説明

足用シート及びこれを用いた履物用中敷

【課題】殺菌効果を有する足用シートを提供すること。
【解決手段】足に着用される足用シートであって、少なくとも2種の導電性材料を備え、足用シートが足に着用された際に、前記2種の導電性材料間に絶対値で0.03〜1.5Vの電位差が生じることを特徴とする足用シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一つの側面は、足用シート、並びにこれを用いた足用テープ、履物用中敷、足指用サック、及び履物に関する。
【0002】
本発明の他の側面は、生活環境下における異臭の発生防止と殺菌に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の一つの側面に関し、靴の内部は細菌が繁殖しやすく、そのため、足裏や足指の間などには水虫菌(白癬菌)が発生したり、悪臭が発生したりする。水虫や悪臭などを防ぐために、抗菌、消臭効果を有する靴の中敷として、例えば、特公平1−61041号公報には、銅イオン発生層を持つ靴の中敷が開示されている。この銅イオン発生層は、靴の中敷台の表面に、亜鉛又はアルミニウムからなる金属溶射層が形成されており、その上面にさらに銅溶射層が形成されている。また、例えば、実用新案登録3006612号には、中敷基板全体に、銅イオンを発生して抗菌性防臭性を有する銅薄膜箔を被着巻装した靴用中敷が開示されている。この靴用中敷は、銅薄膜箔下面に亜鉛薄膜箔またはアルミニウム薄膜箔を接合介在せしめることができる。
【0004】
本発明の他の側面に関し、靴下や靴、腋などは日常の生活中に異臭を生じる。この場所以外の皮膚も、本人は気がつかないが他人には異臭を感じる事が多い。これを防止するために活性炭を局所に配置したり、特別な薬剤を局所に散布したり、清拭、入浴、着用物を頻繁に取り換えるなどの事が行われている。マスクは、ガーゼ層に活性炭を入れたり、殺菌作用や抗菌作用を持った薬剤を配したりして異臭や殺菌の繁殖や感染を防ぐように工夫を凝らしている。しかしその効果は一時的なもので、長時間着用後のマスクに異臭を感じる事が日常的に生じている。これに関しては、洗濯をした後に消毒をしたり、新品と取り換えるなどの処置がなされている。オムツについてもマスクと同じ様に殺菌や臭気の発生に対して良い対策が行われていない。特に介護老人に用いられるオムツは、頻繁に取り換える以外に良い方法が無いのが現状である。ペット小屋、生花の水、厨房の流し、厨房の廃水口付近、まな板、冷蔵庫、加湿器なども使用中に臭気を生じる。これらについては消臭剤を散布したり活性炭を配置したり、頻繁に洗浄したり、銅や銀を局所に配置して異臭の発生を防止しているが満足な結果は得られていない状況にある。風呂の水も、沸かし返しや湯を循環させて繰り返し使用する時には異臭を生じる。この対策には良い方法は無く、新しく汲み直しするしかないのが現状である。都市近辺の河川や湖沼や海水も生活廃水などによって富栄養となり、微生物に起因する異臭の発生が増えている。これも活性炭では対処不可能とされており、流入する生活廃水や工場廃水の浄化を進めるか、清浄な水で薄めるなどの方法しかないのが現状である。
このほか不特定多数の人間が出入りする公共施設や家畜用の施設、養殖施設、水耕栽培施設などにおいて、良い衛生環境の保持を目的に殺菌剤散布などが行われているが、一時的な効果しか得られず更に良い方法が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、殺菌効果を有する足用シート、並びにこれを用いた足用テープ、履物用中敷、足指用サック、及び履物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的に関し、活性炭や薬剤で異臭を防止し、殺菌をすることは短期的には有効であるが、その効果は永続しない。本発明の他の側面は、これらの異臭の発生をより長期且つ恒常的に防止し、殺菌を併せ行う事を課題とする。皮膚に発生する異臭についても、その原因となる菌が寄生し易い皺の彫りを浅くし出来るだけ平滑化して、殺菌し易くする事により異臭発生を防止する事も課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの側面は、足に着用される足用シートであって、少なくとも2種の導電性材料を備え、足用シートが足に着用された際に、前記2種の導電性材料間に絶対値で0.03〜1.5Vの電位差が生じる足用シート;足に着用される足用シートであって、少なくとも2種の導電性材料を備え、電解質が前記2種の導電性材料間に存在すると、前記2種の導電性材料間に絶対値で0.1〜2Vの電位差が生じる足用シート;足に着用される足用シートであって、少なくとも2種の導電性材料を備え、白癬菌の発育を阻止し得る足用シートに関する。
前記足用シートを用いて、足用テープ、履物用中敷、足指用サック、及び履物を得ることができる。
【0008】
本発明の他の側面は、電極電位の異なる少なくとも2種類の材料が、互いに近接した状態で、粉末状、板状、線状、網状、布状、繊維状、ペースト状、小孔を有する板状、円筒状、球状、袋状、塗装やメッキ、蒸着あるいは溶射された状態の複合体を構成してなる異臭の発生防止ならびに殺菌用構造体に関する。
好ましくは、本発明の他の側面は、身体の分泌液、皮膚塗布剤に含まれる水、空気中の湿気、使用中または使用済みの水、河川や湖沼、海などの水と共存してなる異臭の発生防止ならびに殺菌用構造体に関する。
前記材料が、吸水性のシート状材料を中間に介在した複合体を構成してなることが好ましい。また、前記吸水性のシート状材料が食塩を含む複合体を構成してなることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの側面である足用シートは、それ自身が殺菌作用を有する材料を用いなくとも、優れた殺菌力、さらには消臭効果を有する、長期間使用可能なシートである。
【0010】
本発明の他の側面である複合構造体は、臭気の発生防止と殺菌に効果がある。この他、本発明者の経験では、足裏の水虫も消滅した。80ないし90だった最高血圧が95ないし105に上昇し、白血球も3500から7500まで増加して貧血の改善が出来た。体内電流に関係した効果と推測している。これらの健康えの効果は、今後サンプル数を増やして確認を行っていく予定である。負に帯電した電子のマイナスイオン効果も期待出来る。皮膚の皺が見え難くなる事も確認しおり、化粧効果を期待出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明の一つの側面である足用シートについて説明する。
本発明は、足に着用する足用シートに関する。本発明の足用シートは、少なくとも2種の導電性材料を含む。
【0012】
本発明の足用シートは、導電性材料間に電解質が存在すると、2種の導電性材料間に絶対値で0.1〜2Vの電位差が生じることが好ましい。導電性材料間に電解質が存在することにより化学電池が形成され、導電性材料間に電位差が生じるものと考えられる。導電性材料間に生じる電位差は、好ましくは0.3〜1.8Vであり、より好ましくは0.6〜1.5Vである。本発明の足用シートは、足用シートに含まれる導電性材料間に生じた電位差により、水虫などの原因となる細菌を死滅させることができ、さらに、細菌を死滅させることができるため、細菌に起因する悪臭を防止することができる。電位差が0.1V未満であると、十分な殺菌効果を得ることができないが、電位差が0.1〜2Vであれば、十分な殺菌効果が得られる。
【0013】
なお、導電性材料は、導電性材料間に電解質が存在している状態において、安定して上記範囲内の電位差を示すことが好ましいが、短時間でも、あるいは周期的にでも、上記範囲内の電位差を示せばよい。なお、導電性材料間には、導電性材料間に電解質が存在している状態において、電位差自体は、常に生じていることが好ましい。
【0014】
電解質を含んだ状態の足用シート内に発生する電位差は、例えば、次の方法により測定することができる。まず、足用シートの導電性材料間に電解質を含む電解液を染み込ませる。電解液としては、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液、重炭酸塩溶液などの緩衝液又は塩溶液などを用いることができる。その後、導電性材料に電位差測定器の端子を接続し、導電性材料間の電位差を測定する。電位差測定器としては、市販の電圧計を用いれば良い。
【0015】
また、簡便な方法として、足用シートに電解質を含ませ、足用シートの一方の面と、もう一方の面とに端子を接続し、電位差を測定することができる場合もある。
【0016】
足用シートは、例えば、足用テープ、履物用中敷、足指用サック、履物として、足に着用することにより殺菌効果を奏する。足用シートは、主に、足の裏、足指間など、汗をかきやすく、湿度が高く、雑菌が繁殖し易い箇所に着用することが好ましい。着用する際には、肌に直接着用しても、また、靴下、サポーターなどを介して着用してもよい。肌に直接着用する場合には、足用シートの上に、靴下、サポーターなどを履くことができる。
【0017】
足用シートを着用した際に、足用シートで覆われた皮膚またその周辺の皮膚から出る汗が、足用シート内に取り込まれる。取り込まれた汗は、塩化ナトリウム、尿素、乳酸などの電解質を含むために、電解液として作用することができる。
【0018】
本発明の足用シートを足に着用した際に、2種の導電性材料間には、絶対値で0.03〜1.5Vの電位差が生じることが好ましい。導電性材料間に生じる電位差は、好ましくは0.1〜1.0Vであり、より好ましくは0.2〜0.6Vである。電位差が0.03V未満であると、十分な殺菌効果を得ることができないが、電位差が0.03〜1.5Vであれば、十分な殺菌効果が得られる。
【0019】
なお、導電性材料は、足用シートが足に着用されている状態において、安定して上記範囲内の電位差を示すことが好ましいが、短時間でも、あるいは周期的にでも、上記範囲内の電位差を示せばよい。なお、導電性材料間には、足用シートが足に着用されている状態において、電位差自体は、常に生じていることが好ましい。
