車両のドア構造
【課題】カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性向上を図りつつ、上記カーテシーランプの光のぶれを抑制し、かつシールライン部におけるシール剛性を向上させることができる車両のドア構造を提供することを目的とする。
【解決手段】ドアトリム7の内部に樹脂製のモジュールプレート5が配設されると共に、該モジュールプレート5が、シールライン部51に配設されたシール部材6を介してドアインナパネル2に取付けられた車両のドア構造であって、モジュールプレート5に、シールライン部51に略沿って車室内側に突出した突出部52を設けると共に、該突出部52に、ドアトリム7の近傍まで延びたカーテシーランプ取付部53を設け、ドアトリム7には、カーテシーランプ13に対応させてランプレンズ17を設けた。
【解決手段】ドアトリム7の内部に樹脂製のモジュールプレート5が配設されると共に、該モジュールプレート5が、シールライン部51に配設されたシール部材6を介してドアインナパネル2に取付けられた車両のドア構造であって、モジュールプレート5に、シールライン部51に略沿って車室内側に突出した突出部52を設けると共に、該突出部52に、ドアトリム7の近傍まで延びたカーテシーランプ取付部53を設け、ドアトリム7には、カーテシーランプ13に対応させてランプレンズ17を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアトリムの内部に樹脂製のモジュールプレートが配設されると共に、該モジュールプレートが、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられた車両のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア開放時に乗降する乗員の足元を照らすカーテシーランプを、車室内側のドアトリムに取付けたものが知られている。
【0003】
しかしながら、この場合、ドアの製造時において、ドア本体を構成するインナパネルにドアトリムを一旦仮止めしてから、カーテシーランプをドアトリムに取付けるという煩雑な作業が必要であった。
【0004】
また、ドアトリムは、あくまでもドアの車室内側面の見栄えを確保することを目的とするものであるため、その剛性については重視されておらず、それ故、カーテシーランプを安定的に支持するには、その剛性が不十分であるという問題があった。このため、ドアの開閉時には、ドアトリムの振動等に起因して、カーテシーランプの光がぶれる懸念があった。
【0005】
そこで、従来、ドアのウインドガラスを昇降させるためのウインドレギュレータやスピーカ等、ドア用の電装品を取付けるためのモジュールプレートにカーテシーランプを取付けた構造が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0006】
下記特許文献1の場合、カーテシーランプをモジュールプレートに取付けているため、上述したような作業の煩雑さが解消され、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性が向上するという効果が得られる。また、モジュールプレートは、上記電装品を支持する目的から、ドアトリムよりも高い剛性を有している。このため、ドアトリムに比べてカーテシーランプの支持剛性を向上させることができるという効果も得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−169214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、モジュールプレートは、樹脂製のものが多く採用されているため、カーテシーランプの支持剛性が必ずしも十分であるとは言い難く、上記特許文献1に開示されているように、カーテシーランプを単にモジュールプレートに取付けるだけでは、光がぶれる懸念を解消することができなかった。
【0009】
また、モジュールプレートは、雨水や塵埃等の異物から上記電装品を保護するために、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられるが、モジュールプレートの剛性が十分でないと、シール部材の反力によってモジュールプレートが弾性変形する等して、モジュールプレートとインナパネルとの間のシール性が確保できなくなる虞があった。つまり、モジュールプレートの剛性が十分でないと、シールライン部においてシール剛性の低下を招くという問題があった。
【0010】
この発明は、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性向上を図りつつ、上記カーテシーランプの光のぶれを抑制し、かつシールライン部におけるシール剛性を向上させることができる車両のドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の車両のドア構造は、ドアトリムの内部に樹脂製のモジュールプレートが配設されると共に、該モジュールプレートが、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられた車両のドア構造であって、上記モジュールプレートに、上記シールライン部に略沿って車室内側に突出した突出部を設けると共に、該突出部に、上記ドアトリム近傍まで延びたカーテシーランプの取付部を設け、上記ドアトリムには、上記カーテシーランプに対応させてランプレンズを設けたものである。
