説明

車いす着座者拘束方法及び車いす着座者拘束構造

【課題】汎用性が高く、シートベルト装着時にフィット性を高めることができるシートベルト取付方法及びシートベルト取付構造を提供する。
【解決手段】車いす1の座席部41に着座した着座者の腰部を拘束する連結ベルト51及びラップベルト52を座席部41の座面31と背面32間の間隙42を通して車体フロア63側へ延出することで、各ベルト51,52を車体フロア63に支持することができる。このため、一般的な車いす1であっても車いす1に改造等を施すことなく、着座者を拘束することができるので、汎用性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いすの座席部に着座した着座者を拘束する車いす着座者拘束方法及び車いす着座者拘束構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車いすに着座したまま搭乗できる車両が知られている。
【0003】
この車両では、車いすをシートとして使用するため、車いすに着座した状態でシートベルトを装着する必要がある。
【0004】
一般的に車いすの着座者をシートベルトで拘束する際には、図8に示すように、車体フロア801に固定されたフロア固定ベルト802を、車いす803の左右の車輪804のスポーク805,805間に通した後、車いす803のアームレスト806と側板807,807間に設けられた側部開口部808,808を挿通する。そして、両ベルト802に設けられたバックル809にラップベルト811を係合することで、当該ラップベルト811によって座席部812の着座者を拘束していた。
【0005】
このような拘束方法にあっては、バックル809が設けられた前記フロア固定ベルト802を、前記側部開口部808や前記スポーク805,805間の狭い空間を通さなければならず、手間が掛かるとともに、取付作業に時間を要した。
【0006】
また、図9に示すように、前記側部開口部808を挿通した前記フロア固定ベルト802にラップベルト811を係合して着座者821を拘束するため、前記ラップベルト811を着座者821の腰部822にフィットさせることが難しかった。
【0007】
そこで、これらを解決するために、図10に示すような車いす固縛装置901が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
この車いす固縛装置901で車いす902の着座者をシートベルトで拘束する際には、両端にバックル903が設けられた左右のベルト部材904を、車いす902のフレーム905の両側部に設けられた左右のブラケット906にネジ止めし、両ベルト部材904の一方のバックル903を垂下する。そして、各ベルト部材904の一方に設けれたバックル903に、フロアパネル908より延出した固縛部材のタング909を係合する。
【0009】
次に、前記ベルト部材904の他端部を、車いす902の側板911に設けられたベルト挿通穴912に通して座席部913側へ延出するとともに、このベルト部材904の他方に設けられたバックル903にラップベルト914の両端に設けられたタング915を係合する。
【0010】
これにより、車いす着座者の腰部を、前記ベルト部材904を介してフロアパネル908に固定された前記ラップベルト914で拘束できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−209946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような従来の拘束方法にあっては、車いす902のフレーム905にネジ止め用のブラケット906を溶接するとともに、車いす902の側板911にベルト挿通穴912を設けなければならず、車いす902の改造が必要であった。
【0013】
このため、このような改造を施していない車いす902においては、シートベルトを装着することができないという問題があった。
【0014】
一方、前記ベルト部材904は、前記側板911であってアームレスト921と座面922間に設けられたベルト挿通穴912を介して挿通されており、着座者は、横方向に引張されたラップベルト914によって腰部が拘束されることとなる。このため、着座者の腰横とラップベルトとの間には、空き空間が存在し、フィット感が損なわれることが懸念される。
【0015】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、汎用性が高く、シートベルト装着時にフィット性を高めることができるシートベルト取付方法及びシートベルト取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の車いす着座者拘束方法にあっては、フロアに支持されたベルトによって車いすの座席部に着座した着座者の腰部を拘束する車いす着座者拘束方法において、前記ベルトを、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通して前記フロア側へ延出する。