【0020】
足に着用した足用シート内に発生する電位差は、例えば、次の方法により測定することができる。まず、靴の中敷用に作成した足用シートを足裏に接触させ、次いで、足用シートを足裏に固定するために、足用シートの上からサポーターを履く。その後、サポーターの上に靴を履き、数分から数時間過ごす。数分から数時間経過後、靴を脱ぎ、サポーターにより足用シートが足裏に固定されたままの状態で、導電性材料に電位差測定器の端子を接続し、導電性材料間の電位差を測定する。電位差測定器としては、市販の電圧計を用いれば良い。サポーターを用いる代わりに、市販の接着テープなどを用いて、足用テープを足に固定することもできる。
【0021】
また、簡便な方法として、足用シートを足に着用し、足用シートの一方の面と、もう一方の面とに端子を接続し、電位差を測定することができる場合もある。
【0022】
本発明の足用シートは、白癬菌の発育を阻止することができる。本発明の足用シートが、白癬菌の発育を阻止することができるシートであるということは、白癬菌を用いたハローテスト(JIS L 1902)において、ハロー(発育阻止帯)を形成するか否かによって確認することができる。
【0023】
本発明においては、導電性材料間に発生した電位差が、足裏、足指間など足に生息する白癬菌などの細菌に作用することにより、細菌は死滅するものと考えられる。したがって、足用シートは、導電性材料間に生じた電位差が足に作用し得る形態、すなわち、導電性材料と足とが絶縁されていない形態であることが好ましい。
【0024】
電位差発生の観点から、2種の導電性材料は、互いに接触しているか、あるいは、互いに近接していることが好ましい。近接している場合には、2種の導電性材料間は空間でもよく、また、2種の導電性材料間に、電解質の存在の妨げとならない範囲内で他の材料が存在してもよい。他の材料としては、例えば、接着剤又は粘着剤、粘土、水溶性高分子、布、紙が挙げられる。
【0025】
好ましくは、足用シートは、2種の導電性材料として、導電性材料Aと、導電性材料Aよりも電極電位が低い導電性材料Bを含む。導電性材料A及び導電性材料Bとしては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ニッケル、錫、鉛、銅、銀、及び金から選択される金属、これらの金属から選択される2種以上の金属を含む合金、これらの金属を含む被膜を有する材料、又は炭素材料などが挙げられる。導電性材料A及び導電性材料Bとしては、これらの材料の中から、導電性材料Aと導電性材料Bとの間に、上述の電位差が生じる組み合わせを選択して用いる。足用シートは、導電性材料Aと導電性材料Bの他に、さらに他の任意の導電性材料を含むことも可能である。
【0026】
導電性材料Aは、炭素材料であることが、高い電位差を発生させ易いという観点から好ましい。炭素材料としては、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、活性炭、木炭などが挙げられる。好ましくは、黒鉛又はカーボンブラックであり、より好ましくはカーボンブラックである。黒鉛又はカーボンブラックは、工業生産品として、多量に純度の高い品質の安定した製品が安価に供給され、また、電気伝導度が高いために好ましく用いられる。さらに、黒鉛又はカーボンブラックが粉末状であると、接着剤又は粘着剤などと混合して塗膜を形成することが可能であり、また、接着剤又は粘着剤が吸湿性であると、粉末状の黒鉛又はカーボンブラックの間隙に電解質を含有し易いという長所がある。黒鉛は通常、塊状であるために、粉末状にするためには粉砕工程を経ることが多いが、カーボンブラックは、粉砕工程を経ることなく0.1mm以下の微細粒子が得られるために、カーボンブラックがより好ましく用いられる。さらに、カーボンブラックの表面は活性に富んでおり、電解質との親和性に優れている。
【0027】
導電性材料Aが炭素材料である場合、導電性材料Bとしては、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ニッケル、錫、鉛、銅、銀、及び金から選択される金属、これらの金属から選択される2種以上の金属を含む合金、又は、これらの金属を含む被膜を有する材料が挙げられる。合金としては、例えば、真鍮、ステンレス、アルミニウム−マグネシウム合金が挙げられる。また、これらの金属を含む被膜を有する材料としては、例えば、これらの金属によりメッキされた材料、具体的にはトタン、ブリキが挙げられる。導電性材料Bとして、好ましくは、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ニッケル、錫、鉛、銅、銀、及び金から選択される金属、又はこれらの金属から選択される2種以上の金属を含む合金であり、より好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金である。アルミニウム又はアルミニウム合金は入手が容易であり、また、電位差の発生に好適な金属である。
【0028】
足用シート中の導電性材料Aと導電性材料Bの形態は、導電性材料Aと導電性材料Bとにより上述の電位差を発生し得る限り、特に限定されない。例えば、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが積層されている形態、導電性材料Aを含む線状材料と導電性材料Bを含む線状材料とを面状に編む、織る、交互に配置するなどして、導電性材料A及び導電性材料Bとを含む層が形成された形態が挙げられる。本発明においては、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが、積層されていることが好ましい。
【0029】
本発明においては、導電性材料Aを含有する層(a)が炭素材料含有層(a’)であり、導電性材料Bを含有する層(b)がアルミニウム含有層(b’)であることが好ましい。
【0030】
炭素材料含有層(a’)は、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、活性炭、木炭などの炭素材料を含有する層である。本発明においては、黒鉛又はカーボンブラックを含有する層が好ましく、カーボンブラックを含有する層がより好ましい。
【0031】
炭素材料含有層(a’)としては、例えば、黒鉛シート、炭素繊維シート、木炭シートなどのシート状の炭素材料からなる層、長繊維状の炭素繊維(ロービング)などの繊維状の炭素材料を含む層、黒鉛粉末、カーボンブラック、炭素繊維粉末(微細繊維状の炭素繊維)、活性炭粉末、木炭粉末などの粉末状の炭素材料を含む層がある。粉末状の炭素材料を含む層は、例えば、粉末状の炭素材料、及び接着剤又は粘着剤を含む組成物を用いて形成することができる。本発明においては、比表面積が大きく電位差の発現に有利であり、安定した電位差を発生することができるという観点から、粉末状の炭素材料を含む層が好ましい。組成物の性状は、エマルション、ペースト状、餅状などいずれでもよい。
【0032】
例えば、黒鉛粉末を用いる場合、その粒径は60メッシュ(JIS Z 8801−1;2000に規定の標準ふるい)以下であることが好ましい。例えば、カーボンブラックを用いる場合、その粒径は、平均二次粒子径(体積基準)が0.001〜0.1mm(レーザー回折式粒度分布測定)であることが好ましい。
【0033】
接着剤としては、例えば、膠、澱粉、セルロース、生ゴム系、ロジンなどの天然系接着剤、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂系接着剤、α−オレフイン樹脂、酢酸ビニル樹脂、水性イソシアネート樹脂、合成ゴム系、ポリウレタン、アクリル樹脂、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂系接着剤、又はこれらの変性接着剤を用いることができる。粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤が挙げられる。接着剤又は粘着剤に含まれる溶剤としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、エステル系溶剤、またはこれらの混合溶剤などが挙げられ、好ましくは、水、又は水とメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)若しくはエステル系溶剤などとの混合溶剤である。
【0034】
本発明においては、水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤が好ましく、より好ましくは水溶性高分子又は親水性高分子を含む接着剤又は粘着剤が用いられる。水溶性高分子又は親水性高分子として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などの酢酸ビニル共重合体などのポリビニル化合物、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテル、水溶性アルキッドなどのポリエステル、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、澱粉などの多糖類、膠、ゼラチン、カゼインなどのポリペプチド、ロジンなどが挙げられる。好ましくは、ポリビニル化合物である。水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤として、市販の接着剤又は粘着剤を用いることができ、例えば、障子用澱粉糊((株)アサヒペン製)、ルーアマイルド((株)ヤヨイ化学製)、ボンドCNシリーズ((株)コニシ製)、セメダインEMシリーズ((株)セメダイン製)、エスダイン7000シリーズ((株)積水化学製)、アイボン((株)アイカ工業製)を用いることができる。