【0012】
この構成によれば、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性向上を図ることができると共に、モジュールプレートに突出部を形成することで、突出部及びその周辺の剛性が向上し、その結果、取付部におけるカーテシーランプの支持剛性を向上させることができる。これにより、ドアの開閉時に、ドアトリムの振動等に起因して、カーテシーランプの光がぶれることを抑制できる。
【0013】
さらに、突出部をシールライン部に略沿って形成するため、シールライン部のシール剛性を向上させることもできる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記モジュールプレートが、複数箇所で上記インナパネルに締結されており、上記突出部は、上記モジュールプレートの締結部の間に位置するシールライン部に略沿って配設されたものである。
【0015】
この構成によれば、締結部の間に位置するシールライン部に略沿って突出部を形成することで、シールライン部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0016】
具体的には、シールライン部のうち、締結部の間の部位は、インナパネルに締結された部位に比べ、弾性変形が発生し易い部位となっており、上述したように、締結部の間に位置するシールライン部に略沿って突出部を形成することで、シールライン部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記突出部と、上記モジュールプレートの締結部の近傍とを接続する補強リブを設けたものである。
【0018】
この構成によれば、突出部と補強リブとの協働により、シールライン部のシール剛性をより向上させることができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記突出部が、最下部に位置する上記シールライン部に略沿って配置されるものである。
【0020】
この構成によれば、より高いシール剛性が要求されているシールライン部の最下部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0021】
具体的には、シールライン部のうち、その最下部では、上方から落下する雨水や塵埃等の異物が集まり易い部位となっており、それ故、他の部位に比べてより高いシール剛性が要求されている。上述したように、最下部に位置するシールライン部に略沿って突出部を形成することで、上記最下部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記取付部に近接した位置で上記カーテシーランプを覆う遮光壁を、上記ドアトリムに一体的に形成したものである。
【0023】
この構成によれば、取付部、遮光壁を、それぞれモジュールプレート側、ドアトリム側に分離独立して形成することで、成型上の制約を受けることなく、遮光壁をドアトリムに容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性向上を図ることができると共に、モジュールプレートに突出部を形成することで、突出部及びその周辺の剛性が向上し、その結果、取付部におけるカーテシーランプの支持剛性を向上させることができる。これにより、ドアの開閉時に、ドアトリムの振動等に起因して、カーテシーランプの光がぶれることを抑制できる。
【0025】
さらに、突出部をシールライン部に略沿って形成するため、シールライン部のシール剛性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る車両のドア構造を示す断面図。
【図2】ドア構造の要部を示す側面図。
【図3】ドア構造の要部を斜め下方から見た斜視図。
【図4】ドア構造の要部を示す断面図。
【図5】シールライン部及びその周辺の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のドア構造を示す断面図である。図1に示す車両のドア1は、車室内側の面を構成する金属性のドアインナパネル2と車外側の面を構成する金属製のドアアウタパネル3とからなる中空のドア本体4を備えている。なお、図中において矢印(IN)は車体内方、矢印(OUT)は車体外方を示す。
【0028】
ドア本体4のドアインナパネル2には、樹脂製のドアモジュールプレート5がシール部材6を介して取付けられ、モジュールプレート5は、ドアインナパネル2より車室内側に位置する樹脂製のドアトリム7の内部に配設されている。
【0029】
また、ドア本体4の内部空間には、ドア1の側突耐力を向上させるためのインパクトバー8が略車両前後方向に延設されると共に、その上部には、略前後方向に延びるウインドガラス出入開口部9が形成されている。