【0017】
すなわち、座席部に着座した着座者の腰部を拘束するベルトは、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通してフロア側へ延出され、該フロアに支持される。
【0018】
このため、一般的な車いすであっても、車いすに改造等を施すことなく、着座者を拘束することができる。
【0019】
このとき、座席部に着座した着座者は、前記間隙を介して通された後、フロアに支持されたベルトによって拘束されるため、当該着座者の腰部には、下方へ向けた拘束力が作用する。
【0020】
これにより、着座者の腰部は、前記ベルトによって前部及び側部に渡って拘束される。
【0021】
また、本発明の請求項2の車いす着座者拘束構造にあっては、フロアに支持されたベルトによって車いすの座席部に着座した着座者の腰部を拘束する車いす着座者拘束構造において、前記ベルトを、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通して前記車いすに配設したことを特徴とする車いす着座者拘束構造。
【0022】
すなわち、座席部に着座した着座者の腰部を拘束するベルトは、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通して車いすに配設されており、座席部よりフロア側へ延出されたベルトは前記フロアに支持される。
【0023】
このため、一般的な車いすであっても、車いすに改造等を施すことなく、着座者を拘束することができる。
【0024】
このとき、座席部に着座した着座者は、前記間隙を介して通された後、フロアに支持されたベルトによって拘束されるため、当該着座者の腰部には、下方へ向けた拘束力が作用する。
【0025】
これにより、着座者の腰部は、前記ベルトによって前部及び側部に渡って拘束される。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明の請求項1の車いす着座者拘束方法にあっては、座席部に着座した着座者の腰部を拘束するベルトを、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通してフロア側へ延出することで、当該ベルトを前記フロアに支持することができる。
【0027】
このため、一般的な車いすであっても、車いすに改造等を施すことなく、着座者を拘束することができるので、車いすを改造しなければ着座者を拘束することができなかった従来と比較して、汎用性を高めることができる。
【0028】
このとき、座席部に着座した着座者は、前記間隙を介して通された後、フロアに支持されたベルトによって拘束されるため、当該着座者の腰部を、下方へ向けた拘束力によって拘束することができる。
【0029】
これにより、着座者の腰部を、前記ベルトによって前部及び側部に渡って拘束することができるので、着座者の腰部を横方向に引張されたラップベルトで拘束する構造上、着座者と側板との間に空き空間が形成される従来と比較して、シートベルト装着時のフィット性を高めることができる。
【0030】
また、本発明の請求項2の車いす着座者拘束構造にあっても、座席部に着座した着座者の腰部を拘束するベルトを、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通してフロア側へ延出することで、当該ベルトを前記フロアに支持することができる。
【0031】
このため、一般的な車いすであっても、車いすに改造等を施すことなく、着座者を拘束することができるので、車いすを改造しなければ着座者を拘束することができなかった従来と比較して、汎用性を高めることができる。
【0032】
このとき、座席部に着座した着座者は、前記間隙を介して通された後、フロアに支持されたベルトによって拘束されるため、当該着座者の腰部を、下方へ向けた拘束力によって拘束することができる。
【0033】
これにより、着座者の腰部を、前記ベルトによって前部及び側部に渡って拘束することができるので、着座者の腰部を横方向に引張されたラップベルトで拘束する構造上、着座者と側板との間に空き空間が形成される従来と比較して、シートベルト装着時のフィット性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す図である。
【図2】同実施の形態の利用形態を示す説明図である。
【図3】同実施の形態の利用状態を示す説明図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す説明図で、(a)第一の実施の形態を示す図であり、(b)第三の実施の形態を示す図であり、