【0035】
接着剤又は粘着剤組成物中の粉末状の炭素材料の含有量は、組成物の全重量に対し30〜70重量%であることが好ましく、40〜60重量%であることがより好ましく、50〜55重量%であることがさらに好ましい。組成物中の接着剤又は粘着剤の含有量は、30〜70重量%であることが好ましく、40〜60重量%であることがより好ましく、45〜50重量%であることがさらに好ましい。粉末状の炭素材料の含有量が30重量%未満であると(接着剤又は粘着剤の含有量が70重量%を超えると)、炭素材料含有層(a’)の導電性が低下し、電位差を生じ難くなる傾向があり、粉末状の炭素材料の含有量が70重量%を超えると(接着剤又は粘着剤の含有量が30重量%未満であると)、炭素材料含有層(a’)の強度が不足したり、炭素粉末が剥落したりする傾向がある。
【0036】
炭素材料含有層(a’)は、粘土を含有することもできる。粘土は、例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、石英、スメクタイト類、バーミキュライト類から選択される1種以上の鉱物を含有していることが好ましく、カオリナイト、モンモリロナイトを含有していることが特に好ましい。粘土としては、カオリン粘土、ベントナイトが好ましく用いられる。炭素材料粉末と粘土とを混合すると、炭素材料粉末の凝集を防ぎ、分散性を高めることができる。その結果、炭素材料粉末の比表面積が大きくなり、大きな電位差が発生する。また、粘土が有するイオン交換機能により、炭素材料への電気二重層の形成を防ぐことができるため、長時間に亘り安定した電位差を発生させることができる。さらに、粘土には保湿効果があるために、足用シートに保湿剤としての機能を付加することも可能である。
【0037】
炭素材料含有層(a’)が粘土を含有する場合、炭素材料含有層(a’)を、炭素材料及び接着剤又は粘着剤を含有する組成物に、さらに粘土を加えた組成物を用いて形成することができる。組成物中の粘土の含有量は、組成物の全重量に対し0.1〜40重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、3〜5重量%であることがさらに好ましい。粘土の含有量が0.1%未満であると、粘土を併用する効果が得られ難い傾向があり、粘土の含有量が40重量%を超えると、相対的に炭素材料粉末の含有量が低下するために、発生する電位差が小さくなる傾向がある。
【0038】
組成物を用いる場合、例えば、布、紙などの基材に組成物を塗布し、その後乾燥させることにより、炭素材料含有層(a’)を形成することができる。このようにして得られる炭素材料含有層(a’)は、基材を含むこととなる。基材としては、透湿性があるという観点から布が好ましい。布の素材としては、木綿、羊毛、ポリエステル、ビニロン、ウレタン、ナイロン、アセテート、アクリル、レーヨン、ポリオレフインなどがある。布の例として、例えば、織物、不織布、編み物を挙げることができる。好ましくは、織物である。織物は、その性質上、織目を有し、織目は布の表面と裏面とを繋ぐ空間であり、この空間を電解質が自由に通過できる。織物としては、帆布(キャンバス)のような平織り、綾織、メッシュ、毛羽織(パイル)などを用いることができる。帆布(キャンバス)は、木綿布であり、汎用性が高く、保湿性に優れ、強度が強く、低価格であることから、好ましく用いられる。また、紙はセルロースを含むために吸水率が大きく、電解質を保持する能力が高く、電位差の発生には好ましい材料である。紙としては、強度の観点から、高密度紙、樹脂処理紙、混抄紙などを用いることが好ましい。
【0039】
基材への組成物の塗布には、組成物をヘラ、ロールなどを用いて基材上に塗り広げる方法、組成物を基材へ含浸させる方法、スクリュウ式連続混練機(例えばドイツBUSS社製混練機)から組成物を押出し、基材上にローラーで圧延しながら塗り広げる方法、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷などの印刷による方法などを用いることができる。塗布量は、5〜100g/mであることが好ましく、10〜60g/mであることがより好ましく、30〜50g/mであることがさらに好ましい。塗布等された組成物の乾燥には、例えば、塗布等された組成物を、常温で5〜10時間放置する方法が好ましく用いられる。この他に、トンネル式赤外線乾燥機、トンネル式熱風乾燥機を用いて、加熱乾燥(60〜200℃、3〜20分間)する方法を用いることもできる。
【0040】
あるいは、プラスチック、金属等からなる板、フィルム等の仮の基材に、組成物を塗布し、乾燥し、その後、組成物層を仮の基材から剥離することにより、炭素材料含有層(a’)を得ることができる。
【0041】
さらに、組成物を直接、アルミニウム含有層(b’)上に塗布し、乾燥し、炭素材料含有層(a’)を得ることも可能である。
【0042】
次に、アルミニウム含有層(b’)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含有する層である。アルミニウム合金としては、例えば、アルミニウム−マグネシウム合金がある。
【0043】
アルミニウム含有層(b’)としては、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金により形成された薄板、箔、網、アルミニウム又はアルミニウム合金粉末を含む層などがある。アルミニウム又はアルミニウム合金粉末を含む層は、例えば、上述の粉末状の炭素材料を含む層と同様の方法により形成することができる。アルミニウム含有層(b’)として、柔軟性があり、様々な形状の足用シートを作成し易いために、アルミニウム箔が好ましく用いられる。
【0044】
以上に、導電性材料Aを含有する層(a)として炭素材料含有層(a’)の例を、導電性材料Bを含有する層(b)としてアルミニウム含有層(b’)の例を示したが、他の導電性材料を用いることによっても、上記と同様の方法により、導電性材料Aを含有する層(a)及び導電性材料Bを含有する層(b)を形成することが可能である。
【0045】
導電性材料Aを含有する層(a)の厚さは、用途、材料などにより適宜設定することができ、10〜4,000μmであることが好ましく、30〜3,000μmであることがより好ましく、50〜2,000μmであることがさらに好ましい。10μm未満では強度不足のために導電性材料Aを含有する層(a)が破損する傾向があり、4,000μmを超えると足に着用し難くなる傾向がある。
【0046】
導電性材料Bを含有する層(b)の厚さは、用途、材料などにより適宜設定することができ、10〜1,000μmであることが好ましく、30〜500μmであることがより好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。10μm未満では導電性材料Bを含有する層(b)が破損し易く、実用上使用することが困難である傾向があり、1,000μmを超えると不経済であり、また、足用シートを履物用中敷として用いた場合に割れ易く、足裏を傷付ける恐れがある。
【0047】
導電性材料Aを含有する層(a)及び/又は導電性材料Bを含有する層(b)は、小孔を有していてもよく、小孔の面積は特に限定されないが、10,000〜4,000,000μmであることが好ましく、250,000〜2,250,000μmであることがより好ましく、500,000〜1,000,000μmであることがさらに好ましい。10,000μm未満では孔あけ加工が難しく、炭素粉末などで小孔が塞がれる場合があり、4,000,000μmを超えると導電性材料Aを含有する層(a)及び/又は導電性材料Bを含有する層(b)の強度が低下し、割れ易くなる場合がある。小孔の形状は、円形、四角形、不定形などいずれの形状であってもよい。小孔の数は、5個/cm程度が好ましい。
【0048】
本発明の足用シートにおいては、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが、両層の間に電解質を含み得る状態で積層されていることが好ましい。電位差発生の観点から、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とは、互いに接触しているか、あるいは、互いに近接していることが好ましい。したがって、両層の間隔は、0〜1,000μmであることが好ましく、0〜800μmであることがより好ましい。さらには、0〜500μmであることが好ましく、0〜300μmであることがより好ましく、0〜150μmであることがさらに好ましい。導電性材料Aを含有する層(a)及び導電性材料Bを含有する層(b)の一方の層又は両方の層が、平らではなく歪んでいるような場合には、両層の間隔は均一であるとは限らない。
【0049】
導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが近接している場合には、層間は空間でもよく、また、層間に電解質の存在の妨げとならない範囲で他の材料が存在してもよい。導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが接触している場合、あるいは、これら2層が近接し層間に空間を有する場合、電解質として機能する汗などは、容易に層間に浸入することができる。
【0050】
また、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが近接し、層間に他の材料が存在する場合、他の材料としては、吸湿性、吸水性の材料であることが好ましい。そのような材料として、例えば、水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤、粘土、ポリビニルアルコール−アクリル酸共重合体などの吸水性高分子などが挙げられる。
【0051】