【0030】
そして、ウインドガラス出入開口部9に対応して、略上下に延びるガラスガイド10が設けられており、このガラスガイド10により、ウインドガラス11が上下に摺動可能に支持されている。
【0031】
ガラスガイド10は、車体前後方向視で弓状に緩やかに湾曲した形状とされており、下部側が、ウインドガラス出入開口部9を介してドア本体4の内部空間まで延びている。
【0032】
ところで、モジュールプレート5は、ドアトリム7よりも高い剛性を有する素材からなり、例えば、上述したウインドガラス10を昇降させるウインドレギュレータやスピーカ(いずれも不図示)等のドア1用の電装品を支持している。
【0033】
また、モジュールプレート5は、その周縁部において、図1〜図5に示すように、シール部材6が収容されるシールライン部51を有すると共に、図1〜図3に示すように、ボルト、ナット等の締結部材12、12、…により、複数個所に亘ってドア本体4のドアインナパネル2に締結されている。
【0034】
シールライン部51は、図1〜図5に示すように、車室内側に向かって突出しており、その車外側には、凹部51a(図4、図5参照)が形成されている。そして、このシールライン部51の凹部51aに、シール部材6の一部が圧縮状態で収容されている。
【0035】
シール部材6は、例えば、ウレタン等の弾性を有する素材で構成されており、シール部材6がドアインナパネル2とモジュールプレート5との間で挟持されることにより、シール部材6が圧縮され、かつその一部が凹部51aに収容された状態となっている。これにより、ドアインナパネル2とモジュールプレート5との間のシール性が確保されている。
【0036】
その一方で、シールライン部51の凹部51aは、その空間内に圧縮されたシール部材6を収容することで、シール部材6の圧縮を緩和する役割を果たしている。これにより、シール部材6の反力が必要以上に大きくなることを抑制しており、その結果、モジュールプレート5がシール部材6からの反力で弾性変形することを防止している。
【0037】
また、本実施形態では、図2に示すように、モジュールプレート5において、最下部に位置する2つの締結部材12、12(締結部)間に、車室内側に突出する突出部52が形成されている。
【0038】
さらに、突出部52は、上述した締結部材12、12間において、最下部に位置するシールライン部51に略沿って配設されており、その先端部には、ドアトリム7の近傍まで延びたカーテシーランプ取付部53(以下、取付部53と略記する。)が設けられている。
【0039】
取付部53には、図3、図4に示すように取付孔53aが穿設されており、この取付孔53aの縁部に対し、カーテシーランプ13側に設けられた係止爪14が嵌合することで、カーテシーランプ13が、図1〜図4に示すように下向きに取付けられている。
【0040】
また、取付部53には、カーテシーランプ13の車両前後両側から下方に延びる縦補強リブ53b、53bが形成されている。これは、取付部53が、上述したようにモジュールプレート5からドアトリム7の近傍まで延び、しかも、その先端が図1〜図4に示すように自由端となっていることで、カーテシーランプ13が片持ち支持の状態となっているからであり、取付部53の縦補強リブ53bを形成することで、カーテシーランプ13の支持剛性が確保されている。
【0041】
そして、モジュールプレート5には、シールライン部51に略沿うように延びる複数の横補強リブ54aと、シールライン部51と略直交するように延びる複数の縦補強リブ54bとが形成されている。そして、横補強リブ54aの一部は、シールライン部51の最下部において、図2、図3に示すように、突出部52と締結部材12の近傍とを接続するように設けられている。
【0042】
また、モジュールプレート5には、カーテシーランプ13に接続されるハーネス15を固定するための座部55が形成されており、車室内側に向かって突出する接続部56を介して突出部52に接続されている。
【0043】
座部55は、上述した突出部52と同様、車室内側に向かって突出しており、クリップ等の固定部材16が取付けられている。ハーネス15は、この固定部材16を介して座部55に固定されている。
【0044】
ところで、ドアトリム7には、図1に示すように、その上下方向中間部において、車室内側に突出するアームレスト71が形成されると共に、その下部においては、図1〜図4に示すように、上述したカーテシーランプ13に対応して、側面部17a及び下面部17b(図4参照)を有するランプレンズ17が取付けられている。
【0045】
また、ドアトリム7には、図1、図4に示すように、モジュールプレート5の取付部53に近接した位置でカーテシーランプ13を上方から覆う遮光壁72が形成されている。この遮光壁72は、取付部53の車両前後方向両側及び車室内側を上方から覆うように配設されており、取付部53に対応する位置には、図4に示すように、ハーネス15を上方に通すための切欠き部72aが形成されている。
【0046】
このように、本実施形態では、モジュールプレート5に形成された突出部52の取付部53にカーテシーランプ13を取付けることで、カーテシーランプ13の装着性、及びドアトリム7の組付け性向上を図ることができる。