【図6】本発明の実施の形態を示す説明図で、(a)第二の実施の形態を示す図であり、(b)第四の実施の形態を示す図であり、
【図7】本発明の実施の形態を示す説明図で、(a)第五の実施の形態を示す図であり、(b)第六の実施の形態を示す図であり、
【図8】従来例を示す図である。
【図9】同従来例の使用状態を示す図である。
【図10】他の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第一の実施の形態)
【0036】
以下、本発明の第一の実施の形態を図に従って説明する。
【0037】
図1は、本実施の形態にかかる車いす着座者拘束方法を示す図であり、本願発明の車いす着座者拘束構造を一般の車いす1に適用した状態が示されている。
【0038】
すなわち、一般的な車いす1は、パイプ材に等によって構成されたフレーム11を中心に構成されており、該フレーム11の両側部には車輪12,12が設けられているとともに、前端部には自在輪13,13が設けられている。前記フレーム11には、左側部を構成する左フレーム構成部14と、右側部を構成する右フレーム構成部15とが形成されており、前記左フレーム構成部14及び前記右フレーム構成部15は複数箇所で連結されている。
【0039】
前記両フレーム14,15には、水平方向に延在する座面支持部21と、該座面支持部21の後端より上方に起立して背もたれを形成する背面支持部22とが形成されており、両背面支持部22,22の上端部は後方に屈曲された付添人が操作するハンドル23,23を構成している。
【0040】
前記左フレーム構成部14の前記座面支持部21と前記右フレーム構成部15の前記座面支持部21との間には、シート状部材が架橋した状態で固定されており、車いす利用者が着座する座面31が形成されている。また、前記左フレーム構成部14の前記背面支持部22と前記右フレーム構成部15の前記背面支持部22との間には、シート状部材が架橋した状態で固定されており、車いす利用者の背凭れを構成する背面32が形成されている。
【0041】
これにより、前記座面31と前記背面32とによって車いす利用者が着座する座席部41が形成されており、前記座面31の後端と前記背面32の下端との間には、間隙42が形成されている。
【0042】
この車いす1を車両に搭乗して車両用シートとして使用する際には、当該車いす1を所定位置にセットするとともに、前記座席部41の前記座面31と前記背面32間に形成された前記間隙42に一対のベルトを挿入する。
【0043】
この一対のベルトとしては、利用形態によって複数のパターンが挙げられるが、本実施の形態では、連結ベルト51とラップベルト52との組合せを例に挙げて説明する。
【0044】
前記連結ベルト51は、その一端部にラップベルト係合バックル61が設けられており、他端部には、固定ベルト係合バックル62が設けられている。この連結ベルト51は、前記座席部41の右寄りの箇所において前記間隙42を挿通した状態で、前記ラップベルト係合バックル61が前記座席41側に配置されるとともに、前記固定ベルト係合バックル62が車体フロア63側に延出されるように配設されている。
【0045】
また、前記ラップベルト52は、その一端部にラップベルト側タング71が設けられており、該ラップベルト側タング71は、前記連結ベルト51の前記ラップベルト係合バックル61に係脱自在に係合できるように構成されている。
【0046】
前記ラップベルト52の他端部には、固定ベルト係合バックル85が設けられており、当該ラップベルト52は、前記座席部41の左寄りの箇所において前記間隙42を挿通した状態で、前記固定ベルト係合バックル85が前記車体フロア63側へ延出するように構成されている。
【0047】
この状態において、前記座席部41側に延出した延出部分を当該座席部41に沿って右方へ延在させことによって、前記ラップベルト側タング71が前記連結ベルト51の前記ラップベルト係合バックル61に達するように当該ラップベルト52の長さが設定されている。
【0048】
これにより、前記座席部41に着座した着座者の腰部に前記ラップベルト52を掛け、該ラップベルト52のラップベルト側タング71を前記連結ベルト51の前記ラップベルト係合バックル61に係脱自在に係合できるように構成されている。
【0049】
一方、前記車体フロア63からは、一対のフロア固定ベルト81,81が延出しており、各フロア固定ベルト81,81の先端には、固定ベルト側タング82,82が設けられている。各固定ベルト側タング82,82は、前記連結ベルト51に設けられた固定ベルト係合バックル62及び前記ラップベルト52の前記固定ベルト係合バックル85と係脱自在に係合するように構成されている。
【0050】
