説明

路盤アスファルト舗装用途において用いるためのブロックコポリマーおよびポリマー改質瀝青バインダ組成物

本発明は、アーム複数を有し、アーム複数がアーム複数のうちの少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよびアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む結合ブロックコポリマー、並びにモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含み、直鎖コポリマー、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択され得る場合による1以上のブロックコポリマーを含むポリマー組成物を提供する。このポリマー組成物の分子量は約100kg/molから約400kg/molの範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、ポリマー改質瀝青バインダ組成物において用いるためのポリマー、および加熱混合アスファルト舗装用途に適する、特には、舗装用途の路盤において用いるための、ポリマー改質瀝青バインダ組成物に関する。ポリマー改質瀝青バインダ組成物は瀝青成分およびブロックコポリマー組成物を広範に含む。ブロックコポリマー組成物は単に高ビニル含有率ジブロックコポリマーを含んでなるものであってもよい。場合により、ブロックコポリマー組成物はジブロックコポリマーと直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマー(multiarm coupled block copolymer)またはこれらの混合物のいずれかとの混合物を含有することができ、ジブロックコポリマーは、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーまたはこれらの混合物と組み合わされるとき、1:1を上回る比で存在する。本発明は、さらに、瀝青成分、高ビニル含有率ジブロックコポリマーのブロックコポリマー組成物、および直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーまたはこれらの混合物のいずれかである高ビニル含有率ブロックコポリマーを含む瀝青組成物の特定のクラスに関する。
【0002】
本発明は、結合ブロックコポリマー並びに、アーム複数の少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよびアーム複数の少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロックおよび、場合により、モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む1以上のブロックコポリマーを含む、アーム複数を有する結合ブロックコポリマーの製造方法に関し、ブロックコポリマーは直鎖コポリマー、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択することができる。ポリマー組成物の分子量は約100kg/molから約400kg/molの範囲にある。
【0003】
本発明は、さらに、加熱混合アスファルト舗装用途に適し、特には、舗装用途の路盤において用いるためのポリマー改質瀝青バインダ組成物に関する。ポリマー改質瀝青バインダ組成物は瀝青成分および結合ブロックコポリマー組成物を広範に含む。結合ブロックコポリマー組成物は、アーム複数の少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロック並びにアーム複数の少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロック並びに、場合により、モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む1以上のブロックコポリマーを含む、アーム複数を有し、ブロックコポリマーは直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択される。この組成物は瀝青成分約90から約98重量%および結合ブロックコポリマー組成物約2から約10重量%を含む。結合ブロックコポリマー組成物の分子量は約100kg/molから約400kg/molの範囲内にある。
【背景技術】
【0004】
舗装用途のポリマー改質アスファルトおよび様々なポリマー改質アスファルト組成物の調製方法が当分野において周知である。瀝青の性能を改善するため、ポリブタジエン、EPDM、EPRのようなジエンエラストマー並びにスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)およびスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマーのようなスチレンブロックコポリマー(SBC)を含む様々なポリマーが瀝青と通常組み合わせられている。例えば、U.S.Patent No.5,190,998およびU.S.Patent No.6,150,439を参照。瀝青の性能を改善するのにスチレンブロックコポリマーを用いることは当分野において周知である。特性改善が実現される程度はブロックコポリマーと瀝青との適合性に依存する。高度に適合性の、または適合化されたポリマーが特性改善をもたらす上で最も有効である。長年にわたって、研究者は、これらのタイプのポリマーの瀝青との適合性を改善する一連の技術を開発している。
【0005】
加えて、瀝青舗装産業が知りたいと思うスチレンブロックコポリマーの使用に関連する改善が存在する。これらの改善には、改善された疲労性能、永久歪みに対するより高い耐性、熱分解に対するより高い耐性、誘起割れ(induced cracking)に対するより高い耐性および経済的な節約が含まれる。
【0006】
高ビニル含有率を有するブロックコポリマー組成物または高ビニル含有率および低ジブロック含有率を有するブロックコポリマー組成物を含有する瀝青組成物がより良好な特性を有する瀝青組成物を提供しようとする試みにおいて用いられている。例えば、U.S.Patent No.4,530,652、U.S.Patent No.5,798,401、U.S.Patent No.5,854,335およびU.S.Patent No.6,508,875を参照。ジブロックが多い組成物も、迅速で安易な混合をもたらし、および分散を改善しようとする努力において、瀝青組成物の調製に用いられている。例えば、U.S.Patent Publication No.2005/0137295およびU.S.Patent Publication No.2005/0004273を参照。これらの初期配合物は摩耗層に関する特定の問題を解決するが、路盤用途においては不適切であり、いかなる実質的な改善をももたらすことがない。
【0007】
U.S.Patent Publication No.2007/0112102(これは参照により本明細書に組み込まれる。)は、瀝青バインダ組成物の調製方法を開示する。この刊行物は、道路上の摩耗層のための瀝青成分へのブロックコポリマー組成物の添加を開示する。道路の摩耗層は自動車がこの上を走行する最上層であり、摩耗層は道路再舗装の間に置き換えられる層でもある。この刊行物は路盤用途に適する瀝青組成物を開示することができていない。
【0008】
瀝青は道路アスファルト混合物中でバインダとして用いられ、道路建設業者からの増え続ける性能要求を満たすように継続的に開発されている。一般には、瀝青は道路アスファルトにおいて良好に機能するが、増え続ける交通渋滞の負荷は、わだち掘り、ほぐれ(例えば、骨材材料の喪失)、表面の亀裂および下からの亀裂(bottom−up cracking)により、多くの道路の早期の摩耗につながっている。
【0009】
道路の構造は一般には3層を含んでなる。基礎(grade)上に配置される第1層は粒状材料または骨材の下層(sub−course)である。第1層上に配置される第2層は路盤である。場合により、路盤と路盤上に平滑面をもたらす摩耗層との間に位置する基層(binder course)が存在する。路盤は道路の建設において適用される最も厚く、最も高価な層である。本発明において、路盤は、約25.4mmから約400mmの厚みを有し得るポリマー改質瀝青混合物である。しかしながら、厚みは変化し得るものであり、予想される交通密度および負荷に大きく依存する。最終または最上層は摩耗層である。摩耗層は自動車がこの上を走行する層であり、ほとんどの摩耗および引き裂きを受ける。道路表面が交換されるとき、摩耗層は建設後10または15年の間に取り除かれ、交換される層である。路盤は一般には交換されないが、わだち掘りまたは亀裂が生じているときには交換することができる。その代わりに、路盤が交通負荷を適切に搬送できない場合、全幅再建を行わなければならない。路盤は摩耗層のように悪条件を受けるものであり、改善された疲労性能、永久歪みに対するより高い耐性および生じる経済的節約を有する路盤に対する必要性が存在する。