導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とを、接着剤又は粘着剤を用いて接着する場合、接着されていない部分の面積は、用いる接着剤の種類によって調整すればよく、特に限定されない。一般的には、層間に電解質を存在させ易いという観点、また、両層の剥離を防止するという観点から、接着されていない部分の面積は、足用シートの全面積の20〜85%であることが好ましく、50〜75%であることがより好ましく、60〜70%であることがさらに好ましい。しかしながら、水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤を用いた足用シートは、電解質として作用する汗を吸収しやすく、また、場合により接着剤又は粘着剤自身が電解質としての機能を発揮するために、接着されていない部分の面積が0%であっても、十分な電位差が生じる。したがって、水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤を用いる場合には、両層の剥離防止の観点、また、製造工程が容易であるという観点から、接着されていない部分の面積は、足用シートの全面積の0〜50%であることが好ましく、0〜30%であることがより好ましく、0%であることがさらに好ましい。
【0052】
導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とは、ロールラミネータ、平板式の圧着プレス機を用いて、加圧し接着することもできる。両層間の剥離を防止するために、接着する際には、少なくとも導電性材料Aを含有する層(a)の外周部と導電性材料Bを含有する層(b)の外周部とを接着することが好ましい。この場合は、汗などの電解質の浸入を考慮し、水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤を用いることが好ましい。また、外周部同士の一部又は全部を、足用シートの端部をくるむように、布、紙、セロハン又はビニール基材の接着テープ等で固定してもよい。
【0053】
本発明の足用シートを足に着用すると、足用シートに生じた電位差が、足に生息する細菌に作用し、細菌を死滅させるために、殺菌効果が生じるものと考えられる。足用シートを足に着用する際、足に対向する層は、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)のどちらでもよい。好ましくは、優れた殺菌効果を発揮できるという観点から、電極電位の高い導電性材料Aを含有する層(a)を足に対向させる。
【0054】
足用シートの厚さは、用途、材料などにより適宜設定することができ、0.3〜7mm以下であることが好ましく、0.3〜5mmであることがより好ましく、0.5〜3mmであることがさらに好ましい。0.3mm未満では足の屈曲運動などに対する耐性が不足し寿命が短くなる傾向があり、7mmを超えると装着感が悪くなる傾向がある。
【0055】
本発明の足用シートは、使用される態様によっては、足裏と対向する第1面、及び、地面と対向する第2面を有する支持体(c)、支持体の第1面上に積層された導電性材料Bを含有する層(b)、導電性材料Bを含有する層(b)上に積層された導電性材料Aを含有する層(a)を備えた形態で用いることが好ましい。このような支持体を備えた足用シートは、靴の中敷として好ましく用いられる。支持体の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、天然又は合成ゴム、皮を用いることができる。支持体の厚さは、用途により適宜設定することができ、0.1〜2mmであることが好ましく、0.1〜1.5mmであることがより好ましく、0.3〜1mmであることがさらに好ましい。支持体の第1面上に導電性材料Bを含有する層(b)を積層する際には、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とを接着する際に用いた接着剤又は粘着剤を用いることができる。
【0056】
本発明の足用シートは、さらに、殺菌効果の妨げにならない範囲内で(d)保護層を備えていてもよい。(d)保護層は、好ましくは、足に対向する層の表面に形成することができる。(d)保護層としては、通気性、透湿性の保護層が好ましく、例えば、綿、合成繊維からなる織物、熱可塑性樹脂からなるメッシュ又は不織布が挙げられる。保護層の厚みは、0.05〜3mmであることが好ましく、0.1〜2.5mmであることがより好ましく、0.3〜2mmであることがさらに好ましい。0.05μm未満では保護層としての効果が得られない場合があり、3mmを超えると足用シートが厚くなり、履物用中敷として用いた場合に履き心地が悪い場合がある。
【0057】
保護層と導電性材料とを粘着固定するために、殺菌効果の妨げにならない範囲内で市販のスプレー糊を用いても良い。その場合のスプレー糊の塗布量は、乾燥後の厚さが5〜15μmとなる量であることが好ましく、7〜10μmとなる量であることがより好ましい。スプレー糊としては、例えば、アクリルゴム系スプレー糊(サラダウン社製グルースプレー、ペイントショップ社製IPライトプルーフ)、アクリルエマルジョン系スプレー糊(積水化学エスダイン、コニシ製ボンドCNシリーズ)、ポリウレタン系スプレー糊(日本ポリウレタン社コロネートL、ゼスト社Uシリーズ)、ゴム系スプレー糊(中国塗料製ラバックス1000シリーズ)が挙げられる。
【0058】
足用シートは、テープ、足裏型、指サックなどの形状にして、それぞれ足用テープ、履物用中敷、足指用サックなどとして使用することができる。また、足用シートを足裏型の形状にして、履物のソールに使用することもできる。履物としては、靴、サンダル、ブーツ、スリッパ、靴下、足袋、サポーターなどがある。
【0059】
本発明の足用シートは、履物用中敷として好ましく用いることができる。履物用中敷は、足用シートを、足裏型に切断することにより得られる。足用シートを履物用中敷に用いる場合には、導電性材料Aを含有する層(a)及び導電性材料Bを含有する層(b)の材料として、足裏の屈曲運動に耐えられる材料を選択することが好ましい。このような観点から、炭素材料は好ましい材料である。特に、履物用中敷の、屈曲運動の激しい足指の付け根の関節部に当たる部分には、両層を着用しないことも可能である。すなわち、履物用中敷を、足指部分と、足指の付け根部分と、踵部分に切断し、足指部分と踵部分のみを履物内に敷いて用いることもできる。なお、以下の図1に示すように、導電性材料Aを含有する層(a)及び導電性材料Bを含有する層(b)のみが切断され、切断された導電性材料Aを含有する層(a)及び導電性材料Bを含有する層(b)とを、支持体と保護層とで覆う形態にすることもできる。
【0060】
履物用中敷の一例を図1に示す。履物用中敷は、好ましくは、導電性材料Aを含有する層(a)21、導電性材料Bを含有する層(b)22、及び支持体23を備える。さらに保護層24を備えていてもよい。図中、25は、履物用中敷を足指部分と踵部分とに切断したことによって生じた空間部である。
【0061】
本発明の履物用中敷は、従来公知の中敷と同様の方法で使用することができる。本発明の履物用中敷は、例えば、靴の内部、靴下の内部や、サポーターの足裏部に敷いて使用することもできる。
【0062】
足用テープは、好ましくは10〜30mm×20〜50mmの大きさであり、足指に巻く、足裏に貼る、踵に貼るなどして使用することができる。足指用サックは、足用シートを用いて形成することができ、足指に被せて使用することができる。また、本発明の足用シートを、足裏型に切断し、履物のソールの一部として使用することもできる。
【0063】
従来、殺菌を目的として、殺菌作用を有する金属、例えば銅イオンを用いることが多かった。しかしながら、銅イオンを用いる場合には、銅イオンによる足や履物内部の着色が問題となっていた。また、消臭を目的として、活性炭などが用いられることが多かったが、効果が持続しないという問題があった。本発明の足用シートは、適切な材料を選択することにより、これらの問題を解決することができるシートである。本発明の足用シートは、それ自身が殺菌作用を有する材料を用いなくとも、優れた殺菌力を有する、長期間使用可能な殺菌シートである。さらに、本発明の足用シートは、優れた殺菌力により、優れた消臭力をも有する、消臭シートである。本発明の足用シートを用いることにより、細菌の繁殖を抑えられるため、水虫を防止、治療することができ、さらには、悪臭を防止、消臭することができる。本発明の足用シートは、殺菌材、水虫治療具、消臭材として好ましく用いられる。
なお、着色が問題とならない場合には、勿論、本発明において導電性材料として銅を用いることも可能である。また、導電性材料として、それ自身が殺菌作用を有する材料を用いることも、電位差による殺菌作用との相乗効果が期待できるために好ましい場合もある。
【0064】
また、本発明の足用シートは、一般的に、薄い靴下などに比べて通気性が低く保湿力に優れている。通常、湿度が高い環境では雑菌が繁殖し易く、悪臭が発生し易いが、本発明の足用シートは、優れた消臭殺菌効果を有するために、保湿かつ消臭殺菌を実現できる。そのため、本発明の足用シートは、悪臭や雑菌の繁殖を抑えた状況で、その優れた保湿力により、ひび、あかぎれなどを防止、治療できる。
【0065】
さらに、本発明の足用シートは、足用シート内に発生する電気化学反応及びジュール熱により、わずかに発熱するため、保温効果に優れている。その優れた保温力により、足の血行不良や霜焼けなどを防止、治療できる。
【0066】
次いで、本発明の他の側面である異臭の発生防止ならびに殺菌用構造体について説明する。
電極電位の異なる金属およびその合金からなる金属は、互いに近接させると電子の授受が起こり、電位の低い金属は酸化される。炭素材料は、金属ではないが導電性を有し電極電位も金属と同じように生じ、対となる金属は酸化される。特に僅かでも水分が存在すると、この現象は促進される。ここで酸化される側の金属の表面近傍には負に帯電した電子が発生し、対する金属または炭素材料の方に移動する。酸化された金属は次第に脱落し、負の電荷を帯びた電子が両金属表面近傍に蓄積され、放電して消えて行く。これによって微生物の繁殖し難い環境が形成され、微生物由来の菌による異臭の発生もなくなる。
