説明

車両の制御装置

【課題】複数のモータにより左右の車輪を独立に回転駆動する車両について、車両の進行状態とステアリングの操舵状態とを一致させて、運転者の操舵負荷を軽減することができる車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】ECU11は、車両1が直進状態にあるか否かを判定し、直進状態にあると判定した場合には、左側の車輪3a,3cと右側の車輪3b,3dとの間に回転数差(車輪速差)を設定し、車両の進行状態とステアリング4の操舵状態とを一致させるべく、各モータ10a〜10dの作動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ駆動により走行する電気自動車の開発が進められている。例えば、特許文献1には、車輪(ホイール内)にモータを内蔵する所謂インホイールモータ型の駆動装置が開示されている。そして、このような駆動方式を採用することにより、例えば、従来の車両にみられるような駆動伝達系(ドライブシャフト等)を廃して広い車室空間を確保する等、様々なメリットを享受することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−79484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータ出力には個体差が存在するため、上記インホイールモータ方式のように複数のモータを用いて左右の車輪を独立に回転駆動する構成では、そのモータ出力差に基づき車両が旋回しようとする挙動を示すことで、その進行方向に偏り(偏向)が生ずる可能性がある。また、車両の右側と左側とで路面の摩擦係数が著しく異なる路面(以下、「μスプリット路」とする。)においては、その摩擦係数の差に基づいて車両に偏向が生ずる可能性がある。そして、特に長時間に亘る直進走行時には、その修正操舵を運転者が負担に感じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、複数のモータにより左右の車輪を独立に回転駆動する車両について、車両の進行状態とステアリングの操舵状態とを一致させて、運転者の操舵負荷を軽減することができる車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のモータにより左右の車輪を独立に回転駆動する車両の制御装置であって、前記各車輪の作動を制御する制御手段と、前記車両の直進状態を判定する直進状態判定手段と、ステアリングの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記直進状態判定手段による直進判定があった場合、操舵状態検出手段が検出した操舵状態に基づき前記各車輪の作動を制御し、車両の走行状態にステアリングの操舵状態を一致させること、を要旨とする。
【0007】
請求項1の発明は、車両の直進走行時には、車両の進行状態にステアリングの操舵状態を一致させるように各車輪が制御されるので、左右の車輪を駆動するモータ出力に個体差が存在する場合やμスプリット路を走行する場合であっても修正操舵が不要になる。これにより、請求項1の発明は、運転者の負担を効果的に軽減させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記直進状態判定手段による直進判定があった場合、前記操舵状態検出手段が検出した操舵状態に基づき前記左右の車輪の回転数差を設定する回転数差設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記回転数差設定手段によって設定された回転数差に基づき前記各モータの作動を制御し、車両の走行状態にステアリングの操舵状態を一致させること、を要旨とする。
【0009】
左右の車輪に回転数差がある場合、車両には、その回転数が大きい(車輪速が速い)側を外輪として旋回しようとする挙動が発生する。これを利用して、修正操舵が行われない場合において車両が旋回しようとする側の車輪速が、反対側の車輪速よりも速くなるように回転数差を設定することで、その修正操舵を誘引する車両の挙動を打ち消すことができる。その結果、車両の進行状態とステアリングの操舵状態とが一致するように各車輪を制御することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記操舵状態検出手段が、ステアリングの操舵トルクを検出するトルクセンサであり、前記回転数差設定手段は、前記車両の直進状態における操舵トルクの積算値を演算する積算値演算手段を備え、前記操舵トルクの積算値に基づいて前記回転数差を設定すること、を要旨とする。
【0011】
車両が直進状態にある場合に検出される操舵トルクは、運転者による修正操舵の発生と、その修正操舵が行われない場合に発生する車両の挙動を打ち消して直進状態を維持するために必要な操舵負荷の大きさとを示している。本発明によれば、小さな操舵トルクが連続するような、車両の進行状態とステアリングの操舵状態との調整が効きにくい場合であっても、操舵トルクの積算値を用いることで車両の進行状態とステアリングの操舵状態との調整を確実に行うことができる。また、操舵トルクに瞬間的な変化が生ずる場合であっても、検出された操舵トルクが積算され平均化されるため、その影響を受けずに車両の進行状態とステアリングの操舵状態と適切に一致させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のモータにより左右の車輪を独立に回転駆動する車両について、車両の進行状態とステアリングの操舵状態とを一致させて、運転者の操舵負荷を軽減することが可能な車両の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明が適用される車両の概略構成図。