【0010】
本発明は低分子量の結合ブロックコポリマーを開示する。本発明はあらゆる道路/舗装用途、特には、路盤に用いようとするポリマー改質瀝青バインダ組成物の調製に特に有用である。本発明を利用することにより、改善された疲労性能、永久歪みに対するより高い耐性および経済的節約を有するポリマー改質瀝青バインダ組成物を調製することができる。さらに、本発明は、標準ポリマーよりも硬質路盤瀝青に適合するポリマーを開示する。
【0011】
理想的なアスファルト混合物は一連の設計温度を通してこの剛性特性を維持することが可能でなければならない。低温では、アスファルト混合物は堅く、割れやすくなる。他方、高温では、アスファルト混合物は柔らかくなり、負荷誘導弾塑性変形を生じる傾向にある。加えて、骨材と結合するバインダの能力が時間と共に低下し、ほぐれを生じさせる。アスファルト中でのポリマー改質混合物の利用は、低温でのアスファルト混合物の剛性の減少および高温でのアスファルト混合物の剛性の増加を生じている。アスファルト舗装用途の路盤におけるポリマー改質混合物の使用は、改善された疲労性能、永久歪みに対するより高い耐性および経済的側面を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,190,998号明細書
【特許文献2】米国特許第6,150,439号明細書
【特許文献3】米国特許第4,530,652号明細書
【特許文献4】米国特許第5,798,401号明細書
【特許文献5】米国特許第5,854,335号明細書
【特許文献6】米国特許第6,508,875号明細書
【特許文献7】米国特許公開第2005/0137295号明細書
【特許文献8】米国特許公開第2007/0112102号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、低分子量の結合ブロックコポリマーおよび加熱混合アスファルト舗装用途、特には、路盤としての利用に適するポリマー改質瀝青組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
瀝青成分;
約2重量%から約10重量%の範囲の高ビニル含有率ジブロックコポリマーのみを含んでなるものであってもよい、ブロックコポリマー組成物;
直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択される、場合による高ビニル含有率ブロックコポリマー;
を含み、
高ビニル含有率ジブロックコポリマーは単独で、または、トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物と組み合わされるときには、1:1を上回る比で存在する、舗装用途の路盤に適するポリマー改質瀝青組成物。
【0015】
本発明の別の実施形態において、アスファルト舗装用途において路盤として用いるためのポリマー改質瀝青バインダ組成物は、瀝青成分約90から約98重量%およびブロックコポリマー組成物約2から約10重量%を含む。コポリマーは、モノビニル芳香族炭化水素1ブロック並びに、約30,000から約78,000のピーク分子量および共役ジエンブロック内の反復モノマー単位を基準にして約35から約80モルパーセントのビニル含有率を有する、共役ジエン1ブロック並びに、場合により、モノビニル芳香族炭化水素少なくとも2ブロックおよび共役ジエン少なくとも1ブロックを含む1以上のブロックコポリマーを含み、ブロックコポリマーは、コポリマーのピーク分子量の1.5から3倍であるピーク分子量を有する直鎖トリブロックコポリマー、コポリマーのピーク分子量の1.5から9倍であるピーク分子量を有するマルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択され、各々のブロックコポリマーは共役ジエンブロック内の反復モノマー単位の数を基準にして35から80モルパーセントのビニル含有率を有し、ポリマー改質瀝青バインダ組成物は路盤舗装用途として用いられる。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態において、ポリマー改質瀝青バインダ組成物は1:1を上回る比でコポリマーを含む。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態において、ポリマー改質瀝青バインダ組成物は式A−Bのものであるコポリマー並びに式A−B−Aおよび(A−B)nXのブロックコポリマーから選択されるブロックコポリマーを含み、これらの式に関して、Aはモノビニル芳香族炭化水素のブロックであり、Bは共役ジエンのブロックであり、nは2から6の整数であり、Xはカップリング剤残基である。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態において、ポリマー改質瀝青バインダ組成物のブロックコポリマー組成物はA−BおよびA−B−Aを含み、式中、各々のAはスチレンであり、および各々のBはブタジエンであり、A−Bのピーク分子量は48,000から78,000であり、およびビニル含有率はA−Bの共役ジエンブロック内の反復モノマー単位の数を基準にして46から70モルパーセントであり、並びにA−B−Aのピーク分子量はA−Bのピーク分子量の1.8から2.5倍であり、およびビニル含有率はA−B−Aの共役ジエンブロック内の反復モノマー単位の数を基準にして46から70モルパーセントであり、並びにA−Bのポリスチレン含有率は25%から35%であり、およびA−B−Aのポリスチレン含有率は25から35%である。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態において、ポリマー改質瀝青バインダ組成物は式C−D−Cまたは(C−D)nXのブロックコポリマーの追加を含み、式中、Cはスチレンであり、Dはブタジエン、イソプレンまたはこれらの混合物であり、nは2から6の整数であり、およびXはカップリング剤残基であり、並びに追加のブロックコポリマーは添加されるブロックコポリマーの総量の30重量%までの量で添加される。
【0020】
本発明は、アーム複数を有し、これらのアームがアーム複数のうちの少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよびアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む結合コポリマーを含む、ポリマー組成物をさらに含み、このポリマー組成物はモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む1以上のブロックコポリマーを場合により含むことができ、このブロックコポリマーは直鎖ブロックコポリマー、マルチアームブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択される。ポリマー組成物の分子量は約100kg/molから約400kg/molの範囲にある。好ましくは、ポリマー組成物の分子量は約150kg/molから約300kg/molの範囲にあり、カップリング効率は40%以下である。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態において、ポリマー組成物は、アーム複数のうちの2つに結合する2つのスチレン末端ブロックおよびアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する少なくとも1つのブタジエンブロックを含む。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態において、カップリング剤はシランである。好ましくは、カップリング剤はγ−グリシドキシ−プロピル−トリメトキシ−シラン(γGPTS)である。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態においては、約40kg/molから約90kg/molの範囲の絶対アーム重量平均分子量を有する少なくとも2つのスチレンアームおよび約40kg/molから約90kg/molの範囲の絶対アーム重量平均分子量を有する少なくとも1つのブタジエンアーム並びに約100kg/molから約400kg/molの範囲のピーク分子量を含有する結合スチレン−ブタジエン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーにさらに関する。