【0047】
そして、モジュールプレート5に突出部52を形成することで、突出部52及びその周辺の剛性が向上し、その結果、取付部53におけるカーテシーランプ13の支持剛性を向上させることができる。これにより、ドア1の開閉時に、ドアトリム7の振動等に起因して、カーテシーランプ13の光がぶれることを抑制できる。
【0048】
さらに、突出部52をシールライン部51に略沿って形成するため、シールライン部51のシール剛性を向上させることもできる。
【0049】
また、シールライン部51のうち、締結部材12、12、…(締結部)の間の部位は、締結部材12によってドアインナパネル2に締結された部位に比べ、弾性変形が発生し易い部位となっている。本実施形態では、上述したように、締結部材12、12の間に位置するシールライン部51に略沿って突出部52を形成することで、シールライン部51のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0050】
また、突出部52と締結部材12の近傍とを接続する横補強リブ54aを形成したことで、突出部52と横補強リブ54aとの協働により、シールライン部51のシール剛性をより向上させることができる。
【0051】
また、シールライン部51のうち、その最下部では、上方から落下する雨水や塵埃等の異物が集まり易い部位となっており、それ故、他の部位に比べてより高いシール剛性が要求されている。本実施形態では、上述したように、最下部に位置するシールライン部51に略沿って突出部52を形成することで、より高いシール剛性が要求されている上記最下部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0052】
ところで、従来のように、ドアトリムにカーテシーランプを取付ける場合、ドアトリムには、カーテシーランプの取付部及び遮光壁が一体的に形成されることが多い。しかしながら、この場合、ドアトリムにカーテシーランプの取付部及び遮光壁を一体的に形成しようとすると、ドアトリムの形状が複雑化することになるため、遮光壁の形状が、ドアトリムの成型上の理由によって制約を受けるという問題があった。
【0053】
そこで、本実施形態では、上述したように、カーテシーランプ13の取付部53をモジュールプレート5に一体的に形成する一方、遮光壁72をドアトリム7に一体的に形成している。このように、取付部53、遮光壁72を、それぞれモジュールプレート5側、ドアトリム7側に分離独立して形成することで、成型上の制約を受けることなく、遮光壁72をドアトリム7に容易に形成することができる。
【0054】
但し、本発明は、遮光壁をドアトリム7に一体的に形成することに必ずしも限定されるものではなく、この遮光壁を、ドアトリム7に取付け可能な別部材によって構成してもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、取付部53に縦補強リブ53bを形成することとしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、取付部53を他の部位よりも厚肉に形成してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、カーテシーランプ13を下向きに取付けることとしたが、図4に示すように下面部17bを有するランプレンズ17を備えている場合であれば、カーテシーランプ13を横向きに取付けてもよい。
【0057】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、補強リブは、横補強リブ54aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…ドア
2…ドアインナパネル
5…モジュールプレート
6…シール部材
7…ドアトリム
13…カーテシーランプ
17…ランプレンズ
51…シールライン部
52…突出部
53…取付部
54a…横補強リブ
72…遮光壁
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアトリムの内部に樹脂製のモジュールプレートが配設されると共に、該モジュールプレートが、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられた車両のドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア開放時に乗降する乗員の足元を照らすカーテシーランプを、車室内側のドアトリムに取付けたものが知られている。
【0003】
しかしながら、この場合、ドアの製造時において、ドア本体を構成するインナパネルにドアトリムを一旦仮止めしてから、カーテシーランプをドアトリムに取付けるという煩雑な作業が必要であった。
【0004】
また、ドアトリムは、あくまでもドアの車室内側面の見栄えを確保することを目的とするものであるため、その剛性については重視されておらず、それ故、カーテシーランプを安定的に支持するには、その剛性が不十分であるという問題があった。このため、ドアの開閉時には、ドアトリムの振動等に起因して、カーテシーランプの光がぶれる懸念があった。