【図2】進行状態/操舵状態一致制御の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、4つの車輪3a〜3dを備えた四輪車である。また、車両1は、ステアリング4の回転角(操舵角)に基づいて、その転舵輪である前輪3fl,3frに舵角(転舵角)を発生させる周知のステアリング装置5を備えている。即ち、一端にステアリング4が固定されたステアリングシャフト6は、ラック&ピニオン機構7を介してラック軸8と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト6の回転は、ラック&ピニオン機構7によりラック軸8の軸方向移動に変換される。そして、その軸方向移動がタイロッド9を介してナックル(図示略)に伝達されることにより、操舵角に応じた転舵角が発生するようになっている。
【0015】
また、車両1は、複数(4つ)のモータ10a〜10dにより各車輪3a〜3dを独立に回転駆動する電気自動車として構成されている。具体的には、各モータ10a〜10dは、図示しない減速機とともに各車輪3a〜3dに内蔵されている。そして、各モータ10a〜10dは、車両1の制御装置であるECU11によって、その作動が制御されている。
【0016】
詳述すると、制御手段としてのECU11は、各モータ10a〜10dに対して、それぞれ独立に駆動電力を供給する機能を有している。また、ECU11には、アクセルペダル13の操作量を示すアクセル開度RAが入力されるようになっている。そして、ECU11は、アクセル開度RAの値が大きいほど、より大きな電流量が各モータ10a〜10dに通電されるように電流制御を実行する。
【0017】
また、ECU11には、ヨーレイトセンサ14により検出される車両1のヨーレイトYRが入力されるようになっており、直進状態判定手段としてのECU11は、このヨーレイトYRに基づいて、車両1が直進状態にあるか否かを判定する(直進判定)。そして、直進状態にあると判定した場合には、左側の車輪3a,3cと右側の車輪3b,3dとの間に回転数差(車輪速差)を設定し、車両の進行状態とステアリング4の操舵状態とを一致させるべく、各モータ10a〜10dの作動を制御する。
【0018】
さらに詳述すると、ECU11には、ステアリングシャフト6に設けられた操舵状態検出手段としてのトルクセンサ15により検出される操舵トルクτが入力される。そして、ECU11は、上記直進判定により車両1が直進状態にあると判定された場合、所定周期で操舵トルクτの積算値(操舵トルク積算値τint)を演算する。尚、積算値演算手段としてのECU11は、前回周期において演算された操舵トルク積算値の前回値τint_bに、今回周期において検出された操舵トルクτの値を加算することにより、その操舵トルク積算値τintの演算を実行する。
【0019】
また、ECU11には、各車輪3a〜3dに設けられた車輪速センサ16a〜16dにより検出される各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLが入力されるようになっており、ECU11は、これら各車輪速の平均値(車輪速平均値WS_av)を演算する。そして、回転数差設定手段としてのECU11は、上記操舵トルク積算値τint及び車輪速平均値WS_avに基づいて、前輪3fl,3frに設定すべき左右の回転数差ΔWS_F、及び後輪3rl,3rrに設定すべき左右の回転数差ΔWS_Rを演算する。
【0020】
ここで、左側の車輪3a,3cと右側の車輪3b,3dとの間に回転数差を設定することで、車両1には、その回転数が大きい(車輪速が速い)側を外輪として旋回しようとする挙動が発生する。そして、これを利用し、修正操舵が行われない場合において車両1が旋回しようとする側の車輪速が、反対側の車輪速よりも速くなるように回転数差を設定することで、車両の進行状態とステアリング4の操舵状態とを一致させることができる。
【0021】
例えば、修正操舵なしでは車両1が左側に旋回しようとする場合には、左側の車輪速WS_FL,WS_RLが右側の車輪速WS_FR,WS_RRよりも速くなるように、前輪3fl,3fr及び後輪3rl,3rrに左右の回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rを設定することで、その修正操舵を誘引する車両の挙動を打ち消すことができる。
【0022】
ここで、車両1が直進状態にある場合における操舵トルクτは、修正操舵の発生と、その修正操舵が行われない場合に発生する車両1の挙動を抑えて直進状態を維持するために必要な操舵負荷の大きさとを示している。
【0023】
この点に着目し、ECU11は、操舵トルク積算値τint(の絶対値)が大きいほど、設定すべき各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rとして、より大きな値を演算する。また、これら回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rは、車輪速に依存する。このため、ECU11は、車輪速平均値WS_avが大きいほど、より大きな値を有した各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rを演算する。尚、本実施形態のECU11では、これら各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rと操舵トルク積算値τint及び車輪速平均値WS_avとの関係は、マップの形態で図示しない記憶領域に保持されている。そして、ECU11は、上記検出される各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLに、その設定した回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rを反映させるべく、各モータ10a〜10dの作動を制御する。
【0024】
具体的には、ECU11は、上記のように設定した各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rを各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLに反映させるために、各モータ10a〜10dに対する電力供給を調整する。
【0025】