好ましくは、分子量は約150kg/molから約300kg/molの範囲にある。さらにより好ましくは、分子量は約200kg/molである。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態においては、約10:90から約40:60のスチレンのブタジエンに対する比にさらに関する。好ましくは、この比は約15:85から約30:70である。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態においては、約3から約16の分岐度を含むポリマー組成物にさらに関する。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態においては、瀝青成分約90から約98重量%および結合ブロックコポリマー組成物約2から約10重量%を含む、アスファルト舗装用途において用いるためのポリマー改質瀝青バインダ組成物であって、結合ブロックコポリマー組成物はアーム複数を有する結合コポリマーを含み、アーム複数はアーム複数のうちの少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよびアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含み、並びにポリマー組成物はモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む1以上のブロックコポリマーを場合により含むことができ、このブロックコポリマーは直鎖ブロックコポリマー、マルチアームブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択される、ポリマー改質瀝青バインダ組成物にさらに関する。このポリマー組成物の分子量は約100kg/molから約400kg/molの範囲にある。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態においては、約40℃から約60℃の温度の溶媒を提供し、ポリスチレンおよびsec−ブチルリチウムを溶媒に添加し、反応を約45分から約2時間進行させ、予め決定された分子量を得るためにポリスチレンを添加し、sec−ブチルリチウムおよびブタジエンを添加し、重合を約15分から約1時間進行させ、カップリング剤を添加し、カップリング剤を添加した後約5分から約30分に停止剤を添加することによって反応を停止させることを含む、結合ブロックコポリマー組成物の調製方法にさらに関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
バインダをポリマーで改質する例示されるSBS改質路盤混合物での試みがなされ、これがポリマー改質剤なしの参照路盤混合物よりも良好な機械性能をもたらし得ることが示されている。本発明においては、ポリマー含有率は約2%から約10%である。好ましくは、ポリマー含有率は約5%から約8%である。より好ましくは、ポリマー含有率は約6%から約7.5%である。
【0029】
本発明の例示的実施形態の1つは、加熱混合アスファルト塗装用途、特には、舗装用途の路盤における使用に適するポリマー改質瀝青バインダ組成物に一般に関する。ポリマー改質瀝青バインダ組成物は瀝青成分およびブロックコポリマー組成物を広範に含む。ブロックコポリマー組成物は高ビニル含有率ジブロックコポリマーを単独で含んでなるものであり得る。場合により、ブロックコポリマー組成物はジブロックコポリマーと直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーまたはこれらの混合物のいずれかとの混合物を含有することができ、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーまたはこれらの混合物と組み合わされるとき、ジブロックコポリマーは1:1を上回る比で存在する。本発明は、さらに、瀝青成分、高ビニル含有率ジブロックコポリマーのブロックコポリマー組成物、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーまたはこれらの混合物である高ビニル含有率ブロックコポリマーを含む瀝青組成物の特定のクラスに関する。
【0030】
本発明の別の例示的実施形態によると、ポリマー組成物は、アーム複数を有し、これらのアーム複数がアーム複数のうちの少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよびアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む結合ブロックコポリマー並びに、場合により、モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む1以上のブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは直鎖コポリマー、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択することができる。ポリマー組成物の分子量は約100kg/molから約400kg/molの範囲にある。より具体的には、ポリマー組成物は、約40kg/molから約90kg/molの範囲の絶対アーム重量平均分子量を有する少なくとも2つのスチレンアームおよび約40kg/molから約90kg/molの範囲の絶対アーム重量平均分子量を有する少なくとも1つのブタジエンアーム、並びに約100kg/molから約400kg/molの範囲のスチレン−ブタジエン−スチレン−ブタジエンブロックコポリマーのピーク分子量を含む、結合スチレン−ブタジエン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーであり得る。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「分子量」という用語は、ポリマーまたはコポリマーのブロックのg/molでのポリスチレン等価の、または見かけの、分子量を指す。本明細書および特許請求の範囲において参照される分子量は、ASTM 3536に従って行われるような、ポリスチレン較正標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。GPCは周知の方法であり、分子サイズに従ってポリマーが分離され、最大分子が最初に溶離する。このクロマトグラフは商業的に入手可能なポリスチレン分子量標準を用いて較正する。GPCを用いて測定され、このように較正されたポリマーの分子量はスチレン等価分子量、別名、見かけの分子量である。スチレン等価分子量は、ポリマーのスチレン含有率およびジエンセグメントのビニル含有率がわかるとき、真の分子量に変換することができる。用いられる検出器は、好ましくは、紫外線および屈折率検出器の組み合わせである。本明細書で表される分子量はGPCトレースのピークで測定され、「ピーク分子量」と通常呼ばれる。
【0032】
このポリマー組成物は、すべての種類の舗装用途において用いるための、特には、アスファルト舗装用途の路盤の形成において用いるための、瀝青成分との混合に適する。ポリマー組成物は、アーム複数を有し、これらのアーム複数がアーム複数のうちの少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよびアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む結合ブロックコポリマー並びに、場合により、モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む1以上のブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは直鎖コポリマー、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択することができる。この組成物は瀝青成分約90から約98重量%および結合ブロックコポリマー組成物約2から約10重量%を含む。結合ブロックコポリマー組成物の分子量は約100kg/molから約400kg/molの範囲にある。
【0033】
モノビニル芳香族炭化水素ブロックは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエンおよびビニルキシレンまたはこれらの混合物のような、ブロックコポリマーの調製における使用が公知であるあらゆるモノビニル芳香族炭化水素であり得る。本発明における使用に最も好ましいモノビニル芳香族炭化水素はスチレンであり、これは実質的に純粋なモノマーとして用いられるか、またはo−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエンおよびビニルキシレンのような他の構造的に関連するビニル芳香族モノマーの小さい割合、即ち、多くて10重量%の割合との混合物における主要成分として用いられる。実質的に純粋なスチレンの使用が本発明において最も好ましい。