【0005】
そこで、従来、ドアのウインドガラスを昇降させるためのウインドレギュレータやスピーカ等、ドア用の電装品を取付けるためのモジュールプレートにカーテシーランプを取付けた構造が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0006】
下記特許文献1の場合、カーテシーランプをモジュールプレートに取付けているため、上述したような作業の煩雑さが解消され、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性が向上するという効果が得られる。また、モジュールプレートは、上記電装品を支持する目的から、ドアトリムよりも高い剛性を有している。このため、ドアトリムに比べてカーテシーランプの支持剛性を向上させることができるという効果も得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−169214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、モジュールプレートは、樹脂製のものが多く採用されているため、カーテシーランプの支持剛性が必ずしも十分であるとは言い難く、上記特許文献1に開示されているように、カーテシーランプを単にモジュールプレートに取付けるだけでは、光がぶれる懸念を解消することができなかった。
【0009】
また、モジュールプレートは、雨水や塵埃等の異物から上記電装品を保護するために、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられるが、モジュールプレートの剛性が十分でないと、シール部材の反力によってモジュールプレートが弾性変形する等して、モジュールプレートとインナパネルとの間のシール性が確保できなくなる虞があった。つまり、モジュールプレートの剛性が十分でないと、シールライン部においてシール剛性の低下を招くという問題があった。
【0010】
この発明は、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性向上を図りつつ、上記カーテシーランプの光のぶれを抑制し、かつシールライン部におけるシール剛性を向上させることができる車両のドア構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の車両のドア構造は、ドアトリムの内部に樹脂製のモジュールプレートが配設されると共に、該モジュールプレートが、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられた車両のドア構造であって、上記モジュールプレートに、上記シールライン部に略沿って車室内側に突出した突出部を設けると共に、該突出部に、上記ドアトリム近傍まで延びたカーテシーランプの取付部を設け、上記ドアトリムには、上記カーテシーランプに対応させてランプレンズを設けたものである。
【0012】
この構成によれば、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性向上を図ることができると共に、モジュールプレートに突出部を形成することで、突出部及びその周辺の剛性が向上し、その結果、取付部におけるカーテシーランプの支持剛性を向上させることができる。これにより、ドアの開閉時に、ドアトリムの振動等に起因して、カーテシーランプの光がぶれることを抑制できる。
【0013】
さらに、突出部をシールライン部に略沿って形成するため、シールライン部のシール剛性を向上させることもできる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記モジュールプレートが、複数箇所で上記インナパネルに締結されており、上記突出部は、上記モジュールプレートの締結部の間に位置するシールライン部に略沿って配設されたものである。
【0015】
この構成によれば、締結部の間に位置するシールライン部に略沿って突出部を形成することで、シールライン部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0016】
具体的には、シールライン部のうち、締結部の間の部位は、インナパネルに締結された部位に比べ、弾性変形が発生し易い部位となっており、上述したように、締結部の間に位置するシールライン部に略沿って突出部を形成することで、シールライン部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記突出部と、上記モジュールプレートの締結部の近傍とを接続する補強リブを設けたものである。
【0018】
この構成によれば、突出部と補強リブとの協働により、シールライン部のシール剛性をより向上させることができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記突出部が、最下部に位置する上記シールライン部に略沿って配置されるものである。
【0020】