これにより、図2に示すように、前記車体フロア63に支持された一方の前記フロア固定ベルト81の前記固定ベルト側タング82を前記座席部41より前記車体フロア63側に延出した前記連結ベルト51の前記固定ベルト係合バックル62に係合し、前記車体フロア63に支持された他方の前記フロア固定ベルト81の前記固定ベルト側タング82を前記座席部41より前記車体フロア63側に延出した前記ラップベルト52の前記固定ベルト係合バックル85に係合するとともに、前記ラップベルト52を前記着座者の腰部に掛けた状態で当該ラップベルト52のラップベルト側タング71を前記連結ベルト51の前記ラップベルト係合バックル61に係合することによって、前記車いす1の前記座席部41に着座した前記着座者の腰部を前記車体フロア63に支持された前記ラップベルト52によって拘束できるように構成されている。
【0051】
以上の構成にかかる本実施の形態において、前記車いす1の前記座席部41に着座した着座者の腰部を拘束する前記連結ベルト51及び前記ラップベルト52を、前記座席部41を形成する前記座面31と前記背面32間に形成された間隙42を通して車体フロア63側へ延出することで、前記各ベルト51,52を前記車体フロア63に支持することができる。
【0052】
このため、このような一般的な車いす1であっても、当該車いす1に改造等を施すことなく、着座者を拘束することができるので、車いす1を改造しなければ着座者を拘束することができなかった従来と比較して、汎用性を高めることができる。
【0053】
このとき、前記座席部41に着座した着座者は、前記間隙42を介して通された後、前記車体フロア63に支持された前記各ベルト51,52によって拘束されるため、当該着座者の腰部を下方へ向けた拘束力によって拘束することができる。
【0054】
これにより、図3に示すように、前記車いす1の着座者91の腰部92を前記各ベルト51,52によって前部及び側部に渡って拘束することができるので、当該着座者91の腰部92を横方向に引張されたラップベルトで拘束する構造上、着座者91と車いす1の側板との間に空き空間が形成されてしまう従来と比較して、シートベルト装着時のフィット性を高めることができる。
【0055】
なお、本本実施の形態では、着座者91の腰部92をラップベルト52のみで拘束した二点式のシートベルの場合に付いてのみ説明したが、これに限定されるものではない。
【0056】
(第二の実施の形態)
【0057】
図4は、本発明の第二の実施の形態を示す図であり、第一の実施の形態と同一又は同等部分に付いては同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分に付いてのみ説明する。
【0058】
すなわち、本実施の形態に係る車両においては、ピラー等にリトラクタが設けられており、該リトラクタからは、三点式シートベルト101が巻き取り可能に延出できるように構成されている。この三点式シートベルト101の中途部には、スルータングが設けられており、当該三点式シートベルト101の先端には、固定タングが設けられている(図示省略)。
【0059】
この三点式シートベルト101を使用する際には、前述した連結ベルト51を一対用意する。そして、一方の連結ベルト51を前記座席部41の左寄りの箇所において前記間隙42を挿通し、当該連結ベルト51の一端側のバックル111を前記座席41側に配置するとともに、前記連結ベルト51の他端側のバックル111を前記車体フロア63側に延出する。また、他方の連結ベルト51を前記座席部41の右寄りの箇所において前記間隙42を挿通し、当該連結ベルト51の一端側のバックル111を前記座席41側に配置するとともに、前記連結ベルト51の他端側のバックル111を前記車体フロア63側に延出する。
【0060】
この状態において、前記車体フロア63に支持された一方のフロア固定ベルト81の固定ベルト側タング82を、一方の前記連結ベルト51に設けられたバックル111に係合するとともに、前記車体フロア63に支持された他方のフロア固定ベルト81の固定ベルト側タング82を、他方の前記連結ベルト51に設けられたバックル111に係合する。
【0061】
そして、前記リトラクタから前記三点式シートベルト101を引き出すとともに、当該三点式シートベルト101の先端に設けられた固定タングを左側に配置された前記連結ベルト51の一端側のバックルに係合する。また、前記三点式シートベルト101の中途部に設けられた前記スルータングを右側に配置された前記連結ベルト51の一端側のバックル111に係合し、前記固定タングと前記スルータング間に延在するベルトをラップベルトとして着座者の腰部に沿って配置する。
【0062】
これにより、前記三点式シートベルト101の前記固定タングと前記スルータング間に延在するベルトによって前記着座者91の腰部を拘束できるとともに、前記スルータングから前記リトラクタ間に延在するベルトによって着座者91の胸部から肩部に掛けて拘束することができる。
【0063】