【0034】
同様に、共役ジエンブロックは、この共役ジエンが4から8個の炭素原子を有するという条件で、ブロックコポリマーの調製における使用が公知であるあらゆる共役ジエンであり得る。好ましくは、共役ジエンブロックの調製に用いられる共役ジエンはブタジエンモノマーまたはイソプレンモノマーであり、これは実質的に純粋なモノマーであるか、または2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよび1,3−ヘキサジエンのような構造的に関連する共役ジエンの、10重量%までの、小さい割合を含有する。好ましくは、実質的に純粋なブタジエンまたは実質的に純粋なイソプレンが共役ジエンブロックの調製に用いられ、実質的に純粋なブタジエンが最も好ましい。共役ジエンブロックはブタジエンおよびイソプレンモノマーの混合物を含むこともできることに注意されたい。
【0035】
「ビニル含有率」という用語が、1,3−ブタジエンが1,2−付加機構によって重合するときに生成されるポリマー生成物を説明するのに用いられていることは理解される。この結果はポリマー主鎖に懸垂する一置換オレフィン基、ビニル基である。イソプレンのアニオン重合の場合、3,4付加機構によるイソプレンの挿入はポリマー主鎖に懸垂するジェミナルジアルキルC=C部分をもたらす。ブロックコポリマーの最終特性に対するイソプレンの3,4−付加重合の作用はブタジエンの1,2−付加からのものに類似する。共役ジエンモノマーとしてのブタジエンの使用を参照するとき、ポリマーブロック内の縮合ブタジエン単位の約5から約80モルパーセントが1,2−付加配置を有することが好ましい。好ましくは、縮合ブタジエン単位の約7から約70モルパーセントが1,2−付加配置を有するべきであり、さらにより好ましくは、ブタジエン単位の約50から約65モルパーセントが1,2−付加配置を有するべきである。
【0036】
瀝青成分は天然瀝青であっても、鉱油から誘導されてもよい。分解プロセスによって得られる石油誘導体、ピッチおよびコールタールも、これらの配合物に加えて、瀝青成分として用いることができる。適切な成分の例には、プロパン瀝青、ブローン瀝青(blown bitumens)およびこれらの混合物のような、蒸留または「直留(straight−run)」瀝青、沈殿瀝青が含まれる。他の適切な瀝青には、これらの瀝青の1以上と石油抽出物、例えば、芳香族抽出物、蒸留物もしくは残滓のような増量剤または油との混合物が含まれる。本発明において用いることができる瀝青の代表例の幾つかは、ASTM方法D5(25□)による測定で約300dmm未満のPEN値、より具体的には、約10から約300dmmの範囲のPEN値を有する。用いられるより好ましい瀝青は約20から約200dmmの範囲、最も好ましくは、約20dmmから約80dmmの範囲のPEN値を有する。
【0037】
瀝青およびポリマー組成を適正に選択することで、適切なアスファルトバインダを製造することができる。好ましくは、アスファルトバインダは10から100dmmの範囲、好ましくは、20から75dmmの範囲のPEN値を示す(ASTM方法D5、25℃)。
【0038】
イオウ等のような架橋剤または「相溶化剤」を用いることも当分野において公知である。ポリマー改質瀝青用の(即ち、アスファルトバインダおよび屋根葺き材組成物の両者における)架橋剤も当分野において周知である。例として、U.S.Patent No.5,017,230、U.S.Patent No.5,756,565、U.S.Patent No.5,795,929およびU.S.Patent No.5,605,946が様々な架橋性組成物を開示し、架橋性組成物を開示する他の特許を参照する。経費、環境影響および使用の容易さを含む様々な理由から、無機亜鉛化合物を伴う元素イオウが好ましい。ほとんどの架橋形成は、経費のため、元素イオウを用いる。特別な状況においては、ジチオジモルホリン、亜鉛チウラムジスルフィドまたは互いに結合する2以上のイオウ原子を有するあらゆる化合物のようなイオウ供与体と共にイオウを添加することができる。亜鉛は亜鉛2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛テトラアルキルチウラムジスルフィド、酸化亜鉛、亜鉛ジアルキル−2−ベンゾスルフェンアミドもしくは他の適切な亜鉛化合物またはこれらの混合物として添加する。
【0039】
本発明の組成物は通常固体または非液体の架橋剤の追加を含むことができる。これらの架橋剤は、通常、粉末またはフレーク形態で販売される。本発明において用いることができる元素イオウの量は、瀝青組成物の総量を基準にして、0.05から0.2重量%、好ましくは、0.1から0.15重量%変化し得る。
【0040】
好ましくは、本発明において用いられる場合によるブロックコポリマー組成物はジブロックコポリマー、直鎖トリブロックコポリマーまたはマルチアーム結合ブロックコポリマーを含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、結合ブロックコポリマーは式ABnX(B)のものであり、式中、前記式Aはモノビニル芳香族炭化水素ブロックであり、Bは共役ジエンブロックであり、nは2から7の整数であり、Xはカップリング剤の残基であり、およびmは1から6の整数である。(m+n)の合計は8以下であり、好ましくは、合計は6以下である。
【0042】
本発明による瀝青組成物において改質剤として有用であるブロックコポリマーは、場合により再開始との組み合わせにある周知の完全連続重合法並びに、例えば、U.S.Pat.No.3,231,635;3,251,905;3,390,207;3,598,887;および4,219,627並びにEP 0413294 A2、0387671 B1、0636654 A1、WO 94/22931(これらは参照により本明細書に組み込まれる。)に示されるような、カップリング法を含む、当分野において公知のあらゆる方法によって調製することができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、ポリマー組成物は、一般には、モノビニル芳香族炭化水素を溶媒に添加した後、sec−ブチルリチウムを溶媒に添加することによって調製される。別のモノビニル芳香族炭化水素を添加して予め決定された分子量を達成する。モノビニル芳香族炭化水素が枯渇した後、sec−ブチルリチウムの予め決定された量を添加し、その後共役ジエンを添加する。定められた時間、重合が生じる。その後、シランカップリング剤を導入し、メタノールの添加によって反応を停止させる。より具体的には、ポリマー組成物はポリスチレンを溶媒に添加し、sec−ブチルリチウムを溶媒に添加することによって調製することができる。次に、ポリスチレンを添加して予め決定された分子量を達成する。スチレン枯渇の後、sec−ブチルリチウムを添加し、次いで予め決定された時間でブタジエンを添加する。予め決定された時間、重合を進行させる。ブタジエン枯渇の後、シランカップリング剤を導入する。予め決定された時間の後、メタノールを添加することによって反応を停止させる。
【0044】
具体的には、本発明によるポリマー組成物は以下のように調製した:ポリスチレン152gを50℃のシクロヘキサン6リットルに添加し、その後sec−ブチルリチウム10.1mmolを添加する。反応は1時間で完了し、次に予め決定された分子量を得るためポリスチレンをそこに添加した。スチレン枯渇の後、sec−ブチルリチウム19.7mmolを添加した後、ブタジエン835.2gを14分で添加した。重合を70℃で30分間進行させた。ブタジエン枯渇の後、γ−グリシドキシ−プロピル−トリメトキシ−シラン(γGPTS)8.4mmolを添加した。15分後、メタノールを添加することによって反応を停止させた。
【0045】
ブロックコポリマーが中間体リビングジブロックコポリマー(これは次に多価カップリング剤によってカップリングされる。)の最初の調製によって調製されるとき、初期ジブロック含有率はカップリング効率によって決定される。通常、ほとんどのブロックコポリマーの調製においては、80%から97%の範囲のカップリング効率が望ましい。しかしながら、本発明においては、90%までのカップリング効率を有するポリマーを用いることが可能ではあるが。好ましくは、さらにより低いカップリングの程度(40%以下のカップリング効率)が存在する。本発明の目的上、「カップリング効率」という語句は、結合ポリマーの分子の数を結合ポリマーの分子の数プラス非結合ポリマーの分子の数で除したものを指す。例えば、カップリング効率が80パーセントである場合、ポリマーは20パーセントのジブロックを含有する。これは当業者に周知である。