例えば、操舵トルク積算値τintが、修正操舵なしでは車両1が左側に旋回しようとする状態を示す場合、ECU11は、右の前輪3fr及び後輪3rrを駆動するモータ10b,10dの通電電流量に対して、左の前輪3fl及び後輪3rlを駆動するモータ10a,10cの通電電流量が多くなるように、各モータ10a〜10dに対する電力供給を調整する。
【0026】
尚、本実施形態のECU11は、車両直進時、所定周期毎に、所定値ずつ各モータ10a〜10dの通電電流量を変化させる。そして、検出される各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLに上記各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rが反映されるまで、その電力供給調整を継続する。
【0027】
次に、進行状態/操舵状態一致制御の処理手順について説明する。
図2のフローチャートに示すように、ECU11は、先ず、その進行状態/操舵状態一致制御に用いる車両状態量として、操舵トルクτ、ヨーレイトYR、及び各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLを取得する(ステップ101)。次に、ECU11は、ヨーレイトYRに基づいて車両1が直進状態にあるか否かを判定し(ステップ102)、直進状態にあると判定した場合(ステップ103:YES)には、続いて操舵トルク積算値τintの演算(ステップ104)及び車輪速平均値WS_avの演算(ステップ105)を実行する。そして、ECU11は、これら操舵トルク積算値τint及び車輪速平均値WS_avに基づいて、前輪3fl,3frに設定すべき左右の回転数差ΔWS_F、及び後輪3rl,3rrに設定すべき左右の回転数差ΔWS_Rを演算する(ステップ106)。
【0028】
次に、ECU11は、検出される各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLが、その設定された回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rを反映するものとなっているか否かを判定する(ステップ107)。そして、回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rが反映されていない場合(ステップ107:NO)には、その減速すべき車輪を駆動するモータの通電電流量に対し、増速すべき車輪を駆動するモータの通電電流量が大きくなるように、各モータ10a〜10dに対する電力供給を調整する(ステップ108)。
【0029】
尚、ステップ107において、各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLが、その設定された回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rを反映するものとなっている場合(ステップ107:YES)には、ECU11は、ステップ108の処理を実行しない。
【0030】
また、ECU11は、上記ステップ103において、車両1が直進状態にないと判定した場合(ステップ103:NO)には、上記ステップ104〜ステップ108の処理を実行しない。そして、操舵トルク積算値τintをリセットすべく、その記憶領域(図示略)に保持する前回値τint_bをクリアする(τint_b=0、ステップ109)。
【0031】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ECU11は、車両1が直進状態にあるか否かを判定し、直進状態にあると判定した場合には、左側の車輪3a,3cと右側の車輪3b,3dとの間に回転数差(車輪速差)を設定し、車両の進行状態とステアリング4の操舵状態とを一致させるべく、各モータ10a〜10dの作動を制御する。
【0032】
左側の車輪3a,3cと右側の車輪3b,3dとの間に回転数差がある場合、車両1には、その回転数が大きい側を外輪として旋回しようとする挙動が発生する。これを利用して、修正操舵が行われない場合において車両が旋回しようとする側の車輪速が、反対側の車輪速よりも速くなるように回転数差を設定することで、その修正操舵を誘引する車両1の挙動を打ち消すことができる。その結果、車両1の進行状態とステアリング4の操舵状態とが一致するように各車輪を制御することができる。
【0033】
(2)ECU11は、車両1が直進状態にあると判定された場合、所定周期で操舵トルク積算値τintを演算する。そして、この操舵トルク積算値τintに基づいて、前輪3fl,3frに設定すべき左右の回転数差ΔWS_F、及び後輪3rl,3rrに設定すべき左右の回転数差ΔWS_Rを演算する。
【0034】
車両1が直進状態にある場合に検出される操舵トルクτは、修正操舵の発生と、その修正操舵が行われない場合に発生する車両の挙動を抑えて直進状態を維持するために必要な操舵負荷の大きさとを示している。そして、操舵トルク積算値τintは、検出される操舵トルクτの値が略ゼロとなった場合に略一定となる。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、効果的に、車両1の進行状態とステアリング4の操舵状態とが一致するように各車輪を制御することができる。
【0035】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、車両1は、4つのモータ10a〜10dにより各車輪3a〜3dを独立に回転駆動することとした。しかし、これに限らず、前輪又は後輪の何れか一方のみを駆動輪とする車両について、その左右の駆動輪に回転数差を設定すべく各モータを制御する構成としてもよい。また、上記実施形態における車両1と同様の四輪駆動車であっても、前輪3fl,3frのみについて左右の回転数差ΔWS_Fを設定すべくモータ10a,10bの作動を制御する。又は、後輪3rl,3rrのみについて左右の回転数差ΔWS_Rを設定すべくモータ10c,10dの作動を制御する構成であってもよい。
【0036】