【0067】
種々実験研究の結果、マグネシュウム、アルミニウム、チタン、亜鉛、クローム、鉄、ニッケル、錫、鉛、銅、銀、パラジュウム、白金、金およびこれらの金属の合金を任意に2種類選び、互いに近接させたとき、その近傍において微生物は繁殖を停止し、一部の微生物は消滅してしまう事が分った。また炭素繊維や黒鉛および木炭などの無定形炭素も有効であった。導電性はないが、粘土も電極電位を有し、特に黒鉛材料と混合して併用すると効果的であった。上記の材料の中でも、経済性や衛生面からは、亜鉛、チタン、アルミニウム、鉄、錫、銅、炭素材料が好適である。高価な点を厭わなければ白金、金、銀も好適な材料となる。2種類の材料の組み合わせは、亜鉛、チタン、アルミニウム、鉄、銅のA群と鉄、銅、銀、白金、金、炭素材料のB群からそれぞれ1種類の材料を選ぶ。B群から選ばれた金属は、A群から選ばれた金属より電極電位が高くなる様に組み合わせる。鉄および銅は使用中に着色作用があり、これを嫌う時には使用を避ける。この2群から3種類以上の金属を選んでも効果はあるが、電子の授受は主として電位差の最も大きい2物質間で実質的に行われるので、少なくとも2種類の材料を複合化することが本発明の条件となる。この2種類の材料は、箔、網状、小孔のあいた薄板状、繊維状や布状のものが使い易い。塗料やペースト状の形で使用する時には粉状とする。選ばれた2種の材料は近接して複合体とする。その方法は、層状に重ねる方法が簡便である。このほか互いに線状に捩って紐状にし、最終的には網状に仕上げても良い。炭素材料は粉状のものを膠のような接着剤やゲルなどの保湿剤を含む粘着剤でペースト状にし、アルミニウム箔などに塗装して使うか、皮膚などの対象物に塗布した上にアルミニウム箔を被せてもよい。この時、塗膜に基材として布を介在させると、補強および水分の浸透と保湿を助けるのに効果がある。炭素繊維はシート状のものを使用出来る。靴の中に用いる時は、アルミニウムや亜鉛の箔または網、穴明き板とステンレス鋼の箔、繊維状または網状のものを層状に組み合わせるのが良い。マスクおよびオムツでは通気性と柔軟性を持たせるため、網状または繊維状または布状のものを積層して複合化したものが良い。腋は、アルミニウム箔に粘着性のカーボンペーストを塗布したものが良い。複合化は、対象物の形状に合わせて円筒状や袋状にする事も出来る。例えば足の指周りに配置する複合構造体は、足袋のような袋状にする。指、腕、首などに嵌める輪や鎖なども局部の形状に応じた複合構造体とする。繊維は天然繊維または合成繊維の表面に金属を配したものや金属を繊維状に加工したものが使用出来る。複合構造体を造る時は、互いに動き難いように機械的に簡単に固定する。粘着剤や接着剤を使用する時は、膠、澱粉系あるいはビニル系などの合成樹脂系粘着剤や接着剤を出来るだけ少量用いる。ゲルなどの保水性物質も含ませると効果がある。非水溶性の粘着剤や接着剤も少量で保水性のものは使用可能である。箔状のものは、破れたり、消失したりするので、厚さは0.1ないし0.3mmが良い。プラスチックフィルムで補強してもよい。箔以外の材料は、消耗は極めて少なく半永久的に使う事が出来る。病室などのドアノブのような複雑な形のものは、触手の行われる部材を2種類の材料で複合化すればよい。
【0068】
層状に積層された材料の界面は、互いに接触または接触に近い状態か、中間に紙または布、吸水性合成樹脂シートなどのシート状材料を介在させた状態にする。この時、シート状材料に少量の食塩を含ませておくと電子の授受が促進され、また食塩は次亜塩素酸ソーダに一部変化し消毒殺菌効果を生ずる。食塩の含有量は、基材に対し10重量%以下で良い。好ましくは1ないし5重量%で良い。これらの複合体には使用中に、人体から生ずる汗および呼吸時に息と共に出てくる水分、皮膚塗布剤に含まれる水や空気中の水分、排泄時の水分が浸入し、A群の金属の酸化を促す事になる。流しの廃水口、河川、湖沼あるいは海水の場合も、それぞれの異臭源付近の水がその役目を果たす。加湿器は吹き出し口から出てくる空気中の水分がその役目を果たす。
【0069】
本発明の複合構造体付近の皮膚表面は、皺の彫りも少なくなり、微生物の巣になり易いこの部分に効果的に作用する。足裏の皺やひび割れが殆ど見えなくなり艶が出てくる。
積層複合体の端部は、プラスチック製の押えカバーを取りつけて保護するとよい。特に布状や網状の複合体は、端部のほつれ現象を防ぐ必要がある。靴下などの着用物には、繊維または線状の糸を編みこんで複合化しても良い。マスクやオムツの場合は、全体を形成するガーゼや布や繊維よりやや小さい形状の複合体をガーゼや布や繊維の中間に挿入する。
【0070】
水の流れの良くない河川や湖沼、海でも閉鎖的な入り江などには、水の富栄養化が原因となって微生物が繁殖し異臭を生じる事が起こる。活性炭などで栄養素を吸着させる試みがなされているが、直ぐに飽和してしまい上手く行かないのが現状である。本発明の複合構造体は、吸着ではなく複合体近傍の水の性質による微生物由来の異臭防止なので、効果は持続される。河川や湖沼、海などの場合は、対象となる場所が広い為に個々の地理的な状況を踏まえて複合構造体は設計しなければならない。簡便な方法としては、木炭をA群の金属、例えばアルミニウムや鉄の網に包み込み放流させる事になる。実験では、藻などの付着も無く異臭も押えられる事が分った。木炭だけでは、藻が木炭の全面に繁茂して効果が少なかった。
【0071】
靴底には、足裏の形状の複合体を靴底に装着する方法が良い。径0.3mmのアルミニウム線とステンレス線を撚り合せ、これを網に加工して、靴の内底に装着する。ペット小屋についても形状は大きくなるが、同様な複合構造体で良い。靴下には、これを靴下内に入れると良い。足の指周りや踵にも複合構造体が接触する様に、形状は湾曲させたり袋状の部分を設けたりする。
マスクは、径0.1mmのアルミニウム線とステンレス鋼線を組み合わせた網状の複合体を用い、ガーゼよりやや小さい形状としてガーゼの間に介在させると良い。
腋は、径3cm前後の円形の片面に、粘着性のカーボンペーストを塗布したアルミニウム箔を、ペーストの粘着性を利用して腋に固定しておく。この複合構造体は腋以外にも首や顔面などに用いるとき、微生物が多く寄生する皮膚面の皺が平滑になり、微生物由来の菌を除去する効果を発揮する。この時はカーボンペーストを体の方に塗ってからアルミニウム箔をその上に被覆してもよい。
流しの廃水口は、銅や鉄製の籠に木炭を入れた複合物を置くだけで効果が得られる。まな板は、ステンレス鋼の網状物と木炭を表面に載せて置くと良い。木炭は全面に置く必要はなく1個だけでよい。生花は、剣山の針を真鍮とアルミニウム2種類とし、この針を交互に配列させるとよい。台座は絶縁物でもよい。
加湿器は吹き出し口に、アルミニウムとステンレス鋼の網状物を2層に積層し配置する。空調機や換気扇などにも、この方法を適用出来る。このとき、電子が有する負の電荷によってマイナスイオン効果も期待される。
【0072】
本発明は、互いに近接した2種類の物質が電子を授受して出来る特殊な環境を利用して、異臭を防ぎ殺菌を行うというものである。効果は持続的であり、消費者の清潔感を刺激して市場に広く受け入れられると考えている。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
[実施例1]
黒鉛粉(日立粉末冶金製、ヒタゾルGP−60S)100g及び酢酸ビニル系接着剤(ヤヨイ化学製、酢ビスターチ、ルーアマイルド)90gをステンレス鋼板上に採り、箆で混練し、粘調で均一な餅状の組成物(以下、組成物という。)を得た。この組成物を、キャンバス(木下資材製、#250D白)の一方の面上に、1m当り50g、箆とロールを用いて塗布し、常温で5時間放置し、乾燥硬化させ、黒鉛粉含有層(厚さ約0.5mm)を形成した。キャンバスのもう一方の面にアルミニウム箔(日本製箔(株)、1N30、厚さ0.07mm)を両面粘着テープ(日東電工製、アクリル系粘着テープ、No.500、厚さ0.015mm、幅15mm)を用いて貼り合せ、2層複合体を作製した。貼り合わせは、後の工程にて2層複合体を足型に切断した後、切断端となる黒鉛粉含有層とアルミニウム箔とが両面粘着テープで接着された状態になるように行った。その後、黒鉛粉含有層のアルミニウム箔と接していない面に、アクリルゴム(サラダウン社製、グルースプレー)を主成分とするスプレー糊を1m当り10g塗布し、さらにポリエステル繊維製の60メッシュのネット(セミテック社製、PET60、厚さ約0.2mm)を被せ、複合体を作製した。
【0075】
次いで、複合体から、サイズ24cmEの足型(左右各1個)を鋏で切り取り履物用中敷を得た。履物用中敷の厚さは、約1mmであった。両面粘着テープの適用面積は、足用シートの面積の40%であった。得られた履物用中敷を、親指付け根関節および小指付け根関節を結ぶ線に沿って切断した。その後、履物用中敷の爪先側が靴の爪先側に、履物用中敷の踵側が靴の踵側に、アルミニウム箔面が靴底に位置するように、履物用中敷を靴底に両面テープで固定した。用いた靴のサイズは26cmEEであった。
【0076】
足裏および足指間が水虫に侵された患者が、靴下を着用し、その上に履物用中敷を敷いた靴を着用したところ、2日後から足裏の水虫の減少が観察され、約1ヶ月で足裏と指間、および親指を除く指の爪の水虫は消滅し、足裏の皮膚は平滑で艶やかになった。また、靴および靴下の臭いは靴を着用した直後から発生することはなかった。
【0077】
履物用中敷を靴内部に敷き、患者が靴を履いてから10分経過後の中敷に発生した電位差は、200〜400mVであった。
【0078】