このような構成であっても前述と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
図5は、使用状態を示す説明図であり、図5の(a)には、前述した第一の実施の形態の模式図が示されている。
【0065】
なお、前記フロア固定ベルト81,81に設けられた固定ベルト側タング82,82は、ベルト長調整機能を備えている。
【0066】
(第三の実施の形態)
【0067】
また、図5の(b)には、第三の実施の形態が示されており、当該実施の形態にあっては、前記第一の実施の形態の前記フロア固定ベルト81,81が引出防止機能付きのリトラクタ201,201を介して車体フロアに支持されている。
【0068】
図6は、他の使用状態を示す説明図であり、図6の(a)には、前述した第二の実施の形態の模式図が示されている。
【0069】
なお、前記フロア固定ベルト81,81に設けられた固定ベルト側タング82,82は、ベルト長調整機能を備えている。
【0070】
(第四の実施の形態)
【0071】
また、図6の(b)には、第四の実施の形態が示されており、当該実施の形態にあっては、前記第二の実施の形態の前記フロア固定ベルト81,81が引出防止機能付きのリトラクタ201,201を介して車体フロア63に支持されている。
【0072】
なお、前記フロア固定ベルト81,81に設けられた固定ベルト側タング82,82は、ベルト長調整機能を備えている。
【0073】
(第五の実施の形態)
【0074】
また、図7の(a)には、第五の実施の形態が示されており、当該実施の形態にあっては、ピラーに設けられた前記リトラクタ301から延出されるとともに先端にタング302が設けられた延出ベルト303とラップベルト304と前記連結ベルト51とによって三点式シートベルト101が構成されている。
【0075】
また、前記着座者91の腰部92を拘束する前記ラップベルト304は、前記延出ベルト303と別体で構成されており、当該ラップベルト304の一端には、前記連結ベルト51の一方のバックル111に係脱自在に係合されるタング312が設けられている。前記連結ベルト51の他方のバックル111には、一方の前記フロア固定ベルト81のタング82が係脱自在に係合されている。
【0076】
前記ラップベルト304の他端部には、ブラケット321を介してバックル111が設けられており、該バックル111には、他方の前記フロア固定ベルト81のタング82が係脱自在に係合されている。
【0077】
前記ラップベルト304の前記ブラケット321には、バックル331が取り付けられており、該バックル331には、前記延出ベルト303に設けられた前記タング302を係脱自在に係合できるように構成されている。
【0078】
なお、前記フロア固定ベルト81,81に設けられた固定ベルト側タング82,82は、ベルト長調整機能を備えている。
【0079】
これにより、前記ラップベルト304によって前記着座者91の腰部92を拘束できるとともに、前記リトラクタ301から延出された前記延出ベルト303によって着座者91の胸部から肩部に掛けて拘束することができる。
【0080】
(第六の実施の形態)
【0081】
図7の(b)は第六の実施の形態を示す図であり、当該実施の形態にあっては、前記第五の実施の形態の前記フロア固定ベルト81,81が引出防止機能付きのリトラクタ201,201を介して車体フロア63に支持されている。
【符号の説明】
【0082】
1 車いす
31 座面
32 背面
41 座席部
42 間隙
51 連結ベルト
52 ラップベルト
63 車体フロア
91 着座者
92 腰部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアに支持されたベルトによって車いすの座席部に着座した着座者の腰部を拘束する車いす着座者拘束方法において、
前記ベルトを、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通して前記フロア側へ延出することを特徴とした車いす着座者拘束方法。
【請求項2】
フロアに支持されたベルトによって車いすの座席部に着座した着座者の腰部を拘束する車いす着座者拘束構造において、
前記ベルトを、前記座席部を形成する座面と背面間に形成された間隙を通して前記車いすに配設したことを特徴とする車いす着座者拘束構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−212392(P2011−212392A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85915(P2010−85915)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000128544)株式会社オーテックジャパン (183)