【0046】
従って、ブロックコポリマーは、例えば、少なくとも2つのジブロックコポリマー分子を互いにカップリングさせることによって調製することができる。カップリング剤は当分野において公知のあらゆる二または多官能性カップリング剤、例えば、ジブロモエタン、ジエチルアジペート、ジビニルベンゼン、ジメチルジクロロシラン、メチルジクロロシラン、四塩化ケイ素およびアルコキシシラン(U.S.Pat.No.3,244,664、U.S.Pat.No.3,692,874、U.S.Pat.No.4,076,915、U.S.Pat.No.5,075,377、U.S.Pat.No.5,272,214およびU.S.Pat.No.5,681,895)、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリイミン、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリ無水物、ポリエステル、ポリハロゲン化物(U.S.Pat.No.3,281,383);ジエステル(U.S.Pat.No.3,594,452);メトキシシラン(U.S.Pat.No.3,880,954);ジビニルベンゼン(U.S.Pat.No.3,985,830);1,3,5−ベンゼントリカルボン酸三塩化物(U.S.Pat.No.4,104,332);グリシドキシトリメトキシシラン(U.S.Pat.No.4,185,042);オキシジプロピルビス(トリメトキシシラン)(U.S.Pat.No.4,379,891)およびγ−グリシドキシ−プロピル−トリメトキシ−シラン(γGPTS)であり得る。
【0047】
一般には、本発明において有用なポリマーは、モノマーを有機アルカリ金属化合物と適切な溶媒中、約−150℃から約300℃内の温度、好ましくは、約0℃から約100℃の範囲内の温度で接触させることによって調製することができる。特に有効な重合開始剤は一般式RLiを有する有機リチウム化合物であり、式中、Rは1から20個の炭素原子を有する脂肪族、シクロ脂肪族、アルキル置換シクロ脂肪族、芳香族またはアルキル置換芳香族炭化水素ラジカルであり、これらのうちsecブチルが好ましい。適切な溶媒にはポリマーの溶液重合において有用なものが含まれ、脂肪族、シクロ脂肪族、アルキル置換シクロ脂肪族、芳香族およびアルキル置換芳香族炭化水素、エーテルおよびこれらの混合物が含まれる。
【0048】
重合ビヒクルとして用いられる溶媒は、形成ポリマーのリビングアニオン鎖端と反応せず、商用重合ユニットにおいて容易に取り扱われ、および生成物ポリマーに適切な可溶性特性を提供するあらゆる炭化水素であり得る。例えば、一般にイオン化可能な水素を欠く非極性脂肪族炭化水素が特に適切な溶媒になる。環状アルカン、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタンが頻繁に用いられ、これらはすべて比較的非極性である。適切な脂肪族炭化水素には、ブタン、ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン、メチルシクロヘキサンおよびメチルシクロヘプタンのようなアルキル置換シクロ脂肪族炭化水素、ベンゼンのような芳香族炭化水素並びにトルエンおよびキシレンのようなアルキル置換炭化水素並びにテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルおよびジ−n−ブチルエーテルのようなエーテルがさらに含まれる。他の適切な溶媒は当業者に公知であり、所定のプロセス条件の組で効率的に実施されるように選択することができ、考慮される主要因子の1つが温度である。好ましい溶媒はシクロペンタンまたはシクロヘキサンである。
【0049】
共役ジエン部分のビニル含有率を高める技術は周知であり、エーテル、アミンおよび他のルイス塩基のような極性化合物、より具体的には、グリコールのジアルキルエーテルからなる群より選択されるものの使用を含み得る。最も好ましい改質剤は、同じであるか異なる末端アルコキシ基を含有し、場合によりエチレンラジカル上にアルキル置換基を有する、エチレングリコールのジアルキルエーテル、例えば、モノグリム、ジグリム、ジエトキシエタン、1,2−ジエトキシプロパン、1−エトキシ−2,2−tert−ブトキシエタンから選択され、これらのうち1,2−ジエトキシプロパンが最も好ましい。
【0050】
本発明の一実施形態においては、瀝青成分を撹拌タンクにおいて約160℃から約210℃の温度、好ましくは、約170℃から約195℃まで加熱する。本発明において用いられる瀝青成分はあらゆる天然瀝青であり得、または石油から誘導することができる。加えて、分解プロセスによって得られるピッチ化石油およびコールタールを、様々な瀝青材料の配合物に加えて、瀝青成分として用いることができる。適切な成分の例には、これらに限定されるものではないが、蒸留または「直留瀝青」、沈殿瀝青(例えば、プロパン瀝青)、ブローン瀝青(例えば、触媒ブローン瀝青)、マルチグレードおよびこれらの混合物が含まれる。他の適切な瀝青成分には、これらの限定されるものではないが、これらの瀝青の1以上と石油抽出物、例えば、芳香族抽出物、蒸留物もしくは残滓のような増量剤(フラックス)または油との混合物が含まれる。適切な瀝青成分(「直留瀝青」または「フラックス処理瀝青(fluxed bitumens)」のいずれか)は25℃で約10から約400単位の範囲の針入度を有するものである;従って、約20から約80単位の針入度の極めて固い瀝青を用いることができるが、一般には、約20から約60単位の針入度を有する直留または蒸留瀝青が用いるのに最も好都合である。相溶性に加えて非相溶性の両者の瀝青を用いることができる。
【0051】
本発明の成功は本発明のポリマー改質瀝青バインダ組成物の調製に用いるタンク(または容器)のタイプには依存しない。従って、瀝青組成物の調製において用いられるあらゆる公知のタンクまたは容器を、このようなタンクまたは容器が撹拌(かき混ぜ)および加熱機能を有するのであれば、用いることができる。本発明の範囲内で用いられる場合、「撹拌タンク」という語句は撹拌(かき混ぜ)および加熱手段を有するタンクおよび容器を指す。適切な撹拌またはかき混ぜには、これらに限定されるものではないが、垂直インペラ、サイドアームインペラおよびポンプ周り循環(pump around circulation)が含まれる。
【0052】
プロセスを実施する観点からは、瀝青成分を典型的には撹拌タンクに入れ、約160℃から約210℃、好ましくは、約170℃から約195℃、さらに別の選択肢では、約198℃から約216℃の温度まで徐々に加熱する。典型的には、この加熱相の最中に瀝青成分を撹拌する。空気の存在は本発明に対して有害ではないが(即ち、空気と接触する混合物の表面を生じる開放容器の使用)、(空気硬化またはブローン瀝青の場合におけるような)空気の意図的な導入は本発明には不要であり、このような添加はまず間違いなく瀝青成分の硬化を生じるため、実際には阻止される。本実施形態においては、瀝青成分が望ましい温度に到達したら、瀝青成分およびブロックコポリマー組成物の均一混合物を形成するために瀝青成分を撹拌しながら、ブロックコポリマー組成物を添加する。
【0053】
ブロックコポリマー組成物を瀝青成分に添加する様式および形態も本発明にとっては重要ではない。従って、粉末、多孔性ペレットおよび/またはクラムの形態のブロックコポリマー組成物を、すべてを一度に、または少量もしくはバッチに分割して添加することができ、短い期間にわたる(例えば、僅かに短いか、または長い時間も想定されるが、5から60分の期間にわたる)間隔で添加することができる。ほとんどの場合において、ブロックコポリマー組成物は多孔性ペレットの形態ですべてを一度に添加する。さらに長時間にわたるブロックコポリマー組成物の添加も可能ではあるが、経済的観点からは必ずしも望ましいものではない。ブロックコポリマー組成物の添加の間、混合物を撹拌し、瀝青成分を加熱する温度(約160℃から約210℃)を維持する。
【0054】
多くの瀝青において、ブロックコポリマー組成物は溶解し、上述されるような単純な撹拌または他の撹拌手段で均一な配合物を形成し得る。加熱混合アスファルトにおいては、瀝青は存在する骨材上に薄膜を形成する。この膜の厚みが約10ミクロンのオーダーであることは一般に容認される。瀝青添加物は、一般には、これらが骨材上の瀝青の膜と等しいか、またはより小さい規模で瀝青中に完全に分散する場合、配合物内で均一であるとみなされる。他方、SBSポリマーが瀝青中で分散し、ポリマーに富む相および瀝青に富む相を含む層構造を形成することは周知である。この層構造の規模が約10ミクロン未満のオーダーであることは一般に容認される。従って、本発明に関して本明細書で用いられる場合、「均一配合物」という語句は、ブロックコポリマー組成物が瀝青成分内に約10ミクロン規模以下で分散するように瀝青成分およびブロックコポリマー組成物を含む混合物を指す。