なお、実施例中、電位差は、特に断りのない限り、靴底に固定する前の履物用中敷を用いて、次の方法により測定した。まず、履物用中敷を、導電性材料Aを含有する層(a)(実施例1では炭素含有層面)を足裏と対向するように、足裏に接触させ、次いで、履物用中敷を足裏に固定するために、履物用中敷の上からサポーターを履いた。その後、サポーターの上に靴を履き、一定時間(実施例1では10分間)過ごした。一定時間経過後、靴を脱ぎ、サポーターにより履物用中敷が足裏に固定されたままの状態で、導電性材料にテスター((株)エーアンドデイ製、AP−5526、製造番号1050578640)の端子を接続し、導電性材料間の電位差を測定した。サポーター及び保護層(実施例1ではポリエステル繊維製の60メッシュのネット)には、端子挿入用の穴を開けておいた。測定箇所は5箇所(2層積層体の任意の5箇所について、2層積層体を挟んで端子が対面するように、端子を2層積層体の表面と裏面とに接触させて電位差を測定した。)、各箇所の測定時間は5秒である。電位差は、測定値の(最小値〜最大値)mVとして示した。
【0079】
図2に、サポーターにより足裏に固定された履物用中敷の一例を示す。図中、11は導電性材料Aを含有する層(a)(実施例1では黒鉛粉含有層)、12は導電性材料Bを含有する層(b)(実施例1ではアルミニウム箔)、13は支持体(実施例1では使用せず)、14は保護層(実施例1ではポリエステル繊維製の60メッシュのネット)、15は空間部、16はサポーターである。
【0080】
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
【0081】
[比較例1]
アルミニウム箔及びアルミニウム箔を黒鉛粉含有層に接着するための両面粘着テープを使用しない他は、実施例1と同様にして、アルミニウム箔を含まない履物用中敷を作成した。足裏および足指間が水虫に侵された患者が、履物用中敷を敷いた靴を着用したところ、1ヶ月後に水虫消滅効果は見受けられなかった。
履物用中敷を靴内部に敷き、患者が靴を履いてから10分経過後の中敷に発生した電位差(正:足裏対向面、負:足裏対向面の反対面)は、10mV以下であった。
【0082】
[実施例2]
実施例1で作製した履物用中敷を、サイズ25cmEの足型の支持体(厚さ0.5mm、PET)に、履物用中敷のアルミニウム面が支持体に対面するように、両面粘着テープで貼り合わせ、支持体を備えた履物用中敷を得た。支持体を備えた履物用中敷の全体の厚さは、1.5mmであった。この支持体を備えた履物用中敷を、ポリエステル繊維製ネット面が足裏に、支持体面が靴下底側になる様に靴下内部に挿入した。足裏、足指間および足爪が水虫に侵された患者が、この靴下を、室内生活時及び夜間睡眠時に着用したところ、足裏、指間、および親指以外の指の爪の水虫は、約1ヶ月で消滅した。また、足裏の皮膚も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴下を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、200〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。なお、アルミニウム箔と支持体との間には、端子を挿入するための隙間を設けておいた。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
【0083】
[実施例3]
組成物をアルミニウム箔の一方の面に厚さ約0.03mmとなる様にローラーで塗装した他は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約0.5mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、200〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
【0084】
[実施例4]
組成物をアルミニウム箔の一方の面に厚さ約0.03mmとなる様にローラーで塗装した他は、実施例2と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴下を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴下を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、200〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
【0085】
[実施例5]
実施例1と同様の方法で、黒鉛粉含有層、アルミニウム箔、ポリエステル繊維製の60メッシュのネットを備えた2cm×4cmの足用テープを作製した。得られた足用テープを、足指に水虫を患った患者の右足の親指に、ポリエステル繊維製ネット面が爪に接するように市販のテープを用いて固定した。患者が、日中、足用テープを着用し、その上に靴下を履いて過ごしたところ、爪水虫が快方に向かった。約4ヶ月後、爪が2回生え変える頃には、水虫による爪の変色がなくなり、その後は再発することもなかった。
患者が足用テープを着用してから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、200〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。
また、4ヶ月経過後、アルミニウム箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。なお、電位差は、足用テープを市販のテープを用いて右足の親指に固定した状態で測定した。
【0086】
[実施例6]
実施例3と同様の方法で、黒鉛粉含有層、アルミニウム箔、ポリエステル繊維製の60メッシュのネットを備えた2cm×4cmの足用テープを作製した。得られた足用テープを、足指に水虫を患った患者の右足の親指に、ポリエステル繊維製ネット面が爪に接するように市販のテープを用いて固定した。患者が、日中、足用テープを着用し、その上に靴下を履いて過ごしたところ、爪水虫が快方に向かった。約4ヶ月後、爪が2回生え変える頃には、水虫による爪の変色もなくなり、その後は再発することもなかった。
患者が足用テープを着用してから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、200〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。
また、4ヶ月経過後、アルミニウム箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
【0087】
[実施例7]
アルミニウム箔に代え亜鉛箔(日本製箔製、0.1mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、150〜350mV(正:黒鉛粉含有層、負:亜鉛箔)であった。
また、1ヶ月経過後、亜鉛箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、亜鉛が酸化されたためであると考えられる。
【0088】
[実施例8]
ポリエステル繊維製の60メッシュのネットに代え11号帆布(木下資材製、11号、原糸(縦10/2、横10/1)、織密度(縦43〜47、横39〜43)、厚さ約0.3mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1.4mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、200〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の黒鉛粉含有層と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
【0089】
[実施例9]
黒鉛粉含有層に代え真鍮板(志摩工業製、C2801、H−1/4、厚さ0.2mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、100〜300mV(正:真鍮板、負:アルミニウム箔)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の真鍮板と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。真鍮板のアルミニウム箔と接していない面は、黄色から濃赤色に変化していた。真鍮板のアルミニウム箔と接する面は、黄色であり、変化していなかった。
真鍮板を用いる場合は、黒鉛粉含有層を用いる場合と比べ、足が滑り易く、靴下が破れ易く、真鍮板の足の踵部に当たる部分が折れたりひび割れたりして足を傷付け易く、また、踵部の皮膚に対し密着性に欠けるために、皮膚の平滑化などの点で劣っていた。
【0090】
[比較例2]
アルミニウム箔及びアルミニウム箔を真鍮板(志摩工業製、C2801、H−1/4、厚さ0.2mm)に接着するための両面粘着テープを使用しない他は、実施例9と同様にして、アルミニウム箔を含まない履物用中敷を作成した。足裏および足指間が水虫に侵された患者が、履物用中敷を敷いた靴を着用したところ、水虫消滅効果は見受けられなかった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、10mV以下(正:足裏対向面、負:足裏対向面の反対面)であった。真鍮板の足裏対向面は、黄色から赤銅色に変化していた。
【0091】
[実施例10]
アルミニウム箔に代えアルミニウム金網(マツバラ金網(株)製、平織りタイプ(タテ65本ヨコ46本)、線径0.2mm、厚さ0.4mm)を用いた以外は、実施例9と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1.2mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、100〜300mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム金網)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム金網の真鍮板と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