この構成によれば、より高いシール剛性が要求されているシールライン部の最下部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0021】
具体的には、シールライン部のうち、その最下部では、上方から落下する雨水や塵埃等の異物が集まり易い部位となっており、それ故、他の部位に比べてより高いシール剛性が要求されている。上述したように、最下部に位置するシールライン部に略沿って突出部を形成することで、上記最下部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記取付部に近接した位置で上記カーテシーランプを覆う遮光壁を、上記ドアトリムに一体的に形成したものである。
【0023】
この構成によれば、取付部、遮光壁を、それぞれモジュールプレート側、ドアトリム側に分離独立して形成することで、成型上の制約を受けることなく、遮光壁をドアトリムに容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、カーテシーランプの装着性、及びドアトリムの組付け性向上を図ることができると共に、モジュールプレートに突出部を形成することで、突出部及びその周辺の剛性が向上し、その結果、取付部におけるカーテシーランプの支持剛性を向上させることができる。これにより、ドアの開閉時に、ドアトリムの振動等に起因して、カーテシーランプの光がぶれることを抑制できる。
【0025】
さらに、突出部をシールライン部に略沿って形成するため、シールライン部のシール剛性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る車両のドア構造を示す断面図。
【図2】ドア構造の要部を示す側面図。
【図3】ドア構造の要部を斜め下方から見た斜視図。
【図4】ドア構造の要部を示す断面図。
【図5】シールライン部及びその周辺の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のドア構造を示す断面図である。図1に示す車両のドア1は、車室内側の面を構成する金属性のドアインナパネル2と車外側の面を構成する金属製のドアアウタパネル3とからなる中空のドア本体4を備えている。なお、図中において矢印(IN)は車体内方、矢印(OUT)は車体外方を示す。
【0028】
ドア本体4のドアインナパネル2には、樹脂製のドアモジュールプレート5がシール部材6を介して取付けられ、モジュールプレート5は、ドアインナパネル2より車室内側に位置する樹脂製のドアトリム7の内部に配設されている。
【0029】
また、ドア本体4の内部空間には、ドア1の側突耐力を向上させるためのインパクトバー8が略車両前後方向に延設されると共に、その上部には、略前後方向に延びるウインドガラス出入開口部9が形成されている。
【0030】
そして、ウインドガラス出入開口部9に対応して、略上下に延びるガラスガイド10が設けられており、このガラスガイド10により、ウインドガラス11が上下に摺動可能に支持されている。
【0031】
ガラスガイド10は、車体前後方向視で弓状に緩やかに湾曲した形状とされており、下部側が、ウインドガラス出入開口部9を介してドア本体4の内部空間まで延びている。
【0032】
ところで、モジュールプレート5は、ドアトリム7よりも高い剛性を有する素材からなり、例えば、上述したウインドガラス10を昇降させるウインドレギュレータやスピーカ(いずれも不図示)等のドア1用の電装品を支持している。
【0033】
また、モジュールプレート5は、その周縁部において、図1〜図5に示すように、シール部材6が収容されるシールライン部51を有すると共に、図1〜図3に示すように、ボルト、ナット等の締結部材12、12、…により、複数個所に亘ってドア本体4のドアインナパネル2に締結されている。
【0034】
シールライン部51は、図1〜図5に示すように、車室内側に向かって突出しており、その車外側には、凹部51a(図4、図5参照)が形成されている。そして、このシールライン部51の凹部51aに、シール部材6の一部が圧縮状態で収容されている。
【0035】
シール部材6は、例えば、ウレタン等の弾性を有する素材で構成されており、シール部材6がドアインナパネル2とモジュールプレート5との間で挟持されることにより、シール部材6が圧縮され、かつその一部が凹部51aに収容された状態となっている。これにより、ドアインナパネル2とモジュールプレート5との間のシール性が確保されている。
【0036】
その一方で、シールライン部51の凹部51aは、その空間内に圧縮されたシール部材6を収容することで、シール部材6の圧縮を緩和する役割を果たしている。これにより、シール部材6の反力が必要以上に大きくなることを抑制しており、その結果、モジュールプレート5がシール部材6からの反力で弾性変形することを防止している。
【0037】
また、本実施形態では、図2に示すように、モジュールプレート5において、最下部に位置する2つの締結部材12、12(締結部)間に、車室内側に突出する突出部52が形成されている。
【0038】
