その場で排水ホース23を敷居の上を乗り越えて浴室側へ垂らして排水するが、内容器19内の水位が敷居を乗り越えた排水ホース23の最上部より同等以下であると、排水落差が取れないため排水出来ない。このような場合は、本体重量と例えば湯量10リットルの重量の併せて約15kgの重さの足温浴器を持ち上げて浴室等の排水場所に入って排水ホース23から排水するようにしていた。
【0010】
したがって、狭い場所によってはそのまま排水場所に入ることが出来ず無理な姿勢で入らなければならなかったり、また、本体を持ち上げるときの姿勢によって内容器の水27がこぼれたりして、女性や高齢者にとっては、重く、労力を要する作業であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本体内に設けられた上面が開口した内容器と、該内容器を覆い本体の外郭を形成する外容器と、該外容器の底部に設けられた本体移動用の車輪と、前記外容器の後側に設けられた本体移動用のハンドルとを備えた足温浴器において、前記外容器の前側の壁面を底面から前方上方に向かって開いた勾配の角度で傾斜させるとともに、前記外容器の前側の外壁に前記内容器内の水を捨てる際に浴室等の間仕切り等の敷居段差に当てて載せることのできる滑り止めリブを設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の足温浴器は、上記のように構成したことにより、排水作業時、体に無理な負担をかけないで、楽に排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図1〜図4を参照して説明する。図1は本発明の一実施例を示す足温浴器の側面縦断面図、図2は同じく足温浴器の外観斜視図、図3は同じく足温浴器の要部縦断面図、図4は同じく足温浴器の使用状態を示す図である。
【0014】
足温浴器本体18は、上面が開口した内容器1と、内容器1を覆い外郭を形成する外容器3とで構成されている。上面が開口した内容器1は、耐熱温度が120℃程度の樹脂等の電気絶縁材料により成形され、使用者の両足と湯を収納するのに適した形状及び容積を有している。内容器1の外側の側壁及び底面には、内容器1内に貯水された水7を加熱するコードヒータで構成された発熱体2が設けられている。なお、発熱体2は内容器1の耐熱温度以下の温度で制御されるものである。
【0015】
内容器1及び発熱体2の外側は、電気絶縁材料で成形された外容器3で覆われており、この外容器3で足温浴器本体18の外郭を構成している。
【0016】
外容器3の上部には、使用者が適当な湯の温度を設定することができ、また、現在の湯温を表示することが出来る操作部4が設けられている。
【0017】
外容器3と内容器1との間の空間部には制御手段5が設けられていて、内容器1の外側に設けられたサーミスタ6の抵抗変化を検出して、内容器1内に注水された水7を38℃〜45℃程度に保つように発熱体2の出力を制御する。また、サーミスタ6の抵抗変化を検出して内容器1の湯温を操作部4に表示する。
【0018】
内容器1の上面開口部は、耐熱性の樹脂で構成された着脱自在の外蓋8で覆うことが出来る。
【0019】
内容器1の前側の底部には排水口9が設けられ、この排水口9には可撓性の排水ホース10が接続されていて、外容器3を貫通して外部に導出しており、その先端には止水コック11が設けられている。
【0020】
排水ホース10は、排水時には排水ホース10先端の止水コック11側を下に垂らして内容器1内の水7を排水可能とし、足温浴時は、その先端の止水コック11を外容器3の外壁に設けた保持部12に取り外し自在に引っ掛けて保持されている。
【0021】
外容器3底部の四隅には本体移動用の車輪13が設けられている。そして、内容器1に10リットル程給水した状態では、足温浴器の全体重量は本体重量を合わせて約15kg程にもなり、移動させるのに非常に重く苦痛であったものを、車輪13により楽に移動させることが出来るようにしている。
【0022】
また、車輪13にはストッパー(図示せず)が取り付けられていて、足温浴時にはこのストッパーにより車輪13の動きを停止することができる。
【0023】
外容器3の後側には、本体移動用の伸縮式のハンドル14が設けられており、その高さが外容器3の上面より上と下に伸縮し、足温浴中は邪魔にならないよう縮め、足温浴器本体18を移動させる時は、運び易いようハンドル14を伸ばし、手で引っ張って移動させることができる。
【0024】
外容器3の前側の壁面は底部から前方上方に向かって開いた急傾斜勾配の角度θで傾斜させている。さらに、外容器3前側の傾斜した外壁には、内容器1内の湯を捨てる際に浴室等の間仕切り等の敷居17段差に当てて載せるための突起状の滑り止めリブ15が外容器3の前側外壁の幅一杯に複数本設けてある。これは、内容器1内の水7を排水する場合、浴室などの排水場所に本体を移動させる時、浴室の床に間仕切り等の敷居17段差があって、そのまま入ることが出来ない場合は、その場で排水ホース10を敷居17の上を乗り越えて浴室側へ垂らし、内容器内の水7を排水するが、内容器1内の水位が敷居17を乗り越えた排水ホース10の最上部より同等以下になると排水落差が取れないため排水出来なくなる。そこで、図4に示すように内容器1前側の外壁に設けた突起状の滑り止めリブ15を床の間仕切り等の敷居17段差の上に引っ掛けて、ここを支点として本体後方を持ち上げ、軽く本体を傾斜させて内容器1内の水7を流出させることにより、楽に排水することができるようにしたものである。