【0055】
特定の場合においては、高剪断ミルに混合物を通過させることによってこの配合プロセスを促進することが望ましいものであり得る。高剪断ミルはプロセス全体に用いることができるが、典型的には、ブロックコポリマーが瀝青成分と均一な配合物を形成するのに十分な期間用いられる。その後、典型的には、低剪断配合を用いて撹拌を達成する。これらのプロセスの両者は当分野において周知であり、本発明の範囲内にあることが意図される。ひとたびブロックコポリマー組成物および瀝青が混合されると、使用に先立って混合物の完全な硬化を可能にするため、混合物の温度は維持しながら、撹拌を約2から約30時間の期間継続する。本方法の代替実施形態においては、撹拌は2から26時間、さらにより好ましくは、2から24時間の期間行われる。ブロックコポリマー組成物が上述のものよりも長い期間にわたって添加されるとき、撹拌の最終時間は、ブロックコポリマー添加の持続期間を考慮に入れ、これに応じて調整する必要があり得ることに留意されたい。
【0056】
本発明の方法において添加されるブロックコポリマー組成物の量は、さらなる使用に先立って次に希釈する(「低下させる(let down)」)濃縮体を得ることが望ましいのかどうか、または添加される量がこの時点で用いられる最終希釈(最終生成物)をもたらすのかどうかに依存して変化し得る。従って、添加される量は、瀝青成分に添加されるブロックコポリマー組成物の量が、ポリマー改質瀝青バインダ組成物の重量を基準にして、僅かに約2重量%から約36重量%までもになるようなものである。本出願の範囲内で用いられる場合、「低下させる」という用語は、瀝青分野の当業者に公知のように、濃縮瀝青バインダ組成物を用いられる最終濃度まで希釈することを参照するのに用いられる業界用語である。例えば、本発明の方法は、約6重量%から約36重量%、好ましくは、約9から30%、より好ましくは、約12重量%から約22重量%のブロックコポリマー組成物(ポリマー改質瀝青バインダ組成物の総重量を基準とする。)を含有する瀝青バインダ濃縮物の製造に用いることができる。この瀝青バインダ濃縮物はある時点でさらなる瀝青で希釈し、最終使用に望ましい最終濃度を達成する(典型的には、ポリマー改質瀝青バインダ組成物の総重量を基準にして、約2重量%から約8重量%)。ポリマー改質瀝青バインダ濃縮物を使用に望ましい濃度まで希釈するプロセスは、配合装置の費用効率の高い使用方法として当分野において周知である。本発明の瀝青バインダ濃縮物は硬化プロセスの最中もしくはこの直後に最終濃度に希釈する(「低下させる」)ことができ、または、代わりの方法では、保存し、および/もしくは後にこれを最終濃度に希釈する(「低下させる」)異なる場所に輸送することができる。従って、本発明の方法は、場合により、ポリマー改質瀝青バインダ組成物の製造にさらなる工程を含有し得る。このような実施形態の1つは、ブロックコポリマー組成物6から36重量%を含む濃縮物を調製した後、この濃縮物をさらなる瀝青で希釈して望ましい最終濃度(好ましくは、約2重量%から約8重量%の最終濃度)を達成することを許容する。この希釈は、硬化(工程(c))の最中または、硬化を達成するのに必要な時間温度が維持されるのであれば、工程(c)の後に硬化に続いて行うことができる。硬化の最中またはこれに続いて、適切な温度および撹拌が維持されるのであれば、組成物を異なる場所に輸送することができる。硬化の最中に希釈するとき、組成物は濃縮配合物が均一になるやいなや(工程(c)の最初に、または組成物が硬化するに従って(工程(c)の最中))希釈することができる。この実施形態は、より高いスループットを達成することができるように高価な粉砕装置が用いられるとき、有利である。その代わりに、硬化プロセスが完了した後に濃縮組成物を低下させることもできる。この実施形態は、希釈瀝青を非常に低い温度で導入することができ、これが長期保存により適する温度で最終配合物を生じるため、長期保存に有利である。
【0057】
本発明は、さらに、上記方法の代替法であって、まず瀝青を溶融状態まで加熱し、ブロックコポリマー組成物を添加した後、温度を硬化のレベル、約160℃から約210℃まで上昇させることが上記方法とは異なる代替法を提供する。従って、本代替法は、用いられる材料のタイプ(例えば、瀝青およびブロックコポリマー組成物)または工程を達成する手段(例えば、用いられる装置のタイプ)のうちではなく、プロセス工程これら自体の変更のみを含む。より具体的には、この代替法においては、前述の瀝青成分を瀝青成分が溶融状態になるまで撹拌タンク内で加熱する。本明細書で用いられる場合、「溶融状態」という語句は瀝青成分が液体になる点を指す。当業者は、ほとんどの瀝青が約87℃から約121℃、より具体的には、約93℃から約105℃の温度範囲内で「溶融状態」に到達することを認める。この相の最中は、場合により瀝青成分を撹拌する。ひとたび瀝青成分が溶融状態に到達したら、ブロックコポリマー組成物を前述の様式で添加する。この時点で、この混合物が未だに撹拌されていない場合、撹拌は必ずしも必要ではないが、激しい撹拌を開始してもよい。ブロックコポリマー組成物を添加した後、2成分の均一混合物を形成するために瀝青成分およびブロックコポリマー組成物を激しく撹拌しながら、(前述のように)温度を約160℃から約210℃に上昇させる。この混合物を、硬化したポリマー改質瀝青バインダ組成物が得られるまで、注記される温度で合計約2時間から約30時間撹拌し続ける。この代替法においては、ポリマー改質瀝青バインダ組成物の硬化の最中またはその後に、均一混合物を前述のようにさらに低下させる。
【0058】
本発明は、さらに、上記方法の代替法であって、瀝青を160℃まで加熱する(時間はサンプルのサイズに依存する。)ことが上記方法とは異なる代替法を提供する。瀝青を高剪断ミキサの下でヒータに入れ、ヒータを用いて瀝青の温度を160℃まで上昇させる。温度が160℃に到達したら、ヒータをオフにする。結合ブロックコポリマーを瀝青に添加しながら、ミキサを半分の速度、即ち、約3000rpmで回転させる。結合ブロックコポリマーを添加しながら、ミキサの速度を全速、即ち、約6000rpmまで増加させる。高剪断のため、これによりミキサが回転を停止するとき、混合物の温度は180℃に上昇する。ミキサは約180℃の温度を維持するためのみに回転を開始する。約1時間後、結合ブロックコポリマーが完全に溶解する。
【0059】
上記瀝青成分およびブロックコポリマー組成物に加えて、他の場合による成分を本発明の方法の最中に添加することができ、この成分には、これらに限定されるものではないが、樹脂、油、安定化剤、帯電防止剤、充填剤(例えば、タルク、炭酸カルシウムおよびカーボンブラック)、ポリリン酸、粉砕タイヤゴムまたは難燃剤が含まれる。添加されるこのような場合による成分の量は、瀝青バインダ組成物の総重量を基準にして、0から約20重量%の範囲を取り得る。特に好ましい追加成分は酸化防止剤であり、これは反応の速度に影響を及ぼすように混合プロセスの最中またはその後に添加することができる。酸化防止剤が添加されるとき、これらは、瀝青バインダ組成物の総重量を基準にして、約0.1重量%から約5重量%の量で存在する。加えて、他のブロックコポリマーを本発明の最終瀝青バインダ組成物に含めることもできる。好ましくは、このようなブロックコポリマーは一般式C−D−Cまたは(C−D)Xのブロックコポリマーであり、式中、Cはモノビニル芳香族炭化水素ブロックであり、Dは共役ジエンブロックであり、nは2から6の整数であり、およびXはカップリング剤の残基であり、前記ブロックコポリマーは約30,000から約400,000のピーク分子量および、ブロックコポリマーの共役ジエンブロック内の反復モノマー単位の数を基準にして、約8モルパーセントから約25モルパーセントのビニル含有率を有する。このようなブロックコポリマーの例には、これらに限定されるものではないが、Kraton D 1101ポリマーおよびKraton D 1184ポリマーが含まれ、各々Kraton Polymers LLCから商業的に入手可能である。このような追加のブロックコポリマーが存在するとき、これらは、好ましくは、添加されるブロックコポリマーの総重量を基準にして、約30重量%までの量で存在する。これらの追加成分がプロセスに添加されるとき、これらは、典型的には、ブロックコポリマー組成物として同時に添加される。その代わりに、これらの追加成分はブロックコポリマー組成物の添加の直前またはブロックコポリマー組成物の添加の直後に添加することもできる。
【0060】
実施例