さらに、突出部52は、上述した締結部材12、12間において、最下部に位置するシールライン部51に略沿って配設されており、その先端部には、ドアトリム7の近傍まで延びたカーテシーランプ取付部53(以下、取付部53と略記する。)が設けられている。
【0039】
取付部53には、図3、図4に示すように取付孔53aが穿設されており、この取付孔53aの縁部に対し、カーテシーランプ13側に設けられた係止爪14が嵌合することで、カーテシーランプ13が、図1〜図4に示すように下向きに取付けられている。
【0040】
また、取付部53には、カーテシーランプ13の車両前後両側から下方に延びる縦補強リブ53b、53bが形成されている。これは、取付部53が、上述したようにモジュールプレート5からドアトリム7の近傍まで延び、しかも、その先端が図1〜図4に示すように自由端となっていることで、カーテシーランプ13が片持ち支持の状態となっているからであり、取付部53の縦補強リブ53bを形成することで、カーテシーランプ13の支持剛性が確保されている。
【0041】
そして、モジュールプレート5には、シールライン部51に略沿うように延びる複数の横補強リブ54aと、シールライン部51と略直交するように延びる複数の縦補強リブ54bとが形成されている。そして、横補強リブ54aの一部は、シールライン部51の最下部において、図2、図3に示すように、突出部52と締結部材12の近傍とを接続するように設けられている。
【0042】
また、モジュールプレート5には、カーテシーランプ13に接続されるハーネス15を固定するための座部55が形成されており、車室内側に向かって突出する接続部56を介して突出部52に接続されている。
【0043】
座部55は、上述した突出部52と同様、車室内側に向かって突出しており、クリップ等の固定部材16が取付けられている。ハーネス15は、この固定部材16を介して座部55に固定されている。
【0044】
ところで、ドアトリム7には、図1に示すように、その上下方向中間部において、車室内側に突出するアームレスト71が形成されると共に、その下部においては、図1〜図4に示すように、上述したカーテシーランプ13に対応して、側面部17a及び下面部17b(図4参照)を有するランプレンズ17が取付けられている。
【0045】
また、ドアトリム7には、図1、図4に示すように、モジュールプレート5の取付部53に近接した位置でカーテシーランプ13を上方から覆う遮光壁72が形成されている。この遮光壁72は、取付部53の車両前後方向両側及び車室内側を上方から覆うように配設されており、取付部53に対応する位置には、図4に示すように、ハーネス15を上方に通すための切欠き部72aが形成されている。
【0046】
このように、本実施形態では、モジュールプレート5に形成された突出部52の取付部53にカーテシーランプ13を取付けることで、カーテシーランプ13の装着性、及びドアトリム7の組付け性向上を図ることができる。
【0047】
そして、モジュールプレート5に突出部52を形成することで、突出部52及びその周辺の剛性が向上し、その結果、取付部53におけるカーテシーランプ13の支持剛性を向上させることができる。これにより、ドア1の開閉時に、ドアトリム7の振動等に起因して、カーテシーランプ13の光がぶれることを抑制できる。
【0048】
さらに、突出部52をシールライン部51に略沿って形成するため、シールライン部51のシール剛性を向上させることもできる。
【0049】
また、シールライン部51のうち、締結部材12、12、…(締結部)の間の部位は、締結部材12によってドアインナパネル2に締結された部位に比べ、弾性変形が発生し易い部位となっている。本実施形態では、上述したように、締結部材12、12の間に位置するシールライン部51に略沿って突出部52を形成することで、シールライン部51のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0050】
また、突出部52と締結部材12の近傍とを接続する横補強リブ54aを形成したことで、突出部52と横補強リブ54aとの協働により、シールライン部51のシール剛性をより向上させることができる。
【0051】
また、シールライン部51のうち、その最下部では、上方から落下する雨水や塵埃等の異物が集まり易い部位となっており、それ故、他の部位に比べてより高いシール剛性が要求されている。本実施形態では、上述したように、最下部に位置するシールライン部51に略沿って突出部52を形成することで、より高いシール剛性が要求されている上記最下部のシール剛性を効果的に向上させることができる。
【0052】
ところで、従来のように、ドアトリムにカーテシーランプを取付ける場合、ドアトリムには、カーテシーランプの取付部及び遮光壁が一体的に形成されることが多い。しかしながら、この場合、ドアトリムにカーテシーランプの取付部及び遮光壁を一体的に形成しようとすると、ドアトリムの形状が複雑化することになるため、遮光壁の形状が、ドアトリムの成型上の理由によって制約を受けるという問題があった。
【0053】