・更に、左右の車輪を独立に回転駆動する複数のモータを備え、車輪毎に各モータの作動を制御することが可能な構成であれば、車輪数、駆動輪数、及びモータ数は、必ずしも上記実施形態の構成に限るものではない。例えば、三輪車や六輪車、或いは二輪車等、車輪数が四輪以外の車両に適用してもよい。また、各駆動輪をそれぞれ複数のモータで回転駆動するものであってもよい。そして、各モータの型式もインホイールモータ型に限らない。
【0037】
・上記実施形態では、ECU11は、ヨーレイトYRに基づいて、車両1の直進判定を実行することとした。しかし、これに限らず、例えば、操舵角や操舵トルクτ等、ヨーレイトYR以外の車両状態量に基づいて直進判定を行う構成としてもよい。また、これらを任意に組合せることにより直進判定を行う構成としてもよい。
【0038】
・上記実施形態では、ECU11は、操舵トルク積算値τintに基づいて、各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rを演算することとした。しかし、これに限らず、操舵トルクτに基づいて、その回転数差設定演算を実行する構成であってもよい。また、運転者のステアリング操作(操作量)を推定可能な状態量であれば、例えば、操舵角や操舵角積算値等、その他の状態量を用いて回転数差設定演算を実行する構成であってもよい。
【0039】
・上記実施形態では、ECU11は、アクセル開度RAに基づき電流制御を実行することにより各モータ10a〜10dの作動を制御する。そして、進行状態/操舵状態一致制御の実行時には、検出される各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLに上記各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rが反映されるまで、各モータ10a〜10dの通電電流量を変化させることとした。しかし、これに限らず、本発明は、各車輪3a〜3dについて速度制御(回転速度制御)を実行することにより各モータ10a〜10dの作動を制御する構成に適用してもよい。そして、この場合には、設定された各回転数差ΔWS_F,ΔWS_Rとなるように、直接的に各車輪速WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RLを制御すればよい。
【0040】
・上記実施形態では、ECU11は、車両直進時、所定周期毎に、所定値ずつ各モータ10a〜10dの通電電流量を変化させることとした。しかし、これに限らず、操舵トルク積算値τintに基づいて、通電電流量を変化させる構成であってもよい。
【0041】
・上記実施形態では、各モータ10a〜10dの回転を電流制御することにより各車輪3a〜3dの作動が制御されたが、本発明は、このような態様に限定されるわけではない。例えば、液圧ブレーキ装置や電磁ブレーキ装置等の制動装置を制御することにより各車輪の作動を制御してもよい。
【0042】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を記載する。
(イ)前記直進状態判定手段は、ヨーレイトに基づいて前記車両の直進状態を判定すること、を特徴とする車両の制御装置。これにより、精度良く車両の直進状態を判定することができる。
【0043】
(ロ)車両の前輪及び後輪について、それぞれ左右の回転数差を設定すること、を特徴とする車両の制御装置。これにより、効果的に、車両1の偏向を抑えて操舵負荷を軽減することができる。
【0044】
(ハ)前記各モータはインホイールモータであること、を特徴とする車両の制御装置。
【符号の説明】
【0045】
1…車両、3a〜3d…車輪、3fl,3fr…前輪、3rl,3rr…後輪、4…ステアリング、10a〜10d…モータ、11…ECU、13…アクセルペダル、14…ヨーレイトセンサ、15…トルクセンサ、16a〜16d…車輪速センサ、RA…アクセル開度、YR…ヨーレイト、τ…操舵トルク、τint…操舵トルク積算値、WS_FR,WS_FL,WS_RR,WS_RL…車輪速、WS_av…車輪速平均値、ΔWS_F,ΔWS_R…回転数差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモータにより左右の車輪を独立に回転駆動する車両の制御装置であって、
前記各車輪の作動を制御する制御手段と、
前記車両の直進状態を判定する直進状態判定手段と、
ステアリングの操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記直進状態判定手段による直進判定があった場合、操舵状態検出手段が検出した操舵状態に基づき前記各車輪の作動を制御し、車両の走行状態にステアリングの操舵状態を一致させること、を特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記直進状態判定手段による直進判定があった場合、前記操舵状態検出手段が検出した操舵状態に基づき前記左右の車輪の回転数差を設定する回転数差設定手段と、を備え、
前記制御手段は、前記回転数差設定手段によって設定された回転数差に基づき前記各モータの作動を制御し、車両の走行状態にステアリングの操舵状態を一致させること、
を特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の制御装置において、
前記操舵状態検出手段が、ステアリングの操舵トルクを検出するトルクセンサであり、
前記回転数差設定手段は、前記車両の直進状態における操舵トルクの積算値を演算する積算値演算手段を備え、
前記操舵トルクの積算値に基づいて前記回転数差を設定すること、
を特徴とする車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−13197(P2013−13197A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143239(P2011−143239)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】