亀裂成長は路盤アスファルト舗装の評価における最も重要なパラメータの1つと考えられる。上述のブロックコポリマーおよび結合ブロックコポリマー改質瀝青バインダ組成物を非改質瀝青組成物との比較で試験し、亀裂成長挙動を決定した。亀裂成長挙動の決定において、これらの亀裂成長挙動に関して材料を比較するのにSchapery理論を用いる。亀裂成長のパリス則に基づき、以下の式を考慮することができる:
【0061】
【数1】

式中:
c=亀裂長
N=反復数
A,n=パリス則パラメータ
eff=応力強度因子
【0062】
パリス式は2つの物質定数:Aおよびnを含む。定数nは疲労試験の勾配に非常に密接に関連するものと考えられ、Aは、Schaperyによって示される式で説明されるように、粘弾性材料について決定することができる:
【0063】
【数2】

式中:
m=負荷時間の対数の関数としてのコンプライアンス曲線の対数の勾配
μ=ポアソン比(Poisson’s ration)
=引張り強さ
Γ=破壊エネルギー(合計エネルギー)
=第1応力不変量
D=コンプライアンス
【0064】
この式から、Aが引張り強さ、破壊エネルギー、剛性、コンプライアンス曲線の勾配およびポアソン比に依存することがわかる。これらの値を決定することができる場合、ポリマー改質瀝青バインダ組成物と非改質瀝青組成物との定量的比較を行うことができる。パラメータAは下記式に示されるように成分の関数である:
【0065】
【数3】

【0066】
この等式において、引張り強さ、合計エネルギーおよび剛性勾配(m)のパラメータが比較に用いられる。20℃での張力および1%/sの減少歪み速度における結果をこの場合の典型とみなした。これらの値を下記表に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
1%/sの減少歪み速度での非改質瀝青組成物とブロックコポリマーおよび結合ブロックコポリマー瀝青バインダ組成物とのA−値の比を以下に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
上記表に示されるように、亀裂伝搬のパリス則式におけるA値は、すべての場合において、ポリマー改質瀝青バインダ組成物よりも非改質瀝青組成物で高い。これらの結果はポリマー改質瀝青バインダ組成物が亀裂の成長の防止に役立ち、従って、改善された疲労性能を有することを示す。
【0071】
圧縮試験結果はアスファルト混合物の永久歪みの予測に最も関連する。永久歪みはより高い温度および通過するトラックのような低負荷速度で主に生じる。本明細書に開示される2つのポリマー改質瀝青バインダ組成物および非改質瀝青組成物を比較しながら圧縮試験を行った。圧縮試験プラットフォームは、検体を受容するための、弾性的に支持されたコンクリートブロック上に構築された3D空間骨組からなるものであった。検体の軸変形を3台の線形可変変位変換器(LVDT)で測定した。骨組の底板および頂板は、底板に接続し、頂板においてリニア軸受けを通過する3本のFortalバーで平行に保たれる。頂板はMTS 150kN油圧アクチュエータに接続する。このアクチュエータによって検体に印加される力を200kNロードセルで測定する。圧縮試験は変位制御で行い、3台の外部LVDTの平均をフィードバックに用いる。
【0072】
試験温度は40℃であり、歪み速度は0.01%/sであった。これらの結果は、非改質瀝青組成物に対する比較で、2つのポリマー改質瀝青組成物が優れており、従って、永久歪みの減少を生じることを示した。これらの結果は、試験においてポリマー改質瀝青バインダ組成物が非改質瀝青組成物よりも有意に良好に機能した、40℃および0.01%/sの歪み速度での圧縮試験における最終表面に基づくものであった。これらの結果は、ポリマー改質瀝青バインダ組成物が非改質瀝青組成物よりも非常に高い永久歪みに対する耐性を有することを示す。
【0073】
上記結果に基づき、有限要素法(FEM)シミュレーションを行って、実際の舗装構造におけるフルデプスポリマー改質の構造的利益を評価した。このシミュレーションにおいて、路盤混合物の等級およびバインダ含有率は結果として同じであった。材料は3層からなる単純化された構造が形成されるように構成した:
(1)非改質瀝青組成物、7.5%ポリマー組成物を含有する上述のブロックコポリマー改質瀝青バインダ組成物および7.5%ポリマー組成物を含有する結合ブロックコポリマー改質瀝青バインダ組成物(これらはすべて上述された)で製造される150および250mmのアスファルト層。通常、摩耗層、基層および路盤を含んでなるアスファルト層を路盤アスファルトの1モノ構造(monostructure)に単純化した;
(2)300mmの固定厚みおよび300MPaのヤング率(E−弾性率)を有する基部(subbase);並びに
(3)15mの厚みおよび100MPaの弾性率を有する路床。
【0074】
この舗装構造に各々持続期間25msの動的半周期正弦波パルスおよび0.8MPa応力振幅の負荷をかけた。このタイプの負荷は移動する車輪とは異なるが、従来の研究は、これが、移動する車輪の分析と比較して同様の物質応答を得ながら、同じ時間でより多くの負荷反復を適用するのに有効な方法であることを示している。各々の場合において、舗装の平均寿命より短い9,000の負荷反復を適用した。しかしながら、このサイクル数の後、材料間で明確な相違を観察することができた。
【0075】
試験の結果は、非改質瀝青組成物の表面最大偏向が結合ブロックコポリマー瀝青バインダ組成物よりも3倍大きく、ブロックコポリマー瀝青バインダ組成物よりも4.5倍大きかったことを観測した。ポリマー改質瀝青バインダ組成物は非改質瀝青組成物よりも小さいわだち深さ発生(rut depth development)を示した。従って、ポリマー改質瀝青バインダ組成物はより高い永久歪みに対する耐性を生じた。その上、亀裂に関連する累積回復不能応力(損傷)は2つのポリマー改質瀝青バインダ組成物で有意により小さいものであった。興味深いことに、150mmアスファルト厚を有するポリマー改質瀝青バインダ組成物は250mm厚の非改質瀝青組成物よりも受けた損傷が少なかった。これは、伝統的な路盤よりも少ない材料を用い、経済的節約を生じる、より薄い路盤層を建設できることを意味する。
【0076】
好ましい実施形態およびこれらの特定の実施例を参照して本明細書に本発明を説明して記述したが、他の実施形態および例が同様の機能を果たし、および/または同様の結果を達成することは当業者には容易に明らかである。すべてのこのような等価の実施形態および実施例は本発明の精神および範囲のうちにあり、以下の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
瀝青成分約90から約98重量%;
および
ブロックコポリマー組成物約2から約10重量%を含む、
アスファルト舗装用途において路盤として用いるためのポリマー改質瀝青バインダ組成物であって、
ブロックコポリマー組成物が
(i)モノビニル芳香族炭化水素の1つのブロック並びに、約30,000から約78,000のピーク分子量および、共役ジエンブロック内の反復モノマー単位を基準として、約35から約80モルパーセントのビニル含有率を有する、共役ジエンの1つのブロックを含むコポリマー、並びに
(ii)モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む場合により1以上のブロックコポリマーであって、ジブロックコポリマーのピーク分子量の1.5から3倍であるピーク分子量を有する直鎖トリブロックコポリマー、ジブロックコポリマーのピーク分子量の1.5から9.0倍であるピーク分子量を有するマルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択され、各々が、共役ジエンブロック内の反復モノマー単位の数を基準にして、35から80モルパーセントのビニル含有率を有するブロックコポリマー、
を含み、
舗装用途における路盤として用いられるポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項2】
コポリマーが1:1を上回る比で存在する、請求項1に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項3】
コポリマー(i)が式A−Bのものであり、並びにブロックコポリマー(ii)が式A−B−Aおよび(A−B)nXのブロックコポリマーから選択され、これらの式に関して、Aはモノビニル芳香族炭化水素のブロックであり、Bは共役ジエンのブロックであり、nは2から6の整数であり、およびXはカップリング剤残基である、請求項1に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項4】