【0025】
なお、突起状の滑り止めリブ15を床の間仕切り等の敷居17段差の上に引っ掛けて載せる場合、外容器3の前側壁面が底部から前方上方に向かって開き角度θで傾斜させることにより、リブ15が床の間仕切り等の敷居17段差の上に引っかかって載せ易くなり非常に使い易くなるものである。そして、この外容器3前側の外壁の開き角度θは約120度である。この、開き角度θは、大きければ本体の上面形状が大型になり、小さければ敷居17段差の上に引っ掛けて載せ難くなる。したがって、上記の開き角度は110度から135度とし、好ましくは120度である。
【0026】
以上のように構成された足温浴器についてその作用を説明する。
【0027】
足温浴器を使用する場合は、外蓋8を取り外し、予め適当な温度に調整した湯を内容器1内に入れ、その後、外蓋8を取り付けて電源を接続し、操作部4を操作して制御手段5を好みの設定湯温にセットする。これによって発熱体2に通電が開始され、サーミスタ6で検知した温度が設定湯温に到達して制御手段5が通電動作を制御するまで発熱を続け、設定された湯温に達すると通電を停止する動作を繰り返して、湯の温度を一定に保つ。
【0028】
湯温が上昇したら使用者は外蓋8を取り外し、湯の中に浴用薬剤を規定量投入し、椅子等に腰掛けて本体前側より内容器1内の湯に足を入れ、適当な時間保持することによって湯のエネルギーと浴用薬剤の作用で足の皮膚を通して人体を加温し、血液の流れにより、全身に湯の熱や薬剤の作用を伝えて血行を良くし、疲労回復,健康の維持増進を図る。
【0029】
そのとき、内容器1が外容器3と同様に前方に突き出た形状にすることにより、内容器1の開口部が広く、本体前側に傾斜した壁面を有しているため、足温浴中に膝を伸ばして楽な姿勢をとることができる。
【0030】
使い終わった内容器1内の水7を排水するときは、ハンドル14を伸ばし、ハンドル14を持って浴室等へ本体を引っ張って移動させ、排水ホース10を外容器3の保持部12から取り外し、下に垂らして止水コック11を開け、内容器1内の水7を排水する。
【0031】
ところが、本体を引っ張って浴室等の排水場所に入る前に、床に間仕切り等の敷居17段差があり、そのまま入ることが出来ない場合は、その場で排水ホース10を敷居17の上を乗り越えて浴室側へ垂らして排水し、内容器1内の水位が敷居17を乗り越えた排水ホース10の最上部より同等以下の排水落差が取れないために排水出来ない水7については、足温浴器本体18の前側を浴室等の間仕切り敷居17段差に当てると、敷居17段差の上に外容器の張り出し部が容易に載り、外容器の前側外壁に設けられた滑り止めリブを敷居17段差の上に当て、ここを支点として本体後方を持ち上げ、軽く本体を傾斜させて内容器1内の水7を流出させる。
【0032】
このように、排水場所に間仕切り等の敷居17段差が有って、そのまま入ることが出来ない場合には、本体を持ち上げたり、無理な姿勢で本体を持ち上げて内容器の水7をこぼしてしまったりすることなく、体に無理な負担をかけないで、楽に排水することができる。
【0033】
なお、上記実施例で説明した外容器3の前側形状の開き角度θや、リブ15の形状は上記の値や形状に限定されるものではなく、同等の効果を奏すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例を示す足温浴器の側面断面図である。
【図2】同じく足温浴器の外観斜視図である。
【図3】同じく足温浴器の要部縦断面図である。
【図4】同じく足温浴器の使用状態を示す図である。
【図5】従来の足温浴器の側面縦断面図である。
【図6】従来の一般的な足温浴器の使用状態を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1 内容器
3 外容器
13 車輪
14 ハンドル
15 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に設けられた上面が開口した内容器と、該内容器を覆い本体の外郭を形成する外容器と、該外容器の底部に設けられた本体移動用の車輪と、前記外容器の後側に設けられた本体移動用のハンドルとを備えた足温浴器において、前記外容器の前側の壁面を底面から前方上方に向かって開いた勾配の角度で傾斜させるとともに、前記外容器の前側の外壁に前記内容器内の水を捨てる際に浴室等の間仕切り等の敷居段差に当てて載せることのできる滑り止めリブを設けたことを特徴とする足温浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−100963(P2009−100963A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275907(P2007−275907)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】