【0092】
[実施例11]
真鍮板に代え銅板(かっぱ堂製、材質C1100、厚さ0.2mm)を用いた以外は、実施例9と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。しかしながら、銅の作用により、足裏は緑色に着色した。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、100〜300mV(正:銅板、負:アルミニウム箔)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の銅板と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。銅板のアルミニウム箔と接する面は、変色が認められなかった。
【0093】
[比較例3]
アルミニウム箔及びアルミニウム箔を銅板に接着するための両面粘着テープを使用しない他は、実施例11と同様にして履物用中敷を作成した。足裏および足指間が水虫に侵された患者が、履物用中敷を敷いた靴を着用したところ、水虫消滅効果は見受けられなかった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、10mV以下(正:足裏対向面、負:足裏対向面の反対面)であった。
【0094】
[実施例12]
黒鉛粉含有層に代え鉄板(大東鉄板製、G3141SPCCタイプ、厚さ0.2mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。しかしながら、鉄の作用により、足裏は赤色に着色した。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、100〜300mV(正:鉄板、負:アルミニウム金網)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔の鉄板と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。鉄板のアルミニウム箔と接する面は、変色が認められなかった。
【0095】
[比較例4]
アルミニウム箔及びアルミニウム箔を鉄板に接着するための両面粘着テープを使用しない他は、実施例12と同様にして履物用中敷を作成した。足裏および足指間が水虫に侵された患者が、履物用中敷を敷いた靴を着用したところ、水虫消滅効果は見受けられなかった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、10mV以下(正:足裏対向面、負:足裏対向面の反対面)であった。
【0096】
[実施例13]
黒鉛粉含有層に代えステンレス鋼板(日本冶金(株)製、G4304、SUS303タイプ、厚さ0.2mm、13クロムタイプ)を用いた以外は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、100〜300mV(正:ステンレス鋼板、負:アルミニウム箔)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔のステンレス鋼板と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
ステンレス鋼板を用いる場合は、黒鉛粉含有層を用いる場合と比べ、足が滑り易く、靴下が破れ易く、ステンレス鋼板の足の踵部に当たる部分が折れたりひび割れたりして足を傷付け易く、また、踵部の皮膚に対し密着性に欠けるために、皮膚の平滑化などの点で劣っていた。
【0097】
[比較例5]
アルミニウム箔及びアルミニウム箔をステンレス鋼板に接着するための両面粘着テープを使用しない他は、実施例13と同様にして履物用中敷を作成した。足裏および足指間が水虫に侵された患者が、履物用中敷を敷いた靴を着用したところ、水虫消滅効果は見受けられなかった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、10mV以下(正:足裏対向面、負:足裏対向面の反対面)であった。
【0098】
[実施例14]
黒鉛粉に代えカーボンブラック(三菱化学製、3230B)を用いた以外は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した(カーボンブラック含有層の厚さ約0.5mm)。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、200〜500mV(正:カーボンブラック含有層、負:アルミニウム金網)であった。
また、1ヶ月経過後、アルミニウム箔のステンレス鋼板と接していない面の色はやや白色に変化していた。これは、アルミニウムが酸化されたためであると考えられる。
カーボンブラックは黒鉛粉に比べて粒子が細かく、キャンバス全体に浸透し易く、塗布性に優れていた。
【0099】
[実施例15]
坩堝内に、実施例1で用いた黒鉛粉70g、カオリン粉(中国景徳鎮高嶺産粘土)30g、及び水50gを加え、乳棒で30分間混練した。得られた混練物を、電気炉(竹昇精工製、KCA−24)を用いて1000〜1050℃で1時間焼成した。焼成後の混練物を常温まで冷却し、粗砕した後、ボールミルで5時間粉砕し、粉砕物を得た。
黒鉛粉に代え得られた粉砕物を用いた以外は、実施例1と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した電位差は、300〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。
粘土を用いた場合には、粘土を用いない場合に比べ安定した電位差が得られた。
【0100】
[実施例16]
電気炉に代え電気乾燥機(カトー(株)製、JMBタイプ、最高温度200℃)を使用し、焼成温度を150℃、焼成時間を2時間とした以外は、実施例15と同様にして履物用中敷を作製した。履物用中敷の厚さは約1mmであった。足裏及び足指間に水虫を患った患者が、この履物用中敷を敷いた靴を履いたところ、約1ヶ月で水虫は消滅し、悪臭の発生もなかった。また、足裏も平滑かつ艶やかになった。
電位差の測定を、履物用中敷の使用開始から1週間後と、2週間後に行った。患者が靴を履いてから1時間経過後の中敷に発生した1週間後の電位差は200〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)、2週間後の電位差は300〜400mV(正:黒鉛粉含有層、負:アルミニウム箔)であった。
粘土を用いた場合には、粘土を用いない場合に比べ安定した電位差が得られた。
【0101】
[実施例17]
左足の親指爪に水虫を罹った患者が、実施例14で作成した履物用中敷と同じ中敷、及び実施例14で作成した履物用中敷と同じ構成を有する足用テープを使用した。中敷は、ポリエステル繊維製ネット面が足裏と対向するように靴底に敷き、足用テープは、ポリエステル繊維製ネット面が爪と対向するように親指に貼り付けた。患者は、足用テープを親指に貼り付けた上に、靴下を履き、そして靴を履いた。使用前後の写真を図3に示す。図3上段が使用前の写真、図3下段が使用後の写真である。
使用後6週間(中敷:中敷を敷いた靴を、各週、月〜金曜日まで、1日12時間履いた。足用テープ:1週目の月〜金曜日まで、1日12時間着用した。)で、爪の生え代わりと共に、爪の色の変色が無くなってきた。
【0102】
[実施例18]
実施例14と同様の方法により、2cm×8cmの足用シートを作成した。足用シートの一端(2cm×0.5cm)をリン酸緩衝液(和光純薬工業、162−19321、0.01mol/L、pH7.2〜7.4)に浸した。他端(2cm×1cm)のカーボンブラック含有層及びアルミニウム箔を露出させ、デジタルボルトメータ(FULKE 77)の端子を接続し、カーボンブラック含有層とアルミニウム箔との電位差を測定した。電位差は、800〜1,000mV(正:カーボンブラック含有層、負:アルミニウム箔)であった。
リン酸緩衝液に代え、重炭酸ナトリウム(0.1mol/L、pH7.2〜7.4)を用いた場合にも、同様の結果が得られた。
【0103】
[実施例19]
実施例9と同様の方法により、2cm×8cmの足用シートを作成した。リン酸緩衝液(和光純薬工業、162−19321、0.01mol/L、pH7.2〜7.4)20μLを、真鍮板とアルミニウム箔との間に注入した。足用シートの一端の(2cm×1cm)の真鍮板及びアルミニウム箔を露出させ、オシロスコープ(HP54542A型)の端子を接続し、真鍮板とアルミニウム箔との電位差を測定した。電位差は、100〜200mV(正:真鍮板、負:アルミニウム箔)であった。
リン酸緩衝液に代え、重炭酸ナトリウム(0.1mol/L、pH7.2〜7.4)を用い、実施例18と同様の方法により足用シートを重炭酸ナトリウムに浸漬した場合にも、同様の結果が得られた。
【0104】
[実施例20]
本発明の足用シートについて、抗菌性試験(ハローテスト、JIS L 1902、財団法人 日本食品分析センターにて実施)を行った。1.検体、及び2.試験方法(1)試験菌、(2)菌液の調製方法、(4)試験用平板培地の作成方法、(5)判定方法を以下に示す。
【0105】
1.検体
支持部材(アクリル樹脂注型板、アクリサンデー株式会社製、透明アクリル板キャストタイプ、30mm×30mm、厚さ5mm)に、以下のA〜Eのシート(30mm×30mm)を両面粘着テープで貼付け、検体とした。
A:実施例9で使用した真鍮板(志摩工業製、C2801、H−1/4、厚さ0.2mm)
B:実施例1で使用したアルミニウム箔(日本製箔(株)、1N30、厚さ0.07mm)
C:実施例1で使用した黒鉛粉含有層
D:実施例9で使用した真鍮板とアルミニウム箔とを、両面粘着テープにより貼り合せて作成した2層複合体(アルミニウム箔面を支持部材に貼付けた。)