ブロックコポリマー組成物がA−BおよびA−B−Aを含み、各々のAはスチレンであり、および各々のBはブタジエンであり、A−Bのピーク分子量は48,000から78,000であり、およびビニル含有率は、A−Bの共役ジエンブロック内の反復モノマー単位の数を基準にして、46から70モルパーセントであり、A−B−Aのピーク分子量はA−Bのピーク分子量の1.8から2.5倍であり、およびビニル含有率は、A−B−Aの共役ジエンブロック内の反復モノマー単位の数を基準にして、46から70モルパーセントであり、並びにA−Bのポリスチレン含有率は25から35%であり、およびA−B−Aのポリスチレン含有率は25から35%である、請求項1に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項5】
式C−D−Cまたは(C−D)nX(式中、Cはスチレンであり、Dはブタジエン、イソプレンまたはこれらの混合物であり、nは2から6の整数であり、およびXはカップリング剤残基である。)のブロックコポリマーの追加をさらに含み、追加のブロックコポリマーを添加されるブロックコポリマーの総量の30重量%までの量で添加する、請求項1に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項6】
(a)モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含むアーム複数を有する結合ブロックコポリマー;並びに
(b)モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含み、直鎖コポリマー、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択することができる、場合による1以上のブロックコポリマー、
を含むポリマー組成物であって、分子量が約100kg/molから約400kg/molの範囲にあり、およびカップリング効率が40%以下であるポリマー組成物。
【請求項7】
約150kg/molから約300kg/molの範囲にあるポリマー組成物の分子量をさらに含む、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
結合ブロックコポリマーがアーム複数のうちの少なくとも2つに位置する2つのスチレン末端ブロックを含む、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
結合ブロックコポリマーがアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する少なくとも1つのブタジエンブロックを含む、請求項6に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
約40kg/molから約90kg/molの範囲の絶対アーム重量平均分子量を有する少なくとも2つのスチレンアームおよび約40kg/molから約90kg/molの範囲の絶対アーム重量平均分子量を有する少なくとも1つのブタジエンアーム、並びに約100kg/molから約400kg/molの範囲のピーク分子量を含有する結合スチレン−ブタジエン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーを含むポリマー組成物。
【請求項11】
約150kg/molから約300kg/molの範囲のポリマー組成物の分子量をさらに含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
ポリマー組成物が約200kg/molの分子量を含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
ブロックコポリマー組成物が約3から約16の分岐度を含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
約10:90から約40:60のスチレンのブタジエンに対する比をさらに含む、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
瀝青成分約90から約98重量%;
および
結合ブロックコポリマー組成物約2から約10重量%、
を含む、アスファルト舗装用途における路盤として用いるためのポリマー改質瀝青バインダ組成物であって、結合ブロックコポリマー組成物が:
(a)アーム複数を有し、アーム複数がアーム複数のうちの少なくとも2つに位置するモノビニル芳香族炭化水素の少なくとも2つのブロックおよびアーム複数のうちの少なくとも1つに位置する共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含む結合ブロックコポリマー、並びに
(b)モノビニル芳香族炭化水素の少なくとも1つのブロックおよび共役ジエンの少なくとも1つのブロックを含み、直鎖トリブロックコポリマー、マルチアーム結合ブロックコポリマーおよびこれらの混合物から選択される、場合により1以上のブロックコポリマー、
を含み、
ポリマー組成物の分子量が約100kg/molから約400kg/molの範囲にある、ポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項16】
約150kg/molから約300kg/molの範囲のポリマー組成物の分子量をさらに含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項17】
ポリマー組成物が約200kg/molの分子量を含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項18】
ブロックコポリマー組成物が約3から約16の分岐度を含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項19】
約15:85から約30:70のスチレンのブタジエンに対する比をさらに含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項20】
結合ブロックコポリマーがアーム複数のうちの2つに結合する2つのスチレン末端ブロックを含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項21】
結合ブロックコポリマーがアーム複数中に少なくとも1つのブタジエンアームを含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項22】
結合ブロックコポリマーがアーム複数中に少なくとも2つのブタジエンアームを含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項23】
約5%から約8%のポリマー含有率をさらに含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項24】
約6%から7.5%のポリマー含有率をさらに含む、請求項15に記載のポリマー改質瀝青バインダ組成物。
【請求項25】
結合ブロックコポリマー組成物の調製方法であって:
(a)約40℃から約60℃の溶媒を提供する工程、
(b)ポリスチレンおよびsec−ブチルリチウムを溶媒に添加する工程;
(c)反応を約45分から約2時間進行させる工程;
(d)予め決定された分子量を得るため、ポリスチレンを添加する工程;
(e)sec−ブチルリチウムおよびブタジエンを添加する工程;
(f)重合を約15分から約1時間進行させる工程;
(e)カップリング剤を添加する工程;並びに
カップリング剤添加の約5分から約30分後に、停止剤の添加によって反応を停止させる工程、
を含む方法。
【請求項26】
ポリスチレン152gを溶媒約6リットルに添加する、請求項25に記載の結合ブロックコポリマーの調製方法。
【請求項27】
sec−ブチルリチウム約10.1mmolを最初に溶媒に添加し、sec−ブチルリチウム19.7mmolおよびブタジエン835.2gをその後に添加する、請求項25に記載の結合ブロックコポリマーの調製方法。

【公表番号】特表2011−518244(P2011−518244A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504980(P2011−504980)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/060629
【国際公開番号】WO2009/128827
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(508272307)クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー (12)
【Fターム(参考)】