そこで、本実施形態では、上述したように、カーテシーランプ13の取付部53をモジュールプレート5に一体的に形成する一方、遮光壁72をドアトリム7に一体的に形成している。このように、取付部53、遮光壁72を、それぞれモジュールプレート5側、ドアトリム7側に分離独立して形成することで、成型上の制約を受けることなく、遮光壁72をドアトリム7に容易に形成することができる。
【0054】
但し、本発明は、遮光壁をドアトリム7に一体的に形成することに必ずしも限定されるものではなく、この遮光壁を、ドアトリム7に取付け可能な別部材によって構成してもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、取付部53に縦補強リブ53bを形成することとしたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、取付部53を他の部位よりも厚肉に形成してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、カーテシーランプ13を下向きに取付けることとしたが、図4に示すように下面部17bを有するランプレンズ17を備えている場合であれば、カーテシーランプ13を横向きに取付けてもよい。
【0057】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、補強リブは、横補強リブ54aに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1…ドア
2…ドアインナパネル
5…モジュールプレート
6…シール部材
7…ドアトリム
13…カーテシーランプ
17…ランプレンズ
51…シールライン部
52…突出部
53…取付部
54a…横補強リブ
72…遮光壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアトリムの内部に樹脂製のモジュールプレートが配設されると共に、
該モジュールプレートが、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられた車両のドア構造であって、
上記モジュールプレートに、上記シールライン部に略沿って車室内側に突出した突出部を設けると共に、
該突出部に、上記ドアトリム近傍まで延びたカーテシーランプの取付部を設け、
上記ドアトリムには、上記カーテシーランプに対応させてランプレンズを設けた
車両のドア構造。
【請求項2】
上記モジュールプレートは、複数箇所で上記インナパネルに締結されており、
上記突出部は、上記モジュールプレートの締結部の間に位置するシールライン部に略沿って配設された
請求項1記載の車両のドア構造。
【請求項3】
上記突出部と、上記モジュールプレートの締結部の近傍とを接続する補強リブを設けた
請求項2記載の車両のドア構造。
【請求項4】
上記突出部は、最下部に位置する上記シールライン部に略沿って配置される
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のドア構造。
【請求項5】
上記取付部に近接した位置で上記カーテシーランプを覆う遮光壁を、上記ドアトリムに一体的に形成した
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両のドア構造。
【請求項1】
ドアトリムの内部に樹脂製のモジュールプレートが配設されると共に、
該モジュールプレートが、シールライン部に配設されたシール部材を介してインナパネルに取付けられた車両のドア構造であって、
上記モジュールプレートに、上記シールライン部に略沿って車室内側に突出した突出部を設けると共に、
該突出部に、上記ドアトリム近傍まで延びたカーテシーランプの取付部を設け、
上記ドアトリムには、上記カーテシーランプに対応させてランプレンズを設けた
車両のドア構造。
【請求項2】
上記モジュールプレートは、複数箇所で上記インナパネルに締結されており、
上記突出部は、上記モジュールプレートの締結部の間に位置するシールライン部に略沿って配設された
請求項1記載の車両のドア構造。
【請求項3】
上記突出部と、上記モジュールプレートの締結部の近傍とを接続する補強リブを設けた
請求項2記載の車両のドア構造。
【請求項4】
上記突出部は、最下部に位置する上記シールライン部に略沿って配置される
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のドア構造。
【請求項5】
上記取付部に近接した位置で上記カーテシーランプを覆う遮光壁を、上記ドアトリムに一体的に形成した
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両のドア構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2013−78993(P2013−78993A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219906(P2011−219906)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
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