E:実施例1で使用した黒鉛粉含有層とアルミニウム箔とを、両面粘着テープにより貼り合せて作成した2層複合体(アルミニウム箔面を支持部材に貼付けた。)
【0106】
2.試験方法
(1)試験菌
Trichophyton rubrum TIMM 2659(白癬菌)
【0107】
(2)菌液の調製
寒天培地を用いて得られた試験菌の胞子を0.05%ポリソルベート80添加生理食塩水に浮遊させ、10〜10/mLとなるように調製し、菌液とした。
【0108】
(3)試験用平板培地の作成
a)方法A
まず、プラスチックシャーレ(直径90mm)中央に試験面(シート面)を上にした検体を設置した。サブロー寒天培地(栄研化学)150mLに菌液10mLを添加、混合したものを、プラスチックシャーレ内に検体周囲に注ぎ入れるように(検体表面に寒天が接触しないように)添加した。これを室温で30分間放置して培地表面を乾燥させ、試験用平板培地とした。
b)方法B
まず、プラスチックシャーレ(直径90mm)中央に試験面(シート面)を上にした検体を設置した。サブロー寒天培地(栄研化学)150mLに菌液10mLを添加、混合したものを、プラスチックシャーレ内に添加し、検体を寒天平板培地の底面に埋め込んだ。これを室温で30分間放置して培地表面を乾燥させ、試験用平板培地とした。
【0109】
(4)判定方法
試験用平板培地を25℃、8日間培養し、培養後、試料の周囲のハロー(発育阻止帯)の有無を肉眼観察により判定した。なお、試験は各検体ついて3枚のシャーレを用い、計3回実施(n=3)した。また、検体未設置の試験用平板培地について同様に試験した。
【0110】
結果は以下のとおりである。
検体未設置コントロールではシャーレ全体に白癬菌の発育が確認された。
検体A及び検体Bを用いた場合、方法A及び方法Bいずれでも、3枚のシャーレ全てにハローの形成が見られなかった。
検体Cを用いた場合、方法Aでは3枚中2枚、方法Bでは3枚中1枚のシャーレに小さなハローが観察された。
検体Dを用いた場合は、方法A及び方法Bいずれでも、3枚のシャーレ全てに極小さなハローの形成が観察された(図4(1)方法A、(2)方法B)。
検体Eを用いた場合は、方法A及び方法Bいずれでも、3枚のシャーレ全てで、検体の周囲に明確なハロー円の形成が観察された(図4(3)方法A、(4)方法B)。
【0111】
検体A及びBには、抗菌効果が認められなかった。検体Cではハローの形成がある場合とない場合に分かれたことを考察すると、検体Cを用いた試験でのハローの形成は、検体C単独による抗菌効果によるものではなく、検体C中の黒鉛と培地中の微量金属とが本発明における2種の導電性材料として作用して抗菌効果を示したものと考えられる。検体D及びEには、抗菌効果が認められた。特に検体Eに優位な抗菌効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1は、本発明の足用シートを用いた履物用中敷の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、履物用中敷に発生した電位差を測定する方法の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の足用シートの一例を用いた履物用中敷及び足用テープを着用した前後の足指の状態を示す写真である。
【図4】図4は、本発明の足用シートの一例について行った抗菌性試験(ハローテスト)の結果を示す写真である。
【符号の説明】
【0113】
21 導電性材料Aを含有する層(a)
22 導電性材料Bを含有する層(b)
23 支持体
24 保護層
25 空間部
11 導電性材料Aを含有する層(a)
12 導電性材料Bを含有する層(b)
13 支持体
14 保護層
15 空間部
16 サポーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足に着用される足用シートであって、少なくとも2種の導電性材料を備え、足用シートが足に着用された際に、前記2種の導電性材料間に絶対値で0.03〜1.5Vの電位差が生じることを特徴とする足用シート。
【請求項2】
足に着用される足用シートであって、少なくとも2種の導電性材料を備え、電解質が前記2種の導電性材料間に存在すると、前記2種の導電性材料間に絶対値で0.1〜2Vの電位差が生じることを特徴とする足用シート。
【請求項3】
足に着用される足用シートであって、少なくとも2種の導電性材料を備え、白癬菌の発育を阻止し得ることを特徴とする足用シート。
【請求項4】
前記2種の導電性材料が、導電性材料Aと、導電性材料Aよりも電極電位の低い導電性材料Bであり、導電性材料Aが炭素材料である請求項1〜3いずれか記載の足用シート。
【請求項5】
導電性材料Aが黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、活性炭及び木炭から選択される材料である請求項4記載の足用シート。
【請求項6】
導電性材料Aがカーボンブラックである請求項4又は5記載の足用シート。
【請求項7】
導電性材料Bが、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ニッケル、錫、鉛、銅、銀、及び金から選択される金属、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ニッケル、錫、鉛、銅、銀、及び金から選択される2種以上の金属を含む合金、又は、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、チタン、ニッケル、錫、鉛、銅、銀、及び金から選択される金属を含む被膜を有する材料である請求項4〜6いずれか記載の足用シート。
【請求項8】
導電性材料Bが、アルミニウム又はアルミニウム合金である請求項4〜7いずれか記載の足用シート。
【請求項9】
導電性材料Aを含有する層(a)と、導電性材料Bを含有する層(b)とを備え、導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが積層された請求項4〜8いずれか記載の足用シート。
【請求項10】
導電性材料Aを含有する層(a)が、炭素材料及び接着剤又は粘着剤を含有する組成物を用いて形成された請求項9記載の足用シート。
【請求項11】
接着剤又は粘着剤が、水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤である請求項10記載の足用シート。
【請求項12】
導電性材料Aを含有する層(a)が、炭素材料及び接着剤又は粘着剤を含有する組成物を基材に塗布又は含浸させることにより形成された請求項9〜11いずれか記載の足用シート。
【請求項13】
基材が布又は紙である請求項12記載の足用シート。
【請求項14】
導電性材料Aを含有する層(a)が、さらに、粘土を含有する請求項9〜13いずれか記載の足用シート。
【請求項15】
粘土が、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、石英、スメクタイト類、バーミキュライト類から選択される1種以上の鉱物を含有する請求項14記載の足用シート。
【請求項16】
導電性材料Bを含有する層(b)が、アルミニウム箔からなる層である請求項9〜15いずれか記載の足用シート。
【請求項17】
導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが、両層の間に電解質を含み得る状態で積層された請求項9〜16いずれか記載の足用シート。
【請求項18】
導電性材料Aを含有する層(a)と導電性材料Bを含有する層(b)とが、水溶性又は水分散性の接着剤又は粘着剤により接着された請求項9〜17いずれか記載の足用シート。
【請求項19】
導電性材料Aを含有する層(a)が足と対向するように着用される請求項9〜18いずれか記載の足用シート。
【請求項20】
足裏と対向する第1面、及び、地面と対向する第2面を有する支持体(c)、
支持体の第1面上に積層された導電性材料Bを含有する層(b)、及び、
導電性材料Bを含有する層(b)上に積層された導電性材料Aを含有する層(a)を備えた請求項4〜19いずれか記載の足用シート。
【請求項21】
さらに、保護層(d)を備えた請求項9〜20いずれか記載の足用シート。
【請求項22】
請求項1〜21記載の足用シートを用いた足用テープ。
【請求項23】
請求項1〜21記載の足用シートを用いた履物用中敷。
【請求項24】
請求項1〜21記載の足用シートを用いた足指用サック。
【請求項25】
請求項1〜21記載の足用シートを備えた履物。
【請求項26】
電極電位の異なる少なくとも2種類の材料が、互いに近接した状態で、粉末状、板状、線状、網状、布状、繊維状、ペースト状、小孔を有する板状、円筒状、球状、袋状、塗装やメッキ、蒸着あるいは溶射された状態の複合体を構成してなる異臭の発生防止ならびに殺菌用構造体。
【請求項27】
請求項26記載の複合体が、身体の分泌液、皮膚塗布剤に含まれる水、空気中の湿気、使用中または使用済みの水、河川や湖沼、海などの水と共存してなる異臭の発生防止ならびに殺菌用構造体。
【請求項28】
請求項26記載の材料が、吸水性のシート状材料を中間に介在した複合体を構成してなる異臭の発生防止ならびに殺菌用構造体。
【請求項29】
請求項28記載の吸水性のシート状材料が食塩を含む複合体を構成してなる異臭の発生防止ならびに殺菌用構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−216004(P2007−216004A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10731(P2007−10731)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(395012064)
【Fターム(参考)】